JP4376038B2 - 生育が向上した微生物菌株 - Google Patents
生育が向上した微生物菌株 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4376038B2 JP4376038B2 JP2003390872A JP2003390872A JP4376038B2 JP 4376038 B2 JP4376038 B2 JP 4376038B2 JP 2003390872 A JP2003390872 A JP 2003390872A JP 2003390872 A JP2003390872 A JP 2003390872A JP 4376038 B2 JP4376038 B2 JP 4376038B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- strain
- dna
- seq
- gene
- culture
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Images
Landscapes
- Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
- Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
Description
一方、多くの微生物では、その染色体DNAの全塩基配列が明らかになっている(非特許文献1)。また、相同組換え手法を用いた、特定の遺伝子あるいは染色体DNA領域が意図した通りに欠損した微生物の作製方法が知られている(非特許文献2)。上記した染色体DNAの全塩基配列情報、および相同組換え手法を利用して微生物の染色体DNA上の各一遺伝子を網羅的に破壊したライブラリー、あるいは20kbp程度の削除可能染色体DNA領域のそれぞれを網羅的に欠損させた変異株ライブラリーなどが作製されている(非特許文献3および4)。
http://www.tigr.org/tdb/mdb/mdbcomplete.html J. Bacteriol.(ジャーナル オブ バクテリオロジー), 180, 2063(1998) 蛋白質 核酸 酵素、第46巻、2386ページ、2001年 Nature Biotechnol.(ネイチャー バイオテクノロジー), 20, 1018(2002) Science(サイエンス), 277, 1453(1997)
(1) 配列番号1で表される塩基配列からなるDNAの一部または全部が欠損した染色体DNAを有し、かつ該欠損がない染色体DNAを有する親株より生育が向上した微生物。
(2) 配列番号1で表される塩基配列からなるDNAと80%以上の相同性を有するDNAの一部または全部が欠損した染色体DNAを有し、かつ該欠損がない染色体DNAを有する親株より生育が向上した微生物。
(4) 微生物が、Escherichia属に属する微生物である上記(1)〜(3)の微生物。
(6) 上記(1)〜(5)のいずれかの微生物を培地中で培養し、培養物中に有用物質を生成、蓄積させ、該培養物から該有用物質を採取することを特徴とする有用物質の製造法。
以下、本発明を詳細に説明する。
配列番号1で表される塩基配列からなるDNAと80%以上の相同性を有するDNAとは、配列番号1で表される塩基配列を有する遺伝子の相同遺伝子のことをいい、該遺伝子は、配列番号1で表される塩基配列を有するDNAの全部または一部をプローブとしたコロニー・ハイブリダイゼーション法、プラーク・ハイブリダイゼーション法あるいはサザンブロットハイブリダイゼーション法等を用いることにより取得することができる。
アミノ酸配列および塩基配列の相同性は、例えばKarlin and AltschulによるアルゴリズムBLAST[Pro. Natl. Acad. Sci. USA, 90, 5873(1993)]やFASTA[Methods Enzymol., 183, 63 (1990)]を用いて決定することができる。このアルゴリズムBLASTに基づいて、BLASTNやBLASTXとよばれるプログラムが開発されている[J. Mol. Biol., 215, 403(1990)]。BLASTに基づいてBLASTNによって塩基配列を解析する場合には、パラメーターは例えばScore=100、wordlength=12とする。また、BLASTに基づいてBLASTXによってアミノ酸配列を解析する場合には、パラメーターは例えばscore=50、wordlength=3とする。BLASTとGapped BLASTプログラムを用いる場合には、各プログラムのデフォルトパラメーターを用いる。これらの解析方法の具体的な手法は公知である(http://www.ncbi.nlm.nih.gov.)。
上記の変異DNAを有さない染色体DNAを有する親株より生育が向上した微生物とは、欠損が導入された微生物と該欠損が導入されていない親株である微生物を同一の培地を用いて同一時間培養したとき、親株より菌体数が多い微生物のことをいう。培養する時間は、上記DNAが欠損した染色体DNAを有する微生物と該微生物の親株の菌体数を正確に比較できる時間であればいずれの時間でもよいが、好ましくは対数増殖期後半、より好ましくは定常期に到達する時間をあげることができる。上記の親株とは、上記欠損に供した元株のことをいい、親株は野生型の微生物であっても、産業上有用な改良を施された変異株、細胞融合株、形質導入株あるいは遺伝子組換え技術を用いて造成した組換え株であってもよい。
