JP4376038B2 - 生育が向上した微生物菌株 - Google Patents

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本発明は、生育が向上した微生物、および該微生物を用いた有用物質の製造法に関する。
微生物の野生型株はさまざまな培地でよく生育する。これまでにさまざまな変異株が作製されているが、一般的にはそれら変異株は野生型株に比べ、一定の培養時間で得られる菌体量が少ない、生育速度が遅い、生育可能な温度範囲が狭い、栄養要求性を示す、各種ストレスに対する耐性度が低いなど生育特性が悪い場合が多い。これは一般的な変異処理では、複数の変異が染色体上に導入されてしまい、生育という複雑なプロセスを司る多数の遺伝子のどれかに有害な変異が入る可能性が高いため、変異剤などによる一般的な変異処理により作製した変異株ライブラリーから、生育良好株を取得することは困難であるためと考えられる。
したがって、特定の遺伝子の変異に起因して、生育が向上した微生物の変異株は知られていない。
一方、多くの微生物では、その染色体DNAの全塩基配列が明らかになっている(非特許文献1)。また、相同組換え手法を用いた、特定の遺伝子あるいは染色体DNA領域が意図した通りに欠損した微生物の作製方法が知られている(非特許文献2)。上記した染色体DNAの全塩基配列情報、および相同組換え手法を利用して微生物の染色体DNA上の各一遺伝子を網羅的に破壊したライブラリー、あるいは20kbp程度の削除可能染色体DNA領域のそれぞれを網羅的に欠損させた変異株ライブラリーなどが作製されている(非特許文献3および4)。
大腸菌のyhdA遺伝子は、染色体DNA上73.27分に位置し、646アミノ酸からなるタンパク質をコードする遺伝子であることが知られているが、該タンパク質の機能は知られていない(非特許文献5)。
http://www.tigr.org/tdb/mdb/mdbcomplete.html J. Bacteriol.(ジャーナル オブ バクテリオロジー), 180, 2063(1998) 蛋白質 核酸 酵素、第46巻、2386ページ、2001年 Nature Biotechnol.(ネイチャー バイオテクノロジー), 20, 1018(2002) Science(サイエンス), 277, 1453(1997)
本発明の目的は、生育が向上した微生物菌株、および該微生物を用いた有用物質の製造法を提供することにある。
本発明は、以下の(1)〜(7)に関する。
(1) 配列番号1で表される塩基配列からなるDNAの一部または全部が欠損した染色体DNAを有し、かつ該欠損がない染色体DNAを有する親株より生育が向上した微生物。
(2) 配列番号1で表される塩基配列からなるDNAと80%以上の相同性を有するDNAの一部または全部が欠損した染色体DNAを有し、かつ該欠損がない染色体DNAを有する親株より生育が向上した微生物。
(3) 配列番号2で表されるアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなる蛋白質をコードするDNAを染色体DNA上に有し、かつ配列番号2で表されるアミノ酸配列を有する蛋白質をコードするDNAを染色体DNA上に有する親株より生育が向上した微生物。
(4) 微生物が、Escherichia属に属する微生物である上記(1)〜(3)の微生物。
(5) Escherichia属に属する微生物が、Escherichia coliである上記(4)の微生物。
(6) 上記(1)〜(5)のいずれかの微生物を培地中で培養し、培養物中に有用物質を生成、蓄積させ、該培養物から該有用物質を採取することを特徴とする有用物質の製造法。
(7) 有用物質が、タンパク質、アミノ酸、核酸、ビタミン、糖、有機酸および脂質からなる群より選ばれる有用物質である上記(6)の製造法。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明によれば、生育が向上した微生物、および該微生物を用いた有用物質の製造法を提供することができる。
本発明の微生物は、配列番号1で表される塩基配列からなるDNA、または該DNAと80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の相同性を有するDNAの一部または全部が欠損した染色体DNAを有し、かつ該欠損がない染色体DNAを有する親株より生育が向上している微生物であればいずれの微生物であってもよく、該微生物としては、例えばEscherichia属に属する微生物などをあげることができ、Escherichia属に属する微生物としては、Escherichia coliなどをあげることができる。
上記Escherichia coliとしては、配列番号1で表されるDNAの一部または全部が欠損した染色体DNAを有するEscherichia coliをあげることができる。
配列番号1で表される塩基配列からなるDNAと80%以上の相同性を有するDNAとは、配列番号1で表される塩基配列を有する遺伝子の相同遺伝子のことをいい、該遺伝子は、配列番号1で表される塩基配列を有するDNAの全部または一部をプローブとしたコロニー・ハイブリダイゼーション法、プラーク・ハイブリダイゼーション法あるいはサザンブロットハイブリダイゼーション法等を用いることにより取得することができる。
具体的には、コロニーあるいはプラーク由来のDNAを固定化したフィルターを用いて、1.0 mol/lの塩化ナトリウム存在下、65℃でハイブリダイゼーションを行った後、0.1〜2倍濃度のSSC溶液(1倍濃度のSSC溶液の組成は、150 mmol/l塩化ナトリウム、15 mmol/lクエン酸ナトリウムよりなる)を用い、65℃条件下でフィルターを洗浄することにより同定できるDNAをあげることができる。ハイブリダイゼーションは、モレキュラー・クローニング第3版、カレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジー、DNA Cloning 1: Core Techniques, A Practical Approach, Second Edition, Oxford University (1995)等に記載されている方法に準じて行うことができる。
また、配列番号1で表される塩基配列をクエリーに用い、各種微生物の染色体DNAまたは遺伝子ライブラリーのデータベースを検索することにより、配列番号1で表される塩基配列からなるDNAと80%以上の相同性を有するDNAを特定することができる。
アミノ酸配列および塩基配列の相同性は、例えばKarlin and AltschulによるアルゴリズムBLAST[Pro. Natl. Acad. Sci. USA, 90, 5873(1993)]やFASTA[Methods Enzymol., 183, 63 (1990)]を用いて決定することができる。このアルゴリズムBLASTに基づいて、BLASTNやBLASTXとよばれるプログラムが開発されている[J. Mol. Biol., 215, 403(1990)]。BLASTに基づいてBLASTNによって塩基配列を解析する場合には、パラメーターは例えばScore=100、wordlength=12とする。また、BLASTに基づいてBLASTXによってアミノ酸配列を解析する場合には、パラメーターは例えばscore=50、wordlength=3とする。BLASTとGapped BLASTプログラムを用いる場合には、各プログラムのデフォルトパラメーターを用いる。これらの解析方法の具体的な手法は公知である(http://www.ncbi.nlm.nih.gov.)。
