JP2006309908A - 狭トラックピッチ基板の製造方法及び製造装置、それによって得られた狭トラックピッチ基板 - Google Patents

狭トラックピッチ基板の製造方法及び製造装置、それによって得られた狭トラックピッチ基板 Download PDF

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Abstract

【課題】 従来のフォトレジストを用いたレーザビーム露光装置で、露光時の照射ピッチを狭くしていくと光の隣接効果により狭トラックピッチ基板の作製が難しい。
【解決手段】 光源に半導体レーザを用い、無機レジスト(相変化膜など)にレーザビームを照射して状態変化させ、現像処理及びエッチング処理により狭トラックピッチ基板を得る。この時、図1に示した用に第1の記録により状態変化した部分7の幅に対応した溝間部9の幅と実質同じ幅になるように、第2の記録用のレーザビーム16を制御しながら記録を行い、最終的に溝間部19を形成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は狭トラックピッチ基板の製造方法及び製造装置、それによって得られた狭トラックピッチ基板に係り、特にレーザビームの照射により細い幅の溝及びピットを安定に得る為の狭トラックピッチ基板の製造方法及び製造装置、それによって得られた狭トラックピッチ基板に関する。
近年、情報の大容量化に伴い、光記録を用いた高密度記録技術の開発が活発に行われている。光記録では、その限界が光の回折により、記録ビット径が500nm前後といわれている。この回折限界は光の波長(λ)に比例し、さらに、レンズの性能指数(NA)に反比例する。このため、高密度化の1つの方向は、光の波長を短波長化すること、絞り込みレンズを高NA化することにある。また、別の方法としては、この回折限界によらない光学現象を利用する方法がある。たとえば、特許文献1のように、SIL(Solid Immersion Lens)を用いて高NA化を実現し、通常の光学レンズを用いたものより小さなスポット径を得ている。以下、この技術の原理を説明する。まず、SILは屈折率nが大きな透明物質からなる球面レンズを例えば半球面に研磨し作製する。次に絞り込みレンズで絞られたレーザ光の焦点をこの底面に合せる。SILの中に入ったレーザ光の速度は屈折率の分だけ遅くなり、波長は1/nに短くなっている。つまり、SIL中での回折限界は通常の1/nと小さくなる。見方を変えれば対物レンズのNAをn倍に増やせたといってもよい。
従来から用いられている光記録用基板には露光手段により予めトラッキング用の溝(グルーブ)などが形成されている。ここで上記のSILを用いた場合などの高密度記録では、このトラッキング用の溝幅を従来よりも更に狭くした基板が必要となる。と同時に、高密度化の為に溝のピッチも狭くする必要性がある。
米国特許第5,121,256号
更なる細い溝及び狭い幅のピットを得る為に、露光ビームに使用するレーザの波長を更に短くしようとすると新たに莫大な費用が発生し、その割には波長比率分の効果しか得られない。また、トラックピッチを狭くする為に、基板露光時に基板1回転あたりの半径方向への露光ビームの移動距離(露光ピッチ)を狭くしていくと、隣の溝への露光時に影響を受けて最終的に形成される幅が広くなり目的の狭い溝を形成するのが難しくなる(光の隣接効果)という問題も生じてくる。
また、露光にSILを用いた場合、入射光の波長λに対して波長が1/nのまま試料に伝播するため、分解能がn倍、すなわち、通常の1/nの回折限界が得られるが、SILの内部ではNAを高められてもレーザ光がSILを抜けて空気中に出ると、再び元のビームスポット径に戻ってしまう。そのため、SILの底面である底面と試料(ディスクの記録層上など)との間をλ/4以下と非常に接近(近接場)させる必要があり、露光装置が複雑となる。
本発明は、このような従来技術における問題点を解決し、従来技術のレーザビームを用いても、従来よりも更に狭トラックピッチ化が可能で、かつ細い溝及び狭い幅のピットを安定に形成するための狭トラックピッチ基板の製造方法及び製造装置、それによって得られた狭トラックピッチ基板を提供することにある。
かかる課題を解決するために、本発明では下記に示すいくつかのプロセスを得て、表面に細い溝や細い幅のピット等を形成した狭トラックピッチ基板を製造している。
まず、表面に凹凸溝を有する基板を用意し、この基板上にレーザビームの照射によって状態変化を生じる記録層を少なくとも1層以上設け、形状変化させようとする記録層にレーザビームを照射して目的のパターン(溝やピット列など)に応じた状態変化を生じさせて記録を行う。その後、記録層を現像することにより記録層を凹凸の形状によるパターン化を行い、更にこのパターンをマスクにしてエッチング処理を実施することにより、最終的に記録用のレーザビームの照射ピッチよりも狭いピッチの溝やピット列などが得られる。この時、基板に記録層などを形成する前の凹凸溝のトラックピッチをTp、溝幅をD、そして最後にエッチング処理を行った後の基板における凹凸溝のトラックピッチをtp、溝幅をdと仮定した時に、Tp/2<D<Tpの基板を用いた場合には、(Tp−D)の幅と(tp−d)の幅が実質的に同じ幅となるように記録用のレーザビームを制御しながら記録を行うことを特徴としている。これによりトラックピッチが半径方向で一定になる。
ここで、記録用のレーザビームを凹凸溝の凹部の中央部に照射しながら記録を行うことにより、さらに隣の溝同士で同じ幅とすることができる。これにより、
tp=Tp/2
d=D−Tp/2
の関係式が成り立つ狭トラックピッチ基板が得られる。
また、0<D<Tp/2の基板を用いた場合には、Dの幅とdの幅が実質的に同じ幅となるように記録用のレーザビームを制御しながら記録を行うことを特徴としている。これによりトラックピッチが半径方向で一定になる。ここで、記録用のレーザビームを凹凸溝の凸部の中央部に照射しながら記録を行うことにより、さらに隣の溝同士で同じ幅とすることができる。ここで、記録用のレーザビームを凹凸溝の凹部の中央部に照射しながら記録を行うことにより、さらに隣の溝同士で同じ幅とすることができる。これにより、
tp=Tp/2
d=D
の関係式が成り立つ狭トラックピッチ基板が得られる。
本発明では、記録用のレーザビームの照射時には記録層上に自動焦点(AF)動作を行っている。これにより、安定なレーザビームの照射が可能となり、基板の上下触れなどによる影響を小さくできる。すなわち、溝およびピットの形状などの制御が行える。
本発明における記録は、光エネルギーを吸収して状態変化を行うフォトンモードではなく、熱エネルギーを吸収して状態変化を行うヒートモードを利用して記録を行うことを特徴としている。そのため、用いる記録層は無機物がメインである。その中でも、TeやSeなどのカルコゲン化合物あるいはこのカルコゲン化合物に酸素などが入っている記録層を用いると、相変化や熱分解や酸化などの状態変化が容易に行えて好ましい。特に、記録した溝やピットのエッジ部がはっきりする相変化を利用するのが好ましい。この時、非晶質化によって状態変化させた方が溝やピットの幅を狭くできるので好ましい。この場合には、非晶質化記録を実施する前に、予め記録層を結晶化しておく必要がある。基板の大面積を結晶化する場合には、別途初期化用の装置を用いて予め初期結晶化をしておけばよい。
本発明ではレーザビームの照射により記録層上の目的の部分を状態変化させ、さらに現像処理によって溝やピットなどを基板上に形成することを特徴としている。すなわち、この現像処理によって状態変化した部分のみを溶解、あるいは状態変化しなかった部分のみを溶解させるのである。溶解しなくても、目的の部分だけ凹凸の溝やピットが形成できればよい。現像液としては、結晶化した部分を容易に溶解できるアルカリ性の現像液を用いるのが好ましい。
本発明では現像処理の後でドライエッチング処理を行い、記録層をマスクにして目的の溝やピットなどのパターンを基板などに転写することを特徴としている。この時のドライエッチングとして、フッ素系あるいはアルゴン等の不活性ガスと塩素系などを混合させたガスなどを用いたリアクティブイオンエッチング(RIE)を用いるのが好ましい。さらに、RIEを行った後で、必要に応じて、残存した記録層や保護層などを除去するために酸素を用いたアッシャー工程を取り入れても良い。
本発明において、記録層以外に基板上に少なくとも1層以上透明な保護膜を設けたことを特徴としている。この透明な保護層のうち1層は基板に接して設け、この保護層は形成時においては非晶質状態であり、記録用のレーザビームの照射によっても結晶化しない材料を用いている。たとえば、SiO2やZnS-SiO2などの酸化物である。このような基板に接して設けた保護層は、溝の深さを制御する役割、レーザビームのエネルギーを記録層に集中させる役割、記録層がダメージを受けて変形しないように保護する役割、などのために用いる。また、透明な保護層の中で最も基板よりも遠い側にある保護層の材質が、有機材料で形成されていることを特徴としている。たとえば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、紫外線硬化樹脂などからなるものである。これらは主に記録層などを外部から保護する役目がある。
本発明における凹凸の溝に関して、基板に近い方を凹部、遠い方を凸部とする。
本発明において、予め用意した表面に凹凸溝を有する基板を用いる場合、凸部の材質が主たる基板の材質と異なるものを用いることにより、現像処理やエッチング処理後の凹凸の溝やピットの深さを実質的に同じにできるため好ましい。この時、凸部の材質が透明な保護層と同じ材質であればさらに好ましい。たとえば、SiO2やZnS-SiO2などの酸化物である。
予め用意した表面に凹凸溝を有する基板の凹部の深さと基板に接して形成した透明な保護膜の膜厚とが実質的に同じあることを特徴としている。これにより、現像処理やエッチング処理後の凹凸の溝やピットの深さを実質的に同じにできるため好ましい。しかし、必要に応じて、この透明な保護膜の膜厚を基板の凹部の深さと変えたり、凸部の高さや凹部の深さなどを意図的に変えることもありうる。
本発明の製造方法によれば、最終的に凸部の高さが隣同士で異なる凹凸の溝を基板上に形成することも、凹部の深さを隣同士で異なる凹凸の溝を基板上に形成することも可能である。
本発明において、必要に応じて少なくとも一部の凸部あるいは凹部に揺動(ウォブル)やピット列などで情報を組み込んでいることを特徴としている。
ここで予め凹凸溝を有する基板を用いた場合の特徴を記載したが、必要に応じて表面が平らな基板を用いて最初から凹凸溝を有する基板を作製してもよい。さらに次のような製造プロセスにより狭トラックピッチ基板を得ることもできる。まず、平らな基板上にレーザビームの照射によって状態変化を生じる記録層を少なくとも1層以上設け、記録層にレーザビームを照射しながら記録層上に自動焦点(AF)動作を実施し、レーザビームの照射により目的のパターン(溝やピット列など)に応じた状態変化を生じさせる第1の記録を行い、その後、第1の記録を行った部分の間の領域に第1の記録と同じ照射ピッチで第2の記録を行い、その後記録層を現像することにより記録層をパターン化し、更にこのパターンをマスクにしてエッチング処理を実施することにより、記録時のレーザビームの照射ピッチよりも狭いピッチの溝やピット列などを得ることができる。この時には、第1の記録により状態変化した部分の幅と同じ幅になるように第2の記録用のレーザビームを制御しながら記録を行っている。また隣の溝やピットの幅が実質的に同じにするために、第2の記録用のビームスポットを第1の記録用ビームスポット照射間の中央部に照射しながら記録を行っている。ただし、意図的に揺動(ウォブル)などがなされている場合にはこの限りではない。なお、このプロセスにおいても、予め用意した表面に凹凸溝を有する基板を用いた場合のプロセスと同様な前記記載の特徴がある。この製造プロセスにおいて、第1の記録の照射ピッチをTp、照射により状態変化した部分の幅をD、そして最後にエッチング処理を行った後の基板における凹凸溝のトラックピッチをtp、溝幅をdと仮定した時に、
tp=Tp/2
d=D−Tp/2
が成り立つ狭トラックピッチ基板が得られる。
本発明においては、表面に凹凸溝を有する基板上にレーザビームの照射によって状態変化を生じる記録層を少なくとも1層以上形成した基板を用い、少なくとも1つ以上のレーザ光源を搭載し、基板を移動させる手段と、目的の記録層にレーザビームを集光させる手段と、記録層面に自動焦点(AF)を実行する手段と、凹凸の溝に沿って記録用のレーザビームをトラッキングする手段と、レーザ光源から出射されたレーザビームを変調する手段とを少なくとも具備した製造装置を用いている。
