JP4957323B2 - 印刷測色制御装置、測色制御方法および測色制御プログラム - Google Patents
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Description
特に、用紙に印刷済みの印刷画像を、上記のような測色機能部を併せ持つプリンタに供給して測色しようとする場合、画像の位置合わせも含めて正確かつ容易に測色する術が存在しなかった。
すなわち本発明によれば、測色対象画像を印刷済みの印刷媒体を用紙セット位置に供給すれば、測色部に測色対象画像を測色させる際の位置を自動的に計算し、この計算した位置に基づいて用紙セット位置からの印刷媒体の搬送および測色部による測色を実行する。従って、ユーザが任意に用意した印刷物を対象とした当該印刷物のセットから測色結果の取得までの一連の作業を、上記印刷測色制御装置を用いて、測色位置のずれを無くして正確に行なうことが可能となる。
上記入力画面においては、測色対象画像の印刷位置を示す情報以外にも、測色対象画像が印刷されている印刷媒体のサイズや、測色対象画像の種類等、各種情報を入力可能としてもよい。また、入力画面の所定位置には、各種入力した情報に基づいて、印刷媒体の範囲と印刷媒体上での測色対象画像とを重ねてグラフィック表示する等してもよい。
(1)本発明の実施形態の概略構成
(2)既存印刷物の測色処理
(3)測色位置の補正
(4)プリンタの専有
(5)他の実施例
(6)まとめ
図1は、本発明の実施形態にかかるコンピュータ10およびプリンタ20を示している。ここで、特許請求の範囲に言う印刷測色制御装置とは、コンピュータ10とプリンタ20とからなるシステムを指すこともあれば、プリンタ20単体を指すこともある。
コンピュータ10では、演算処理の中枢をなすCPU11がシステムバス10aを介してコンピュータ10全体を制御する。バス10aには、ROM12、RAM13、各種インターフェース(I/F)17a〜17cが接続され、ハードディスクドライブ(HDDRV)15を介してハードディスク(HD)14が接続されている。HD14にはオペレーティングシステム(OS)やアプリケーションプログラム(APL)14a等が記憶されており、これらはCPU11によって適宜RAM13に転送され実行される。I/F17aには所定の画像データに基づいて当該データに対応する画像を表示するディスプレイ18aが接続され、I/F17bにはキーボード18bやマウス18cが接続され、プリンタI/F17cには例えばシリアルI/Fケーブルを介してプリンタ20が接続されている。
なお、プリンタ20としては、サーマル式や昇華型など他の仕組みで印刷画像を形成するものや、ラインヘッド方式のプリンタを採用してもよい。
プリンタ20は、本体29の頭頂部付近に印刷用紙M(ロール紙)を収容可能であり、この印刷用紙Mを本体29前方側に形成された斜面29aに略沿わせて図中の紙送り方向に搬送する。斜面29aの所定位置にはケーシング27が設置されている。ケーシング27内には印刷ヘッド25aが収容される。印刷ヘッド25aは不図示の上記ガイドレールに沿って、図2の表面に対して垂直な方向(上記主走査方向)に移動する。また、印刷ヘッド25aにはカッター25a1が取り付けられており、カッター25a1は印刷ヘッド25aとともに往復動する。本実施形態では、上記ロール紙の代わりに、一枚一枚切断されている印刷用紙N(単票紙)を、同図に示す給紙方向からケーシング27と斜面29aとの間に差し込むことにより、この印刷用紙Nを斜面29aに略沿わせて紙送り方向に搬送することも可能である。
上述したように印刷測色制御装置は、画像の印刷、乾燥、測色といった各処理を実行するのに適した装置であるが、そのような利用態様とは別に、測色機能を利用して既存印刷物を測色することも可能である。ここで言う既存印刷物とは、プリンタ20や、プリンタ20とは別機体のプリンタや、色再現の基準機となる印刷機などによって既に印刷された印刷物であって、一枚一枚が分離した状態(単票紙)のものを言う。
以下では、印刷測色制御装置の構成を用いて実行可能な1つの処理例として、既存印刷物の測色処理について説明する。
