JP2009070503A - 光記録媒体、光記録媒体製造原盤、及び光記録媒体製造原盤の製造方法 - Google Patents

光記録媒体、光記録媒体製造原盤、及び光記録媒体製造原盤の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ROMディスクの超解像再生において、信号強度を上げた光記録媒体、光記録媒体製造原盤、及び光記録媒体製造原盤の製造方法を提供する。
【解決手段】支持基板表面における記録マーク部分の表面平均粗さを、記録マーク以外の部分のRMS値よりも大きくすることで、記録マーク上の相変化材料層の結晶ドメインをスペース部分上の結晶ドメインよりも小さくしている。その結果、超解像再生の際には、アモルファス状態に近い小さな結晶ドメインと溶融状態間とでの大きな反射光レベルの変化が記録マーク部分で起こる。このような媒体構成とすることによって、ROMディスクの超解像再生において、信号強度を上げることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、光によって情報を記録再生する光記録媒体に関し、光の解像限界にあたる高密度記録情報を再生する光記録媒体、光記録媒体製造原盤、及び、再生専用光ディスク(以下、ROMディスクと記載)の媒体構成および媒体製造のための光記録媒体製造原盤の製造方法に関する。
ここで、解像限界は、光の波長をλとし、対物レンズの開口数をNAとするとλ/2NAで表される記録トラック方向における記録マークもしくは、ピットの周期を示す。
従来の技術記録マークもしくはピット周期を縮小し、光の解像限界の記録マークを再生する技術として、メディア超解像技術が提案されている。これは媒体に超解像材料層を設けて、微小ピットもしくは記録マークを再生する技術である。
超解像材料層には、相変化材料が用いられることが多い。 特許文献1には、位相ピットによる記録マーク上に相変化材料層を積層し、再生ビームスポット内一部の相変化材料層を液相化させ、解像限界にあたる位相ピットによる記録マークを再生する方法が開示されている。
特許文献2には、Ge-Te合金からなるマスク層を設け、マスク層に光透過率が増加した再生用窓を形成し、記録マークを再生する方法が開示されている。
特許文献3には、Ge, Sb, Teの3元素を主成分とした光シャッタ層を設け、再生ビームスポット内一部の光シャッタ層を溶融状態として記録マークを再生する方法が開示されている。
特許文献4には、Sbからなるマスク層を設けて、マスク層側から再生ビームを照射してマスク層に光学的開口を形成して記録マークを再生する方法が開示されている。
特許文献5には、相変化材料からなる超解像材料をピット形状に加工したディスク形状とすることで信号品質を向上させる方法が開示されている。
特許文献6には超解像材料層に光学的開口を形成する方法を用いずに、解像限界以下の周期の記録マークを記録再生する技術が開示されている。超解像材料の溶融に伴う媒体の変形によって、解像限界以下の周期の記録マークを再生することができる。
特許第3361079号公報 特許第3602589号公報 特開平8−306073号公報 特開2000−229479号公報 特開2006−107588号公報 特開2006−260747号公報
従来技術の課題は以下の通りである。解像限界の記録マークもしくはピットを再生する技術として、メディア超解像技術が開示されている。
図7(a)〜(d)には従来の光記録媒体の構成を示す。図7(a)は支持基板の記録トラックに対して平行方向の断面形状を示す。図7(b)は支持基板形状の上方視、図7(c)は 記録トラックに対して平行方向の光記録媒体の断面形状を示す。 図7(d)は光記録媒体上方視であり、超解像再生状態を説明する。
図7(a)において、101は支持基板、102はピットによる記録マーク、104はピットの深さをそれぞれ示す。ピットの深さdは、レーザビームの波長をλ及びピットによる記録マークを埋め込む材料の屈折率をnとした場合、λ/4nとなるように設定されている。この場合、ピットによる記録マークの底面からの反射光とピットの周囲からの反射光との間で位相がπだけずれるため、それら反射光は互いに打ち消しあう。その結果、レーザビームがピットに照射された場合に比べ、光検出器で検出される反射率が低下する。ROMディスクからの情報の読み出しは、このような原理を利用している。
図7(b)において、101は支持基板、102はピットによる記録マーク、103はトラックピッチをそれぞれ示す。 図7(c)は光記録媒体の断面形状を示す。各層はピットによる凹凸にならった状態で積層されている。 101は支持基板、105は超解像材料層、106は保護層をそれぞれ示す。
図7(d)は光記録媒体上方視であり、超解像再生状態を説明する。
105は超解像材料層、107はレーザビームスポット、108はレーザ加熱による超解像材料層の熱変化で形成される光学的開口を示す。 図7(d)に示すように、従来の超解像再生方法では、ビームスポット径内一部の超解像材料層に光学的開口を形成し、微小マークを再生している。 よって、ビームスポット径内で光学的開口以外の部分は、超解像材料層で遮光された状態になっている。
光源107から見てピットによる記録マーク102は超解像材料層105の奥側に位置する。ビームスポットが超解像材料層で遮光された状態になり、ピットによる記録マーク102に到達する光量が減少し、信号強度は低下する。記録密度が上がりピットによる記録マーク102が小さくなると、それに応じて光学的開口107も小さくしなければならない。その結果、ビームスポット径のかなりの部分が超解像材料で遮光されることになる。
超解像材料層でビームスポットが遮光されることによって、解像限界以下の小さなピットによる記録マークのみならず、長い記録マークの信号強度も低下し、信号品質は劣化する。
また、相変化材料をピット形状に加工しピット部分の相変化材料の溶融変化を信号として検出する方法もあるが、エッチング処理など媒体製造方法が複雑になり、媒体のコストが増加する。
発明の目的は以下の通りである。
