JP4376814B2 - 光情報記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は光によって情報を記録再生する光記録媒体とその製造方法に関する。特に狭トラックピッチで情報を記録し、光の解像限界を超えた高密度記録情報を再生する技術に関する。ここで光の解像限界とは、光の波長をλ、対物レンズの開口数をNAとするとλ/2NAで表される記録トラック方向における記録マークの周期を指す。
記録型の光記録媒体では、クロスライト、クロスイレースを抑制するためにトラックピッチにマージンを設ける。例えば、レーザビームの波長が405nm、対物レンズの開口数NAが0.85の光学ピックアップの場合、トラックピッチは320nm以上に設定されている。トラックピッチとはディスク状媒体の半径方向における記録トラックの周期をいう。
特許文献1〜4には、クロスライト、クロスイレースの抑制を目的とした媒体構造が開示されている。即ち、特許文献1〜2には、トラック間の熱伝導を防ぐために記録材料を溝に埋め込んだ媒体構造が開示されている。特許文献3には、トラック間の熱伝導を防ぐために、フォトリソグラフィーによって記録材料を加工した媒体構造が開示されている。特許文献4には、トラック間の熱伝導を防ぐためにランドの端部に突起部を設けた媒体構造が開示されている。
また、光の解像限界を超えた記録マークを再生する技術として、媒体の超解像技術が知られている。超解像材料層を設けて、微小マーク又は微小ピットを再生する技術である。
超解像材料層には、相変化材料が用いられることが多い。特許文献5には、位相ピット上に相変化材料層を積層し、再生レーザビームスポット内の一部の相変化材料層を液相化させ、解像限界に当る位相ピットを再生する方法が開示されている。特許文献6には、Ge−Te合金からなるマスク層を設け、マスク層に光透過率が増加した再生用窓を形成し、記録マークを再生する方法が開示されている。特許文献7には、Ge、Sb、Teの3元素を主成分とした光シャッタ層を設け、再生レーザビームスポット内一部の光シャッタ層を溶融状態として記録マークを再生する方法が開示されている。特許文献8には、Sbからなるマスク層を設け、マスク層側から再生レーザビームを照射し、マスク層に光学的開口を形成して記録マークを再生する方法が開示されている。
また、特許文献9には、光記録媒体の導電体材料をライン形状に加工した媒体構造が開示されている。
一方、本発明のような変形モードの記録マークを形成して記録再生を行う光情報記録媒体は多数知られているが、本発明のように、光の解像限界を超えた高密度情報の記録再生を目的として記録形態や層構成を工夫した文献は本発明者らの知る限り見当らない。
特開2000−276770号公報 特開2001−236689号公報 特開2001−266405号公報 特開2004−039106号公報 特許第3361079号公報 特許第3602589号公報 特開平8−306073号公報 特開2000−229479号公報 特開2003―228880号公報
前述したように、クロスライト、クロスイレースを抑制して記録トラックピッチを縮小する媒体は公知である。しかしながら、何れの媒体構造もクロスライト、クロスイレースを完全に防止することは困難であり、トラックピッチを大幅に縮小することはできない。また、フォトリソグラフィーによる加工を必要とする構成のため、プロセスコストが高騰し媒体の低価格化は困難である。
また、光の解像限界を超えた記録マークを再生する技術として、媒体の超解像技術も公知である。しかし、公知文献で、マスク層、再生用窓、光シャッタ層、光学的開口などの表現が用いられていることからも分るように、従来の超解像再生方法では、再生レーザビームスポット内の一部分において超解像材料の光学特性を変え、実効的なレーザビームスポット径を縮小し、微小マーク又は微小ピットを再生している。再生レーザビームスポット内の一部分において超解像材料の光学特性を変える方法としては、超解像材料に相変化材料を用い、再生レーザビームスポット内の一部分の相変化材料を溶融状態にして光学的開口を形成する方法が用いられている。
図1に従来の光情報記録媒体構成の概要を示す。
図1(a)は光情報記録媒体の、記録トラックに対して垂直方向の断面図である。
101は支持基板、102は記録材料層、103は超解像材料層、104の矢印は記録トラックを示し、105はトラックピッチを示す。支持基板101の表面には、レーザビームスポットのトラッキング用の緩やかな凹凸がある。各層は凹凸にならった状態で積層されている。情報を記録する際には、レーザ照射によって記録層102を発熱させる。発熱により、ある温度以上になった部分に記録マークが形成される。熱は半径方向に拡がるため、記録マークも半径方向に拡がる。半径方向に隣接する記録マークの重なり(クロスライト)を避けるため、トラックピッチ105は十分に拡げる。
図1(b)は記録トラックに対して平行方向の断面図である。図1(a)のX−X断面に当り、超解像再生状態を示している。101は支持基板、102は記録材料層、103は超解像材料層、106は記録マーク、107は超解像材料層に形成される光学的開口、108はレーザビーム、109の矢印はレーザビームスポット径を示し、110はレーザビームの移動方向を示す。図示のように、従来の超解像再生方法では、レーザビームスポット径内の一部の超解像材料層に光学的開口を形成し、微小マークを再生している。したがって、レーザビームスポット径内で光学的開口以外の部分は超解像材料層で遮光された状態になっている。レーザビーム108から見て記録層102は超解像材料層103の奥側に位置する。
この構造では、レーザビームスポットが超解像材料層で遮光された状態になり、記録層102に到達する光量が減少し、信号強度は低下する。しかし、記録密度が上がり記録マーク106が小さくなると、それに応じて光学的開口107も小さくしなければならない。その結果、レーザビームスポット径のかなりの部分が超解像材料で遮光されることになり、信号強度は益々低下し、検出できなくなる。
