以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて具体的に説明する。
本発明の特徴は、トナー組成及びトナー形状にある。これらについて以下に説明する。
先ず、本発明の第1の特徴であるトナー組成について説明する。
本発明の第1の特徴であるトナー組成は、SO3X(X=H、アルカリ金属)基を含有する樹脂と、離型剤とを含有することを特徴とする。
本願に使用可能なSO3X(X=H、アルカリ金属)基を含有する樹脂の製造方法について以下に説明する。
SO3X(X=H、アルカリ金属)基を含有する樹脂は、側鎖にSO 3 X(X=H、アルカリ金属)基を導入した重合性単量体を用いて重合することによって得られるものであり、このような重合性単量体の単独重合、或は、ビニルモノマーの如き他の重合性単量体との共重合によって得られるものである。
このようなSO3X(X=H、アルカリ金属)基を含有する樹脂を製造するために好ましく用いられる側鎖にSO3X(X=H、アルカリ金属)基を有する重合性単量体としては、側鎖にSO3X(X=H、アルカリ金属)基を有するモノであれば特に限定するものではなく、以下に例示する重合性単量体が使用可能である。
具体的に、SO3X(X=H、アルカリ金属)基含有(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−ブタンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−ヘキサンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−オクタンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−ドデカンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−テトラデカンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−フェニルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2,2,4−トリメチルペンタンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルフェニルエタンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−(4−クロロフェニル)プロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−カルボキシメチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−(2−ピリジン)プロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−1−メチルプロパンスルホン酸、3−アクリルアミド−3−メチルブタンスルホン酸、2−メタクリルアミド−n−デカンスルホン酸、4−メタクリルアミドベンゼンスルホン酸等の酸、又はこれらの酸のナトリウム塩、カリウム塩等の金属塩等が挙げられる。
より好ましくは、スルホン酸基を含有する(メタ)アクリルアミド、又はこれらのナトリウム塩、カリウム塩等の金属塩が使用可能であり、更に好ましくは2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、又はこれらのナトリウム塩、カリウム塩等の金属塩であり、更に好ましくは2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、又はこれらのナトリウム塩、カリウム塩等の金属塩である。これらは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いても良い。
又、上記のSO3X(X=H、アルカリ金属)基含有(メタ)アクリルアミドと共重合可能なビニルモノマーの如き他の重合性単量体としては、具体的には、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−エチルスチレン、3−エチルスチレン、4−エチルスチレン、2−プロピルスチレン、3−プロピルスチレン、4−プロピルスチレン、2−イソプロピルスチレン、3−イソプロピルスチレン、4−イソプロピルスチレン、2−クロロスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロスチレン、2−メチル−α−メチルスチレン、3−メチル−α−メチルスチレン、4−メチル−α−メチルスチレン、2−エチル−α−メチルスチレン、3−エチル−α−メチルスチレン、4−エチル−α−メチルスチレン、2−プロピル−α−メチルスチレン、3−プロピル−α−メチルスチレン、4−プロピル−α−メチルスチレン、2−イソプロピル−α−メチルスチレン、3−イソプロピル−α−メチルスチレン、4−イソプロピル−α−メチルスチレン、2−クロロ−α−メチルスチレン、3−クロロ−α−メチルスチレン、4−クロロ−α−メチルスチレン、2,3−ジメチルスチレン、3,4−ジメチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,6−ジメチルスチレン、2,3−ジエチルスチレン、3,4−ジエチルスチレン、2,4−ジエチルスチレン、2,6−ジエチルスチレン、2−メチル−3−エチルスチレン、2−メチル−4−エチルスチレン、2−クロロ−4−メチルスチレン、2,3−ジメチル−α−メチルスチレン、3,4−ジメチル−α−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,6−ジメチル−α−メチルスチレン、2,3−ジエチル−α−メチルスチレン、3,4−ジエチル−α−メチルスチレン、2,4−ジエチル−α−メチルスチレン、2,6−ジエチル−α−メチルスチレン、2−エチル−3−メチル−α−メチルスチレン、2−メチル−4−プロピル−α−メチルスチレン、2−クロロ−4−エチル−α−メチルスチレンなどの芳香族系化合物が挙げられる。これらのビニル芳香族炭化水素単量体は、単独であっても、2種以上を組み合わせて用いても良い。
更に、本願のSO3X(X=H、アルカリ金属)基含有する樹脂を合成するために使用する重合性単量体としては、下記のような(メタ)アクリレート単量体の重合体を用いても良い。
(メタ)アクリレート単量体の具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ラウリル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−アミル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ラウリル等のメタクリル酸エステル類等が挙げられる。これらの(メタ)アクリレート単量体は、単独であっても、2種以上を組み合わせて用いても良い。
本願のSO3X(X=H、アルカリ金属)基含有する樹脂を合成する原料として、上述の中で好ましくはスチレンとアクリル酸、又は、スチレンとアクリル酸メチルである。
本願のSO3X(X=H、アルカリ金属)基含有する樹脂を製造する際に用いられる重合開始剤は本願発明の樹脂を製造できるものであれば特に限定するものではない。極性樹脂を製造する際に用いられる好ましい例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物;ジ−t−ブチルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、ラウリルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等の過酸化物類等が挙げられる。
重合開始剤の使用量は、目的とする重量平均分子量に併せて任意に選択することができ、具体的には重合開始剤の使用量は、単量体総重量100重量部に対して、0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部である。
本願のSO3X(X=H、アルカリ金属)基含有する樹脂の製造方法は、乳化重合、分散重合、懸濁重合、溶液重合等の何れの方法であっても良い。これらの中で重量平均分子量を適切に調整する観点から溶液重合が特に好ましい。
本願のSO3X(X=H、アルカリ金属)基含有する樹脂を製造する際の重合温度及び重合時間は、重合法や使用する重合開始剤の種類等により任意に選択できるが、通常約10〜200℃であり、重合時間は0.5〜20時間程度である。更に、重合に際しては通常知られている添加剤、例えばアミン等の重合助剤を併用することもできる。重合後の系から極性樹脂を回収する方法としては、貧溶剤に落とす方法、スチームで溶剤を除去する方法、減圧で除去する方法、加熱溶融で除去する方法、凍結乾燥する方法、高濃度で重合しそのままトナー重合系に添加する方法等が用いられる。
又、SO3X(X=H、アルカリ金属)基を含有する市販品の樹脂としては、市販品として、アクリベースFCA−1001−NS、FCA−201−PS、FCA−207P(藤倉化成(株)社製)等が例示できる。このような樹脂を使用することでも、本願の効果が得られるものである。
SO3X(X=H、アルカリ金属)基を含有する樹脂は、本発明のトナー粒子に安定性に優れた負帯電特性を付与せしめるための重要成分で、該成分が帯電特性を改善する効果の大きいものである。
又、非磁性一成分の画像形成方法に使用するトナー特性としては、迅速に飽和帯電量に達し、且つ、その飽和帯電量が維持されることが望まれる。本願のトナー中に含まれるSO3X(X=H、アルカリ金属)基含有(メタ)アクリルアミド種類と量の選択を適切に行うことで、素早く適切な帯電量に達することが可能となる。このため、SO3X(X=H、アルカリ金属)基を含有する樹脂を使用したトナーは、画像濃度が安定し、画像かぶりの少ない鮮明な印刷画像を得ることができるものである。
