JP4805184B2 - 立毛皮革様シートの製造方法 - Google Patents
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(1)単繊度が0.5デシテックス以下のポリエステル系極細繊維からなる不織布およびその内部に含有された弾性重合体からなる皮革様シートの少なくとも片面を起毛処理する前または後に該皮革様シートを、染色機内で分散染料を用いて染色し、そして還元洗浄処理を行い、その後に酸化処理を行うことにより該皮革様シートを染色する方法において、該還元洗浄処理が下記1)〜4)を共に満足することを特徴とする染色された立毛皮革様シートの製造方法である。
1)染色処理と同一の染色機内で行うこと、
2)アルカリ性物質、還元剤および界面活性剤を含有する還元洗浄液を用いること、
3)酸素の体積含有率が5%未満の雰囲気下で行うこと、
4)還元洗浄液温度を60℃以上で行うこと、
(3)弾性重合体の含有率が立毛皮革様シートの5質量%以上である上記(1)または(2)の立毛皮革様シートの製造方法。
(4)弾性重合体が、ジメチルホルムアミドに可溶なポリウレタンとジメチルホルムアミドに不溶なポリウレタンからなり、該ジメチルホルムアミドに不溶なポリウレタンが立毛面側に偏在している上記(1)〜(3)のいずれかの立毛皮革様シートの製造方法。
(5)酸化処理後にソーピング処理を行う上記(1)〜(4)のいずれかの立毛皮革様シートの製造方法。
(6)酸化処理後またはソーピング処理後に、ブラッシング処理を行う上記(1)〜(5)のいずれかの立毛皮革様シートの製造方法である。
(8)上記(7)の立毛皮革様シートを用いた衣料、インテリア材、車両用内装材、靴または鞄である。
本発明に用いられる立毛皮革様シートの基体は0.5デシテックス以下のポリエステル極細繊維からなる不織布にポリウレタンが含有された構成のものである。繊維を構成するポリエステルとしては、公知のポリエステルが使用可能である。そして、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートおよびそれらに5−スルホナトリウム−イソフタレート等の一般的に公知であるカチオン染色性を付与するための改質剤を共重合またはブレンドしたものであり、それら単独または2種以上をブレンドしたものが好ましく用いられる。また、上記ポリエステル極細繊維が極細繊維束となっていることが得られる立毛皮革様シートの外観、表面タッチおよび風合いに優れる点で好ましい。
さらに、本発明のポリエステル極細繊維は、得られる立毛皮革様シートの染色時において染料の付着量を減らすことが可能となる点で、カーボンブラック等で代表される顔料で着色することも好ましい態様の1つである。
そのうちでも、最終的に得られる染色された立毛皮革様シートの風合い、染色性、耐摩耗性、引張強度などの力学的特性、防シワ性などの点から、弾性重合体としてはポリウレタンエラストマー(ポリウレタン)が、好ましく用いられる。
前記した有機ジイソシアネートの1種または2種以上を用いることができる。
また、ポリウレタンの耐溶剤性、耐熱性、耐熱水性などを向上させる目的で、必要に応じて、トリメチロールプロパンなどの三官能以上のポリオールや三官能以上のアミン等を反応させてポリウレタン中に架橋構造を持たせてもよい。
(a) 1種または2種以上のポリエステルと、それとは溶解性または分解性の異なる1種または2種以上の他のポリマーを混合紡糸法、海島型複合紡糸法、分割型複合紡糸法などにより紡糸して得られる極細繊維発生型繊維を用いて不織布やその他の繊維集合体を製造し、それに弾性重合体を含有させて凝固した後に、極細繊維発生型繊維中の他のポリマー成分を除去して極細繊維化するか、または極細繊維発生型繊維を分割して極細繊維化する方法。
(b) 1種または2種以上のポリエステルと1種または2種以上の他のポリマーとからなる前記極細繊維発生型繊維を用いて不織布やその他の繊維集合体を製造したのち、該極細繊維発生型繊維中の他のポリマー成分を除去するか又は該極細繊維発生型繊維を分割して極細繊維とし、次いで弾性重合体を含有させて凝固する方法。
(c)メルトブロー法などによって直接得られたポリエステルを主体とする極細繊維を用いて不織布やその他の繊維集合体を製造した後に、弾性重合体を含有させて凝固する方法。
