JP4379982B2 - 半導体装置の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置の製造方法に関し、特に、溝を備える半導体装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体基板に溝(トレンチ)を備えた半導体装置として、トレンチゲート型IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)や、トレンチキャパシタを用いたDRAM(Dynamic RandomAcces Memory)セルが広く使用されている。
【0003】
これらのトレンチを備えた半導体装置の中で、トレンチゲート型IGBTの製造方法が図6及び図7に示されている。
【0004】
まず、シリコンなどの半導体を材料としたp型半導体基板10上に、ベース領域となるn型高濃度不純物ドリフト層12及びn型低濃度不純物ドリフト領域14、チャネルが形成されるp型ボディ領域16が選択的に形成されている。p型ボディ領域16には、エミッタ領域となるn型エミッタ領域18が選択的に形成されている。半導体基板20(ここで、半導体基板20は、p型半導体基板10、n型高濃度不純物ドリフト層12、n型低濃度不純物ドリフト領域14、p型ボディ領域16、n型エミッタ領域18を含むとする)上には、後にトレンチを形成するときのマスクとなるシリコン酸化膜24が全面に形成されている(図6(a))。
【0005】
シリコン酸化膜24は、後にトレンチが形成されるn型エミッタ領域18上の一部分が露出されるように選択的に除去される(図6(b))。
【0006】
そして、残されたシリコン酸化膜24をマスクとして、半導体基板20が異方性エッチングされ、トレンチ26が形成される(図6(c))。
【0007】
トレンチ26形成時の異方性エッチングによって、トレンチ26の内壁28にダメージ層が形成される。このダメージ層を除去するため、アルカリ系溶液を用いて、トレンチ26の内壁28を酸化して、ダメージ層の表面を取り込むと共に薄い犠牲酸化膜を形成する。その後、犠牲酸化膜がエッチングで除去されるとともに、ダメージ層も除去される(図7(a))。
【0008】
その後、シリコン酸化膜24が除去され、ゲート酸化膜35が、トレンチ26の内壁28及び半導体基板20上の全面に形成される。その後、ゲート電極となる多結晶シリコン層36が、ゲート酸化膜35上に形成される(図7(b))。
【0009】
その後、多結晶シリコン層36とゲート酸化膜35が選択的に除去される。そして、層間絶縁膜38が選択的に形成された後、半導体基板20上にエミッタ電極40が形成される。また、半導体基板20のエミッタ電極40が形成された面の裏側の面にコレクタ電極42が形成される(図7(c))。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、トレンチ26が形成された直後(図6(c))のトレンチ26の部分拡大図が図8(a)に示されている。トレンチ26の内壁28には薄くダメージ層32が形成されている。このダメージ層32は必ずしても均一には形成されず、表面にマイクロラフネスと呼ばれる凹凸が形成される場合がある。
【0011】
図8(b)には、このようなダメージ層32を有するトレンチ26の内壁28をアルカリ系溶液で酸化して、シリコン酸化物からなる薄い犠牲酸化膜34を形成したときのトレンチの断面拡大図が示されている。アルカリ系溶液はシリコンと親和性を備えていないため、シリコンを材料とするトレンチ26の内壁28に均一に行き渡らず、犠牲酸化膜34が不均一に形成される。不均一に形成された犠牲酸化膜34はエッチングでダメージ層32とともに除去されるが、シリコン酸化物である犠牲酸化膜34はシリコンであるダメージ層32よりエッチング速度が遅いため、図5(c)に示されているように、エッチング後のトレンチ26の内壁28に凹凸が生じる。トレンチ26の内壁28にはその後ゲート酸化膜35及びゲート電極となる多結晶シリコン層36が形成されるため、トレンチ26の内壁28の凹凸は半導体装置の特性の劣化を生じさせる場合がある。
【0012】