更に、本願のSO3X(X=H、アルカリ金属)基を含有する樹脂は、該樹脂中にSO3X(X=H、アルカリ金属)基を30〜2500mmol/kg含有することが好ましく、更には50〜1000mmol/kg含有することが好ましい。
本願の該樹脂中のSO3X(X=H、アルカリ金属)基含有量が30mmol/kg未満の場合には、SO3X(X=H、アルカリ金属)基成分を添加した効果が十分に得られず、帯電性が悪化する。このような場合、トナーコート性も不十分になり、カートリッジ容器からのトナー飛散や、非画像域への画像かぶりが発生するため好ましくない。又、該樹脂中のSO3X(X=H、アルカリ金属)基含有量が2500mmol/kgを超える場合には、転写性や画像モヤが悪化するため好ましくない。
又、本願の該樹脂を用いたトナー樹脂中に含まれるSO3X(X=H、アルカリ金属)基成分量としては、現像性及び転写性の観点から0.6〜100mmol/kgであることが好ましく、更には、3〜20mmol/kgであることが好ましい。
このようなトナー樹脂中のSO3X(X=H、アルカリ金属)基含有量を上記の範囲にするためには、本願の該樹脂中のSO3X(X=H、アルカリ金属)基含有濃度と、該樹脂の使用量との双方によって規定されるものであるが、上記のSO3X(X=H、アルカリ金属)基含有濃度の該樹脂を使用する場合、その使用量は該樹脂をトナー組成中の結着樹脂100質量部に対し0.1 〜10質量部使用することが好ましい。
トナー組成中で該樹脂中の含有量が0.1質量部未満の場合には、十分な電荷制御作用が得られにくく、又、10質量部を超えると、帯電不均一が顕著になって転写性と画質が悪化して、本願の効果が得られない。
尚、本願の該樹脂中のSO3X(X=H、アルカリ金属)基成分量及びトナー中のSO3X(X=H、アルカリ金属)基の含有量は、各々の溶剤抽出分より、下記の方法によって定量的に算出される。
具体的な定量方法としては、トナーの溶剤可溶分について、1H−NMR及び13C−NMRを用いて各重合性単量体の組成存在比率をモル比率で求め、このモル比率での各重合性単量体の組成存在比率から各重合性単量体の組成存在比率を算出する方法で行った。
(13C−NMR(核磁気共鳴)スペクトルの測定測定装置 :FT NMR装置 JNM−EX400(日本電子社製)
測定周波数:400MH
パルス条件:5.0μ
データポイント:3276
遅延時間:25sec
周波数範囲:10500H
積算回数 :16
測定温度 :40
試料 :測定試料200mgをφ5mmのサンプルチューブに入れ、溶媒としてCDC13(TMS0.05%)を添加し、これを40℃の恒温槽内で24時間以上溶解させて調製する。
以上の測定によって、本願のSO 3 X(X=H、アルカリ金属)基が結合した位置の炭素に相当するNMRスペクトルが定性的に得られる。更に、該炭素のNMRスペクトル強度が全スペクトル強度に占める割合を求めることによって、本願トナー中のSO 3 X量が定量的に求めることができるものである。
本願のSO3X(X=H、アルカリ金属)基を含有する樹脂の分子量は、重量平均分子量(Mw)が500〜100000が好ましい。より好ましくは26000〜100000である。重量平均分子量(Mw)が500未満の場合には、低分子量物質による弊害としてトナーの流動性が悪化し、トナーの循環が悪化するため、例えば高印字の画像を連続で出力する場合に印字画像の濃度低下を生じるため好ましくない。
一方、本願のSO3X(X=H、アルカリ金属)基を含有する樹脂の重量平均分子量(Mw)が100000を超える場合には、単量体への溶解に時間が多く必要となって、生産上の効率が悪くなるため好ましくない。又、該樹脂の重量平均分子量(Mw)が100000を超える場合は、トナー樹脂中への分散性が悪化し均一な粒子帯電を達成しにくくなるため好ましくない。
更には、該樹脂がこのような高分子量体では、トナー中への分散性が悪化し、現像時のトナーのカブリが悪くなるため好ましくない。
尚、本願の分子量測定方法の例を以下に示す。
(GPC測定条件)装置:GPC−150C(ウォーターズ社)
カラム:GMH−MT30cm 2連(東ソー社製)
温度:135℃
溶媒:o−ジクロロベンゼン(0.1%アイオノール添加)
流速:1.0ml/min
試料:0.15%の試料を0.4ml注入
以上の条件で測定し、試料の分子量算出に当たっては単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量較正曲線を使用する。更に、Mark−Houwink粘度式から導き出される換算式でポリエチレン換算することによって算出される。
本願のSO3X(X=H、アルカリ金属)基を含有する樹脂の揮発分は、0.01%〜2.0%が好ましい。揮発分を0.01%未満とするためには、揮発分除去工程が複雑になり、揮発分が2.0%を超える場合には、高温高湿下での帯電、特に放置後の帯電に関して劣るようになる。尚、揮発分とは、サンプルを15℃10%RHの環境にて36時間以上放置したサンプルについて、これを高温(135℃)で1時間加熱したときに減少する質量割合を計算したものである。
本願発明には、SO3X(X=H、アルカリ金属)基を含有する樹脂に加えて、更に帯電特性、帯電安定性を更に向上させるために他の荷電制御を使用しても良い。使用可能な荷電制御としては効果が得られるものであれば特に限定するものではない。
トナーを負荷電性に制御する荷電制御剤の例として下記物質がある。
例えば、有機金属化合物、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸系の金属化合物がある。他には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノール等のフェノール誘導体類等がある。又、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、ホウ素化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン、ケイ素化合物、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル−スルホン酸共重合体、ノンメタルカルボン酸系化合物等が挙げられる。
トナーを正荷電性に制御する荷電制御剤の例として下記物質がある。
例えば、ニグロシン及び脂肪酸金属塩等による変性物、グアニジン化合物、イミダゾール化合物、トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートなどの4級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料、トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、りんタングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物など)、高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイド等のジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレート等のジオルガノスズボレート類;これらを単独で或は2種類以上組合せて用いることができる。これらの中でも、ニグロシン系、4級アンモニウム塩等の荷電制御剤が特に好ましく用いられる。
これらの荷電制御剤は、本願のSO3X(X=H、アルカリ金属)基を含有する樹脂と併用することが可能であり、その量は0.01〜3重量部、より好ましくは0.1 〜1重量部使用するのが良い。
本願発明のトナーにおける結着樹脂は、トナーを製造する際に用いられるものであれば特に限定されるものでははい。本発明のトナー用樹脂に用いられる結着樹脂の具体例としては、以下の重合性単量体の重合体、又は重合性単量体単独の重合体の混合物、或は2種類以上の重合性単量体の共重合生成物が挙げられる。更に具体的には、スチレン−アクリル酸共重合体或はスチレン−メタクリル酸系共重合体が好ましい。
スチレン系重合性単量体としては、例えばスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン等のスチレン及びその誘導体が挙げられる。
アクリル酸系及びアクリル酸エステル系重合性単量体としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類及びその誘導体が挙げられる。
本発明に使用される結着樹脂には、トナーの定着温度を調整するために、以下に例示する架橋性重合性単量体を含有することが好ましい。
架橋性重合性単量体としては主として2個以上の重合可能な二重結合を有する重合性単量対が用いられる。具体例としては、2官能の架橋剤、例えばジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#200,#400,#600の各ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエステル型ジアクリレート(MANDA日本化薬)及び以上のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられる。