ステップS(以下、ステップの記載を省略。)100では、コンピュータ10は、これから実行する処理のモードの選択を受け付ける。例えば、ユーザの操作に応じて所定のモード選択用の画面をディスプレイ18aに表示し、このモード選択用の画面を介して複数のモードのうち一つのモードの選択を受け付ける。S100において選択可能なモードとしては、画像の印刷と乾燥と測色を連続して実行するモードや、画像の印刷と乾燥を連続して実行するモードや、既存印刷物の測色を実行するモード(既存印刷物測色モード)等が存在する。本実施形態では、S100において既存印刷物測色モードが選択される。
次にS120の処理を説明する前に、コマンドの送信を受けたプリンタ20側の処理の一部について説明する。
コンピュータ10からプリンタ20に送信されるコマンドは通信I/F24を介してプリンタ20に入力されるとともに、全てプリンタコントロールIC25に入力されて、プリンタコントローラによる処理対象となる。プリンタコントロールIC25は、コンピュータ10からのコマンドを受信(S200)すると、S205では、上記受信したコマンドの種類を判別し、判別したコマンドの種類に応じて以後の処理を分岐する。上記S100において既存印刷物測色モードが選択されている場合には、コンピュータ10からは専有コマンドとチャート定義コマンドと測色コマンドとの何れかが送信される。そのため、同図ではこの3種のコマンド以外のコマンド(印刷コマンドや乾燥コマンド)に対応する分岐については省略している。
S300では、プリンタ20は受信した専有コマンドが専有開始コマンドと専有解除コマンドとJOB情報要求コマンドとの何れであるか判別し、判別したコマンドの種類に応じて処理を分岐する。
専有開始コマンドを受信した場合には、S305においてプリンタ20は当該専有開始コマンドを受信したI/F名(またはI/Fを一意に識別するためのIDなど)を特定の記憶領域に保存する。図1では、コンピュータ10(APL14a)との通信に用いる通信I/F24以外のI/Fの図示を省略しているが、プリンタ20は通信I/F24以外にも、APL14a以外の外部の指示出力元(PCやプログラム)との通信に対応した各種I/Fを備えているものする。プリンタ20は各I/Fに対して予め番号を割り振ってこの番号をI/F名としている。上記S200で受信した専有開始コマンドは通信I/F24を介して受信されているため、プリンタ20は通信I/F24に予め割り振っていた番号nをI/F名として特定の記憶領域に保存する。
S315では、プリンタ20は上記受信した専有開始コマンドが、既存印刷物測色モードを指示するコマンドであるか否か判断する。この場合、属性情報に含まれているモード種類にかかる情報が既存印刷物測色モードを示しているか否かにより判断を行なう。
専有開始コマンドが既存印刷物測色モードを指示している場合には、プリンタ20は、印刷用紙が所定位置(第1セット位置)に給紙されるまで待機し(S320)、S325において給紙されたと判断した場合に、S330以降の処理に進む。
なお、受信した専有コマンドが専有解除コマンドかJOB情報要求コマンドである場合には、プリンタ20は、S340またはS350の処理に進むが、かかる処理については後述する。
同図は、予めプリンタ20によって印刷したチャート画像を示している。チャート画像は、主走査方向および紙送り方向それぞれに複数のカラーパッチPを並べてなるチャート領域とチャート領域の周囲を取り囲む印刷安定化領域とによって構成された画像であり、印刷用紙Nに印刷されている。かかる既存印刷物は、図4の処理より前に予め取得しておく。つまり、コンピュータ10は、チャート画像を表す印刷データ(ラスタデータ)を含む印刷コマンドと乾燥コマンドとをプリンタ20に送信する。すると、プリンタ20は、印刷コマンドに応じて印刷用紙M(ロール紙)にチャート画像を印刷し、次に乾燥コマンドが指示する時間に応じて印刷後のチャート画像を乾燥させ、さらに、乾燥後のチャート画像が印刷された用紙部分を、印刷用紙Mから印刷ヘッド25aに設けたカッター25a1にて切り離す。印刷用紙Mの切断は、印刷用紙Mに対しカッター25a1の刃先が到達する位置までカッター25a1を斜面29a方向に突出させた上で印刷ヘッド25a(カッター25a1)を往復動させることにより可能である。その結果、印刷用紙N(単票紙)に印刷されたチャート画像が得られる。カッター25a1は、不使用時には印刷ヘッド25aの所定部位内に収容されており、用紙を切断するときだけ外部に露出させる機構となっている。むろん、上記チャート画像は、プリンタ20とは別機体のプリンタや、上記印刷機によって印刷したものであってもよい。