更に、記録用のレーザビームの光源を複数搭載している場合には、少なくともその内の一つのレーザ光源が半導体レーザであることを特徴としている。半導体レーザは従来のArやKrガスレーザに比べて、小型化が可能であり低価格であり別途AOM(音響光学素子)などを用いなくてレーザビームの高速変調が可能であるというメリットがある。この時(特に第2に記録時)、波長が395nm以上415nm以下である高出力な半導体レーザを用いることにより、波長が短い効果で細い幅の溝やピットの形成が可能となる。また波長が395nm以上415nm以下である半導体レーザは、次世代のDVD(デジタルバーサタイルディスク)の光源して用いられるため、安価にかつ確実に手に入れることができ好ましい。ただ、同一の製造装置を用いた場合において、第1の記録により幅の広い領域を状態変化させたい場合には、波長630nm以上670nm以下の高出力半導体レーザを用いる方が好ましい。更に、レーザ光源として半導体レーザを用いた場合には、レーザビームを連続的に照射すると熱の蓄積により溝幅やピット幅が時間的に変化することがある。そのような場合には、ピット形成用のパルスを狭いパルス列に高速変調したり、溝形成時にもレーザビームをパルス列に高速変調する方が好ましい。また、凹凸溝を有する基板を同一の製造装置で作製する場合には、予め記録用のフォーマット信号を2分割し、第1の記録と第2の記録を実施することにより最終的に目的のフォーマットに沿った形状の溝(ウォブル溝も含む)やピット列を形成しても良い。更に、細溝が形成された基板の形状はディスク状に限らない。例えばカード状でも良い。
また本発明で形成された細溝基板は、高密度記録用媒体の基板以外に用いても良い。例えばナノピラー(ナノスケール柱状構造)としてのバイオデバイスなどである。
かくして本発明によれば、従来技術のレーザビームを用いても、従来よりも更に狭トラックピッチ化が可能で、かつ細い溝及び狭い幅のピットを安定に形成するための狭トラックピッチ基板の製造方法及び製造装置、それによって得られた狭トラックピッチ基板が提供される。
以下、図面に基づき、本発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態)について詳細に説明する。なお、断りの無い限り製造プロセスの説明図は構造断面図を示す。
(実施例1)
図1(a)〜(l)は、本実施の形態が適用される狭トラックピッチ基板の製造方法を説明するための図である。ここでは、ディスク状の基板上に同心円状に形成された溝が最終的にトラックピッチ:tp、溝幅:dとなる場合について示している。
まず図1(a)に示すように、平らな表面を持つ直径約130mmの基板(例えば、ガラスやSi等)1上に下部保護層2として酸化物層(例えばSiO2層等)をスパッタリング法により約100nm形成し、更にこの下部保護層2上に記録層3として無機物のカルコゲン化合物(例えばGeSbTe系相変化膜等)を同じくスパッタリング法により約30nm形成した。そして、記録層3上に上部保護層4として透明な有機物層(例えば紫外線硬化樹脂等)を約100μm程度形成した。なお、スパッタリング法などでカルコゲン化合物を薄膜化した直後は、一般に非晶質状態となる。そこで、本実施例では予め長円ビームを用いて少なくとも溝やピットを形成する領域を結晶化している。次に、レーザ光源(例えば波長405nmの高出力半導体レーザ等)を搭載した製造装置を用いて、図1(b)に示すように結晶化した記録層5上に非晶質状態となるようなパワーでレーザビーム6を照射し、かつ記録膜5上に自動焦点(AF)動作を行いながら、目的の情報に応じて第1の記録を行った。この第1の記録により図1(c)に示すように、Tpの間隔で非晶質状態の領域7が得られる。ここでのレーザビーム6の照射ピッチ(Tp)は約240nmとした。その後、上部保護層4を取り除き、アルカリ性の現像液を用いて、現像処理を実施した。結果的に、図1(d)に示すように、記録用のレーザビームが照射された領域7以外の、結晶状態である記録層5の領域のみを選択的に除去することができ溝8が形成される。この状態で、フッ素系の反応性ガス(例えばCガス等)を用い、リアクティブイオンエッチング(RIE)を行った。その結果、図1(e)に示すように、フッ素系の反応ガスに対してエッチング耐性の低い下部保護層2が選択的にエッチングされ、非晶質状態の領域7とエッチングにより残った下部保護層2の厚さが加算された深い溝10が形成される。その後、残存の非晶質状態の領域7を除去することにより、図1(f)に示すように、深さが下部保護層2の膜厚とほぼ同じである約100nmの溝11が形成される。この時、溝11の溝幅(D)は約180nmとなっている。この時、溝間部9の幅(Tp−D)は約60nmである。この図では溝幅をわかりやすくする為に溝形状を矩形にして図示しており、本発明では溝深さの半分の位置における幅(半値幅)を溝幅と定義する。なお、本実施例における凹凸の溝に関して、基板に近い方を凹部、遠い方を凸部とする。
このようにして作製した表面上に凹凸の溝を有する基板1上に、図1(g)に示すように、下部保護層12として酸化物層(例えばSiO2層等)をスパッタリング法により約100nm形成し、更にこの下部保護層12上に記録層13として無機物のカルコゲン化合物(例えばGeSbTe系相変化膜等)を同じくスパッタリング法により約30nm形成した。そして、記録層13上に上部保護層14として透明な有機物層(例えば紫外線硬化樹脂等)を約100μm程度形成した。なお、スパッタリング法などでカルコゲン化合物を薄膜化した直後は、一般に非晶質状態となる。そこで、本実施例では予め長円ビームを用いて少なくとも溝やピットを形成する領域を結晶化している。次に、レーザ光源(例えば波長405nmの高出力半導体レーザ等)を搭載した製造装置を用いて、図1(h)に示すように結晶化した記録層15上に非晶質化状態となるようなパワーでレーザビーム16を溝の中央部に照射し、かつ記録膜15上に自動焦点(AF)動作を行いながら、目的の情報に応じて第2の記録を行った。この第2の記録により図1(i)に示すように、Tpの間隔で非晶質状態の領域17が得られる。ここでのレーザビーム16の照射ピッチ(Tp)は第1の記録と同じ約240nmとした。その後、上部保護層14を取り除き、アルカリ性の現像液を用いて、現像処理を実施した。結果的に、図1(j)に示すように、記録用のレーザビームが照射された領域17以外の、結晶状態である記録層15の領域のみを選択的に除去することができ、溝18が得られる。この状態で、フッ素系の反応性ガス(例えばCガス等)を用い、RIEを行った。その結果、図1(k)に示すように、フッ素系の反応ガスに対してエッチング耐性の低い下部保護層12が選択的にエッチングされ、非晶質状態の領域17とエッチングにより残った下部保護層12の厚さが加算された深い溝20が形成される。最後に残存の非晶質状態の領域17を除去することにより、最終的に図1(l)に示すように、深さが下部保護層12の膜厚である約100nmの溝21が形成される。この時、溝21の記録トラックピッチ(tp)は溝11の記録トラックピッチ(Tp)の半分である約120nm、溝幅(d)は約60nmとなるようにしている。この時、溝間部19の幅(tp−d)は約60nmである。必要に応じて、記録層と上部保護層の間に、下部保護層と同じ材質の保護層を設けても良い。また、基板と下部保護層との間にAlなどの金属薄膜を設けても良い。これらの場合には、光学設計のマージンが増え、確実に記録感度を向上させるメリットがある。逆に、記録感度に余裕がある場合には下部保護層を省略することもできる。これにより製造プロセスの単純化が見込める。
本実施例における記録(特に第2の記録)は、光エネルギーを吸収して状態変化を行うフォトンモードではなく、熱エネルギーを吸収して状態変化を行うヒートモードを利用して記録を行っている。そのため、用いる記録層は無機物がメインである。その中でも、TeやSeなどのカルコゲン化合物あるいはこのカルコゲン化合物に酸素などが入っている記録層を用いると、相変化や熱分解や酸化などの状態変化が容易に行え好ましい。特に、記録した溝やピットのエッジ部がはっきりする相変化を利用するのが好ましい。この時、非晶質化によって状態変化させた方が溝やピットの幅を狭くできるので好ましい。この場合には、非晶質化記録を実施する前に、予め記録層を結晶化しておく必要がある。基板の大面積を結晶化する場合には、本実施例のように別途初期化用の装置を用いて予め初期結晶化をしておけばよい。また、記録層は1層に限らず多層の場合も可能である。特に、互いに異なる材料で構成された第1の記録層及び第2に記録層を接して形成し、レーザビーム照射によりこれら2層間に相互拡散あるいは溶解を生じさせて2つの層間で材料の混合あるいは反応によって状態変化(合金化など)させても良い。
本実施例ではレーザビームの照射により記録層上の目的の部分を状態変化させ、さらに現像処理によって溝やピットなどを基板上に形成している。すなわち、この現像処理によって状態変化した部分のみを溶解、あるいは状態変化しなかった部分のみを溶解させるのである。溶解しなくても、目的の部分だけ凹凸の溝やピットが形成できればよい。現像液としては、結晶化した部分を容易に溶解できるアルカリ性の現像液を用いるのが好ましい。
本実施例では現像処理の後でドライエッチング処理を行い、記録層をマスクにして目的の溝やピットなどのパターンを基板などに転写している。この時のドライエッチングとして、フッ素系あるいはアルゴン等の不活性ガスと塩素系などを混合させたガスなどを用いたリアクティブイオンエッチング(RIE)を用いるのが好ましい。さらに、RIEを行った後で、必要に応じて、残存した記録層や保護層などを除去するために酸素を用いたアッシャー工程を取り入れても良い。また、図1(e)及び図1(k)の次の工程で、非晶質状態の領域7及び17を取り除く一つの方法として、初期化装置を用いて非晶質状態の領域を結晶化させた後に、アルカリ現像により領域7及び17を除去すれば良い。
本実施例において、記録層以外に基板上に少なくとも1層以上透明な保護膜を設けている。この透明な保護層のうち1層は基板に接して設け、この保護層は形成時においては非晶質状態であり、記録用のレーザビームの照射によっても結晶化しない材料を用いている。たとえば、SiO2やZnS-SiO2などの酸化物である。このような基板に接して設けた保護層は、溝の深さを制御する役割、レーザビームのエネルギーを記録層に集中させる役割、記録層がダメージを受けて変形しないように保護する役割、などのために用いる。また、透明な保護層の中で最も基板よりも遠い側にある保護層の材質が、有機材料で形成している(上部保護層)。たとえば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、紫外線硬化樹脂などからなるものである。これらは主に記録層などを外部から保護する役目がある。なお、本実施例で用いた記録層や保護層の膜厚は、目的に応じて変化させているが、ここで下部保護層12の膜厚は溝11の深さとほぼ同じ膜厚とすることにより、最終的に半径方向に同じ高さの凸部の溝を形成することができるので好ましい。
本実施例において、少なくとも一部の凸部に揺動(ウォブル)やピット列などで情報を組み込むことにより、アドレス情報やクロックなどが得られるので好ましい。
図1(l)で得られた狭トラックピッチ基板をそのまま使用しても良いが、更に多くの狭トラックピッチ基板を得るために、必要に応じて、図1(l)に示した基板を原盤として、従来の電鋳プロセスを経てニッケルスタンパーを複製し、それを元に射出成形によって大量に同一の狭トラックピッチ基板を製造することもできる。また、このような電鋳プロセスを得ずに、直接狭トラックピッチ基板をマスターにしてナノインプリント法などにより同一構造の狭トラックピッチ基板を多数枚形成しても良い。この時、更に溝の深さを確実に揃えたり、溝の斜面(エッジ部)の傾き角度を立てるために、図1(l)に示した基板から複製を取る前に、基板上に形成した下部保護層の凸部をマスクにして、フッ素系の反応性ガス(例えばCガス等)を用いてRIEを行い、それにより得られた凹凸溝の基板を原盤として用いても良い。