多官能の架橋剤としてペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及びそのメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシ、ポリエトキシフェニル)プロパン、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルアソシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジアリールクロレンデート等が挙げられる。
これらの架橋性重合単量体のうち好適に用いられるものとして、芳香族ジビニル化合物(特にジビニルベンゼン)、芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類が挙げられ、他の重合単量体成分100重量部に対して、0.01〜5重量部程度(更には0.03〜3重量部程度)用いることが好ましい。これらの架橋性重合単量体を適量添加することにより、トナーのメルトインデックスをコントロールすることが可能になり、非磁性一成分現像方式においてブレード融着が低減できる。又、トナーの保存性、環境安定性が向上する。
本発明に用いられる結着樹脂を得るために、以下に例示するような重合開始剤を用いることが好ましい。
具体的には、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、クミンパーピバレート、t−ブチルパーオキシラウレート、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、オクタノイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,4−ビス(t−ブチルパーオキシカルボニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バリレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシ−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレート、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、ジ−t−ブチルパーオキシα−メチルサクシネート、ジ−t−ブチルパーオキシジメチルグルタレート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼラート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジエチレングリコール−ビス(t−ブチルパーオキシカーボネート)、ジ−t−ブチルパーオキシトリメチルアジペート、トリス(t−ブチルパーオキシ)トリアジン、ビニルトリス(t−ブチルパーオキシ)シラン等の過酸化物類、アゾ及びジアゾ化合物が利用できる。
これら重合開始剤は、単独で使用しても良く、又、複数併用して使用しても良い。その使用量は重合性単量体100重量部に対し、0.05重量部〜15重量部、より好ましくは0.5重量部〜10重量部の濃度で用いられる。
本願のトナー形状を達成するためには、乳化凝集法が好適に使用できる。乳化凝集法でトナーを作成する場合の界面活性剤としては、公知のものが使用できる。
界面活性剤は、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルナフタレン硫酸ナトリウム、ジアルキルベンゼンアルキル、硫酸塩及びスルホン酸塩、アビチン酸(アルドリッチから入手可能)、NEOGEN RTM、NEOGEN SC TM(花王株式会社から入手可能)等のアニオン界面活性剤から選択できる。又、これらは、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、メタロース、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ジアルキルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール(IGEPAL CA-210 TM、IGEPAL CA-520
TM、IGEPAL CA-720 TM、IGEPAL CO-890 TM、IGEPAL CO-720 TM、IGEPAL CO-290 TM、IGEPAL CA-210 TM、ANTAROX 890 TM及びANTAROX 897TM としてローヌ−プーランから入手可能)等の非イオン性界面活性剤から選択することもできる。
本方法において利用される界面活性剤の量は、反応混合物の例えば約0.01〜約10重量パーセント、好ましくは約0.5乃至約5重量パーセントである。
更に、本願発明のトナーには、定着時の離型性向上のためにワックス成分を含有することが好ましい。
ワックス成分としては、具体的に以下の化合物が挙げられる。
例えば、シリコーン樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、低分子量ポリエチレン又は低分子量ポリプロピレンの如き脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックス等である。
中でも好ましく用いられるワックスは、低分子量ポリプロピレン及び子の副生成物、低分子量ポリエステル及びエステル系ワックス、脂肪族の誘導体である。
これらのうち、更に好ましいエステルワックスの代表的化合物の例をエステルワックスの一般構造式として以下に示す。
(式中、a及びbは0〜4の整数を示し、a+bは4であり、R1 は炭素数が1〜40の有機基を示し、n及びmは0〜15の整数を示し、nとmが同時に0になることはない。)
(式中、a及びbは0〜3の整数を示し、a+bは3であり、R
1及びR2
2は炭素数が1〜40の有機基を示し、且つ、R
1とR
2との炭素数差が10以上である基を示し、R
3は炭素数が1以上の有機基を示し、n及びmは0〜15の整数を示し、nとmが同時に0になることはない。)
(式中、R
1及びR
2は炭素数が1〜40の炭化水素基を示し、nは2〜20の整数であり、且つ、R
1及びR
2は、互いに同じでも異なる炭素数でも良い。)
(式中、R1 及びR2 は炭素数が1〜40の炭化水素基を示し、nは2〜20の整数であり、且つ、R
1及びR
2は、互いに同じでも異なる炭素数でも良い。)
これらのワックスは定着時の離型性向上を達成するために、トナー中に一般的に1〜30重量部、より好ましくは5〜20重量部が使用される。ワックス成分が1重量部未満の場合、ワックスとしての離型効果が殆ど発揮できず、又、ワックス成分が30重量部以上では、トナーの離型性は満足されるものの、トナーの現像性が悪化し、現像スリーブや潜像担持体表面にトナーが融着するといった弊害を生じ易くなるため好ましくない。
又、本願発明のカラートナーに使用し得る着色剤としては、従来より知られている無機、有機の染料、顔料が使用可能である。具体的には次のようなものが挙げられる。
イエロー用着色顔料の具体例としては、縮合アゾ化合物,イソインドリノン化合物,アンスラキノン化合物,アゾ金属錯体,メチン化合物,アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。さらに具体的には、C.I.ピグメントイエロー1,2,3,4,5,6,7,10,11,12,13,14,15,16,17,23,65,73,83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、168、174、176、180、181、191、C.I.バットイエロー1,3,20等が挙げられる。また、黄鉛、カドミウムイエロー、ミネラルファストイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ等も使用することができる。
マゼンタ用着色顔料の具体例としては、C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,21,22,23,30,31,32,37,38,39,40,41,48,49,50,51,52,53,54,55,57,58,60,63,64,68,81,83,87,88,89,90,112,114,122,123,163,202,206,207,209、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.バットレッド1,2,10,13,15,23,29,35等が挙げられる。
更に、染料としては、C.I.ソルベントレッド1,3,8,23,24,25,27,30,49,81,82,83,84,100,109,121、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ディスパースバイオレット1等の油溶染料、C.I.ベーシックレッド1,2,9,12,13,14,15,17,18,22,23,24,27,29,32,34,35,36,37,38,39,40等の塩基性染料、C.I.アシッドレッド1、C.I.ダイレクトレッド1,4、C.I.モーダントレッド30等が挙げられる。
シアン用着色顔料の具体例としては、C.I.ピグメントブルー2,3,15,16,17、C.I.ベーシックブルー3、5、C.I.バットブルー6、C.I.ダイレクトブルー1,2、C.I.アシッドブルー9,15,45、C.I.モーダントブルー7、又は銅フタロシアニン顔料等がある。
黒用着色顔料の具体例としては、カーボンブラック、アリニンブラック、アセチレンブラック、オイルブラック等がある。又、色用の着色剤を混合し、黒色着色剤として使用することも可能である。