本発明の主な目的は、ROMディスクの超解像再生において、信号強度を上げた光記録媒体、光記録媒体製造原盤、及び光記録媒体製造原盤の製造方法を提供することにある。
本発明の副次的な目的は、従来技術のような光学的開口によることなく、また、エッチング処理などの製造方法によらず、解像限界以下の微小ピットによる記録マークが再生できる光記録媒体、光記録媒体製造原盤、及び光記録媒体製造原盤の製造方法を提供することにある。
以下に各請求項の目的を示す。
請求項1は光記録媒体の構成を示すものであり、光記録媒体において、支持基板表面には情報が記録された記録マークが存在し、支持基板表面における記録マーク部分の表面平均粗さ(RMS)は、記録マーク以外の部分のRMSよりも大きく、この支持基板上には少なくとも相変化材料からなる超解像層が積層されていることを特徴とする光記録媒体である。
ここで、支持基板表面の表面平均粗さ(RMS)は次の範囲を示している。
記録マーク部分のRMS値は10nm以上50nm以下であり、スペース部分のRMS値は1nm未満である。このような媒体構成とすることによって、超解像再生による信号強度を上げることを目的としている。
請求項2は光記録媒体の構成を示すものであり、請求項1の光記録媒体において、支持基板表面にはランド・グルーブ構造が存在し、このランドもしくはグルーブの少なくとも一方に情報が記録された記録マークが存在することを特徴とする光記録媒体である。このような媒体構成とすることによって、超解像再生におけるトラッキングの安定化を図ることを目的としている。
請求項3は、光記録媒体の構成を示すものであり、請求項1、2における光記録媒体において、相変化材料からなる超解像材料層は、少なくともSbとTeとを含有し、結晶相はδ相であることを特徴とする。
ここで、δ相は、SbとTeとの組成比Sb/Teは1.5〜4の範囲にあるSbとTeとを主成分として含有する相変化材料がとる結晶相である。このような相変化材料を超解像材料層とすることによって、再生信号品質の向上を図ることができる。
請求項4は、光記録媒体の構成を示すものであり、請求項1、2、3における光記録媒体において、超解像層に接して保護層材料が存在し、該保護層材料は少なくともZnSとSiO2とを含有し、アモルファス状態であることを特徴とする。このような媒体構成とすることによって、繰り返し再生耐性を上げることを目的としている。
ここで、アモルファス状態とは、X線回折法で測定した薄膜のX線回折プロファイルにおいて、回折角を2θとしたとき、全ての回折ピークの半値全幅(FWHM)が2°以上ある状態を示す。
請求項5は、光記録媒体を製造する原盤の形状を示す。また、請求項7は該原盤の製造方法を示すものであり、光記録媒体を製造する原盤において、原盤表面には情報が記録された記録マークが存在し、原盤表面における記録マーク部分の表面平均粗さ(RMS)は、記録マーク以外の部分のRMSよりも大きいことを特徴とする光記録媒体製造原盤である。
ここで、支持基板表面における記録マーク部分のRMS値は10nm以上50nm以下であり、スペース部分のRMS値は1nm未満である。 このような原盤形状とすることによって、超解像再生による信号強度を上げることを目的としている。
請求項6は、光記録媒体を製造する原盤の形状を示す。請求項8は原盤の製造方法を示すものであり、請求項5の原盤において、表面にはランド・グルーブ構造が存在し、表面にはランド・グルーブ構造が存在し、該ランドもしくはグルーブの少なくとも一方に情報が記録された記録マークが存在することを特徴とする光記録媒体を製造する原盤である。
このような原盤形状とすることによって、超解像再生におけるトラッキングの安定化を図ることを目的としている。
上記課題を解決するために本発明の請求項1に記載の発明は、光記録媒体において、支持基板の表面には情報が記録された記録マークが存在し、該支持基板の表面における前記記録マークの表面平均粗さ(RMS)は、前記記録マーク以外の部分のRMSよりも大きく、 該支持基板上には少なくとも相変化材料からなる超解像材料層が積層されていることを特徴とする。
本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記支持基板表面にはランド・グルーブ構造が存在し、該ランドもしくはグルーブの少なくとも一方に情報が記録された記録マークが存在することを特徴とする。
本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、相変化材料からなる超解像材料層は、少なくともSbとTeとを含有し、結晶相はδ相であることを特徴とする。
本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか1項記載の発明において、超解像層に接して保護層材料が存在し、該保護層材料は少なくともZnSとSiO2とを含有し、アモルファス状態であることを特徴とする。
本発明の請求項5に記載の発明は、光記録媒体を製造するための光記録媒体製造原盤において、原盤本体の表面には情報が記録された記録マークが存在し、前記原盤本体の表面における前記記録マークの表面平均粗さ(RMS)は、前記記録マーク以外の部分の表面平均粗さよりも大きいことを特徴とする。
本発明の請求項6に記載の発明は、請求項5記載の発明において、前記原盤本体の表面にはランド・グルーブ構造が存在し、該ランドもしくはグルーブの少なくとも一方に情報が記録された記録マークが存在することを特徴とする。
本発明の請求項7に記載の発明は、請求項5記載の発明において、原盤本体とする基板表面に記録マーク部分が抜けた状態のマスク層を形成する工程、記録マーク部分に表面平均粗さを増加させるための薄膜を成膜する工程、マスク層を除去する工程、前記基板と前記薄膜とを同質化して光記録媒体製造原盤を得るための熱処理工程とを備えたことを特徴とする。
本発明の請求項8に記載の発明は、請求項7記載の発明において、前記原盤本体上にレジスト層を形成する工程、記録マーク列もしくは記録マーク列間に対して、レーザ光を照射して前記レジスト材料を露光する工程、前記レジスト材料を現像する現像工程、前記原盤本体の表面にランド・グルーブ構造に対応するライン状の段差を形成するエッチング工程、該レジスト材料を除去する除去工程とを備えたことを特徴とする。
