JP2005097764A - 耐光堅牢性の良好な皮革様シートおよびその製造方法 - Google Patents
耐光堅牢性の良好な皮革様シートおよびその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2005097764A JP2005097764A JP2003330889A JP2003330889A JP2005097764A JP 2005097764 A JP2005097764 A JP 2005097764A JP 2003330889 A JP2003330889 A JP 2003330889A JP 2003330889 A JP2003330889 A JP 2003330889A JP 2005097764 A JP2005097764 A JP 2005097764A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- polyurethane
- leather
- sheet
- elastic polymer
- mainly composed
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Synthetic Leather, Interior Materials Or Flexible Sheet Materials (AREA)
- Coloring (AREA)
- Treatments For Attaching Organic Compounds To Fibrous Goods (AREA)
Abstract
【課題】 本発明は、耐光性の良好な、柔軟で高級感のある外観および表面タッチを有する半銀付き調皮革様シートおよびその製造方法を提供する
【解決手段】 1.0デシテックス以下のポリエステル繊維を含む基材の表面に、該ポリエステル繊維からなる立毛部とポリウレタンを主体とする弾性重合体からなる銀面部が混在し、さらに分散染料で染色、還元洗浄されて得られる皮革様シートにおいて、該弾性重合体が下記式(1)を満足し、かつ、該表面にヒンダードアミン系光安定剤が存在していることを特徴とする皮革様シート。
(A1)≦(A0)+0.5 (1)
(但し、(A1)は、分散染料で染色、還元洗浄した後のポリウレタンを主体とする弾性重合体のK/S、(A0)は、分散染料で染色する前のポリウレタンを主体とする弾性重合体のK/Sの値を示す。)
【選択図】 なし
【解決手段】 1.0デシテックス以下のポリエステル繊維を含む基材の表面に、該ポリエステル繊維からなる立毛部とポリウレタンを主体とする弾性重合体からなる銀面部が混在し、さらに分散染料で染色、還元洗浄されて得られる皮革様シートにおいて、該弾性重合体が下記式(1)を満足し、かつ、該表面にヒンダードアミン系光安定剤が存在していることを特徴とする皮革様シート。
(A1)≦(A0)+0.5 (1)
(但し、(A1)は、分散染料で染色、還元洗浄した後のポリウレタンを主体とする弾性重合体のK/S、(A0)は、分散染料で染色する前のポリウレタンを主体とする弾性重合体のK/Sの値を示す。)
【選択図】 なし
Description
本発明は、皮革様シートおよびその製造方法に関し、耐光性に優れ良好な、柔軟で高級感のある表面タッチを有する半銀付き調皮革様シートおよびその製造方法に関するものである。
近年、皮革様シート素材の外観は、銀付き調、スエード調またはヌバック調のみならず立毛部と銀面部が混在して表面が形成されており、銀付き調でありながら毛羽感を有する、いわゆる半銀付き調のものなど多様になってきている。中でも半銀付き調のものは、通常の銀付き調のものに対して、独特の触感、高級感を有しており、衣料用素材、靴、手袋、鞄およびインテリア用途などに高級素材として採用されてきている。更には、自動車シート用途あるいはエクステリア用途への要望も強い。しかしながら自動車シート用途あるいはエクステリア用途に使用する場合には、屋外で長時間日光にさらされるため、充分な耐光性を有していることが重要な要求特性となる。
半銀付き調皮革様素材は立毛部と弾性重合体からなる銀面部が混在して表面部が形成されている。自動車シート用途あるいはエクステリア用途に使用する場合、通常、立毛部は耐候性、耐熱劣化性の良好なポリエステルにより好ましく形成される。また、弾性重合体は通常の場合、ポリウレタンを主体としたものであることが多い。よって該半銀付き調皮革様素材の染色は、ポリエステル繊維立毛部とポリウレタンを主体とした弾性重合体からなる銀面部が混在した表面部を形成した後に、分散染料で染色し、次いで還元洗浄を行い繊維外に付着した余分な染料を除去するといった方法が用いられる。耐光堅牢性を向上させる技術としては染料の改善、紫外線吸収剤、酸化防止剤および光安定剤等の耐光向上剤を用いることが知られている。とりわけ繊維を形成するポリエステルに比較してポリウレタンの耐光堅牢性が著しく低いため、ポリウレタンの耐光性を確保することが全体の耐光堅牢性を向上するための必須条件である。
そして、弾性重合体がポリウレタンの場合には、光照射によるポリウレタンの変退色が、光照射によるポリウレタン自身の黄変と、ポリウレタンの分解とともに発生したラジカルによる近傍の染料分子を攻撃することによる染料退色の相乗作用と推測される。これまでに、光照射によるポリウレタンの変退色を抑えるため、耐光向上剤、特に光安定剤を添加する方法が数多く提案されている(例えば、特許文献1〜6を参照。)。しかしながら、ラジカルの連鎖反応は光安定剤の添加によりある程度抑えられるもののポリウレタン中の染料分子が多い場合、ポリウレタンの光分解で生じるラジカルを光安定剤が補足する割合に対し、該ラジカルが染料を攻撃する割合が多くなり、その分退色が大きくなりやすい。また、皮革様基材を構成する高分子弾性体中に有機顔料を含み、850nmにおける赤外反射率を60%以上にするスエード調人工皮革が提案されている(例えば、特許文献7を参照。)。しかしながら、該方法は、有機顔料を含むことが必須であるため淡色に適用しにくい。以上、立毛部と弾性重合体からなる銀面部が混在して表面部が形成されている半銀付き調皮革様シートの耐光堅牢性においては未だ自動車シート用途あるいはエクステリア用途に対して満足のゆくものは得られていない。