S120では、コンピュータ10はプリンタ20に対して既存印刷物の測色指示を行うとともに、この測色指示に応じてプリンタ20が測色した既存印刷物の測色値を取得する。ここで言う測色指示とは、基本的にはチャート定義コマンドと測色コマンドとを生成し送信する処理を言う。
S400では、コンピュータ10は上記用紙セット位置にセットされた既存印刷物(チャート画像)についてのチャート定義情報を生成する。チャート定義情報とは、印刷用紙上での測色対象画像の印刷位置等を定義した情報である。本実施形態では、コンピュータ10は、所定の入力画面(アプリケーション画面)をディスプレイ18aに表示し、当該アプリケーション画面を介して測色対象画像としてのチャート画像(チャート領域)の位置等の情報を入力することによりチャート定義情報を生成する。かかるS400の処理を実行する点で、コンピュータ10はその機能の一部として位置情報取得手段を提供すると言える。
アプリケーション画面18a1においては、使用するプリンタ、用紙サイズ、給紙方法、オートカット(カッター25a1による用紙の切断)の要否、用紙の上下左右端における各マージン、チャート画像の種類、チャート領域の位置(xP,yP)等の各種情報を選択または設定させるための表示を行なう。ユーザは、キーボード18b等を操作してこれら各種情報を選択または設定する。例えば、上下左右端の各マージン(図7を参照。)であれば、ユーザは過去にチャート画像を印刷したときに設定した各マージンの値を入力する。また、チャート領域の位置(xP,yP)は、チャート画像の画像領域内におけるチャート領域の開始点PSの位置を意味する。図7を参照して説明すると、xPは、チャート画像の画像領域の開始点GPと上記開始点PSとの主走査方向における差であり、yPは開始点GPと開始点PSとの紙送り方向における差である。かかるチャート領域の位置(xP,yP)についても、ユーザは過去にチャート画像を印刷したときに設定しているため、そのような設定した値を入力する。チャート領域の開始点PSとは、チャート領域の縁の点であって紙送り方向を向いたときの先頭左端の点を言い、チャート画像の画像領域の開始点GPとは、チャート画像の画像領域の縁の点であって、紙送り方向を向いたときの先頭左端の点を言う。また、以下で用紙原点と言った場合には、用紙の縁の点であって紙送り方向を向いたときの先頭左端の点を言う。
チャート画像を構成するパッチの縦横サイズ(hP,wP)、チャート領域の1行あたりのパッチ数(nP)、チャート領域のパッチ行数(mL)については、チャート画像の種類毎に予め規定されているため、チャート画像の種類が選択されれば自動的に決まる。アプリケーション画面18a1では、図9に示すように、上記各情報に基づいて印刷用紙の範囲(用紙サイズ)とその中に配置されるチャート画像とを示したプレビュー表示18a11を行う。
S410では、コンピュータ10は上記生成したチャート定義情報を含むチャート定義コマンドを生成するとともに、当該チャート定義コマンドをプリンタI/F17cを介してプリンタ20に対し送信する。
S420では、コンピュータ10は測色コマンドを生成し、これをプリンタI/F17cを介してプリンタ20に対し送信する。測色コマンドは、用紙セット位置にセットされた用紙をその測色対象部分が測色部26aの移動経路下に来るように搬送するとともに、測色対象部分を測色部26aによって測色することをプリンタ20に指示するものである。測色コマンドには、測色部26aに測色を実行させる際の各種条件、例えば、測色結果の出力形式(Lab/xyz/スペクトルなど)や、印刷用紙を挟んで測色部26aの反対側に位置する斜面29a側の色(背景色と言う。白または黒。)や、色検出部26a1の視野角(2度または10度)を指定する情報を含ませる。コンピュータ10は、かかる測色条件の設定を、APL14aに予め設定された値を使用して行なうか、またはユーザの入力操作に基づいて行う。
S440では、コンピュータ10は、チャート画像のチャート領域を構成する全てのパッチについての測色値を受信したか否か判断し、全ての受信を完了したと判断した場合、S450では上記受信した各パッチの測色値をHD14に保存する。
プリンタコントロールIC25は、チャート定義コマンドを受信した場合、S200,205を経て、S210において、チャート定義コマンドからチャート定義情報を抽出し、抽出したチャート定義情報を所定の記憶領域に保存する。チャート定義情報は、後述の測色処理の際に必要となる情報であるため、コンピュータ10は測色コマンドの送信に先立ってチャート定義コマンドを送信し、プリンタ20はチャート定義情報を取得しておく。
