JP4205490B2 - 皮革様シート状物およびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、皮革様シート状物およびその製造方法に関するものである。さらに詳しくは耐久性が優れ、特に屈曲疲労性が熱によって劣化しにくく、摩擦堅牢度の高い皮革様シート状物およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
天然皮革の代替物として、繊維と高分子弾性体であるポリウレタン樹脂を用いた皮革様シート状物、いわゆる人工皮革が広く用いられている。しかし高分子弾性体、特に広く一般に用いられている湿式凝固ポリウレタン樹脂を用いて製造される皮革様シート状物では、ポリウレタン樹脂の熱による劣化が起こりやすいという問題があった。
【0003】
また、皮革様シート状物を染料によって染色することが多いが、その場合には染色工程にて熱水処理や加熱乾燥などが行われ、より熱による劣化が促進されるという問題があった。ちなみに人工皮革を着色する方法としては、染色以外に顔料をポリウレタン樹脂や繊維に混合させる原着による方法があるが、染色による方法の方がより明るい色や、多種多様な色に応じやすく、消費者ニーズに答えやすく、特に衣料用途においては顔料着色よりも染色が主流である。
【0004】
従来より人工皮革の経時劣化を防止する対策としては、各種安定剤を人工皮革に付与する方法や、ポリウレタン樹脂に配合したり、結合させる方法などが多数提案されている。例えば、特許文献1には、タンニンと金属との化合物をポリウレタン樹脂中に含有させる方法が開示されている。しかしこれらの方法は変退色に注目しており、光による黄変性など色に関しては向上してきているものの、物理的な劣化に関してはまだまだ満足のいくものではないのが現状であった。
【0005】
【特許文献1】
特開2003−96675号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、これら従来の問題を解決し、耐久性が優れ、特に屈曲疲労性が熱によって劣化しにくく、摩擦堅牢度の高い皮革様シート状物およびその製造方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の皮革様シート状物は、繊維とポリウレタン樹脂からなるシート状物であって、アルカリ金属が結合した重合度4〜30のフェノール・ホルムアルデヒド縮重合化合物を含むことを特徴とする。
【0008】
さらには、繊維が0.1dtex以下の極細繊維であることや、シート状物が下記(化2)式で示される基を有するヒドラジン系化合物や、染料を含有することが好ましい。
【0009】
【化2】
Figure 0004205490
1、R2は炭素数1〜4のアルキル基
【0010】
また、本発明の皮革様シート状物の製造方法は、繊維とポリウレタン樹脂からなるシート状物をアルカリ金属が結合した重合度4〜30のフェノール・ホルムアルデヒド縮重合化合物を含む処理液で処理することを特徴とする。さらには繊維とポリウレタン樹脂からなる該シート状物を染色し、次いで加熱せずに該フェノール・ホルムアルデヒド縮重合化合物を含む該処理液を付与し、その後加熱乾燥を行うことが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明は、繊維とポリウレタン樹脂からなるシート状物であって、アルカリ金属が結合した重合度4〜30のフェノール・ホルムアルデヒド縮重合化合物皮革様シート状物である。
【0012】
本発明の繊維としては、特に制限は無いが、耐薬品性や強度的な面などから、ポリアミド繊維やポリエステル繊維などの合成繊維が好ましい。中でも染色が行い易いナイロン6、ナイロン66、ナイロン12などのポリアミド繊維が好適に用いられる。
【0013】
また、風合の面からは繊維が0.1dtex以下の極細繊維であることが好ましく、さらには0.0001〜0.05dtexの繊度の極細繊維のことであることが好ましい。太すぎると柔軟性などの風合が低下し、細すぎると強度の低下や着色の困難性が増す傾向にある。