配列番号1で表される塩基配列からなるDNA、または該DNAと80%以上の相同性を有するDNAの一部または全部が欠損したDNAとは、配列番号1で表される塩基配列からなるDNA、または該DNAと80%以上の相同性を有するDNAにおいて、1以上の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列を有する変異DNAであり、かつ該変異DNAを有する染色体DNAを有する微生物が、該変異DNAを有さない染色体DNAを有する親株より生育が向上した微生物となることを特徴とするDNAをいう。
具体的には、配列番号1で表される塩基配列からなるDNA、または配列番号1で表される塩基配列からなるDNAと80%以上の相同性を有するDNAにおいて、任意の1以上の塩基、好ましくは任意の10〜1500塩基、より好ましくは任意の100〜1000塩基、さらに好ましくは任意の200〜500塩基が欠損したDNAをあげることができ、該欠損によりフレームシフト変異が生じているDNAが好ましい。
また、配列番号1で表される塩基配列からなるDNA、または該DNAと80%以上の相同性を有するDNAに、部位特異的変異を導入することにより、該DNAにおいて1以上の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列を有するDNAであり、かつ該変異DNAにコードされるアミノ酸配列が、部位特異的変異導入前のDNAにコードされるアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列をコードするDNAをあげることができる。部位特異的変異の導入は、Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Third Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press (2001)(以下、モレキュラー・クローニング第3版と略す)、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons (1987-1997)(以下、カレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジーと略す)、Nucleic Acids Research, 10, 6487 (1982)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 79, 6409(1982)、Gene, 34, 315 (1985)、Nucleic Acids Research, 13, 4431 (1985)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82, 488 (1985)等に記載の方法に準じて行うことができる。
欠失、置換若しくは付加される塩基の数は特に限定されないが、上記の部位特異的変異法等の周知の方法により欠失、置換若しくは付加できる程度の数であり、1個から数十個、好ましくは1〜20個、より好ましくは1〜10個、さらに好ましくは1〜5個である。
上記の変異DNAを有さない染色体DNAを有する親株より生育が向上した微生物とは、欠損が導入された微生物と該欠損が導入されていない親株である微生物を同一の培地を用いて同一時間培養したとき、親株より菌体数が多い微生物のことをいう。培養する時間は、上記DNAが欠損した染色体DNAを有する微生物と該微生物の親株の菌体数を正確に比較できる時間であればいずれの時間でもよいが、好ましくは対数増殖期後半、より好ましくは定常期に到達する時間をあげることができる。上記の親株とは、上記欠損に供した元株のことをいい、親株は野生型の微生物であっても、産業上有用な改良を施された変異株、細胞融合株、形質導入株あるいは遺伝子組換え技術を用いて造成した組換え株であってもよい。
また、本発明の微生物としては配列番号2で表されるアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなる蛋白質をコードするDNAを染色体DNA上に有し、かつ配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質をコードするDNAを染色体DNA上に有する親株より生育が向上した微生物であれば、いずれの微生物であってもよく、該微生物としては、例えばEscherichia属に属する微生物などをあげることができ、Escherichia属に属する微生物としては、Escherichia coliなどをあげることができる。
上記Escherichia coliとしては、配列番号2で表されるアミノ酸配列を有する蛋白質をコードするDNAの一部または全部が欠損している染色体DNAを有するEscherichia coliをあげることができる。
配列番号2で表されるアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列をコードするDNAを染色体DNA上に有する微生物は、配列番号2で表されるアミノ酸配列をコードするDNAに部位特異的変異を導入することにより取得することができる。部位特異的変異の導入は、モレキュラー・クローニング第3版、カレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジー、Nucleic Acids Research, 10, 6487 (1982)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 79, 6409(1982)、Gene, 34, 315 (1985)、Nucleic Acids Research, 13, 4431 (1985)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82, 488 (1985)等に記載の方法に準じて行うことができる。
欠失、置換若しくは付加されるアミノ酸の数は特に限定されないが、上記の部位特異的変異法等の周知の方法により欠失、置換若しくは付加できる程度の数であり、1個から数十個、好ましくは1〜20個、より好ましくは1〜10個、さらに好ましくは1〜5個である。
また、1以上のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたとは、同一配列中の任意の位置において、1または複数のアミノ酸残基の欠失、置換若しくは付加があることを意味し、欠失、置換若しくは付加が同時に生じてもよく、欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を有する蛋白質をコードするDNAを染色体DNA上に有する微生物が、欠失、置換若しくは付加前のアミノ酸配列を有する蛋白質をコードするDNAを染色体DNA上に有する該微生物の親株より生育が向上していればいずれのアミノ酸が欠失、置換若しくは付加してもよいし、置換または付加されるアミノ酸残基は天然型と非天然型とを問わない。天然型アミノ酸残基としては、L-アラニン、L-アスパラギン、L-アスパラギン酸、L-グルタミン、L-グルタミン酸、グリシン、L-ヒスチジン、L-イソロイシン、L-ロイシン、L-リジン、L-メチオニン、L-フェニルアラニン、L-プロリン、L-セリン、L-スレオニン、L-トリプトファン、L-チロシン、L-バリン、L-システインなどがあげられる。