本発明によれば、支持基板表面における記録マーク部分の表面平均粗さを、記録マーク周辺のスペース部分のRMS値よりも大きくすることで、記録マーク上の相変化材料層の結晶ドメインをスペース部分上の結晶ドメインよりも小さくしている。その結果、超解像再生の際には、アモルファス状態に近い小さな結晶ドメインの反射光レベルと溶融状態の反射光レベルとの間での大きな変化が記録マーク部分で起こる。このような媒体構成とすることによって、ROMディスクの超解像再生において、信号強度を上げることができる。
(実施形態1)
再生原理は以下の通りである。
本発明による光記録媒体では、反射光レベルの時間変化によって解像限界以下のピットによる記録マークを再生する。支持基板の表面平均粗さによって、記録マークとスペース部分における超解像材料層の結晶状態を変える。結晶状態が異なることによって、超解像再生時には、加熱による反射光レベルの変化量が異なる。録マークとスペース部分における反射光レベルの変化量の違いによって解像限界以下の記録マークを再生する。
図1には本発明の光記録媒体に係る相変化材料の結晶状態と反射光レベルの変化との関係を示す。同図は相変化材料を加熱した場合の状態の変化と反射光レベルの変化を模式的に示している。
図1において、201はアモルファス状態、202は結晶相で結晶ドメインが大きな場合、203は加熱によって相変化材料が溶融状態にある場合の反射光レベルを示す。204は結晶相で結晶ドメインが小さい場合の反射光レベルを示す。
相変化光記録媒体の製造工程に初期化工程がある。初期化工程では、ディスクを回転した状態で、大口径のレーザビームを照射し、相変化型記録層を成膜状態であるアモルファス状態から結晶相に相変化させる。この初期化工程では、相変化型記録層の結晶成長は膜面方向に進行する。膜面方向の結晶成長は、支持基板表面の表面平均粗さRMSの影響を受ける。支持基板表面の表面平均粗さが大きな部分では、相変化型記録層にも表面粗さの凹凸が反映され、その凹凸に結晶成長が阻害され、結晶ドメインは小さくなる。
204は結晶ドメインが小さな場合の反射光レベルを示す。 結晶ドメインが小さくなることによって、反射光レベルはアモルファス状態の反射光レベル201に近づく。
一方、平坦な支持基板上では、膜面方向の結晶成長は阻害されることなく、大きな結晶ドメインが形成できる。 結晶ドメインが大きな場合の反射光レベル202は、結晶ドメインが小さな場合204よりも大きくなる。
相変化材料の場合、アモルファス状態とドメインが大きな結晶相間での反射光レベルの変化(205)は大きい。よって、書換型光ディスク(CD-RW、DVD+RWなど)では、初期化によってドメインが大きい結晶相として、そこにアモルファス状態の記録マークを形成している。
しかしながら、アモルファス状態とドメインが大きい結晶相間での反射光レベルの変化は不可逆変化であり超解像再生に利用することができない。可逆的な変化として、ドメインが大きい結晶相(202)と溶融状態(203)間での変化がある。
しかしながら、ドメインが大きい結晶相と溶融状態間での反射光レベルの変化(206)は、アモルファス状態と溶融状態間とでの反射比光レベルの変化(205)よりも小さい。したがって、ドメインが大きい結晶相と溶融状態間の反射光レベルの変化を超解像再生に利用した場合、十分な信号強度が得られない。結晶ドメインが小さい場合の反射光レベル204は、アモルファス状態に近い反射光レベルになる。 ドメインが小さい結晶相と溶融状態間での変化を利用できれば、大きな反射光レベルの変化(207)が得られる。この変化を可逆変化、つまり、溶融状態になった後に再び結晶ドメインが小さな状態に戻る変化とすることで、超解像再生に用いることができる。
溶融再結晶化の過程で相変化材料の結晶状態は、下地支持基板の表面粗さの影響を大きく受ける。表面粗さが大きな部分では、下地の凹凸の影響を受け溶融後に再び結晶ドメインが小さな状態204に戻る。 つまり、可逆的な変化をする。
本発明によるROMディスクでは、ピットによる記録マーク部分の表面平均粗さを大きくし、その上に積層する相変化材料の結晶ドメインを小さな状態204とし、スペース部分は結晶ドメインが大きな状態202とする。 表面平均粗さが大きな記録マークを以降の説明では、“凹凸による記録マーク”と記載する。 超解像再生過程においては、凹凸による記録マーク部分の小さな結晶ドメインから溶融状態への変化を検出する。
このような媒体構成とすることによって、光学的開口を設けることなく、解像限界以下の記録マークにおいても大きな信号変化207が得られ、信号強度は増加する。
光記録媒体の構成は以下の通りである。
図2(a)〜(h)は本発明に係る光記録媒体の構成の一例を示す図である。
図2(a)〜(h)において、図2(a)は支持基板の上方視を示し、図2(b)は凹凸による記録マーク302部分の断面図を示す。図2(c)は超解像層を積層した光記録媒体の上方視を示し、図2(d)は凹凸による記録マーク302部分の断面図を示す。 図2(e)は初期化工程における超解像層の状態を光記録媒体上方視で示し、図2(f)は凹凸による記録マーク部分の断面形状を拡大図で示す。 図2(g)は初期化工程後の超解像層の状態を光記録媒体上方視で示し、図2(h)は凹凸による記録マーク部分の断面形状を拡大図で示す。
図2(a)において、301は支持基板、302は凹凸による記録マーク、303は記録トラック、304はトラックピッチを示す。図2(b)において、301は支持基板、302は凹凸による記録マーク、305は記録マーク深さ示す。
従来のROMディスクの場合、ピットによる記録マークの深さdは、記録情報を再生するレーザビームの波長をλ及びピット上に積層される材料の屈折率をnとした場合、λ/4n付近に設定されている。本光記録媒体では、凹凸による記録マーク部の深さ305はλ/4よりも非常に小さな値になっている。
