JP4379628B2 - 印刷測色制御装置および印刷測色制御方法 - Google Patents
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Description
また特に、画像を印刷して測色する場合にユーザは、その画像上において測色対象位置を自由に選択して所望の箇所の測色値を得たいと要望することがあるが、これまで上記のような測色機能部を併せ持つプリンタにおいては、画像上のユーザが所望する位置を正確かつ容易に測色する術が存在しなかった。
すなわち、ユーザが画像上の測色位置を任意に指定すれば、印刷媒体への画像の印刷後において、測色部に画像を測色させる際の位置が自動的に計算され、この計算した位置に基づいて印刷媒体の搬送および測色部による測色を実行する。そのため、画像の印刷と画像上のユーザが所望する位置の測色とが一連の作業として実現されて非常に楽であり、ユーザが真に測色したい位置の測色値を正確に取得できる。
また本発明の印刷測色制御装置は、所定の画像上における測色位置の指定を受付ける受付手段と、所定の紙送り方向に搬送される印刷媒体に対して、上記所定の画像を表す画像データに基づき、印刷ヘッドによって画像を印刷させる印刷制御手段と、上記印刷ヘッドよりも上記紙送り方向下流側の所定位置に配設された測色部と、上記測色部よりも上記紙送り方向下流側の所定位置に配設された乾燥手段と、印刷された印刷媒体を上記測色部によって測色させる前に上記乾燥手段によって乾燥させる場合には、印刷された印刷媒体を乾燥手段の配設位置まで上記紙送り方向に搬送し、かつ、乾燥手段によって乾燥された印刷媒体を乾燥手段の配設位置から測色部の配設位置まで上記紙送り方向の逆方向に搬送し、印刷された印刷媒体を上記測色部によって測色させる前に上記乾燥手段によって乾燥させない場合には、印刷された印刷媒体を上記乾燥手段の配設位置を経由させることなく上記測色部の配設位置まで上記紙送り方向に搬送する搬送手段と、上記搬送手段によって搬送された印刷媒体を測色部に測色させることにより上記指定にかかる測色位置の測色値を取得する測色制御手段とを備える。
かかる構成とすれば、ユーザが任意に指定した画像上の位置の色が印刷媒体上で理想的な色にて再現されているか否かを確実に判断することができる。
本発明によれば、印刷結果と基準値との一致・不一致の判断を現実に見合ったレベルで行なえる。また、許容範囲の設定を外部から受付けるとすれば、印刷結果と基準値との一致・不一致の判断をユーザが必要とする精度で行なうことができる。
この構成によれば、上記指定にかかる測色位置の印刷結果の色が正常でない場合に、異常な印刷結果をもたらした原因を解消しあるいは打ち消して、再び画像を印刷するため、最終的には、理想的な色にて再現された印刷結果を得ることができる。
(1)本発明の実施形態の概略構成
(2)第1の実施例
(2‐1)印刷、測色等のための条件設定
(2‐2)印刷処理/アプリケーション側
(2‐3)印刷処理/プリンタ側
(2‐4)測色処理/アプリケーション側
(2‐5)測色処理/プリンタ側
(2‐6)色評価処理
(2‐7)プリンタの専有について
(3)他の実施例
(4)まとめ
図1は、印刷測色制御装置を構成するコンピュータ10およびプリンタ20を示している。コンピュータ10では、演算処理の中枢をなすCPU11がシステムバス10aを介してコンピュータ10全体を制御する。バス10aには、ROM12、RAM13、各種インターフェース(I/F)17a〜17cが接続され、ハードディスクドライブ(HDDRV)15を介してハードディスク(HD)14が接続されている。HD14にはオペレーティングシステム(OS)やアプリケーションプログラム(APL)14a等が記憶されており、これらはCPU11によって適宜RAM13に転送され実行される。また、HD14は、印刷するための画像データ14c等を記憶するための記憶領域である。I/F17aには所定の画像データに基づいて当該データに対応する画像を表示するディスプレイ18aが接続され、I/F17bにはキーボード18bやマウス18cが接続され、プリンタI/F17cには例えばシリアルI/Fケーブルを介してプリンタ20が接続されている。