又、上記着色剤の他に、チタンホワイト、C.I.ダイレクトグリーン6、C.I.ベーシックグリーン4,6、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG、クロムグリーン、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、ベンジジンオレンジG、C.I.ベーシックバイオレット1,3,7,10,14,15,21,25,26,27,28、C.I.ソルベントバイオレット8,13,14,21,27、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等を使用して、上記色以外の色トナー用着色剤として使用することも可能である。
これらは、単独或は組み合わせて使用することができ、通常、電子写真特性的観点及び透過性の観点から、結着樹脂100重量部に対して、0.5〜60重量部好ましくは3.0〜20重量部使用される。
本願発明のトナーにおいては、帯電安定性、現像性、流動性、耐久性向上の目的で、外添剤をトナー粒子に外添することが好ましい。外添剤の具体的な例としては、シリカ微粉末、疎水化シリカ微粉末、各種樹脂粒子、脂肪酸金属塩等が挙げられ、これら単独或は複数併用して用いられることが好ましい。
本願発明に好適に用いられるシリカ微粉末は、公知のシリカ微粉末が使用可能であるが、好ましくはBET法で測定した窒素吸着による比表面積が20m2/g以上、より好ましくは、30〜400m2/gの範囲内のものが使用できる。
シリカ微粉末は、必要に応じ、疎水化及び帯電性コントロールの目的で、表面処理剤で処理することが好ましい。表面処理剤の具体例としては、シリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、官能基を有するシランカップリング剤、その他の有機ケイ素化合物が挙げられる。これらの処理剤は単独でも或は混合して使用しても良い。
シリカ微粉末の使用量としては、特に定めるものではないが、トナー粒子100質量部に対してシリカ微粉体0.01〜8質量部、好ましくは0.1〜5質量部使用するのが良い。
更に、公知の滑剤粉末をトナーに添加しても良い。滑剤粉末としては例えばテフロン、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂;フッ化カーボン等のフッ素化合物;ステアリン酸亜鉛の如き脂肪酸金属塩;脂肪酸、脂肪酸エステル等の脂肪酸誘導体;硫化モリブデンが挙げられる。
続いて、本発明の第2の特徴であるトナー形状について以下に説明する。
本願発明のトナーの形状としては、体積平均径が4〜10μmであり、形状係数SF−1が115〜140であり、平均円形度が0.950〜0.990であり、且つ、BET比表面積が1.5〜7.0m2/gであることを特徴とする。
本願発明のトナーの体積平均径が4μm未満である場合にはトナー粒子の流動性が悪化することによる帯電性が不均一になり易く、例えば、高湿環境下において画像かぶりが発生し易くなるため好ましくない。又、トナーの体積平均径が10μmを超える場合には高精細な出力が困難となり、要求される画質を満足できなくなるために好ましくない。
トナーの平均粒径は、例えばコールターカウンターTA−II型或はコールターマルチサイザーII(コールター社製)等を用い、個数分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科機製)及びパーソナルコンピュータを接続した測定装置で測定することができる。この測定では電解液が用いられるが、この電解液には、例えば1級塩化ナトリウムを用いて調製された1%NaCl水溶液や、ISOTON R−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)が使用できる。
測定法としては、前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩)を0.1〜5ml加え、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1分間分散処理を行い、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、前記コールターカウンターTA−II型により2μm以上のトナーの体積を測定して体積分布を算出する。それから、本発明に係わる体積分布から求めた体積平均粒径を求める。
又、本願発明のトナーの形状係数SF―1は115〜140であることが好ましい。
ここで、このトナーの形状係数SF−1とは、トナー粒子の円径度合いの指標であり、その数値は100が真球を表し、数値が大きいほど扁平形状を表す。
トナーの形状係数SF―1が115未満の場合、摩擦帯電の影響をトナー表面の殆どの部分で受けることとなり、トナー粒子一粒当たりの帯電量が過剰になる傾向がある。このような場合、例えば静電潜像担持体上のトナーが転写剤に転写するときに適正な転写性を達成するための転写バイアスに変動を来し、このようなトナーは通常の転写バイアスでは転写性が悪化する結果となる。このため、転写不良による画質低下を招くという問題がある。
又、トナーの形状係数SF―1が140を超える場合にはトナー表面の摩擦帯電部分が減少し、トナー粒子一粒当たりの帯電量が少なくなる傾向がある。このため、トナー低トリボによる画像カブリが問題となるため好ましくない。
尚、形状係数SF−1はトナー粒子の球形度合いを示す数値である。その測定方法として具体的には、日立製作所FE−SEM(S−800)を用いトナー像を無作為に100個サンプリングし、その画像情報をインターフェイスを介してニコレ社製画像解析装置(Luzex3)に導入し解析を行ない下式より算出し得られた値の相加平均値を定義している。
SF−1={(MXLNG)2 /AREA}×(π/4)×100
(MXLNG:絶対最大長、AREA:トナー投影面積)
[トナーの平均円形度]
本発明のトナーにおける形状制御は、フロー式粒子像測定装置で計測されるトナーの個数基準の相当径−円形度スキャッタグラムにおける該トナーの平均円形度が0.950〜0.990の範囲が好ましい。
トナーの平均円形度が0.950未満のトナーとは、形状が球形から離れて不定形に近づいたトナーを意味する。このような不定形トナーは、現像中に現像器内でトナーが破砕され易いために、粒度分布が変動したり、帯電量分布がブロードになったりするため、その結果、画像濃度低下やカブリの増加といった現像上不都合な現象を生じ易くなるため好ましくない。
トナーの平均円形度が0.990を超えるトナーとは、真球状に近い形状のトナーを意味する。このようなトナーは、初期の摩擦帯電性や転写性に優れるものの、一般にブレードクリーニング等のクリーニング手段によるクリーニング不良が発生し易くなり、現像後に潜像担持体上に残留した残トナーをブレードクリーニング機構で除去しにくくなるため、その結果、クリーニング不良による画像欠陥や、帯電・露光妨害による画像欠陥を生じるといった現像上不都合な現象を生じ易くなるため好ましくない。
本発明におけるトナーの円形度とは、トナー粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものであり、本発明ではフロー式粒子像測定装置FPIA−1000型(東亜医用電子社製)を用いて測定を行い、下式を用いて算出した。尚、測定条件としては、測定時のトナー粒子濃度が5000〜15000個/μlとなるように調整し、トナー粒子を1000個以上計測することで行った。
ここで、「粒子投影面積」とは二値化されたトナー粒子像の面積であり、「粒子投影像の周囲長」とは該トナー粒子像のエッジ点を結んで得られる輪郭線の長さと定義する。
具体的な測定方法としては、容器中に予め不純固形物等を除去したイオン交換水10mlを用意し、その中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を加えた後、更に測定試料約0.02gを加え、均一に分散させる。分散させる手段としては、超音波分散機UH−50型(エスエムテー社製)に振動子として5φのチタン合金チップを装着したものを用い、分散の条件としては5分間処理で行い、測定用の分散液とする。
円形度と形状係数で表わされる数値は、何れも「トナー粒子の丸み具合」を表現するものであるが、これらの表現するものは異なる。その理由は、形状係数SF−1はトナー粒子の絶対最大長に基づいて計算するが、トナーの円形度はトナー周長に基づいて計算するものである。この「絶対最大長」と「トナー周長」はトナーの表面性、特に表面の凹凸の影響を受けて変化する。従って、或るトナーに対してその表面凹凸具合が大きくなると、「トナー周長」が大きくなり、円形度は小さくなるが、形状係数SF−1としては変化がないものである。
上記記載の形状係数SF−1値及びトナーの平均円形度値を同時に満足する本発明のトナーは、「適度な凹凸を持つ球状トナー」である。このような「適度な凹凸を持つ球状トナー」の物性を同時に満たすことで現像容器内のトナー粒子循環性が最適な状態に維持され、帯電安定性、帯電均一性に勝るものとなって本願の作用効果が発現するものである。
更に、本発明のトナー粒子におけるBET比表面積は1.5〜7.0m2/gの範囲であることが好ましく、3.0〜7.0m2/gの範囲であることがより好ましい。
トナー粒子のBET比表面積が1.5m2/gより小さい場合には、摩擦帯電での帯電部位がトナー表面全体で行われることにより、帯電の立ち上がりは早いものの、その分、適切な帯電状態を維持できずに帯電が過剰になる傾向がある。トナーの帯電が過剰となる場合、例えば、顕像化した静電潜像を転写する転写工程において、転写性が悪くなるという問題が発生するため好ましくない。
帯電安定性に劣ることで画出し初期の画像カブリを生じるため好ましくない。
又、トナーのBET比表面積が7. 0m2/gを超える場合においては、表面の凸凹が大きい状態であるため、トナー中の摩擦帯電部位が表面の局所に限定されることによって、帯電性に劣るトナーとなるため好ましくない。