(i) ポリエステルと他のポリマーとからなる極細繊維発生型繊維に延伸、捲縮、カットなどの処理を施して綿様の形態(ステープルなど)とし、それをカードで開繊した後、ランダムウエバーまたはクロスラップウェバーによりウエブとする。またはそのまま延伸し、長繊維からなるウエブとする。そして、必要に応じて所望の目付けになるように該ウエブを積層する。ウエブの目付けは最終的に得られる染色された立毛皮革様シートの用途などにより異なるが、一般的には100〜3000g/m2であることが好ましい。
(ii) 次いで、例えば、ニードルパンチング法、高圧水流法などの公知の手段を用いて絡合処理を行って不織布を製造する。ニードルパンチング時のパンチ数は、ニードルの形状やウエブの厚さなどにより異なり得るが、一般的には200〜2500パンチ/cm2であることが好ましい。また、最終的に得られる染色された立毛皮革様シートの伸び強力の調整、目付けや厚みの調整、その他の目的により、ウエブ形成後から絡合処理完了までのいずれかの段階で、織編物、異なる繊維の不織布、フィルムなどのシート状物を、不織布に積層して一体化してもよい。
(iii) 続いて、上記(ii)で得られた不織布に弾性重合体を含有させる。弾性重合体の付与方法は特に制限されないが、風合いのバランスの点から弾性重合体の溶液または分散液を不織布に含浸した後、湿式法または乾式法により凝固(固化)する方法が好ましく採用される。弾性重合体の溶液または分散液には、必要に応じて、顔料、染料などの着色剤、凝固性調節剤、燃焼性調節剤などを添加することができる。
(iv) 次に、弾性重合体を含有させた不織布を、極細繊維発生型繊維の1成分または複数成分に対して選択的に溶解剤または分解剤として作用する液体で処理して、極細繊維発生型繊維を極細繊維束に変性して、ポリエステル系極細繊維束を主体とする不織布内に弾性重合体が含有されたシート状物とする。
また、上記(a)の方法においても、ポリエステル系繊維を主体とする繊維集合体に弾性重合体を含浸して凝固させる前に水溶性樹脂を繊維集合体に付与しておき、弾性重合体の含浸・凝固後に該水溶性樹脂を水で溶解除去する方法を用いてもよく、これにより得られる皮革様シートの柔軟性が一層向上する。
立毛を形成させるための起毛処理は、従来既知のいずれの方法で行ってもよく、例えば、皮革様シートを、必要に応じて厚み方向に複数枚に切断(スライス)した後に、その片方または両方の表面を、サンドペーパーなどによるバッフィング、針布起毛などによって、起毛処理して立毛を形成させる。
立毛皮革様シートにおける立毛長は、面全体で同じあってもよいし、揃っていなくてもよい。立毛長を不揃いにする場合は、ランダムな状態で不揃いにしてもよいし、模様などに発現すべく所定の規則性をもって不揃いにしてもよい。また、立毛皮革様シートの両面に立毛を形成する場合は、両方の面の立毛の立毛長が同じであってもよいし、一方の面と他方の面とで立毛長が異なっていてもよい。起毛処理を行う際の処理条件を種々選択することによって、立毛皮革様シートにおける立毛状態を適宜調整することができ、立毛皮革様シートの外観、触感などを、例えば、スエード調、ヌバック調、立毛長が揃った均一な状態、立毛長および/または立毛密度が不揃いのラフな状態などにすることができる。
還元処理の際に、雰囲気中での酸素の体積含有率が5%以上であると、酸素によって還元洗浄液中の還元が妨害または抑制されて、分散染料が水浴中に均一に且つ円滑に溶解しなくなり、還元洗浄液中における染還元剤濃度の不均一、経時変化、濃度不足などを生じて、十分な洗浄が行われずに均一な色調に染色することが困難になり、染色安定性に欠けるようになる。
その際に、「雰囲気(気体空間)での酸素の体積含有率」は、染色処理を行う雰囲気(気体空間)内に酸素濃度測定器のセンサー部を直接挿入することによって測定することができ、その詳細については以下の実施例の項に記載するとおりである。
雰囲気内の気体を不活性ガスで置換するタイミングは、染色完了後から還元洗浄を行う前の間でいずれかの時点で任意の段階で行うことが好ましい。また、染色処理が完了して水洗後が終了した時点から還元剤および界面活性剤のうちのいずれかを投入する前までの間で任意の段階で不活性ガスによる置換を行うことが好ましい。さらに、皮革様シートを水に馴染ませるための水浴量調整など別の処理工程などが必要な場合は、該別の処理工程が終了した時点と、アルカリ、還元剤および界面活性剤のうちのいずれか後に投入するまでの時点の間の任意の段階で不活性ガスによる置換を行うことが好ましい。
