JP4134110B2 - 光記録媒体 - Google Patents

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Description

本発明は、光記録媒体に関し、特に、超解像現象を利用して、光の回折限界よりも微小なピットを記録再生の対象とする光記録媒体に関する。
近年、微小物質の周囲に局在する近接場光を利用することで、光の回折限界以下の情報を再生する超解像現象を利用した光記録媒体が提案されている。
例えば、非特許文献1では、ポリカーボネート基板、ZnS−SiO2層、AgOx層(読み出し層)、ZnS−SiO2層、Ge2Sb2Te5層(記録層)、ZnS−SiO2層を順次積層した構造を有する光記録媒体が提案されている。
この光記録媒体は、レーザ光を照射されると読み取り層であるAgOx層において熱的な効果によりAg微粒子を析出するので、この析出したAg微粒子の周囲に発生する近接場光を利用して、回折限界以下の記録マークを再生するのである。この技術では、波長635nm、開口数NA=0.60の光学系を用い、マーク長200nmのマーク列の読み出しに成功している。
また、このような超解像現象に関する技術として、光強度の空間分布に依存して光学特性が変化する超解像材料が提案されている。例えば、遷移金属酸化物材料、相変化材料、半導体材料、非線形光学材料などである。
また、超解像現象対応の光記録媒体に関し、記録再生の繰り返しによる劣化を防ぐ技術や光スポットを微小化する技術としては、次のものが知られている。
特許文献1では、基板31の上面に超解像膜33と記録膜36を有する光情報記録媒体において、超解像膜33の一方の面に高熱伝導性薄膜32を設けた光情報記録媒体が開示されている(図9参照)。このように構成することで、超解像膜33に発生した熱が効率よく放散されるので、熱による劣化を防ぎ、高い記録密度を持ち、しかも情報の書込/読出の繰り返しにも劣化せず、優れた応答性を長期間に渡って保つことが可能となる。
また、特許文献2では、与えられた波長及び対物レンズの開口数を有する記録・再生用光学系を利用すると共に、媒体の材料特性を利用して回折限界以下の大きさを有する微小集束光を形成し、情報の記録及び再生に要求されるレーザーパワーの範囲内でその大きさを維持して高密度記録及び再生を行う光情報記録媒体が開示されている。
ここで開示される光情報記録媒体は、図10に示すように、レンズを通過して集束された光が照射される入射層35と、照射された集束光のスポットの大きさを調節する第1超解像層37と、照射された集束光のスポットの大きさを調節する第2超解像層36と、光情報を記録する記録層38と、が積層された構造を持つ。
また、特許文献3では、無機酸化物膜を用いた超解像媒体において、無機酸化物膜の複素屈折率変化によって記録密度向上を可能とした光ディスク媒体が開示されている。ここで開示される光ディスク媒体は、図11に示すように、基板39と、保護膜40と、無機超解像膜41と、熱保持膜42と、反射膜43と、が順に積層された多層膜構造を有し、無機酸化物膜41がCoを含む酸化物の場合、反射付加層44をさらに有する。
また、特許文献4では、図12に示すように、ピット46が形成された基板と、誘電体材料と金属粒子との混合物よりなって超解像近接場構造を有する1つ以上のマスク層45と、を含む高密度再生専用光ディスクが開示されている。マスク層の金属微粒子近傍に発生する表面プラズモンをともなった近接場光を利用することで、レーザーダイオードの短波長化や対物レンズの開口率を高めずに、光ディスクの大容量化及び高密度化を可能としている。
特開2001−084645号公報 特開2003−045084号公報 特開2001−084643号公報 特開2004−119007号公報 Jpn.J.Appl.Phys.Vol.39(2000)pp.980−981.