BET比表面積の測定は、脱ガス装置バキュプレップ061(マイクロメソティック社製)、BET測定装置ジェミニ2375(マイクロメソティック社製)等公知の装置を用いて行う。本発明におけるBET比表面積は、一点法BET比表面積の値である。具体的には、以下のような手順で行うことができる。
即ち、空のサンプルセルの重量を測定した後、測定試料を0.001〜0.002gの間に入るように充填する。さらに、脱ガス装置に、試料が充填されたサンプルセルをセットし、室温で3時間脱ガスを行う。脱ガス終了後、サンプルセル全体の質量を測定し、空サンプルセルとの差から試料の正確な質量を算出する。次に、BET測定装置のバランスポート及び分析ポートに空のサンプルセルをセットする。所定の位置に液体窒素の入ったデュワー瓶をセットし、飽和蒸気圧(P0)測定コマンドにより、P0を測定する。P0測定終了後、分析ポートに脱ガス調製されたサンプルセルをセットし、サンプル質量及びP0を入力後、BET測定コマンドにより測定を開始する。後は自動でBET比表面積が算出される。
本発明に記載の形状係数、平均円形度及びBET比表面積を本願の好ましい範囲にするための達成手段としては、水系媒体中に分散する重合体微粒子を複数個凝集合一させる方法が使用できる。
具体的には、以下のように重合体微粒子、着色剤微粒子及び離型剤微粒子を含む水性分散液に、例えばpH調整剤、凝集剤及び安定剤等を添加し前記微粒子を複数個凝集し、凝集粒子を熱融着させる、乳化凝集重合法である。
この方法では、1)トナー粒子径よりも小さい粒径の樹脂粒子を製造し、2)この小さい粒径の樹脂粒子を適宜凝集させ、溶融することによってトナー粒径の樹脂粒子とするものである。このような方法によって得られるトナーにおいて、上記1)、2)の条件を適宜コントロールすることによって、本願の「適度な凹凸を持つ球状トナー」を達成することができる。トナー粒子の製造方法は具体的に実施例中にて例示する。
上述のSO3X(X=H、アルカリ金属)基を含有する樹脂と、本願の「適度な凹凸を持つ球状トナー」が組み合わされることで、帯電の立ち上がりと帯電の飽和量が適切で、且つ、環境変動が変動しても適切な帯電量が維持できるトナーが得られる。これは、SO 3 X(X=H、アルカリ金属)基を含有する樹脂の電気的及び摩擦帯電的な特性と、適度なトナー形状が相乗的に作用して達成できるものである。
このようにして帯電特性が適切な状態に保ったトナーを電子写真用のトナーとして使用することによって、画像かぶりが抑制された高精彩画像が得られる。
これは、トナーの帯電性が適度にコントロールされているため、非画像部への汚染が抑制できることによるものである。又、このようなトナーを用いることによって、静電潜像細部の現像性が良好で、高精細な潜像顕像化が可能になる。更に、このように帯電性が適度にコントロールされたトナーは、転写時の転写バイアス依存が少なく、広い転写条件で適度な転写性が得られるために、この高精細なトナー像が幅広い種類の記録メディア上に高精細を保って転写されるものである。
又、上述のSO3X(X=H、アルカリ金属)基を含有する樹脂と、本願の「適度な凹凸を持つ球状トナー」が組み合わされることによって、適度な帯電特性を達成できるために、帯電付与時のトナー担持体に対する規制部材の当接圧を低減し、トナーへのストレス低減が達成できることとなる。規制部材の当接圧が低減されることで、例えば、規制部材の摩擦による発熱が低減でき、熱によるトナー変形、或は、その変形によって生じる規制部材表面へのトナー融着を極力少なくすることが可能となる。
従って、上述のSO3X(X=H、アルカリ金属)基を含有する樹脂と、本願の「適度な凹凸を持つ球状トナー」が組み合わされることによって、本願の効果が得られるものである。
次に、本発明の画像形成方法及び、該方法を実施する画像形成装置並びにプロセスカートリッジに関して図面を用いて説明する。
[画像形成方法の説明]
本願発明の画像形成方法は、少なくともトナー担持体と、トナー担持体上のトナーを規制しトナー層を形成するトナー規制部材と、静電潜像担持体と、転写部材とから成るものであって、一成分現像方法や2成分現像方法、或は磁性現像方法や非磁性現像方法、又は非接触現像方法や接触現像方法といった画像形成方式について特に限定することはないが、好ましくは、非磁性一成分の画像形成方法であり、より好ましくは、非磁性一成分接触現像方式の画像形成方法である。
更に、転写後の静電潜像担持体上に残留したトナー除去手段の有無については特に限定するものではないが、好ましくは残留トナー除去手段を有し、より好ましくはブレードクリーニング方式による残留トナー除去手段を有するものである。
次に、本発明で好ましく使用可能な画像形成方法の一例について、添付図面を参照しながら以下にその概略説明する。
図1は1成分現像系のモノカラー画像形成方法の例を示すものであるである。
1は静電潜像担持体としての有機感光ドラムであって、接触型の一次帯電部材2によって一様に帯電される。
次いで露光手段3によって有機感光ドラム1上に静電潜像を記録する。
一方、現像ユニット4に収容された現像剤8は、発泡性のローラである供給手段6により弾性ローラである現像剤担持体5に供給される。次いで現像剤担持体5上のトナーは規制部材7によって規制されると同時に摩擦帯電を受ける。現像剤担持体5上のトナーは、薄層で電荷を帯びた状態となる。
現像剤担持体5と静電潜像担持体1は現像ニップを持つように圧接、接触されるよう配置されている。次いでこのように配置された現像剤担持体5で供給されるトナーによって、静電潜像担持体1上の静電潜像を顕像化する。
更に、顕像化された静電潜像は、転写材13上に転写部材9によって電位的に転写される。転写材13上のトナー像は、定着手段12によって加熱定着され永久画像を得る。
静電潜像担持体1に残留した転写残トナーは、クリーニング手段であるクリーニングブレード10によって静電潜像担持体上より除去され、廃トナー容器11内に蓄積される。
以上の工程を繰り返すことによって印刷画像を得るものである。
このときの規制部材7の材質は特に限定するものではなく、公知の金属製板状部材、或は金属ブレード表面に有機層を有するものが使用できる。特に有機層としては、現像剤に対し所望の帯電を付与する摩擦帯電系列の材質を選択することが好ましく、シリコーンゴム、ウレタンゴム、NBR等のゴム弾性体、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂弾性体、ステンレス、鋼、リン青銅等の金属弾性体が使用でき、又、それらの複合体が使用できる。
更に、弾性の規制部材中に有機物や無機物を添加しても良く、溶融混合させても良いし、分散させても良い。例えば、金属酸化物、金属粉、セラミックス、炭素同素体、ウィスカー、無機繊維、染料、顔料、界面活性剤等を添加することにより、現像剤の帯電性をコントロールできる。特に、弾性体がゴムや樹脂等の成型体の場合には、シリカ、アルミナ、チタニア、酸化錫、酸化ジルコニア、酸化亜鉛等の金属酸化物微粉末、カーボンブラック、一般に現像剤に用いられる荷電制御剤等を含有させることも好ましい。
又、導電性の規制部材と現像剤担持体の組合せで使用する場合は、規制部材と現像剤担持体の間に直流電場及び/又は交流電場を印加することも好ましい。このような電場を印加することによって、均一薄層塗布や、均一帯電性が向上し、充分な画像濃度の達成及び良質の画像を得ることができる。
更に、本発明は、転写後の静電潜像担持体表面をブレードクリーニングする機構を有するものであるが、ブレードクリーニングのクリーニング部材としては、公知のブレードが使用できるが、好ましくは弾性ブレードである。弾性ブレードの材質としては、磨耗に強い材質が選択でき、ウレタンゴム製のブレードが好ましく使用できる。
又、ブレードクリーニング後の帯電方法としては、公知の接触、或は非接触の帯電方式が使用可能であるが、これらの中でもオゾンが発生しない接触帯電方式が好適に使用される。
現像剤の組合せにおいては、転写後の静電潜像担持体表面に残留する転写残の多くが疎水性シリカ微粒子と、該疎水性シリカ粒子の逆極性の第2外添剤であるため、上述のブレードクリーニング部材と接触帯電との組合せの相性の良いものを選択する必要がある。これらの組合せが正常に機能しない場合は、帯電部材上に外添材を主体とした粒子が付着し、帯電ローラ表面の抵抗値を局部的に上昇させることにより、静電潜像担持体表面の帯電を阻害し、その結果、帯電不良による画像欠陥を生じるため好ましくない。
図2は本願に好適なトナー帯電ローラを有する画像形成方法の概略図である。
ここで、トナー8は攪拌部材19によりトナー供給ローラ6に供給され、次いでトナー担持体5上に塗布される。更に、トナー担持体5上のトナーは、トナー規制部材7によって規制すると同時に摺擦することにより、トナー担持体5上に規制され、且つ、摩擦帯電されたトナー層を形成する。次いで、このトナー層は、トナー担持体5に圧接するように配置された回転可能なトナー帯電ローラ2との接触部を通過していく。このとき、トナー帯電ローラ2に対して、不図示の外部電源より高圧電源を印加し、トナー担持体5とトナー帯電ローラ2との間に、トナー層に対しトナーの帯電を助長するような電位差を生じさせている。この電位によって摩擦帯電されたトナーに対して更に電気的に帯電性を助長することによって、より帯電性が安定したトナー層になるものである。
このようにして帯電せしめたトナー担持体5上のトナー層によって、静電潜像担持体上の静電潜像を顕像化し、次いで図1と同様に、転写、定着手段によって永久画像となるものである。