印刷ヘッド25aは、複数のインク種類(例えば、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)、ライトシアン(Lc)、ライトマゼンダ(Lm))に夫々対応する複数のインクカートリッジと、各インク種類に対応して設けられた複数のノズル列とからなり、インクカートリッジが充填したインクをノズル列からインク滴として吐出することで印刷用紙に画像を形成する。プリンタコントロールIC25は、ヘッド駆動部25bに対して、上記ラスタデータに対応する印加電圧データを出力する。ヘッド駆動部25bは印加電圧データから印刷ヘッド25aの各ノズル列に内蔵されたピエゾ素子への印加電圧パターン(駆動波形)を生成して出力し、印刷ヘッド25aにインク種類毎のインク滴(ドット)を吐出させる。
なお、プリンタ20としては、サーマル式や昇華型など他の仕組みで印刷画像を形成するものや、ラインヘッド方式のプリンタを採用してもよい。
プリンタ20は、本体29の頭頂部付近に印刷用紙M(ロール紙)を収容しており、この印刷用紙Mを本体29前方側に形成された斜面29aに略沿わせて図中の紙送り方向に搬送する。また、ロール紙の代わりに、一枚一枚切断されている印刷用紙N(単票紙)を、同図に示す給紙方向から給紙することにより、この印刷用紙Nを斜面29aに略沿わせて紙送り方向に搬送することも可能である。斜面29aの所定位置にはケーシング27が設置されている。ケーシング27内には印刷ヘッド25aが収容される。印刷ヘッド25aは不図示の上記ガイドレールに沿って、図2の表面に対して垂直な方向(上記主走査方向)に移動する。また、印刷ヘッド25aにはカッター25a1が取り付けられており、カッター25a1は印刷ヘッド25aとともに往復動する。
次に、印刷測色制御装置の構成を用いて実行可能な1つの実施例を説明する。
ここでは、あるカラー画像(対象画像)を印刷媒体に印刷するとともに、画像上の位置であってユーザが任意に指定した位置を測色する(スポット測色と呼ぶ。)実施例を説明する。対象画像としては、例えば、印刷媒体に印刷された状態が最終成果物(頒布されるチラシやポスター、刊行物の各ページ等。)となる画像が想定される。
図4は、本実施例のうちコンピュータ10がAPL14aに基づいて実行する処理内容をフローチャートにより示している。
ステップS(以下、ステップの記載を省略。)100では、まずコンピュータ10は、ユーザの操作により選択された対象画像についての、印刷および測色のための設定画面(アプリケーション画面)をディスプレイ18aに表示し、当該アプリケーション画面を介して各種条件を入力する。
同図に示すようにユーザインターフェースとしてのアプリケーション画面18a1では、使用するプリンタ種類(本実施例ではプリンタ20を選択)、用紙サイズ、給紙方法、オートカット(カッター25a1による用紙の切断)の要否、印刷用紙の上下左右端における各マージン、測色対象とするチャートの種類等、スポット測色の位置、スポット測色の結果に対する基準色彩値(基準値)、スポット測色の結果と基準色彩値とのずれの許容範囲としての許容色差、色評価の結果が否定的(NG)である場合の処理、などを選択または設定させるための表示を行い、ユーザの入力操作に応じて各種条件を取得する。むろん上述した条件の他にも、印刷部数など各種条件を入力させ、取得することが可能である。
かかる状況で、ユーザはマウス18c等を操作してサムネイル表示18a11上における所望の位置をクリック等することにより、測色位置を任意に指定する。するとコンピュータ10は、コンピュータ10が把握可能な2次元座標上における当該指定された位置と印刷用紙の原点(用紙原点)との距離を、実際の距離(mm)に換算し、換算して得た距離を入力欄18a13に自動表示する。コンピュータ10は、用紙サイズと、用紙の上下左右端の各マージンと、対象画像内における測色位置とを認識しているため、用紙原点と測色位置との横方向(主走査方向)および縦方向(紙送り方向)それぞれの距離を算出可能であり、算出した横方向の距離をxS、算出した縦方向の距離をySとして入力欄18a13に表示する。本実施例では、用紙原点は印刷用紙の上端左端としている。
このように、ユーザはサムネイル表示18a11を見ながら測色位置を視覚的に指定できるため、測色位置の指定作業が非常に容易となる。
図4のフローチャートに戻る。
