JP2006079749A - 光記録媒体および光記録媒体の製造方法 - Google Patents

光記録媒体および光記録媒体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】トラックピッチの近接化において隣接トラック間のクロストーク、クロスライトあるいはクロスイレースを抑制するとともに、記録マーク長の短縮化において記録マークの位置ずれを低減することにより、高密度記録を可能とする光記録媒体とその簡便な製造方法を提供する。
【解決手段】基板(101)上に、照射光を吸収して容易に発熱する光吸収部(102)と容易に発熱しない断熱部(103)とが交互に記録層(104)に接するように配置するとともに、記録層を熱により変質および/または変形して光学特性が変化するようにした構成の光記録媒体とする。基板上に積層された光吸収部用薄膜もしくは断熱部形成用薄膜を直接レーザ光照射により変質させ、不要部分をエッチング液で除去し、光吸収部と断熱部が交互に記録層に接するように熱制御領域を形成し光記録媒体を作製する。
【選択図】図1

Description

本発明は、光記録媒体に係り、特に記録媒体におけるトラックピッチの近接化および記録マーク長の短縮化を図ることにより高密度記録を可能とする光記録媒体に関する。
光記録媒体としては、CDやDVDに代表されるようにディスク状光記録媒体がよく知られているが、マルチメディア、ネットワークなど情報技術の進歩に伴って情報量が飛躍的増加し、光記録媒体に対する高密度化および大容量化への要求は高まっている。
高密度化の方法として、同じ情報量を記録する面積を小さくする方法、つまり記録ピットを小さくする方法がある。記録ピットを小さくするには、光をより小さく絞り、光のスポット径を小さくする必要がある。光のスポット径は、波長をλ、レンズの開口率をNAとすると、λ/NA に比例する。この関係から、波長を小さくするか、あるいは開口率を大きくしてスポット径を小さくすることが行われている。最近では、波長0.65μmの光を利用したDVDが実用化を迎え、さらに波長0.4μm程度の光を用いて高密度化を目指す開発が盛んに行われている。
また、高密度化を目指すには、記録ピットを小さくするとともにピットの間隔を小さくし、線記録密度やトラック密度をさらに大きくすることを同時に行う必要がある。トラック密度を大きくするにはトラックピッチを小さくすることが避けられないが、この場合にはクロストーク、クロスライトあるいはクロスイレースが問題となる。
すなわち、トラックピッチを小さくした場合、再生時において、隣接トラックに記録された信号を誤って読み取ってしまうクロストークの問題や、信号の記録・消去時において、隣接トラックに誤って信号を記録してしまうクロスライト、あるいは隣接トラックの記録信号を誤って消去してしまうクロスイレースなどの問題が起る。
さらに、記録マーク長を短くして高密度化した場合、記録マークの位置ずれによるエラーレートへの影響が大きくなるという問題がある。つまり、記録マークの位置ずれが相対的に大きくなり、信号のジッタ増加が顕著になる問題が生ずる。
このような問題を解決する方法として、例えば、ディスク基板上に形成する記録領域をトラックごとに分断し、トラック間に記録領域を構成する記録材料よりも熱伝導率の小さい材料を介在させた構成とすることによって、信号の記録、消去時に照射される光ビームのビームスポット部における温度上昇が隣接トラックまで伝達されにくいようにして、トラックピッチが狭くてもクロスライトやクロスイレースの発生を抑える方法や、トラック内において、記録マークごとに記録領域を分断し、信号再生時のジッタを軽減する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
しかし、この方法により記録媒体を製作するにはフォトリソグラフィなどの特殊な手法や手段を用いる必要があるほか、加工プロセスが複雑なため、製造コストが高騰する問題がある。また、このディスクは、光ビームの直接の刺激によって記録層に記録が行われるため、照射スポット内の記録層のクロスライトやクロスイレースを防止することは難しい。
特開2000−276770号公報
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであり、トラックピッチの近接化において隣接トラック間のクロストーク、クロスライトあるいはクロスイレースを抑制するとともに、記録マーク長の短縮化において記録マークの位置ずれを低減し、エラーレートへの影響を小さく(信号のジッタ減少)することにより、高密度記録を可能とする光記録媒体とその簡便な製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、光記録媒体の熱制御領域を吸収部と断熱部により構成し、これらをそれぞれ交互に記録層に接するように配置することによって、上記課題が解決されることを見出し本発明に至った。以下、本発明について具体的に説明する。
すなわち、本発明は、基板上に、熱制御領域と、熱により変質および/または変形して光学特性が変化する記録層を有する光記録媒体において、
前記熱制御領域は、照射光を吸収して容易に発熱する光吸収部と容易に発熱しない断熱部とを備え、かつ該光吸収部と断熱部が交互に前記記録層に接するように配置されたことを特徴とする光記録媒体である。
ここで、前記照射される光の波長において断熱部の光吸収が光吸収部の光吸収よりも小さいことが望ましい。
また、前記記録層が酸化ビスマスであることが好ましい。さらに、前記光吸収部がSbおよび/またはTeを含む化合物からなることが好ましい。
そして、前記断熱部がZnSを含む化合物からなることが好ましく、Ag、AlまたはCuから選ばれるいずれかの金属からなることも好ましい。
さらに、断熱部がAg、AlまたはCuから選ばれるいずれかの金属である場合を除く前記いずれかの光記録媒体において、前記熱制御領域の光吸収部と断熱部が交互に記録層に接するように配置される構成の該断熱部が光吸収部の一面上に凸形状に形成されたことを特徴とする。