本実施例では、図1(l)に示したような最終的に形成された狭トラックピッチ基板における溝21のトラックピッチ(tp)が半径方向で一定になるように、レーザビーム6の照射による第1の記録によって最終的に形成された下部保護層による溝間部9(Tp−D)の幅と、レーザビーム16の照射による第2の記録によって最終的に形成された下部保護層による溝間部19(tp−d)の幅が実質的に同じ幅になるように記録用のレーザビーム16のパワーや照射時間等の記録条件を制御しながら記録を行う必要がある。ここで、図2を用いてその理由について詳細に説明する。ここでは、わかりやすくするために図1(l)に対応した断面図を示す。また、溝間部19は、溝間部9に挟まれた溝のほぼ中央部に形成した。例えば、図2(a)のように、「溝間部9の幅>溝間部19の幅」の場合には、溝間部19の両側の溝幅、すなわちd1及びd2とも同じ幅とはなるが、溝間部9の両側の溝ピッチ:tp1に対して、溝間部19の両側の溝ピッチ:tp2の方が狭くなってしまう。すなわち、半径方向の記録トラックピッチ(tp)が一定ではなくなってしまう。また、逆に図2(c)のように、「溝間部9の幅<溝間部19の幅」の場合には、溝間部19の両側の溝幅、すなわちd1及びd2とも同じ幅とはなるが、溝間部9の両側の溝ピッチ:tp1に対して、溝間部19の両側の溝ピッチ:tp2の方が広くなってしまう。やはりこの場合にも半径方向の記録トラックピッチ(tp)が一定ではなくなってしまう。すなわち、半径方向のトラックピッチ(tp)を一定にする為には、図2(b)に示したように、溝間部9の幅と溝間部19の幅とをほぼ等しくする必要がある。図1に示す本実施例の場合には、溝間部9の幅と溝間部19の幅との差を、2nm以下にしている。
この時、溝間部9の幅と溝間部19の幅とをほぼ等しくしたとしても、溝の中央部に溝間部19を形成しないと、今度は半径方向の転写溝の幅が大きく異なってしまう。これに関しては、図3を用いて詳細に説明する。図3(a)は溝間部19を溝内の左側にずらして形成した場合を示している。この場合には、溝間部19の両側の溝幅がd1<d2となる。逆に、図3(c)に示した様に、溝間部19を溝内の右側にずらして形成すると溝間部19の両側の溝幅がd1>d2となる。このように半径方向のトラックピッチ(tp1=tp2)は同じであるが、溝幅は一定でなくなってしまう。それに対して、図3(b)に示したように、溝のほぼ中央部に溝間部19を形成することにより、半径方向の溝幅はほぼ一定となる。本実施例では、溝間部19の両側における溝幅の差を、最大でも2nm以下に抑えている。
なお上記の溝間部9と溝間部19の幅の差及び溝間部19の両側における溝幅の差の値は、最終的に形成しようとする溝のトラックピッチや溝幅の大きさによって異なる。更に記録再生装置の仕様によって多少変わってくるが、本発明においてはこれらの差を溝幅の10%以内に抑えるようにしている。更に5%以内が特に好ましい。
また、(Tp/2)<D<Tpの条件の範囲であれば、図4(a)〜(c)に示すように、溝間部9と溝間部19の幅を実質的に同じとし、更に溝11のほぼ中央部に溝間部19を形成することにより、半径方向の記録トラックピッチ(tp1=tp2)及び溝幅(d1=d2)は同じとなり、更に溝間部9と溝間部19の幅を同時に変える事により、自由に溝のduty比を自由に変えることができるのである。
本実施例では、最終的な図1(l)に示すような狭トラックピッチ基板を得るために、図1(a)に示すような平らな基板を用いて図1(f)までのプロセスを経て、トラックピッチ:Tp、溝幅:Dの基板を作製したが、このような凹凸溝を有する基板は、本実施例で用いた製造装置とは異なる製造装置で作製しても良い。即ち、本発明の特徴は、表面に凹凸溝を有する基板を用い、この基板上にレーザビームの照射によって状態変化を生じる記録層を少なくとも1層以上設け、そして記録層にレーザビームを照射して目的のパターン(溝やピット列など)に応じた状態変化を生じさせて記録を行い、その後、記録層を現像して記録層をパターン化し、更にこのパターンをマスクにしてエッチング処理を実施することにより、最終的に記録用のレーザビームの照射ピッチよりも狭いピッチの溝やピット列などを得るための狭トラックピッチ基板の製造方法にある。この時、基板に記録層などを形成する前の凹凸溝のトラックピッチをTp、溝幅をD、そして最後にエッチング処理を行った後の基板における凹凸溝のトラックピッチをtp、溝幅をdと仮定した時に、(Tp/2)<D<Tpの基板を用いた場合には、(Tp−D)の幅と(tp−d)の幅が実質的に同じ幅となるように記録用のレーザビームを制御しながら記録を行う。また、記録用のレーザビームを凹凸溝の凹部の中央部に照射することにより、溝ピッチ及び溝幅を同じ大きさに揃えることができる。これにより、
tp=(Tp/2)
d=D−(Tp/2)
の狭トラックピッチ基板が得られる。
本実施例において、予め用意した表面に凹凸溝を有する基板を用いる場合、凸部の材質が主たる基板の材質と異なるものを用いることにより、現像処理やエッチング処理後の凹凸の溝やピットの深さを実質的に同じにできるため好ましい。この時、凸部の材質が透明な保護層と同じ材質であればさらに好ましい。たとえば、SiO2やZnS-SiO2などの酸化物である。
更に、予め用意した表面に凹凸溝を有する基板の凹部の深さとその後基板に接して形成する透明な保護層の膜厚とが実質的に同じとすることにより、現像処理やエッチング処理後の凹凸の溝やピットの深さを実質的に同じにできるため好ましい。しかし、必要に応じて、この透明な保護層の膜厚を基板の凹部の深さと変えたり、凸部の高さや凹部の深さなどを意図的に変えてもよい。
図5(a)〜(f)は、図1(a)〜(f)とは違った製造方法で凹凸の溝を有する基板を作製した場合の例を示している。大きなプロセスの違いは無いが、記録用ビームにより記録膜を結晶化し、その領域をアルカリ現像処理により除去して溝を形成している。以下、図5を用いて詳細に説明する。
まず図5(a)に示すように、平らな表面を持つ直径約130mmの基板(例えば、ガラスやSi等)31上に下部保護層32として酸化物層(例えばSiO2層等)をスパッタリング法により約100nm形成し、更にこの下部保護層32上に記録層33として無機物のカルコゲン化合物(例えばGeSbTe系相変化膜等)を同じくスパッタリング法により約30nm形成した。そして、記録層33上に上部保護層34として透明な有機物層(例えば紫外線硬化樹脂等)を約100μm程度形成した。なお、スパッタリング法などでカルコゲン化合物を薄膜化した直後は、一般に非晶質状態となっている。次に、レーザ光源(例えば波長650nmの高出力半導体レーザ等)を搭載した製造装置を用いて、図5(b)に示すように非晶質状態の記録層33上に結晶状態となるようなパワーでレーザビーム35を照射し、かつ記録膜33上に自動焦点(AF)動作を行いながら、目的の情報に応じて第1の記録を行った。この第1の記録により図5(c)に示すように、Tpの間隔で結晶状態の領域36が得られる。ここでのレーザビーム6の照射ピッチ(Tp)は約280nmとした。その後、上部保護層34を取り除き、アルカリ性の現像液を用いて、現像処理を実施した。結果的に、図5(d)に示すように、非晶質状態の領域37はそのままで記録用のレーザビームが照射された結晶状態であった領域36のみを選択的に除去することができ、結果的に溝38が形成される。この状態で、フッ素系の反応性ガス(例えばCガス等)を用い、リアクティブイオンエッチング(RIE)を行った。その結果、図5(e)に示すように、フッ素系の反応ガスに対してエッチング耐性の低い下部保護層32が選択的にエッチングされ、非晶質状態の領域37とエッチングにより残った下部保護層32の厚さが加算された深い溝40が形成される。最後に残存の非晶質状態の領域37を除去することにより、最終的には図5(f)に示すように、深さが下部保護層32の膜厚とほぼ同じである約100nmの溝41が形成される。この時、溝41の溝幅(D)は約210nmとなっている。この時、溝間部39の幅(Tp−D)は約70nmである。このようにして得られた基板以降のプロセスは、図1(g)以降と同様である。なお、ここでは結晶化記録なので場合によって上部保護層34を省いても良い。
また、図5では記録用ビームにより記録膜を結晶化し、その領域をアルカリ現像処理により除去して溝を形成しているが、記録膜にTe系酸化物(例えばTeO2ベース)を用いて、記録用ビームにより記録膜を相分離(結晶領域と非晶質領域)させてその内の結晶化領域をアルカリ現像処理により除去して溝を形成しても良い。この場合には、下部保護層や上部保護層を省くことができる為、製造プロセスの簡単化が可能となる。
更に、従来用いていた露光装置を用いて、図5(f)と同等の凹凸溝を有する基板を形成しても良い。即ち、波長351nmのArレーザーなどによりフォトレジストを感光させて、従来の現像処理により溝を形成するのである。この場合には露光装置の送り精度がいい為に記録用ビームの照射ピッチムラが少ないこと、下部保護層及び上部保護層がいらない為に製造プロセスが簡単になるというメリットがある。
図1及び図5で示した製造プロセスにおいて、レーザビーム照射による記録に用いた製造装置の概要を図6により説明する。本実施例で用いた製造装置では波長の異なる2つの半導体レーザを搭載している。図1の製造プロセス場合には、波長405nmの高出力半導体レーザ50のみを使用したが、図5の製造プロセスの場合には、第1の記録に波長650nmの高出力半導体レーザ51を使用し、第2の記録には波長405nmの高出力半導体レーザ50を使用した。場合によっては、波長405nmの高出力半導体レーザ50のみを搭載しても良い。本実施例で用いた製造装置の構成としては、波長405nmのレーザ光を発光する記録再生用高出力半導体レーザ50と、記録用高出力半導体レーザ50からのビームを平行光線にするコリメートレンズ52と、偏光ビームスプリッタ53と、λ/4板54と、球面収差を補正する球面収差補正板(液晶素子)55と、記録用ビームを基板57上にある記録膜58に焦点を絞る対物レンズ56と、記録膜58から戻ってきた反射ビームを絞り込む絞込みレンズ59とシリンドリカルレンズ60と検出器61、を少なくとも有している。
また、波長650nmのレーザ光を発光する記録用半導体レーザ51と、コリメートレンズ62と、偏光ビームスプリッタ63と、λ/4波長板64と、波長405nmのレーザ光を選択的に透過し、波長650nmのレーザ光を選択的に反射するダイクロイックミラー65と、反射ミラー66と、絞り込みレンズ67と、シリンドリカルレンズ68と検出器69と、を少なくとも有する。
更に、製造装置は、記録用高出力半導体レーザ50を制御するレーザドライバ70と、記録用高出力半導体レーザ51を制御するレーザドライバ71と、検出器61からの信号を用いて対物レンズ56の焦点位置を調整するAF&トラッキング制御回路72および検出器69からの信号を用いて対物レンズ56の焦点位置を調整するAF&トラッキング制御回路73と、サーボ制御、記録パワー制御などを総合的に制御するマイクロプロセッサ74と、を備えている。
尚、製造装置は、対物レンズ56の位置を調整するためのアクチュエータと、球面収差が小さくなるように球面収差補正板55に電圧を印加する自動補正機構を備え、さらに、レーザスポットを基板の半径方向に移動させる移動装置(従来の露光装置と同レベルの照射ピッチムラが可能)と、基板57を回転させるための回転装置と、を有し、これらは図示を省略した。
本実施例のように、記録用のレーザビームの光源を複数搭載している場合には、少なくともその内の一つのレーザ光源が半導体レーザであることを特徴としている。半導体レーザは従来のArやKrガスレーザに比べて、小型化が可能であり低価格であり別途AOM(音響光学素子)などを用いなくてレーザビームの高速変調が可能であるというメリットがある。この時(特に第2に記録時)、波長が395nm以上415nm以下である高出力な半導体レーザを用いることにより、波長が短い効果で細い幅の溝やピットの形成が可能となる。また波長が395nm以上415nm以下である半導体レーザは、次世代のDVD(デジタルバーサタイルディスク)の光源して用いられるため、安価にかつ確実に手に入れることができ好ましい。ただ、同一の製造装置を用いた場合において、第1の記録により幅の広い領域を状態変化させたい場合には、波長630nm以上670nm以下の高出力半導体レーザを用いる方が好ましい。更に、レーザ光源として半導体レーザを用いた場合には、レーザビームを連続的に照射すると熱の蓄積により溝幅やピット幅が時間的に変化することがある。そのような場合には、ピット形成用のパルスを狭いパルス列に高速変調したり、溝形成時にもレーザビームをパルス列に高速変調する方が好ましい。また、凹凸溝を有する基板を同一の製造装置で作製する場合には、予め記録用のフォーマット信号を2分割し、第1の記録と第2の記録を実施することにより最終的に目的のフォーマットに沿った形状の溝(ウォブル溝も含む)やピット列を形成しても良い。
図1(g)において、下部保護層2の膜厚と下部保護層12上の膜厚を異なる厚さに形成することにより、最終的に半径方向に深さが一定で溝間部の高さが隣同士で異なる凹凸の溝を基板上に形成することもできる。あるいは次のような製造プロセス経ても可能となる。図7(a)〜(l)に説明図を示す。図1と異なるのは、例えば下部保護層を用いず、RIEなどのドライエッチング法により基板に直接凹凸溝を形成することである。