本発明は皮革様シートおよびその製造方法に関する。さらには、耐光性に優れ、柔軟で高級感のある表面タッチを有する半銀付き調皮革様シートおよびその製造方法に関する。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、半銀付き調皮革様シートの銀面部を構成するポリウレタンを主体とする弾性重合体を染色、還元洗浄処理した後のK/S(A1)が染色前のポリウレタンを主体とする弾性重合体のK/S(A0)に対し、(A1)≦(A0)+0.5になるような条件にて染色、還元洗浄し、更に、ヒンダードアミン系光安定剤を添加するとそれらの相乗効果にて耐光堅牢度が飛躍的に向上することを見出した。すなわち本発明は、1.0デシテックス以下のポリエステル繊維を含む基材の表面に、該ポリエステル繊維からなる立毛部とポリウレタンを主体とする弾性重合体からなる銀面部が混在し、さらに分散染料で染色、還元洗浄されて得られる皮革様シートにおいて、該弾性重合体が下記式(1)を満足し、かつ、該表面にヒンダードアミン系光安定剤が存在していることを特徴とする皮革様シートである。
(A1)≦(A0)+0.5 (1)
(但し、(A1)は、分散染料で染色、還元洗浄した後のポリウレタンを主体とする弾性重合体のK/S、(A0)は、分散染料で染色する前のポリウレタンを主体とする弾性重合体のK/Sの値を示す。)
更に、該基材が0.2デシテックス以下のポリエステル極細繊維絡合不織布とその絡合空間に含有されたポリウレタンを主体とする弾性重合体からなることが好ましい。
(A1)≦(A0)+0.5 (1)
(但し、(A1)は、分散染料で染色、還元洗浄した後のポリウレタンを主体とする弾性重合体のK/S、(A0)は、分散染料で染色する前のポリウレタンを主体とする弾性重合体のK/Sの値を示す。)
更に、該基材が0.2デシテックス以下のポリエステル極細繊維絡合不織布とその絡合空間に含有されたポリウレタンを主体とする弾性重合体からなることが好ましい。
また、皮革様シートを製造するに際し、下記(1)〜(3)の工程
(1)1.0デシテックス以下のポリエステル繊維を含む基材を製造する工程、
(2)基材の少なくとも片面に該ポリエステル繊維を主体とする立毛を形成する工程、
(3)立毛を形成した面に、ポリウレタンを主体とする弾性重合体の水系エマルジョンもしくは溶液を不連続状に付与する工程、
(4)分散染料を用いて、該弾性重合体が下記式(1)を満足するように染色、還元洗浄を行う工程、
(A1)≦(A0)+0.5 (1)
(但し、(A1)は、分散染料で染色、還元洗浄した後のポリウレタンを主体とする弾性重合体のK/S、(A0)は、分散染料で染色する前のポリウレタンを主体とする弾性重合体のK/Sの値を示す。)
(5)ヒンダードアミン系光安定剤を付与する工程
を、(1)、(2)、(3)、(4)、(5)もしくは(1)、(2)、(3)、(5)、(4)の順で実施する皮革様シートの製造方法。
(1)1.0デシテックス以下のポリエステル繊維を含む基材を製造する工程、
(2)基材の少なくとも片面に該ポリエステル繊維を主体とする立毛を形成する工程、
(3)立毛を形成した面に、ポリウレタンを主体とする弾性重合体の水系エマルジョンもしくは溶液を不連続状に付与する工程、
(4)分散染料を用いて、該弾性重合体が下記式(1)を満足するように染色、還元洗浄を行う工程、
(A1)≦(A0)+0.5 (1)
(但し、(A1)は、分散染料で染色、還元洗浄した後のポリウレタンを主体とする弾性重合体のK/S、(A0)は、分散染料で染色する前のポリウレタンを主体とする弾性重合体のK/Sの値を示す。)
(5)ヒンダードアミン系光安定剤を付与する工程
を、(1)、(2)、(3)、(4)、(5)もしくは(1)、(2)、(3)、(5)、(4)の順で実施する皮革様シートの製造方法。
本発明の皮革様シートは、耐光性に優れ、柔軟で高級感のある外観および表面タッチを有する半銀付き調皮革様シートである。
本発明に用いられる皮革様シートの基材は、1.0デシテックス以下のポリエステル繊維により構成されたものである。繊維を構成するポリエステルとしては、公知のポリエステルが使用可能である。そして、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートおよびそれらに5−スルホナトリウム−イソフタレート等の一般的に公知であるカチオン染色性を付与するための改質剤を共重合またはブレンドしたものであり、それら単独または2種以上をブレンドしたものが用いられる。また、上記ポリエステル繊維が極細繊維束であることが、得られる半銀付き調皮革様シートの外観、表面タッチおよび風合いに優れる点で好ましい。該ポリエステル繊維としては、単繊維繊度1.0デシテックス以下であることが必要であり、好ましくは0.2デシテックス以下、0.0005デシテックス以上の極細繊維の束からなるものである。単繊維繊度が1.0デシテックスを超えた場合、高級な半銀付き調の品位のある外観およびソフトな表面タッチは得られない。さらに、本発明のポリエステル繊維は、得られる半銀付き調皮革様シートの染色時の染料付着量を減らすことが可能となる点で、カーボンブラック等で代表される顔料を含有させることが好ましい。
繊度1.0デシテックス以下のポリエステル繊維は、従来公知の方法で製造される。また、ポリエステル極細繊維は以下の方法により製造される。例えば、繊維断面において上記ポリエステルが島成分、そして上記ポリエステルに相溶性の小さい、またはない、少なくとも1種類以上のポリマーが海成分となっている海島型のポリエステル極細繊維発生型繊維から海成分ポリマーを溶解又は分解除去することにより、または上記ポリエステルと相溶性のない1種以上のポリマーが接合した断面形状を有する貼合わせ型のポリエステル極細繊維発生型繊維を機械的または化学的な処理により2成分の界面で剥離させることにより得ることができる。得られるポリエステル極細繊維の束を構成する極細繊維の単繊維繊度を0.2デシテックス以下とするためには、貼合わせ型の極細繊維発生型繊維を用いるよりは繊維断面が海島構造となっている海島型の極細繊維発生型繊維を用いる方が工程上有利である。またメルトブローンなどのように直接極細繊維を製造する方法を用いてもよい。