また、断熱部がAg、AlまたはCuから選ばれるいずれかの金属である場合を含む前記いずれかの光記録媒体において、前記熱制御領域の光吸収部と断熱部が交互に記録層に接するように配置される構成の該光吸収部が断熱部の一面上に凸形状に形成されたことを特徴とする。
さらにまた、断熱部がAg、AlまたはCuから選ばれるいずれかの金属である場合を除く前記いずれかの光記録媒体において、前記熱制御領域の光吸収部と断熱部が交互に記録層に接するように配置される構成の該光吸収部と断熱部が同一平面内に形成されたことを特徴とする。
そして、本発明は、前記いずれかの光記録媒体において、前記記録層に接するように配置された光吸収部と断熱部がそれぞれ半径方向において環状または渦巻状に構成されていることを特徴とする。
また、本発明は、前記いずれかの光記録媒体において、前記記録層に接するように配置された光吸収部が円周方向において島状に構成されていることを特徴とする。
さらに、本発明は、基板上に、熱制御領域と、光照射に基づく熱により変質および/または変形して光学特性が変化する記録層を有し、前記熱制御領域は照射光を吸収して容易に発熱する光吸収部と容易に発熱しない断熱部とを備え、かつ断熱部が光吸収部の一面上に凸形状に形成されるとともに該光吸収部と断熱部が交互に前記記録層に接するように配置された光記録媒体の製造方法であって、
前記基板上に光吸収部用の光吸収層と、その一面上に断熱部を形成するための薄膜を順次積層する工程と、
該薄膜側から光を照射して所定の凸形状となるように薄膜を改質する工程と、
該光照射よって改質されない不要部分をエッチングにより除去し凸形状とする工程と、
該エッチング形成された構造体上面に記録層を形成する工程と、
を少なくとも含む光記録媒体の製造方法に係るものである。
さらにまた、本発明は、基板上に、熱制御領域と、光照射に基づく熱により変質および/または変形して光学特性が変化する記録層を有し、前記熱制御領域は照射光を吸収して容易に発熱する光吸収部と容易に発熱しない断熱部とを備え、かつ光吸収部が断熱部の一面上に凸形状に形成されるとともに該光吸収部と断熱部が交互に前記記録層に接するように配置された光記録媒体の製造方法であって、
前記基板上に断熱部用の断熱層と、その一面上に光吸収部を形成するための薄膜を順次積層する工程と、
該薄膜側から光を照射して所定の凸形状となるように薄膜を改質する工程と、
該光照射よって改質されない不要部分をエッチングにより除去し凸形状とする工程と、
該エッチング形成された構造体上面に記録層を形成する工程と、
を少なくとも含む光記録媒体の製造方法に係るものである。
そしてさらに、本発明は、基板上に、熱制御領域と、光照射に基づく熱により変質および/または変形して光学特性が変化する記録層を有し、前記熱制御領域は照射光を吸収して容易に発熱する光吸収部と容易に発熱しない断熱部とを備え、かつ光吸収部と断熱部が同一平面内に形成されるとともに該光吸収部と断熱部が交互に前記記録層に接するように配置された光記録媒体の製造方法であって、
前記基板上に断熱部を形成するための薄膜と、光吸収薄膜を順次積層する工程と、
該断熱部を形成するための薄膜と光吸収薄膜に光を照射して所定の形状となるように薄膜を改質する工程と、
該光照射よって改質されない部分の薄膜をフッ化水素酸でエッチングして除去する工程と、
該形成された断熱部上の光吸収薄膜を結晶化させ、この薄膜をアルカリ溶液で除去する工程と、
該断熱部が形成された構造体上面に光吸収部を形成するための薄膜を積層する工程と、
該光吸収部を形成するための薄膜の残したい部分を光照射により非晶質化させ、結晶化状態にある薄膜をアルカリ溶液で除去する工程と、
該形成された構造体上面に記録層を形成する工程と、
を少なくとも含む光記録媒体の製造方法に係るものである。
本発明の光記録媒体の構成によれば、照射光を吸収して容易に発熱する光吸収部と容易に発熱しない断熱部とが交互に記録層に接するように配置されるため、光照射に伴う昇温領域の熱制御が可能となり、トラックピッチの近接化と記録マーク長の短縮化が実現できる。これによって、隣接トラック間のクロスライトやクロスイレース、あるいはクロストークを抑制することができるとともに、記録マークの位置ずれを低減することができ、高密度記録を可能とする光記録媒体を提供することができる。
また、本発明の製造方法によれば、フォトリソグラフィなどの特殊な手法や手段を用いることなく、しかも簡便な加工プロセスで製造コストを引上げることなく光記録媒体を製造することができる。
前述のように本発明の光記録媒体は、基板上に、照射光を吸収して容易に発熱する光吸収部と容易に発熱しない断熱部とを備え、かつ該光吸収部と断熱部が交互に前記記録層に接するように配置された熱制御領域と、熱により変質および/または変形して光学特性が変化する記録層を有するものである。
通常、光記録媒体の記録は円周方向に形成されたトラックに沿って行われるが、高密度化を行うためにトラックピッチを狭め、すなわち近接化すると、相対的にトラックの幅よりも照射光のスポット径が大きくなり、所定トラック以外の隣接トラックにも光が照射されることになる。このような状態では、隣接トラックの光が照射されている部分も温度上昇し、その結果、隣接トラックにも記録されたり(クロスライト)、隣接トラックの情報が消去されたり(クロスイレース)、あるいは隣接トラックに記録された信号を誤って読み取ったり(クロストーク)する問題が生じるが、本発明の光吸収部と断熱部からなる熱制御領域を設けた構成とすることによって所定トラック以外の温度上昇が抑制され上記問題が回避される。以下、本発明の光記録媒体について図を参照して詳細に説明する。
本発明の光記録媒体を説明するための構成例を図1の概略断面図に示す。図1はトラックに直交した断面図であり、横方向が光記録媒体の半径方向を示し、紙面に垂直な方向がトラック方向である。