まず図7(a)に示すように、平らな表面を持つ直径約130mmの基板(例えば、ガラスやSi等)80上に、記録層81として無機物のカルコゲン化合物(例えばGeSbTe系相変化膜等)をスパッタリング法により約40nm形成した。そして、記録層81上に上部保護層82として透明な有機物層(例えば紫外線硬化樹脂等)を約100μm程度形成した。なお、スパッタリング法などでカルコゲン化合物を薄膜化した直後は、一般に非晶質状態となる。そこで、本実施例では予め長円ビームを用いて少なくとも溝やピットを形成する領域を結晶化している。次に、レーザ光源(例えば波長405nmの高出力半導体レーザ等)を搭載した図6のような製造装置を用いて、図7(b)に示すように結晶化した記録層83上に非晶質状態となるようなパワーでレーザビーム84を照射し、かつ記録膜83上に自動焦点(AF)動作を行いながら、目的の情報に応じて第1の記録を行った。この第1の記録により図7(c)に示すように、Tpの間隔で非晶質状態の領域85が得られる。ここでのレーザビーム84の照射ピッチ(Tp)は約240nmとした。その後、上部保護層82を取り除き、アルカリ性の現像液を用いて、現像処理を実施した。結果的に、図7(d)に示すように、記録用のレーザビームが照射された領域85以外の、結晶状態である記録層83の領域のみを選択的に除去することができ溝86が形成される。この状態で、フッ素系の反応性ガス(例えばCガス等)を用い、リアクティブイオンエッチング(RIE)を行った。その結果、図7(e)に示すように、フッ素系の反応ガスに対して基板80がエッチングされ溝86よりも深い溝87が形成される。最後に残存の非晶質状態の領域85を除去することにより、最終的に図7(f)に示すように、深さが約80nmの溝88を形成した。この時、溝88の溝幅(D)は約180nmとなっている。また、溝間部89の幅(Tp−D)は約60nmである。この図では溝幅をわかりやすくする為に溝形状を矩形にしており、本発明では溝深さの半分の位置における幅を溝幅と定義する。
このようにして作製した表面上に凹凸の溝を有する基板80上に、図7(g)に示すように、基板80上に記録層90として無機物のカルコゲン化合物(例えばGeSbTe系相変化膜等)をスパッタリング法により約40nm形成した。そして、記録層90上に上部保護層91として透明な有機物層(例えば紫外線硬化樹脂等)を約100μm程度形成した。なお、スパッタリング法などでカルコゲン化合物を薄膜化した直後は、一般に非晶質状態となる。そこで、本実施例では予め長円ビームを用いて少なくとも溝やピットを形成する領域を結晶化している。次に、レーザ光源(例えば波長405nmの高出力半導体レーザ等)を搭載した製造装置を用いて、図7(h)に示すように結晶化した記録層92上に非晶質化状態となるようなパワーでレーザビーム93を溝の中央部に照射し、かつ記録膜92上に自動焦点(AF)動作を行いながら、目的の情報に応じて第2の記録を行った。この第2の記録により図7(i)に示すように、Tpの間隔で非晶質状態の領域94が得られる。ここでのレーザビーム93の照射ピッチ(Tp)は第1の記録と同じ約240nmとした。その後、上部保護層91を取り除き、アルカリ性の現像液を用いて、現像処理を実施した。結果的に、図7(j)に示すように、記録用のレーザビームが照射された領域94以外の、結晶状態である記録層92の領域のみを選択的に除去することができ、溝95が得られる。この状態で、フッ素系の反応性ガス(例えばCガス等)を用い、RIEを行った。その結果、図7(k)に示すように、フッ素系の反応ガスに対して基板80がエッチングされ、溝96が形成される(ここでは、図7(f)に示した基板の凹凸溝の深さ80nmよりも溝96が深くならないようにエッチング制御している)。最後に残存の非晶質状態の領域94を、酸素ガスを用いたアッシャーなどにより除去することにより、最終的に図7(l)に示すように、半径方向の溝間部の高さが異なる(溝間部97と溝間部98)基板が得られる。この時、溝99の記録トラックピッチ(tp)は溝88の記録トラックピッチ(Tp)の半分である120nm、溝幅(d)は約60nmとなるようにしている。この時、溝間部の幅(tp−d)は約60nmである。ここで、溝間部の隣同士で、溝間部とピット列を交互に設けても良い。必要に応じて、製造プロセスが複雑になるが下部保護層を設けても良い。もちろん、図7(k)の状態で、エッチング時間を制御することにより、同じ高さ(深さ)の溝の形成は可能である。
本実施例では例として同心円状の溝を形成したが、スパイラル状の溝や凹凸のパターン列、或いは揺動(ウォブル)された溝なども同様なプロセスで形成できる。
本実施例で用いる基板としては、ソーダガラス基板や石英基板やSi基板、或いはカーボンが主体の基板が良い。特に、RIEを実施する場合には、石英基板やSi基板やカーボン基板が好ましい。また基板の形状はディスク状に限らない。例えばカード状でも良い。
また本実施例で形成された狭トラックピッチ基板は、高密度記録用媒体の基板以外に用いても良い。例えばナノピラー(ナノスケール柱状構造)としてのバイオデバイスなどである。

(実施例2)
実施例1では、第1の記録により形成された基板上の凹凸溝(あるいは、予め用意された基板の凹凸溝))のトラックピッチをTp、溝幅をD、そして最後にエッチング処理を行った後の基板における凹凸溝のトラックピッチをtp、溝幅をdと仮定した時、Tp/2<D<Tpの場合について説明したが、本実施例では0<D<Tp/2の場合について詳細に説明する。これらの凹凸の溝は同心円状に基板上に形成されている。
図8(a)〜(l)は、本実施の形態が適用される狭トラックピッチ基板の作製方法を説明するための図である。ここでは、記録用ビームが照射された領域が現像処理により除去される(溝になる)場合について示している。
まず図8(a)に示すように、平らな表面を持つ直径約130mmの基板(例えば、ガラスやSi等)100上に下部保護層101として酸化物層(例えばSiO2層等)をスパッタリング法により約100nm形成し、更にこの下部保護層101上に記録層102として無機物のカルコゲン化合物(例えばGeSbTe系相変化膜等)を同じくスパッタリング法により約30nm形成した。次に、レーザ光源(例えば波長405nmの高出力半導体レーザ等)を搭載した図6のような製造装置を用いて、図8(b)に示すように記録層102上に結晶状態となるようなパワーでレーザビーム103を照射し、かつ記録膜102上に自動焦点(AF)動作を行いながら、目的の情報に応じて第1の記録を行った。この第1の記録により図8(c)に示すように、Tpの間隔で結晶状態の領域104が得られる。ここでのレーザビーム103の照射ピッチ(Tp)は約240nmとした。その後、アルカリ性の現像液を用いて、現像処理を実施した。結果的に、図8(d)に示すように、記録用のレーザビームが照射された結晶状態である領域104のみを選択的に除去することができ、非晶質状態の領域105及び溝106が形成される。この状態で、フッ素系の反応性ガス(例えばCガス等)を用い、リアクティブイオンエッチング(RIE)を行った。その結果、図8(e)に示すように、フッ素系の反応ガスに対してエッチング耐性の低い下部保護層101が選択的にエッチングされ、非晶質状態の領域105とエッチングにより残った下部保護層101の厚さが加算された深い溝107が形成される。最後に残存の非晶質状態の領域105を除去することにより、最終的に図8(f)に示すように、溝間部108に挟まれた深さが下部保護層101の膜厚とほぼ同じである約100nmの溝109が形成される。この時、溝109の溝幅(D)は約60nmとなっている。この図では溝幅をわかりやすくする為に溝形状を矩形にしており、本発明では溝深さの半分の位置における幅を溝幅と定義する。なお、本実施例における凹凸の溝に関して、基板に近い方を凹部、遠い方を凸部とする。
このようにして作製した表面上に凹凸の溝を有する基板100上に、図8(g)に示すように、記録層13として無機物のカルコゲン化合物(例えばGeSbTe系相変化膜等)をスパッタリング法により約30nm形成した。ここで、新たに下部保護層を設けないで、図8(f)の溝間部108である下部保護層で兼用する。なお、スパッタリング法などでカルコゲン化合物を薄膜化した直後は、一般に非晶質状態となる。次に、レーザ光源(例えば波長405nmの高出力半導体レーザ等)を搭載した製造装置を用いて、図8(h)に示すように記録層110上に結晶状態となるようなパワーでレーザビーム111を溝の中央部に照射し、かつ記録膜110上に自動焦点(AF)動作を行いながら、目的の情報に応じて第2の記録を行った。この第2の記録により図8(i)に示すように、Tpの間隔で結晶状態の領域112が得られる。ここでのレーザビーム111の照射ピッチ(Tp)は第1の記録と同じ約240nmとした。その後、アルカリ性の現像液を用いて、現像処理を実施した。結果的に、図8(j)に示すように、記録用のレーザビームが照射された結晶状態の領域112のみを選択的に除去することができ、非晶質状態の記録領域113に挟まれた溝114が得られる。この状態で、フッ素系の反応性ガス(例えばCガス等)を用い、RIEを行った。その結果、図8(k)に示すように、フッ素系の反応ガスに対してエッチング耐性の低い下部保護層108が選択的にエッチングされ、非晶質状態の領域113とエッチングにより残った下部保護層108の厚さが加算された深い溝115が形成される。最後に残存の非晶質状態の領域113を除去することにより、最終的に図8(l)に示すように、溝間部116に挟まれた深さが下部保護層101の膜厚である約100nmの溝117が形成される。この時、溝117の記録トラックピッチ(tp)は溝109の記録トラックピッチ(Tp)の半分である約120nm、溝幅(d)は約60nmとなるようにしている。また、溝間部116の幅(tp−d)も約60nmである。なお、ここでは結晶化記録なので上部保護層を省いたが場合によっては設けても良い。必要に応じて、第2の記録を行う前の基板100に下部保護層を設けても良い。そして記録層と上部保護層の間に、下部保護層と同じ材質の保護層を設けても良い。また、基板と下部保護層との間にAlなどの金属薄膜を設けても良い。これらの場合には、光学設計のマージンが増え、確実に記録感度を向上させるメリットがある。逆に、記録感度に余裕がある場合には下部保護層を省略することもできる。これにより製造プロセスの単純化が見込める。
本実施例における記録(特に第2の記録)は、光エネルギーを吸収して状態変化を行うフォトンモードではなく、熱エネルギーを吸収して状態変化を行うヒートモードを利用して記録を行っている。そのため、用いる記録層は無機物がメインである。その中でも、TeやSeなどのカルコゲン化合物あるいはこのカルコゲン化合物に酸素などが入っている記録層を用いると、相変化や熱分解や酸化などの状態変化が容易に行え好ましい。特に、記録した溝やピットのエッジ部がはっきりする相変化を利用するのが好ましい。本実施例ではビームが照射された部分を現像処理により除去する為、結晶化記録の方が好ましい。また、記録膜にTe系酸化物(例えばTeO2ベース)を用いて、記録用ビームにより記録膜を相分離(結晶領域と非晶質領域)させてその内の結晶化領域をアルカリ現像処理により除去して記録ビームを照射した幅レベルの溝を形成しても良い。
また、記録層は1層に限らず多層の場合も可能である。特に、互いに異なる材料で構成された第1の記録層及び第2に記録層を接して形成し、レーザビーム照射によりこれら2層間に相互拡散あるいは溶解を生じさせて2つの層間で材料の混合あるいは反応によって状態変化(合金化など)させても良い。
本実施例ではレーザビームの照射により記録層上の目的の部分を状態変化させ、さらに現像処理によって溝やピットなどを基板上に形成している。すなわち、この現像処理によって状態変化した部分のみを溶解、あるいは状態変化しなかった部分のみを溶解させるのである。溶解しなくても、目的の部分だけ凹凸の溝やピットが形成できればよい。現像液としては、結晶化した部分を容易に溶解できるアルカリ性の現像液を用いるのが好ましい。
本実施例では現像処理の後でドライエッチング処理を行い、記録層をマスクにして目的の溝やピットなどのパターンを基板などに転写している。この時のドライエッチングとして、フッ素系あるいはアルゴン等の不活性ガスと塩素系などを混合させたガスなどを用いたリアクティブイオンエッチング(RIE)を用いるのが好ましい。さらに、RIEを行った後で、必要に応じて、残存した記録層や保護層などを除去するために酸素を用いたアッシャー工程を取り入れても良い。また、図8(e)及び図8(k)の次の工程で、非晶質状態の領域105及び113を取り除く一つの方法として、初期化装置を用いて非晶質状態の領域を結晶化させた後に、アルカリ現像により領域105及び113を除去すれば良い。