しかし、上記の技術は、次の問題点を有している。
非特許文献1で述べた金属酸化物材料をはじめ、遷移金属酸化物材料、相変化材料、半導体材料、非線形光学材料などの多数の超解像材料が提案されているが、光記録媒体の再生技術に関し、実用レベルに達する信号とノイズのコントラスト(CN比:キャリア・ノイズ比)が得られる状態に達していない。
特許文献1では、熱分布の制御のために高熱伝導材料による薄膜を超解像膜近傍に配置する構成が開示されているが、これは光記録媒体の耐久性の向上を目的としたものであり、CN比の向上を実現するものではない。また、特許文献2では、2層の超解像膜構成により光スポットを微小化するが、これでもCN比の低減は否めない。
特許文献3は、超解像現象により光記録媒体からの反射率が増加するように多層膜構成を選択するものであるが、信号として検出される反射率変化の大きさは超解像膜とレーザ光との相互作用に起因するので、熱的な超解像膜材料の変性効果は大きいとは言えず、CN比の向上を実現するものではない。
特許文献4は、超解像膜に金属微粒子を混入することにより、金属微粒子の局在表面プラズモンによる増強効果を利用してCN比の向上を実現しているが、プラズモンによる増強は共鳴波長において観測されるので、現在使用されている青色レーザの波長(405nm)においては増強効果が必ずしも期待できない。また、金属微粒子のランダムな分散状態は安定した信号強度を保証しない。
さらに、上記の特許文献、非特許文献の技術では、超解像層に形成される回折限界以下の光スポットの大きさが一様な薄膜である超解像層に誘起される熱分布に依存するため、光スポットの微小化による記録密度の向上には限界があるという問題もある。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、発熱効果と超解像効果を、異なる薄膜に担わせることにより、効率良く光エネルギーを熱エネルギーに変換し、高いCN比を実現する光記録媒体を提供することを目的とする。
請求項1記載の発明は、光の回折限界以下のサイズを持ち、光を吸収し発熱する微小構造体と、光照射による発熱により可逆的に光学特性が変化する超解像層と、光照射による発熱により情報が記録される記録層とを支持基板上に順次積層した構造を有することを特徴とする光記録媒体である。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の光記録媒体において、前記支持基板と前記吸収層の間に、熱分布の広がりを抑制する熱伝導抑制層を有することを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1または2に記載の光記録媒体において、前記記録層上に、前記光記録媒体の光反射率および光吸収率を調整する反射調整層を有することを特徴とする。
請求項記載の発明は、請求項1からのいずれか1項に記載の光記録媒体において、前記超解像層は、金属材料、遷移金属材料、半導体材料のうち、少なくとも一つを含有して構成されることを特徴とする。
請求項記載の発明は、請求項記載の光記録媒体において、前記超解像層は、遷移金属酸化物あるいはシリコン酸化物をさらに含有することを特徴とする。
請求項記載の発明は、請求項1から5のいずれか1項に記載の光記録媒体において、前記微小構造体は、光記録媒体の記録トラック方向に沿った連続的なストライプ形状を有し、前記微小構造体の前記記録トラック方向と直交する方向の幅は、照射されるレーザ光の回折限界以下であることを特徴とする。
請求項記載の発明は、請求項1から5のいずれか1項に記載の光記録媒体において、前記微小構造体は、光記録媒体の記録トラック方向に沿って所定の形状で離散的に配置されており、前記微小構造体の前記記録トラックに対して水平な方向及び垂直な方向の幅は、照射されるレーザ光の回折限界以下であることを特徴とする。
請求項記載の発明は、請求項記載の光記録媒体において、前記所定の形状は、円筒形状であることを特徴とする。