光記録媒体には、基板101上に断熱部103が光吸収部102の一面上に凸形状に形成された熱制御領域100が設けられ、光吸収部102と断熱部103がそれぞれ交互に記録層104に接するように配置されている。
図1のような構成とした光記録媒体に光りを照射した場合、図2の模式図に示すように、断熱部103が形成された部分では、光吸収部102で生じた熱が記録層104に伝わらない。このため、断熱部103と接触した部分の記録層104には記録マークが形成されず、断熱部103に挟まれた光吸収部102と接触した部分の記録層104にのみ記録マークが形成される。これによって、所定トラックの狭い領域への記録、消去、再生が可能となり、隣接トラックへのクロスライトやクロスイレース、あるいはクロストークが抑制できる。また、記録マークの位置ずれを低減することができる。
なお、図3に、図1における断熱部のない構成とした光記録媒体に光りを照射して記録マークを形成する場合の模式図を示す。この構成の場合には、集光された光105が照射されると光吸収部102が光を吸収し、集光された光105の大きさに相当する広い領域の温度が上昇し、これに対応する記録層104に記録マーク106が形成される。すなわち、隣接トラックへのクロスライトやクロスイレース、あるいはクロストークが抑制できない。
前記本発明の光記録媒体の熱制御領域を構成する、いわゆる照射光を吸収して容易に発熱する光吸収部と、容易に発熱しない断熱部のそれぞれの光吸収は、照射される光の波長において断熱部の方が光吸収部よりも小さいことが好適である。
前記のように光吸収部で光を吸収し、温度が上昇することにより光吸収部と接した領域の記録層に記録マークが形成されるので、所定の狭い領域に限って記録マークを形成するためには、断熱部では温度が極力上昇しないことが望ましい。このためには、断熱部での光の吸収を小さく抑え、温度が上昇しない構成にすることが効果的である。このようにすれば、記録の領域を限定することができる。
次に、本発明の光記録媒体の各構成層に用いられる材料について説明する。
本発明の基板に用いられる材料としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタアクリレート樹脂などのプラスチック、またはガラスやセラミック、あるいは金属などを用いることができる。なお、基板の表面にトラッキングを制御するための溝、ピットを備えていてもよい。
本発明の光記録媒体の記録層としては、熱により変質および/または変形して光学特性が変化する材料を用いることができる。このような記録層用の材料として、Bi、Te、Sb、Seなどの酸化物や色素材料などが用いられる。特に、酸化ビスマスは好ましく用いられる。
すなわち、酸化ビスマスを記録層に用いた場合、熱によって記録層を変質、または変形させて記録マークの形成を行うことができるとともに、酸化ビスマスは光の吸収が比較的小さいため、照射光の吸収によるそれ自体の温度上昇は小さくて記録マークが形成されるに至らない。記録マークの形成は、光吸収部が光を吸収して温度上昇し、その熱が酸化ビスマスからなる記録層に伝達されることによって行うことができる。これによって、所定領域に記録マークを形成することができ、隣接トラックへのクロスライト、クロスイレース、、クロストークの抑制、あるいは記録マークの位置ずれを低減することが可能となる。
また、本発明の光記録媒体の熱制御領域を構成する光吸収部としては、照射光を吸収して容易に発熱する材料を用いることができる。このような材料としては、効率よく光を吸収して温度上昇するものが良く、例えば、低融点金属材料を含有する化合物が好適に用いられるが、特にSbおよび/またはTeを含む化合物からなる材料が好ましい。
Sbおよび/またはTeを含む化合物としては、SbTe、InTe、BiTe、GaSbなどの2元系材料や、GeSbTe、InSbTe、BiSbTe、GaSbTeなどの3元系材料、AgInSbTeなどの4元系材料を用いることができる。これら材料は比較的低パワーのレーザー光照射によって発熱するため、半導体レーザーにおいて可能な出力範囲で記録を行うことができる。また、比較的低いパワーの光で記録を行うことができるため、光吸収部以外に熱が広がったり、損傷を与えたりすることがなく、良好な記録を行うことができる。
本発明の光記録媒体の熱制御領域を構成する断熱部としては、照射光を吸収しても容易に発熱せず、しかも光吸収部で発生した熱が所定領域以外の記録層に伝わらないようにする材料、または熱が隣接に広がらないようにする材料を用いることができる。このような材料としては、ZnSを含む化合物が好ましく、例えば、ZnSとSiO2からなる複合化合物、ZnSとZnOからなる複合化合物、ZnSとSiO2とZnOからなる複合化合物など、あるいはZnSと透明な誘電体材料との複合化合物などが例示される。
すなわち、ZnS(硫化亜鉛)は熱伝導率が上記Sbおよび/またはTeを含む化合物に比べて低く、また断熱効果が高い。そのため、断熱部から記録層への熱の伝達を小さくするので、断熱部に対応する記録層の変質、変形を防ぐことができる。つまり、所定の狭い領域に記録を可能とし、隣接トラックへのクロスライト、クロスイレース、クロストークの抑制、あるいは記録マークの位置ずれを低減することができる。
さらに、本発明の光記録媒体の熱制御領域を構成する断熱部としては、当該熱制御領域の構成(例えば、後述の図4)によっては、Ag、AlまたはCuから選ばれるいずれかの金属を用いることが好ましい。
すなわち、Ag、Al、Cuは熱伝導率が大きく、断熱部における熱はすぐに放熱されてしまい温度が上昇しない。このため、記録層の所定領域にのみ記録マークを形成することができ、隣接トラックへのクロスライト、クロスイレース、クロストークの抑制、あるいは記録マークの位置ずれを低減することができる。