306は記録マークの凹凸の周期を示す。凹凸の周期は不規則(ランダム)である。周期は、記録情報を再生するレーザビームの波長をλおよび対物レンズの開口数をNAとすると、解像限界の周期を表すλ/2NAよりも十分に小さな値になっている。 307はトラック方向における記録マーク長を示す。従来の光記録媒体と同様に、凹凸による記録マークの長さは、記録情報に応じて変化している。 記録情報の変調方式としては、従来の1-7ppなどをとることができる。記録マーク部分302の表面平均粗さ(RMS値)は、10nm以上50nm以下であり、スペース部分312のRMS値は1nm未満である。 記録マーク部分のRMS値が10nm未満になると、溶融再結晶化による結晶ドメインの成長に対する凹凸の影響が小さくなる。
その結果、記録マーク部分の結晶ドメインの大きさがスペース部分での大きさに近づき、超解像再生過程において大きな反射光レベルの変化が得られなくなる。また、表面平均粗さが50nmを越えると、超解像再生過程において凹凸がノイズとなり、信号品質が劣化する。支持基板301の材質としては、ガラス、石英や、ポリカーボネート、アクリル、ペットなどの材料を用いることができる。
図2(c)は超解像層を積層した光記録媒体の上方視を示し、図2(d)は凹凸による記録マーク302部分の断面図を示す。 301は支持基板、308は相変化材料による超解像材料層を示す。成膜状態はアモルファス状態であり、初期化工程によって結晶相に変化する材料を用いる。 さらに、記録情報を再生するレーザ光の照射によって溶融する材料を用いる。 GeSbTeや、AgInSbTeなど書き換え型光ディスクの記録材料などを用いることができる。 図2(d)の断面図には、超解像材料層308のみを記載しているが、支持基板301と超解像材料層308との界面や、超解像材料層上に保護層を設けても構わない。
保護層としては、情報を記録する光の波長において光透過率が高い材料を用いる。光透過性が高い材料を保護層材料とすることによって、レーザ光は下層に位置する超解像材料で吸収される。その結果、超解像材料が発熱し溶融する。保護層材料の融点は、超解像材料の融点よりも高いことが望ましい。融点差が大きいことが望ましい。融点差を設けることによって、記録再生過程における材料の相互拡散が抑制でき、信号品質の劣化を防ぐことができる。材質としては、SiO2、SiON、SiNなどのシリコン化合物材料を用いることができる。また、ZnS、CaS、BaSなどの硫化物材料を用いることができる。また、ZnSe、BaSeなどのセレン化物材料を用いることができる。また、CaF2、BaF2などのフッ素化合物材料を用いることができる。図には示さないが、保護層材料上にポリカーボネート、アクリル、ペット(PET:ポリエチレン)などの樹脂材料をスピンコート法で形成し、さらに保護層を設けても構わない。
図2(e)は初期化工程における超解像材料層308の状態を光記録媒体上方視で示す。 各層成膜後に書き換え型ディスク製造に用いられている初期化を行い超解像層の結晶状態を変化させる。 初期化工程では、複数の記録トラック列がレーザビーム径内に含まれるような大口径のレーザビームスポットを用いる。
309はレーザ光照射により溶融した相変化材料を示す。相変化材料層は初期化工程におけるレーザ照射で溶融し、再結晶化する。
310は初期化工程におけるレーザビームの走査方向を示す。
311は超解像材料層の結晶成長方向を示す。 結晶成長はレーザビーム走査方向に進行する。 超解像層面内方向に結晶成長が進行し、スペース部分では結晶成長の疎外物が無いため結晶ドメインは大きくなる。
一方、記録マーク部分302では前記のように支持基板の表面粗れによる微細な凹凸が存在する。凹凸が結晶成長を阻害し、記録マーク部分の超解像材料の結晶ドメインはスペース部分よりも小さくなる。 図2(g)は初期化後の超解像材料層308の状態を光記録媒体上方視で示す。 図2(h)は凹凸による記録マーク部分の断面形状の拡大図を示す。スペース部分308の超解像材料層は結晶ドメインが大きな状態であり、記録マーク部分311の超解像材料層は結晶ドメインが小さい状態にある。
(実施形態2)
光記録媒体構成は以下の通りである。
図3(a)〜(f)は本発明に係る光記録媒体の他の構成例を示す図である。
図3(a)〜(f)において、図3(a)は支持基板の記録トラックに対して平行方向の断面形状、図3(b)は支持基板の上方視、図3(c)は記録トラックに対して垂直方向の断面形状をそれぞれ示す。
図3(a)において、401は支持基板、402は凹凸による記録マーク、403は記録マークの深さを示す。深さは請求項1に示した通りである。
図3(b)において、401は支持基板、404は記録トラック、402は凹凸による記録マーク、405はトラックピッチ、406はランド、407はグルーブをそれぞれ示す。図ではランド上に記録マークが存在する状態を示すが、記録マークはランド、グルーブのどちらにあっても構わない。また、トラックピッチ405は、200から400nmの範囲に設定する。図3(c)において、409はランドとグルーブとの間の高低差を示す。 高低差は、10nm〜100nmの範囲に設定する。 高さが10nm未満の場合は記録トラックに対するレーザビームスポットのトラッキングが不安定になる。高さが100nmよりも高い場合には、転写プロセスによるランド・グルーブ構造の形成が困難になる。
図3(d)は記録トラックに対して垂直方向の光記録媒体の断面形状、図3(e)は上方視、図3(f)は記録トラックに対して垂直方向の断面形状を示す。
図3(d)において、401は支持基板、402は凹凸からなる記録マーク、410は超解像材料層、411は保護材料層を示す。記録マーク部分における超解像材料層の結晶状態は、請求項1に示す通りである。
図3(e)において、402は凹凸からなる記録マーク、404は記録トラック、405はトラックピッチ、406はランド、407はグルーブを示す。
図3(f)において、406はランド、407はグルーブ、410は超解像材料層、411は保護材料層を示す。 各層は、支持基板の形状にならって積層された状態にある。
請求項2記載の光記録媒体構造とすることによって、レーザビームスポットのトラッキングの安定化が図れる。
(実施形態3)
請求項3は、超解像材料を用いた光記録媒体を示す。