吸収層による発熱を介して超解像層の熱的変性を誘起するので、光の回折限界よりも高い分解能で情報の記録・再生を行うことが可能となる。また、発熱機能を吸収層に、光学特性を変化させる機能を超解像層に担わせることで高い光利用効率で情報の記録・再生が可能となり、高いCN比で情報の記録再生を行うことができる。
<第1の実施形態>
図面を参照して、本発明の第1の実施形態を説明する。図1は、本実施形態の光記録媒体10の断面図である。光記録媒体10は、図1(a)に示すように、支持基板11上に、吸収層14と、超解像層13と、記録層12とが、順次積層された多層膜構造を有する。
なお、光記録媒体10は、図1(b)に示すように、支持基板11と吸収層14との間に、熱分布の広がりを抑制する熱伝導抑制層15を設けた構成であってもよい。
支持基板11は、光記録媒体10の基礎基板となるものである。支持基板11の材料としては、一般的な光記録媒体(光ディスク)の基板材料と同様に、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリオレフィン、ビニルエステル、PET、紫外線硬化樹脂などの樹脂基板を用いることができる。また、ガラスやシリコン、SOI(シリコンオンインシュレータ)などの半導体製造に用いられる基板や、Al、不透明ガラス基板などのハードディスク用の基板を用いることもできる。
記録層12は、「ピット」と「ランド」と呼ばれる凹凸を形成することでデータを記録する層である。記録層12の材料としては、光照射に起因する発熱、(光吸収による発熱)によって情報が記録できる材料を用いる。例えば、多元系材料である相変化材料や、低融点金属材料を含む金属化合物材料などである。なお、相変化材料としては、SbTe、GeSbTe、InSbTe、BiSbTe、GaSbTe、AgInSbTeなどが挙げられる。また、低融点金属材料を含む金属化合物材料としては、BiTe、BiIn、GaSb、GaP、InP、InSb、InTe、SnSbなどが挙げられる。
なお、本実施形態の光記録媒体10においては、記録層12としてZnS−SiO2を用いている。
超解像層13は、照射された光を光の回折限界以下の微小スポットに集中させる超解像現象を実現するための層である。超解像層13を形成する超解像材料は数多く知られているが、本実施形態では吸収層14による加熱の効果を利用するため、熱的に結晶状態とアモルファス状態の相変化を生じる金属材料、遷移金属材料および半導体材料の少なくとも1つを含有した相変化材料を用いる。
このような相変化材料としては、SbとTeを含有するものを用いることができる。また、Ag、In、Ge、Gaなどの元素あるいはSbとTeを含有し、さらにこれらの中の1種以上を含んだ多元系材料であっても良い。
本実施形態では、超解像層13としてAgInSbTeの多元系材料を用い、その膜厚は20nmとした。なお、膜厚は、光記録媒体10の再生時に反射率が十分に取れる膜厚であれば良い。
吸収層14は、照射されるレーザ光を吸収することで発熱する層である。それゆえ、吸収層14としては、使用するレーザ光の波長において効率良く光を吸収して発熱するものが最適である。
現在の光記録媒体に使用されているレーザ光で短波長のものは、Blu−Rayディスクに使用されている波長400〜410nmの青色レーザであるので、この波長光に対し吸収率(吸収係数)の大きな材料を選択する必要がある。
この条件としては、光強度が材料中で1/eまで減衰する厚さ、すなわち表皮厚さが基準となる。表皮厚さdは、吸収層14の屈折率nと消衰係数kとの間に『d=λ/2πnk』なる関係をもつ。
したがって、材料が安定な薄膜として存在し、且つ吸収が十分に大きくなるように、『nk>5』の条件を満たす材料を選択する。このとき、吸収層14の膜厚を表皮厚さdよりも厚く設定すると、吸収が十分に生じ、光エネルギーから熱エネルギーへの効率良く変換させることができる。なお、波長405nmのレーザ光を使用する場合、表皮厚さは約13nmとなるが、これは薄膜として十分に安定な厚さである。これで材料の比熱が低ければ、低エネルギーで容易に材料を加熱することができるため有利である。
このような条件を満たす材料としては、半導体材料であるGeまたはSiGe、金属材料と半金属材料の合金であるAlSbまたはGaSb、遷移金属材料であるV、Ru、Rhなどが挙げられる。