また、それぞれの薬剤容器などから取り出したアルカリ性物資および還元剤は、空気中に放置する時間を短くして、不活性ガスで置換された処理雰囲気下にある水浴(染色浴)中でできるだけ速やかに投入することが、これら薬剤の酸化防止の点から望ましい。
酸化剤を用いて酸化処理を行う場合の浴中での酸化剤の濃度は、酸化剤の種類、処理温度や処理時間などの処理条件、分散染料の染着量などに応じて適宜調整することができる。例えば、酸化剤として過酸化水素を用いる場合は、0.5〜20g/リットル浴の割合で用いることが好ましい。
酸化剤を用いて酸化処理を行う際の処理温度や処理時間も、酸化剤の種類や濃度、分散染料の種類や染着量、還元剤の種類や濃度などに応じて適宜調整することができるが、一般的には、30〜70℃で、10〜90分間程度行うことが好ましい。
ソーピング処理に当たっては、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤などの界面活性剤や、布帛のソーピング処理に一般的に使用されている還元洗浄剤などのいずれもが使用でき、特に制限されない。ソーピング処理の条件は、従来から布帛のソーピング処理で採用されている処理条件が採用でき特に制限されないが、ソーピング処理浴の温度を40〜100℃、特に60〜95℃にして皮革様シートに付着している余分な染料を目標とする程度まで除去することが好ましい。
また、起毛処理を施してない皮革様シートを用いて上記した一連の処理を行った場合は、ポリエステル系繊維を主体とする繊維集合体およびその内部に含有された弾性重合体からなる、立毛を持たない染色された皮革様シートが製造されるので、その皮革様シートに対して上記した起毛処理を施すことによって、目的とする染色された立毛皮革様シートを製造することができる。
衣料用、手袋用、靴用、インテリア用、車両用内装材などのような、高レベルの染色堅牢度が要求される用途に表皮材や裏材などとして好適に用いることができる。
以下に本発明について実施例等により具体的に説明するが、本発明は以下の例に何ら限定されるものではない。なお、以下の例中、還元洗浄処理時の雰囲気中での酸素の体積含有率は次のようにして測定した。
以下の例で得られた染色された立毛皮革様シートの表面を目視により観察して、下記の評価基準に従って評価した。
[染色均一性の評価基準]
◎:立毛皮革様シートの表面をなすポリエステル極細繊維製の立毛が均一に且つ濃色に染色されていて、色斑がなく、高級感のある色調を有しており、発色性が非常に良好である。
○:立毛皮革様シートの表面をなすポリエステル極細繊維製の立毛がほぼ均一に且つ染色されていて、色斑がなく、ほぼ均一な色調を有しており、普通の発色性である。
△:立毛皮革様シートの表面をなすポリエステル極細繊維製の立毛の染色が不十分であるか又はやや不均一に染色されており、発色性がやや悪い。
×:立毛皮革様シートの表面をなすポリエステル極細繊維製の立毛が殆ど染色されておらず、極めて淡い色であり、高級感の全くない、不良な色調である。
以下の例で得られた染色された立毛皮革様シートの洗濯堅牢度(変退色性と汚染性)を、JIS L−0844−1973 A−1に従って評価した。
(3)マイグレーション
JIS L−0849−1996に従って評価した。
汚染布は JIS L−0803−1998に規定されている多交織布をもちいて評価した。
(4)染色摩擦堅牢度:
以下の例で得られた染色された立毛皮革様シートの染色摩擦堅牢度(乾燥時/湿潤時)を、JIS L−0849−1971に従って評価した。
(5)ドライクリーニング
以下の例で得られた染色された立毛皮革様シートの洗濯堅牢度(変退色性と汚染性)を、JIS L−0860−1996 A法に従って評価した。
浴比1:15で、下記分散染料の組成および助剤組成にて135℃、60分間染色を行った。
Harmony Light Blue GN (北陸カラー株式会社製) 0.17%owf
Harmony Light Blue BHL(北陸カラー株式会社製) 0.46%owf
Harmony Light Red RHL(北陸カラー株式会社製) 0.58%owf
Harmony Light Yellow MS6(北陸カラー株式会社製) 1.15%owf
均染剤:KP レベラー AUL(芳香族スルホン酸塩誘導体、日本化薬株式会社製)
2g/L
pH調整剤:ニューバッファーK(ミテジマ化学株式会社製) 1.8g/L