本発明の光記録媒体は、基板、記録層、熱制御領域としての光吸収部と断熱部を主体として構成されるが必要により、例えば、熱の影響によって基板が変形するのを防ぐためのバッファー層、あるいは摺動性能を向上するための摺動層や潤滑性を向上するための潤滑層などを設けることができる。バッファー層としては誘電体材料(例えば、ZnS・SiO2など)を用いることができる。また、摺動層としては、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)などが用いられ、潤滑層としては、フォンブリンなどが用いられる。
図4の概略断面図に本発明における光記録媒体の別の構成例を示す。図4はトラックに直交した断面図であり、横方向が光記録媒体の半径方向を示し、紙面に垂直な方向がトラック方向である。
光記録媒体には、基板101上に光吸収部102が断熱部103の一面上に凸形状に形成された熱制御領域100が設けられ、光吸収部102と断熱部103がそれぞれ交互に記録層104に接するように配置されている。
図4の構成とすることによって、図1と同様に、断熱部103が形成された部分では、光吸収部102で生じた熱が記録層104に伝わらない。これによって、光吸収部102と接触した部分の記録層104にのみ記録マークが形成され、所定トラックの狭い領域への記録、消去、再生が可能となり、隣接トラックへのクロスライト、クロスイレース、クロストークが抑制できる。あるいは記録マークの位置ずれを低減することができる。
なお、前述のようにこの構成の場合、Ag、AlまたはCuから選ばれるいずれかの金属を用いて断熱部を形成するのが好ましい。
図5の概略断面図に本発明における光記録媒体のさらに別の構成例を示す。図5はトラックに直交した断面図であり、横方向が光記録媒体の半径方向を示し、紙面に垂直な方向がトラック方向である。
光記録媒体には、基板101上に光吸収部102と断熱部103が同一平面内に形成された熱制御領域100が設けられ、光吸収部102と断熱部103がそれぞれ交互に記録層104に接するように配置されている。
このような構成とすることにより、断熱部103が形成された部分では、光吸収部102で生じた熱が記録層104に伝わらない。このため、前記図1、図4と同様に断熱部103に挟まれた光吸収部102と接触した部分の記録層104にのみ記録マークが形成される。従って、所定トラックの狭い領域への記録、消去、再生が可能となり、隣接トラックへのクロスライト、クロスイレース、クロストークが抑制でき、記録マークの位置ずれを低減することができる。
本発明においては、前記記録媒体の記録層に接するように配置された光吸収部と断熱部をそれぞれ半径方向において環状または渦巻状に構成することができる。
図6の平面図は、基板上に光吸収部と断熱部がそれぞれ半径方向において環状に形成された状態を模式的に示したものである。すなわち、光吸収部102と断熱部103が環状に交互に備えられている状態を示す。図6では模式的に数周期の円周のみ示したが、実際の光記録媒体では内周から外周までこのような構造が形成される。また、図中には記録層を示さなかったが、記録層はこれらの構造上に層状に形成される。
このような構造を利用してトラッキングを行うことも可能であり、その場合にはトラッキング用の溝がない基板上を用いることもできる。図6では円周状の構造を示したが、内周から外周まで渦巻状とした構造も同様に用いることができる。
本発明においては、前記記録媒体の記録層に接するように配置された光吸収部を円周方向において島状に構成することができる。光吸収部が互いに隣り合った位置に規則性を持って島状に配置されている。
図7の模式図に、本発明の光記録媒体における光吸収部を円周方向において島状に構成した場合の断面(7a)と、配置(7b)を示す。図7(a)は光記録媒体の断面を示す。紙面に平行な方向が媒体の半径方向であり、紙面に垂直方向がトラックに沿った方向である。
この構成では、基板101上に誘電体層107を設けた。この誘電体層107は、熱で基板が変形するなどの影響を防ぐためのものである。断熱部103の上に光吸収部102を島状(図中の丸い部分)に配置されている。光吸収部102は図7(b)のように規則的にトラックに沿って並ぶように配置されている。配置は、図7(b)のように隣接トラック上の光吸収部102からなる島状の構造が互い違いになる構造でもよいが、図8の模式図のように隣接トラックの島状構造が互いに隣り合って配置される構成でもよい。
例えば、記録のための光が201のスポット位置に照射されると、光吸収部102の上面に形成されている記録層104の領域に記録マークが形成される。光スポット中の光強度はガウシアン分布をしているため、光スポットの中心付近は高温(図中の斜線部)になるが、光スポットの端部に近い部分の強度を記録が行われない程度に調整することで記録層の部分のみに記録を行うことが可能となる。すなわち、光スポットの中心付近にある光吸収部上の記録層の領域のみに記録が行われる。これにより、隣接トラックへの影響を防ぐとともに、トラックに沿った方向への記録マークの位置ずれを低減することが可能となる。また、光吸収部102と断熱層103の配置を反対にした構造においても同様の効果が得られる。
次に本発明における、光記録媒体の製造方法について説明する。
前記図1に示した構成、すなわち、基板上に設けられる断熱部が光吸収部の一面上に凸形状に形成される構造の場合には、次のように行われる。図9の概略工程図により説明するが、図中において基板1101と光吸収部用の光吸収層1103との間に、バッファー層1102が形成されたものを例とする。なお、1104は凸形状の断熱部を形成するための薄膜を示す。
すなわち、光記録媒体の製造方法は、基板1101上に光吸収部用の光吸収層1103と、その一面上に断熱部を形成するための薄膜1104を順次積層する工程と、該薄膜1104側から光を照射して所定の凸形状となるように薄膜を改質する工程と、該光照射よって改質されない不要部分をエッチングにより除去し凸形状とする工程と、該エッチング形成された構造体上面に記録層を形成する工程と、を少なくとも含む光記録媒体の製造方法である。図9において、記録層の形成工程は省略している。