【0014】
このような極細繊維としては、溶剤溶解性の異なる2成分以上の重合体組成物から複合紡糸法、混合紡糸法などにより海島型、貼り合わせ型などの繊維に紡糸して得た多成分繊維の少なくとも一成分を除去するか、または分割するなどして極細化した繊維等が挙げられる。特に極細繊維は、束状になっていることが好ましく、その場合には一つの束に極細繊維が好ましくは、10本から5000本、更に好ましくは、100本から2000本含まれていることが好ましい。この様に束状に分布した場合には、繊維間に分布するポリウレタン樹脂が互いに接着し大きくなり、耐久性等が増加する傾向にある。
【0015】
本発明のシート状物中の繊維の形態には特に制限は無く、例えば織編物であっても良いが、皮革様シート状物としての風合を向上させるためには不織布が主体であり、織編物は補強用として一部に含むか、全く含まないことが好ましい。
【0016】
また、本発明は繊維とポリウレタン樹脂からなるシート状物であるが、ポリウレタン樹脂とは、ポリウレタンエラストマー、ポリウレアエラストマー、ポリウレタン・ポリウレアエラストマー等のポリウレタン系高分子である。より具体的には分子量500〜3000のポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコールなどのポリエーテルジオール、ポリテトラメチレンカーボネートグリコール、ポリヘキサメチレンカーボネートグリコールなどポリカーボネートジオール、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペートなどのポリエステルジオールとトリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、3,3,5トリメチル・5イソシアネート、メチルシクロヘキシルイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどの有機ジイソシアネート、トリメチロールプロパンなどの多価アルコールと前記有機ジイソシアネートとの付加反応多価イソシアネート、及びエチレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、シクロヘキサンジオール、ヒドラジン、ジカルボン酸ヒドラジド、アミノ酸ヒドラジド、などの低分子鎖伸張剤など反応させて得られるポリウレタン系エラストマーである。
【0017】
さらには、ポリウレタン樹脂のポリマージオールにポリエチレングリコールを使用することも好ましく、含金染料、酸性染料などに染着し易くなる傾向にある。このときポリエチレングリコールの含有量は、ポリウレタン樹脂に対して5〜20重量%が好ましい。
【0018】
さて、本発明の皮革様シート状物では、アルカリ金属が結合した重合度4〜30のフェノール・ホルムアルデヒド縮重合化合物を含むことが必須である。アルカリ金属はフェノールの−OHのHを置換し、−OMとなっており、このときMはアルカリ金属を示し、特にナトリウムが好ましい。重合度は4〜30であるが、特に好ましくは8〜16の範囲である。4未満では分子量が小さくこれ自体が移行しやすくなる傾向にあり、30以上では分子量過大で取り扱いにくくなる傾向にある。化合物全体の分子量としては1000〜2000の範囲が最も好ましい。また、有効成分のシート状物への付着量は0.1〜10重量%であることが好ましく、さらには0.3〜5重量%、最も好ましくは0.5〜3重量%である。付着量が過剰である場合には、析出しやすくなる傾向にある。
【0019】
このポリフェノール化合物である縮重合化合物を含むことにより、本発明では酸化を防止し熱劣化の発生を抑えることができ、また染色した場合にも、特に含金染料、酸性染料を用いた場合、重縮合化合物と染料が結合し、固定することができるのである。
【0020】