本発明は、このような従来の超解像再生の問題を解決するためになされたものであり、超解像材料層に光学的開口を形成する方法によらず、光の解像限界を超えた高密度情報を記録再生でき、かつトラックピッチを縮小して記録密度を上げることができる光記録媒体とその製造方法の提供を目的とする。
記録型の光記録媒体では、記録の際に照射される光は媒体面上で吸収され熱に変わる。そして所定温度以上に昇温した部分が記録マークになる。従って、クロスライトを抑制するためには熱の拡がりを制限する必要がある。本発明では、簡単な構成で熱の拡がりを制限して確実にクロスライトを抑制し、トラックピッチを従来の媒体よりも大幅に縮小することを目的とする。
上記課題は次の1)〜6)の発明(以下、本発明1〜6という)によって解決される。
1) 表面にトラック形成用の凹凸が存在する支持基板上に、光を吸収して発熱する発熱材料層と、構造体と、光を吸収して発熱し変形する第1変形材料層と、光を透過し熱によって変形する第2変形材料層とがこの順に積層された構成を有し、未記録状態での、記録トラックに対して垂直かつ膜厚方向に平行な断面形状は、構造体が支持基板の凹部上及び凸部上にそれぞれ存在し、構造体の幅方向の両端部が垂直又は逆テーパー形状であり、第1変形材料層は、構造体の幅方向の両端部の外側において、構造体の上部に比べて、膜厚が減少していることを特徴とする光情報記録媒体。
2) 第1変形材料層と第2変形材料層の変形部分である記録マークを形成して情報を記録した後の、記録トラックに対して平行且つ膜厚方向に平行な断面において、第1変形材料層は、記録マークの記録トラック方向中心の膜厚が、記録マークの記録トラック方向両端部の膜厚に比べて増加しており、第2変形材料層は、膜厚が変化した第1変形材料層にならって凹凸に変形していることを特徴とする1)記載の光情報記録媒体。
3) 第1変形材料層が、少なくともアンチモン(Sb)とテルル(Te)を含有することを特徴とする1)又は2)記載の光情報記録媒体。
4) 第2変形材料層が、少なくとも硫化亜鉛(ZnS)とシリコン酸化物(SiOx;ここでxは2以下)を含有することを特徴とする1)〜3)の何れかに記載の光情報記録媒体。
5) 構造体が少なくとも硫化亜鉛(ZnS)とシリコン酸化物(SiOx;ここでxは2以下)を含有することを特徴とする1)〜4)の何れかに記載の光情報記録媒体。
6) 表面にトラック形成用の凹凸が存在する支持基板上に、発熱材料層、及び硫化亜鉛(ZnS)とシリコン酸化物(SiOx;ここでxは2以下)を含有する薄膜からなる積層構成を少なくとも有する媒体に対してレーザ光を照射する工程、レーザ光を照射した後、該媒体をフッ化水素酸(HF)を含む水溶液でエッチングして支持基板の凹部上及び凸部上に構造体を形成する工程、形成された構造体上に第1変形材料層及び第2変形材料層をこの順に成膜する工程を含むことを特徴とする請求項5記載の光情報記録媒体の製造方法。
本発明者らは先に、光の解像限界を超えた高密度情報を記録再生できる光情報記録媒体に係る発明について出願した(特願2005−44664号)。本発明は、先願発明に対し更に構造体を加えた点に特徴がある。これにより、簡単な構成で熱の拡がりを制限して確実にクロスライトを抑制し、トラックピッチを従来の媒体よりも大幅に縮小することが可能となる。
本発明1の光情報記録媒体は、表面にトラック形成用の凹凸が存在する支持基板上に、光を吸収して発熱する発熱材料層と、構造体と、光を吸収して発熱し変形する第1変形材料層と、光を透過し熱によって変形する第2変形材料層とがこの順に積層された構成を有する。未記録状態での、記録トラックに対して垂直かつ膜厚方向に平行な断面形状は、構造体が支持基板の凹部上及び凸部上にそれぞれ存在し、構造体の幅方向の両端部が垂直又は逆テーパー形状であり、第1変形材料層は、構造体の幅方向の両端部の外側において、構造体の上部に比べて、膜厚が減少した状態になっている。第2変形材料層は、構造体及び第1変形材料層にならって積層されており、通常は半円形状である。
また、本発明2は、本発明1の光情報記録媒体において、情報を記録した後の状態を規定したものであり、記録トラックに対して平行且つ膜厚方向に平行な断面において、第1変形材料層は、記録マークの記録トラック方向中心の膜厚が、記録マークの記録トラック方向両端部の膜厚に比べて増加しており、第2変形材料層は、膜厚が変化した第1変形材料層にならって凹凸に変形している。ここで、記録マークとは、第1変形材料層と第2変形材料層の変形部分を指す。
本発明3は、第1変形材料層の好ましい材料を規定したものである。即ち、少なくともアンチモン(Sb)とテルル(Te)を含有し、SbとTeの組成比(Sb/Te比)が、1.5〜4の範囲にある材料を用いる。テルル(Te)は、テルル酸化物(TeOx)の状態であっても構わない。これによって再生信号の信号品質の向上を図ることができる。
本発明4は、第2変形材料層の好ましい材料を規定したものである。即ち、少なくとも硫化亜鉛(ZnS)とシリコン酸化物(SiOx;ここでxは2以下)を含有する材料を用いる。これによって、低い光強度で情報を記録再生することが可能となる。
本発明5では、構造体に少なくとも硫化亜鉛(ZnS)とシリコン酸化物(SiOx;ここでxは2以下)を含有させる。これにより簡単な製造プロセスで媒体を形成することが可能となる。
本発明は、本発明の光情報記録媒体の製造方法であり、これにより簡単なプロセスで本発明の光情報記録媒体を製造することが可能となる。
次に、本発明の参考例について説明する。
本発明の参考例の光情報記録媒体を図2に示す。図2は未記録状態での、記録トラックに対して垂直方向の断面図である。201は支持基板、202は構造体、203は第1変形材料層、204は第2変形材料層を示す。
201の支持基板には、ガラス、石英などを用いることができる。また、Si、SOI(シリコンオンインシュレーター)などの半導体製造用の基板、Al、不透明ガラス基板などのHDD(ハードディスク)用の基板、ポリカーボネート、アクリル、ポリオレフィン、エポキシ、ビニルエステル、ペットなどの樹脂基板も用いることができる。