図9において、(110)は、基板上に光吸収部用の光吸収層1103と、その一面上に断熱部を形成するための薄膜1104を積層する工程を示す。また、(111)は、薄膜側から光(レーザー光)を照射して所定の凸形状となるように薄膜を改質する工程を示す。(112)は、該光照射よって改質されない不要部分をエッチングにより除去し凸形状とする工程を示す。
(111)の工程において、(1111)は、レーザー光の照射方向を示す。レーザー光は、凸形状とするための薄膜1104側から照射する。1112は、レーザー光照射による改質部分を示す。光吸収層の発熱により、薄膜の材料密度、結晶状態、組成などが変化し、改質する。1113は、レーザー光の照射方法を示す。P1およびP2は、レーザーパワーレベルを示す。パワーレベルは2水準で変える。レーザーパワーレベルをP1>P2の関係に設定し、P1レベルに保持する周期Sや期間T1を作製したい形状に応じて変える。
(111)の工程において、1121は、凸形状とされた断熱部を示している。このような形態への加工は、溶液エッチングにより行うことができる。この場合、エッチング溶液としては、フッカ水素酸(フッ酸)を含有する水溶液を用いることができる。
(111)の工程で改質された薄膜をフッ酸溶液に浸漬し、該光照射よって改質されない不要部分、いわゆる未記録部分を除去する。このような溶液を使ったエッチングによれば、光照射によって改質された部分と未照射で改質されない部分における薄膜の材料密度、結晶状態、組成などが異なるため、各部分間でのエッチングレート比、すなわち選択比が大きくなり、必要な凸形状部分が残る。図9中省略しているが、エッチング形成された構造体上面に、熱により変質および/または変形して光学特性が変化する記録層(例えば、酸化ビスマス)を形成する。
また、下地となる光吸収部用光吸収層と凸形状とする断熱部を形成するための薄膜の材質が異なることから、下地との選択比も大きくできる。したがって、光記録媒体のような大面積デバイスにおいて、面内均一性が良く、凸形状の形態とされた構造体を作成することができる。このことから、フォトリソグラフィーを使わないマスクレスプロセスで、微細な凸状の形態とされた構造体が大面積に形成できる。
上記製造方法によって、クロスライト、クロスイレースを抑制した光記録媒体を作製することが可能となる。
また、前記図4に示した構成、すなわち、基板上に設けられる光吸収部102が断熱部103の一面上に凸状に形成される構造の場合には、図10に示す工程に準拠して行われる。
すなわち、この場合の光記録媒体の製造方法は、前記基板上に断熱部用の断熱層と、その一面上に光吸収部を形成するための薄膜を順次積層する工程と、該薄膜側から光を照射して所定の凸形状となるように薄膜を改質する工程と、該光照射よって改質されない不要部分をエッチングにより除去し凸形状とする工程と、該エッチング形成された構造体上面に記録層を形成する工程とを少なくとも含む光記録媒体の製造方法である。図10において、記録層の形成工程は省略している。
初めの工程で、基板3101上に断熱部用の断熱層3103と、その一面上に光吸収部を形成するための薄膜3102を積層し、次の工程で、薄膜側から光(レーザー光)を照射して所定の凸形状となるように薄膜を改質する。その後の工程で、光照射よって改質されない不要部分、いわゆる未記録部分をエッチングにより改質部分のみを残した構造を形成する。エッチング液としては、硫酸、硝酸などの酸、アルカリ系の溶液などを用いることができる。
このような溶液を使ったエッチングによれば、光照射によって改質された部分と未照射で改質されない部分における薄膜の材料密度、結晶状態、組成などが異なるため、各部分間でのエッチングレート比、すなわち選択比が大きくなり、必要な凸形状部分が残る。図10には示していないが、エッチング形成された構造体上面に、熱により変質および/または変形して光学特性が変化する記録層(例えば、酸化ビスマス)を形成する。
レーザー光の照射条件も考え方として図9における場合と同様である。すなわち、P1およびP2は、レーザーパワーレベルを示す。パワーレベルは2水準で変える。レーザーパワーレベルをP1>P2の関係に設定し、P1レベルに保持する周期Sや期間T1を作製したい形状に応じて変える。
また、前述の図9におけると同様に、下地となる断熱部用の断熱層と凸形状とされる光吸収部を形成するための薄膜の材質が異なることから、下地との選択比も大きくできる。したがって、光記録媒体のような大面積デバイスにおいて、面内均一性が良く、凸形状とされた構造体を作成することができる。このことから、フォトリソグラフィーを使わないマスクレスプロセスで、微細な凸状の形態とされた構造体が大面積に形成できる。
上記製造方法によって、クロスライト、クロスイレースを抑制した光記録媒体を作製することが可能となる。
また、前記図5に示した構成、すなわち、光吸収部102と断熱部103が同一平面内に交互に形成される構造の場合には、図11に示す工程に準拠して行われる。
すなわち、光記録媒体の製造方法は、基板4101上に断熱部を形成するための薄膜(断熱部と略す)4103と、光吸収薄膜(光吸収層と略す)4102を順次積層する工程(1)と、該断熱部を形成するための薄膜と光吸収薄膜に光を照射して所定の形状となるように薄膜を改質する工程(2)と、該光照射よって改質されない部分の薄膜をフッ化水素酸でエッチングして除去する工程(3)と、該形成された断熱部上の光吸収薄膜を結晶化させ、この薄膜をアルカリ溶液で除去する工程(4)と、該断熱部が形成された構造体上面に光吸収部を形成するための薄膜を積層する工程(5)と、該光吸収部を形成するための薄膜の残したい部分を光照射により非晶質化させ、結晶化状態にある薄膜をアルカリ溶液で除去する工程(6)と、該形成された構造体上面に記録層を形成する工程(7)とを少なくとも含む製造方法である。