次に、S220では、チャート画像のチャート領域を構成するパッチ行のうち測色対象とする行を1つ設定する。最初は1行目(用紙原点に最も近い行)を測色対象行として設定する。
S225では、プリンタコントロールIC25は、用紙セット位置にセットされている印刷用紙N上の測色対象行を測色部26aに測色させるために必要な、印刷用紙Nの搬送距離D1をチャート定義情報等に基づいて算出する。
D1=dHM−(yH−yS)+hP/2 …(1)
dHMは、紙送り方向における印刷ヘッド25aと測色部26aの色検出部26a1との距離である。プリンタ20の製品設計上、dHMは固定値であり、プリンタ20は所定の記憶領域にdHMをデータとして予め有している。
ySは、用紙原点とチャート領域の先頭パッチとの紙送り方向における距離であり、hPはチャート領域を構成するパッチの縦(紙送り方向)の長さであり、これらはいずれもチャート定義情報に規定されている。
S235では、プリンタコントロールIC25は測色コマンドを測色コントロールIC26に送信する。この場合、プリンタコントロールIC25はチャート定義情報とともに測色コマンドを送信する。この結果、測色コントロールIC26の側で測色コマンドに応じた処理を行うことが可能となる。
S250では、プリンタコントロールIC25は、チャート画像のチャート領域を構成する全てのパッチ行について測色値の保存を終了したか否か判断し、未処理のパッチ行がある場合にはS220に戻り、測色対象行を1行更新して設定し、S245までの処理を繰り返す。パッチの行数mLはチャート定義情報に規定されている。チャート領域の2行目以降の測色はパッチの縦の長さ分だけ用紙を搬送すればよいので、測色対象行がチャート領域の2行目以降であるときには、搬送距離D1=hPと設定する。一方、全ての行について測色値の保存を終了した場合にはプリンタコントロールIC25は、チャート画像のチャート領域を構成する全てのパッチの測色値を通信I/F24を介してコンピュータ10に送信する(S255)。
測色コントロールIC26は、測色部26aだけでなく乾燥機26dに対する制御をも担う。そのため、選択されたモードによっては、プリンタ10から送信された強制乾燥コマンド(乾燥コマンドの一種であり、乾燥機26dを駆動させて印刷物を強制的に乾燥させることを指示するコマンド。)を、プリンタコントロールIC25を介して受け取ることがある。しかし、本実施形態のように既存印刷物測色モードが選択されている状況においては、コンピュータ10から乾燥コマンドが送信されることはない。そこで図11では、測色コントロールIC26が実行する処理のうち、測色コマンドに応じて実行する処理のみ示し、強制乾燥コマンドに応じて実行する処理は省略している。
S505では、測色コントロールIC26は測色部26aにキャリブレーションを実行させる。本実施形態では、初期位置に待機する測色部26aの色検出部26a1と相対する位置に、完全白色板としての白タイルを設置しており、測色処理を開始するにあたってまず測色部26aに当該白タイルを測色させる。測色部26aは、白タイルの測色結果と予めデータとして備えている当該白タイルの測色結果の基準値とを比較して両値の差異を取得し、この差異に基づいて測色部26aは測色結果に対する補正値を生成する。以降、測色部26aは測色によって取得した測色値を当該補正値によって補正した上で、測色コントロールIC26に出力することになる。
D2=xS+x0−dxM+wP/2 …(2)
x0は、図10に示すように、プリンタ20のメカ原点から用紙原点までの主走査方向における距離を表している。プリンタ20は、機体の特定位置をメカ原点として予め定めている。プリンタ20は、例えば、印刷用紙Nが用紙セット位置にセットされたときに所定のセンサによって用紙原点を検出するとともに、メカ原点から用紙原点までの主走査方向における距離x0を計算し、所定の記憶領域にデータとして保存しておく。距離x0は、媒体位置情報の一種である。
一方、移動距離D3は式(3)
D3=xE−xS …(3)
によって算出できる。