202の構造体は、その形状に特徴を有する。記録トラックに対して垂直かつ膜厚方向に平行な断面形状において、構造体の幅方向の両端部は垂直又は逆テーパー形状になっている。材料としては、熱可塑性樹脂や光硬化性樹脂などの有機材料、ZnS・SiOなどの無機材料を用いることができるが、構造体の幅方向の両端部が垂直又は逆テーパー形状にできれば、どのような材料を用いても構わない。
203の第1変形材料層には、情報を記録する光の波長において光を吸収して発熱し、発熱することで溶融し変形する材料を用いる。材質としては、Bi、In、Sn、Sbなどの低融点金属を用いることができる。また、BiTe、BiIn、GaSb、InP、InSb、InTe、SbSnなどの低融点金属を含む金属間化合物材料を用いることができる。
第1変形材料層として好ましいのは、少なくともアンチモン(Sb)とテルル(Te)を含有する材料である。SbTeの2元系材料を用いることができ、SbとTe以外の元素を含んでも構わない。GeSbTeなどの3元系材料、AgInSbTeなどの4元系材料を用いることもできる。更に好ましいのは、SbとTeの組成比(Sb/Te比)が、1.5〜4の範囲にある材料である。この範囲にあるSbTe系化合物は、δ相と呼ばれる晶系に属する。δ相組成のSbTe系化合物は、温度を上げた場合に相分離や相転移が起こらずに溶融状態になる。本発明の光情報記録媒体では、第1変形材料層の固相状態と溶融状態間での変化を利用して再生信号を検出する。固相状態と溶融状態間での変化の過程において相分離や相転移が起こると、複数の信号レベルが発生し信号品質が低下したり、信号レベルの判定が困難になったりする。これに対し、単純に固相状態と溶融状態間のみで変化する上記材料を用いることによって、高品質な再生信号が得られる。
第1変形材料層は、構造体の端部において、その膜厚が減少している。構造体は、端部が垂直又は逆テーパー形状になっている。構造体上に積層される第1変形材料層は、垂直又は逆テーパー形状部分において、被覆性能(ステップカバレージ)が低下する。このステップカバレージの低下を利用して、構造体の端部において第1変形材料層の膜厚を減少させる。
204の第2変形材料層には、情報を記録する光の波長において光透過率が高い材料を用いる。第2変形材料層が光透過性の高い材料であると、光は下層に位置する第1変形材料層で吸収される。その結果、第2変形材料層の形状変化を第1変形材料層の変形を反映した状態にすることができる。第2変形材料層には、成膜状態において低密度及び/又は柔らかであり、加熱によって緻密化及び/又は硬質化する材料が好ましい。このような材料を第2変形材料層とすることによって、光加熱によって第1変形材料層に形状変化を起こさせ、その形状にならった状態で第2変形材料層の形状を変えるという記録が可能となる。第2変形材料層の融点は、第1変形材料層の融点よりも高いことが望ましい。更に、両層の融点差が大きいことが望ましい。第2変形材料層には融点が1000℃以上の材料を用い、第1変形材料層には融点が100〜700℃程度の材料を用いることが望ましい。このような融点差を設けることによって、記録再生過程における材料の相互拡散が抑制でき、信号品質の劣化を防ぐことができる。
第2変形材料の例としては、SiO、SiON、SiNなどのシリコン化合物材料、ZnS、CaS、BaSなどの硫化物材料、ZnSe、BaSeなどのセレン化物材料、CaF、BaFなどのフッ素化合物材料、ZnOなどの酸化物材料が挙げられる。
これらの材料の成膜方法としては、スパッタリング法が好ましい。特に、室温でのスパッタリング法が、低密度材料を形成する成膜方法として好ましい。
また、シアニン色素、フタロシアニン色素などの色素材料、ポリカーボネート、アクリル、ポリオレフィン、エポキシ、ビニルエステルなどの樹脂材料を用いることもできる。有機物系材料の場合は、スピンコート法で成膜する。
第2変形材料として好ましいのは、少なくとも硫化亜鉛(ZnS)とシリコン酸化物(SiOx;ここでxは2以下)を含有する材料である。ZnSとSiOxは、各々独立した状態で存在していてもよく、ZnSとSiOxを構成する元素が結合した状態で存在していてもよい。また、ZnSとSiOx以外の材料が含まれていても構わない。例えば、ZnSとSiOxを構成する元素による化合物である酸化亜鉛(ZnO)や、酸化亜鉛が硫化された状態のZnOX1−X、雰囲気ガスとの化合物である窒化亜鉛(Zn)、光吸収材料に含まれるSbとZnの化合物(ZnSb)などを含んでいても構わない。
成膜方法としては、スパッタリング法が好ましい。特に、室温でのスパッタリング法が、低密度材料を形成する成膜方法として好ましい。スパッタリングターゲットには、ZnSとSiOの混合体材料を用いる。ZnSとSiOの比率(ZnS/SiO)が1〜20の範囲にある材料、つまり、ZnS:SiO=50:50〜95:5(モル%)の範囲にある材料を用いる。
ZnSとSiOxを含有する材料は、広い波長範囲において高い透過率を有する。SiOxを含有することにより、成膜状態では非常に柔らかく低密度になる。そして記録によって変形し易く加熱によって硬化し易い。また、熱伝導率が非常に小さいので、この材料を第2変形材料層とすることによって記録再生に必要な光強度を低減することができる。更に、この材料は、成膜状態では低密度であることから膜の残留応力が小さく、大面積基板に対しても成膜できる。
図3は、参考例の光情報記録媒体に対し、本発明2で規定するのと同様の情報を記録した後の、記録トラックに沿った方向の断面図である。