本実施例において、記録層以外に基板上に少なくとも1層以上透明な保護膜を設けている。この透明な保護層のうち1層は基板に接して設け、この保護層は形成時においては非晶質状態であり、記録用のレーザビームの照射によっても結晶化しない材料を用いている。たとえば、SiO2やZnS-SiO2などの酸化物である。このような基板に接して設けた保護層は、溝の深さを制御する役割、レーザビームのエネルギーを記録層に集中させる役割、記録層がダメージを受けて変形しないように保護する役割、などのために用いる。また、透明な保護層の中で最も基板よりも遠い側にある保護層を、有機材料で形成して設けてもよい(上部保護層)。たとえば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、紫外線硬化樹脂などからなるものである。これらは主に記録層などを外部から保護する役目がある。なお、本実施例で用いた記録層や保護層の膜厚は、目的に応じて変化させている。
本実施例において、少なくとも一部の凹部に揺動(ウォブル)やピット列などで情報を組み込むことにより、アドレス情報やクロックなどが得られるので好ましい。
図8(l)で得られた狭トラックピッチ基板をそのまま使用しても良いが、更に多くの狭トラックピッチ基板を得るために、必要に応じて、図8(l)に示した基板を原盤として、従来の電鋳プロセスを経てニッケルスタンパーを複製し、それを元に射出成形によって大量に同一の狭トラックピッチ基板を製造することもできる。また、このような電鋳プロセスを得ずに、直接狭トラックピッチ基板をマスターにしてナノインプリント法などにより同一構造の狭トラックピッチ基板を多数枚形成しても良い。この時、更に溝の深さを確実に揃えたり、溝の斜面(エッジ部)の傾き角度を立てるために、図8(l)に示した基板から複製を取る前に、基板上に形成した下部保護層の凸部をマスクにして、フッ素系の反応性ガス(例えばCガス等)を用いてRIEを行い、それにより得られた凹凸溝の基板を原盤として用いても良い。
本実施例では、図8(l)に示したような最終的に形成された狭トラックピッチ基板における溝117のトラックピッチ(tp)が半径方向で一定になるように、レーザビーム103の照射による第1の記録によって最終的に形成された溝109(D)の幅と、レーザビーム111の照射による第2の記録によって最終的に形成された溝117(d)の幅が実質的に同じ幅になるように記録用のレーザビーム111のパワーや照射時間等の記録条件を制御しながら記録を行う必要がある。これに関しては、実施例1における図2での説明と基本的に同じ理由である。
また、溝109の幅と溝117の幅とをほぼ等しくしたとしても、溝間部110の中央部に溝114を形成しないと、今度は半径方向の転写溝の幅が大きく異なってしまう。これに関しては、実施例1における図3での説明と基本的に同じ理由である。
また、(0<D<Tp/2)の条件の範囲であれば、溝109と溝117の幅を実質的に同じとし、更に溝間部110のほぼ中央部に溝114を形成することにより、半径方向の記録トラックピッチ及び溝幅は同じとなり、更に溝109と溝117の幅を同時に変える事により、自由に溝のduty比を自由に変えることができる。
本実施例では、最終的な図8(l)に示すような狭トラックピッチ基板を得るために、図8(a)に示すような平らな基板を用いて図8(f)までのプロセスを経て、トラックピッチ:Tp、溝幅:Dの基板を作製したが、このような凹凸溝を有する基板は、本実施例で用いた製造装置とは異なる製造装置で作製しても良い。即ち、本発明の特徴は、表面に凹凸溝を有する基板を用い、この基板上にレーザビームの照射によって状態変化を生じる記録層を少なくとも1層以上設け、そして記録層にレーザビームを照射して目的のパターン(溝やピット列など)に応じた状態変化を生じさせて記録を行い、その後、記録層を現像して記録層をパターン化し、更にこのパターンをマスクにしてエッチング処理を実施することにより、最終的に記録用のレーザビームの照射ピッチよりも狭いピッチの溝やピット列などを得るための狭トラックピッチ基板の製造方法にある。この時、基板に記録層などを形成する前の凹凸溝のトラックピッチをTp、溝幅をD、そして最後にエッチング処理を行った後の基板における凹凸溝のトラックピッチをtp、溝幅をdと仮定した時に、0<D<(Tp/2)の基板を用いた場合には、(D)の幅と(d)の幅が実質的に同じ幅となるように記録用のレーザビームを制御しながら記録を行う。また、記録用のレーザビームを凹凸溝の凹部の中央部に照射することにより、溝ピッチ及び溝幅を同じ大きさに揃えることができる。これにより、
tp=(Tp/2)
d=D
の狭トラックピッチ基板が得られる。
本実施例において、予め用意した表面に凹凸溝を有する基板を用いる場合、凸部の材質が主たる基板の材質と異なるものを用いることにより、現像処理やエッチング処理後の凹凸の溝やピットの深さを実質的に同じにできるため好ましい。この時、凸部の材質が透明な保護層と同じ材質であればさらに好ましい。たとえば、SiO2やZnS-SiO2などの酸化物である。
本実施例で用いた製造装置は、実施例1に用いたものとほぼ同じである。
図8(k)において、この状態の基板を原盤とすることにより、半径方向に凹部の深さが隣同士で異なる凹凸の溝を基板上に形成することができる。あるいは確実に原盤からのニッケルスタンパーの転写性を上げる為に、次のような製造プロセス経ても可能となる。図9(a)〜(l)に製造プロセスの説明図を示す。図8と異なるのは、例えば下部保護層を用いず、RIEなどのドライエッチング法により基板に直接凹凸溝を形成することである。
まず図9(a)に示すように、平らな表面を持つ直径約130mmの基板(例えば、ガラスやSi等)120上に、記録層121として無機物のカルコゲン化合物(例えばTeO2+相変化材料等)をスパッタリング法により約50nm形成した。なお、スパッタリング法などでカルコゲン化合物を薄膜化した直後は、一般に非晶質状態となる。次に、レーザ光源(例えば波長405nmの高出力半導体レーザ等)を搭載した図6に示した製造装置を用いて、図9(b)に示すように記録層120上に結晶状態となるようなパワーでレーザビーム122を照射し、かつ記録膜121上に自動焦点(AF)動作を行いながら、目的の情報に応じて第1の記録を行った。この第1の記録により図9(c)に示すように、Tpの間隔で相分離(結晶領域と非晶質領域)した領域123が得られる。ここでのレーザビーム122の照射ピッチ(Tp)は約280nmとした。その後、アルカリ性の現像液を用いて、現像処理を実施した。結果的に、図9(d)に示すように、記録用のレーザビームが照射された領域123のみを選択的に除去することができ、非晶質状態の領域124及び溝125が形成される。この状態で、フッ素系の反応性ガス(例えばCガス等)を用い、リアクティブイオンエッチング(RIE)を行った。その結果、図9(e)に示すように、フッ素系の反応ガスに対して基板120がエッチングされ溝126が形成される。最後に残存の非晶質状態の領域124を除去することにより、最終的に図9(f)に示すように、深さが約80nmの溝127を形成した。この時、溝127の記録トラックピッチ(Tp)は280nm、溝127の溝幅(D)は約70nmとなっている。この図では溝幅をわかりやすくする為に溝形状を矩形にしており、本発明では溝深さの半分の位置における幅を溝幅と定義する。
このようにして作製した表面上に凹凸の溝を有する基板120上に、図9(g)に示すように、記録層128として無機物のカルコゲン化合物(例えばTeO2+相変化材料等)をスパッタリング法により約50nm形成した。なお、スパッタリング法などでカルコゲン化合物を薄膜化した直後は、一般に非晶質状態となる。次に、レーザ光源(例えば波長405nmの高出力半導体レーザ等)を搭載した図6に示した製造装置を用いて、図9(h)に示すように結晶化した記録層128上に結晶状態となるようなパワーでレーザビーム129を溝間部の中央部に照射し、かつ記録膜128上に自動焦点(AF)動作を行いながら、目的の情報に応じて第2の記録を行った。この第2の記録により図9(i)に示すように、Tpの間隔で相分離(結晶領域と非晶質領域)した領域130が得られる。ここでのレーザビーム129の照射ピッチ(Tp)は第1の記録と同じ約280nmとした。その後、アルカリ性の現像液を用いて、現像処理を実施した。結果的に、図9(j)に示すように、記録用のレーザビーム129が照射された領域130のみを選択的に除去することができ、非晶質状態の領域131及び溝132が形成される。この状態で、フッ素系の反応性ガス(例えばCガス等)を用い、RIEを行った。その結果、図9(k)に示すように、フッ素系の反応ガスに対して基板120がエッチングされ、溝133が形成される(ここでは、図9(f)に示した基板の凹凸溝の深さ80nmよりも溝133が深くならないようにエッチング制御している)。最後に残存の非晶質状態の領域131を、酸素ガスを用いたアッシャーなどにより除去することにより、最終的に図9(l)に示すように、半径方向に凹部の深さが隣同士で異なる凹凸の溝134と溝135(溝127と同じ深さ)を基板上に形成することができる。この時、溝の記録トラックピッチ(tp)は、図9(f)の溝127の記録トラックピッチ(Tp)の半分である140nm、溝幅(d)は約70nmとなるようにしている。ここで、溝間部の隣同士で、凹部の深さに対応して溝間部とピット列を交互に設けても良い。また、必要に応じて、製造プロセスが複雑になるが下部保護層や上部保護層を設けても良い。もちろん、図9(k)の状態で、エッチング時間を制御することにより、隣同士で同じ深さの溝の形成は可能である。
本実施例では例として同心円状の溝を形成したが、スパイラル状の溝や凹凸のパターン列、或いは揺動(ウォブル)された溝なども同様なプロセスで形成できる。
本実施例で用いる基板としては、ソーダガラス基板や石英基板やSi基板、或いはカーボンが主体の基板が良い。特に、RIEを実施する場合には、石英基板やSi基板やカーボン基板が好ましい。また基板の形状はディスク状に限らない。例えばカード状でも良い。
また本実施例で形成された狭トラックピッチ基板は、高密度記録用媒体の基板以外に用いても良い。例えばナノピラー(ナノスケール柱状構造)としてのバイオデバイスなどである。

(実施例3)
本実施例では、表面が平らな基板を用い、この基板上にレーザビームの照射によって状態変化を生じる記録層を少なくとも1層以上設け、その内の目的の記録層に同心円状にレーザビームを照射しながら記録層上に自動焦点(AF)動作を実施し、レーザビームの照射により目的のパターン(溝やピット列など)に応じた状態変化を生じさせる第1の記録を行い、その後、第1の記録を行った部分の間の領域に第1の記録と同じ照射ピッチで第2の記録を行い、その後記録層を現像して記録層をパターン化し、更にこのパターンをマスクにしてエッチング処理を実施することにより、記録時のレーザビームの照射ピッチよりも狭いピッチの溝やピット列などを得るための狭トラックピッチ基板の製造方法について説明する。この場合、第1の記録により状態変化した部分の幅と同じ幅になるように第2の記録用のレーザビームを制御しながら記録を行うことが大きな特徴である。
図10(a)〜(h)に製造プロセスの説明図を示す。まず図10(a)に示すように、平らな表面を持つ直径約130mmの基板(例えば、ガラスやSi等)140上に下部保護層141として酸化物層(例えばSiO2層等)をスパッタリング法により約100nm形成し、更にこの下部保護層141上に記録層142として無機物のカルコゲン化合物(例えばGeSbTe系相変化膜等)を同じくスパッタリング法により約30nm形成した。そして、記録層142上に上部保護層143として透明な有機物層(例えば紫外線硬化樹脂等)を約100μm程度形成した。なお、スパッタリング法などでカルコゲン化合物を薄膜化した直後は、一般に非晶質状態となる。そこで、本実施例では予め長円ビームを用いて少なくとも溝やピットを形成する領域を結晶化している。次に、レーザ光源(例えば波長405nmの高出力半導体レーザ等)を搭載した図6に示した製造装置を用いて、図10(b)に示すように結晶化した記録層144上に非晶質状態となるようなパワーでレーザビーム145を照射し、かつ記録膜144上に自動焦点(AF)動作を行いながら、目的の情報に応じて第1の記録を行った。この第1の記録により図10(c)に示すように、Tpの間隔で非晶質状態の領域146が得られる。ここでのレーザビーム145の照射ピッチ(Tp)は約240nmとした。ここで非晶質状態の領域146に挟まれた結晶状態の領域147の幅(D)は約180nmとなっている(すなわち、非晶質状態の領域146の幅(Tp−D)は約60nmである)。この後、実施例1などのように現像処理はやらずに続けて第2の記録を行う。図10(d)に示すように結晶状態の領域147の中央部に非晶質化状態となるようなパワーでレーザビーム148を照射し、かつ自動焦点(AF)動作を行いながら、目的の情報に応じて第2の記録を行った。この第2の記録により図10(e)に示すように、非晶質状態の領域146に挟まれた結晶状態の領域147の中央部に、半径方向にTpの間隔で非晶質状態の領域149が得られる。ここでのレーザビーム148の照射ピッチ(Tp)は第1の記録と同じ約240nmとした。その後、上部保護層143を取り除き、アルカリ性の現像液を用いて、現像処理を実施した。結果的に、図10(f)に示すように、記録用のレーザビームが照射された領域146、149以外の、結晶状態である記録層領域のみを選択的に除去することができ、溝150が得られる。この状態で、フッ素系の反応性ガス(例えばCガス等)を用い、RIEを行った。その結果、図10(g)に示すように、フッ素系の反応ガスに対してエッチング耐性の低い下部保護層141が選択的にエッチングされ、非晶質状態の領域146あるいは149とエッチングにより残った下部保護層141の厚さが加算された深い溝151が形成される。最後に残存の非晶質状態の領域146、149を除去することにより、最終的に図10(h)に示すように、溝間152に挟まれた深さが下部保護層141の膜厚である約100nmの溝153が形成される。この時、溝153の記録トラックピッチ(tp)は記録ビームの照射ピッチ(Tp)の記録トラックピッチの半分である約120nm、溝幅(d)は約60nmとなるようにしている。この時、溝間部152の幅も約60nmである。必要に応じて、記録層と上部保護層の間に、下部保護層と同じ材質の保護層を設けても良い。また、基板と下部保護層との間にAlなどの金属薄膜を設けても良い。これらの場合には、光学設計のマージンが増え、確実に記録感度を向上させるメリットがある。逆に、記録感度に余裕がある場合には下部保護層を省略することもできる。これにより製造プロセスの単純化が見込める。