ポリエステル極細繊維発生型繊維中で溶解または分解除去される成分としては、ポリエステル極細繊維成分と溶剤または分解剤に対する溶解性または分解性を異にし、ポリエステル極細繊維成分との相溶性の低いポリマーであり、かつ紡糸条件下でポリエステル極細繊維成分より溶融粘度が小さいかあるいは表面張力が小さいポリマーであり、例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンプロピレン共重合体などのポリマーから選ばれた少なくとも1種類のポリマーである。
ポリエステル極細繊維発生型繊維中で溶解または分解除去される成分としては、ポリエステル極細繊維成分と溶剤または分解剤に対する溶解性または分解性を異にし、ポリエステル極細繊維成分との相溶性の低いポリマーであり、かつ紡糸条件下でポリエステル極細繊維成分より溶融粘度が小さいかあるいは表面張力が小さいポリマーであり、例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンプロピレン共重合体などのポリマーから選ばれた少なくとも1種類のポリマーである。
次に、上記ポリエステル繊維を用いてシート化するが、特にシートの形態は制限されることは無く、織物、編物、不織布あるいはそれらを組み合わせた複合体として使用できるが、得られる皮革様シートの外観、風合いの点で、不織布、特に短繊維絡合不織布が好ましく使用される。短繊維絡合不織布は、公知の方法によって得られる。例えば、上記ポリエステルを通常の工程で延伸、捲縮、カットして原綿とした後、カードで解繊し、ウエブを形成する。該ウエブは、所望の重さ、厚さに積層する。次いで、ニードルパンチまたは高速水流などの公知の方法で絡合処理を行ってポリエステル繊維絡合不織布とする。ウエブには必要に応じて織編物等を積層することもできる。該不織布は、表面を平滑にするため、公知の方法で、加熱プレス処理などにより表面平滑化することが好ましい。得られる不織布の目付としては、150〜1500g/m2の範囲が好ましい。150g/m2未満の場合、以後の工程での伸び等形態変化が大きくなり、得られる製品に歪が残り外観不良を招く場合がある。また、1500g/m2を超える場合、ポリウレタンを主体とする弾性重合体の含浸や凝固および上記極細繊維発生型繊維中の海成分を抽出する際の工程速度が遅くなり実用的でない。また、加熱プレス処理後の好ましい厚みとしては、1.0〜3.0mmの範囲が好ましい。1.0mm未満の場合、ポリウレタンを主体とする弾性重合体の含浸以降の工程での伸び等形態変化が大きくなり、得られる製品に歪が残り外観不良を招く場合がある。3.0mmを超える場合、得られる三次元絡合不織布の厚みが厚いため巻き取る際、表面に折れしわを生じ易くなる。また、上記ポリエステル繊維基材は、必要に応じて熱水による収縮処理を施しても良い。
風合いに充実感を持たせ、弾性回復性を持たせるため、本発明の皮革様シートを構成する基材としては、ポリエステル繊維を含む繊維質基材であれば特に限定はしないが、上記で得られたポリエステル繊維基材中にポリウレタンを主体とする弾性重合体を充填することが好ましい。ポリウレタンは平均分子量700〜3000のポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステルエーテルジオール、ポリラクトンジオール、ポリカーボネートジオールなどから選ばれた少なくとも1種のポリマージオール、芳香族ジイソシアネートまたは脂環族ジイソシアネートから選ばれた少なくとも1種の有機ジイソシアネート、必要に応じて他の有機ジイソシアネートあるいは有機トリイソシアネート、および低分子ジオール、低分子ジアミン、ヒドラジン、ヒドロキシアミンなど活性水素原子2個を有する化合物とを溶液重合法、溶融重合法または塊状重合法などによって重合して得たポリエステルエーテル系ポリウレタン、ポリラクトン系ポリウレタン、ポリカーボネート系ポリウレタンなどが好ましく挙げられる。
ポリウレタンの付与方法としては特に制約は無く、ポリエステル繊維からなる繊維質基材をポリウレタン溶液または分散液中でディップおよびニップして該基材の内部に付与する方法や、該基材上にポリウレタン溶液または分散液を付与し高速回転するロールで該基材の内部に摺り込む方法等が挙げられる。ポリウレタンの凝固方法としては、ポリウレタンの非溶剤を含む液に浸漬して湿式凝固するか、ゲル化させた後加熱乾燥して乾式凝固する方法などが挙げられる。なお、上記ポリウレタン溶液または分散液中には、必要に応じてカーボンブラックや顔料などの着色剤、凝固調節剤、酸化防止剤、分散剤等の添加剤を配合することができる。特に本発明のポリウレタンは、得られるスエード調人工皮革の染色時の染料付着量を減らすことが可能となる点で、カーボンブラック等で代表される顔料で着色することが好ましい。また、本発明の効果を損なわない限り、皮革様シートの製造に一般的に用いられている従来公知の弾性重合体をポリウレタン中に添加しても良い。例えば、ポリエステル系エラストマー、ゴム系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアクリル酸系樹脂、ポリアミノ酸系樹脂、シリコン系樹脂、およびこれらの変成物、共重合物、あるいは混合物等が挙げられる。
本発明の基材に占めるポリウレタンを主体とする弾性重合体の比率は、基材に柔軟な風合いと弾性回復性を持たせるために、極細繊維化する前で、固形分として質量比で10%以上、好ましくは30〜50%の範囲で含有させるのがよい。ポリウレタン比率が10%未満の場合には、緻密な弾性重合体スポンジ(多孔構造)が形成されにくく、基材表面を起毛し立毛部を形成する際に十分に極細繊維を固定しにくい傾向がある。またポリウレタンスポンジ自身が緻密で平滑となりにくいために立毛表面が十分な平滑性を有しにくい傾向がある。
上記で得られたポリエステル繊維およびポリウレタンを主体とする弾性重合体基材はスライス、バフィング等により所望の厚みに調整した後、必要により該ポリウレタンを溶解させる溶剤を表面に塗布し該ポリウレタンを溶解させた後、サンドペーパー等による公知の方法でバフィングすることにより上記基材表面にポリエステル繊維よりなる立毛部を形成する。