好ましいトナー帯電ローラ2の形態としては、トナー帯電ローラが弾性部材を表面に有する部材であり、ローラの体積抵抗は1kVの直流印加電圧時の体積抵抗が103Ω/cm2〜1015Ω/cm2で、更に、その表面には適度な平滑性を有するものである。トナー層への帯電付与性能の観点から、表面形状の具体的な例としてはトナー帯電ローラのRaとRzの比、Ra/Rzにおいて0.05〜0.7が好ましい。尚、ここでのトナー帯電ローラ表面のRaとRzは、例えば「JIS B 0601」による方法で測定でき、測定装置としては公知の接触型や非接触型の表面粗さ計が使用できる。
又、トナー帯電ローラ2に印加する高圧は、トナー帯電ローラ2に対しては電気的に帯電性を助長するような高圧印加であれば、直流、交流、或は直流と交流の混合、直流の波形等、特に限定するものではない。これらの中で、プロセスカートリッジ部でのトナー飛散や画質の点において、直流の電圧が好ましく選択される。
本願実施例中では、下記の高圧電位設定にて行った。
静電潜像担持体の静電潜像部;−50V
静電潜像担持体の非潜像部 ;−750V
トナー担持体印加バイアス ;DC −350V
トナー帯電ローラ印加バイアス ;−1000V
即ち、トナー担持体上のトナー層に対して650Vの電位差を持つように設定したものを使用した。
又、トナー帯電ローラ2とトナー担持体5との圧接時に形成される当接部分の幅は、当接させるための圧力や、トナー帯電ローラ2とトナー担持体5との軸間距離を調整することによって調整が可能であり、その幅はローラの周方向において0.1〜2.0mmであることが適切な帯電付与の観点から好ましく、0.5〜1.5mmであることが更に好ましい。
図3は本願の実施例で好適に用いられるフルカラー画像形成装置の例である。
図3はイエロー、シアン、マゼンタ、ブラック等のカラートナーを現像器17a〜17dに収容し逐次現像、転写するインライン方式のフルカラー画像形成方法である。
各色トナーによって顕像化された静電潜像担持体19a〜19d上のトナーは、記録材S上に逐次転写された後に、定着手段22によって定着され、永久画像を得る。
図4は本願発明に好適に用いられる中間転写体を有するフルカラー画像形成方法の例である。
図4において、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック等のカラートナーを現像ユニットである現像器104Y,104C,104M,104BKに収容する。この現像器104Y,104C,104M,104BKは、静電潜像担持体101上の静電潜像を1色現像し中間転写手段105に転写する。次いで、2色目、3色目、4色目も同様の現像・中間転写を繰り返し、中間転写手段105上に4色の重ね画像を得る。
次いで、記録紙p上に転写手段106によって一括転写し、定着手段100によって定着され、永久画像を得る。この一連の動作を繰り返して画像を得るものである。
以上、図3及び図4に示すような画像形成装置によってフルカラーの画像形成が可能である。
本願のSO3X(X=H、アルカリ金属)基を含有する樹脂と「適度な凹凸を持つ球状トナー」を組み合わせたトナーを、上記の画像形成方法で使用することによって、良質で高精細なフルカラーの画像形成が可能となる。これは、トナーの帯電特性を適正化することによって適度な現像性や転写性が達成でき、フルカラー等の画像重ねにおける複数回の転写においても転写画像が安定していることによるものであると考えられる。
取り分け、図2に示したトナー帯電ローラ2に高圧を印加する装置を具備する画像形成装置を使用することで、トナーの帯電量が均等化することが可能になり、帯電量の分布が狭いトナーが得られる。その結果、例えば帯電性付与が困難な高湿度等の環境下で、摩擦帯電だけでは不十分な帯電性のトナー粒子についても、このトナー帯電ローラ部で高圧を印加することで、トナーの帯電を更に良好にすることが可能となる。従って、本願のトナーと、図2に示す画像形成装置を使用することによって、高湿度のような現像性の悪い環境下においても非画像部の汚染がないトナー及び画像形成方法が得られるものである。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。尚、以下の実施例等における「部」は「質量部」である。
[SO3X基を含有する樹脂A]
アクリベースFCA−1001−NS(藤倉化成(株)社製);市販品をそのまま使用した。
[SO3X基を含有する樹脂B]
アクリベースFCA−201−PS(藤倉化成(株)社製);市販品をそのまま使用した。
[SO3X基を含有する樹脂Cの製造例]
攪拌機、コンデンサ、温度計、窒素導入管の付いたフラスコに
・トルエン 20部、
・メタノール 50部、
・スチレン 95部、
・2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸 4.5部、
(関東化学社製試薬)
・アクリル酸−2−エチルヘキシル 0.5部、
・ラウリルパーオキシド 1. 5部
を仕込み、3.3S−1にて攪拌しながら窒素雰囲気にて70℃で10時間重合した。
次いで、得られた重合物をフラスコから取り出し、大過剰のメタノール中にて再沈殿を行い精製した後、40℃で減圧乾燥した。得られた樹脂をハンマーミルにて粗砕して、SO3X基を含有する樹脂Cを製造した。
得られた重合体は重量平均分子量Mw=28000、該樹脂中のSO3X基含有量は80mmol/gであった。又、本樹脂の揮発分は0.02%であった。
[SO3X基を含有する樹脂Dの製造例]
ラウリルパーオキシドの量を1.0質量部にする以外はSO3X基を含有する樹脂Cの製造例と同様にして、SO3X基を含有する樹脂Dを製造した。
得られた重合体は重量平均分子量Mw=36000、該樹脂中のSO3X基含有量は78mmol/gであった。又、本樹脂の揮発分は0.02%であった。
[SO3X基を含有する樹脂Eの製造例]
スチレンを69.5質量部に、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム30質量部、ラウリルパーオキシド3.0質量部にする以外はSO3X基を含有する樹脂Cの製造例と同様にして、SO3X基を含有する樹脂Eを製造した。
得られた重合体は重量平均分子量Mw=10000、該樹脂中のSO3X基含有量は800mmol/gであった。又、本樹脂の揮発分は0.1%であった。
[SO3X基を含有する樹脂Fの製造例]
スチレンを69.5質量部に、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸カリウム30質量部、ベンゾイルパーオキシド0.1 質量部にする以外はSO3X基を含有する樹脂Cの製造例と同様にして、SO3X基を含有する樹脂Eを製造した。
得られた重合体は重量平均分子量Mw=1100000、該樹脂中のSO3X基含有量は820mmol/gであった。又、本樹脂の揮発分は0.40%であった。
[SO3X基を含有する樹脂Gの製造例]
攪拌機、コンデンサ、温度計、窒素導入管の付いたフラスコに
・トルエン 16.7部、
・メタノール 50部、
・スチレン 90部、
・アクリル酸−2−エチルヘキシル 10部、
・ラウリルパーオキシド 1.5部
を仕込み、ゆっくり攪拌しながら、窒素雰囲気にて65℃で10時間重合した。
次いで、得られた重合物をフラスコから取り出し、大過剰のメタノール中にて再沈殿により精製した後、40℃で減圧乾燥した。得られた樹脂をハンマーミルにて粗砕して、SO3X基を含有する樹脂Gを製造した。
得られた重合体は重量平均分子量Mw=28000、該樹脂中のSO3X基含有量は検出できなかった。又、本樹脂の揮発分は0.08%であった。
以上の製造例(C〜G)によって得られたSO3X基を含有する樹脂の処方及び重量平均分子量Mw、該樹脂中のSO3X基含有量について表1にまとめた。
<トナーの製造例1>
樹脂微粒子分散液を下記に示す乳化重合法で合成した。
顔料分散液1の製造:
カーボンブラック MA−100 10質量部
スチレン 50質量部
顔料分散剤(ソルスパース5000、ICIジャパン社製) 0.5質量部
上記の成分から成る混合液をサンドミルで1時間攪拌して顔料分散液1を得た。
樹脂微粒子分散液1の製造:
反応器(高剪断攪拌装置付き、容積2リットルフラスコ)に以下の組成物を仕込み分散媒1とした。
ポリビニルアルコール水溶液 0.1重量部
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.1質量部
(ハード型、東京化成社製)
イオン交換水 550重量部
次いで、下記組成物をビーカーにて充分に分散させ、着色重合性単量体組成物1を得た。
上記顔料分散液1 36質量部
スチレン 50質量部
nブチルアクリレート 20質量部
アクリル酸 5質量部
樹脂A (藤倉化成(株)社製 FCA1001−NS) 8質量部
次いで、着色重合性単量体組成物1を分散媒1に加え、更に、過硫酸アンモニウム開始剤2. 7質量部を添加した。
この溶液をTKホモミキサー(特殊化学社製)にて高速攪拌して乳化分散した後、70℃に温度調節し、パドル攪拌翼にて攪拌することで、着色樹脂一次粒子を含む樹脂微粒子分散液1を得た。この着色剤粒子分散液1における粒度分布を、粒度測定装置(堀場製作所製、LA−920)を用いて測定したところ、含まれる着色剤粒子の平均粒径は、1.5μmであった。
更に、
離型剤1(ステアリン酸ステアリルエステル) 50質量部
サニゾールB50 5質量部
イオン交換水 200質量部
上記の成分から成る混合液をサンドミルで1時間攪拌して離型剤分散液1を得た。
別の反応器(容積2リットルフラスコ、バッフル付きアンカー翼)に、上記で得た着色剤粒子分散液1を100質量部(固形分)と、離型剤分散液1を4質量部(固形分)とアニオン性界面活性剤を仕込み、均一に混合してから、固形分で0. 1質量部相当の硫酸アルミニウム水溶液を滴下し、該着色樹脂一次粒子を凝集させた。その後、ゆっくりと60℃まで昇温し、1時間保持することで凝集体の融着操作を行った。