また、犠牲酸化膜34をエッチングした後(図7(a))のトレンチ26の拡大断面図が、図9に示されている。犠牲酸化膜34をドライエッチングするとき、半導体基板20のトレンチ26の端部31は、シリコン酸化膜24の陰となり、エッチャントが供給されず、端部31が尖った形状となる。トレンチ26の内壁28にはゲート酸化膜35及びゲート電極となる多結晶シリコン層36が形成され、IGBTが動作する際にゲート酸化膜35に電界が生じる。トレンチ26の端部31が尖った形状となっていると、トレンチ26の端部31のゲート酸化膜35部分に電界が集中し、ゲート酸化膜35の絶縁破壊が生じる場合がある。
【0013】
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、トレンチ内壁の凹凸を抑え、また、トレンチ端部の形状の尖りを抑えることが可能な半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
第一の本発明は、シリコン基板に溝を備えた半導体装置の製造方法であって、前記シリコン基板に溝を形成する溝形成工程と、アルカリ系溶液と、アニオン系界面活性剤と、の混合溶液を用いて前記溝内壁に犠牲酸化膜を形成する犠牲酸化膜形成工程と、前記犠牲酸化膜を除去する犠牲酸化膜除去工程と、を備えることを特徴とする。
【0015】
第一の本発明では、アルカリ系溶液と前記半導体と前記アルカリ系溶液とに対して親和性を有する界面活性剤との混合溶液を用いて溝内壁に犠牲酸化膜を形成するので、犠牲酸化膜を溝内壁に均一に形成することができる。したがって、犠牲酸化膜を除去した後の溝内壁の凹凸が少なくなり、製造された半導体装置の素子特性を向上することができる。
【0016】
また、第二の本発明は、半導体基板に溝を備えた半導体装置の製造方法であって、半導体基板上に第一のマスク層と第二のマスク層とを順に形成し、前記第一及び第二のマスク層に所定のパターンを形成するマスク層形成工程と、前記第一及び第二のマスク層をマスクとして、前記半導体基板に溝を形成する溝形成工程と、前記第二のマスク層をマスクとして、前記溝内壁と第一のマスク層とをエッチングする内壁エッチング工程と、を備え、前記第一のマスク層は、前記内壁エッチング工程におけるエッチング速度が前記第二のマスク層の材料のエッチング速度より速い材料で形成されていることを特徴とする。
【0017】
第二の本発明では、内壁エッチング工程において、第一のマスク層は、エッチング速度が前記第二のマスク層より速い材料で形成されているので、第一のマスク層は第二のマスク層より早くエッチングされる。そのため、エッチング時に溝内壁の端部のエッチングを妨げる部材がなく、端部が充分にエッチングされ、尖りが少ない形状となる。したがって、半導体装置の特性を向上させることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態(以下実施形態という)を、図面に従って説明する。
【0019】
図1には、本実施形態の半導体装置であるIGBTの製造方法が示されている。
【0020】
まず、シリコンなどの半導体を材料としたp型半導体基板10上に、ベース領域となるn型高濃度不純物ドリフト層12及びn型低濃度不純物ドリフト領域14、チャネルが形成されるp型ボディ領域16が選択的に形成されている。p型ボディ領域16には、エミッタ領域となるn型エミッタ領域18が選択的に形成されている。半導体基板20(ここで、半導体基板は、p型半導体基板10、n型高濃度不純物ドリフト層12、n型低濃度不純物ドリフト領域14、p型ボディ領域16、n型エミッタ領域18を含むとする)上には、後に溝(トレンチ)を形成するときのマスクとなるシリコン窒化膜(SiN膜)22及びシリコン酸化膜(SiO2膜)24が全面に形成されている(図1(a))。
【0021】
このシリコン窒化膜22とシリコン酸化膜24は、後にトレンチが形成されるn型エミッタ領域18上の一部分が露出されるように選択的に除去される(図1(b))。
【0022】
そして、残されたシリコン窒化膜20及びシリコン酸化膜22をマスクとして、半導体基板20がRIE(Reactive Ion Etching)法を用いてエッチングされ、トレンチ26が形成される。RIE法は異方性エッチング法であり、トレンチ26は半導体基板20のn型エミッタ領域18、p型ボディ領域16及びn型低濃度不純物ドリフト領域14の上層部を貫いて、半導体基板20の厚さ方向に形成される(図1(c))。シリコン窒化膜22及びシリコン酸化膜24はともに、RIE法でエッチングされるときのエッチング速度が、半導体基板20の半導体材料より遅いため、好適にエッチングを行うことができる。