上記薄膜を改質する工程では、密度の変化、結晶構造の変化などにより、断熱部を形成するための薄膜を改質する。また、改質されない部分の薄膜をフッ化水素酸でエッチングして除去する工程では、断熱部がエッチング溶液に溶けるため、リフトオフで光吸収層も除去される。さらに、断熱部上の結晶化状態にある薄膜は、アルカリ溶液で除去することができるものである。
前記と同様に、この製造方法によって、クロスライト、クロスイレースを抑制した光記録媒体を作製することが可能となる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその趣旨を逸脱しない限り下記実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
図12に示す構成の本発明の光記録媒体を作製した。
図12において、基板101はポリカーボネートであり、厚みは0.6mmである。バッファー層108として誘電体を用いた。誘電体はZnS・SiO2(ZnS:SiO2=8:2)の複合化合物であり、膜厚は50nmである。光吸収部102はAgInSbTeであり、膜厚は20nmである。断熱部103はZnSとSiO2を含有する複合化合物であり、光吸収部上面からの高さは50nmである。凸形状断熱部のトラック方向周期109は200nmである。その上面に記録層104として酸化ビスマスの層を膜厚10nmで設け、光記録媒体とした。
上記光記録媒体を用いて、レーザー光により記録を行った。記録に用いたレーザー光は、波長405nm、対物レンズの開口数は0.85である。記録パワーは4mWで50nsecのパルス幅の光を照射し、記録を行った。
記録マークを走査電子顕微鏡で観察したところ、光吸収部と記録層が接しているところに記録マークが形成された。その模式図を図13に示した。光記録媒体の一部を上から観察した外観模式図である。301は断熱部が記録層の下にある領域である。302は記録マークである。光のスポットは400nm程度であり、トラック方向の周期よりもかなり大きいにもかかわらず狭い領域への記録が可能であった。
(実施例2)
前記図7に示す構成の本発明の光記録媒体を作製した。
基板101はポリカーボネートであり、厚みは0.6mmである。また、誘電体層107はSiNであり、膜厚は50nmである。断熱部103にZnS・SiO2(ZnS:SiO2=8:2)の複合化合物を用い、膜厚を45nmとした。その上に光吸収部102として島状に膜厚20nmのSbTeの層を形成した。ここでトラックピッチ、つまり島状の光吸収部のピッチは137nmである。その上に記録層として酸化ビスマスを15nmの膜厚で製膜した。
上記光記録媒体を用いて、レーザー光により記録を行った。記録に用いたレーザー光は、波長405nm、対物レンズの開口数は0.85である。記録パワーは4mWで島状光吸収部のトラックに沿った方向のピッチに合わせてパルス状の光照射を行って記録を行った。
光のスポット中には島状の領域が複数個入るが、光スポットの中心付近のみ記録を行うことができるので島状の構造に倣うように記録マークが形成された。
(実施例3)
前記図7に示す構成の本発明の光記録媒体を作製した。
すなわち、断熱層として厚さ50nmのAgを用いたこと以外は実施例2と同様に各構成層を形成した。
上記光記録媒体を用いて、レーザー光により記録を行った。記録に用いたレーザー光は、波長405nm、対物レンズの開口数は0.85である。記録パワーは4mWで島状光吸収部のトラックに沿った方向のピッチに合わせてパルス状の光照射を行って記録を行った。
Agに接した部分の記録層は記録マークが形成されず、凸形状に形成されている光吸収部であるSbTeの形状に対応する記録層に記録マークが形成された。
(実施例4)
前記図9に示す構成の本発明における光記録媒体の製造方法により光記録媒体を製造した。
すなわち、図9の基板1101の材質はポリカーボネートである。バッファー層1102の材料はZnS・SiO2(ZnS:SiO2=8:2)の複合化合物であり、膜厚は50nmである。光吸収層1103の材質はAgInSbTeであり、膜厚は20nmである。また、凸形状の断熱部を形成する薄膜1104の材質はZnS・SiO2(ZnS:SiO2=8:2)である。この断熱部の膜厚は100nmであり、λ/4(405nm/4≒100nm)に設定した。各層はスパッタリング法によって成膜した。成膜は室温、Ar雰囲気で行った。
光記録媒体は前述の工程によって製造した。工程(111)と工程(112)は次のようである。
図9における工程(111):
レーザー光1111を凸形状の断熱部を形成するための薄膜1104側から照射し、作製したい構造の形状を決定した。用いたレーザー光の波長は405nm、対物レンズの開口数は0.85である。改質部分1112は凸形状の断熱部として残す部分であり、ZnS・SiO2(ZnS:SiO2=8:2)である。ここで、凸形状の断熱部として残す部分は結晶相に変質させられる部分であり、除去される不必要な部分は非晶質相である。
上記工程(111)における凸形状とするための加工方法は、1113に示すレーザー光のパワーレベル変調方法に準拠して行った。パワーレベルは、P1=5mW、P2=0.7mWの2水準で変調した。T1はP1レベルに保持する期間、つまり、パルス幅を示す。Sはパルス照射のタイミング、すなわち記録周期を示す。T1=15nsec、S=57nsecである。これらの条件で周期200nmの単周期光を照射した。
図9における工程(112):
図9(112)はエッチング工程を示す。光照射後に凸形状の断熱部を形成するための薄膜(ZnS−SiO2)の不必要な部分を除去し、凸形状に加工した。1121は凸形状の構造体を示す。不必要な部分の除去は、溶液エッチングで行った。エッチング溶液には、フッ酸(HF)と水(H2O)の混合液を用いた。フッ酸としては50%希釈溶液を用いた。溶液比は、HF:H2O=1:2である。該溶液に記録媒体を10sec浸漬した。エッチング後、直ぐに水で洗浄し、乾燥窒素等により乾燥させた。得られた凸形状の断熱部を有する構造体の上面に記録層を製膜した。