少なくともアンチモン(Sb)とテルル(Te)とを含有する材料であり、δ相と呼ばれる晶系に属する組成比を用いる。SbとTeとの組成比(Sb/Te比)が1.5〜4の範囲である材料である。 SbTeの2元系材料を用いることができる。 Sb及びTe以外の元素を含んでも構わない。 GeSbTeなどの3元系材料を用いることができる。 AgInSbTeなどの4元系材料を用いることができる。
Sb/Te比としては、1.5〜4の範囲、つまり、Sb(60at%)-Te(40at%)からSb(80at%)-Te(20at%)の範囲にある材料を用いる。 δ相のSbTe系化合物は、温度を上げた場合、相分離や相転移が起こらずに溶融状態になる。
本光記録媒体では、製造工程における初期化や、超解像再生過程において、超解像材料層は結晶状態と溶融状態との間で変化する。この変化の過程において相分離や相転移が起こると、複数の信号レベルが発生し信号品質が劣化する。単純に結晶状態と溶融状態間のみで変化する上記材料を用いることによって、高品質な再生信号が得られる。成膜はスパッタリング法で行う。
成膜雰囲気ガスはAr、成膜温度は室温である。投入電力はRFスパッタリング法の場合は0.3〜0.5kW、DCスパッタリング法の場合は100〜200Wに設定する。膜厚は、10〜50nmの範囲が好ましい。10nmよりも薄いと信号強度が低下する。膜厚が50nmよりも厚いと再生のレーザビーム照射で溶融する感度が低下する。
(実施形態4)
請求項4は、超解像層に接して保護層材料が存在する記録媒体を示す。
少なくとも硫化亜鉛(ZnS)とシリコン酸化物(SiOx)とを含有する材料である。 ZnSとSiOxとは、各々独立した状態で存在していてもよく、ZnSとSiOxとを構成する元素が結合した状態で存在していてもよい。
成膜方法としては、スパッタリング法が好ましい。特に、室温でのスパッタリング法が好ましい。スパッタリングターゲットには、ZnSとSiO2との混合体材料を用いる。ZnSとSiO2との比率(ZnS/SiO2比)が1.5〜9の範囲にある材料をスパッタリングターゲットとして用いる。つまり、ZnS(60mol%)-SiO2(40mol%)からZnS(90mol%)-SiO2(10mol%)の範囲にある材料を用いる。
ZnSとSiO2との比率(ZnS/SiO2比)が1.5〜9の範囲にあると上記条件範囲で成膜した薄膜はアモルファス状態になる。ZnSとSiO2との比率(ZnS/SiO2比)が1.5未満の組成比においてもアモルファス状態になるが、表面平均粗さが増加する。保護材料層の表面粗さは、再生信号のノイズ源となることから、ZnSとSiO2との比率(ZnS/SiO2比)は1.5以上とする。
本発明による光記録媒体では、前記のように製造工程における初期化や超解像再生過程で超解像材料層を溶融状態にする。保護膜材料層をアモルファス状態とすることによって、超解像材料層の溶融に伴う体積変化や変形を緩和し、凝集を防ぐ機能を有する。 また、アモルファス状態であることによって、残留応力が低減する。膜の残留応力が小さいことから、大面積基板に対して成膜しても、基板のそりや変形を抑えることができる。 上記ZnSとSiO2との比率(ZnS/SiO2比)が1.5〜9の範囲にある薄膜の結晶状態を調べた。
膜厚は100nmに設定し、シリコン基板上に成膜した。 X線回折法により測定した。 光源はCuのKα線を用い、X線の管電圧を45kVとし、管電流を40mAとした。光源の光学系にはミラーを用い、膜表面に0.5°で固定入射して、検出器の角度を走査する薄膜測定法(低角入射非対称回折法)を用いた。
X線回折プロファイルにおいて、回折角を2θとしたとき、上記ZnSとSiO2との比率(ZnS/SiO2比)が1.5〜9の範囲にある薄膜では、全ての回折ピークの半値全幅(FWHM)は4〜8°であり、2°以上になっていた。
(請求項5、7の実施例)
図4(a)〜(d)は本発明に係る光記録媒体製造原盤、及び製造工程を示す図である。
図4(a)〜(d)には各工程後の光記録媒体形状を記録トラックに対して平行方向の断面形状で示す。図4(a)はフォトレジストパターン形成後の状態、図4(b)は記録マーク部分に凹凸を形成する材料成膜後の状態、図4(c)はフォトレジストパターン除去後の状態、図4(d)は熱処理後の状態および石英製原盤の形状を示す。
以下に各工程毎に記載する。
(a)フォトレジストパターン形成
図4(a)にはフォトレジストパターン形成後の状態を示す。
フォトリソグラフィーにより石英基板501上にフォトレジストパターン502を形成した。フォトレジストには、i線用ポジレジストを使用した。露光装置のレーザ波長は405nm、対物レンズの開口数はNA1.8である。現像により露光部分を除去し記録マーク部分とする開口503を形成した。記録マークのレイアウトは、最短記録マーク長75nm、信号変調方式は1-7変調である。トラックピッチは320nmである。
(b)記録マーク部分に凹凸を形成する材料成膜
図4(b)には記録マーク部分に凹凸を形成する材料成膜後の状態を示す。本方法では、核成長しやすい材料、成膜条件で薄膜をフォトレジストパターン上に成膜する。凹凸を形成する材料としてSiOx薄膜を成膜した。スパッタリングターゲットの組成はSiO2である。薄膜状態では酸素欠損があるためSiOx薄膜と記載する。RFスパッタリング法で、SiOx薄膜を高速室温成膜することによって、表面が非常に粗れた薄膜が形成できる。
成膜はRFスパッタリング法で行い、成膜温度は室温である。 投入パワーは400Wである。 膜厚は30nmに設定した。 SiOx薄膜は、フォトレジストパターン上504および記録マーク部分505の双方に核状に成膜される。
(c)フォトレジストパターン除去
図4(c)にはフォトレジストパターン除去後の状態を示す。 成膜後に有機溶剤(アセトン)でフォトレジストパターンを除去した。リフトオフによりフォトレジスト上に成膜されたSiOx薄膜504は除去され、記録マーク部分にのみSiOx薄膜505が残る。
(d)熱処理後の状態および石英製原盤の形状
図4(d)には熱処理後の状態および石英原盤の形状を示す。