上記のアミノ酸の欠失、置換若しくは付加がないアミノ酸配列からなる蛋白質をコードするDNAを染色体DNA上に有する親株より生育が向上した微生物とは、1以上のアミノ酸の欠失、置換若しくは付加が導入された微生物と該微生物の親株を同一の培地を用いて同一時間培養したとき、親株より菌体数が多い微生物のことをいう。培養する時間は、1以上のアミノ酸の欠失、置換若しくは付加が導入された微生物と該微生物の親株の菌対数を正確に比較できる時間であればいずれの時間でもよいが、好ましくは対数増殖期後半、より好ましくは定常期に到達する時間をあげることができる。上記の親株とは、上記アミノ酸の欠失、置換若しくは付加に供した元株のことをいい、親株は野生型の微生物であっても、産業上有用な改良を施された変異株、細胞融合株、形質導入株あるいは遺伝子組換え技術を用いて造成した組換え株であってもよい。
本発明の微生物の製造法としては、1)微生物の染色体DNA上の各一遺伝子を網羅的に破壊した遺伝子欠損株ライブラリー、あるいは20kbp程度の削除可能染色体DNA領域のそれぞれを網羅的に欠損させた欠損変異株ライブラリーを用いて、該ライブラリーから親株より生育が向上した株を選択する方法、2)相同組換え法などを用いて、yhdA遺伝子の全部または一部が欠損したEscherichia coliを製造する方法、3)相同組換え法などを用いて、yhdA遺伝子がコードする蛋白質のアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列をコードするDNAを染色体DNA上に有するEscherichia coliを製造する方法、4)相同組換え法などを用いて、染色体DNA上にある、Escherichia coliyhdA遺伝子と80%以上の相同性を有する遺伝子の全部または一部が欠損した微生物の製造する方法などをあげることができる。
1)の方法でいう親株とは、上記遺伝子破壊または染色体DNA領域欠損処理に供した元株のことをいい、親株は野生型の微生物であっても、産業上有用な改良を施された変異株、細胞融合株、形質導入株あるいは遺伝子組換え技術を用いて造成した組換え株えあってもよい。
上記1)の遺伝子または領域欠損株ライブラリーの作製法としては、欠損させたい遺伝子または領域の末端配列を含むDNAをサブクローニングし、次に該DNAで薬剤耐性遺伝子を挟んだDNA断片を構築した後、該DNA断片を二回相同組換えにより染色体DNAに導入することで遺伝子または領域欠損株ライブラリーを構築する方法〔蛋白質 核酸 酵素、46、2386(2001)〕をあげることができる。
上記の遺伝子または領域欠損株ライブラリーをスクリーニング源として用いることにより、明確に限定された一遺伝子あるいは遺伝子群の破壊のみが生育に及ぼす影響を観察することができ、変異剤を用いたときのように不明な変異が生育に悪影響を及ぼす現象を排除することができる。
生育が向上した株を選択する具体的な方法としては、グルコースを含む完全培地に、遺伝子または領域欠損株ライブラリーの各菌株を植菌し、親株と生育を比較する方法をあげることができる。例えば、親株としてEscherichia coliの野生型株であるW3110株などを用いた場合、グルコースを含む完全培地として、アンチバイオティクメディウム3(ディフコ社製)を用いて生育を比較することができる。
生育を比較する方法としては、親株とライブラリーの各菌株を液体培地で培養したときの培養液の580〜660nm、好ましくは660nmの吸光度を計測し、親株とライブラリーの各菌株の培養液の該吸光度を比較する方法をあげることができる。
同一時間培養したとき、親株より高い濁度を示す菌株を選択することにより、親株より生育が向上した菌株を取得することができる。
次に、上記方法にて選択した菌株それぞれが持つ遺伝子欠損を、形質導入法にて、親株とは異なる同種の株に形質転換する。形質導入法としてはファージによる形質導入[Ann. Rev. Genetics, 2, 245(1968)]、ナチュラルコンピテンシーを用いる方法[Molecular Biological Method for Bacillus, 33,John Wiley & Sons Ltd.(1990)]などをあげることができる。微生物としてEscherichia coliを用いる場合、P1ファージによる形質導入方法が好ましい。各欠損を導入する株は野生型株が好ましいが、該各欠損が導入可能な株であれば、変異を有する株であってもよい。例えば、親株としてEscherichia coli W3110株を用いた場合、選択した生育が向上した菌株が有する遺伝子欠損をP1ファージによる形質導入法によって野生型株であるEscherichia coli MG1655株に導入する方法をあげることができる。
上記のようにそれぞれの欠損を野生株に形質導入して作製された菌株ライブラリーを再度、濁度を指標としたスクリーニングに供し、同一時間培養したときの培養液の吸光度が野生型株よりも高い株を選抜することにより、最終的な生育向上株を取得することができる。
上記方法により取得される微生物としては、Science 277, 1453(1997)に記載されたb番号表記で、b3252−b3254間とb2236−b2259間が欠損した染色体DNAを有するEscherichia coli、およびb3252で表される遺伝子(以下、yhdA遺伝子と呼ぶ)のみを欠損破壊したEscherichia coliをあげることができる。
上記2)の方法としては、直鎖DNAによる染色体上の相同組換えが可能なEscherichia coliを用いる方法をあげることができる。
直鎖DNAとしては、クロラムフェニコール耐性遺伝子の両端にyhdA遺伝子の末端の配列と相同性を有するDNAを配置した直鎖DNAをあげることができる。
該直鎖DNAを、直鎖DNAによる染色体上の相同組換えが可能なEscherichia coliに、コンピテントセルを用いたエレクトロポレーションなどの方法により導入し、クロラムフェニコール耐性株を選択することで、yhdA遺伝子欠損Escherichia coliを取得することができる。
上記3)の方法としては、配列番号1で表される塩基配列を有するDNAに、部位特異的変異を導入することにより、該DNAがコードするアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列をコードする変異型DNAを取得し、相同組換え法を用いることにより、配列番号1で表される塩基配列を有するDNAが該変異型DNAに置換された染色体DNAを有する微生物を製造する方法などをあげることができる。
上記4)の方法としては、配列番号1で表される塩基配列を有するDNAをクエリーに用いて、各微生物の染色体DNAの塩基配列データベースから、該DNAと相同性が80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の相同性を有する遺伝子を同定し、各微生物において確立されている相同組換え法を用いて該遺伝子が欠損した微生物を製造する方法をあげることができる。