S520では、測色コントロールIC26は、測色部26aに対して測色を開始することを指示する開始コマンドを送信し、測色部26aにチャート領域の1行分の測色を開始させる。このとき同時に、測色部移動機構26bに対して、移動距離D3の分だけ測色部26aを主走査往路方向に移動させることを指示する。上記開始コマンドには、測色コマンドが指定している測色のための各種条件(測色結果の出力形式(Lab)や、印刷用紙Mの背景色や、色検出部26a1の視野角、測色周期などの条件。)を含むものとし、かかる各種条件も測色部26aに対して指示する。測色周期は測色部移動機構26bによって測色部26aが1パッチ幅wPを通過する時間であり、測色部26aの移動速度とパッチ幅wPから計算される。
S530では、測色コントロールIC26は測色部26aに1行分の全パッチを測色させたか否か判断する。当該判断は、例えば測色部移動機構26bから、測色部26aの移動距離D3分の移動を終えたことを知らせる信号を受けることによって可能である。測色部26aに1行分の全パッチを測色させたと判断した場合には、測色コントロールIC26は、測色部26aに測色した測色値を出力させ、これを所定の記録領域に保存する(S535)。
このように、コンピュータ10は、既存印刷物としてのチャート画像の全パッチの測色値を取得したら、S130(図4を参照)において、プリンタ20に対して専有解除コマンドを送信し、既存印刷物測色モードにかかる処理を終了する。
ここで、プリンタ20に給紙された既存印刷物は、用紙セット位置に配置されたときに正確に紙送り方向を向いていることが理想であるが、実際には、紙送り方向に対して若干の傾きをもって配置されることもあり得る。かかる傾きが生じている場合、上記式(1)にて算出した搬送距離D1に応じて印刷用紙Nを搬送し、搬送後の印刷用紙Nの上で測色部26aを主走査方向に移動させても、測色対象行を構成する各パッチの上を正確に測色部26aが通過しない事態となり得る。そこでプリンタ20は、上記用紙セット位置における印刷用紙Nの傾きを検知し、この傾きの程度に応じて、測色部26aと印刷用紙Nとの位置関係を補正するとしてもよい。
同図では、紙送り方向に対して垂直な2点鎖線の位置によって用紙セット位置を示している。印刷用紙Nの傾きが0の場合は、印刷用紙Nの先端(用紙先頭)の直線が上記2点差線と一致する。しかし傾きが生じている場合には、印刷用紙Nの先端の右端と左端との一方が上記2点鎖線よりも紙送り方向の上流側に位置することとなる。なお、印刷用紙Nの先端の右端と左端との何れもが上記2点鎖線上に到達していない状態は、図6のS320における待機中やS335の搬送中に該当する。本実施形態では、プリンタ20は所定の紙検知用のセンサを用いて、紙送り方向における用紙セット位置と印刷用紙Nの先端との距離を、用紙セット位置上の2箇所に関して計測する。同図では、上記2点鎖線上にて所定距離(W)だけ離れた2箇所について、それぞれ印刷用紙Nの先端との距離を計測した場合を示しており、2箇所のうち紙送り方向を向いたときの左側箇所で計測した距離をDL、紙送り方向を向いたときの右側箇所で計測した距離をDRと表している。DLおよびDRを計測するタイミングは、図6のS325の後あるいはS335の後などが適当である。
具体的には、まずプリンタ20はDLとDRとの差分ΔDを求める。次に、W:ΔDの比と、上記チャート領域のパッチ行の主走査方向における長さ(wP×nP)とに基づいて、1つのパッチ行についての右端と左端とのずれ量ΔPを求める。同図では、1つのパッチ行(1行目のパッチ行)を図示している。ずれ量ΔPとは、同図に示すように、1つのパッチ行の左端の位置と右端の位置との紙送り方向におけるずれであり、印刷用紙Nの傾きが0であれば、ずれ量ΔPも0である。ここで、印刷用紙Nの傾きが非常に小さいものと想定すれば、
W:ΔD≒(wP×nP):ΔP …(4)
の関係が成り立つ。よって、上記関係式(4)に従ってずれ量ΔPを求める。
次に、プリンタ20は、上記ずれ量ΔPを2で割った値(ΔP/2)を、上記式(1)に従って算出した搬送距離D1に対する補正量とするとともに、上記DLとDRとの大小関係に応じて、搬送距離D1を補正量ΔP/2によって補正する。
なお図18(a)(b)では、便宜上、色検出部26a1の移動位置を紙送り方向においてずらして描いているが、実際には、色検出部26a1の紙送り方向における位置は一定であり、パッチの位置が紙送り方向において変化する。
なお、印刷用紙Nの傾きがあまりにも大きい場合には上記のような搬送距離の補正を行っても各行のパッチを全て正確に測色することは難しい。よって、プリンタ20は、上記求めたDLとDRとの差ΔDが所定のしきい値より大きい場合には、その旨をコンピュータ10に通知し、印刷用紙Nが傾いている旨の警告表示や警告音声出力等をコンピュータ10に実行させるとしてもよい。あるいは、プリンタ20自身が表示用のディスプレイを備える場合にはプリンタ20自身のディスプレイにおいて上記警告表示を行なっても良い。