301は構造体、302は第1変形材料層、303は第2変形材料層を示す。304は記録マークの周期であり、図は、最短周期の記録マークを繰り返し記録した状態を示す。305は記録マーク中心、306は記録マーク端部を示す。ここで、記録マークは、第1変形材料層と第2変形材料層の変形部分を指す。307は記録マーク中心の第1変形材料層302の膜厚、308は記録マーク端部の第1変形材料層302の膜厚、309は記録マーク中心の第2変形材料層303の膜厚、310は記録マーク端部の第2変形材料層303の膜厚を示す。記録の形態は変形であり、第1変形材料層の膜厚が変化している。第1変形材料層の膜厚は、記録マーク中心で厚く、記録マーク端部で薄い。第1変形材料層は記録マーク中心が凸状に変形し、記録マーク端部は凹状になっている。記録マーク中心の第1変形材料層の膜厚と、記録マーク端部の第1変形材料層の膜厚の差は5〜50nm程度である。第2変形材料層は、第1変形材料層に形成された凹凸にならった状態で変形している。言い換えると、第2変形材料層は、第1変形材料層に形成された凹凸を被覆する殻(シェル)のような状態になっている。構造体も変形しても構わないが、変形しない方が好ましい。構造体が変形しないことにより、凸状のレンズ形状が形成できる。変形形状がレンズ形状になることで、第2変形材料層による光の集光が起こり、高密度情報を再生する場合に適する媒体形状とすることができる。
図4は、前記情報を記録した媒体の、記録トラックに対して垂直方向の断面図である。図3に示した記録マーク中心305の断面である。
401は構造体、402は第1変形材料層、403は第2変形材料層を示す。404はトラックピッチ、405は記録トラック、406、407は未記録トラックを示す。記録トラックの記録マーク部分と、未記録トラックの違いは、第1変形材料層の膜厚にある。記録マーク部分では、第1変形材料層の膜厚が厚くなっている。第2変形材料層は凸状の第1変形材料層にならって変形した状態になっている。
図5、図6により図3、図4に示した参考例の媒体の再生方法を説明する。記録情報を再生するに際しては、第1の変形材料層が溶融し、第2の変形材料層が変形しない強度で光を照射する。
図5(a)は記録状態を示す。記録トラックに沿った方向の断面図であり、一つの記録マークを拡大して示している。501は構造体、502は第1変形材料層、503は第2変形材料層、504は記録マーク端部を示す。薄膜内での熱伝導は膜厚に大きく影響される。膜厚に比例して熱伝導率は変化する。記録マーク端部において第1変形材料層の膜厚は減少している。第1変形材料は光を吸収し発熱する材料である。記録マーク端部において膜厚が減少していることから、第1変形材料層の熱は記録トラック方向において隣接する記録マークには熱伝導しにくい状態になっている。つまり、記録マーク毎に熱が局在化し易い状態になっている。
図5(b)は、再生状態を示す。513は溶融状態にある第1変形材料層、505は第2変形材料層、506はレーザビーム、507はレーザビームの移動方向を示す。記録情報を再生するに際しては、第1変形材料層が溶融し、第2変形材料層が変形しない強度で光を照射する。第2変形材料層は記録の段階で変形し、第1変形材料層の変形にならって緻密化及び/又は硬質化した状態にある。再生過程において第2変形材料層の形状は保持される。第2変形材料層は殻(シェル)のような状態にあり、そのシェルの内部において第1変形材料層が溶融する。シェル形状である第2変形材料層にならって、第1変形材料層は溶融し固化する。よって再生過程において溶融しても、第1変形材料層の形状が崩れることはなく、繰り返し再生することができる。
図5(c)は、記録マークの状態の上方視である。508はレーザビームスポット径、509はレーザビームの移動方向、510は構造体、511、512は記録マークを示す。511はレーザビームスポット中心にある記録マークであり溶融状態にある。512は前方に位置する記録マークであり固相状態にある。図5(a)に示したように、記録マーク端部において、第1変形材料層の膜厚は減少していることから、記録マーク毎に熱が局在化し易い状態になっている。よって、レーザビームスポット中心の記録マークが溶融状態にあっても、前方に隣接する記録マークは固相状態にある。再生時において、記録マーク部では、第1変形材料層の溶融が記録マーク毎に順番に起こっていく。
図6には図3、図4に示した参考例の媒体の再生信号レベルの変化を示す。図中(a)(c)(e)は媒体の上方視であり、構造体、第1変形材料層及び記録マークの状態を示している。図中(b)(d)(f)は媒体の上方視に対応させた再生信号レベルの変化を示す。
図6(a)は、未記録部分を低パワーで再生した状態を示し、(b)はその時の再生信号レベルを示す。601はレーザビームスポット径、602の矢印はレーザビームスポットの移動方向、603は構造体、604は構造体上に積層された第1変形材料層、605はレーザビームスポット中心に位置する記録トラック、606は半径方向に隣接するトラック、607は信号レベルの時間変化を示す。信号レベルは一定のレベルを示す。
図6(c)は、未記録部分を高パワーで再生した状態を示し、(d)はその時の再生信号レベルを示す。601〜606は図6(a)の場合と同じである。再生パワーを上げることにより第1変形材料層は溶融する。608は第1変形材料層の溶融部分を示す。レーザビームスポットの移動方向に対して第1変形材料層は若干遅れて高温になる。よって、溶融部分の一部がレーザビームスポットにかかった状態になる。また、構造体を設けることにより熱は構造体上に局在化される。よって、隣接トラック上の第1変形材料層は高温にならず溶融しない。609は信号レベルの時間変化を示す。信号レベルは一定のレベルになる。第1変形材料層の溶融部分の一部分がレーザビームスポット内に含まれることから、信号レベルは低パワー再生時の信号レベルよりも若干低下する。