例えば、Geは、波長405nmの光に対して、屈折率nが4.14、消衰係数kが2.20であり(nk≒9.11)、高屈折率で且つ比較的高い吸収率(消衰係数)を持つ。また、比熱が0.073cal/g℃であるので、低いエネルギーで温度を上昇させることができる。吸収層14としてGeを、レーザとして波長405nmのレーザを用いた場合、光強度が1/eまで低下する表皮厚さが13nm程度であることから、膜厚は13nm以上であれば良い。なお、発熱に寄与しない透過光成分が少ないほど良いので、好ましくは、透過光強度がほぼゼロとなる50nm程度の膜厚が良い。
熱伝導抑制層15は、熱を吸収層14と熱伝導抑制層15の界面にこもらせる役割、熱による支持基板11の劣化や変形を防ぐ役割を果たす。この熱伝導抑制層15としては、熱の拡散を防止することのできる材料を用いる。例えば、SiO2、SiON、SiNなどのシリコン化合物などである。
なお、熱の拡散を防止する材料として、硫化物材料、セレン化物材料、フッ素化合物材料、窒素化合物材料、金属材料、半導体材料の中から選ばれる少なくとも一つの材料と、上述のシリコン化合物との複合化合物材料を用いることもできる。ここで、硫化物材料とは、ZnS、CaS、BaSなどであり、セレン化物材料とは、ZnSe、BaSeなどである。フッ素化合物材料とはCaF2、BaF2などであり、窒素化合物材料としてはAlN,GaN,SiNなどである。また、金属材料とはAg、Al、Auなどであり、半導体材料としてはSi、Geなどである。
熱伝導抑制層15の膜厚は、5〜100nmの範囲で決定される。本実施形態の光記録媒体10では、熱伝導抑制層15として、ZnS−SiO2複合材料を用い、その膜厚を50nmとしている。
次に、本実施形態の光記録媒体10の情報の記録・再生の原理について説明する。
光記録媒体10への情報の記録は、図1に示すように支持基板11と反対の面からレーザ光を照射し、記録層12に「ピット」「ランド」を形成することでなされる。レーザ光は照射するレーザ光としては、波長が370nm〜780nmの範囲のものを、好ましくは400〜410nmの範囲のものを使用する。光学系の対物レンズは、開口数NAが0.5〜2の範囲のものを、より高密度の記録再生を実現するために、好ましくは開口数NAは0.8〜0.9の範囲のものを用いる。なお、記録マークのサイズはレーザ光の強度を調整することにより光の回折限界以下に微小化することができる。
次に、超解像現象を用いた信号の再生原理について、図2を参照して説明する。
NAの高いレンズ20で集光され光記録媒体10に照射されたレーザ光は、超解像層13近傍にレーザ光の波長程度の大きさを持つ光スポットを形成する。また、この光スポットを形成するレーザ光は、吸収層14によりその一部分が熱エネルギーに変換され、残りの部分は吸収層14と超解像層13との界面で反射し反射光として折り返される。
吸収層14により発生した熱エネルギーは、隣接する超解像層13を加熱し、超解像層13の材料に依存した熱の閾値を超える部分で光の回折限界以下の局所的かつ可逆的な変性を生じさせる。以下、この変性を「超解像スポット22」と表記する。
超解像スポット22の近傍には、変性部分のサイズに依存した「近接場光」と呼ばれる非伝搬の電磁場が発生する。この近接場光の領域内にピット21が存在すると、散乱光として遠方に電磁場が放出されこの散乱光が再生信号として検出される。
なお、ここで再生光照射により情報を消失させないためには、記録層12の材料が超解像層13の材料よりも高い強度の光によってのみピット21を形成する(不可逆的な変性を起こす)材料である必要がある。
上記のように構成することにより、吸収層14による発熱を介して超解像層13の熱的変性を誘起するので、光の回折限界よりも高い分解能で情報の記録・再生を行うことが可能となる。また、発熱機能を吸収層14に、光学特性を変化させる機能を超解像層13に担わせることで高い光利用効率で情報の記録・再生が可能となり、高いCN比で情報の記録再生を行うことができる。
<第2の実施形態>