本発明の製造法は、本発明の微生物を培地に培養し、培養物中に有用物質を生成、蓄積させ、該培養物から該有用物質を採取することを特徴とする有用物質の製造法に関する。
該有用物質としては、微生物を用いて製造される有用物質であれば特に限定されないが、例えばタンパク質、アミノ酸、核酸、ビタミン、糖、有機酸、脂質などあげることができる。
本発明の製造法に用いられる微生物の培養は、以下に記載した通常の方法に従って行うことができる。
本発明の製造法に用いられる微生物を培養する培地は、該微生物が資化し得る炭素源、窒素源、無機塩類等を含有し、該微生物の培養を効率的に行える培地であれば天然培地、合成培地のいずれを用いてもよい。
炭素源としては、該微生物が資化し得るものであればよく、グルコース、フラクトース、スクロース、これらを含有する糖蜜、デンプンあるいはデンプン加水分解物等の炭水化物、酢酸、プロピオン酸等の有機酸、エタノール、プロパノールなどのアルコール類等を用いることができる。
窒素源としては、アンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機酸または有機酸のアンモニウム塩、ペプトン、肉エキス、酵母エキス、コーンスチープリカー、カゼイン加水分解物、大豆粕、大豆粕加水分解物、各種発酵菌体、およびその消化物等を用いることができる。
無機塩としては、リン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸銅、炭酸カルシウム等を用いることができる。
培養は、振盪培養または深部通気攪拌培養などの好気的条件下で行う。培養温度は15〜40℃がよく、培養時間は、通常 16時間〜7日間である。培養中のpHは3. 0〜9.0に保持することが好ましい。pHの調整は、無機または有機の酸、アルカリ溶液、尿素、炭酸カルシウム、アンモニアなどを用いて行う。
有用物質が菌体外に生成、蓄積した場合には、培養終了後、培養物から菌体などの沈殿物を除去し、イオン交換処理法、濃縮法、塩析法などを併用することにより、培養物から目的する有用物質を単離、精製することができる。
有用物質が、菌体内に生成、蓄積される場合には、培養終了後、培養物から菌体を回収した後、機械的または化学的方法等の適切な方法で破砕する。該菌体破砕液から、イオン交換処理法、濃縮法、塩析法などを併用することにより、該菌体破砕液から目的とする有用物質を単離、精製することができる。
以下実施例にて、本発明を詳細に記述する。
染色体部分欠損株の一次スクリーニング
野生型株MG1655株を親株として、蛋白質 核酸 酵素、46、2386(2001)記載の方法に従い、染色体上の一部分を欠損している変異株ライブラリーを作製した。
上記変異株ライブラリーの各菌株と野生型株であるW3110株およびMG1655株のグリセロールストックを、50μg/mlのジアミノピメリン酸を含むアンチバイオティクメディウム3寒天平板培地(0.15% 肉エキス、0.15% 酵母エキス、0.5% ペプトン、0.1% グルコース、0.35% 塩化ナトリウム、0.132% リン酸水素二カリウム、1.5% 寒天、pH7.0)に塗布し、30℃にて一晩培養した。生育してきた菌をエーゼにて約1μlかきとり、50μg/mlのジアミノピメリン酸を含む8mlのアンチバイオティクメディウム3液体培地(0.15% 肉エキス、0.15% 酵母エキス、0.5% ペプトン、0.1% グルコース、0.35% 塩化ナトリウム、0.132% リン酸水素二カリウム、pH7.0)に植菌し、30℃にて一晩振とう培養し、前培養液を調製した。
80μlの該前培養液を、50μg/mlのジアミノピメリン酸を含む8mlのアンチバイオティクメディウム3液体培地に植菌し、植菌後一時間おきに比色計を用いて660nmの吸光度を測定し、20〜24時間培養したときの吸光度を最終到達濁度とした。7時間目以降は、培養液を10倍希釈したときの吸光度も測定し、必要に応じて濁度の算出に用いた。その結果を表1に示す。なお、一晩培養した後の野生型株W3110株の濁度を100%とする比濁度を最終到達比濁度として示した。その結果、表1に示すように、W3110株よりも10%以上濁度が高くなる株として、以下の5つの欠損領域を持つ株を取得した。上記培養評価は、独立した2回の実験において、各々の株を5本の試験管を用いて培養することで行い、すべての培養において表1に示す結果が得られた。
Figure 0004376038
P1ファージによる欠損領域の他系統株への導入と培養評価
実施例1で取得した生育向上候補株が持つそれぞれの染色体欠損を、Ann. Rev. Genetics, 2, 245(1968)記載の方法に従い、P1ファージを用いて野生型株W3110株に形質導入した。
実施例1で作製した染色体欠損ライブラリーの各欠損株の薬剤耐性マーカー遺伝子は、カナマイシン耐性遺伝子なので、カナマイシン耐性を指標にしてP1ファージ形質導入法により野生型株W3110株に形質導入することができる。
まず各欠損株よりP1ファージを以下の方法により調製した。各欠損株を20mg/lのカナマイシンを含むLB液体培地[10g/l バクトトリプトン(ディフコ社製)、5g/l バクトイーストエキストラクト(ディフコ社製)、5g/l塩化ナトリウム、1ml/lの1mol/l 水酸化ナトリウム]を用いて30℃にて一晩培養した後、0.5mlの各欠損株の培養液と1.4mlの新しいLB液体培地および100μlの0.1mol/lの塩化カルシウム溶液と混合した。
該混合溶液を30℃で5〜6時間振とう培養した後、400μlの該混合液を滅菌したチューブに移した。そこに2μlのP1ファージストック溶液を添加し、37℃で10分間保温した後、50℃に保温したソフトアガー溶液(10g/l バクトトリプトン、5g/l バクトイーストエキストラクト、5mmol/l 塩化カルシウム、1ml/lの1mol/l 水酸化ナトリウム、3g/l寒天)を3ml添加して、よく攪拌し、Ca−LB寒天培地プレート(10g/l バクトトリプトン、5g/l バクトイーストエキストラクト、5mmol/l 塩化カルシウム、1ml/lの1mol/l 水酸化ナトリウム、15g/l寒天、プレートの直径は15cm)上にまいた。該プレートを37℃で7時間培養した後、スプレッダーでソフトアガー部分を細かく砕いて回収し、1500g、4℃、10分間遠心分離した。上清1.5mlに対し100μlのクロロホルムを添加し、4℃にて一晩保存した。翌日溶液を15000gにて2分間遠心分離し、上清をファージストックとして4℃で保存した。