図6(e)は、記録部分を高パワーで再生した状態を示し、(f)はその時の再生信号レベルを示す。601〜606は図6(a)の場合と同じである。610、611、612は記録マークで、610は溶融状態にある記録マーク、611、612は固相状態にある記録マークを示す。記録マーク毎に熱が局在化し易い状態になっている。よって、レーザビームスポット中心の記録マークが溶融状態にあっても、前方に隣接する記録マークは固相状態にある。記録トラック方向において、第1変形材料層の溶融は記録マーク毎に順番に起こっていく。また、構造体を設けることにより、熱は構造体上に局在化される。よって、隣接トラック上の記録マークは高温にならず固相状態にある。613はレーザビームスポットが記録マーク中心にある場合の信号レベル、614はレーザビームスポットが記録マーク間にある場合の信号レベルを示す。613に示すように記録マークの溶融によって信号レベルは低下する。614に示すように、レーザビームスポットが記録マーク間に移動した場合、前方記録マークは固相状態にあることから信号レベルは増加する。レーザビームスポット内に含まれる溶融部分の比率が変化するためである。記録マークの溶融は記録マーク毎に順番に起こっていくことから、レーザビームスポットと記録マークの相対位置によってレーザビームスポット内に含まれる溶融部分の比率が変化する。その結果、高信号レベル615と低信号レベル616間で変化する記録マーク周期に対応した周期信号が検出できる。隣接トラック上の記録マークは高温にならず固相状態にある。よって、隣接トラック上の溶融による信号変化は再生信号には含まれない。つまり、クロストークは起こらない。
以上のように、参考例の情報記録媒体の記録再生方法では、第1変形材料層が溶融し、第2変形材料層が変形する強度で光を照射することによって、記録マーク毎に熱が局在化し易い記録形態を形成することができる。記録情報を再生するに際しては、第1変形材料層が溶融し、第2変形材料層が変形しない強度で光を照射する。その結果、記録マーク毎に順番に起こっていく第1変形材料層の溶融に伴う信号レベル変化によって、解像限界の記録情報を検出することができる。
図7は、他の参考例の光情報記録媒体の、情報を記録する前の、記録トラックに対して垂直方向の断面図である。701は支持基板、702は低熱伝導材料層、703は発熱材料層、704は構造体、705は第1変形材料層、706は第2変形材料層、707はトラックピッチを示す。
701の支持基板としては、前記参考例と同様の材料を用いることができる。
702は低熱伝導材料層を示す。低熱伝導材料層は基板への熱拡散を抑制し、発熱材料層703に熱を集中させるため、及び、基板への熱拡散を抑制し基板の変形を防ぐために設ける。材質としては、SiO、SiON、SiNなどのシリコン化合物材料、ZnS、CaS、BaSなどの硫化物材料、ZnSe、BaSeなどのセレン化物材料、CaF、BaFなどのフッ素化合物材料、C、SiCなどの炭化物材料を用ことができる。また本発明4の第2変形材料である少なくとも硫化亜鉛(ZnS)とシリコン酸化物(SiOx;ここでxは2以下)を含有する材料を用ことができる。
703は発熱材料層を示す。発熱材料層は構造体704を簡単な作製プロセスで形成するために設ける。レーザ光を吸収し発熱する材料であれば、どのような材料であっても構わない。例えば、Si、Geなどの半導体材料、Bi、Ga、In、Snなどの低融点金属を含む金属間化合物材料、BiTe、BiIn、GaSb、GaP、InP、InSb、InTe、SnSbなどの材料、C、SiCなどの炭化物材料、AlN、GaNなどの窒化物材料を用ことができる。また、本発明3の第1変形材料である少なくともアンチモン(Sb)とテルル(Te)を含有する材料を用いることができる。
704は構造体を示す。構造体は、少なくとも硫化亜鉛(ZnS)とシリコン酸化物(SiOx;ここでxは2以下)を含有する材料からなる。ZnSとSiOxは、各々独立した状態で存在していてもよく、ZnSとSiOxを構成する元素が結合した状態で存在していてもよい。また、ZnSとSiOx以外の材料が含まれていても構わない。例えば、ZnSとSiOxを構成する元素による化合物である酸化亜鉛(ZnO)、酸化亜鉛が硫化された状態のZnOX1−X、雰囲気ガスとの化合物である窒化亜鉛(Zn)などを含んでもよい。また、発熱材料層703を構成する元素とZn、S、Si、Oとの化合物を含んでも構わない。
705は第1変形材料層を示す。前記参考例と同様の材料を用いることができる。
706は第2変形材料層を示す。前記参考例と同様の材料を用いることができる。
次に、本発明の実施形態について説明する。
図8は、本発明の光情報記録媒体の一例の、情報を記録する前の、記録トラックに対して垂直方向の断面図である。801は支持基板、802は低熱伝導材料層、803は発熱材料層、804は構造体、805は第1変形材料層、806は第2変形材料層、807はトラックピッチ、808は支持基板表面の凸分、809は支持基板表面の凹分を示す。支持基板の表面には凸部と、凸部によって形成される凹部が存在する。構造体は、凸部上と凹部上に存在している。810は凸部の高さを示す。高さは10〜50nmである。高さが10nm未満の場合は記録トラックに対するレーザビームスポットのトラッキングが不安定になる。高さが50nmよりも高い場合には、凸部と凹部での記録や再生条件が大きく異なり、記録再生装置のコストが増加する。
次に、構造体の実施形態について説明する。
図9は、光情報記録媒体の一例の上方視であり、構造体と記録マークのみを示す。901はレーザビームスポット、902は構造体、903は記録マーク、904はトラックピッチ、905は構造体の幅、906は記録マークの幅、907は半径方向に隣接する構造体間のスペースを示す。
構造体を設けることで、熱は構造体上に局在化される。よって、記録マークは構造体にならった状態で形成され、記録マークの幅は、構造体の幅にほぼ一致する。記録マークの幅が広い程、レーザビームスポット内に含まれる記録マークの比率が多くなり再生信号強度は増加する。しかしながら、構造体幅を広げて、半径方向に隣接する構造体が接続した状態になると、熱の局在化ができなくなり、クロスライトが抑制できない。よって、構造体の幅は、トラックピッチの0.7〜0.95倍に設定する。半径方向に隣接する構造体間に僅かなスペースが存在すれば、構造体上に熱を局在化することができ、クロスライト抑制効果があらわれる。