S105では、コンピュータ10はプリンタ20に対して専有開始コマンドを送信する。専有開始コマンドは上記専有コマンドの一種であり、APL14aが一連のジョブ(JOB)の実行のためにプリンタ20の専有を開始することを告げるコマンドである。詳しくは後述するが、プリンタ20は専有開始コマンドの受信後においては、専有解除コマンドを受信しない限りAPL14aの指示(PRTDRV14bの指示を含む。)に基づく処理のみを実行する。
S110では、コンピュータ10は、対象画像を表す画像データ14cに基づく印刷をプリンタ20に対して指示する。
S200では、PRTDRV14bは、画像データ14cを対象とした色変換処理を実行し、画素毎に、プリンタ20で用いるインク種類(本実施形態の場合、C,M,Y,K,Lc,Lm)毎の階調値で表現された画像データ(インクデータ)に変換する。本実施例では、画像データ14cをドットマトリクス状の各画素がR,G,B(レッド、グレーン、ブルー)毎の階調値で表現されたsRGB表色系によるデータとしており、PRTDRV14bは、HD14に予め記録してある色変換ルックアップテーブル(LUT)を参照し、画素毎にRGBデータをインクデータに変換する。色変換LUTはRGBデータとインクデータとのそれぞれによって色を表現するとともに両者を対応づけ、複数の色についてこの対応関係を記述したテーブルである。なお、画像データ14cが、各画素をCMY毎の階調値で表現したデータである場合には、CMYデータとインクデータとの対応関係を規定した色変換LUTを用いて色変換処理を行なえばよい。
このようにS110にてプリンタ20に対し印刷コマンドを送信した後は、コンピュータ10は、S115においてプリンタ20へ測色指示を行うことになるが、ここでは測色について説明を行う前に、上記印刷コマンドに対するプリンタ20側の処理を先に説明する。
図7は、本実施例のうちプリンタ20のプリンタコントロールIC25がプリンタコントローラに基づいて実行する処理の一部を示している。
コンピュータ10からプリンタ20に送信されるコマンドは通信I/F24を介してプリンタ20に入力されるとともに、全てプリンタコントロールIC25に入力されて、プリンタコントローラによる処理対象となる。
プリンタコントロールIC25は、コンピュータ10からのコマンドを受信(S300)すると、S305では、上記受信したコマンドが、専有コマンドと印刷コマンドと測色位置定義コマンドと乾燥コマンドと測色コマンドとの何れであるか判別し、判別したコマンドの種類に応じて以後の処理を分岐する。
S400では、印刷コマンドが印刷領域定義コマンドと印刷位置更新コマンドと印刷データコマンドの何れであるか判別し、判別した印刷コマンドの種類に応じて以後の処理を分岐する。印刷領域定義コマンドを受信した場合には、S410においてプリンタコントロールIC25は、コマンドに含まれている画像領域情報を所定の記憶領域に保存する。画像領域情報とは、上記S100において取得した用紙サイズおよび上下左右端の各マージンを示す情報である。
印刷データコマンドを受信した場合、S440においてプリンタコントロールIC25は、印刷データを印刷ヘッド25aのバッファへ格納する。印刷データは1主走査分のインク種類別のラスタデータを含み、バッファは1主走査分の印刷データを格納可能な容量となっている。S450では上記バッファにフルにデータが保存されたか判断する。なされたと判断した場合には、S460,470においてプリンタコントロールIC25は、その時点で設定されている印刷ヘッド位置(xh,yh)に応じて、印刷用紙Nの搬送と印刷ヘッド25aの移動を実行する。つまり、プリンタコントロールIC25は、紙送り機構25dに指示を送り、位置yhと印刷ヘッド25aの走査位置が一致するように印刷用紙Nを搬送させ、かつ、キャリッジ機構25cに指示を送り、位置xhに印刷ヘッド25aが一致するようにガイドレールに沿ってキャリッジを移動させる。
プリンタ20は、印刷領域定義コマンドと対象画像を印刷するために必要な複数の印刷位置更新コマンドおよび印刷データコマンドとをコンピュータ10から所定の順序で受信することで、図9に示したような対象画像を印刷できる。またこの意味で、コンピュータ10とプリンタ20とは印刷制御手段を備えていると言える。
図4に戻って説明を続ける。
S115では、コンピュータ10はプリンタ20に対して対象画像の測色指示を行うとともに、この測色指示に応じてプリンタ20が測色した対象画像の測色値を取得する。測色指示とは、基本的には測色位置定義コマンドと乾燥コマンドと測色コマンドとを生成し送信する処理を言う。