次に、取得したファージを用いてW3110株を形質転換した。Ca−LB液体培地で30℃、4時間培養したW3110株培養液を200μl分取し、ファージストックを1μl添加した。37℃で10分間保温した後、5mlのLB液体培地と200μlの1mol/lのクエン酸ナトリウム溶液を添加し、攪拌した。1500g、25℃、10分間遠心分離した後、上清を捨て、沈殿した細胞に1mlのLB液体培地と10μlの1mol/lのクエン酸ナトリウム溶液を加え30℃で2時間保温した。100μlの該溶液を20mg/lのカナマイシンを含むアンチバイオティックメディウム3寒天平板培地に塗布し、30℃で一晩培養した。各々の欠損導入株毎に出現したコロニー24個をそれぞれ、20mg/lのカナマイシンを含むアンチバイオティックメディウム3寒天平板培地に塗布し、その薬剤感受性を確認し、カナマイシン耐性株を選抜することにより、各欠損領域が形質導入されたW3110株を取得した。これら菌株を実施例1と同様の方法で培養し、培養評価を行った。その結果、表2に示すように、野生型株W3110よりも10%以上の濁度上昇を示す株として以下の2つの欠損領域を持つ株を取得した。上記培養評価は、独立した2回の実験において、各々の株を5本の試験管を用いて培養することで行い、すべての培養において表2に示す結果が得られた。
Figure 0004376038
OCL−25欠損領域内の各遺伝子破壊株作製と培養評価
実施例2で選択した欠損領域OCL−25には3つの推定遺伝子領域(CDS)が存在した。そこで各CDSを薬剤耐性遺伝子で破壊した菌株を作製し、濁度を指標として液体培養時の生育を測定した。
OCL−25領域に含まれる各遺伝子の欠損株は以下のように作製した。実施例2記載の方法に従い、直鎖DNAによる染色体上の相同組換えが可能なEscherichia coli KM22株[Δ(recC ptr recB recD)::Plac-red kan)、Gene, 246, 321 (2000)]より、P1ファージを調製した。実施例2記載の方法に従い、直鎖DNAによる染色体上の相同組換えを可能とする染色体領域[Δ(recC ptr recB recD)::Plac-red kan]をP1形質導入法にて野生株W3110に形質導入し、W3110red株を取得した。
次に、pHSG398プラスミドDNA(宝酒造社製)を鋳型にしたPCRにより、yhdA遺伝子(b3252)破壊用DNA断片を取得した(図1)。PCRには宝酒造社製のLA−Taqを用い、添付の説明書に従い、該説明書記載の組成からなる反応液を作製した。PCRは、50μlの反応液量、94℃で1分間保温後、98℃で20秒間、58℃で30秒間、68℃で3分間のサイクルを30回行った後、72℃で10分間保温する反応条件で行った。鋳型DNAとしては精製pHSG398プラスミドDNA 40ngを用いた。PCRのプライマーDNAには、センス鎖プライマーとして配列番号3で表される塩基配列からなるDNA、アンチセンス鎖プライマーとして配列番号4で表される塩基配列からなるDNAを用いた。該プライマーDNAのそれぞれの3’末端の20merはpHSG398中のクロラムフェニコール耐性遺伝子の両末端にハイブリダイズするように設計した。またそれぞれのプライマーの5’末端40merは、破壊したいyhdA遺伝子の末端の配列と相同性を持つように設計した。このように設計したプライマーを各々10pmolずつ上記反応液に添加した。上記PCRにて、クロラムフェニコール耐性遺伝子(cat遺伝子)を含み、両末端にyhdA遺伝子末端40塩基と相同な領域を持つDNA断片を取得した。このDNA断片をQIA quick PCR Purification Kit(QIAGEN社製)を用いて精製し、50μlのDNA溶液を得た。
エタノール沈殿法にてこの溶液中のDNAを沈殿として回収し、全量を40μlのW3110red株コンピテントセル溶液に添加して形質転換を行った。W3110red株コンピテントセルの作製方法はGene, 246, 321 (2000)記載の方法に従った。また形質転換は、精製したDNAを数μl程度の少量の純水で溶解した後、コンピテントセル溶液40μlに添加し、0.1cmのキュベット(BioRad社製)中で、1.8KV、25μFの条件下、エレクトロポレーションにより行った。1mlのSOC液体培地(20g/l バクトトリプトン、5g/lバクトイーストエキストラクト、0.5g/l 塩化ナトリウム、0.2ml/lの5mol/l 水酸化ナトリウム、20ml/lの1mol/l グルコース、10ml/lの1mol/l塩化マグネシウム、10ml/lの1mol/l 硫酸マグネシウム)を用いて37℃で2時間培養した後、遠心分離により集菌した全量を、15μg/mlのクロラムフェニコールを含むLB寒天プレート(LB液体培地に寒天を1.5%含むもの。以下、LBcm寒天培地プレートと略す)上に塗布し、37℃で一晩培養し、クロラムフェニコール耐性株を取得した。
上記のようにしてyhdA遺伝子をクロラムフェニコール耐性遺伝子で置換的に削除した、W3110ΔRyhdA株を取得した(図1)。また、b3253(yhdH)、b3254の各遺伝子を削除した菌株(それぞれW3110ΔyhdH株、W3110Δb3254株と呼ぶ)も同様の方法で作製した(図2)。またW3110ΔRyhdA株とは逆方向にクロラムフェニコール耐性遺伝子を挿入してyhdA遺伝子を削除した株(W3110ΔyhdA株)ならびにyhdAからb3254までの3つの遺伝子を同時に削除した株(W3110ΔL25株)も作製した(図2)。
それぞれの欠損株を作製する際に使用したプライマーを表3に示した。
Figure 0004376038
上記のようにして作製した各菌株を、実施例1と同様の方法で培養し、培養評価を行った。その結果を表4に示した。上記培養評価は、独立した2回の実験において、各々の株を5本の試験管を用いて培養することで行い、すべての培養において表4に示す結果が得られた。
Figure 0004376038
合成培地を用いたyhdA欠損株の培養評価
実施例3で作製したW3110ΔRyhdA株ならびにW3110ΔL25株の培養評価を、合成培地を用いて行った。比較対照には野生型株W3110株を用いた。
各菌株のグリセロールストックを50μg/mlのジアミノピメリン酸を含むアンチバイオティクメディウム3寒天平板培地に塗布し、30℃にて一晩培養した。生育してきた菌をエーゼにて約1μlかきとり、50μg/mlのジアミノピメリン酸を含む8mlのアンチバイオティクメディウム3液体培地に植菌し、30℃にて一晩振とう培養し、前培養液を調製した。300μlの該前培養液を、30mlの最少液体培地(1.2% グルコース、0.6% リン酸二ナトリウム、0.3% リン酸二水素カリウム、0.05% 塩化ナトリウム、0.1%塩化アンモニウム、2mmol/l 硫酸マグネシウム・七水和物、12.5μmol/l 硫酸鉄、100μmol/l 塩化カルシウム)に植菌した。植菌直後ならびに培養開始から12、16、20、24、36、40、44および48時間目の培養液をサンプリングし、660nmの吸光度(図3)と培養液あたりのタンパク量(図4)を測定した。タンパク量の測定は以下の方法で行った。
100μlの培養液から遠心分離(10,000g×10分間)にて回収した菌体を、1mlの純水で洗浄した後に再度遠心分離を行い(10,000g×10分間)、得られた菌体を160μlの純水にけん濁後、40μlの5% SDS溶液を添加して100℃で3分間加温し、室温に戻した後、800μlの1%SDS溶液を添加した。該溶液を用いて、バイオラッド社製のDCプロテインアッセイキットにより、菌体由来の総タンパクを定量し、培地あたりのタンパク量を計算した。検量線作成用の標準タンパク質には、ウシのIgGを用いた。その結果、いずれの欠損株も、図3に示すように、培養36時間目において濁度で約20%、また図4に示すように、培地あたりのタンパク量で約10%、野生株よりも高かった。