以上の方法で凸形状の断熱部有する記録媒体を作製した。本方法によって、マスクレスで大面積において微細な凸形状の断熱部有する構造体からなる光記録媒体が形成できる。
(実施例5)
前記図10に示す構成の本発明における光記録媒体の製造方法により光記録媒体を製造した。
すなわち、図10の基板3101の材質はポリカーボネートである。光吸収層3102の材料はSb75Te25であり、膜厚は20nmである。また、断熱部3103の材質はZnSSiO2であり、膜厚は50nmである。各層はスパッタリング法で成膜した。成膜は室温、Ar雰囲気で行った。
光記録媒体は前述の工程によって製造した。工程(311)と工程(312)は次のようである。
図10における工程(311):
レーザー光3111を凸形状の光吸収部を形成するための薄膜3102側から照射し、作製したい構造の形状を決定した。用いたレーザー光の波長は405nm、対物レンズの開口数は0.85である。改質部分3112は凸形状の光吸収部として残す部分であり、SbTeである。ここで、凸形状の光吸収部として残す部分は非晶質相、不必要な部分は結晶相である。全体を予め結晶相にしておく。
上記工程(311)における凸形状とするための加工方法は、3113に示すレーザー光のパワーレベル変調方法に準拠して行った。パワーレベルは、P1=4mW、P2=1.2mWの2水準で変調した。T1はP1レベルに保持する期間、つまり、パルス幅を示す。Sはパルス照射のタイミング、すなわち記録周期を示す。T1=15nsec、S=57nsecである。これらの条件で周期200nmの単周期光を照射した。
図10(312)はエッチング工程を示す。光照射後に凸形状の光吸収部を形成するための薄膜、すなわちSb75Te25の不必要な部分を除去し、凸形状に加工した。不必要な部分の除去は、溶液エッチングで行った。エッチング溶液には、アルカリ溶液を用いた。該溶液に記録媒体を10sec浸漬した。エッチング後、直ぐに水で洗浄し、乾燥窒素等により乾燥させた。得られた凸形状の光吸収部を有する構造体の上面に記録層を製膜した。
以上の方法で凸形状の光吸収部を有する記録媒体を作製した。本方法によって、マスクレスで大面積において微細な凸形状の光吸収部を有する構造体からなる光記録媒体が形成できる。
(実施例6)
前記図11に示す構成の本発明における光記録媒体の製造方法により光記録媒体を製造した。
すなわち、図11の基板4101の材質はポリカーボネートである。光吸収層4102の材料はAg3In11Sb75Te11であり、膜厚は20nmである。また、断熱部4103の材質はZnSSiO2であり、膜厚は50nmである。各層はスパッタリング法で成膜した。成膜は室温、Ar雰囲気で行った。光記録媒体は前述の工程(1)〜(7)に従って製造した。製造の概略は以下のようである。
工程(1)で基板上に断熱部を形成するための薄膜(断熱部4103)と光吸収薄膜(光吸収層4102)が積層され、工程(2)でレーザー光を、図に示すような凸状構造体を形成する薄膜側から照射し、作製したい構造の形状を決定した。用いたレーザー光の波長は405nm、対物レンズの開口数は0.85である。
この場合、光吸収層4102の材料はAg3In11Sb75Te11の構造として残す部分を示す。構造として残す部分は非晶質相、不必要な部分は結晶相である。すなわち、全体を予め結晶相にしておき、光照射によって構造として残す部分を非晶質相とする。
上記工程で凸状構造体とするための加工方法は、前述の実施例4と同様であり、すなわち、レーザー光のパワーレベル変調方法に準拠して行った。パワーレベルは、P1=5mW、P2=0.7mWの2水準で変調した。T1はP1レベルに保持する期間、つまり、パルス幅を示す。Sはパルス照射のタイミング(記録周期)を示す。T1=15nsec、S=57nsecである。これらの条件で周期200nmの単周期光を照射した。
工程(3)〜(7)の概略は次のように行った。すなわち、光照射よって改質されない部分の薄膜の不必要な部分を除去し、凸状構造体を形成する薄膜(Ag3In11Sb75Te11に加工した。断熱部上に形成された光吸収薄膜の不必要な部分の除去は、光照射により結晶化させた後、溶液エッチングで行った。エッチング溶液には、アルカリ溶液を用いた。該溶液に記録媒体を10sec浸漬した。ここで、二回目の光照射条件は、上記第一回目におけるP1およびP2を、それぞれ、P1=4mW、P2=1.2mWに変えた以外は同じとした。
エッチング後、直ぐに水で洗浄し、乾燥窒素等により乾燥させた。得られた光吸収部と断熱部が交互に配置された構造体の上面に記録層を製膜した。
本方法によって、マスクレスで大面積において微細な光吸収部を有する構造体からなる光記録媒体が形成できる。
本発明の光記録媒体を説明するための構成例を示すトラックに直交した概略断面図である。 本発明における光吸収部と断熱部を備えた光記録媒体に光照射した場合に形成される記録マークを説明するための模式図である。 断熱部が無く光吸収部のみを備えた光記録媒体に光照射した場合に形成される記録マークを説明するための模式図である。 本発明の光記録媒体を説明するための別の構成例を示すトラックに直交した概略断面図である。 本発明の光記録媒体を説明するためのさらに別の構成例を示すトラックに直交した概略断面図である。 本発明の光記録媒体における光吸収部と断熱部がそれぞれ半径方向において環状に形成された状態を模式的に示す平面図である。 本発明の光記録媒体における光吸収部を円周方向において島状に構成した場合の断面(7a)と、配置(7b)を示す模式図である。 本発明の光記録媒体における隣接トラックの島状構造が互いに隣り合って配置された状態を示す模式図である。 本発明における光記録媒体の製造方法を説明するための概略工程図である。 本発明における光記録媒体の別の製造方法を説明するための概略工程図である。 本発明における光記録媒体のさらに別の製造方法を説明するための概略工程図である。 実施例1における光記録媒体の構成を示すトラックに直交した概略断面図である。 実施例1における光記録媒体の記録マークを走査電子顕微鏡で観察した外観模式図である。