S500では、コンピュータ10は、印刷用紙内における測色位置を指示するための測色位置定義コマンドを生成し、これをプリンタI/F17cを介してプリンタ20に対し送信する。むろん、印刷用紙内における測色位置とは、上記アプリケーション画面18a1を介して受付けた測色位置(xS、yS)である。測色位置が複数箇所指定されている場合には、かかる複数の測色位置の情報を含んだ測色位置定義コマンドを生成する。
S540では、コンピュータ10は、対象画像上において指定された全ての測色位置に関して測色値を受信したか否か判断し、全ての受信を完了したと判断した場合、S550では上記受信した測色値をHD14に保存する。
S115にてプリンタ20から測色値を受信した後は、コンピュータ10はS120以降において、測色結果に基づく評価処理を行うことが可能である。ただしここではS120以降の説明を行う前に、測色位置定義コマンド、乾燥コマンド、測色コマンドに対するプリンタ20側の処理を先に説明する。
図7を再度用いて説明をすると、測色位置定義コマンドを受信した場合、プリンタコントロールIC25は、S300,305を経て、S310において、測色位置定義コマンドから測色位置(xS,yS)の情報を抽出し、当該抽出した情報を所定の記憶領域に保存する。
次に、乾燥コマンドを受信した場合について説明する。本実施形態の乾燥機26は、ある程度狭い範囲(例えば、2行程度のパッチ行からなるチャートなど)を一度に乾燥させる場合に適したものである一方、印刷用紙上の広範囲に渡って印刷される画像を乾燥させるにはあまり適していない。よって、対象画像を印刷し対象画像をスポット測色する本実施例においては、コンピュータ10は、乾燥コマンドとして基本的に自然乾燥コマンドを生成し、送信するものとする。乾燥コマンドを受信した場合、プリンタコントロールIC25は、S300,305を経て、S315において、乾燥コマンドが自然乾燥コマンドであるか否か判別する。本実施例では自然乾燥コマンドであるため、プリンタコントロールIC25は、自然乾燥コマンドが規定する自然乾燥のための時間が上記対象画像の印刷完了後から経過しているか否か判断し(S320)、未経過の場合には経過するまで待機する。一方、規定時間が経過した場合には乾燥コマンドの次に受信するコマンドに対応する処理に移る。
S355では、プリンタコントロールIC25は、S350で選択した測色位置(xS,yS)を測色部26aに測色させるために必要な印刷用紙の搬送距離D1を算出する。
プリンタコントロールIC25は、上記S350で最初に選択した測色位置(用紙先頭に最も近い測色位置MS1)のための搬送距離D1を式(1)によって算出する。
D1=dHM−(yH−yS) …(1)
yHは、現時点での紙送り方向における印刷ヘッド25aから用紙原点(用紙先頭)までの距離である。プリンタコントロールIC25は、紙送り機構25dによる印刷用紙Nの搬送距離を紙送りローラの回転数などに基づいて算出可能であるため、対象画像を印刷した過程で紙送り機構25dに印刷用紙Nをどれだけの距離を搬送させたか算出し、この算出した距離に基づいて、対象画像の印刷後における印刷ヘッド25aから用紙先頭までの距離yHを特定する。yHは媒体位置情報の一種である。
ySは上記yS1である。
S365では、プリンタコントロールIC25は測色コマンドを測色コントロールIC26に送信する。この場合、プリンタコントロールIC25は直近のS350において選択した測色位置(xS,yS)の情報とともに測色コマンドを送信する。この結果、測色コントロールIC26の側で測色コマンドに応じた処理を行うことが可能となる。
S380では、全ての測色位置(xS,yS)についての測色値の保存を終了したか否か判断し、未処理の測色位置がある場合にはS350に戻り、未処理の測色位置の中で最もySの値が小さい測色位置を新たに選択し、S375までの処理を繰り返す。2箇所目以降の測色位置(xS,yS)のための搬送距離D1は、直近に測色した測色位置との紙送り方向における差分となる。例えば、測色位置MS2を測色するために必要な搬送距離D1は、D1=yS2−yS1である。
一方、全ての測色位置について測色値の保存を終了した場合にはプリンタコントロールIC25は、全ての測色位置の測色値を通信I/F24を介してコンピュータ10に送信する(S385)。