次に半銀付き調皮革様シートの銀面部を形成する。すなわち、上記基材の立毛を有する面に、ポリウレタンを主体とする弾性重合体を塗布することにより形成することが可能である。該弾性重合体は、ポリウレタンの他、アクリル系樹脂、SBR、NBR等が挙げられるが、柔軟性、強度、耐光性等の点からポリウレタンが好ましい。
そして、該弾性重合体が後述の分散染料にて染色、還元洗浄する場合に下記式(1)を満足する必要がある。
(A1)≦(A0)+0.5 (1)
(但し、(A1)は、分散染料で染色、還元洗浄した後のポリウレタンを主体とする弾性重合体のK/S、(A0)は、分散染料で染色する前のポリウレタンを主体とする弾性重合体のK/Sの値を示す。)
このようなポリウレタンとしては、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリカーボネート系等いずれもポリウレタンでも使用できるが、自動車シート材用途あるいはエクステリア用途として使用する場合は、ある程度の耐久性が必要であるため、ポリエーテル系、ポリカーボネート系ポリウレタンが好ましい。また、耐光性の点から、ポリウレタンのハードセグメントを構成するジイソシアネートは脂肪族系からなる無黄変タイプのものが好ましい。該ポリウレタンは水系エマルジョンもしくは溶液として、上記立毛面に不連続状に塗布し、乾燥固化させる。塗布方法は、グラビアコート法、ナイフコート法およびスプレー法等公知の方法を用いることが可能であるが、付与の均一性の点から、グラビアコート法が好ましい。立毛表面全体を該ポリウレタン主体弾性重合体で覆ってしまうと、本発明で目的とする立毛部と銀面部が混在してなる表面を有する皮革様シートが得られないばかりでなく、弾性重合体によっては耐光性に悪影響を及ぼすことがある。よって塗布量は樹脂換算で3〜30g/m2の範囲が好ましい。皮革様シート表面に占める立毛部と銀面部の面積割合としては立毛部/銀面部=10/90〜50/50の範囲が好ましい。上記範囲より銀面部の占める割合が増すと表面タッチが銀付き調のものとなり、また、立毛部の占める割合が増すとスエード調となる傾向がある。本発明においては、連続する立毛部上にスポット上に銀面部が存在している状態であっても、また連続する銀面部上にスポット上に立毛部が存在している状態であっても、さらに立毛部も銀面部もともにスポット状に存在していても良い。本発明において、立毛部と銀面部の混在状態としては、皮革様シート表面上任意の直径5mm、特に1mmの円を確認した場合に、いずれの円にも、立毛部と銀面部が存在しているような混在状態が好ましい。
そして、該弾性重合体が後述の分散染料にて染色、還元洗浄する場合に下記式(1)を満足する必要がある。
(A1)≦(A0)+0.5 (1)
(但し、(A1)は、分散染料で染色、還元洗浄した後のポリウレタンを主体とする弾性重合体のK/S、(A0)は、分散染料で染色する前のポリウレタンを主体とする弾性重合体のK/Sの値を示す。)
このようなポリウレタンとしては、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリカーボネート系等いずれもポリウレタンでも使用できるが、自動車シート材用途あるいはエクステリア用途として使用する場合は、ある程度の耐久性が必要であるため、ポリエーテル系、ポリカーボネート系ポリウレタンが好ましい。また、耐光性の点から、ポリウレタンのハードセグメントを構成するジイソシアネートは脂肪族系からなる無黄変タイプのものが好ましい。該ポリウレタンは水系エマルジョンもしくは溶液として、上記立毛面に不連続状に塗布し、乾燥固化させる。塗布方法は、グラビアコート法、ナイフコート法およびスプレー法等公知の方法を用いることが可能であるが、付与の均一性の点から、グラビアコート法が好ましい。立毛表面全体を該ポリウレタン主体弾性重合体で覆ってしまうと、本発明で目的とする立毛部と銀面部が混在してなる表面を有する皮革様シートが得られないばかりでなく、弾性重合体によっては耐光性に悪影響を及ぼすことがある。よって塗布量は樹脂換算で3〜30g/m2の範囲が好ましい。皮革様シート表面に占める立毛部と銀面部の面積割合としては立毛部/銀面部=10/90〜50/50の範囲が好ましい。上記範囲より銀面部の占める割合が増すと表面タッチが銀付き調のものとなり、また、立毛部の占める割合が増すとスエード調となる傾向がある。本発明においては、連続する立毛部上にスポット上に銀面部が存在している状態であっても、また連続する銀面部上にスポット上に立毛部が存在している状態であっても、さらに立毛部も銀面部もともにスポット状に存在していても良い。本発明において、立毛部と銀面部の混在状態としては、皮革様シート表面上任意の直径5mm、特に1mmの円を確認した場合に、いずれの円にも、立毛部と銀面部が存在しているような混在状態が好ましい。
次いで、上記で得られた皮革様シートに対し、エンボスにより表面に任意の凸凹模様を形成させても良い。この表面の凸凹模様は、後工程で行う分散染料での染色の際に表面に生じるしわの発生起点にもなり、細かなシワ感を付与しやすい点で好ましく用いられる。
上記で得られた皮革様シートの染色は、分散染料を用い、必要に応じ分散剤、pH調整剤および金属イオン封鎖剤等を用い、また、紫外線吸収剤、難燃剤等の薬剤を用いることもできる。染色は高温高圧染色機により行う。染料としてカチオン染料やその他反応性染料を使用しても染色は可能であるが、本発明の重要な構成要素である立毛部と銀面部が混在した表面部を有する半銀付き調皮革様シートの表面部を構成するポリウレタンを主体とする弾性重合体を染色、還元洗浄処理した後のK/S(A1)と染色前のポリウレタンを主体とする弾性重合体のK/S(A0)の差が(A1)≦(A0)+0.5になるような条件での染色、還元洗浄を行う必要がある。染色、還元洗浄後の該ポリウレタンのK/S(A1)が、染色前のポリウレタンのK/S(A0)に対し、(A1)>(A0)+0.5となるような条件で処理した場合には、耐光堅牢度が向上しにくい。そのために使用する染料は、染色・還元後のポリウレタン中の染料残存量が少ない染料を選択する必要がある。このような染料の選定は、以下のように行う。まず、使用するポリウレタンの25%ジメチルホルムアミド(以下、DMFと略す。)溶液又は水分散液を作製する。