転写時にSiOx薄膜が剥離することを防ぐため、熱酸化処理によりSiOx薄膜をSiO2(506)として、石英基板と同化させる。熱酸化温度は800℃とし、酸素雰囲気で処理した。 SiOx薄膜の酸素欠損が無くなりSiO2となる。また、熱処理によって凹凸部分のSiO2と石英基板とを結合し、転写工程における凹凸の離脱が無くなる。
以上の方法で石英原盤を作製した。
記録マーク部にはランダムな凹凸が存在する。 AFM(原子間力顕微鏡)で測定した表面平均粗さ(RMS)は、記録マーク部分506においてRMS 20〜30nmであり、スペース部分507において0.5nmであった。 この石英原盤を型として、2P転写法によって樹脂に凹凸を転写し樹脂基板を作製してもよい。また、図4(d)に示す石英原盤をもとにNi電鋳によってマスタ原盤を作製し、マスタ原盤をもとにスタンパを作製し、射出成型によって樹脂基板を作製してもよい。
(請求項6、8の実施例)
図5(a)〜(m)には本発明に係る光記録媒体製造原盤、及び製造工程の他の一例を示す。
請求項6記載の原盤は図4(d)に示す請求項5の石英原盤をもとに作製する。
予め形成した記録マーク列に対してランドを位置精度良く形成するために、記録マーク列に対してレーザビームスポットをトラッキングした状態で露光した。トラッキングエラー信号を得るために、高反射率である無機レジスト膜を用いた。 狭幅のランド部を形成するために、無機レジスト材料の熱変化を利用し微細パターンが形成できるヒートモードリソグラフィー法を用いた。
図5には各工程後の光記録媒体形状を上方視、トラック平行方向の断面、トラック垂直方向の断面で示す。図5(a)は請求項5の石英原盤であり、図5(a-1)は上方視、図5(a-2)はトラック垂直方向断面、図5(a-3)はトラック平行方向断面を示す。図5(b)は石英原盤上に無機レジスト層を成膜した状態を示す。図5(c)はヒートモードリソグラフィーによる露光後の状態を示す。図5(d)は無機レジスト層の現像後の状態を示す。図5(e)は無機レジストパターンをマスクとしたドライエッチング後の状態を示す。図5(f)はマスク除去後の状態であり、請求項8の原盤形状を示す。
以下に各工程毎に説明する。
(a)請求項5記載の石英原盤
図5(a)には請求項5の石英原盤の形状を示す。 図5(a-1)は原盤の上方視、図5(a-2)はトラックに対して垂直方向の断面、図5(a-3)はトラックに対して平行方向断面を示す。
601は石英、602は凹凸による記録マーク部分、603は記録トラックをそれぞれ示す。記録マーク部602にはランダムな凹凸が存在する。
(b)無機レジスト層成膜
図5(b)には石英原盤上に無機レジスト層を成膜した状態を示す。 図5(b-1)は上方視、図5(b-2)はトラック垂直方向断面を示す。石英原盤上にヒートモードリソグラフィー用の無機レジスト膜を成膜した。無機レジスト膜は、Ge薄膜604とZnS-SiO2薄膜605の積層構成である。 成膜はRFスパッタリング法で行い、成膜温度は室温である。 投入パワーについてはGe薄膜の場合は100Wであり、ZnS-SiO2薄膜の場合は400Wである。Ge薄膜の膜厚は10nmであり、ZnS-SiO2薄膜の膜厚は40nmである。
(c)ヒートモードリソグラフィー露光後
図5(c)にはヒートモードリソグラフィーによる露光後の状態を示す。 図5(c-1)は上方視、図5(c-2)はトラックに対して垂直方向断面を示す。露光装置のレーザ波長は405nmであり、対物レンズの開口数は0.85である。 レーザパワーは1.6mWの一定レベル(CW)で照射した。 レーザ照射の際に凹凸による記録マークに対してプッシュプル法でビームスポットをトラッキングした。レーザ照射により記録トラック603部分のZnS-SiO2薄膜がストライプ状に熱変化806する。
(d)無機レジスト層現像後
図5(d)には無機レジスト層現像後の状態を示す。 図5(d-1)は上方視、図5(d-2)はトラックに対して垂直方向断面を示す。
露光後にHF溶液を用いてZnS-SiO2薄膜をエッチング除去する。 レーザ照射によるZnS-SiO2薄膜の熱変化部分ではHF溶液に対するエッチング耐性が上がる。このエッチング耐性差によって、ZnS-SiO2をストライプ状に残すことができる。806はストライプ状のZnS-SiO2であり、604が薄膜状のGeである。
(e)ドライエッチング後
図5(e)にはドライエッチング後の状態を示す。 図5(e-1)は上方視、図5(e-2)はトラックに対して垂直方向断面を示す。ストライプ状にパターン化したZnS-SiO2(606)をマスクとして、Ge薄膜604および石英601をドライエッチングし、石英原盤に溝を形成した。ドライエッチングの方法としてRIE法(反応性イオンエッチング法)を用いた。 エッチングは2段階で行った。 1段階目はArガスによるGe薄膜のエッチング除去であり、投入電力は100Wとした。 2段階目はCHF3ガスによる石英のエッチングであり、投入電力は100Wとした。エッチング時間を調整することによって、石英原盤に形成するランド部の高さが20、40nmの2種類の原盤を作製した。 606はストライプ状のZnS-SiO2であり、607は下層に位置するストライプ状のGeを示す。
(f)マスク除去後および石英原盤形状
図5(f)にはマスク除去後の状態を示す。図5(f-1)は上方視、図5(f-2)はトラックに対して垂直方向断面、図5(f-3)はトラックに対して平行方向の断面を示す。ドライエッチング後にランド部分のZnS-SiO2(606)およびGe (607)マスクをウエットエッチングで除去した。ZnS-SiO2マスクはHCl水溶液で除去し、Ge薄膜はNaOH水溶液で除去した。608は石英原盤のランド部分を示し、ランド上に凹凸による記録マーク部分609が存在する。
以上の方法で請求項6記載の石英原盤を作製した。
この石英原盤を型として、2P転写法によって樹脂に凹凸を転写し樹脂基板を作製してもよい。また、図5(f)に示す石英原盤をもとにNi電鋳によってマスタ原盤を作製し、マスタ原盤をもとにスタンパを作製し、射出成型によって樹脂基板を作製してもよい。
(請求項1、2、3、4記載の光記録媒体)