冷却後、反応生成物をろ過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、45℃で流動層乾燥を行ない、更に風力分級により分級操作することでトナー粒子(1)を得た。このようにして得られたトナー粒子(1)100質量部と、BET表面積の値が200(m2/g)の疎水化処理シリカ1.0質量部とをヘンシェルミキサーにて機械的混合することで本発明のトナー(1)を得た。
このようにして得られたトナー(1)の形状について調べたところ、コールターマルチサイザーによる体積平均径は6.8μm、SF−1は125、平均円形度は0.975、BET比表面積は5.1m2/gであった。
更に、トナー(1)の溶剤可溶分のMR測定によって検出したSO3X(X=H、アルカリ金属)基量は4.0mmol/kgであった。
<トナーの製造例2〜4>
トナー製造例1において、カーボンブラックを下記の顔料に変更する他はトナー製造例1と同様にして本発明のカラー画像形成方法に使用するトナー(2)〜(4)を合成した。
トナー(2) ; C.I.ピグメントイエロー73 4部相当
トナー(3) ; C.I.ピグメントレッド 122 4部相当
トナー(4) ; C.I.ピグメント 17 4部相当
<トナーの製造例5>
樹脂Aの量を0.7質量部相当になるよう調整して着色重合性単量体組成物を合成し、且つ、凝集条件の温度と、硫酸アルミニウム水溶液の添加条件を調整する他はトナー製造例1と同様にして、本発明のトナー(5)を合成した。
<トナーの製造例6>
樹脂Aの量を0.5質量部と、荷電制御剤1(ベンジル酸金属錯体、LR297、日本カーリット社製)を0.5質量部とを用いて着色重合性単量体組成物を合成し、且つ、凝集条件の温度と硫酸アルミニウム水溶液の添加条件を調整する他はトナー製造例1と同様にして、本発明のトナー(6)を合成した。
<トナーの製造例7>
離型剤1の量を10質量部に変えて着色重合性単量体組成物を合成し、且つ、凝集条件の温度と、硫酸アルミニウム水溶液の添加条件を調整する他はトナー製造例5と同様にして本発明のトナー(7)を合成した。
<トナーの製造例8>
樹脂Aに変えて樹脂Cを1質量部と、離型剤1に変えて離型剤2(ペンタエリスリトールステアレート、酸価8mgKOH/g)2質量部を使用し、且つ、凝集条件の温度を変更する他はトナー製造例1と同様にして本発明のトナー(8)を合成した。
<トナーの製造例9>
離型剤2に変えて離型剤3(フィッシャトロプシュワックス、酸価3.2mgKOH/g)6質量部を使用し、且つ、凝集条件の温度を変更する他はトナー製造例8と同様にして、本発明のトナー(9)を合成した。
<トナーの製造例10及び11>
樹脂Aに変えて樹脂Cを使用し単量体のアクリル酸を使用せずに着色重合性単量体組成物を合成し、且つ、凝集条件の温度を表2に示す条件に変更する他はトナー製造例1と同様にして本発明のトナー(10)及び(11)を合成した。
<トナーの製造例12〜14>
トナー製造例1における樹脂Aを表2に示す条件に変更し、且つ、凝集条件の温度を表2に示す条件に変更する他はトナー製造例1と同様にして本発明のトナー(12)〜(14)を合成した。
<トナーの比較製造例1>
トナー製造例1における樹脂Aの量を12質量部とし、且つ、凝集条件の温度を表2に示す条件に変更する他はトナー製造例1と同様にして本発明の比較トナー(1)を合成した。
<トナーの比較製造例2>
樹脂Aの量を0.5質量部とし、且つ、凝集条件の温度を表2に示す条件に変更し、硫酸アルミニウム水溶液の添加条件をトナー製造例1の5倍の時間にする他はトナーの比較製造例1と同様にして本発明の比較トナー(2)を合成した。
<トナーの比較製造例3>
トナー製造例1における樹脂Aに変えて、SO3X(X=H、アルカリ金属)基を含有しない樹脂Gを使用する他はトナー製造例1と同様にして本発明の比較トナー(3)を合成した。
以上の製造例のトナー処方について表2にまとめた。
<トナーの比較製造例4>
・スチレン−アクリル樹脂 94重量部
〔Mn=5000,Mw=12700,Tg=60℃〕〕
・カーボンブラック(一次粒子径40nm ) 8重量部
上記材料をニーダー型ミキサーに仕込み、混合しながら非加圧下で120℃に昇温させ、充分に前混合する。その後、3本ロールで2回混練し、第1の混練物を得た。
・第一の混練物 100重量部
・樹脂A 1質量部
・離型剤(ポリエチレン誘導体、Mn1000、酸価0.6mgK0.H/g)
10質量部
上記材料をヘンシェルミキサーにより十分予備混合を行い、二軸式押出し機で溶融混練し、冷却後ハンマーミルを用いて約1〜2mm程度粗粉砕し、次いでエアージェット方式による微粉砕機で微粉砕した。更に、得られた微粉砕物を多分割分級装置で微粉及び粗粉を同時に厳密に除去した後、ローターを回転して機械的衝撃力を与える方式の表面改質装置を用い、回転数26s−1で3分間バッチ式により該トナー粒子を表面処理し、次いで多分割分級装置によって分級し、トナー粒子を得た。
このようにして得られたトナー粒子100質量部と、BET比表面積の値が200(m2/g)の疎水化処理シリカ1.0質量部をヘンシェルミキサーにて機械的混合することで本発明の比較トナー(4)を得た。
このようにして得られた比較トナー(4)の形状について調べたところ、コールターマルチサイザーによる体積平均径は7.1μm、SF−1は144、平均円形度は0.935、BET比表面積は2.0m2/gであった。
更に、比較トナー(4)の溶剤可溶分のNMR測定によって検出したSO3X(X=H、アルカリ金属)基量は1.5mmol/kgであった。
以上で得られたトナー粒子の体積平均径、SF−1、平均円形度、BET比表面積の測定結果及びトナー樹脂中から検出したSO3X(X=H、アルカリ金属)基の量の結果について表3に示す。
本発明における現像剤の二成分トリボ値の測定法を以下に示す。
23℃、相対湿度60%環境下、キャリアとしてEFV200/300(パウダーテック社製)を用い、キャリア9. 5gに現像剤0. 5gを加えた混合物を50〜100ml容量のポリエチレン製の試料瓶に入れる。次いで、このポリエチレン製の試料瓶をターブラーミキサー(WAB社製)を用いて1分間攪拌し、その内容物を0.5g小分けにする。これを1分間振とう品サンプルS1とする。
次いで、S1と同様の試料瓶を同様の攪拌装置にて攪拌時間が5分間になるように攪拌し、その内容物を0.5g小分けにする。これを5分間振とう品サンプルS5とする。
このようにして準備したS1,S2サンプルについて図6に示すブローオフ帯電量測定装置にて摩擦帯電量を測定する。
具体的な測定方法は図6に示す装置に500メッシュのスクリーン3を組み合わせた後、金属製の測定容器2に前記混合物1. 0〜1. 2gを入れ、金属製のフタ4をする。この時の測定容器2全体の重量を秤り、これをW1gとする。次に、吸引機(測定容器2と接する部分は少なくとも絶縁体)において、吸引口7から吸引し風量調節弁6を調節して真空計5の圧力を250mmAqとする。この状態で1分間吸引を行い現像剤を吸引除去する。
この時の電位計9の電位をV(ボルト)とする。ここで、8はコンデンサであり容量をC(μF)とする。又、吸引後の測定機全体の重量を秤り、これをW(g)とする。
この現像剤の摩擦帯電量(mC/kg)は、下式のように計算される。
摩擦帯電量(mC/kg)=C×V/(W1−W2)
以上の方法でS1,S2を測定して得られた摩擦帯電量を各々Q1,Q2とした。得られたQ1,Q2に基づいて後述の評価方法で評価した。
評価結果を表4に示す
以上の結果から、SO
3X(X=H、アルカリ金属)基を含有するトナーが体積平均径が4〜10μmであり、形状係数SF−1が115〜140であり、平均円形度が0.950〜0.990であり、且つ、BET比表面積が1 .5〜7.0m2 /gの範囲の形状を取ることで、トナーの帯電特性を適正化することが可能になることが分かった。
これは、SO3X(X=H、アルカリ金属)基を含有する樹脂と、「適度な凹凸を持つ球状トナー」の組合せの相乗効果によって、帯電性が良化することによるものであると考えられる。
実施例(1)〜(11)及び比較例(1)〜(5):
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。
[プロセスカートリッジ(1)]
本願発明の実施例で使用する画像形成装置について以下にその概略を説明する。
本願発明の実施例では、モノカラーの非磁性一成分接触現像方式による現像方法として図2に示す現像ユニットと図1に示す画像形成装置を組み合わせて行った。即ち、帯電補助ローラを有する非磁性一成分接触現像方式である。
本実施例のプロセス条件としては、プロセス速度を94mm/sに、現像剤担持体上でのトナー薄層の厚みが0.4〜0.5mg/cm2になるよう調整した。又、トナー供給部材5は、アスカーC硬度が40度のソリッドゴムに対してウレタン成分を含むコート層を有するローラとした。
又、トナー帯電ローラには、本例では非図示の電圧供給よりトナー担持体に対して200V低くなるように電圧を印加した。
静電潜像担持体上の帯電後の表面電位は−700V、現像バイアスは紙上の50%濃度がマクベス濃度で0.7になるような電位設定を使用した。又、転写バイアスは+900V〜+1500Vの範囲内で初期の転写性が最適になる条件を選択した。
更に、トナー帯電ローラと現像剤担持の当接ニップが1.0mmで、且つ、トナー帯電ローラ表面のRaとRzの比Ra/Rzが0.4となる構成のローラを使用した。
又、転写後の静電潜像担持体上に残留したトナーを除去するクリーニング部材10は、ウレタンゴム製のゴム硬度(アスカーC)が45であるブレードクリーニング部材を使用した。
以上のプロセスカートリッジ(1)を用いて、トナー製造例(1)〜(20)及び比較製造例(1)〜(3)のトナーをトナー容器にそれぞれ充填し、画像印字率が5%になるよう調整した評価用画像を用い、モノカラーで連続6000枚の耐久を行い、トナーの画質及び耐久性について評価を行った。