図面を参照して、本発明の第2の実施形態を説明する。本実施形態の光記録媒体10は、上述した第1の実施形態の光記録媒体において、超解像層13を構成する材料が異なるものとなっている。なので、その構成については、説明を省略する。
本実施形態では、超解像層13として、金属酸化物ないしは遷移金属酸化物とシリコン酸化物を含有し光強度に依存して非線形に光学特性が変化する複合ガラス材料を用いる。この複合ガラス材料は、熱により光学特性が変化することに加え、光吸収率が低いという特性を有する。この複合ガラス材料としては、V25、Cr23、Mn34、Fe23、Co34、CuO、ZnOなどの金属酸化物と、シリコン酸化物SiO2との混合酸化物材料などが挙げられる。
本実施形態の光記録媒体10では、超解像層13を構成する複合ガラス材料として、酸化コバルトと酸化シリコンとを原子比9:1で混合した混合物Co34−SiO2を用いる。なお、この複合ガラス材料を70nm堆積した光記録媒体10でも、超解像記録再生を実現できた。
複合ガラス材料は光の吸収率が低いので、超解像層13として用いればその膜厚を50〜100nmの厚さにすることができる。膜厚が厚くなれば熱的な変形に対する耐久性が向上するので、本実施形態により、CN比が高く且つ熱に対する耐久性を有する光記録媒体を実現することが可能となる。
<第3の実施形態>
図面を参照して、本発明の第3の実施形態を説明する。
図3は、本実施形態の光記録媒体10の断面図である。本実施形態の光記録媒体10は、図3に示すように、第1の実施形態の光記録媒体10において、記録層12の上に透過性を有する反射調整層16が積層された構成となっている。
反射調整層16は、入射された光のエネルギーを効率的に利用するために設けられた層であり、光記録媒体10からの反射光量と媒体内部における光の吸収量すなわち発熱量を調整する。具体的には、反射調整層16により光を多重反射させ光記録媒体内部に閉じ込め、これにより光エネルギーと熱エネルギーの変換を効率良く実現する。
また、光記録媒体10の記録再生を行う際にはトラッキングを行う必要があるが、このトラッキングに必要とされる10%以上の反射光量の確保や、記録層12の熱的ならびに機械的劣化を防止する保護層としての役割も果たす。
反射調整層16を構成する材料としては、光の吸収率の小さい材料を用いる。例えば、SiN、SiO2、SiON、SiCなどのシリコン化合物や、硫化物材料(ZnS,CaS,BaS等)、セレン化物材料(ZnSe,BaSe等)、フッ化化合物材料(CaF2,BaF2等)、窒素化合物材料(AlN,GaN,SiN等)、の少なくとも1つの材料とシリコン酸化物との複合化合物などである。
なお、本実施形態では、反射調整層16として、熱伝導抑制層15の材料と同じZnS−SiO2複合材料を用いている。このZnS-SiO2は、高強度の光照射に対して熱的に不可逆な光学特性の変化を生じるため、この材料で構成した層は、記録層12としても使用することができる。
次に、反射調整層16の最適膜厚について、図4、図5を参照して説明する。
図4(a)は、反射調整層16の膜厚を変化させた場合の反射率の変化を、図4(b)は、反射調整層16の膜厚を変化させた場合の吸収率の変化を、数値シミュレーションとしてグラフ化したものである。なお、この数値シミュレーションは、OPTO Inc.社製の多層膜評価ソフト『OPTAS−FILM』を用いて算出している。
この数値シミュレーションでは、反射調整層16かつ記録層11としてZnS−SiO2(n=2.33,k=0.001)を用い、反射調整層16の膜厚に対する反射率と吸収率の変化をプロットしている。
なお、本数値シミュレーションに用いた他層の構成材料及びその光学定数は次のとおりである。
支持基板11:ポリカーボネート、膜厚無限大、n=1.58,k=0、
超解像層13:AgInSbTe、膜厚20nm、n=1.72,k=2.91
吸収層14:Ge、膜厚50nm、n=4.14,k=2.20
熱伝導抑制層15:ZnS-SiO2、膜厚50nm、n=2.33,k=0.001