図6には、本発明に係る光記録媒体製造原盤を用いて作製した光記録媒体の一例を示す。図6(a)は樹脂基板の形状を示す。図6(a-1) は、トラックに対して平行方向断面、図6(a-2)は、トラックに対して垂直方向断面である。図6(b)は各層成膜後の状態を示す。図6(c)は超解像層初期化後の状態および光記録媒体の形状を示す。図6(c-1)は、トラックに対して平行方向の断面、図6(c-2)は、トラックに対して垂直方向の断面である。
以下に各工程毎に説明する。
(a)2P転写基板形状
図6(a)には、樹脂基板の形状を示す。701はポリカーボネート基板を示す。702はアクリル樹脂を示す。 703は凹凸による記録マーク部分を示す。 704はトラックピッチを示す。705はランド部高さを示す。ランド部の高さが0、20、40nmの3種類のディスクを作製した。ランド部高さ0nmは請求項5及び実施例1に記載した原盤をもとに作製し、ランド部高さ20および40nmは請求項6及び実施例2に記載した原盤をもとに作製した。
上記樹脂基板は2P転写法で作製した。記録マークレイアウトは、最短記録マーク長75nm、信号変調方式は1-7変調である。トラックピッチは320nmである。
(b)各層成膜後
図6(b)には、各層成膜後の状態を示す。706は、保護層材料のZnS-SiO2薄膜を示す。膜厚は10nmである。組成比はZnS(80mol%)-SiO2(20mol%)であり、ZnS/SiO2比は4である。成膜はRFスパッタリング法で行った。成膜雰囲気ガスはArを用い、成膜温度は室温とし、投入電力は1.5kWとした。707は、超解像材料層のAgInSbTe薄膜を示す。膜厚は20nmである。組成比はAg(4at%)-In(7at%)-Sb(61at%)-Te(28at%)であり、Sb/Te比2.2である。成膜はRFスパッタリング法で行った。成膜雰囲気ガスはArを用い、成膜温度は室温とし、投入電力は0.3kWとした。708は保護層材料のZnS-SiO2薄膜を示す。
膜厚は60nmである。組成比や成膜条件は706に示したZnS-SiO2薄膜と同じである。709は保護層材料のアクリル樹脂を示す。アクリル樹脂はスピンコートで塗布した。層厚は約100μmである。710は凹凸による記録マーク部分を示す。記録マーク部分において超解像材料層であるAgInSbTe(707)は基板表面の凹凸にならった状態で積層されている。
(c)超解像層初期化後および光記録媒体構成
図6(c)には、初期化後の状態を示す。図6(c-1)はトラックに対して平行方向断面、図6(c-2)はトラックに対して垂直方向断面を示す。711は、凹凸による記録マーク部分を示す。712 はトラックピッチを示し、713 はランド部分を示す。初期化は、波長が660nmでビーム径が100umの装置で行った。レーザパワーは1.2Wであり、ディスク回転の線速度は3m/secである。図2(e)に示すように、初期化過程において、超解像材料層であるAgInSbTeが溶融しアモルファス状態から結晶状態に変化する。結晶化はレーザビーム走査方向であるトラック方向に沿って進行する。
表面平均粗さが小さなスペース部分では大きな結晶ドメインが成長し、表面平均粗さが大きな記録マーク部分では結晶成長が凹凸によって阻害され結晶ドメインは小さくなる。超解像材料層であるAgInSbTeの結晶状態は、TEM(透過型電子顕微鏡)で確認した。結晶ドメインの形状はTEM像に視られるコントラスト変化から判定している。スペース部分の結晶ドメインはトラック方向に長く延びた形状であるものが多い。その大きさや形状は一様ではないが、トラック方向の長さが最も短い結晶ドメインでも200nm程度はある。長いものは、1μm以上になっている。
一方、凹凸による記録マーク部分における結晶ドメインは、10〜20nm程度であった。
(d)再生特性の比較
表1には光記録媒体の再生特性の比較結果を示す。
Figure 2009070503
比較対象とした光記録媒体には、図7(a)に示す従来のROMの支持基板を用いた。図7(a)においてピット深さ104は60nmである。従来の光記録媒体で用いられてきた一般的な原盤を用いて作製した基板である。比較例の層構成は、本実施例と同様であり、支持基板上に、保護層材料のZnS-SiO2薄膜を膜厚10nmとし、超解像材料層のAgInSbTe薄膜を膜厚20nmとし保護層材料のZnS-SiO2薄膜を膜厚60nmとし、保護層材料のアクリル樹脂を層厚約100umで積層した。初期化は、本実施例の光記録媒体と同じ条件で行った。初期化過程において、超解像材料層であるAgInSbTeが溶融しアモルファス状態から結晶状態に変化する。ピット部分とスペース部分とで、表面粗さに違いがないことから、何れも大きな結晶ドメインが形成される。再生はレーザ波長405nm、対物レンズの開口数0.85のディスクテスタで行った。再生線速度は4.5m/secである。この光学ピックアップにおける解像限界の周期は238nmである。予め形成した2T単一周期(周期150nm)部分において、トラッキングエラー信号振幅、超解像再生パワー、信号変調度を比較した。ラッキングはプッシュプル法で行った。再生パワーは、各光記録媒体において変調度が最大になる値である。
請求項5記載の原盤を用いて作製した光記録媒体では、記録マーク部分の表面粗さはスペース部分よりも大きく、記録マーク部分の相変化材料の結晶ドメインはスペース部分よりも小さくなっている。その結果、超解像再生の際には、図1に示すように、アモルファス状態に近い小さな結晶ドメインの反射光レベルと溶融状態の反射光レベルとの間での大きな変化が得られる。
図1は本発明の光記録媒体に係る相変化材料の結晶状態と反射光レベルの変化との関係を示す再生原理説明図である。
一方、比較例の光記録媒体では、ピット部分、スペース部分ともに、結晶ドメインは大きいことから、超解像再生過程においては、図1に示すように、大きな結晶ドメインの反射光レベルと溶融状態の反射光レベルとの間での小さな変化になる。この違いが、表1に示す比較例と、請求項5記載の光記録媒体原盤による光記録媒体の変調度差として現れている。