S600において、測色コントロールIC26は、押さえ板駆動機構26cに指示を出して押さえ板を降下させて、測色乾燥ユニット28下の印刷用紙Nを押さえさせる。
S605では、測色コントロールIC26は測色部26aにキャリブレーションを実行させる。本実施形態では、初期位置に待機する測色部26aの色検出部26a1と相対する位置に、完全白色板としての白タイルを設置しており、測色処理を開始するにあたってまず測色部26aに当該白タイルを測色させる。測色部26aは、白タイルの測色結果と予めデータとして備えている当該白タイルの測色結果の基準値とを比較して両値の差異を取得し、この差異に基づいて測色部26aは測色結果に対する補正値を生成する。以降、測色部26aは測色によって取得した測色値を当該補正値によって補正した上で、測色コントロールIC26に出力することになる。
D2=xS+x0−dxM …(2)
x0は、図11に示すように、プリンタ20のメカ原点から用紙原点までの主走査方向における距離を表している。プリンタ20は、機体の特定位置をメカ原点として予め定めている。プリンタ20は、例えば、印刷用紙Nがプリンタ20にセットされたときに所定のセンサによって用紙原点を検出するとともに、メカ原点から用紙原点までの主走査方向における距離x0を計算し、所定の記憶領域にデータとして保存しておく。距離x0は、媒体位置情報の一種である。
上記のように、対象画像上において指定された測色位置(xS,yS)に基づいて、印刷用紙Nの搬送距離と測色部26aの移動距離とを算出する点で、プリンタ20は、特許請求の範囲に言う決定手段を備えていると言える。
S620では、測色コントロールIC26は、測色部26aに対して測色を開始することを指示する開始コマンドを送信し、測色部26aに1つの測色位置の測色を開始させる。上記開始コマンドには、測色コマンドが指定している測色のための各種条件(測色結果の出力形式(Lab)や、印刷用紙の背景色や、色検出部26a1の視野角などの条件。)を含むものとし、かかる各種条件も測色部26aに対して指示する。S625では、測色部26aは、上記移動後の位置において測色動作を行い測色値を取得する。
S635では、測色コントロールIC26は、測色部移動機構26bに指示を出して測色部26aを初期位置に移動させ、S640では、押さえ板駆動機構26cに指示を出して押さえ板を上昇させる。そしてS645では、測色コントロールIC26は、上記保存した1つの測色位置の測色値を、プリンタコントロールIC25に対して送信する。上述したようにプリンタコントロールIC25の側では、S370において、測色コントロールIC26から送信される測色値を受信する。上記のように、搬送距離D1に基づいて印刷用紙Nを搬送し、また、移動距離D2に基づいて測色部26aを移動させるとともに測色部26aにより測色を実行させる点で、プリンタ20は、搬送手段と測色制御手段とを備えていると言える。
このようにコンピュータ10は、上記アプリケーション画面18a1を介してユーザによって任意に指定された対象画像上の測色位置の測色値を取得したら、S120(図4を参照)に進む。
S120では、コンピュータ10は、上記S115でプリンタ20から取得した測色値と、上記S100において設定済みの基準色彩値(Lab値)との色差ΔEを算出する。むろん、複数箇所の測色位置が指定されている場合には、測色位置毎に測色値と基準色彩値とを比較し、それぞれ色差ΔEを算出する。色差ΔEの算出には、CIE1976、CIE1994、CIE2000の各色差式など、いずれを用いるとしてもよい。
S125では、コンピュータ10は、上記算出した色差ΔEが上記S100において設定済みの許容色差ΔE以下であるか否か判断する。上記算出した色差ΔEが許容色差ΔE以下の場合は、上記指定された測色位置に対応する印刷結果の色が正常であると判断し、S130に進む。逆に、許容色差ΔEを越えている場合は、上記指定された測色位置に対応する印刷結果の色が異常であると判断し、S135に進む。複数箇所の測色位置毎に色差ΔEを算出した場合には、全ての色差ΔEが許容色差ΔE以下である場合に、S130に進むものとする。上記S120およびS125の処理を実行可能な点で、コンピュータ10はその機能の一つとして、特許請求の範囲に言う判断手段を備えると言える。