このポリウレタン溶液又は水分散液をガラス板上に厚さ1〜1.5mmに流延し、該ポリウレタンがDMF溶液の場合には該溶液をキャストしたガラス板を25℃の温水中に浸漬してポリウレタンの湿式膜を作製する。また、該ポリウレタンが水分散液の場合には該分散液をキャストしたガラス板を130℃で感式凝固しポリウレタンの乾式膜を作製する。次に、得られた湿式又は乾式膜を十分に水洗・乾燥した後に、得られたポリウレタンの膜質量に対し、3%の染料を加え、浴比1:30で130℃にて60分間染色する。次いで、二酸化チオ尿素3g/l、水酸化ナトリウム3g/lの液で、70℃で30分間還元処理を2回繰り返す。その後、過酸化水素3g/l、ソーダ灰3g/lの液で、70℃で20分間酸化処理を行った後、ポリウレタンの膜を取り出し、十分水洗した後、乾燥する。分光光度計を用いて、該ポリウレタンの膜の540nmにおけるK/S(A1)と、染色前のポリウレタンの膜の540nmにおけるK/S(A0)を測定して、上記の(A1)≦(A0)+0.5となる分散染料組成を、本発明では使用する。
本発明の皮革様シートを染色する場合、染色の際の浴比は皮革様シートの質量に対し10〜40倍が好ましい。また、染料濃度は、1〜35%owfの範囲が好ましい。1%owf未満では、色目が薄く本発明の効果が現れにくい。35%owfを超えると染色摩擦堅牢度や洗濯堅牢度等の実用物性上において使用が困難となる傾向がある。染色温度は115〜150℃、好ましくは120〜140℃の温度範囲で行う。115℃未満の場合、ポリエステル中に分散染料が充分に拡散しにくい。150℃を超える場合、該皮革様シートを構成しているポリウレタンの加水分解により得られる皮革様シートの強度低下、毛羽脱落等が発生しやすくなる。
次いで、2〜10g/lの還元剤および還元剤と等量の還元助剤を用いてアルカリ剤存在下で、50〜80℃の温度で該皮革様シート中の過剰染料を還元分解、洗浄除去する。50℃未満の場合、ポリウレタン中の余剰染料の洗浄が不十分となり、染色、還元洗浄処理した後のK/S(A1)と染色前のポリウレタンのK/S(A0)の差が(A1)≦(A0)+0.5となりにくい。また、80℃を超えると繊維中の染料まで還元洗浄してしまうこととなる。そして、還元剤は二酸化チオ尿素やハイドロサルファイト等のポリエステルの還元洗浄に一般的に用いられるものが好ましく使用できる。還元剤量が2g/lより少ない場合、充分に該基体のポリウレタン中の染料を分解、洗浄しにくく、色斑の発生や色目の再現性低下を引き起こしやすい。また、10g/lを超える場合には染料の分解、洗浄効果は変わらずコスト的に不利となる。
次いで、公知の方法によって酸化、中和処理を行い、染色を完了させる。
次いで、公知の方法によって酸化、中和処理を行い、染色を完了させる。
次いで、乾燥、必要に応じて柔軟化処理、帯電防止処理、防燃処理等の機能付与処理を行うが、前記した通り、表面部を形成しているポリウレタンにヒンダードアミン系光安定剤を付与することで、該ポリウレタン中の残存染料を少なくすることとの相乗効果で耐光性が飛躍的に向上する。本発明で使用するヒンダードアミン系光安定剤を付与する工程は、染色前および染色後いずれでも良いが、染色前に付与した場合、前記染色の際の還元洗浄処理により、付与したヒンダードアミン系光安定剤の内ポリウレタン中にあるものは脱離してしまう傾向が有り、目的とする耐光堅牢性の向上を果たしにくいため、耐光堅牢度を向上させる面からは染色後が好ましい。
使用するヒンダードアミン系光安定剤は特に構造を制限するものではなく公知のものが用いられるが、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、メチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2―〔3−(3,5−ジ-t-ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等が挙げられる。
使用するヒンダードアミン系光安定剤は特に構造を制限するものではなく公知のものが用いられるが、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、メチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2―〔3−(3,5−ジ-t-ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等が挙げられる。
付与する量としては皮革様シート中のポリウレタン質量に対し、0.3〜5.0%の範囲が好ましい。0.3%以下では十分な耐光堅牢性向上効果が得られない。5.0%以上付与しても耐光堅牢性向上効果はそれほど変わらず、一方でフォギング性や染色堅牢性への影響が見過ごせないものとなる。ヒンダードアミン系光安定剤の付与方法としては、水に分散した状態でのパディングあるいは皮革様シート表面へのコーティングなどが行われる。そして、ヒンダードアミン系光安定剤が比較的低分子量で室温条件下で液状のものは適当な熱処理により表面付近へ移行してくるため特に付与方法を問わない。しかしながら、該ヒンダードアミン系光安定剤が高分子量化で室温条件下で固体状のものは皮革様シート表面にコーティングすることが好ましい。また、酸化防止剤、紫外線吸収剤との併用も可能である。また、ヒンダードアミン系光安定剤はNOxガスや包装材等に老化防止剤として使用されている2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールにより黄変されやすい。黄変防止のため、クエン酸等の有機酸と併用するのが特に好ましい。
そして、本発明の目的効果を有する皮革様シートは、ヒンダ−ドアミン系光安定剤のみを付与しただけでは充分な耐光堅牢度の向上は得られない。すなわち、本発明の皮革様シート表面部を構成するポリウレタンを染色、還元洗浄処理した後のK/S(A1)が染色前のポリウレタンのK/S(A0)に対し、(A1)≦(A0)+0.5になるような条件にて処理し、さらにヒンダードアミン系光安定剤で表面処理することによって、初めてそれらの相乗効果にて耐光堅牢度が1〜2級向上する。