請求項5記載の光記録媒体原盤を用いて作製した光記録媒体はトラッキング用のランド部を有する。その結果、超解像再生時における光記録媒体の半径方向への熱の拡散が抑えられ、超解像再生パワーが低減できている。ランド高さを20から40nmと高くすることによって、再生パワーはより低減できている。再生パワーが低減できることによって、再生に用いるLDの長寿命化が図れる。また、請求項5記載の光記録媒体原盤を用いて作製し、ランド部を設けた光記録媒体では、トラッキングエラー信号振幅が増加し、トラッキングの安定化が図れる。
〔発明の効果〕
本発明の光記録媒体では、支持基板表面における記録マーク部分の表面平均粗さを、記録マーク以外の部分のRMS値よりも大きくすることで、記録マーク上の相変化材料層の結晶ドメインをスペース部分上の結晶ドメインよりも小さくしている。その結果、超解像再生の際には、図1に示すように、アモルファス状態に近い小さな結晶ドメインの反射光レベルと溶融状態の反射光レベルとの間での大きな反射光レベルの変化が起こる。このような光記録媒体構成とすることによって、超解像再生による信号強度を上げることができる。
本発明の光記録媒体では、請求項1記載の光記録媒体において、支持基板表面にはランド・グルーブ構造を設けている。このような光記録媒体構成とすることによって、超解像再生におけるトラッキングの安定化を図ることができる。
本発明の光記録媒体では、請求項1、2記載の光記録媒体において、相変化材料からなる超解像材料層には、少なくともSbとTeとを含有し、結晶相がδ相である組成を用いている。δ相である組成は、加熱により結晶状態から溶融状態になり、再結晶化する過程において相分離や相転移が起こらない組成である。本発明による光記録媒体は、製造過程での初期化や、超解像再生過程において、結晶状態と溶融状態との間での変化を起こす。このような変化の過程において再生信号のノイズ源となるような他の相状態ができないことから、再生信号品質の向上が図れる。
請求項4記載の光記録媒体では、請求項1、2、3における光記録媒体において、超解像材料層に接して保護層材料として、少なくともZnSとSiO2とを含有しアモルファス状態である材料を設ける。この保護層材料は、超解像材料層が溶融することによる変形を吸収することから、凝集のような劣化が防止でき、繰り返し再生耐性を上げることができる。
請求項5記載の光記録媒体を製造する光記録媒体原盤、および、請求項7記載の光記録媒体原盤の製造方法によって、請求項1に記載した光記録媒体を製造することができる。
請求項6記載の光記録媒体を製造する光記録媒体原盤、および、請求項8記載の光記録媒体原盤の製造方法によって、請求項2に記載した光記録媒体を製造することができる。
本発明の光記録媒体に係る相変化材料の結晶状態と反射光レベルの変化との関係を示す再生原理説明図である。 (a)〜(h)は本発明に係る光記録媒体の構成の一例を示す図である。 (a)〜(f)は本発明に係る光記録媒体の他の構成例を示す図である。 (a)〜(d)は本発明に係る光記録媒体製造原盤、及び製造工程の一例を示す図である。 (a)〜(m)は本発明に係る光記録媒体製造原盤、及び製造工程の他の一例を示す図である。 本発明に係る光記録媒体製造原盤を用いて作製した光記録媒体の一例を示す図である。 (a)〜(d)は従来の光記録媒体の構成を示す図である。
符号の説明
301 支持基盤
302 記録マーク
303 記録トラック
304 トラックピッチ
305 記録マーク深さ
306 周期
307 記録マーク長
308 超解像材料層
309 相変化材料
310 走査方向
311 結晶成長方向
312 スペース部分

Claims (8)

  1. 光記録媒体において、支持基板の表面には情報が記録された記録マークが存在し、該支持基板の表面における前記記録マークの表面平均粗さ(RMS)は、記録マーク以外の部分のRMSよりも大きく、該支持基板上には少なくとも相変化材料からなる超解像材料層が積層されていることを特徴とする光記録媒体。
  2. 請求項1記載の光記録媒体において、前記支持基板表面にはランド・グルーブ構造が存在し、該ランドもしくはグルーブの少なくとも一方に情報が記録された記録マークが存在することを特徴とする光記録媒体。
  3. 請求項1または2に記載の光記録媒体において、相変化材料からなる超解像材料層は、少なくともSbとTeとを含有し、結晶相はδ相であることを特徴とする光記録媒体。
  4. 請求項1から3のいずれか1項記載の光記録媒体において、超解像層に接して保護層材料が存在し、該保護層材料は少なくともZnSとSiO2とを含有し、アモルファス状態であることを特徴とする光記録媒体。
  5. 光記録媒体を製造するための光記録媒体製造原盤において、原盤本体の表面には情報が記録された記録マークが存在し、前記原盤本体の表面における前記記録マークの表面平均粗さ(RMS)は、記録マーク以外の部分の表面平均粗さよりも大きいことを特徴とする光記録媒体製造原盤。
  6. 請求項5記載の光記録媒体製造原盤において、前記原盤本体の表面にはランド・グルーブ構造が存在し、該ランドもしくはグルーブの少なくとも一方に情報が記録された記録マークが存在することを特徴とする光記録媒体製造原盤。
  7. 請求項5記載の光記録媒体製造原盤の製造方法において、
    原盤本体とする基板表面に記録マーク部分が抜けた状態のマスク層を形成する工程、
    記録マーク部分に表面平均粗さを増加させるための薄膜を成膜する工程、
    マスク層を除去する工程、
    前記基板と前記薄膜とを同質化して光記録媒体製造原盤を得るための熱処理工程とを備えたことを特徴とする光記録媒体製造原盤の製造方法。
  8. 請求項7記載の光記録媒体製造原盤の製造方法において、
    前記原盤本体上にレジスト層を形成する工程、
    記録マーク列もしくは記録マーク列間に対して、レーザ光を照射して前記レジスト材料を露光する工程、
    前記レジスト材料を現像する現像工程、
    前記原盤本体の表面にランド・グルーブ構造に対応するライン状の段差を形成するエッチング工程、
    該レジスト材料を除去する除去工程とを備えたことを特徴とする光記録媒体製造原盤の作製方法。
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