OCL−25領域欠損株によるプロリンの製造
実施例2記載の方法により、直鎖DNAによる染色体上の相同組換えが可能なEscherichia coli KM22株よりP1ファージを調製した。また、実施例2記載の方法に従い、直鎖DNAによる染色体上の相同組換えを可能とする染色体領域[Δ(recC ptr recB recD)::Plac-red kan]をP1形質導入法にて野生株W3110に形質導入し、W3110red株を取得した。
次に、以下の方法により、W3110red株のカナマイシン耐性遺伝子とテトラサイクリン耐性遺伝子とを置換した株であるW3110red_tet株を作製した。
W3110red株の染色体DNA(10ng)を鋳型とし、配列番号13および14で表される塩基配列からなるDNAをプライマーセット(各50pmol)に用いて、LA-Taq(宝酒造社製)に添付の指示書に従いPCR反応液を調製した。PCRは、94℃で2分間保温後、94℃で15秒間、55℃で20秒間、68℃で3分間のサイクルを30回繰り返した後、72℃で10分間保温するという条件で行った。
増幅したDNA断片をアガロースゲル電気泳動法にて分離した後、常法によりゲルから切り出して精製した(以下、DNA断片1と称す)。
また、Tn10トランスポゾンを染色体上に持つCGSC7465株(米国Yale大学のColi Genetic Stock Centerから入手)の染色体DNA(10ng)を鋳型とし、配列番号15および16で表される塩基配列からなるDNAをプライマーセット(各50pmol)に用いて、LA-Taqに添付の指示書に従いPCR反応液を調製した。PCRは、94℃で2分間保温後、94℃で15秒間、55℃で20秒間、68℃で90秒間のサイクルを30回繰り返した後、72℃で10分間保温するという条件で行った。
増幅したDNA断片をアガロースゲル電気泳動法にて分離した後、常法によりゲルから切り出して精製した(以下、DNA断片2と称す)。
また、W3110red株の染色体DNA(10ng)を鋳型とし、配列番号17および18で表される塩基配列からなるDNAをプライマーセット(各50pmol)に用いて、LA-Taqに添付の指示書に従いPCR反応液を調製した。PCRは、94℃で2分間保温後、94℃で15秒間、55℃で20秒間、68℃で3分間のサイクルを30回繰り返した後、72℃で10分間保温するという条件で行った。
増幅したDNA断片をアガロースゲル電気泳動法にて分離した後常法によりゲルから切り出して精製した(以下、DNA断片3と称す)。
次に、上記で得られたDNA断片1〜3(それぞれ10ng)を鋳型とし、配列番号19および20で表される塩基配列からなるDNAをプライマーセット(各50pmol)に用いて、LA-Taqに添付の指示書に従いPCR反応液を調製した。PCRは、94℃で2分間保温後、94℃で15秒間、55℃で20秒間、68℃で3分間のサイクルを30回繰り返した後、72℃で10分間保温するという条件で行った。
増幅したDNA断片をアガロースゲル電気泳動法にて分離した後、常法によりゲルから切り出して精製した(以下、DNA断片4と称す)。該DNA断片はカナマイシン耐性遺伝子に相同性のある配列を両端に持ち、中央部にテトラサイクリン耐性遺伝子をもつものである。
1μgのDNA断片4を30μlのW3110red株のコンピテントセル溶液に添加して、形質転換を行った。W3110red株のコンピテントセルは、Gene, 246, 321 (2000)に記載の方法に従って調製した。形質転換は、0.1cmのキュベット(BioRad社製)を用い、1.8KV、25μFの条件で、エレクトロポレーションにより行った。形質転換に供した細胞は、2mmol/lのIPTGを含む1mlのSOB液体培地[20g/l バクトトリプトン(Difco社製)、5g/l バクトイーストエキストラクト(Difco社製)、0.5g/l 塩化ナトリウム、0.2ml/lの5mol/l 水酸化ナトリウム、10ml/lの1mol/l 塩化マグネシウム、10ml/lの1mol/l 硫酸マグネシウム]を用いて30℃で3時間培養した後、100μlを、20μg/mlのテトラサイクリンを含むLB寒天プレート(LB液体培地に寒天を1.5%含むもの)上に塗布し、37℃で一晩培養した。テトラサイクリン耐性株として染色体上のカナマイシン耐性遺伝子がテトラサイクリン耐性遺伝子と置換された、目的とする形質転換株W3110red_tet株を取得した。
次に、以下の方法によりW3110red株を親株として、プロリン生産株を作製した。
まず、W3110red株を親株として、プロリン分解酵素構造遺伝子putAを破壊した株W3110redΔputA::cat株を作製した。pHSG398プラスミドDNAを鋳型にし、配列番号21および22で表される塩基配列からなるDNAをプライマーセットとして用いたPCRにより、クロラムフェニコール耐性遺伝子を含むDNA断片を増幅させた。PCRは、宝酒造社製のEX-Taqを用いて、精製プラスミドDNA 20ng、各プライマー 50pmolを含む反応液100μlをEX-Taqに添付の指示書に従い調製し、95℃で1分間保温後、94℃で30秒間、64℃で30秒間、72℃で1分間のサイクルを30回繰り返した後、72℃で3分間保温するという条件で行った。反応液全量をQIA quick PCR Purification Kitを用いて精製し、30μlのDNA溶液を得た。次に混入している微量のプラスミドpHSG398を分解するため、DNA溶液全量に対して制限酵素pstIとbglIそれぞれを10Uずつ添加した反応液100μlを制限酵素添付の指示書に従い調製し、37℃で2時間保温後、全量をQIA quick PCR Purification Kitを用いて精製し、30μlのDNA溶液を得た。
次に、該DNA溶液0.1μlを鋳型として、配列番号23および24で表される塩基配列からなるDNAをプライマーセットとして用いたPCRにより、クロラムフェニコール耐性遺伝子を中央部に持ち、両端にputA遺伝子の5’末端(配列番号25で表される塩基配列からなるDNA)と3’末端(配列番号26で表される塩基配列からなるDNA)を配したDNA断片を増幅させた。PCRは、EX-Taqを用いて、精製鋳型DNA 0.1μl(約10ngのDNAを含む)、各プライマー 50pmolを含む反応液100μlをEX-Taqに添付の指示書に従い調製し、95℃で1分間保温後、94℃で30秒間、51℃で30秒間、72℃で1分間のサイクルを30回繰り返した後、72℃で3分間保温するという条件で行った。反応液全量をQIA quick PCR Purification Kitを用いて精製した。
次に、1μgの該DNAを30μlのW3110red株のコンピテントセル溶液に添加して、形質転換を行った。W3110red株の形質転換は、上記と同様の条件でエレクトロポレーションにより行った。
形質転換した細胞溶液100μlを、50μg/mlのクロラムフェニコールを含むLB寒天プレート(LB液体培地に寒天を1.5%含むもの。以下、LBcm寒天培地プレートと略す)上に塗布し、37℃で一晩培養した。クロラムフェニコール耐性株として染色体上のputA遺伝子がクロラムフェニコール耐性遺伝子と置換された、目的とする形質転換株W3110redΔputA::cat株を取得した。