そして、本発明の目的効果を有する皮革様シートは、ヒンダ−ドアミン系光安定剤のみを付与しただけでは充分な耐光堅牢度の向上は得られない。すなわち、本発明の皮革様シート表面部を構成するポリウレタンを染色、還元洗浄処理した後のK/S(A1)が染色前のポリウレタンのK/S(A0)に対し、(A1)≦(A0)+0.5になるような条件にて処理し、さらにヒンダードアミン系光安定剤で表面処理することによって、初めてそれらの相乗効果にて耐光堅牢度が1〜2級向上する。
得られた皮革様シートは、整毛工程および幅セット工程等公知の後仕上げ処理を経て目的とする耐光性に優れた皮革様シートを得る。
以下、本発明の実施態様を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の部、%はすべて質量に関するものである。
また、以下の例に記載のK/Sは日立製作所製分光光度計U−3010にて測定を行った。また、耐光堅牢度は、JASO M346−93に規定される方法に準じて下記条件にて光による変退色処理を実施し、処理前後の変退色の程度をJIS L0804に規定する変退色用グレースケールを用いて判定した。
耐光試験機:キセノンウエザーメーター(スガ社製)
放射強度:46W/m2(300〜400nm)
ブラックパネル温度:83±3℃
照射時間:200時間
水スプレー:無し
また、以下の例に記載のK/Sは日立製作所製分光光度計U−3010にて測定を行った。また、耐光堅牢度は、JASO M346−93に規定される方法に準じて下記条件にて光による変退色処理を実施し、処理前後の変退色の程度をJIS L0804に規定する変退色用グレースケールを用いて判定した。
耐光試験機:キセノンウエザーメーター(スガ社製)
放射強度:46W/m2(300〜400nm)
ブラックパネル温度:83±3℃
照射時間:200時間
水スプレー:無し
島成分がカーボンブラックを0.2部含有する極限粘度0.65のポリエチレンテレフタレート60部、海成分がMFR=40の直鎖状低密度ポリエチレン40部の海島型複合繊維(島数20、繊度4.0デシテックス、繊維長51mm、捲縮数12山/inch)を使用して厚み1.3mm、目付530g/m2のニードルパンチ処理をおこない三次元絡合不織布を作成した。この不織布にポリエーテル系ポリウレタンの15%DMF溶液を含浸し、DMF水溶液により湿式凝固し、水洗した後85℃トルエンにより海成分のポリエチレンを抽出除去し、目付480g/m2、厚み1.0mm、繊度が0.024デシテックスのポリエステル極細繊維からなる基材を得た。得られた基材の片面を180番手のサンドペーパーによりバフィングし、厚みを0.8mmとした後、反対側の面にDMF30部とアセトン70部の割合で混合した溶剤を200メッシュのグラビアロールを用いて8g/m2塗布した後乾燥し、グラビア面を240番のサンドペーパーで2回および400番のサンドペーパーで2回順次バフィングし、ポリエステル極細繊維立毛を形成した。次いで、該立毛面に、固形分45重量%のポリエーテル系ポリウレタン水系エマルジョンを150メッシュのロールを用いて、エマルジョン付着量が15g/m2となるようグラビアコーティングした。次いで象皺を再現したエンボスロールを用いて樹脂塗布面に対し毛穴絞のエンボス処理を行い染色前の半銀付き調皮革様シートとした。
次に該皮革様シートを80℃、20分間湯通しし熱水になじませると同時にリラックスした後、高圧液流染色機を使用し、浴比1:15で、下記分散染料の組成および助剤組成にて135℃、60分間染色を行った。
染料:Palanil ECO Turquoise CC 1.3%owf
Dianix Red HL-FS 0.6%owf
Teratop Pink 3G 0.3%owf
Sumikaron UL Yellow GF 4.0%owf
均染剤:KP レベラー AUL(芳香族スルホン酸塩誘導体、日本化薬株式会社製)
1.0g/l
pH調整剤:ニューバッファーK(ミテジマ化学株式会社製)1.8g/l
金属イオン封鎖剤:スカルナーNT(高松油脂株式会社製)1.0g/l
尚、上記染料組成を用い前述の条件にて基体を構成するポリエーテル系ポリウレタンを用いてポリウレタンシートのみを染色、還元洗浄したものは、染色前のポリウレタンシートとのK/Sの差が0.3((A1)=(A0)+0.3)であった。
次いで、二酸化チオ尿素7g/l、水酸化ナトリウム3g/lを加え65℃、30分間還元処理を行った。次いで、過酸化水素3g/l、ソーダ灰3g/lを加え70℃、20分間酸化処理を行った後、酢酸1g/lを加え70℃で10分間中和処理を行い、最後に常温の水で洗浄し染色を終了した。乾燥後、得られた半銀付き調皮革様シートはベージュ色に染色されており、耐光堅牢度は3級であった。
染料:Palanil ECO Turquoise CC 1.3%owf
Dianix Red HL-FS 0.6%owf
Teratop Pink 3G 0.3%owf
Sumikaron UL Yellow GF 4.0%owf
均染剤:KP レベラー AUL(芳香族スルホン酸塩誘導体、日本化薬株式会社製)
1.0g/l
pH調整剤:ニューバッファーK(ミテジマ化学株式会社製)1.8g/l
金属イオン封鎖剤:スカルナーNT(高松油脂株式会社製)1.0g/l
尚、上記染料組成を用い前述の条件にて基体を構成するポリエーテル系ポリウレタンを用いてポリウレタンシートのみを染色、還元洗浄したものは、染色前のポリウレタンシートとのK/Sの差が0.3((A1)=(A0)+0.3)であった。
次いで、二酸化チオ尿素7g/l、水酸化ナトリウム3g/lを加え65℃、30分間還元処理を行った。次いで、過酸化水素3g/l、ソーダ灰3g/lを加え70℃、20分間酸化処理を行った後、酢酸1g/lを加え70℃で10分間中和処理を行い、最後に常温の水で洗浄し染色を終了した。乾燥後、得られた半銀付き調皮革様シートはベージュ色に染色されており、耐光堅牢度は3級であった。
次いで、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート及びメチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケートの混合物(混合比で1:1)を主剤としそれを質量比で50%含有しているヒンダードアミン系光安定剤乳化液を更に水で50倍に希釈した液に上記染色後の半銀付き調皮革様シートを浸漬し、マングル絞りし、絞り率60%とした後乾燥した。上記ヒンダードアミン系光安定剤の主剤の付着量は該皮革様シート中のポリウレタン固形分に対し質量比で計算上2.3%であった。最後に撥水処理および整毛処理を行い、目的の半銀付き調皮革様シートを得た。