金属イオン封鎖剤:スカルナーNT(高松油脂株式会社製) 1.0g/L
水酸化ナトリュウム 6g/L
二酸化チオ尿素 3g/L
H867(一方社油脂工業株式会社製、キレート剤) 1g/L
そのあとで下記条件で酸化処理を行った
過酸化水素 3g/L
炭酸ナトリュウム 3g/L
処理条件:70℃×20分
水酸化ナトリュウム 2g/L
二酸化チオ尿素 1g/L
H867(一方社油脂工業株式会社製、キレート剤) 1g/L
該立毛皮革様シートは、表面のポリエステル極細繊維製が均一に色に染色された優美なスエード調の外観を有していた。この染色された立毛皮革様シートの染色摩擦堅牢度、マイグレーション、洗濯堅牢度およびドライクリーニング堅牢度を評価したところ、下記の表1に示すとおりであった。
Dianix Black HLA (ダイスター製) 15.0%owf
Dianix Red HLA (ダイスター製) 4.5%owf
Dianix Yellow HLA (ダイスター製) 6.0%owf
均染剤:KP レベラー AUL(芳香族スルホン酸塩誘導体、日本化薬株式会社製)
1.0g/l
pH調整剤:ニューバッファーK(ミテジマ化学株式会社製) 1.8g/L
金属イオン封鎖剤:スカルナーNT(高松油脂株式会社製) 1.0g/L
行った。
次に84デシテックス/36fの仮撚り加工したポリエステル製の糸に600T/mの追加燃糸加工をした後、撚り密度82本/76本/インチで織り加工を行い、目付け55g/m2の平織物を得た。
上記ウエブと平織物を積層した後、1200パンチ/cm2の条件でニードル処理し、200℃で乾熱収縮処理を行ったところ、目付け580g/m2、見掛密度0.350g/cm3厚み1.67mmの繊維絡合体を得た。
次にポリカーボネート系ポリウレタン水エマルジョン(日華化学株式会社製、エバファノール、APC−28)に水を添加して濃度10%である弾性重合体水分散液を得た。この弾性重合体の水分散液の感熱ゲル化温度は60℃であった。
次に弾性重合体液を固形分で(極細繊維化された繊維絡合体+織編物)/弾性重合体=80/20の質量比となるように含浸した。弾性重合体水分散液を含浸後、最大エネルギー波長2.6μmhの赤外線を97Vで60秒間照射し、繊維絡合体表面温度を70℃まで上昇させた。また赤外線照射後の水分率は30%であった。その後155℃の熱風乾燥機で加熱乾燥し、水分を完全に加熱乾燥し、水分を完全に蒸発させると共に弾性重合体をキュアリングし、繊維絡合体に固着した.その後90℃の熱水でポリビニルアルコール共重合物を抽出除去して乾燥した。その後スクリムの挿入の反対面を320番のサンドペーパーを用いて起毛処理すると、表面が約0.2デシテックスの極細繊維の立毛で覆われ、裏面側にスクリムが挿入されている未染色の人工皮革様シートが得られた。
浴比1:15で、下記分散染料の組成および助剤組成にて135℃、60分間染色を行った。
Dianix Black HLA (ダイスター製) 15.0%owf
Dianix Red HLA (ダイスター製) 4.5%owf
Dianix Yellow HLA (ダイスター製) 6.0%owf
均染剤:KP レベラー AUL(芳香族スルホン酸塩誘導体、日本化薬株式会社製)
1.0g/l
pH調整剤:ニューバッファーK(ミテジマ化学株式会社製) 1.8g/L
金属イオン封鎖剤:スカルナーNT(高松油脂株式会社製) 1.0g/L
ついで次の還元剤を投入した。
水酸化ナトリュウム 2g/L
二酸化チオ尿素 1g/L
H867(一方社油脂工業株式会社製、キレート剤) 1g/L
その後に昇温速度を1℃/1分にて70℃まで温度を上げて30分間洗浄し、その後降温して水洗を行ったあとの上記還元洗浄方法を2回繰り返しおこなったあと水洗を行った。
過酸化水素 3g/L
炭酸ナトリュウム 3g/L
処理条件:70℃×20分
実施例1において、染色後の還元洗浄で、窒素シールを行わずに行った。得られた立毛皮革様シートは表面全体がほぼグレーに染色されていたが、詳細に観察すると、表面のポリエステル極細繊維製の立毛の染色に対し、うす黄緑色に染色されたポリウレタンが立毛繊維の間から見えて、色調の互いに異なる緑色が混在した状態になっており、色相の均一性に欠け、優美さのないものであった。この染色された立毛皮革様シートの染色摩擦堅牢度、マイグレーション、洗濯堅牢度およびドライクリーニング堅牢度を評価したところ、下記の表1に示すとおりであった。