次にW3110redΔputA::cat株を親株として、proBAオペロンを破壊したPK株を作製した。プラスミドpFastBACdual(インビトロジェン社製)を鋳型にし、配列番号27および28で表される塩基配列からなるDNAをプライマーセットとして用いたPCRにより、ゲンタマイシン耐性遺伝子を含むDNA断片を増幅させた。PCRは、pFastBACdual 10ng、各プライマー 20pmolを含む反応液25μlをLA-Taqに添付の指示書に従い調製し、94℃で3分間保温後、94℃で15秒間、55℃で20秒間、68℃で1分間のサイクルを30回繰り返した後、72℃で10分間保温するという条件で行った。反応終了後、反応液全量をQIA quick PCR Purification Kitを用いて精製し、50μlのDNA溶液を得た。
次に、該DNA溶液1μlを鋳型として、配列番号29および30で表される塩基配列からなるDNAをプライマーセットとして用いたPCRにより、ゲンタマイシン耐性遺伝子を中央部に持ち、両端にproBAオペロンの5’末端(配列番号31で表される塩基配列からなるDNA)と3’末端(配列番号32で表される塩基配列からなるDNA)を配したDNA断片を増幅させた。PCRは、精製鋳型DNA1μl(約10ngのDNAを含む)、各プライマー 20pmolを含む反応液25μlをLA -Taqに添付の指示書に従い調製し、94℃で3分間保温後、94℃で15秒間、55℃で20秒間、68℃で1分間のサイクルを30回繰り返した後、72℃で10分間保温するという条件で行った。反応液全量をQIA quick PCR Purification Kitを用いて精製した(以下、DNA断片5と称す)。
また、proBAオペロンの5’側上流および3’側下流のそれぞれ1kbpの領域を染色体DNAを鋳型としてPCRにて、作製した。5’上流領域(以下、DNA断片6と称す)の作製には配列番号33と配列番号34で表される塩基配列からなるDNAをプライマーセットを用いた。3’下流領域(以下、DNA断片7と称す)の作製には配列番号35と配列番号36で表される塩基配列からなるDNAをプライマーセットとして用いた。それぞれのPCRは、プライマーセットが異なるのみであり、次の条件で行った。すなわち、W3110red株の染色体DNA(10ng)を鋳型とし、各プライマー20pmolずつを含む反応液25μlをLA-Taqに添付の指示書に従い調製し、94℃で3分間保温後、94℃で15秒間、55℃で20秒間、68℃で1分間のサイクルを30回繰り返した後、72℃で10分間保温するという条件で行った。反応液全量をQIA quick PCR Purification Kitを用いて精製した。
次に、上記で得られたDNA断片5〜7を鋳型としたPCRを行い、3つの断片を連結したものを作製した。すなわち、DNA断片5〜7(それぞれ10ng)を鋳型にし、配列番号33、配列番号36に示したプライマーを各20pmol含むPCR反応液25μlをLA-Taqに添付の指示書に従い調製し、94℃で3分間保温後、94℃で15秒間、55℃で20秒間、68℃で3分間のサイクルを30回繰り返した後、72℃で10分間保温するという条件で行った。
増幅したDNA断片をアガロースゲル電気泳動法にて分離した後、ゲルから切り出して精製した(以下、DNA断片8と称す)。該DNA断片8はproBAオペロンの5’上流1kbpの領域に相同性のある配列を一方の端に持ち、中央部にゲンタマイシン耐性遺伝子を配し、もう一方の端にproBAオペロンの3’下流1kbpの領域に相同性のある配列を持つDNA断片である。
精製した1μgのDNA断片8を50μlのW3110redΔputA::cat株のコンピテントセル溶液に添加して、形質転換を行った。W3110redΔputA::cat株のコンピテントセルは、前述のW3110red株コンピテントセル作製と同様の方法により作製した。形質転換は、前述のW3110red株の形質転換法と同様の方法により行った。ただし、形質転換株の選択培地は5μg/mlのゲンタマイシンを含むLB寒天プレートを用いた。
ゲンタマイシン耐性株として染色体上のproBAオペロンがゲンタマイシン耐性遺伝子と置換された、目的とする形質転換株PK株を取得した。
M9最小寒天培地(1.5% 寒天、1.2% グルコース、0.6% リン酸二ナトリウム、0.3% リン酸二水素カリウム、0.05% 塩化ナトリウム、0.1% 塩化アンモニウム、2mmol/l 硫酸マグネシウム・七水和物、12.5μmol/l 硫酸鉄、100μmol/l 塩化カルシウム)ならびにプロリン(8mg/l)を含むM9最小寒天培地、それぞれにPK株を塗布して30℃にて一晩培養し生育を調べたところ、プロリンを含む最小培地では生育したが、プロリンを含まない最小培地では生育せず、PK株は明確なプロリン要求性を示すことが確認された。
次に、PK株に変異型proBAオペロンを導入することにより、プロリン生産性変異株PKB74株を以下の方法により作製した。
W3110red株の染色体DNAを鋳型として、配列番号33および36で表される塩基配列からなるDNAをプライマーセットとして用いたPCRにより、proBAオペロンを含む4kbpのDNA断片を増幅した。PCRは、染色体DNA 10ng、各プライマー 20pmolを含む反応液25μlをLA-Taqに添付の指示書に従い調製し、94℃で3分間保温後、94℃で15秒間、55℃で20秒間、68℃で4分間のサイクルを30回繰り返した後、72℃で10分間保温するという条件で行った。
増幅したDNA断片をアガロースゲル電気泳動法にて分離した後、常法によりゲルから切り出して精製した後、市販のキット(キアゲン社製PCR-Script Cloning Kit)を用いて、プラスミドpPCR-Script Ampにクローン化し、プラスミドpPCR proBA を作製した。
pPCR proBAを鋳型とし、キアゲン社製QuickChange Kitを用いてin vitroにてproBAに、既報の点突然変異proB74〔L.Csonka, and et al : Gene, 64, 199-205 (1988)〕を導入した。QuickChange Kitを用いたin vitro変異導入は、添付の指示書に従って行い、proBAオペロン中のproB遺伝子に上記変異が導入されたプラスミドpPCR proB74を作製した。上記変異点導入のために用いた変異型配列を持つプライマーDNAの塩基配列は配列番号37に示した。
次に、pPCR proB74を制限酵素BsrGIを用いて切断した後、アガロース電気泳動法にて変異型proBAオペロンを含むDNA断片を分離し、ゲルから回収精製した。
精製した変異型proBAオペロンを含むDNA断片2μgを、Gene, 246, 321 (2000)に記載の方法に従って調製したPK株のコンピテントセル 50μlに添加し、形質転換を行った。形質転換は、前述のエレクトロポレーション法により行った。ただし、形質転換株の選択培地はM9最小寒天培地にて行い、プロリン要求性を示さない株を選択することにより、目的とするプロリン生産性変異株PKB74株を取得した。
PKB74株はその染色体上にカナマイシン耐性遺伝子(kan)を保有する[Δ(recC ptr recB recD)::Plac-red kan]。以下の方法により、該カナマイシン耐性遺伝子をテトラサイクリン耐性遺伝子に置換した。