このような本発明の皮革様シート状物は、例えば150℃60分間の熱劣化試験を行った後でも、屈曲疲労性を高く保つことができる。また、劣化が発生しにくいために摩擦堅牢度にも優れる。さらにこの皮革様シート状物がポリウレタン樹脂などの高分子弾性体からなる銀面層を有した場合、耐光試験によって劣化しベタツキを発生することがあるが、本発明の皮革様シート状物では、その劣化を防止し、ベタツキを減少させることができ、高い実用性を発揮する。
【0021】
さらに、本発明では、下記(化3)式で示される基を有するヒドラジン系化合物を含有することが好ましい。
【0022】
【化3】
Figure 0004205490
1、R2は炭素数1〜4のアルキル基
【0023】
このヒドラジン化合物は、例えば下記のようにして合成することが出来る。すなわちN、Nジアルキルヒドラジンのようなunsym−ヒドラジンと有機イソシアネートとをヒドラジンやや過剰の条件で付加反応させることにより得ることが出来、イソシアネートとしてテトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート3,3,5トリメチル・5イソシアネートメチルシクロヘキシルイソシアネートなどが最も良く、トリメチロールプロパンなど多価アルコールとこれら脂肪族、または脂環族イソシアネートとの付加多価イソシアネート等も好ましい。
【0024】
このとき、イソシアネートとしてテトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートを用いた場合、その反応物は水溶性でありシート状物に最終処理する場合に都合がよく、脂環族ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネートを用いた場合は有機溶剤可溶であり樹脂溶液に添加する場合に適する。さらに脂環族イソシアネートを使用した場合には、芳香族イソシアネート使用時に比べ、溶剤溶解性が向上し使用する溶剤の制限が減少することと、剤自体の変色が防止される傾向にある。
【0025】
ヒドラジン系化合物のシート状物への好ましい付着量は0.1〜10重量%である。さらに好ましくは0.3〜7重量%、最も好ましくは0.5〜5重量%である。このような本発明の皮革様シート状物は、熱や光、あるいは燃焼ガスによる黄変を減少させ、高い実用性を有するものである。
【0026】
さらに本発明の皮革様シート状物は、その少なくともいずれか一方の表面に極細繊維からなる立毛を有するものであることも好ましい。極細繊維からなるシート状物の場合には、ポリウレタン樹脂の分布が小さくなり劣化しやすい傾向にあるが、本発明ではフェノール・ホルムアルデヒド重縮合化合物が含有されているため、熱などによる劣化を抑えることができるのである。例えば、本発明の立毛人工皮革の場合には、摩擦堅牢度が向上する。また極細繊維は表面積が大きく、変色しやすい傾向にあるが、本発明では効果的に防止することができる。
【0027】
他方、本発明ではそのシート状物の少なくともいずれか一方の表面にポリウレタン樹脂からなる銀面層を有することも好ましく、屈曲疲労性や光劣化や熱劣化による表面ポリウレタン樹脂のベタツキの発生などを抑えることができる。
【0028】
もう一つの本発明である皮革様シート状物の製造方法は、繊維とポリウレタン樹脂からなるシート状物をアルカリ金属が結合した重合度4〜30のフェノール・ホルムアルデヒド縮重合化合物を含む処理液で処理する方法である。
【0029】
ここで用いる繊維やポリウレタン樹脂には、特に制限は無いが、好ましくは前記の皮革様シート状物で用いられたものである。また、繊維とポリウレタン樹脂からなるシート状物を得るには、従来公知の方法を用いることができ、例えば下のような方法である。
【0030】
まず、繊維をカード、クロスラッパー、ニードルロッカーなどの手段で不織布化する。次いでポリウレタン樹脂をジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、トルエンなどの有機溶剤溶液又は水性エマルジョンなどとして不織布に含浸し、ポリウレタン樹脂を凝固処理することによって得ることができる。ここでポリウレタン樹脂を凝固する方法は、ポリウレタン樹脂の非溶剤で溶剤に混和性の液体で処理する湿式法、溶媒を加熱して蒸発させる乾式法など任意に選択できるが風合い、挫屈性などシートの性格から湿式凝固法を採用することがもっとも好ましい。