次に、図6等を用いて専有コマンドによるプリンタの制御について説明する。
プリンタ20は、受信した専有コマンドが専有解除コマンドである場合には、上記S305にて特定の記憶領域に保存していたI/F名を消去する(S340)。かかる消去後プリンタ20は、上記消去したI/F名にかかるI/F(通信I/F24)を介して専有開始コマンドの受信から専有解除コマンドの受信の間に受けたコマンド(専有開始コマンドを含む)に応じて実行した処理の内容を記したJOB情報を、所定の記憶領域に保存する(S345)。JOB情報とは、例えば既存印刷物測色モードが選択されていた場合には、既存印刷物の給紙から測色の完了までに要した時間や、測色した用紙の枚数、インク使用量、認証結果の内容(認証結果の内容については後述する。)などが該当する。JOB情報はS310で保存したJOB名と対応付けて保存しておいてもよい。
プリンタ20は、上記特定の記憶領域にI/F名が保存されているか否かを常時判断しており(S900)、保存されている場合には当該保存されているI/F名にかかるI/Fを受信I/Fとして指定し(S970)、この指定したI/Fだけからコマンドを受信する(S980)。すなわち、プリンタ20はいずれかの指示出力元から専有開始コマンドを受信した後は、当該専用開始コマンドを受信したI/F名を保存するとともにこの保存にかかるI/Fのみを用いて外部からコマンドを受信する。このようなI/Fの限定は、上記保存にかかるI/Fを介して専有解除コマンドを受信し、上記特定の記憶領域からI/F名を消去しない限り継続する。
なお、APL14aが専有開始コマンドを送信した後、種々の要因によってコンピュータ10やAPL14aにエラーが発生し、APL14aが専有解除コマンドをプリンタ20に送信できない事態も考えられる。そこで、プリンタ20は、専有開始コマンドを受信した後、所定の時間(例えば、既存印刷物についての測色を終えるために充分な時間として設定された時間)が経過した場合には、リセット信号を自ら生成するとしてもよい。当該リセット信号を生成した場合には、プリンタ20は、専有解除コマンドを受信した場合と同様の状況であるとみなし、上記特定の記憶領域に保存していたI/F名を消去する。また、プリンタ20は、上記所定の時間の経過に基づく判断に加え或いは代えて、専有開始コマンドを受信した後にユーザから所定の操作をされた場合に上記リセット信号を生成して上記特定の記憶領域に保存していたI/F名を消去するとしてもよい。かかる構成とすることで、一つの指示出力元によってプリンタ20が不当に専有され続けることを防止できる。また、ユーザが所望したタイミングにて容易にAPL14aによるプリンタ20の専有状態を解くことができる。
プリンタ20によって測色する既存印刷物は図7に示したようなチャート画像に限られない。
図13は、既存印刷物の他の例を示している。この既存印刷物は、任意の画像(被認証画像と呼ぶ。)と、複数のカラーパッチPを並べてなるチャート(認証チャートと呼ぶ。)とを合成した画像(合成画像)を一枚の印刷用紙Nに印刷したものであり、かかる合成画像は、例えばプリンタ20によって、図4の処理より前に印刷しておく。
上記図7に示したチャート画像の代わりに、上記合成画像が印刷された印刷用紙Nをプリンタ20に給紙し測色する場合について説明する。合成画像においては、その認証チャートが測色対象画像となる。
この場合でもコンピュータ10は、図15に示すような所定の入力画面(アプリケーション画面18a2)をディスプレイ18aに表示し、当該画面を介して、使用するプリンタ、ページ数(プリンタ20に給紙された用紙の枚数)、用紙サイズ、給紙方法、用紙の上下左右端における各マージン、認証チャートの種類、認証チャートの位置(xP,yP)等の各種情報を入力する。例えば、上下左右端の各マージン(図13を参照。)であれば、ユーザは過去に合成画像を印刷するときに設定した各マージンの値を入力する。また、認証チャート領域の位置(xP,yP)は、合成画像の画像領域内における認証チャートの開始点PSの位置を意味する。図13を参照して説明すると、xPは、合成画像の画像領域の開始点GPと開始点PSとの主走査方向における差であり、yPは開始点GPと開始点PSとの紙送り方向における差である。かかる認証チャートの位置(xP,yP)についても、ユーザは過去に合成画像を印刷するときに設定しているため、そのような設定した値を入力する。アプリケーション画面18a2では、図15に示すように、上記各情報に基づいて印刷用紙の範囲(用紙サイズ)とその中に配置される合成画像のうち少なくとも認証チャートとを示したプレビュー表示18a21を行う。