上記で作製したW3110red_tet株を用いて、P1形質導入ファージを調製した。該ファージを用いて、PKB74株を形質転換した。形質転換体の選択は20mg/lのテトラサイクリンを含むLB寒天平板培地を用いた。テトラサイクリン耐性株を選択することにより、カナマイシン耐性遺伝子がテトラサイクリン耐性遺伝子に置換したPKB74_tet株を取得した。
次に、PKB74_tet株に各種染色体欠失を導入した。染色体部分欠損株OCL−25株からP1形質導入ファージを上記方法にて取得し、該ファージを用いてPKB74_tet株を形質転換した後、20mg/lのカナマイシンを含むLB寒天平板培地でカナマイシン耐性株を選択することによりPKB74_tet株のOCL−25領域が欠失した菌株ΔOCL−25を取得した。
上記で取得したPKB74_tet株およびΔOCL−25株の種菌をLB寒天培地(15g/l 寒天、10g/l バクトトリプトン、5g/l バクトイーストエキストラクト、5g/l 塩化ナトリウム、1ml/lの1mol/l 水酸化ナトリウム)に塗布し、30℃にて一晩培養した。十分に生育したコロニーをかきとり、それぞれ5mlのLB液体培地が入った試験管に植菌し、30℃にて20時間、振とう培養した。500μlの該培養液を、それぞれ50mlのMed7液体培地(3% グルコース、0.8% ペプトン、0.1% リン酸二水素カリウム、0.05% 硫酸マグネシウム・7水和物、0.002% 塩化カルシウム、1% 炭酸カルシウム、1% 硫酸アンモニウム、0.2% 塩化ナトリウム、0.03% 硫酸鉄)が入った300ml三角フラスコに植菌し、30℃にて振とう培養した。
経時的に培養物をサンプリングし、該培養物は遠心分離して、その上清を1000倍に希釈した。該希釈液をダイオネクス社製アミノ酸直接分析システムDXa−500にて分析することで、培養液中のプロリン濃度を定量した。その結果、親株であるPKB74_tet株よりもΔOCL−25株はプロリン生産量が増大していることがわかった。結果を表5に示す。
Figure 0004376038
配列番号3−人工配列の説明:合成DNA
配列番号4−人工配列の説明:合成DNA
配列番号5−人工配列の説明:合成DNA
配列番号6−人工配列の説明:合成DNA
配列番号7−人工配列の説明:合成DNA
配列番号8−人工配列の説明:合成DNA
配列番号9−人工配列の説明:合成DNA
配列番号10−人工配列の説明:合成DNA
配列番号11−人工配列の説明:合成DNA
配列番号12−人工配列の説明:合成DNA
配列番号13−人工配列の説明:合成DNA
配列番号14−人工配列の説明:合成DNA
配列番号15−人工配列の説明:合成DNA
配列番号16−人工配列の説明:合成DNA
配列番号17−人工配列の説明:合成DNA
配列番号18−人工配列の説明:合成DNA
配列番号19−人工配列の説明:合成DNA
配列番号20−人工配列の説明:合成DNA
配列番号21−人工配列の説明:合成DNA
配列番号22−人工配列の説明:合成DNA
配列番号23−人工配列の説明:合成DNA
配列番号24−人工配列の説明:合成DNA
配列番号25−人工配列の説明:合成DNA
配列番号26−人工配列の説明:合成DNA
配列番号27−人工配列の説明:合成DNA
配列番号28−人工配列の説明:合成DNA
配列番号29−人工配列の説明:合成DNA
配列番号30−人工配列の説明:合成DNA
配列番号31−人工配列の説明:合成DNA
配列番号32−人工配列の説明:合成DNA
配列番号33−人工配列の説明:合成DNA
配列番号34−人工配列の説明:合成DNA
配列番号35−人工配列の説明:合成DNA
配列番号36−人工配列の説明:合成DNA
配列番号37−人工配列の説明:合成DNA
図1は染色体DNA上のyhdA遺伝子をクロラムフェニコール耐性遺伝子で置換的に欠損させたW3110ΔRyhdA株の作製法を示す図である。図中、白抜き線は、染色体DNA上においてyhdA遺伝子の両末端に存在するDNAまたは該DNAと相同性のあるDNAを示す。 図2は、野生型株であるEscherichia coli W3110株、yhdA遺伝子をクロラムフェニコール耐性遺伝子で置換的に欠損させたEscherichia coli W3110ΔRyhdA株、yhdH遺伝子をクロラムフェニコール耐性遺伝子で置換的に欠損させたEscherichia coliW3110ΔyhdH株、E. coli b3254遺伝子をクロラムフェニコール耐性遺伝子で置換的に欠損させたE. coli W3110Δb3254株、E. coli W3110ΔRyhdA株とは逆方向にクロラムフェニコール耐性遺伝子を挿入してyhdA遺伝子を欠損させたE. coliW3110ΔyhdA株、およびyhdAからb3254までの3つの遺伝子を同時にクロラムフェニコール耐性遺伝子で置換的に欠損させたE. coliW3110ΔL25株の染色体DNAの構造を示す図である。図中、白抜き矢印、および白抜き線は、クロラムフェニコール耐性遺伝子を示す。 図3は、Escherichia coli W3110ΔRyhdA株(△)、E. coli W3110ΔL25株(◆)、およびE. coli W3110株(●)を合成培地で培養したときの生育を示す図である。縦軸は、660nmにおける吸光度、横軸は培養時間を表す。 図4は、Escherichia coli W3110ΔRyhdA株(△)、E. coli W3110ΔL25株(◆)、およびE. coli W3110株(●)を合成培地で培養したときの培養液あたりのタンパク質濃度を示す図である。縦軸は、タンパク質濃度、横軸は培養時間を表す。
符号の説明
cat:クロラムフェニコール耐性遺伝子
lacZ:β−ガラクトシダーゼ遺伝子
W3110:Escherichia coli W3110株
ΔyhdA:Escherichia coli W3110ΔyhdA株
ΔRyhdA:Escherichia coli W3110ΔRyhdA株
ΔyhdH:Escherichia coli W3110ΔyhdH株
Δb3254:Escherichia coli W3110Δb3254株
ΔL25:Escherichia coli W3110ΔL25株

Claims (3)

  1. 配列番号1で表される塩基配列からなるDNAの一部または全部が欠損した染色体DNAを有し、かつ該欠損がない染色体DNAを有する親株より生育が向上したEscherichia coliに属する微生物を培地中で培養し、培養物中に有用物質を生成、蓄積させ、該培養物から該有用物質を採取することを特徴とする有用物質の製造法。
  2. 配列番号1で表される塩基配列からなるDNAと95%以上の相同性を有するDNAの一部または全部が欠損した染色体DNAを有し、かつ該欠損がない染色体DNAを有する親株より生育が向上したEscherichia coliに属する微生物を培地中で培養し、培養物中に有用物質を生成、蓄積させ、該培養物から該有用物質を採取することを特徴とする有用物質の製造法。
  3. 有用物質が、タンパク質、アミノ酸、核酸、ビタミン、糖、有機酸および脂質からなる群より選ばれる有用物質である請求項1または2記載の製造法。
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