本実施例における記録は、光エネルギーを吸収して状態変化を行うフォトンモードではなく、熱エネルギーを吸収して状態変化を行うヒートモードを利用して記録を行っている。そのため、用いる記録層は無機物がメインである。その中でも、TeやSeなどのカルコゲン化合物あるいはこのカルコゲン化合物に酸素などが入っている記録層を用いると、相変化や熱分解や酸化などの状態変化が容易に行え好ましい。特に、記録した溝やピットのエッジ部がはっきりする相変化を利用するのが好ましい。この時、非晶質化によって状態変化させた方が溝やピットの幅を狭くできるので好ましい。この場合には、非晶質化記録を実施する前に、予め記録層を結晶化しておく必要がある。基板の大面積を結晶化する場合には、本実施例のように別途初期化用の装置を用いて予め初期結晶化をしておけばよい。また、記録層は1層に限らず多層の場合も可能である。特に、互いに異なる材料で構成された第1の記録層及び第2に記録層を接して形成し、レーザビーム照射によりこれら2層間に相互拡散あるいは溶解を生じさせて2つの層間で材料の混合あるいは反応によって状態変化(合金化など)させても良い。
本実施例ではレーザビームの照射により記録層上の目的の部分を状態変化させ、さらに現像処理によって溝やピットなどを基板上に形成している。すなわち、この現像処理によって状態変化した部分のみを溶解、あるいは状態変化しなかった部分のみを溶解させるのである。溶解しなくても、目的の部分だけ凹凸の溝やピットが形成できればよい。現像液としては、結晶化した部分を容易に溶解できるアルカリ性の現像液を用いるのが好ましい。
本実施例では現像処理の後でドライエッチング処理を行い、記録層をマスクにして目的の溝やピットなどのパターンを基板などに転写している。この時のドライエッチングとして、フッ素系あるいはアルゴン等の不活性ガスと塩素系などを混合させたガスなどを用いたリアクティブイオンエッチング(RIE)を用いるのが好ましい。さらに、RIEを行った後で、必要に応じて、残存した記録層や保護層などを除去するために酸素を用いたアッシャー工程を取り入れても良い。また、図10(g)の工程で、非晶質状態の領域146及び149を取り除く一つの方法として、初期化装置を用いて非晶質状態の領域を結晶化させた後に、アルカリ現像により領域146及び149を除去すればいい。
本実施例において、記録層以外に基板上に少なくとも1層以上透明な保護膜を設けている。この透明な保護層のうち1層は基板に接して設け、この保護層は形成時においては非晶質状態であり、記録用のレーザビームの照射によっても結晶化しない材料を用いている。たとえば、SiO2やZnS-SiO2などの酸化物である。このような基板に接して設けた保護層は、溝の深さを制御する役割、レーザビームのエネルギーを記録層に集中させる役割、記録層がダメージを受けて変形しないように保護する役割、などのために用いる。また、透明な保護層の中で最も基板よりも遠い側にある保護層の材質が、有機材料で形成している(上部保護層)。たとえば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、紫外線硬化樹脂などからなるものである。これらは主に記録層などを外部から保護する役目がある。なお、本実施例で用いた記録層や保護層の膜厚は、目的に応じて変化させている。
図10(h)で得られた狭トラックピッチ基板をそのまま使用しても良いが、更に多くの狭トラックピッチ基板を得るために、必要に応じて、図10(h)に示した基板を原盤として、従来の電鋳プロセスを経てニッケルスタンパーを複製し、それを元に射出成形によって大量に同一の狭トラックピッチ基板を製造することもできる。また、このような電鋳プロセスを得ずに、直接狭トラックピッチ基板をマスターにしてナノインプリント法などにより同一構造の狭トラックピッチ基板を多数枚形成しても良い。この時、更に溝の深さを確実に揃えたり、溝の斜面(エッジ部)の傾き角度を立てるために、図10(h)に示した基板から複製を取る前に、基板上に形成した下部保護層の凸部をマスクにして、フッ素系の反応性ガス(例えばCガス等)を用いてRIEを行い、それにより得られた凹凸溝の基板を原盤として用いても良い。
本実施例では、図10(h)に示したような最終的に形成された狭トラックピッチ基板における溝153のトラックピッチ(tp)が半径方向で一定になるように、レーザビーム145の照射による第1の記録によって状態変化した非晶質状態の領域146の幅と、レーザビーム148の照射による第2の記録によって状態変化した非晶質状態の領域149の幅が実質的に同じ幅になるように、第2の記録用レーザビーム148のパワーや照射時間等の記録条件を制御しながら記録を行う必要がある。これに関しては、実施例1における図2での説明と基本的に同じ理由である。
また、第1の記録によって状態変化した非晶質状態の領域146の幅と、レーザビーム148の照射による第2の記録によって状態変化した非晶質状態の領域149の幅をほぼ等しくしたとしても、非晶質状態の領域146に挟まれた結晶状態の領域147の中央部に非晶質状態の領域149を形成しないと、今度は半径方向の転写溝の幅が大きく異なってしまう。これに関しては、実施例1における図3での説明と基本的に同じ理由である。
本実施例で用いた製造装置は、実施例1に用いたものとほぼ同じである。
また、(Tp/2)<D<Tpの条件の範囲であれば、非晶質状態の領域146と非晶質状態の領域149の幅を実質的に同じとし、更に結晶状態の領域147のほぼ中央部に非晶質状態の領域149を形成することにより、半径方向の記録トラックピッチ及び溝幅は同じとなり、更に非晶質状態の領域146と非晶質状態の領域149の幅を同時に変える事により、自由に溝のduty比を自由に変えることができる。
また、本実施例による製造装置を用い、本実施例による製造プロセスを実施することにより、第1の記録の照射ピッチをTp、照射により状態変化した部分の幅をD、そして最後にエッチング処理を行った後の基板における凹凸溝のトラックピッチをtp、溝幅をdと仮定した時に、
tp=Tp/2
d=D−Tp/2
が成り立つ狭トラックピッチ基板を得ることができる。
また、図10では記録用ビームにより記録膜を非晶質化し、その領域以外の領域をアルカリ現像処理により除去して溝を形成しているが、記録用ビームにより記録膜を結晶化して、その領域をアルカリ現像処理により除去して溝を形成しても良い。また、記録膜にTe系酸化物(例えばTeO2ベース)を用いて、記録用ビームにより記録膜を相分離(結晶領域と非晶質領域)させてその内の結晶化領域をアルカリ現像処理により除去して溝を形成しても良い。これらの場合には図10(h)の基板において、本実施例とは逆の凹凸溝が形成される。また、これらの場合には下部保護層や上部保護層を省くことができる為、製造プロセスの簡単化が可能となる。
本実施例において、少なくとも一部の凸部あるいは凹部に揺動(ウォブル)やピット列などで情報を組み込むことにより、アドレス情報やクロックなどが得られるので必要に応じて設けても良い。
本実施例では例として同心円状の溝を形成したが、スパイラル状の溝や凹凸のパターン列、或いは揺動(ウォブル)された溝なども同様なプロセスで形成できる。
本実施例で用いる基板としては、ソーダガラス基板や石英基板やSi基板、或いはカーボンが主体の基板が良い。特に、RIEを実施する場合には、石英基板やSi基板やカーボン基板が好ましい。また基板の形状はディスク状に限らない。例えばカード状でも良い。
また本実施例で形成された狭トラックピッチ基板は、高密度記録用媒体の基板以外に用いても良い。例えばナノピラー(ナノスケール柱状構造)としてのバイオデバイスなどである。

(実施例4)
本実施例では、表面が平らな基板を用い、この基板上にレーザビームの照射によって状態変化を生じる記録層を少なくとも1層以上設け、その内の目的の記録層に同心円状にレーザビームを照射しながら記録層上に自動焦点(AF)動作を実施し、レーザビームの照射により目的のパターン(溝やピット列など)に応じた状態変化を生じさせる第1の記録を行い、その後記録膜を一旦現像し、次に第1の記録を行った部分の間の領域に第1の記録と同じ照射ピッチで第2の記録を行い、その後記録層を現像して記録層をパターン化し、更にこのパターンをマスクにしてエッチング処理を実施することにより、記録時のレーザビームの照射ピッチよりも狭いピッチの溝やピット列などを得るための狭トラックピッチ基板の製造方法について説明する。この場合、第1の記録により状態変化した部分の幅と同じ幅になるように第2の記録用のレーザビームを制御しながら記録を行うことが大きな特徴である。
図11(a)〜(f)に製造プロセスの説明図を示す。まず図11(a)に示すように、平らな表面を持つ直径約130mmの基板(例えば、ガラスやSi等)154上に、記録層155として遷移金属の不完全酸化物(例えばWやMo等)をスパッタリング法により約50nm形成した。次に、レーザ光源(例えば波長405nmの高出力半導体レーザ等)を搭載した図6に示した製造装置を用いて、図11(b)に示すように記録層155上に記録膜が化学的に変化するパワーでレーザビーム156を照射し、かつ記録膜155上に自動焦点(AF)動作を行いながら、目的の情報に応じて第1の記録を行った。この第1の記録により図11(c)に示すように、Tpの間隔で露光状態の領域157が得られる。ここでのレーザビーム156の照射ピッチ(Tp)は約400nmとした。ここで露光領域157に挟まれた未露光領域158の幅(D)は約300nmとなっている(すなわち、露光領域157の幅(Tp−D)は約100nmである)。この後、アルカリ性の現像液を用いて現像処理を行い、露光された領域を除去することにより、図11(d)に示すように溝159が得られる。続けて第2の記録を行う。図11(d)に示すように未露光領域158の中央部に記録膜が化学的に変化するパワーでレーザビーム160を照射し、かつ自動焦点(AF)動作を行いながら、目的の情報に応じて第2の記録を行った。この第2の記録により図11(e)に示すように、溝159に挟まれた未露光領域148の中央部に、半径方向にTpの間隔で露光領域161が得られる。ここでのレーザビーム160の照射ピッチ(Tp)は第1の記録と同じ約400nmとした。その後、アルカリ性の現像液を用いて、現像処理を実施することにより、溝162が得られた。結果的に、図11(f)に示すように、第1の記録および第2の記録が照射された領域のみを選択的に除去することができ、記録トラックピッチ(tp)が記録ビームの照射ピッチ(Tp)の記録トラックピッチの半分である約200nm、溝幅(d)が約100nmの溝が形成できた。必要に応じて、記録層と上部保護層の間に、下部保護層と同じ材質の保護層を設けても良い。また、基板と下部保護層との間にAlなどの金属薄膜を設けても良い。これらの場合には、光学設計のマージンが増え、確実に記録感度を向上させるメリットがある。逆に、記録感度に余裕がある場合には下部保護層を省略することもできる。これにより製造プロセスの単純化が見込める。