図4(a)に示すように、反射率は反射調整層16の膜厚に応じて0.1〜0.65(10〜65%)の間で変化している。光の反射率が0.2(20%)程度となる膜厚は約20nm、35nm、110nmであり、その際の光の吸収率は、図4(b)から0.8(80%)に達していることがわかる。
反射調整層16の膜厚が最適化されていない場合には、光の吸収率が最大で50%程度低下してしまうので、光エネルギーから熱エネルギーへの変換効率が低くなり、超解像層13での熱による光学特性の変化が効率的に行われない。したがって、反射調整層16の膜厚を最適化することはCN比の大幅な改善につながることになる。
図5は、図4と同様の数値シミュレーションを、超解像層13としてCo34−SiO2(膜厚70nm、n=1.97,k=0.17)を用いた光記録媒体10について行った結果である。図5(a)に示すように、反射率が反射調整層16の膜厚に応じて0〜0.4程度の間で変化している。光の反射率が0.2程度となる膜厚は約50nm、90nmであり、その際の光の吸収率はAgInSbTeを用いた場合と同様に0.8(80%)に達していることがわかる。反射調整層の膜厚が最適化されていない場合には吸収率が20%程度低下してしまい、光エネルギーと熱エネルギーの変換効率が低いのもAgInSbTeを用いた場合と同様である。
上述のように反射調整層16を設けることにより、入射光の利用効率ならびに吸収層における発熱効率を高めることができ、高いCN比を持つ光記録媒体10を実現することが可能となる。また、光記録媒体10を熱的、機械的劣化から保護することが可能となる。
<第4の実施形態>
図6を参照して、本発明の第4の実施形態を説明する。本実施形態の光記録媒体10は、図6に示すように、第1の実施形態の光記録媒体10において吸収層14の代わりに微小構造体17を設けた構成となっている。すなわち、支持基板11上に、熱伝導抑制層15、微小構造体17、超解像層13、記録層12が順に積層された構造となっている。なお、支持基板11、記録層12、超解像層13、熱伝導抑制層15、反射調整層16を構成する材料は、前述の実施形態と同様の材料を用いる。
微小構造体17は、光の回折限界以下の有限サイズで構成される。また、微小構造体17の高さ(膜厚)は、光の吸収ならびに発熱を効率良く行うことために表皮厚さ以上の厚さで構成される。
本実施形態の光記録媒体10は、微小構造体17が光の回折限界以下の有限サイズを有していることから、レーザ光照射による発熱部分が微小構造体41のサイズとなる。そのため、上層の超解像層13の変性をより局所的に発生させることができ、光の回折限界以下の分解能で情報の再生が可能となる。
この微小構造体17を構成する材料としては、使用するレーザ光の波長400〜410nm近傍において吸収率、屈折率が高く、また比熱の低いものを用いる。例えば、上述の実施形態の吸収層14の材料として用いた、半導体材料であるGe、半導体材料の合金であるSiGe、金属材料と半金属材料の合金であるAlSb、GaSb、遷移金属材料であるV、Ru、Rhなどのような材料である。
微小構造体17の形状(配置パタン)について、図7を参照して説明する。図7では、微小構造体17は、光記録媒体10の記録トラックに沿った連続的なストライプ形状を有する。なお、ストライプ幅はレーザ光の回折限界(λ/2)以下である。例えば、波長405nmの青色レーザを用いる場合には、その回折限界(〜λ/2≒203)である200nm以下のサイズとなる。なお、現存の光記録媒体よりも高密度化を図るためにストライプ幅は100nm以下であることが好ましい。
この微小構造体17は、光照射による材料の変性にともなうエッチングレートの違いを利用した加工法により作製することができる。また、モールドと呼ばれる型を押し当てて作製するナノインプリント法や、自己組織化により微細構造を形成する方法などを用いても作製することができる。
上述のように、光記録媒体10にストライプ状の微小構造体17を形成することにより、記録トラックに垂直な方向への熱分布の広がりを抑制することができる。また、超解像層13に局所的な光学特性変化を生じさせることができるので、トラックピッチを光の回折限界以下に狭くすることができ、より高密度で記録再生できる光記録媒体を実現することが可能となる。