【0023】
トレンチ形成時の異方性エッチング(図1(c))によって、トレンチ26の内壁28にダメージ層が形成される。本実施形態では、生じたダメージ層を除去するため、アルカリ系溶液とアニオン系界面活性剤との混合溶液を用いて、トレンチ26の内壁28を酸化して、ダメージ層の表面を取り込むと共に、トレンチ26の内壁28に薄いシリコン酸化物(SiO2)の犠牲酸化膜を形成する。図3は、図1(c)の部分30の拡大図が示されている。図3(a)には、トレンチ26の内壁28に形成されたダメージ層32及び犠牲酸化膜34が示されている。
【0024】
アルカリ系溶液として、例えば、その液組成が、4.0wt%TMAH:H2O2:H2O=1:5:35(TMAH:テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)の溶液が用いられる。これに対して、アニオン系界面活性剤を200〜600ppm程度混合する。アニオン系界面活性剤は、カルボキシル基、スルホ基、硫酸基をもち、水中で解離して陰イオンとなる。そして、アニオン系界面活性剤の親油基側がトレンチ26の内壁28のシリコンと結合し、親水基側アルカリ系水溶液と結合する。このように、アニオン系界面活性剤はシリコンとアルカリ系溶液の双方に対して親和性を備え、シリコンとアルカリ系溶液との界面の自由エネルギーを低下させる作用を備える。アニオン系界面活性剤として、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩等がある。
【0025】
このように、アニオン系界面活性剤は、半導体材料であるシリコンとアルカリ系溶液との双方に対して親和性を備えている。したがって、アニオン系界面活性剤を介して、シリコンから形成されているトレンチ26の内壁28のダメージ層32にアルカリ溶液が均一に行き渡ることが可能となり、ダメージ層32に均一な犠牲酸化膜34が形成される。
【0026】
本実施形態では、他のアルカリ系溶液を使用してもよい。例えば、アンモニア過水を使用してもよい。アンモニア過水は、液組成がNH4OH:H2O2:H2O=1:10:50であるアルカリ系溶液である。このように種々のアルカリ系溶液を使用することが可能である。
【0027】
また、本実施形態は、アルカリ系溶液にアニオン系界面活性剤を混合したが、これはアニオン系界面活性剤に限定したものではなく、アルカリ系溶液と半導体材料との双方に親和性を有する界面活性剤であればよい。例えば、非イオン系界面活性剤、両性イオン系界面活性剤も、半導体材料との双方に親和性を有するので好適である。
【0028】
このように本実施形態のIGBTの製造方法では、アルカリ系溶液にアニオン系界面活性剤を混合しており、アニオン系界面活性剤は半導体基板20の材料であるシリコンとアルカリ系溶液とに対して親和性を有しているので、トレンチ26の内壁28に均一な厚さの酸化シリコンの犠牲酸化膜34を形成することができる。
【0029】
犠牲酸化膜34が形成された後、シリコン酸化膜24をマスクとして、犠牲酸化膜34がケミカルドライエッチング(Chemical Dry Etching、CDE)で除去されるとともに、ダメージ層32も除去される(図2(a))。図2(a)における部分30の拡大図が図4に示されている。犠牲酸化膜34が均一な厚さに形成されたので、トレンチ26の内壁28の凹凸が少なくなり、製造された半導体装置の素子特性を向上することができる。
【0030】
また、このCDEを行うとき、シリコン窒化膜22のエッチング速度はシリコン酸化膜24よりも速い。例えば、90Pa、60℃で、CF4を2.5×10-3L/s(150ccm)、酸素(O2)を1.0×10-3L/s(60ccm)の流量の条件下でCDEを行うとき、半導体基板20のシリコン(Si)のエッチング速度に対するシリコン酸化膜24のシリコン酸化物(SiO2)のエッチング速度の比(エッチングレート比)は1/20である。しかし、同じ条件下で、半導体基板20のシリコン(Si)のエッチング速度に対するシリコン窒化膜22のシリコン窒化物(SiN)のエッチング速度の比(エッチングレート比)は1/2となる。このように、シリコン窒化膜22はシリコン酸化膜24より、上記CDE条件でのエッチング速度が大きい。したがって、トレンチ26の内壁28にCDEを行うときに、シリコン窒化膜22は、シリコン酸化膜24より多くエッチングされる。図5にCDEが行われた後のトレンチ26の拡大図が示されている。シリコン窒化膜22はシリコン酸化膜24より多くエッチングされているので、エッチャントがトレンチ26の内壁28の端部31にあたることを遮るものが少なくなる。したがって、トレンチ26の端部31の形状の尖りを少なくすることができる。