レーザビームスポット径(直径)が400nm程度である場合の好ましい寸法は次の通りである。トラックピッチは、150〜300nmとする。150nm未満ではレーザビームスポットの記録トラックに対するトラッキングが不安定になる。300nmよりも大きいと記録密度が上がらない。構造体の幅は、トラックピッチが150nmの場合は105〜140nmの範囲に設定し、トラックピッチが300nmの場合は210〜285nmの範囲に設定する。
次に、本発明の実施形態について説明する。
図10には、図8に示した媒体構成を例として、製造方法を示す。(a)は構造体を形成する媒体構成の断面図、(b)はレーザ光照射工程、(c)はエッチング工程、(d)は第1変形材料層の成膜工程、(e)は第2変形材料層の成膜工程を示す。
図10(a)において、1001は支持基板、1002は低熱伝導材料層、1003は発熱材料層、1004は少なくとも硫化亜鉛(ZnS)とシリコン酸化物(SiOx;ここでxは2以下)を含有する薄膜(以下、熱変化層という)を示す。1001の支持基板、1002の低熱伝導材料層、1003の発熱材料層には、本発明1と同様の材料を用いることができる。
熱変化層の成膜方法としては、スパッタリング法が好ましい。特に、室温でのスパッタリング法が、低密度材料を形成する成膜方法として好ましい。スパッタリングターゲットには、ZnSとSiOの比率(ZnS/SiO)が1〜20の範囲にある材料、つまり、ZnS:SiO=50:50〜95:5(モル%)の範囲にある材料を用いることが好ましい。ZnSとSiOxを含有する材料は、広い波長範囲において高い透過率を有する材料である。SiOxを含有することで、成膜状態では非常に低密度及び/又は柔らかくなる。記録によって変形し易く、加熱によって硬化及び/又は緻密化する材料である。このような特性を示す材料で構造体を形成することによって、簡単な作製プロセスで構造体が形成できる。
図10(b)はレーザ光照射工程を示す。1005はレーザ光を示す。レーザ光照射によって熱変化層が変化する。1006は変化部分を示す。変化の形態は、材料密度の変化、相状態の変化、構成元素の解離、雰囲気ガスとの反応などである。複数の変化が起こっていても構わない。レーザ光は、支持基板、低熱伝導材料層、発熱材料層、熱変化層の積層構成に対して、熱変化層側から照射する。以下の説明では、この照射方法を”膜面照射”と記載する。
膜面照射することによって対物レンズの開口数NAを大きくすることができる。NAを大きくすることによって小さなレーザビームスポットが形成でき、熱変化層の微小領域を変化させることができるので、微細な構造体が形成できる。レーザ光源としては半導体レーザを用いることができる。半導体レーザの波長は370〜780nm、好ましくは、370〜410nmである。例えば、GaN系による半導体レーザを用いる。半導体レーザを用いることによって、安価な装置とすることができ、プロセスコストの低価格化が図ることができる。
図10(c)はエッチング工程を示す。1007は構造体を示す。熱変化層1004の一部を除去し構造体1007を形成する。レーザ照射による変化部分と非変化部分間でエッチング速度差が生じる。変化部分のエッチング速度が低下し、エッチング後には変化部分が構造体として残る。エッチング工程では、少なくとも熱変化層をエッチング加工する。又は、熱変化層と発熱材料層の両方をエッチング加工してもよい。エッチング工程ではフッ化水素酸を含有する水溶液(HF+HO)をエッチング溶液として用いる。好ましい溶液比は、HF:HO=1:50〜1:20の範囲である。1:50よりもHF濃度が薄いと、エッチングレートが低下しプロセス時間が長くなる。1:20よりもHF濃度が濃いと、媒体の表面粗れが発生し、信号再生時のノイズ要因になる。
フッ化水素酸を含有する水溶液は、シリコン酸化物を選択的に溶解する。エッチングによって、レーザ光非照射部分においては、シリコン酸化物が溶解する。シリコン酸化物が溶解することによって、ZnSが離脱(リフトオフ)する。レーザ光照射による変化部分1006では、フッ化水素酸を含有する水溶液に対するエッチング耐性が上がっている。よって、変化部分が残留し構造体が形成できる。また、フッ化水素酸を含有する水溶液によるエッチングでは異方性エッチングができる。エッチング工程で熱変化層の異方性エッチングが進行し、端部の形状が垂直から逆テーパー形状である構造体が形成できる。
図10(d)は第1変形材料層の成膜工程を示す。1008は第1変形材料層を示す。
図10(e)は第2変形材料層の成膜工程を示す。1009は第1変形材料層を示す。
以上の製造方法によって、図8に示した光情報記録媒体が完成する。
本発明によれば、超解像材料層に光学的開口を形成する方法によらず、光の解像限界を超えた高密度情報を記録再生でき、かつトラックピッチを縮小して記録密度を上げることができる光記録媒体とその製造方法を提供できる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
図8に示す構成の光情報記録媒体を次のようにして作製した。
支持基板801には、ポリカーボネートを用い、低熱伝導材料層802は膜厚50nmのZnS−SiOx、発熱材料層803は膜厚20nmのAgInSbTe、構造体804は高さ45nmのZnS−SiOx、第1変形材料層805は膜厚30nmのAgInSbTe、第2変形材料層806は膜厚60nmのZnS−SiOxとした。
何れの材料も室温でスパッタリング法により成膜した。AgInSbTe膜の成膜には、スパッタリングターゲットとして、Sb/Te比が約2.2のAgInSb61Te28(原子%)を用いた。ZnS−SiOx膜の成膜には、スパッタリングターゲットとしてZnSとSiOの混合体(ZnS/SiO=4)を用いた。807はトラックピッチで220nmである。808は支持基板の凸部、809は凹部、810は凸部の高さで、20nmである。
図11は、上記光情報記録媒体の未記録状態の断面TEM像である。図11(a)は数トラックに渡る断面像であり、(b)は構造体端部の拡大像である。