【0031】
また、得られたシート状物は、ここで人工皮革などの最終商品とするためにあらかじめ加工しておくことが好ましい。フェノール・ホルムアルデヒド縮重合物で処理した後に表面加工を行った場合には、最表面への縮重合物の付着量が低下するため、効果が低下する傾向にある。表面加工としては、スエード、又はヌバック調の外観を得るために、表面を研磨などして立毛を有するものに加工したり、あるいは銀付調の外観を得るために、離形紙などに前記と同様のポリウレタン樹脂を塗布、フィルム層を形成し、フィルム層とシート状物とをポリウレタン樹脂を接着剤として貼り合わせる転写方式や、直接グラビア等でポリウレタン樹脂等を塗布する方法等が挙げられる。
【0032】
また、このシート状物はあらかじめ染料で染色されたものであることが、明るい色や多種多様な色に応じやすく好ましい。染料の種類は特に限定されないが、具体的に例示すると、含金染料、あるいは酸性染料を用いて染色を行うことが好ましく、特に湿潤堅牢度などの点では含金染料が好ましい。染色条件については公知の条件で実施出来、被処理物の重量に対して1〜15%の染料を溶解或いは分散させた染浴中で温度60〜95℃、時間30〜60分染着処理する。
【0033】
次いで本発明ではシート状物を上記のアルカリ金属が結合した重合度4〜30のフェノール・ホルムアルデヒド縮重合化合物を含む処理液で処理する。アルカリ金属としてはナトリウムが好ましい。重合度は4〜30であり、8〜16であることが好ましい。4未満では分子量が小さくこれ自体が移行しやすくなり好ましくなく、30以上では分子量過大で取り扱い上好ましくない。分子量1000〜2000の範囲が最も好ましい。
【0034】
この縮重合化合物処理前には、染色後十分水洗浄することが重要であり、好ましくは染色後は加熱して乾燥させずに、湿潤状態のままで、縮重合物で処理し、その後加熱乾燥を行うことが好ましい。
【0035】
さらに加えて、本発明では、下記(化4)式で示される基を有するヒドラジン系化合物で処理することが好ましく、その時期は縮重合化合物と、同浴で行うことが効率的である。
【0036】
【化4】
Figure 0004205490
1、R2は炭素数1〜4のアルキル基
【0037】
ここでイソシアネートとしてテトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートとの反応物は水溶性でありシート状物に最終処理する場合に都合がよく、脂環族ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネートは有機溶剤可溶であり樹脂溶液に添加する場合に適する。
【0038】
ヒドラジン系化合物のシート状物への付着量は0.1〜10重量%、好ましくは0.3〜7重量%、最も好ましくは0.5〜5重量%である。
【0039】
さらに得られた皮革様シート状物は、その表面に仕上剤をグラビア処理したり、エンボス処理したりし、最表面をさらに整えることができる。また、本発明の製造方法では、このようにして得られた基材に揉み加工を施すことも好ましい。揉み加工の方法としては、例えばシート状物をクランプに把持し、一方のクランプをシートに揉み変形が加わるように駆動させる方法、あるいは2つの組み合わさった突起を有するステーの間にシート状物を通しシート状物に突起を押し込みながら揉みほぐしを行う方法等が挙げられる。
【0040】
このようにして得られた本発明の皮革様シート状物は、耐久性が優れ、特に屈曲疲労性が熱によって劣化しにくく、摩擦堅牢度の高いものとなり、特に高い耐久性が要求される、靴、カバン等に好ましく用いられる。また、特にフェノール・ホルムアルデヒド縮重合化合物とヒドラジン系化合物で処理された皮革様シート状物は熱劣化と耐黄変性を高いレベルで達成しており、淡色に染めた衣料用等の用途を含め、広く採用することができる。