本実施例における記録は、光エネルギーを吸収して状態変化を行うフォトンモードではなく、熱エネルギーを吸収して状態変化を行うヒートモードを利用して記録を行っている。そのため、用いる記録層は無機物がメインである。本実施例のような、遷移金属の不完全酸化物を含むものではなく、TeやSeなどのカルコゲン化合物あるいはこのカルコゲン化合物に酸素などが入っている記録層を用いても同様な効果が得られた。また、記録層は1層に限らず多層の場合も可能である。特に、互いに異なる材料で構成された第1の記録層及び第2に記録層を接して形成し、レーザビーム照射によりこれら2層間に相互拡散あるいは溶解を生じさせて2つの層間で材料の混合あるいは反応によって状態変化(合金化など)させても良い。
本実施例ではレーザビームの照射により記録層上の目的の部分を状態変化(化学変化)させ、さらに現像処理によってこれらの部分を除去することにより溝やピットなどを基板上に形成している。すなわち、この現像処理によって状態変化した部分のみを溶解、あるいは状態変化しなかった部分のみを溶解させるのである。溶解しなくても、目的の部分だけ凹凸の溝やピットが形成できればよい。現像液としては、結晶化した部分を容易に溶解できるアルカリ性の現像液を用いているが、場合によっては現像処理をドライエッチング処理を使用しても良い。
図11(f)で得られた狭トラックピッチ基板をそのまま使用しても良いが、更に多くの狭トラックピッチ基板を得るために、必要に応じて、図11(f)に示した基板を原盤として、従来の電鋳プロセスを経てニッケルスタンパーを複製し、それを元に射出成形によって大量に同一の狭トラックピッチ基板を製造することもできる。また、このような電鋳プロセスを得ずに、直接狭トラックピッチ基板をマスターにしてナノインプリント法などにより同一構造の狭トラックピッチ基板を多数枚形成しても良い。この時、更に溝の深さを確実に揃えたり、溝の斜面(エッジ部)の傾き角度を立てるために、図11(h)に示した基板から複製を取る前に、基板上に形成した下部保護層の凸部をマスクにして、フッ素系の反応性ガス(例えばCガス等)を用いてRIEを行い、それにより得られた凹凸溝の基板を原盤として用いても良い。
本実施例では、図11(f)に示したような最終的に形成された狭トラックピッチ基板における溝のトラックピッチ(tp)が半径方向で一定になるように、レーザビーム157の照射による第1の記録によって状態変化した露光状態の領域157の幅と、レーザビーム160の照射による第2の記録によって状態変化した露光状態の領域161の幅が実質的に同じ幅になるように、第2の記録用レーザビーム160のパワーや照射時間等の記録条件を制御しながら記録を行う必要がある。これに関しては、実施例1における図2での説明と基本的に同じ理由である。
また、第1の記録によって状態変化した露光状態の領域157の幅と、レーザビーム160の照射による第2の記録によって状態変化した露光状態の領域161の幅をほぼ等しくしたとしても、露光状態の領域157に挟まれた実露光状態の領域158の中央部に露光状態の領域161を形成しないと、今度は半径方向の転写溝の幅が大きく異なってしまう。これに関しては、実施例1における図3での説明と基本的に同じ理由である。
本実施例で用いた製造装置は、実施例1に用いたものとほぼ同じである。
また、(Tp/2)<D<Tpの条件の範囲であれば、露光状態の領域157と露光状態の領域161の幅を実質的に同じとし、更に未露光状態の領域158のほぼ中央部に露光状態の領域161を形成することにより、半径方向の記録トラックピッチ及び溝幅は同じとなり、更に露光状態の領域157と露光状態の領域161の幅を同時に変える事により、自由に溝のduty比を自由に変えることができる。
また、本実施例による製造装置を用い、本実施例による製造プロセスを実施することにより、第1の記録の照射ピッチをTp、照射により状態変化した部分の幅をD、そして最後にエッチング処理を行った後の基板における凹凸溝のトラックピッチをtp、溝幅をdと仮定した時に、
tp=Tp/2
d=D−Tp/2
が成り立つ狭トラックピッチ基板を得ることができる。
本実施例において、少なくとも一部の凸部あるいは凹部に揺動(ウォブル)やピット列などで情報を組み込むことにより、アドレス情報やクロックなどが得られるので必要に応じて設けても良い。
本実施例では例として同心円状の溝を形成したが、スパイラル状の溝や凹凸のパターン列、或いは揺動(ウォブル)された溝なども同様なプロセスで形成できる。
本実施例で用いる基板としては、ソーダガラス基板や石英基板やSi基板、或いはカーボンが主体の基板が良い。特に、RIEを実施する場合には、石英基板やSi基板やカーボン基板が好ましい。また基板の形状はディスク状に限らない。例えばカード状でも良い。
また本実施例で形成された狭トラックピッチ基板は、高密度記録用媒体の基板以外に用いても良い。例えばナノピラー(ナノスケール柱状構造)としてのバイオデバイスなどである。
本実施例1において狭トラックピッチ基板の製造方法を説明する為の図 本実施例1において形成した溝間部の幅を変えた場合のトラックピッチ変化を説明する為の図 本実施例1において形成した溝間部の形成位置を変えた場合の溝幅変化を説明する為の図 本実施例1において形成した溝間部の幅を変えた場合の溝幅変化を説明する為の図 本実施例1において凹凸溝を有する基板の作製方法の一例を説明する為の図 本発明で用いた製造装置の概略を説明する為の図 本実施例1において凸部の高さが隣同士で異なる凹凸溝を形成するための製造プロセスを説明する為の図 本実施例2において狭トラックピッチ基板の製造方法を説明する為の図 本実施例2において凹部の深さが隣同士で異なる凹凸溝を形成するための製造プロセスを説明する為の図 本実施例3において狭トラックピッチ基板の製造方法を説明する為の図 本実施例4において狭トラックピッチ基板の製造方法を説明する為の図
符号の説明
1,57,80,100,120,140,154…基板
2,12,32,101,141…下部保護層
3,13,33,37,81,90,102,105,110,113,121,128,131
,142…非晶質状態の記録層
4,14,34,82,91,143…上部保護層
5,15,58,83,92,144,147…結晶状態の記録層
155…遷移金属の不完全酸化物を含む記録膜
6,16,35,84,93,103,111,122,129,145,148,156,160…レーザビーム
7,17,36,85,94,104,112,123,130,146,149,157,161…記録した領域
158…未露光部
8,10,11,18,20,21,38,40,41,86,87,88,95,96,99,106
,107,109,114,115,117,125,126,127,132,133,134
,135,150,151,153,159,162…溝
9,12,39,89,97,98,108,116,124,152‥溝間部
50,51‥記録用高出力半導体レーザ
52…コリメートレンズ
53,63…偏光ビームスプリッタ
54,64…λ/4板
55…球面収差補正板(液晶素子)
56…対物レンズ
59,62,67…絞り込みレンズ
60,68…シリンドリカルレンズ
61,69…検出器
65…ダイクロイックミラー
66…反射ミラー
70,71…レーザドライバ
72,73…AF&トラッキング制御回路
74…マイクロプロセッサ

Claims (66)

  1. 表面に凹凸溝を有する基板を用い、該基板上にレーザビームの照射によって状態変化を生じる記録層を少なくとも1層以上設け、該記録層にレーザビームを照射して目的のパターン(溝やピット列など)に応じた状態変化を生じさせて記録を行い、その後、該記録層を現像して該記録層をパターン化し、更に該パターンをマスクにしてエッチング処理を実施することにより、最終的に記録用のレーザビームの照射ピッチよりも狭いピッチの溝やピット列などを得るための狭トラックピッチ基板の製造方法において、基板に記録層などを形成する前の凹凸溝のトラックピッチをTp、溝幅をD、そして最後にエッチング処理を行った後の基板における凹凸溝のトラックピッチをtp、溝幅をdと仮定した時に、Tp/2<D<Tpの基板を用いた場合には、(Tp−D)の幅と(tp−d)の幅が実質的に同じ幅となるように記録用のレーザビームを制御しながら記録を行うことを特徴とする狭トラックピッチ基板の製造方法。
  2. 前記記録用のレーザビームを凹凸溝の凹部の中央部に照射しながら記録を行うことを特徴とする請求項1記載の狭トラックピッチ基板の製造方法。
  3. 表面に凹凸溝を有する基板を用い、該基板上にレーザビームの照射によって状態変化を生じる記録層を少なくとも1層以上設け、該記録層にレーザビームを照射して目的のパターン(溝やピット列など)に応じた状態変化を生じさせて記録を行い、その後、該記録層を現像処理によって該記録層をパターン化し、更に該パターンをマスクにしてエッチング処理を実施することにより、最終的に記録用のレーザビームの照射ピッチよりも狭いピッチの溝やピット列などを得るための狭トラックピッチ基板の製造方法において、基板に記録層などを形成する前の凹凸溝のトラックピッチをTp、溝幅をD、そして最後にエッチング処理を行った後の基板における凹凸溝のトラックピッチをtp、溝幅をdと仮定した時に、0<D<Tp/2の基板を用いた場合には、Dの幅とdの幅が実質的に同じ幅となるように記録用のレーザビームを制御しながら記録を行うことを特徴とする狭トラックピッチ基板の製造方法。
  4. 前記記録用のレーザビームを凹凸溝の凸部の中央部に照射しながら記録を行うことを特徴とする請求項3に記載の狭トラックピッチ基板の製造方法。
  5. 前記記録用のレーザビームの照射時には記録層上に自動焦点(AF)動作を行うことを特徴とする請求項1または3に記載の狭トラックピッチ基板の製造方法。
  6. 前記記録用のレーザビームの光源として半導体レーザを用いることを特徴とする請求項1または3記載の狭トラックピッチ基板の製造方法。
  7. 前記記録層が熱エネルギーを吸収して状態変化を生じる無機物からなることを特徴とする請求項1または3に記載の狭トラックピッチ基板の製造方法。
  8. 前記記録層がカルコゲン化合物あるいはカルコゲン化合物に酸素を含む層であることを特徴とする請求項7に記載の狭トラックピッチ基板の製造方法。
  9. 前記記録用のレーザビームによる記録層の状態変化が相変化であることを特徴とする請求項1または3に記載の狭トラックピッチ基板の製造方法。
  10. 前記相変化による状態変化が非晶質化であることを特徴とする請求項9に記載の狭トラックピッチ基板の製造方法。
  11. 前記記録層に記録を行う前に予め記録層を初期結晶化することを特徴とする請求項1または3に記載の狭トラックピッチ基板の製造方法。
  12. 前記現像処理において、アルカリ現像液を用いることを特徴とする請求項1または3に記載の狭トラックピッチ基板の製造方法。
  13. 前記現像処理において、記録用のレーザビームが照射された部分は溶解しないで残ることを特徴とする請求項1記載の狭トラックピッチ基板の製造方法。
  14. 前記現像処理において、記録用のレーザビームが照射された部分は溶解することを特徴とする請求項3に記載の狭トラックピッチ基板の製造方法。
  15. 前記エッチング処理において、ドライエッチングを用いることを特徴とする請求項1または3に記載の狭トラックピッチ基板の製造方法。
  16. 前記エッチング処理において、リアクティブイオンエッチング(RIE)を用いることを特徴とする請求項15に記載の狭トラックピッチ基板の製造方法。
  17. 前記基板上に少なくとも1層以上透明な保護層を設けたことを特徴とする請求項1または3に記載の狭トラックピッチ基板の製造方法。
  18. 前記透明な保護層のうち1層は基板に接して設け、該保護層は形成時においては非晶質状態であり、記録用のレーザビームの照射によっても結晶化しないことを特徴とする請求項17に記載の狭トラックピッチ基板の製造方法。
  19. 前記透明な保護層が酸化物であることを特徴とする請求項18に記載の狭トラックピッチ基板の製造方法。
  20. 前記透明な保護層の中で最も基板よりも遠い側にある保護層の材質が、有機材料で形成されていることを特徴とする請求項17に記載の狭トラックピッチ基板の製造方法。
  21. 前記透明な保護層の中で最も基板よりも遠い側にある保護層の材質が、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、紫外線硬化樹脂などからなることを特徴とする請求項20に記載の狭トラックピッチ基板の製造方法。
  22. 前記記録層などを形成する前の凹凸溝を有する基板において、凸部の材質が主たる基板の材質と異なることを特徴とする請求項1または3に記載の狭トラックピッチ基板の製造方法。
  23. 前記記録層などを形成する前の凹凸溝を有する基板において、凸部の材質が該透明な保護層と同じ材質であることを特徴とする請求項22に記載の狭トラックピッチ基板の製造方法。
  24. 前記記録層などを形成する前の凹凸溝を有する基板において、凸部の材質が酸化物であることを特徴とする請求項23に記載の狭トラックピッチ基板の製造方法。