1101は支持基板、1102は低熱伝導率材料層、1103は発熱材料層、1104は構造体、1105は第1変形材料層、1106は第2変形材料層、1107はトラックピッチである。1108は構造体の幅方向の端部を示す。
図示した通り、構造体の幅方向の端部において第1変形材料層の膜厚が低下している。
次に、上記光情報記録媒体に対して情報を記録した。記録条件は次の通りである。
波長405nmのGaNの半導体レーザを用い、対物レンズの開口数NA0.85、記録線速度4.5m/secで、50GB相当の記憶容量に対応する最短マークを繰り返し記録した。レーザパワーレベルはP1>P2の関係にある2水準で変調した。P1=3.5mW、P2=1mWである。パワーレベルは媒体面での値である。パルス幅W=12nsec、パルス周期S=44nsec、パルスデューティーW/S=27%とした。
図12は、情報を記録した後の記録トラックに対して平行方向の断面SEM像である。記録トラック中心付近をFIBで加工し断面をSEM観察した結果である。
1201は支持基板、1202は低熱伝導率材料層、1203は発熱材料層、1204は構造体、1205は第1変形材料層、1206は第2変形材料層である。1207は記録マーク周期で、230nmである。1208は記録マーク中心、1209は記録マーク端部を示す。第1変形材料層の膜厚は、記録マーク中心で厚く、記録マーク端部で薄くなっている。記録マーク中心と端部での膜厚差は26nmである。第2変形材料層の膜厚変化は少なく、第1変形材料層の凹凸にならって変形している。第2変形材料層により第1変形材料層の凹凸を被覆するシェル形状での記録ができている。
図13はクロスライトに対する効果を示すSEM像である。媒体の上方視であり、記録マークをSEM観察し易くする処理をしている。図13(a)は、従来の媒体構成での結果であり、構造体を設けない媒体構成での結果である。図13(b)は本実施例の媒体構成での結果である。
図13(a)の、1301はレーザビームスポットを示す。レーザビームの波長、対物レンズのNAから計算されるレーザビームスポット径は391nmである。1302は記録マーク、1303はトラックピッチで、220nmである。1304は記録マーク幅、1305は半径方向に隣接する記録マークの状態を示す。
従来の構造体を設けない媒体構成では、記録マーク幅が拡がり、トラックピッチを縮小すると、半径方向に隣接する記録マークは接続する(1305参照)。つまりクロスライトが発生する。したがってトラックピッチは縮小できない。
図13(b)の、1306はレーザビームスポットを示す。レーザビームスポット径は図13(a)と同じである。1307は記録マーク、1308はトラックピッチを示す。トラックヒピッチは図13(a)と同じである。1309は構造体を示す。図8の805の部分である。1310は記録マーク幅、1311は半径方向に隣接する記録マークの状態を示す。
本発明の構造体を設けた媒体構成では、記録マーク幅は、構造体の幅以上には拡がらない。よって、トラックピッチを縮小しても、半径方向に隣接する記録マークは分離した状態にある(1311参照)。つまり、クロスライトは起こらない。したがってトラックピッチを縮小できる。図13(b)には、トラックピッチ220nmの結果を示したが、本発明の構造体を設けた構成では、記録マーク幅は構造体の幅に一致しているので、構造体の幅を狭くすることでトラックピッチを更に縮小できる。
上記光情報記録媒体に最短マークを繰り返し記録した状態を再生した。記録マーク周期は150nm及び200nmである。150nmは記憶容量70GBに相当し、200nmは記憶容量55GBに相当する。再生条件は次の通りである。
波長405nmのGaNの半導体レーザを用い、対物レンズの開口数NA0.85、再生線速度4.5m/sec、再生パワー1.1mWとした。トラックピッチ220nmにおいて、隣接トラックにも記録し、再生信号のCNR(carrier to noise ratio)を測定した。
その結果、再生信号のCNR値は、記録マーク周期150nmで29dBであり、記録マーク周期200nmで34dBであり、再生信号が検出できた。信号を再生したレーザ波長λは405nm、対物レンズの開口数NAは0.85である。解像限界λ/2NAは238nmである。光の解像限界より短い周期に相当する記録マーク周期150nm及び200nmの高密度情報を記録再生することができた。
従来の光情報記録媒体構成の概要を示す図。(a)記録トラックに対して垂直方向の断面図、(b)記録トラックに対して平行方向の断面図。 参考例の光情報記録媒体の、未記録状態の、記録トラックに対して垂直方向の断面図。 情報を記録した後の媒体の、記録トラックに沿った方向の断面図。 情報を記録した後の媒体の、記録トラックに対して垂直方向の断面図。 再生方法を示す図。(a)記録状態、(b)再生状態、(c)記録マーク状態の上方視。 再生信号レベルの変化を示す図。(a)媒体上方視、(b)再生信号レベル、(c)媒体上方視、(d)再生信号レベル、(e)媒体上方視、(f)再生信号レベル。 他の参考例の光情報記録媒体の、情報を記録する前の、記録トラックに対して垂直方向の断面図。 本発明の光情報記録媒体の、情報を記録する前の、記録トラックに対して垂直方向の断面図。 本発明の光情報記録媒体の構成を示す図(上方視)。 媒体の製造方法を示す図。(a)構造体形成用の媒体構成の断面図、(b)レーザ照射工程、(c)エッチング工程、(d)第1変形材料層の成膜工程、(e)第2変形材料層の成膜工程。 実施例の光情報記録媒体の未記録状態の断面TEM像を示す図。(a)数トラックの断面像、(b)拡大像。 情報を記録した後の媒体の、記録トラックに対して平行方向の断面SEM像を示す図。 クロスライトのSEM観察結果を示す図。(a)構造体が無い従来構成、(b)構造体を設けた本発明の構成。
符号の説明
101 支持基板
102 記録材料層
103 超解像材料層
104 記録トラック
105 トラックピッチ
106 記録マーク
107 超解像材料層の光学的開口
108 レーザビーム