【0041】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらにより制限されるものではない。実施例で特段断りのない限りパーセント(%)、比率は重量%、または重量比率を示す。実施例における測定値はそれぞれ以下の方法によったものである。
【0042】
(1)熱酸化劣化
シート状物を150℃熱風恒温槽中で60分処理した後、JIS K−6549 人工皮革測定法 屈曲試験法により測定した熱劣化後の屈曲疲労性を、熱酸化劣化として評価した。
【0043】
(2)燃焼ガス変色
ステンレス製金属ネットを燃焼塔として有するバーナーでプロパンガスを燃焼させその燃焼ガスを変色テストピースをつるしたボックス内に導き、30分、60分、120分毎の変色をグレースケールで評価する。
【0044】
(3)摩擦堅牢度 (乾燥状態、湿潤状態)
学振式摩擦堅牢度試験機に2.5cm×30cmのテストピースを取り付け摩擦布に綿布をつけ、測定、綿布への色着色程度を評価した。
【0045】
[実施例1]
(1)繊維質基材の作成
ナイロン−6とメルトフローレート50の低密度ポリエチレンを50:50の割合で混合し、混合紡糸ノズル内温度260℃で紡糸し、更に延伸、カットし繊度5dtex、島成分がナイロン−6である混合紡糸繊維を得た。
この繊維をカード、クロスラッパー、ニードルロッカー、加熱カレンダーロールを使用し重さ480g/m2、厚さ1.8mmの絡合繊維質基材を作成した。
【0046】
(2)ポリウレタン樹脂の作成
ポリオキシエチレングリコール(PEG分子量 1540)、ポリテトラメチレングリコール(分子量 2020)ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI37%)、エチレングリコールをジメチルホルムアミド(DMF)中で反応させPEG含有量7.5%、PTMG含有量 48% 伸長荷重 110kg/cm2、のポリウレタンのDMF溶液(濃度 30%)を作成した。
【0047】
(3)含浸シート状物の作成
前記ポリウレタン樹脂溶液 100部、DMF 200部、ポリオキシエチレン変性ポリシロキサン(松本油脂製薬(株) FG−10) 0.1部を混合した含浸樹脂溶液を作成した。
前述繊維質基材をこの溶液に浸漬、スクイズしこれをDMFを12%含有する水中に浸漬、凝固させ水洗した後乾燥した。
【0048】
ついでこのシートを90℃の熱トルエン中に浸漬、ポリエチレンを抽出除去し、さらにこれを95℃の熱水中に浸漬、トルエンを共沸除去、乾燥した。得られたシートは厚さ 1.2mm、重さ 400g/m2であった。またナイロン−6繊維は、極細繊維からなる繊維束となっていた。
つぎにこれを240メッシュのサンドペーパーを装着した研磨機でバフィングし、表面に平均デニールが0.003の極細繊維の立毛を有するシート状物を得た。
【0049】
(4)皮革様シート状物の作成
次にこのシートを含金染料 (Lanasyn Ny S-BL クラリアント)を8owf含む染浴中で90℃60分間染色し、洗浄した後、乾燥させずにアルカリ金属が結合したフェノール・ホルムアルデヒド縮重合化合物の溶液で処理した。
フェノール・ホルムアルデヒド縮重合化合物(大日本製薬製 プレンダーOS、重合度8〜16、平均分子量 1200)4g/l
炭酸ナトリウム 1g/l
温度×時間 50℃×20分
【0050】
(5)物性測定
得られたシートについて摩擦堅牢度、酸化劣化、燃焼ガス変色について測定したところ、摩擦堅牢度、熱酸化劣化が優れており、燃焼ガス変色が若干不十分であった。
【0051】
[実施例2]
(1)ヒドラジン化合物の作成
トルエン1500部中にN,Nジメチルヒドラジン123部を溶解した後、温度を20℃±2に維持しながらヘキサメチレンジイソシアネート を168部を滴下反応させる。滴下終了後60分反応させた後、溶剤を除去、メタノールで再結晶、精製し(化5)式のヒドラジン化合物を得た。
