JP4381897B2 - 染色性および接合性の良好なシート状物からなる製品の製造法 - Google Patents
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Description
(1)シート状繊維集合体にポリウレタンあるいはポリウレタンを主体とした弾性重合体を含有してなるシート状物(A)、又はシート状繊維集合体の一面あるいは両面にポリウレタンあるいはポリウレタンを主体とした弾性重合体よりなる被覆層を有するシート状物(B)からなる成形体に、他の部材をインジェクション成形法で一体成形して製品を製造するに際し、前記成形体の少なくともインジェクション成形加工面にメチルエチルケトンまたはメチルエチルケトンを主体とした処理剤を付与し、インジェクション成形法で他の部材と一体成形することを特徴とする染色性および接合性の良好なシート状物からなる製品の製造法、
(2)前記メチルエチルケトンまたはメチルエチルケトンを主体とした処理剤が、易染性重合体を0.1〜5容量部含有するものである(1)の染色性および接合性の良好なシート状物からなる製品の製造法、
を提供するものである。
(1)シート状繊維集合体とポリウレタンを主体とした弾性重合体とからなるシート状物、とりわけ皮革様のシート状物を、従来のような繁雑な前加工処理を行うことがなく、簡単な前加工処理で、シート状物インジェクション成形加工面にメチルエチルケトン(以下、MEKと記す)、又はMEKを主体とした処理剤、易染性重合体を含有した該処理剤を付与(塗布処理)することができる。
(2)上記の塗布処理したシート状物はインジェクション成形法で、例えば、靴底と一体成形で、接着強度の高い、形態の良好な、染色ムラの発生を抑えて良好な染色製品が得られる優れた成形製品が得られる。
(3)この成形製品を所望の色調に染色することで透明感・鮮明感のある淡色から濃色までの任意の色調に染色した染色製品で、しかも多銘柄、少量生産が可能になり、市場への対応がより一層迅速になる。
シート状繊維集合体に用いられる繊維としては、従来公知の天然繊維、合成繊維、半合成繊維の中から何れであっても使用可能である。工業的には公知のセルロース系繊維、アクリル系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維等が単独または混合したものが品質安定性、価格等の面から好ましく使用される。本発明においては、特に限定されるものではないが、より天然皮革に近い柔軟な風合いを実現できる極細繊維が好ましく、平均繊度が0.3dtex以下、特に0.1dtex以下であり、また0.0001dtex以上の平均繊度を有するような極細繊維が好ましく用いられる。
ポリウレタンは、必要に応じて、複数種のポリウレタンを混合したものを用いてもよく、また合成ゴム、ポリエステルエラストマー、ポリ塩化ビニルなどの重合体を添加して得た重合体組成物として使用することもできる。
この前処理工程において、(a)シート状物の状態、(b)所望の形状に裁断した裁片の状態、(c)その裁片を縫製加工あるいは接合加工した中間加工品の状態のいずれかの状態の成形体とし、得られたシート状物からなる成形体の少なくともインジェクション成形加工面に、MEK、又はMEKを主体とした処理剤の塗布処理を行う。このMEK、又はMEKを主体とした処理剤として、易染性重合体、例えば、ポリ(オキシエチレン)系ポリウレタンを0.1〜6容量部含有する溶液を用いることもできる。
プライマー樹脂は素材の染色性によって適宜選択され、ウレタン系プライマー樹脂、ポリエステル系プライマー樹脂、ポリエーテル系ポリウレタンプライマー樹脂などが用いられる。
使用する染料は、構成材料の種類や、付与したプライマー樹脂の種類によって選定され、分散染料、酸性染料、塩基性染料、金属錯塩染料などが用いられる。これらの染料により着色する方法は、例えば、槽内での浸染、太鼓型染色機による染色のように被染色物を移動させる方法、オーバマイヤ染色機による染色のように染色液を循環させる方法などの浸染法が用いられる。浸染法では必要に応じて均染剤、緩染剤、分散剤、キャリヤーなどの助剤を用い、水浴中又は水と有機溶剤系の浴中で染色する。被染色物は必要に応じてソーピングし、水洗、乾燥して製品化仕上げを行うが、被染色物を還元剤処理して染着力の弱い部分の染料を除去しても良い。例えば、易染性プライマー樹脂を模様状に部分的に塗布し、染色後易染性プライマー樹脂を塗布していない部分の染料を除去することにより、多色に着色製品が得られる。また、易染性プライマー樹脂を付与した製品の染料着色法は、捺染法による着色でも色調の良い染色された製品が得られる。