【0031】
シリコン酸化膜24及びシリコン窒化膜22のエッチングレート比は、CDEを行うときに流すガス流量等で制御することができる。例えば、90Pa、60℃で、CF4を2.5×10-3L/s(150ccm)、O2を1.0×10-3L/s(60ccm)、N2を0.5×10-3L/s(30ccm)の流量の条件下でCDEを行うとき、シリコン酸化膜24のエッチングレート比は1/15程度であるが、シリコン窒化膜22のエッチングレート比は、1/1.2程度となる。このように、シリコン窒化膜22のエッチングレート比は容易に制御することができ、1〜1/5程度であることが好適である。
【0032】
その後、シリコン酸化膜24がウェットエッチングで除去され、続いて、シリコン窒化膜22がウェットエッチングで除去される。この後、熱酸化を行い、トレンチ26の内壁28に、熱酸化による犠牲酸化膜を一旦形成し、犠牲酸化膜を除去することで、更なるダメージ層の除去を行うことができる。そして、ゲート酸化膜35が、トレンチ26の内壁28及び半導体基板20上の全面に形成される。その後、ゲート電極となる多結晶シリコン層36が、ゲート酸化膜35上に形成される(図2(b))。
【0033】
その後、多結晶シリコン層36とゲート酸化膜35が選択的に除去される。そして、層間絶縁膜38を選択的に形成した後、半導体基板20上にエミッタ電極40が形成される。また、半導体基板20のエミッタ電極40が形成された面の裏側の面にコレクタ電極42が形成される(図2(c))。
【0034】
トレンチ26の内壁28の端部31の尖りが少なくなっているため、トレンチ26の内壁28に形成されるゲート酸化膜35の端部の尖りも少なくなる。したがって、ゲート酸化膜の信頼性が向上するとともに、IGBTを動作させるときに、ゲート酸化膜35に電解の集中が起こりにくいため、電流のリークが少なくなり、IGBTの特性が向上する。
【0035】
本実施形態は、IGBTの製造方法に限定したものではなく、例えば、トレンチキャパシタを用いたDRAMセル等の半導体基板にトレンチを備えた半導体装置に適用することが可能である。
【0036】
【発明の効果】
本発明の半導体装置の製造方法は、溝(トレンチ)内壁の凹凸を抑え、また、溝端部の形状の尖りを抑えることが可能であり、半導体装置の特性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施形態の半導体装置の製造方法が示された工程断面図である。
【図2】 本実施形態の半導体装置の製造方法が示された工程断面図である。
【図3】 図1の部分30の拡大断面図である。
【図4】 犠牲酸化膜が除去された後のトレンチの断面拡大図である。
【図5】 犠牲酸化膜が除去された後のトレンチの断面拡大図である。
【図6】 従来の半導体装置の製造方法が示された工程断面図である。
【図7】 従来の半導体装置の製造方法が示された工程断面図である。
【図8】 従来の犠牲酸化膜除去工程時のトレンチの断面拡大図である。
【図9】 従来の犠牲酸化膜が除去された後のトレンチの断面拡大図である。
【符号の説明】
20 半導体基板、22 シリコン窒化膜、24 シリコン酸化膜、26 溝(トレンチ)、28 内壁、34 犠牲酸化膜、35 ゲート酸化膜。
Claims (1)
- シリコン基板に溝を備えた半導体装置の製造方法であって、前記シリコン基板に溝を形成する溝形成工程と、アルカリ系溶液と、アニオン系界面活性剤と、の混合溶液を用いて前記溝内壁に犠牲酸化膜を形成する犠牲酸化膜形成工程と、前記犠牲酸化膜を除去する犠牲酸化膜除去工程と、を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
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