符号の説明
100 熱制御領域
101 基板
102 光吸収部
103 断熱部
104 記録層

Claims (14)

  1. 基板上に、熱制御領域と、熱により変質および/または変形して光学特性が変化する記録層を有する光記録媒体において、
    前記熱制御領域は、照射光を吸収して容易に発熱する光吸収部と容易に発熱しない断熱部とを備え、かつ該光吸収部と断熱部が交互に前記記録層に接するように配置されたことを特徴とする光記録媒体。
  2. 前記照射される光の波長において断熱部の光吸収が光吸収部の光吸収よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体。
  3. 前記記録層が酸化ビスマスであることを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体。
  4. 前記光吸収部がSbおよび/またはTeを含む化合物からなることを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体。
  5. 前記断熱部がZnSを含む化合物からなることを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体。
  6. 前記断熱部がAg、AlまたはCuから選ばれるいずれかの金属からなることを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体。
  7. 前記熱制御領域の光吸収部と断熱部が交互に記録層に接するように配置される構成の該断熱部が光吸収部の一面上に凸形状に形成されたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光記録媒体。
  8. 前記熱制御領域の光吸収部と断熱部が交互に記録層に接するように配置される構成の該光吸収部が断熱部の一面上に凸形状に形成されたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光記録媒体。
  9. 前記熱制御領域の光吸収部と断熱部が交互に記録層に接するように配置される構成の該光吸収部と断熱部が同一平面内に形成されたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光記録媒体。
  10. 前記記録層に接するように配置された光吸収部と断熱部がそれぞれ半径方向において環状または渦巻状に構成されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の光記録媒体。
  11. 前記記録層に接するように配置された光吸収部が円周方向において島状に構成されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の光記録媒体。
  12. 基板上に、熱制御領域と、光照射に基づく熱により変質および/または変形して光学特性が変化する記録層を有し、前記熱制御領域は照射光を吸収して容易に発熱する光吸収部と容易に発熱しない断熱部とを備え、かつ断熱部が光吸収部の一面上に凸形状に形成されるとともに該光吸収部と断熱部が交互に前記記録層に接するように配置された光記録媒体の製造方法であって、
    前記基板上に光吸収部用の光吸収層と、その一面上に断熱部を形成するための薄膜を順次積層する工程と、
    該薄膜側から光を照射して所定の凸形状となるように薄膜を改質する工程と、
    該光照射よって改質されない不要部分をエッチングにより除去し凸形状とする工程と、
    該エッチング形成された構造体上面に記録層を形成する工程と、
    を少なくとも含む光記録媒体の製造方法。
  13. 基板上に、熱制御領域と、光照射に基づく熱により変質および/または変形して光学特性が変化する記録層を有し、前記熱制御領域は照射光を吸収して容易に発熱する光吸収部と容易に発熱しない断熱部とを備え、かつ光吸収部が断熱部の一面上に凸形状に形成されるとともに該光吸収部と断熱部が交互に前記記録層に接するように配置された光記録媒体の製造方法であって、
    前記基板上に断熱部用の断熱層と、その一面上に光吸収部を形成するための薄膜を順次積層する工程と、
    該薄膜側から光を照射して所定の凸形状となるように薄膜を改質する工程と、
    該光照射よって改質されない不要部分をエッチングにより除去し凸形状とする工程と、
    該エッチング形成された構造体上面に記録層を形成する工程と、
    を少なくとも含む光記録媒体の製造方法。
  14. 基板上に、熱制御領域と、光照射に基づく熱により変質および/または変形して光学特性が変化する記録層を有し、前記熱制御領域は照射光を吸収して容易に発熱する光吸収部と容易に発熱しない断熱部とを備え、かつ光吸収部と断熱部が同一平面内に形成されるとともに該光吸収部と断熱部が交互に前記記録層に接するように配置された光記録媒体の製造方法であって、
    前記基板上に断熱部を形成するための薄膜と、光吸収薄膜を順次積層する工程と、
    該断熱部を形成するための薄膜と光吸収薄膜に光を照射して所定の形状となるように薄膜を改質する工程と、
    該光照射よって改質されない部分の薄膜をフッ化水素酸でエッチングして除去する工程と、
    該形成された断熱部上の光吸収薄膜を結晶化させ、この薄膜をアルカリ溶液で除去する工程と、
    該断熱部が形成された構造体上面に光吸収部を形成するための薄膜を積層する工程と、
    該光吸収部を形成するための薄膜の残したい部分を光照射により非晶質化させ、結晶化状態にある薄膜をアルカリ溶液で除去する工程と、
    該形成された構造体上面に記録層を形成する工程と、
    を少なくとも含む光記録媒体の製造方法。


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