得られた半銀付き調皮革様シートは、毛穴絞の部分を起点に細かなシワにより高級な外観を有し、また、耐光堅牢度は4級であり、充分な耐光堅牢度の向上効果が認められた。
得られた半銀付き調皮革様シートは、毛穴絞の部分を起点に細かなシワにより高級な外観を有し、また、耐光堅牢度は4級であり、充分な耐光堅牢度の向上効果が認められた。
染料組成を下記に変更する以外は、実施例1と同様の方法で得た染色前の半銀付き調皮革様シートに対し、実施例1と同様の方法で染色、還元、酸化を行った。下記染料組成を用い前記条件にてポリウレタンシートのみを染色したものは、染色前のポリウレタンシートとK/Sの差は0.34((A1)=(A0)+0.34)であった。得られた半銀付き調皮革様シートはベージュ色に染色されており、耐光堅牢度は2.5級であった。
染料:Palanil ECO Turquoise CC 1.3%owf
Teratop Red HL-R 0.6%owf
Teratop Pink 3G 0.3%owf
Sumikaron UL Yellow GF 4.0%owf
次いで、実施例1と同様の方法にてヒンダードアミン系光安定剤を付与し、半銀付き調皮革様シートを得た。得られた半銀付き調皮革様シートの耐光堅牢度は4級であり、充分な耐光堅牢度の向上効果が認められた。
染料:Palanil ECO Turquoise CC 1.3%owf
Teratop Red HL-R 0.6%owf
Teratop Pink 3G 0.3%owf
Sumikaron UL Yellow GF 4.0%owf
次いで、実施例1と同様の方法にてヒンダードアミン系光安定剤を付与し、半銀付き調皮革様シートを得た。得られた半銀付き調皮革様シートの耐光堅牢度は4級であり、充分な耐光堅牢度の向上効果が認められた。
比較例1
染料組成を下記に変更する以外は、実施例1と同様の方法で得た半銀付き調皮革様シートに対し、実施例1と同様の方法で染色、還元、酸化を行った。下記染料組成を用い前記条件にてポリウレタンシートのみを染色したものは、染色前のポリウレタンシートのK/Sの差が2.4((A1)=(A0)+2.4))であった。得られた半銀付き調皮革様シートは濃いベージュ色に染色されており、耐光堅牢度は2.5級であった。
染料:Sumikaron UL Blue GF 200% 1.0%owf
Disperse Navy Blue LL 0.3%owf
Teratop Red HL-R 0.6%owf
Dianix Red HL-FS 0.3%owf
Sumikaron UL Yellow GF 4.0%owf
次いで、実施例1と同様の方法にてヒンダードアミン系光安定剤を付与し、半銀付き調皮革様シートを得た。得られた皮革様シートの耐光堅牢度は3.0級であり充分な耐光堅牢度の向上効果は認められなかった。
染料組成を下記に変更する以外は、実施例1と同様の方法で得た半銀付き調皮革様シートに対し、実施例1と同様の方法で染色、還元、酸化を行った。下記染料組成を用い前記条件にてポリウレタンシートのみを染色したものは、染色前のポリウレタンシートのK/Sの差が2.4((A1)=(A0)+2.4))であった。得られた半銀付き調皮革様シートは濃いベージュ色に染色されており、耐光堅牢度は2.5級であった。
染料:Sumikaron UL Blue GF 200% 1.0%owf
Disperse Navy Blue LL 0.3%owf
Teratop Red HL-R 0.6%owf
Dianix Red HL-FS 0.3%owf
Sumikaron UL Yellow GF 4.0%owf
次いで、実施例1と同様の方法にてヒンダードアミン系光安定剤を付与し、半銀付き調皮革様シートを得た。得られた皮革様シートの耐光堅牢度は3.0級であり充分な耐光堅牢度の向上効果は認められなかった。
本発明の皮革様シートは、耐光性に優れ、柔軟で高級感のある表面タッチを有する半銀付き調皮革様シートであり、特に自動車シート材、インテリアのみならずエクステリア用途に好ましく用いられる。
Claims (3)
- 1.0デシテックス以下のポリエステル繊維を含む基材の表面に、該ポリエステル繊維からなる立毛部とポリウレタンを主体とする弾性重合体からなる銀面部が混在し、さらに分散染料で染色、還元洗浄されて得られる皮革様シートにおいて、該弾性重合体が下記式(1)を満足し、かつ、該表面にヒンダードアミン系光安定剤が存在していることを特徴とする皮革様シート。
(A1)≦(A0)+0.5 (1)
(但し、(A1)は、分散染料で染色、還元洗浄した後のポリウレタンを主体とする弾性重合体のK/S、(A0)は、分散染料で染色する前のポリウレタンを主体とする弾性重合体のK/Sの値を示す。) - 基材が0.2デシテックス以下のポリエステル極細繊維絡合不織布とその絡合空間に含有されたポリウレタンを主体とする弾性重合体からなる請求項1に記載の皮革様シート。
- 皮革様シートを製造するに際し、下記(1)〜(3)の工程
(1)1.0デシテックス以下のポリエステル繊維を含む基材を製造する工程、
(2)基材の少なくとも片面に該ポリエステル繊維を主体とする立毛を形成する工程、
(3)立毛を形成した面に、ポリウレタンを主体とする弾性重合体の水系エマルジョンもしくは溶液を不連続状に付与する工程、
(4)分散染料を用いて、該弾性重合体が下記式(1)を満足するように染色、還元洗浄を行う工程、
(A1)≦(A0)+0.5 (1)
(但し、(A1)は、分散染料で染色、還元洗浄した後のポリウレタンを主体とする弾性重合体のK/S、(A0)は、分散染料で染色する前のポリウレタンを主体とする弾性重合体のK/Sの値を示す。)
(5)ヒンダードアミン系光安定剤を付与する工程、