尚、画像出力環境としては温度15℃、湿度5%RH環境及び温度32℃、湿度70%RHの2環境において行った。
以上の評価結果を表5にまとめた。
このような低温低湿及び高温高湿環境での連続耐久評価において、実施例(1)〜(11)において良好な結果が得られたが、この理由としては、以下の点が考えられる。
即ち、画像カブリ、転写性が良好な理由としては、トナー形状が「適度な凹凸を持つ球状トナー」でBET比表面積が適当であり、且つ、本発明のSO3X(X=H、アルカリ金属)基を含有する樹脂が適切であったため、トナーの摩擦帯電での電荷の立ち上がりが良好であったことが考えられる。
又、ハーフトーン(HT)画質、潜像担持体への融着、規制部材への融着及び濃度安定性が良好な理由としては本願発明のSO3X(X=H、アルカリ金属)基を含有する樹脂と、「適度な凹凸を持つ球状トナー」の組合せで、特に形状係数SF−1や円形度が本願の適当な範囲にあり、該画像形成方法でのトナー帯電性と現像性が安定したことが考えられる。
更に、本表には記載していないが、実施例(1)〜(11)においては、良好なクリーニング性であり、帯電部材汚染のない画像が得られた。
本実施例で使用したフルカラー画像形成の実施例について説明する。
本実施例では、図3のに示すインライン方式のフルカラー画像形成装置を使用した。
ここでは、第1,第2,第3及び第4の画像形成部29a,29b,29c,29dが並設されており、各画像形成部はそれぞれ専用の静電潜像保持体、所謂感光ドラム19a,19b,19c及び19dを具備している。
感光ドラム19a,19b,19c及び19dは、その外周側に潜像形成手段23a,23b,23c及び23d、現像部17a,17b,17c及び17d、転写用放電部24a,24b,24c及び24d、並びにクリーニング部18a,18b,18c及び18dが配置されている。
このような構成にて、先ず、第1画像形成部29aの感光ドラム19a上に潜像形成手段23aによって原稿画像における、例えばイエロー成分色の潜像が形成される。該潜像は現像手段17aのイエロートナーを有するトナーで可視画像とされ、転写部24aにて、転写材としての記録材Sに転写される。
上記のようにイエロー画像が転写材25に転写されている間に、第2画像形成部29bではマゼンタ成分色の潜像が感光ドラム19b上に形成され、続いて現像手段17bのマゼンタトナーを有するトナーで可視画像とされる。この可視画像(マゼンタトナー像)は、上記の第1画像形成部29aでの転写が終了した転写材Sが転写部24bに搬入されたときに、該転写材Sの所定位置に重ねて転写される。
以下、上記と同様な方法により第3,第4の画像形成部29c,29dによってシアン色,ブラック色の画像形成が行われ、上記同一の転写材Sに、シアン色,ブラック色を重ねて転写するのである。このような画像形成プロセスが終了したならば、転写材Sは定着部22に搬送され、転写材S上の画像を定着する。これによって転写材S上には多色画像が得られる。転写が終了した各感光ドラム19a,19b,19c及び19dは、クリーニング部18a,18b,18c及び18dにより残留トナーを除去され、引き続き行われる次の潜像形成のために供せられる。
尚、上記画像形成装置では、転写材としての記録材Sの搬送のために、搬送ベルト25が用いられており、図5において、転写材Sは右側から左側へ搬送され、その搬送過程で、各画像形成部29a,29b,29c及び29dにおける各転写部24a,24b,24c及び24dを通過して転写を受ける。
この画像形成方法において、転写材Sを搬送する搬送手段として加工の容易性及び耐久性の観点からポリフッ素系繊維のメッシュを用いた搬送ベルト及びポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリイミド系樹脂、ウレタン系樹脂等の薄い誘電体シートを用いた搬送ベルトが利用される。
転写材Sが第4画像形成部29dを通過すると、AC電圧が除電器20に加えられ、転写材Sは除電され、ベルト25から分離され、その後、定着器22に入り、画像定着され、排出口26から排出される。
以上の画像形成装置のプロセス速度が94mm/sになるように調整した。
本発明トナーは転写性が優れているので、転写を繰り返す毎に搬送手段の帯電が増しても、同じ転写電流で各転写におけるトナーの転写性を均一化でき、良質な高品位画像が得られることになる。
このフルカラー画像形成装置を用い、現像部17−a,17−b,17−c,17−dに、トナー(1)、トナー(12)、トナー(13)、トナー(14)をそれぞれ用い、フルカラーモードでA4サイズの用紙に横線パターン画像を連続5000枚の耐久試験を行った。尚、耐久試験は10℃、10%RHの環境と、32.5℃、70%RHの環境にて行った。
この結果を表6に示す。
更に、レッド及びグリーンの2次色階調チャートを10枚出力したが、目視で濃淡部での色の変化がない、安定した2次色の画像が得られた。
このように、本外添剤を使用して実用的なフルカラー画像形成が可能になった理由としては、本願発明のSO3X(X=H、アルカリ金属)基を含有する樹脂と、「適度な凹凸を持つ球状トナー」とが効果的に組み合わされたことでこのような良好な結果が得られたものと考えられる。特に、ハーフトーン(HT)画質においては、トナーの形状であるBET、形状係数SF−1が転写に対して適切であったことでこのような効果が得られたものと考えられる。
又、インラインカラーの画像形成方法においては、再転写、即ち下流にある静電潜像担持体からトナー像を転写する際に上流での転写済みトナー像が下流の静電潜像担持体上に戻ってしまう現象が生じ易いが、本願のトナーを用いることによって、再転写が殆どない良質な画像出力が得られた。これは、このようなトナーの形状及び使用した樹脂が好適に作用し、広い転写領域特性を達成することが可能になったことにより、「インラインでの多重色重ね」でも最転写現象を生じることなく画像形成が達成できたためであると考えられる。
本実施例に示した評価基準を以下に示す。
(1)帯電性
本発明における現像剤の二成分トリボ値の測定法によって測定したブローオフトリボQ1及びQ2に基づいて帯電性を以下の式によって算出した。
帯電性=(Q2−Q1)/Q1
ここで、Q1:1分間攪拌品の二成分トリボ測定値
Q2:5分間攪拌品の二成分トリボ測定値
評価基準
A:帯電性が良好(0.2未満)
B:帯電性がやや良い(0.2以上、0.3未満)
C:帯電性が従来品同等(0.3以上、0.4未満)
D:帯電性がやや悪い(0.4以上、0.5未満)
E:帯電性が非常に悪い(0.5以上)
プリントアウト画像評価:
<1>濃度安定性
ベタ印字画像を出力し、トナー担持体1周目に相当する位置の画像濃度を測定する(画像濃度1)。又、画像先端からトナー担持体2週目以降に相当する位置の画像濃度を測定する(画像濃度2)。測定した2つの画像濃度に対し、下記式より濃度安定性を算出した。
(濃度安定性)=|(画像濃度1)−(画像濃度2)|
尚、画像濃度は「マクベス反射濃度計」(マクベス社製)を用いて、原稿濃度が0.00の白地部分のプリントアウト画像に対する相対濃度を測定した。
A:非常に良好(0.05未満)
B:良好 (0.05以上、0.08未満)
C:実用可 (0.08以上、0.13未満)
D:実用不可 (0.13以上)
<2>画像カブリ
全白画像を出力し、「リフレクトメータ」(東京電色社製)により測定したプリントアウト画像の白地部分の白色度と転写紙の白色度の差からカブリ濃度(%)を算出し、画像カブリを評価し、帯電安定性の指標とした。
A:非常に良好(1.5%未満)
B:良好 (1.5%以上、2.5%未満)
C:実用可 (2.5%以上、4.0%未満)
D:実用不可 (4%以上)
<3>ハーフトーン(HT)画質
600dpiの解像度で2ライン11スペースの画像を出力した。このときの出力画像を目視で評価した。
A:非常に良好(安定したHT画像)
B:良好 (良く見るとややムラ状になって見える)
C:使用可 (ややムラ状だが、気にならないレベル)
D:使用難あり(安定性に欠けるが使えないこともない)
E:使用不可 (安定性に欠け、実用的でない)
<4>潜像担持体への融着
一定枚数連続印刷した後に、紙上にベタ印字定着画像を出力する。このベタ印字画像上に白く抜けた点が存在する場合、この白い点を潜像担持体への融着と判断し評価した。
A:非常に良好(白い点が確認できないレベル)
B:良好 (白い点が僅かに確認できるが、実用上全く問題ないレベル)
C:実用可 (白い点が確認できるが、実用上可能なレベル)
D:実用不可 (白い点が著しく、実用的に困難なレベル)
<5>規制部材への融着
高印字率の画像をプリントアウトし、その画像上に現れる規制部材への融着が原因となる画像スジの程度を目視で評価した。
A:非常に良好(均一画像で画像スジが確認できないレベル)
B:良好 (若干の画像スジが確認できるが、実用上全く問題ないレベル)
C:実用可 (画像スジが確認できるが、実用上可能なレベル)
D:実用不可 (画像スジが著しく、実用的に困難なレベル)
<6>転写領域
評価チャートを出力する時の転写性を転写前後のドラム上のトナー質量から下記式によって転写性を算出した。
転写性=(W2−W1)/W1×100(%)
更に、転写時の転写ローラに印加する印加電圧と、この転写性との関係をグラフにする。一例を図6に示す。
このようにして得られたグラフにおける転写性が95%以上を達成する印加電圧の上下限の電圧範囲(ボルト)を良好な転写領域として、下記の評価基準で評価した。
評価基準
A:転写領域が 600V以上
B:転写領域が 450V以上、600V未満
C:転写領域が 250V以上、450V未満
D:転写領域が 10V以上、250V未満
E:転写領域が 10V以下