109 レーザビームスポット径
110 レーザビーム移動方向
201 支持基板
202 構造体
203 第1変形材料層
204 第2変形材料層
205 トラックピッチ
301 構造体
302 第1変形材料層
303 第2変形材料層
304 記録マーク
305 記録マーク中心
306 記録マーク端部
307 記録マーク中心の第1変形材料層の膜厚
308 記録マーク端部の第1変形材料層の膜厚
309 記録マーク中心の第2変形材料層の膜厚
310 記録マーク端部の第2変形材料層の膜厚
401 構造体
402 第1変形材料層
403 第2変形材料層
404 トラックピッチ
405 記録トラック
406 未記録トラック
407 未記録トラック
501 構造体
502 第1変形材料層
503 第2変形材料層
504 記録マーク端部
505 第2変形材料層
506 レーザビーム
507 レーザビーム移動方向
508 レーザビームスポット径
509 レーザビーム移動方向
510 構造体
511 レーザビームスポット中心の溶融マーク
512 前方に隣接する固相状態マーク
513 溶融状態の第1変形材料層
601 レーザビームスポット
602 レーザビームスポット移動方向
603 構造体
604 第1変形材料層
605 レーザビームスポット中心の記録トラック
606 半径方向に隣接する記録トラック
607 信号レベル
608 第1変形材料層の溶融部分
609 信号レベル
610 溶融状態にある記録マーク
611 固相状態にある記録マーク
612 固相状態にある記録マーク
613 レーザビームスポットが記録マーク中心にある場合の信号レベル
614 レーザビームスポットが記録マーク間にある場合の信号レベル
615 高信号レベル
616 低信号レベル
701 支持基板
702 低熱伝導材料層
703 発熱材料層
704 構造体
705 第1変形材料層
706 第2変形材料層
707 トラックピッチ
801 支持基板
802 低熱伝導材料層
803 発熱材料層
804 構造体
805 第1変形材料層
806 第2変形材料層
807 トラックピッチ
808 支持基板表面凸部
809 支持基板表面凹部
810 凸部の高さ
901 レーザビームスポット
902 構造体
903 記録マーク
904 トラックピッチ
905 構造体の幅
906 記録マークの幅
907 半径方向に隣接する構造体間のスペース
1001 支持基板
1002 低熱伝導材料層
1003 発熱材料層
1004 熱変化層
1005 レーザ光
1006 変化部分
1007 構造体
1008 第1変形材料層
1009 第1変形材料層
1101 支持基板
1102 低熱伝導率材料層
1103 発熱材料層
1104 構造体
1105 第1変形材料層
1106 第2変形材料層
1107 トラックピッチ
1108 構造体の幅方向の端部
1201 支持基板
1202 低熱伝導率材料層
1203 発熱材料層
1204 構造体
1205 第1変形材料層
1206 第2変形材料層
1207 記録マーク周期
1208 記録マーク中心
1209 記録マーク端部
1301 レーザビームスポット
1302 記録マーク
1303 トラックピッチ
1304 記録マーク幅
1305 半径方向に隣接する記録マークの状態
1306 レーザビームスポット
1307 記録マーク
1308 トラックピッチ
1309 構造体
1310 記録マーク幅
1311 半径方向に隣接する記録マークの状態

Claims (6)

  1. 表面にトラック形成用の凹凸が存在する支持基板上に、光を吸収して発熱する発熱材料層と、構造体と、光を吸収して発熱し変形する第1変形材料層と、光を透過し熱によって変形する第2変形材料層とがこの順に積層された構成を有し、未記録状態での、記録トラックに対して垂直かつ膜厚方向に平行な断面形状は、構造体が支持基板の凹部上及び凸部上にそれぞれ存在し、構造体の幅方向の両端部が垂直又は逆テーパー形状であり、第1変形材料層は、構造体の幅方向の両端部の外側において、構造体の上部に比べて、膜厚が減少していることを特徴とする光情報記録媒体。
  2. 第1変形材料層と第2変形材料層の変形部分である記録マークを形成して情報を記録した後の、記録トラックに対して平行且つ膜厚方向に平行な断面において、第1変形材料層は、記録マークの記録トラック方向中心の膜厚が、記録マークの記録トラック方向両端部の膜厚に比べて増加しており、第2変形材料層は、膜厚が変化した第1変形材料層にならって凹凸に変形していることを特徴とする請求項1記載の光情報記録媒体。
  3. 第1変形材料層が、少なくともアンチモン(Sb)とテルル(Te)を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の光情報記録媒体。
  4. 第2変形材料層が、少なくとも硫化亜鉛(ZnS)とシリコン酸化物(SiOx;ここでxは2以下)を含有することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の光情報記録媒体。
  5. 構造体が少なくとも硫化亜鉛(ZnS)とシリコン酸化物(SiOx;ここでxは2以下)を含有することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の光情報記録媒体。
  6. 表面にトラック形成用の凹凸が存在する支持基板上に、発熱材料層、及び硫化亜鉛(ZnS)とシリコン酸化物(SiOx;ここでxは2以下)を含有する薄膜からなる積層構成を少なくとも有する媒体に対してレーザ光を照射する工程、レーザ光を照射した後、該媒体をフッ化水素酸(HF)を含む水溶液でエッチングして支持基板の凹部上及び凸部上に構造体を形成する工程、形成された構造体上に第1変形材料層及び第2変形材料層をこの順に成膜する工程を含むことを特徴とする請求項5記載の光情報記録媒体の製造方法。
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