S140の後には、コンピュータ10は、再度S110以降の処理を繰り返す。
S130では、コンピュータ10は、測色位置の色が正常であると判断された部数が、予め設定されている所定の印刷部数に達したか否か判断し、達した場合にはコンピュータ10はS145に進み、専有解除コマンドをプリンタ20に送信して処理を終了し、一方、達していない場合はS120以降の処理を繰り返す。つまり、正常と判断されずS140を経て再印刷した場合、正常と判断されなかった印刷結果については部数のカウントから除外する。
次に、上記専有コマンドを用いたコンピュータ10によるプリンタ20の専有について説明する。
図13は、コンピュータ10(APL14a)から専有コマンドを受信したプリンタ20が実行する処理をフローチャートにより示している。
S800では、プリンタ20は受信した専有コマンドが専有開始コマンドと専有解除コマンドとJOB情報要求コマンドとの何れであるか判別し、判別したコマンドの種類に応じて処理を分岐する。
専有解除コマンドを受信した場合には、S830においてプリンタ20は、上記特定の記憶領域に保存していたI/F名を消去する。かかる消去後プリンタ20は、上記消去したI/F名にかかるI/F(通信I/F24)を介して専有開始コマンドの受信から専有解除コマンドの受信の間に受信した各コマンドに応じて実行した処理の内容を記したJOB情報を、所定の記憶装置に保存する(S840)。JOB情報とは、印刷から測色の完了までに要した時間や、印刷物の枚数、インク使用量などが該当する。JOB情報はS820で保存したJOB名と対応付けて保存しておいてもよい。
プリンタ20は、上記特定の記憶領域にI/F名が保存されているか否かを常時判断しており(S900)、保存されている場合には当該保存されているI/F名にかかるI/Fを受信I/Fとして指定し(S970)、この指定したI/Fだけからコマンドを受信する(S980)。すなわち、プリンタ20はいずれかの指示出力元から専有開始コマンドを受信した後は、当該専用開始コマンドを受信したI/F名を保存するとともにこの保存にかかるI/Fのみを用いて外部からコマンドを受信する。このようなI/Fの限定は、上記保存にかかるI/Fを介して専有解除コマンドを受信し、上記特定の記憶領域からI/F名を消去しない限り継続する。
なお、APL14aが専有開始コマンドを送信した後、種々の要因によってコンピュータ10やAPL14aにエラーが発生し、APL14aが専有解除コマンドをプリンタ20に送信できない事態も考えられる。そこで、プリンタ20は、専有開始コマンドを受信した後、所定の時間(例えば、設定部数の対象画像についての印刷と測色と評価とを終えるために充分な時間として設定された時間)が経過した場合には、リセット信号を自ら生成するとしてもよい。当該リセット信号を生成した場合には、プリンタ20は、専有解除コマンドを受信した場合と同様の状況であるとみなし、上記特定の記憶領域に保存していたI/F名を消去する。また、プリンタ20は、上記所定の時間の経過に基づく判断に加え或いは代えて、専有開始コマンドを受信した後にユーザから所定の操作をされた場合に上記リセット信号を生成して上記特定の記憶領域に保存していたI/F名を消去するとしてもよい。かかる構成とすることで、一つの指示出力元によってプリンタ20が不当に専有され続けることを防止できる。また、ユーザが所望したタイミングにて容易にAPL14aによるプリンタ20の専有状態を解くことができる。
コンピュータ10は、上記基準色彩値をアプリケーション画面18a1を介したユーザの入力に応じて取得する以外にも、例えば以下のように取得可能である。
コンピュータ10は、上記指定にかかる測色位置の色の基準色としての色標本(カラーチップ)をプリンタ20に測色させることにより、当該色標本の測色値を入力し、この入力した測色値を基準色彩値とするとしてもよい。この場合ユーザは、サムネイル表示18a11上で指定する測色位置の色に対する理想色を表すものとして用意した色標本を、プリンタ20の斜面29a上であって色検出部26a1の移動経路下となる所定位置に貼り付け、かかる準備をした上でコンピュータ10を操作する。コンピュータ10は、プリンタ20に対して上記色標本の測色指示を送信し、当該測色指示を受けたプリンタ20は、測色部26aを移動させて色標本を測色させ、その測色結果(Labデータ)をコンピュータ10に送信する。コンピュータ10は、受信した色標本の測色結果を、アプリケーション画面18a1の入力欄18a14に表示することができる。かかる構成とすれば、入力欄18a14へのユーザの入力間違いが原因で、誤った基準色彩値をコンピュータ10が認識してしまうことが防がれ、コンピュータ10は、上記指定にかかる測色位置の色に対する理想値としての基準色彩値を確実に取得できる。