実施例2において、染色後の還元洗浄で、窒素シールを行わずに行った。得られた立毛皮革様シートは表面全体が鮮明さにかけたグレーに染色されていたが、詳細に観察すると、表面のポリエステル極細繊維立毛鮮明なグレーに染色に対し、ポリウレタン側は濃グレーに染色されたポリウレタンが立毛繊維の間から見えて、表面外観の色調が霜降り調なっており、色相の均一性に欠け、優美さのないものであった。この染色された立毛皮革様シートの染色摩擦堅牢度、マイグレーション、洗濯堅牢度およびドライクリーニング堅牢度を評価したところ、下記の表1に示すとおりであった。
実施例3において、染色後の還元洗浄で、実施例3と同様の窒素シールを行わずに行った結果。表面全体が黒色に染色されていて、染色性は均一であったが色はやや鮮明さにかけるものであった。この染色された立毛皮革様シートの染色摩擦堅牢度、マイグレーション、洗濯堅牢度およびドライクリーニング堅牢度を評価したところ、下記の表1に示すとおり汗堅牢度の低い物であった。
実施例4において、染色後の還元洗浄で、実施例4と同様の窒素シールを行わずに行った結果。表面全体が黒色に染色されていて、染色性は均一であったが色はやや鮮明さにかけるものであった。またこの染色された立毛皮革様シートの染色摩擦堅牢度、マイグレーション、洗濯堅牢度およびドライクリーニング堅牢度を評価したところ、下記の表1に示すとおり汗堅牢度の低い物であった。
比較例―5
実施例4において、染色後の還元洗浄で、実施例4と同様の窒素シールを行わず次の条件で浴温度を55℃で30分還元洗浄を2回繰り返し行った。
水酸化ナトリュウム 6g/L
二酸化チオ尿素 3g/L
H867(一方社油脂工業株式会社製、キレート剤) 1g/L
それ以外は実施例4と同じ方法で行った結果、得られた立毛皮革様シートは表面全体が黒色に染色されていて、染色性は均一であったが色はやや鮮明さにかけるものであった。また下記の表1に見るように。還元洗浄処理温度を60℃よりも低い、55℃の温度にして立毛皮革様シートの還元洗浄処理を行っていることによって、表面にあるポリエステル極細繊維からなる立毛よりポリウレタンが濃色に染色されていて立毛繊維との色の差が大きく、表面の染色安定性に劣るものであった。また、この染色された立毛皮革様シートの染色摩擦堅牢度、マイグレーション、洗濯堅牢度およびドライクリーニング堅牢度を評価したところ、下記表1に示すとおり染色堅牢度の悪いものであった。
Claims (8)
- 単繊度が0.5デシテックス以下のポリエステル系極細繊維からなる不織布およびその内部に含有された弾性重合体からなる皮革様シートの少なくとも片面を起毛処理する前または後に該皮革様シートを、染色機内で分散染料を用いて染色し、そして還元洗浄処理を行い、その後に酸化処理を行うことにより該皮革様シートを染色する方法において、該還元洗浄処理が下記1)〜4)を共に満足することを特徴とする染色された立毛皮革様シートの製造方法。
1)染色処理と同一の染色機内で行うこと、
2)アルカリ性物質、還元剤および界面活性剤を含有する還元洗浄液を用いること、
3)酸素の体積含有率が5%未満の雰囲気下で行うこと、
4)還元洗浄液温度を60℃以上で行うこと、 - 弾性重合体がポリウレタンである請求項1に記載の立毛皮革様シートの製造方法。
- 弾性重合体の含有率が立毛皮革様シートの5質量%以上である請求項1または2に記載の立毛皮革様シートの製造方法。
- 弾性重合体が、ジメチルホルムアミドに可溶なポリウレタンとジメチルホルムアミドに不溶なポリウレタンからなり、該ジメチルホルムアミドに不溶なポリウレタンが立毛面側に偏在している請求項1〜3いずれか1項に記載の立毛皮革様シートの製造方法。
- 酸化処理後にソーピング処理を行う請求項1〜4いずれか1項に記載の立毛皮革様シートの製造方法。
- 酸化処理後またはソーピング処理後に、ブラッシング処理を行う請求項1〜5いずれか1項に記載の立毛皮革様シートの製造方法。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の立毛皮革様シートの製造方法により得られる染色された立毛皮革様シート。
- 請求項7に記載の立毛皮革様シートを用いた衣料、インテリア材、車両用内装材、靴または鞄。
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