<他の実施形態>
なお、微小構造体17の形状は、ストライプ状に限らず、例えば円筒形状であっても良い。図8に、円筒形状の微小構造体17が記録トラックに沿って離散的に配置された光記録媒体10を示す。なお、そのサイズは200nmとなっている。このように構成すれば、記録トラックの垂直方向と水平方向において、熱分布の広がりを抑制できるので、トラックピッチとピットピッチの両方を光の回折限界以下とすることができ、より高密度の記録再生を実現できる光記録媒体を提供することができる。
なお、微小構造体17の形状は上記のものに限定されるものではなく、熱を局所的に発生させるものであれば、例えば半球形状や、楕円形状であってもよい。
<付記事項>
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施形態の一例を示すものにすぎず、本発明の実施の形態を限定する趣旨のものではない。よって、本発明は上述の実施形態に限定されることはなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形実施を行うことが可能である。
第1の実施形態の光記録媒体の断面図である。 超解像現象による情報の再生を説明するための図である。 第3の実施形態の光記録媒体の断面図である。 反射調整層の膜厚を変化させた場合の反射率の変化及び吸収率の変化の数値シミュレーションを示すグラフである。 反射調整層の膜厚を変化させた場合の反射率の変化及び吸収率の変化の数値シミュレーションを示すグラフである。 第4の実施形態の光記録媒体の断面図である。 微小構造体の形状を説明するための図である。 微小構造体の形状を説明するための図である。 特許文献1記載の光情報記録媒体の断面図である。 特許文献2記載の光情報記録媒体の断面図である。 特許文献3記載の光ディスク記録媒体の断面図である。 特許文献4記載の光ディスクの断面図である。
符号の説明
10 光記録媒体
11 支持基板
12 記録層
13 超解像層
14 吸収層
15 熱伝導抑制層
16 反射調整層
17 微小構造体
22 解像スポット

Claims (8)

  1. 光の回折限界以下のサイズを持ち、光を吸収し発熱する微小構造体と、
    光照射による発熱により可逆的に光学特性が変化する超解像層と、
    光照射による発熱により情報が記録される記録層と、を支持基板上に順次積層した構造を有することを特徴とする光記録媒体。
  2. 前記支持基板と前記吸収層の間に、熱分布の広がりを抑制する熱伝導抑制層を有することを特徴とする請求項1記載の光記録媒体。
  3. 前記記録層上に、前記光記録媒体の光反射率および光吸収率を調整する反射調整層を有することを特徴とする請求項1または2に記載の光記録媒体。
  4. 前記超解像層は、金属材料、遷移金属材料、半導体材料のうち、少なくとも一つを含有して構成されることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の光記録媒体。
  5. 前記超解像層は、遷移金属酸化物あるいはシリコン酸化物をさらに含有することを特徴とする請求項記載の光記録媒体。
  6. 前記微小構造体は、光記録媒体の記録トラック方向に沿った連続的なストライプ形状を有し、
    前記微小構造体の前記記録トラック方向と直交する方向の幅は、照射されるレーザ光の回折限界以下であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の光記録媒体。
  7. 前記微小構造体は、光記録媒体の記録トラック方向に沿って所定の形状で離散的に配置されており、
    前記微小構造体の前記記録トラックに対して水平な方向及び垂直な方向の幅は、照射されるレーザ光の回折限界以下であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の光記録媒体。
  8. 前記所定の形状は、円筒形状であることを特徴とする請求項記載の光記録媒体。
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