同図のアプリケーション画面18a1では、対象画像全体を表したサムネイル表示18a11とは別に、サムネイル表示18a11上のマウスポインタMPの位置を含んだ限定的範囲を拡大表示18a17にて表した様子を示している。また、拡大表示18a17内では、マウスポインタMPを中心とした測色予定範囲Cを示している。測色予定範囲Cは、色検出部26a1による検出範囲の大きさを示している。コンピュータ10は、拡大表示18a17および測色予定範囲Cの表示を、例えば、サムネイル表示18a11上でのマウスポインタMPの動きと連動して行なう。このような拡大表示18a17と測色予定範囲Cの表示を行なえば、ユーザは自分が画像上のどの位置を指定しようとしているのかを明確に認識できるため、真に測色させたい画像上の色を確実に指定することができる。
D3=dHM+dMD−(yH−yS) …(3)
プリンタコントロールIC25は、上記搬送距離D3に従って印刷用紙を搬送する処理を紙送り機構25dに実行させた上で、測色コントロールIC26に強制乾燥コマンドを送信する。測色コントロールIC26は、受信したコマンドが強制乾燥コマンドである場合、当該コマンドが規定する乾燥時間や温風の温度、強さ等に従って乾燥機26dの駆動を制御し 印刷用紙の乾燥範囲HR下に搬送されている部分を強制的に乾燥させる。強制乾燥中には、測色コントロールIC26は押さえ板駆動機構26cに指示を出し、押さえ板によって印刷用紙を押さえさせてもよい。図11に示すように測色位置が複数指定されている場合には、プリンタ20は、印刷用紙の搬送距離の算出および搬送と、搬送後の強制乾燥とを各測色位置を対象として繰り返す。
このように本実施例によれば、コンピュータ10は、アプリケーション画面18a1に示した対象画像のサムネイル表示18a11上で任意に指定された測色位置や、基準色彩値や、許容色差ΔEを受付け、測色機能を備えたプリンタ20に、印刷コマンド、測色位置定義コマンド、乾燥コマンド、測色コマンドを送信し、プリンタ20は、印刷コマンドに応じて対象画像を印刷媒体に印刷し、乾燥コマンドに応じて対象画像を乾燥させ、測色位置定義コマンドに定義された印刷用紙上の測色位置(xS,yS)の情報に基づいて印刷用紙の搬送距離を自動的に計算し、この計算した距離に応じて測色部26aに対して印刷用紙を搬送し、かつ上記測色位置(xS,yS)の情報に基づいて測色部26aの移動距離を計算し、当該計算した移動距離に応じて測色部26aを移動させた上で測色部26aに測色をさせる。つまり本実施例を用いれば、ユーザはアプリケーション画面18a1にて所定の入力操作をすれば後は自動的に、画像の印刷、乾燥、さらには画像上の各位置のうち自分の好みに応じて選択した位置の測色値の取得という一連の作業を、正確かつ短時間で実行させることができる。また、上記一連の作業中においては、コンピュータ10のAPL14aがプリンタ20を専有しているため、他の指示出力元からの割込みで上記一連の作業が中断してしまうことも無い。
本実施例によれば、ユーザは画像上の測色位置を好きなように指定でき、かつ指定した位置が正確に測色される。そのため、画像の中の特に重要なポイントの色(例えば、ポスターやチラシ内の企業ロゴの色など)を確実に測色でき、かつ色を評価できる。つまり、印刷物が理想的な色にて印刷されているか否かを、画像中の特に重要なポイントの色を評価することにより判断できるため、色評価の結果は極めて信頼性の高いものとなる。
Claims (8)
- 所定の画像上における測色位置の指定を受付ける受付手段と、
所定の紙送り方向に搬送される印刷媒体に対して、上記所定の画像を表す画像データに基づき、印刷ヘッドによって画像を印刷させる印刷制御手段と、
上記印刷ヘッドよりも上記紙送り方向下流側の所定位置に配設された測色部と、
上記測色部よりも上記紙送り方向下流側の所定位置に配設された乾燥手段と、