S630では、コンピュータ10は、上記S620でプリンタ20から取得した認証チャートの各パッチの測色値について、それぞれ基準色彩値(Lab値)14fとの色差ΔEを算出するとともに、これら算出した各パッチについての色差ΔEの平均値(平均色差ΔEav)を算出する。コンピュータ10は、認証チャートを構成する各パッチについての理想的な色彩値を予め基準色彩値14fというデータとしてHD14に記憶しているため、HD14から基準色彩値14fを読み出して、対応するパッチの測色値と対比する。
基準色彩値14fは、上記印刷機によって印刷された認証チャートをプリンタ20によって測色して得られたデータである。
認証結果の印刷指示を受けたプリンタ20は、紙送り機構25dを制御することにより、上記認証結果を印刷すべき合成画像の画像領域内の所定位置が、印刷ヘッド25aの位置に合うように、印刷用紙Nを紙送り方向とは逆方向に搬送(バックフィードと言う。)する。そして、かかるバックフィード後、プリンタ20は、合成画像の画像領域内の所定位置に、例えば“認証済み 平均ΔE=○○ 最大ΔE=○○”等といった認証結果(○○の中は、上記平均色差ΔEav、最大色差ΔEmaxが入る。)を印刷する。
一方、S660では、コンピュータ10は、合成画像の画像領域内の所定位置に印刷結果が異常であった旨を示す認証結果を印刷することを、プリンタ20に対して指示する。コンピュータ10は例えば、プリンタ20に“認証不可 平均ΔE=○○ 最大ΔE=○○”という認証結果を印刷させる。S670では、コンピュータ10は、上記アプリケーション画面18a2で設定された全ページ数分の認証結果の印刷が終わったか否か判断し、未処理のページが残っている場合には、S620に戻り再び測色コマンドをプリンタ20に送信する。なお2回目以降のS620ではチャート定義コマンドを送信する必要はない。このように図14の処理によれば、コンピュータ10は、印刷用紙Nに被認証画像とともに印刷されている認証チャートのパッチの測色値の取得と、取得した測色値に基づく認証処理と、認証結果の印刷用紙Nへの印刷処理とを、複数枚の印刷用紙Nを対象としてプリンタ20を専有しながら連続して行うことができる。コンピュータ10は、S630〜660の処理を実行可能な点で、特許請求の範囲に言う判断手段を備えていると言える。
このように本実施例によれば、測色機能を備えたプリンタ20に対して、既存印刷物を給紙するとともに、プリンタ20に各種指示を出すアプリケーションによってプリンタ20にチャート定義コマンドおよび測色コマンドを出力すると、プリンタ20は、チャート定義コマンドに定義された印刷用紙上における測色対象画像の位置等の情報を用いて印刷用紙の搬送距離を自動的に計算し、この計算した距離に応じて測色部26aに対して印刷用紙を搬送し、かつ、チャート定義コマンドに定義された測色対象画像の位置等の情報に基づいて測色部26aの移動距離を計算し、当該計算した移動距離に応じて測色部26aを移動させながら測色処理を実行する。つまりユーザは、任意の既存印刷物をプリンタ20に給紙し、所定のアプリケーション画面にて入力をするだけで、後は自動的にプリンタ20によって既存印刷物の測色値を取得することができる。また、給紙から測色値取得までの一連の作業中においては、コンピュータ10のAPL14aがプリンタ20を専有しているため、他の指示出力元からの割込みで上記一連の作業が中断してしまうことも無い。
Claims (7)
- 所定の画像データに基づいて画像を印刷媒体に印刷可能であり、かつ印刷媒体に印刷された画像を測色可能な印刷測色制御装置であって、
複数のパッチが配列されてなるチャート画像が印刷されている印刷媒体を所定の用紙セット位置に配置させる印刷媒体セット手段と、
上記用紙セット位置における印刷媒体の傾きを検知する検知手段と、
上記チャート画像の印刷媒体上での印刷位置に基づいて、測色部にチャート画像における最初の測色対象となるパッチ行を測色させるために用紙セット位置から測色部に対して印刷媒体を搬送する際の搬送距離を算出する算出手段と、
上記算出された搬送距離を上記検知された傾きに基づいて補正する補正手段と、