【0052】
【化5】
Figure 0004205490
【0053】
(2)ヒドラジン化合物処理剤の作成
ラウリルアルコールのエチレンオキサイド 10モル付加界面活性剤 3%液に前記合成したヒドラジン化合物を溶解、有効成分の濃度5%液を作成した。
【0054】
(3)皮革様シート状物のヒドラジン化合物での処理
実施例1−(4)で作成した皮革様シート状物を前述ヒドラジン化合物の処理剤を希釈した0.5%に浸漬、均一に付着させた後、湿潤附着量100%になるようにスクイズし、乾燥させて、皮革様シート状物を得た。
【0055】
(4)物性測定
実施例1と同様に、測定したところ、実施例1に比較し、さらに燃焼ガス変色に優れ、シート特性として総合的に優れていた。
【0056】
[比較例1]
フェノール・ホルムアルデヒド縮重合化合物による処理を行わない以外は、実施例1と同様に皮革様シート状物を作成し、測定した。
実施例1に比べ、摩擦堅牢度、酸化劣化、燃焼ガス変色いずれも劣っていた。
【0057】
[比較例2]
実施例1で用いたフェノール・ホルムアルデヒド縮重合化合物の代わりに、フィックス剤として合成タンニンを使用する以外は実施例−1と同様に処理した。得られたシートは摩擦堅牢度、酸化防止効果は若干認められたものの、燃焼ガス変色に関しては劣っていた。
【0058】
[比較例3]
実施例2でフェノール・ホルムアルデヒド縮重合化合物の処理を除く以外は、実施例2と同様に処理した。
結果は実施例2と比較し摩擦堅牢度が不充分であった。
【0059】
[実施例3]
実施例1で作成した繊維質基材とポリウレタン樹脂を用い表面にポリウレタン樹脂からなる銀面層を有する皮革様シート状物を作成した。すなわち、含浸樹脂溶液に繊維質基材を浸漬、スクイズし、その表面に同じ樹脂からなる溶液をコートした後、DMFを12%含有する水中に浸漬、凝固させ水洗した後乾燥した。その後、研磨機でバフィングしない以外は実施例1と同様にして染色された銀付調の皮革様シート状物を得た。さらに実施例2で得られたヒドラジン化合物を用い、実施例2と同様に処理した。
【0060】
得られた銀付調の皮革様シート状物は、摩擦堅牢度、熱酸化劣化、燃焼ガス変色性に優れ、テスト後もべとつきも発生せず、シートとして極めて優れたものであった。
【0061】
【発明の効果】
本発明によれば、耐久性が優れ、特に屈曲疲労性が熱によって劣化しにくく、摩擦堅牢度の高い皮革様シート状物およびその製造方法を提供する。

Claims (8)

  1. 繊維とポリウレタン樹脂からなるシート状物であって、アルカリ金属が結合した重合度4〜30のフェノール・ホルムアルデヒド縮重合化合物を含むことを特徴とする皮革様シート状物。
  2. 繊維が0.1dtex以下の極細繊維である請求項1記載の皮革様シート状物。
  3. シート状物の少なくともいずれか一方の表面に極細繊維立毛を有する請求項2記載の皮革様シート状物。
  4. シート状物の少なくともいずれか一方の表面にポリウレタン樹脂からなる銀面層を有する請求項1〜3のいずれか1項記載の皮革様シート状物。
  5. 下記(化1)式で示される基を有するヒドラジン系化合物を含有する請求項1〜4のいずれか1項記載の皮革様シート状物。
    Figure 0004205490
    1、R2は炭素数1〜4のアルキル基
  6. 染料を含有する請求項1〜5のいずれか1項記載の皮革様シート状物。
  7. 繊維とポリウレタン樹脂からなるシート状物をアルカリ金属が結合した重合度4〜30のフェノール・ホルムアルデヒド縮重合化合物を含む処理液で処理することを特徴とする皮革様シート状物の製造方法。
  8. 繊維とポリウレタン樹脂からなる該シート状物を染色し、次いで加熱せずに該フェノール・ホルムアルデヒド縮重合化合物を含む処理液を付与し、その後加熱乾燥を行う請求項7記載の皮革様シート状物の製造方法。
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