印刷された印刷媒体を上記測色部によって測色させる前に上記乾燥手段によって乾燥させる場合には、印刷された印刷媒体を乾燥手段の配設位置まで上記紙送り方向に搬送し、かつ、乾燥手段によって乾燥された印刷媒体を乾燥手段の配設位置から測色部の配設位置まで上記紙送り方向の逆方向に搬送し、印刷された印刷媒体を上記測色部によって測色させる前に上記乾燥手段によって乾燥させない場合には、印刷された印刷媒体を上記乾燥手段の配設位置を経由させることなく上記測色部の配設位置まで上記紙送り方向に搬送する搬送手段と、
上記搬送手段によって搬送された印刷媒体を測色部に測色させることにより上記指定にかかる測色位置の測色値を取得する測色制御手段とを備えることを特徴とする印刷測色制御装置。 - 上記受付手段は、所定の入力画面に画像のサムネイル表示を行なうとともに、当該サムネイル表示上で任意に選択された測色位置を受付け可能であることを特徴とする請求項1に記載の印刷測色制御装置。
- 上記受付手段は、上記指定にかかる測色位置の色の基準値を取得し、
上記測色制御手段によって取得された測色値と上記基準値とを比較し、当該比較結果に基づいて上記指定にかかる測色位置の印刷結果の色が正常であるか否か判断する判断手段をさらに備えることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の印刷測色制御装置。 - 上記測色部に上記指定にかかる測色位置の色の基準色としての色標本を測色させるとともに当該色標本の測色値を受付け、この測色値を上記指定にかかる測色位置の色の基準値とする手段と、
上記測色制御手段によって取得された測色値と上記基準値とを比較し、当該比較結果に基づいて上記指定にかかる測色位置の印刷結果の色が正常であるか否か判断する判断手段をさらに備えることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の印刷測色制御装置。 - 上記画像データ中の上記指定にかかる測色位置に対応する成分値に基づいて上記指定にかかる測色位置の色の基準値を生成する手段と、
上記測色制御手段によって取得された測色値と上記基準値とを比較し、当該比較結果に基づいて上記指定にかかる測色位置の印刷結果の色が正常であるか否か判断する判断手段をさらに備えることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の印刷測色制御装置。 - 上記受付手段は、上記指定にかかる測色位置の測色値と基準値とのずれの許容範囲を取得し、
上記判断手段は、上記測色制御手段によって取得された測色値と基準値とのずれが上記許容範囲内である場合には、上記指定にかかる測色位置の印刷結果の色が正常であると判断することを特徴とする請求項3〜請求項5のいずれかに記載の印刷測色制御装置。 - 上記判断手段によって上記指定にかかる測色位置の印刷結果の色が正常でないと判断された場合、上記印刷制御手段は、印刷に用いる印刷ヘッドの回復動作及び又は上記画像データに基づいて印刷ヘッドが吐出するインク量を上記比較結果に応じて補正する補正処理を実行した上で再度、画像データに基づいて印刷媒体に画像を印刷させることを特徴とする請求項3〜請求項6のいずれかに記載の印刷測色制御装置。
- 所定の画像上における測色位置の指定を受付ける受付工程と、
所定の紙送り方向に搬送される印刷媒体に対して、上記所定の画像を表す画像データに基づき、印刷ヘッドによって画像を印刷させる印刷制御工程と、
上記印刷ヘッドよりも上記紙送り方向下流側の所定位置に測色部が配設され、かつ当該測色部よりも上記紙送り方向下流側の所定位置に乾燥機が配設された状況において、印刷された印刷媒体を上記測色部によって測色させる前に上記乾燥機によって乾燥させる場合には、印刷された印刷媒体を乾燥機の配設位置まで上記紙送り方向に搬送し、かつ、乾燥機によって乾燥された印刷媒体を乾燥機の配設位置から測色部の配設位置まで上記紙送り方向の逆方向に搬送し、印刷された印刷媒体を上記測色部によって測色させる前に上記乾燥機によって乾燥させない場合には、印刷された印刷媒体を上記乾燥機の配設位置を経由させることなく上記測色部の配設位置まで上記紙送り方向に搬送する搬送工程と、
上記搬送された印刷媒体を測色部に測色させることにより上記指定にかかる測色位置の測色値を取得する測色制御工程とを備えることを特徴とする印刷測色制御方法。
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