上記補正された搬送距離に基づいて、上記用紙セット位置から印刷媒体を搬送させる搬送手段と、
上記チャート画像の印刷媒体上での印刷位置に基づいて測色部による測色位置を決定し、当該決定した位置に基づいて上記測色部に測色を実行させることによりチャート画像の測色値を取得する測色制御手段とを備えることを特徴とする印刷測色制御装置。 - 所定の入力画面を介して、少なくとも上記チャート画像の印刷媒体上での印刷位置を直接的または間接的に示す情報を入力する位置情報取得手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の印刷測色制御装置。
- 上記印刷媒体セット手段は、印刷媒体の縦幅と横幅との両方または一方を検出し、上記位置情報取得手段は、上記印刷媒体セット手段によって検出された情報に基づいて上記入力画面における表示内容および又は入力内容を制限することを特徴とする請求項2に記載の印刷測色制御装置。
- 上記チャート画像の印刷位置の情報を含む、印刷装置を作動させるための所定の指示情報を出力可能な指示手段と、この指示手段から入力した指示情報に応じた処理を実行する上記印刷装置とからなり、
上記指示手段は、上記印刷装置の専有を開始させる専有開始指示を印刷装置に出力し、かつ、専有開始指示を出力した後の所定のタイミングにて上記専有を解除させる専有解除指示を印刷装置に出力し、
上記印刷装置は、上記専有開始指示を受け付けてから所定の専有解除指示を受け付けるまでの期間においては、上記専有開始指示の出力元である指示手段からの出力のみに応じて上記印刷媒体セット手段と検知手段と算出手段と補正手段と搬送手段と測色部とを作動させることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の印刷測色制御装置。 - 上記測色部によって取得されたチャート画像の測色値と予め備えたチャート画像の基準色彩値とを比較し、当該比較結果に基づいて上記チャート画像の色が正常であるか否かを判断する判断手段をさらに備えることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の印刷測色制御装置。
- 所定の画像データに基づいて画像を印刷媒体に印刷可能であり、かつ印刷媒体に印刷された画像を測色可能な装置を用いた測色制御方法であって、
複数のパッチが配列されてなるチャート画像が印刷されている印刷媒体を所定の用紙セット位置に配置させる印刷媒体セット工程と、
上記用紙セット位置における印刷媒体の傾きを検知する検知工程と、
上記チャート画像の印刷媒体上での印刷位置に基づいて、測色部にチャート画像における最初の測色対象となるパッチ行を測色させるために用紙セット位置から測色部に対して印刷媒体を搬送する際の搬送距離を算出する算出工程と、
上記算出された搬送距離を上記検知された傾きに基づいて補正する補正工程と、
上記補正された搬送距離に基づいて、上記用紙セット位置から印刷媒体を搬送させる搬送工程と、
上記チャート画像の印刷媒体上での印刷位置に基づいて測色部による測色位置を決定し、当該決定した位置に基づいて上記測色部に測色を実行させることによりチャート画像の測色値を取得する測色制御工程とを備えることを特徴とする測色制御方法。 - 所定の画像データに基づいて画像を印刷媒体に印刷可能であり、かつ印刷媒体に印刷された画像を測色可能な装置に処理を実行させるプログラムであって、
複数のパッチが配列されてなるチャート画像が印刷されている印刷媒体を所定の用紙セット位置に配置させる印刷媒体セット機能と、
上記用紙セット位置における印刷媒体の傾きを検知する検知機能と、
上記チャート画像の印刷媒体上での印刷位置に基づいて、測色部にチャート画像における最初の測色対象となるパッチ行を測色させるために用紙セット位置から測色部に対して印刷媒体を搬送する際の搬送距離を算出する算出機能と、
上記算出された搬送距離を上記検知された傾きに基づいて補正する補正機能と、
上記補正された搬送距離に基づいて、上記用紙セット位置から印刷媒体を搬送させる搬送機能と、
上記チャート画像の印刷媒体上での印刷位置に基づいて測色部による測色位置を決定し、当該決定した位置に基づいて上記測色部に測色を実行させることによりチャート画像の測色値を取得する測色制御機能とを実行させることを特徴とする測色制御プログラム。
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