本発明の成形加工品の製造方法においては、加工処理条件の管理などの繁雑な作業を伴うことなく、処理が簡単であり、しかも、染色ムラを発生させないで、染色性および接合性が良好な成形加工品を得ることができる。
ナイロン極細繊維束状の繊維絡合不織布に多孔質ポリウレタンを含有した多孔質シート状物の一面を立毛性処理し、得られたスエード調の立毛シート状物を用い、婦人靴胛被用に裁断し、裁片を縫製して得た胛被に中底を付けた後、MEKをスプレー法で塗布し、発泡性ポリウレタン組成物をリアクション・インジェクション・ダイレクトソーリング法で靴底を一体成形してスエード調婦人靴(中間製品)を得た。
ベージュ系金属錯塩染料組成物 1.5% owf、 均染剤 1g/l、
浴比 1:50、 染色温度 80℃、 染色時間 10分間(槽内で振とう)。
次いで、染色物はソーピングし、水洗して金網上で温風乾燥してベージュ系婦人用カジュアル靴を得た。この婦人靴はブラッシングすると見るからに趣をそそる外観であって、染色ムラがなく、上記の婦人靴(中間製品)は染色性及び接着性共良好な製品であった。
なお、この婦人靴は注文により、必要な数量を所望する色調に染色して、少量でも出荷することができる。
ポリエステル極細繊維束状の繊維絡合不織布に多孔質ポリウレタンを含有した多孔質シート状物の一面に非多孔質ポリウレタン被覆層を有する銀付き皮革様シート状物を用い、紳士靴胛被用に裁断し、裁片を縫製して得た胛被に中底を付けた後、MEKをスプレー法で塗布し、発泡性ポリウレタン組成物をリアクション・インジェクション・ダイレクトソーリング法で靴底を一体成形して銀付き紳士靴を得た。次いで、靴底周縁部にはポリウレタンプライマー液(金属錯塩染料に対する染着量260mg/g)を塗布し、乾燥して銀付き紳士靴(中間製品)を得た。
濃茶色系金属錯塩染料組成物 3.8% owf、 均染剤 1g/1、
浴比 1:50、 染色温度 80℃、 染色時間 10分間(槽内で振とう)。
次いで、染色物はソービングし、水洗して温風乾燥機中で乾燥して紳士用カジュアル靴を得た。この紳士靴は色の深みがある良好な染色性であり、胛被部と靴底との接着強力も高いものであった。
なお、この紳士靴は注文により、必要な数量を所望する色調に染色して少量でも出荷することができる。
ナイロン極細繊維束状の繊維絡合不織布に多孔質ポリウレタンを含有した多孔質シート状物の一面を非多孔質ポリウレタン被覆層を有する銀付き皮革様シート状物を用い、婦人靴胛被用に裁断し、裁片を縫製して得た胛被に中底を付けた後、ポリオキシエチレン系ポリウレタン10%のテトラヒドロフラン溶液20部/MEK80部の組成液をスプレー法で塗布し、発泡性ポリウレタン組成物をリアクション・インジェクション・ダイレクトソーリング法で靴底を一体成形して銀付き婦人靴(中間製品)を得た。
緑色系金属錯塩染料組成物 3.3% owf、 均染剤 1g/1、
浴比 1:50、 染色温度 80℃、 染色時間 10分間(槽内で振とう)。
次いで、染色物はソービングし、水洗して温風乾燥機中で乾燥して緑色系銀付き婦人靴を得た。この靴は深みのある色調で見るからに趣をそそる外観であった。
なお、この婦人靴は注文により、必要な数量を所望する色調に染色して少量でも出荷することができる。
Claims (2)
- シート状繊維集合体にポリウレタンあるいはポリウレタンを主体とした弾性重合体を含有してなるシート状物(A)、又はシート状繊維集合体の一面あるいは両面にポリウレタンあるいはポリウレタンを主体とした弾性重合体よりなる被覆層を有するシート状物(B)からなる成形体に、他の部材をインジェクション成形法により一体成形して製品を製造するに際し、前記成形体の少なくともインジェクション成形加工面にメチルエチルケトンまたはメチルエチルケトンを主体とした処理剤を付与し、インジェクション成形法で他の部材と一体成形することを特徴とする染色性および接合性の良好なシート状物からなる製品の製造法。
- 前記メチルエチルケトンまたはメチルエチルケトンを主体とした処理剤が、易染性重合体を0.1〜5容量部含有するものである請求項1に記載の染色性および接合性の良好なシート状物からなる製品の製造法。
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JP2004175894A JP4381897B2 (ja) | 2004-06-14 | 2004-06-14 | 染色性および接合性の良好なシート状物からなる製品の製造法 |
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