配列番号2で表されるアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列をコードするDNAを染色体DNA上に有する微生物は、配列番号2で表されるアミノ酸配列をコードするDNAに部位特異的変異を導入することにより取得することができる。部位特異的変異の導入は、モレキュラー・クローニング第3版、カレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジー、Nucleic Acids Research, 10, 6487 (1982)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 79, 6409(1982)、Gene, 34, 315 (1985)、Nucleic Acids Research, 13, 4431 (1985)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82, 488 (1985)等に記載の方法に準じて行うことができる。
また、1以上のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたとは、同一配列中の任意の位置において、1または複数のアミノ酸残基の欠失、置換若しくは付加があることを意味し、欠失、置換若しくは付加が同時に生じてもよく、欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を有する蛋白質をコードするDNAを染色体DNA上に有する微生物が、欠失、置換若しくは付加前のアミノ酸配列を有する蛋白質をコードするDNAを染色体DNA上に有する該微生物の親株より生育が向上していればいずれのアミノ酸が欠失、置換若しくは付加してもよいし、置換または付加されるアミノ酸残基は天然型と非天然型とを問わない。天然型アミノ酸残基としては、L-アラニン、L-アスパラギン、L-アスパラギン酸、L-グルタミン、L-グルタミン酸、グリシン、L-ヒスチジン、L-イソロイシン、L-ロイシン、L-リジン、L-メチオニン、L-フェニルアラニン、L-プロリン、L-セリン、L-スレオニン、L-トリプトファン、L-チロシン、L-バリン、L-システインなどがあげられる。
上記1)の遺伝子または領域欠損株ライブラリーの作製法としては、欠損させたい遺伝子または領域の末端配列を含むDNAをサブクローニングし、次に該DNAで薬剤耐性遺伝子を挟んだDNA断片を構築した後、該DNA断片を二回相同組換えにより染色体DNAに導入することで遺伝子または領域欠損株ライブラリーを構築する方法〔蛋白質 核酸 酵素、46、2386(2001)〕をあげることができる。
生育が向上した株を選択する具体的な方法としては、グルコースを含む完全培地に、遺伝子または領域欠損株ライブラリーの各菌株を植菌し、親株と生育を比較する方法をあげることができる。例えば、親株としてEscherichia coliの野生型株であるW3110株などを用いた場合、グルコースを含む完全培地として、アンチバイオティクメディウム3(ディフコ社製)を用いて生育を比較することができる。
同一時間培養したとき、親株より高い濁度を示す菌株を選択することにより、親株より生育が向上した菌株を取得することができる。
上記方法により取得される微生物としては、Science 277, 1453(1997)に記載されたb番号表記で、b3252−b3254間とb2236−b2259間が欠損した染色体DNAを有するEscherichia coli、およびb3252で表される遺伝子(以下、yhdA遺伝子と呼ぶ)のみを欠損破壊したEscherichia coliをあげることができる。
直鎖DNAとしては、クロラムフェニコール耐性遺伝子の両端にyhdA遺伝子の末端の配列と相同性を有するDNAを配置した直鎖DNAをあげることができる。
該直鎖DNAを、直鎖DNAによる染色体上の相同組換えが可能なEscherichia coliに、コンピテントセルを用いたエレクトロポレーションなどの方法により導入し、クロラムフェニコール耐性株を選択することで、yhdA遺伝子欠損Escherichia coliを取得することができる。
該有用物質としては、微生物を用いて製造される有用物質であれば特に限定されないが、例えばタンパク質、アミノ酸、核酸、ビタミン、糖、有機酸、脂質などあげることができる。
本発明の製造法に用いられる微生物を培養する培地は、該微生物が資化し得る炭素源、窒素源、無機塩類等を含有し、該微生物の培養を効率的に行える培地であれば天然培地、合成培地のいずれを用いてもよい。
窒素源としては、アンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機酸または有機酸のアンモニウム塩、ペプトン、肉エキス、酵母エキス、コーンスチープリカー、カゼイン加水分解物、大豆粕、大豆粕加水分解物、各種発酵菌体、およびその消化物等を用いることができる。