  25. 前記記録層などを形成する前の凹凸溝を有する基板において、凹部の深さと基板に接して形成した該透明な保護層の膜厚とが実質的に同じあることを特徴とする請求項18に記載の狭トラックピッチ基板の製造方法。
  26. 前記エッチング処理を行った後の基板において、最終的に形成した凹凸溝の凸部の高さが隣同士で異なることを特徴とする請求項1に記載の狭トラックピッチ基板の製造方法。
  27. 前記エッチング処理を行った後の基板において、最終的に形成した凹凸溝の凹部の深さが隣同士で異なることを特徴とする請求項3に記載の狭トラックピッチ基板の製造方法。
  28. 前記エッチング処理を行った後の基板において、少なくとも一部の凸部に揺動(ウォブル)やピット列などで情報が組み込まれていることを特徴とする請求項1に記載の狭トラックピッチ基板の製造方法。
  29. 前記エッチング処理を行った後の基板において、少なくとも一部の凹部に揺動(ウォブル)やピット列などで情報が組み込まれていることを特徴とする請求項3に記載の狭トラックピッチ基板の製造方法。
  30. 表面が平らな基板を用い、該基板上にレーザビームの照射によって状態変化を生じる記録層を少なくとも1層以上設け、該記録層にレーザビームを照射しながら記録層上に自動焦点(AF)動作を実施し、レーザビームの照射により目的のパターン(溝やピット列など)に応じた状態変化を生じさせる第1の記録を行い、その後、第1の記録を行った部分の間の領域に第1の記録と同じ照射ピッチで第2の記録を行い、該記録層を現像して該記録層をパターン化し、更に該パターンをマスクにしてエッチング処理を実施することにより、記録時のレーザビームの照射ピッチよりも狭いピッチの溝やピット列などを得るための狭トラックピッチ基板の製造方法において、第1の記録により状態変化した部分の幅と同じ幅になるように第2の記録用のレーザビームを制御しながら記録を行うことを特徴とする狭トラックピッチ基板の製造方法。
  31. 前記第2の記録用のビームスポットを第1の記録用のビームスポット照射間の中央部に照射しながら記録を行うことを特徴とする請求項30に記載の狭トラックピッチ基板の製造方法。
  32. 前記記録用のレーザビームの光源として半導体レーザを用いることを特徴とする請求項30に記載の狭トラックピッチ基板の製造方法。
  33. 前記記録層が熱エネルギーを吸収して状態変化を生じる無機物からなることを特徴とする請求項30に記載の狭トラックピッチ基板の製造方法。
  34. 前記記録層がカルコゲン化合物あるいはカルコゲン化合物に酸素を含む層であることを特徴とする請求項33に記載の狭トラックピッチ基板の製造方法。
  35. 前記記録用のレーザビームによる記録層の状態変化が相変化であることを特徴とする請求項30に記載の狭トラックピッチ基板の製造方法。
  36. 前記相変化による状態変化が非晶質化であることを特徴とする請求項35に記載の狭トラックピッチ基板の製造方法。
  37. 前記記録層に記録を行う前に予め記録層を初期結晶化することを特徴とする請求項30に記載の狭トラックピッチ基板の製造方法。
  38. 前記現像処理において、アルカリ現像液を用いることを特徴とする請求項30に記載の狭トラックピッチ基板の製造方法。
  39. 前記現像処理において、記録用のレーザビームが照射された部分は溶解しないで残ることを特徴とする請求項30に記載の狭トラックピッチ基板の製造方法。
  40. 前記エッチング処理において、ドライエッチングを用いることを特徴とする請求項30に記載の狭トラックピッチ基板の製造方法。
  41. 前記エッチング処理において、リアクティブイオンエッチング(RIE)を用いることを特徴とする請求項40に記載の狭トラックピッチ基板の製造方法。
  42. 前記基板上に少なくとも1層以上透明な保護層を設けたことを特徴とする請求項30に記載の狭トラックピッチ基板の製造方法。
  43. 前記透明な保護層のうち1層は基板に接して設け、該保護層は形成時においては非晶質状態であり、記録用のレーザビームの照射によっても結晶化しないことを特徴とする請求項42に記載の狭トラックピッチ基板の製造方法。
  44. 前記透明な保護層のうち基板に接して設けた保護層の材質が酸化物であることを特徴とする請求項43に記載の狭トラックピッチ基板の製造方法。
  45. 前記透明な保護層の中で最も基板よりも遠い側にある保護層の材質が、有機材料で形成されていることを特徴とする請求項42に記載の狭トラックピッチ基板の製造方法。
  46. 前記透明な保護層の中で最も基板よりも遠い側にある保護層の材質が、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、紫外線硬化樹脂などからなることを特徴とする請求項45に記載の狭トラックピッチ基板の製造方法。
  47. 前記エッチング処理を行った後の基板において、少なくとも一部の凸部に揺動(ウォブル)やピット列などで情報が組み込まれていることを特徴とする請求項30に記載の狭トラックピッチ基板の製造方法。
  48. 狭トラックピッチ基板の製造装置であって、表面に凹凸溝を有する基板上にレーザビームの照射によって状態変化を生じる記録層を少なくとも1層以上形成した基板を用い、少なくとも1つ以上のレーザ光源を搭載し、基板を移動させる手段と、目的の記録層にレーザビームを集光させる手段と、記録層面に自動焦点(AF)を実行する手段と、凹凸の溝に沿って記録用のレーザビームをトラッキングする手段と、レーザ光源から出射されたレーザビームを変調する手段とを少なくとも具備し、基板に記録層などを形成する前の凹凸溝のトラックピッチをTp、溝幅をD、そして最後にエッチング処理を行った後の基板における凹凸溝のトラックピッチをtp、溝幅をdと仮定した時に、Tp/2<D<Tpの基板を用いた場合には、(Tp−D)の幅と(tp−d)の幅が実質的に同じ幅となるようにレーザビームを制御しながら記録を行うことを特徴とする狭トラックピッチ基板の製造装置。
  49. 前記記録用のレーザビームを凹凸溝の凹部の中央部に照射しながら記録を行うことを特徴とする請求項48に記載の狭トラックピッチ基板の製造装置。
  50. 狭トラックピッチ基板の製造装置であって、表面に凹凸溝を有する基板上にレーザビームの照射によって状態変化を生じる記録層を少なくとも1層以上形成した基板を用い、少なくとも1つ以上のレーザ光源を搭載し、基板を移動させる手段と、目的の記録層にレーザビームを集光させる手段と、記録層面に自動焦点(AF)を実行する手段と、凹凸の溝に沿って記録用のレーザビームをトラッキングする手段と、レーザ光源から出射されたレーザビームを変調する手段とを少なくとも具備し、基板に記録層などを形成する前の凹凸溝のトラックピッチをTp、溝幅をD、そして最後にエッチング処理を行った後の基板における凹凸溝のトラックピッチをtp、溝幅をdと仮定した時に、0<D<Tp/2の基板を用いた場合には、Dの幅とdの幅が実質的に同じ幅となるようにレーザビームを制御しながら記録を行うことを特徴とする狭トラックピッチ基板の製造装置。
  51. 前記記録用のレーザビームを凹凸溝の凸部の中央部に照射しながら記録を行うことを特徴とする請求項50に記載の狭トラックピッチ基板の製造装置
  52. 前記レーザ光源を複数搭載している場合には、少なくともその内の一つのレーザ光源が半導体レーザであることを特徴とする請求項48または50に記載の狭トラックピッチ基板の製造装置。
  53. 前記半導体レーザの波長が630nm以上670nm以下であることを特徴とする請求項52に記載の狭トラックピッチ基板の製造装置。
  54. 前記半導体レーザの波長が395nm以上415nm以下であることを特徴とする請求項52に記載の狭トラックピッチ基板の製造装置。
  55. 狭トラックピッチ基板の製造装置であって、レーザビームの照射によって状態変化を生じる記録層を少なくとも1層以上形成した平坦な基板を用い、少なくとも1つ以上のレーザ光源を搭載し、基板を移動させる手段と、目的の記録層にレーザビームを集光させる手段と、記録層面に自動焦点(AF)を実行する手段と、光学的な変化の差を検出してレーザビームをトラッキングする手段と、レーザ光源から出射されたレーザビームを変調する手段とを少なくとも具備し、照射ピッチTpでレーザビームを照射しながら第1の記録を行い、その後、第1のレーザビームの照射間の領域に第1と同じ照射ピッチTpで第2の記録用のビームスポットを照射し、第1の記録により状態変化した部分の幅と同じ幅になるように第2の記録用のレーザビームを制御しながら記録を行うことを特徴とする狭トラックピッチ基板の製造装置。
  56. 前記第2の記録用のビームスポットを第1の記録用のビームスポット照射間の中央部に照射しながら記録を行うことを特徴とする請求項55に記載の狭トラックピッチ基板の製造装置。
  57. 前記レーザ光源を複数搭載している場合には、少なくともその内の一つのレーザ光源が半導体レーザであることを特徴とする請求項55に記載の狭トラックピッチ基板の製造装置。
  58. 前記半導体レーザの波長が395nm以上415nm以下であることを特徴とする請求項57に記載の狭トラックピッチ基板の製造装置。
  59. 表面に凹凸溝を有する基板を用い、該基板上にレーザビームの照射によって状態変化を生じる記録層を少なくとも1層以上設け、該記録層にレーザビームを照射して目的のパターン(溝やピット列など)に応じた状態変化を生じさせて記録を行い、その後、該記録層を現像して該記録層をパターン化し、更に該パターンをマスクにしてエッチング処理を実施することにより得られる狭トラックピッチ基板において、基板に記録層などを形成する前の凹凸溝のトラックピッチをTp、溝幅をD、そして最後にエッチング処理を行った後の基板における凹凸溝のトラックピッチをtp、溝幅をdと仮定した時に、Tp/2<D<Tpの基板を用いた場合には、
    tp=Tp/2
    d=D−Tp/2
    が成り立つことを特徴とする狭トラックピッチ基板。
  60. 前記エッチング処理を行った後の基板において、最終的に形成した凹凸溝の凸部の高さが隣同士で異なることを特徴とする請求項59に記載の狭トラックピッチ基板。
  61. 前記エッチング処理を行った後の基板において、少なくとも一部の凸部に揺動(ウォブル)やピット列などで情報が組み込まれていることを特徴とする請求項59に記載の狭トラックピッチ基板。
  62. 表面に凹凸溝を有する基板を用い、該基板上にレーザビームの照射によって状態変化を生じる記録層を少なくとも1層以上設け、該記録層にレーザビームを照射して目的のパターン(溝やピット列など)に応じた状態変化を生じさせて記録を行い、その後、該記録層を現像して該記録層をパターン化し、更に該パターンをマスクにしてエッチング処理を実施することにより得られる狭トラックピッチ基板において、基板に記録層などを形成する前の凹凸溝のトラックピッチをTp、溝幅をD、そして最後にエッチング処理を行った後の基板における凹凸溝のトラックピッチをtp、溝幅をdと仮定した時に、0<D<Tp/2の基板を用いた場合には、
    tp=Tp/2
    d=D
    が成り立つことを特徴とする狭トラックピッチ基板。
  63. 前記エッチング処理を行った後の基板において、最終的に形成した凹凸溝の凹部の深さが隣同士で異なることを特徴とする請求項62に記載の狭トラックピッチ基板。
  64. 前記エッチング処理を行った後の基板において、少なくとも一部の凹部に揺動(ウォブル)やピット列などで情報が組み込まれていることを特徴とする請求項62に記載の狭トラックピッチ基板。
  65. 表面が平らな基板を用い、該基板上にレーザビームの照射によって状態変化を生じる記録層を少なくとも1層以上設け、該記録層にレーザビームを照射しながら記録層上に自動焦点(AF)動作を実施し、レーザビームの照射により目的のパターン(溝やピット列など)に応じた状態変化を生じさせる第1の記録を行い、その後、第1の記録を行った部分の間の領域に第1の記録と同じ照射ピッチで第2の記録を行い、該記録層を現像して該記録層をパターン化し、更に該パターンをマスクにしてエッチング処理を実施することにより得られる狭トラックピッチ基板において、第1の記録の照射ピッチをTp、照射により状態変化した部分の幅をD、そして最後にエッチング処理を行った後の基板における凹凸溝のトラックピッチをtp、溝幅をdと仮定した時に、
    tp=Tp/2
    d=D−Tp/2
    が成り立つことを特徴とする狭トラックピッチ基板。
  66. 前記エッチング処理を行った後の基板において、少なくとも一部の凸部に揺動(ウォブル)やピット列などで情報が組み込まれていることを特徴とする請求項65に記載の狭トラックピッチ基板。

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