を、(1)、(2)、(3)、(4)、(5)もしくは(1)、(2)、(3)、(5)、(4)の順で実施することを特徴とする皮革様シートの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003330889A JP2005097764A (ja) | 2003-09-24 | 2003-09-24 | 耐光堅牢性の良好な皮革様シートおよびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003330889A JP2005097764A (ja) | 2003-09-24 | 2003-09-24 | 耐光堅牢性の良好な皮革様シートおよびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005097764A true JP2005097764A (ja) | 2005-04-14 |
Family
ID=34459682
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003330889A Pending JP2005097764A (ja) | 2003-09-24 | 2003-09-24 | 耐光堅牢性の良好な皮革様シートおよびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005097764A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007138313A (ja) * | 2005-11-16 | 2007-06-07 | Kuraray Co Ltd | 銀付き調皮革様シート |
CN102505501A (zh) * | 2011-11-01 | 2012-06-20 | 吴江市北厍盛源纺织品助剂厂 | 一种光稳定封闭型聚氨酯交联剂的制备方法 |
KR20130131681A (ko) * | 2012-05-24 | 2013-12-04 | 코오롱글로텍주식회사 | 카시트용 고내광성 플록킹 직물 |
CN104631124A (zh) * | 2015-02-13 | 2015-05-20 | 福建宝利特集团有限公司 | 一种皮革擦拭变色处理剂及擦拭变色处理方法 |
WO2019216164A1 (ja) * | 2018-05-09 | 2019-11-14 | 株式会社クラレ | 銀付調皮革様シート |
-
2003
- 2003-09-24 JP JP2003330889A patent/JP2005097764A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007138313A (ja) * | 2005-11-16 | 2007-06-07 | Kuraray Co Ltd | 銀付き調皮革様シート |
CN102505501A (zh) * | 2011-11-01 | 2012-06-20 | 吴江市北厍盛源纺织品助剂厂 | 一种光稳定封闭型聚氨酯交联剂的制备方法 |
KR20130131681A (ko) * | 2012-05-24 | 2013-12-04 | 코오롱글로텍주식회사 | 카시트용 고내광성 플록킹 직물 |
CN104631124A (zh) * | 2015-02-13 | 2015-05-20 | 福建宝利特集团有限公司 | 一种皮革擦拭变色处理剂及擦拭变色处理方法 |
WO2019216164A1 (ja) * | 2018-05-09 | 2019-11-14 | 株式会社クラレ | 銀付調皮革様シート |
JP6619124B1 (ja) * | 2018-05-09 | 2019-12-11 | 株式会社クラレ | 銀付調皮革様シート |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR101016161B1 (ko) | 스웨이드조 인공피혁 및 그 제조방법 | |
CA2566884C (en) | Flameproof artificial leather | |
JP4233965B2 (ja) | スエード調人工皮革およびその製造方法 | |
JP6569527B2 (ja) | 染色人工皮革およびその製造方法 | |
JP7112222B2 (ja) | 立毛調人工皮革 | |
EP1306482B1 (en) | Plush leather-like sheet product and method for production thereof | |
JP4271553B2 (ja) | 耐光堅牢性の良好なスエード調人工皮革およびその製造方法 | |
JP2007262616A (ja) | ヌバック調人工皮革の製造方法 | |
JP2005097764A (ja) | 耐光堅牢性の良好な皮革様シートおよびその製造方法 | |
JP4046625B2 (ja) | 染色された立毛皮革様シートの製造方法 | |
JP3789353B2 (ja) | スエード調人工皮革の染色方法 | |
JP4304013B2 (ja) | 耐光堅牢性の良好なスエード調人工皮革およびその製造方法 | |
JPS602429B2 (ja) | 複合シ−ト状物 | |
JP2007046183A (ja) | 皮革様シート状物、その製造方法ならびにそれを用いてなる内装材および衣料資材。 | |
EP3757285A1 (en) | Napped artificial leather | |
JP4263012B2 (ja) | 立毛を有する皮革様シートおよびその製造方法 | |
JP4108532B2 (ja) | スエード調人工皮革 | |
JP4188127B2 (ja) | 極細繊維の立毛を有する皮革様シートおよびその製造方法 | |
JP2008196080A (ja) | 立毛皮革様シートの製造方法 | |
JP2020084334A (ja) | シート状物の製造方法 | |
CN116615588B (zh) | 人工皮革 | |
WO2024009907A1 (ja) | 立毛人工皮革及びその製造方法 | |
KR100337990B1 (ko) | 누박조인공피혁의제조방법 | |
JP2010222772A (ja) | 昇華堅牢度に優れた染色繊維構造体およびその製造方法 | |
JP2002302880A (ja) | 立毛調皮革様シート状物およびその製造方法 |