培養は、振盪培養または深部通気攪拌培養などの好気的条件下で行う。培養温度は15〜40℃がよく、培養時間は、通常 16時間〜7日間である。培養中のpHは3. 0〜9.0に保持することが好ましい。pHの調整は、無機または有機の酸、アルカリ溶液、尿素、炭酸カルシウム、アンモニアなどを用いて行う。
有用物質が、菌体内に生成、蓄積される場合には、培養終了後、培養物から菌体を回収した後、機械的または化学的方法等の適切な方法で破砕する。該菌体破砕液から、イオン交換処理法、濃縮法、塩析法などを併用することにより、該菌体破砕液から目的とする有用物質を単離、精製することができる。
野生型株MG1655株を親株として、蛋白質 核酸 酵素、46、2386(2001)記載の方法に従い、染色体上の一部分を欠損している変異株ライブラリーを作製した。
上記変異株ライブラリーの各菌株と野生型株であるW3110株およびMG1655株のグリセロールストックを、50μg/mlのジアミノピメリン酸を含むアンチバイオティクメディウム3寒天平板培地(0.15% 肉エキス、0.15% 酵母エキス、0.5% ペプトン、0.1% グルコース、0.35% 塩化ナトリウム、0.132% リン酸水素二カリウム、1.5% 寒天、pH7.0)に塗布し、30℃にて一晩培養した。生育してきた菌をエーゼにて約1μlかきとり、50μg/mlのジアミノピメリン酸を含む8mlのアンチバイオティクメディウム3液体培地(0.15% 肉エキス、0.15% 酵母エキス、0.5% ペプトン、0.1% グルコース、0.35% 塩化ナトリウム、0.132% リン酸水素二カリウム、pH7.0)に植菌し、30℃にて一晩振とう培養し、前培養液を調製した。
実施例1で取得した生育向上候補株が持つそれぞれの染色体欠損を、Ann. Rev. Genetics, 2, 245(1968)記載の方法に従い、P1ファージを用いて野生型株W3110株に形質導入した。
実施例1で作製した染色体欠損ライブラリーの各欠損株の薬剤耐性マーカー遺伝子は、カナマイシン耐性遺伝子なので、カナマイシン耐性を指標にしてP1ファージ形質導入法により野生型株W3110株に形質導入することができる。
実施例2で選択した欠損領域OCL−25には3つの推定遺伝子領域(CDS)が存在した。そこで各CDSを薬剤耐性遺伝子で破壊した菌株を作製し、濁度を指標として液体培養時の生育を測定した。
OCL−25領域に含まれる各遺伝子の欠損株は以下のように作製した。実施例2記載の方法に従い、直鎖DNAによる染色体上の相同組換えが可能なEscherichia coli KM22株[Δ(recC ptr recB recD)::Plac-red kan)、Gene, 246, 321 (2000)]より、P1ファージを調製した。実施例2記載の方法に従い、直鎖DNAによる染色体上の相同組換えを可能とする染色体領域[Δ(recC ptr recB recD)::Plac-red kan]をP1形質導入法にて野生株W3110に形質導入し、W3110red株を取得した。
実施例3で作製したW3110ΔRyhdA株ならびにW3110ΔL25株の培養評価を、合成培地を用いて行った。比較対照には野生型株W3110株を用いた。
各菌株のグリセロールストックを50μg/mlのジアミノピメリン酸を含むアンチバイオティクメディウム3寒天平板培地に塗布し、30℃にて一晩培養した。生育してきた菌をエーゼにて約1μlかきとり、50μg/mlのジアミノピメリン酸を含む8mlのアンチバイオティクメディウム3液体培地に植菌し、30℃にて一晩振とう培養し、前培養液を調製した。300μlの該前培養液を、30mlの最少液体培地(1.2% グルコース、0.6% リン酸二ナトリウム、0.3% リン酸二水素カリウム、0.05% 塩化ナトリウム、0.1%塩化アンモニウム、2mmol/l 硫酸マグネシウム・七水和物、12.5μmol/l 硫酸鉄、100μmol/l 塩化カルシウム)に植菌した。植菌直後ならびに培養開始から12、16、20、24、36、40、44および48時間目の培養液をサンプリングし、660nmの吸光度(図3)と培養液あたりのタンパク量(図4)を測定した。タンパク量の測定は以下の方法で行った。
実施例2記載の方法により、直鎖DNAによる染色体上の相同組換えが可能なEscherichia coli KM22株よりP1ファージを調製した。また、実施例2記載の方法に従い、直鎖DNAによる染色体上の相同組換えを可能とする染色体領域[Δ(recC ptr recB recD)::Plac-red kan]をP1形質導入法にて野生株W3110に形質導入し、W3110red株を取得した。
W3110red株の染色体DNA(10ng)を鋳型とし、配列番号13および14で表される塩基配列からなるDNAをプライマーセット(各50pmol)に用いて、LA-Taq(宝酒造社製)に添付の指示書に従いPCR反応液を調製した。PCRは、94℃で2分間保温後、94℃で15秒間、55℃で20秒間、68℃で3分間のサイクルを30回繰り返した後、72℃で10分間保温するという条件で行った。
また、Tn10トランスポゾンを染色体上に持つCGSC7465株(米国Yale大学のColi Genetic Stock Centerから入手)の染色体DNA(10ng)を鋳型とし、配列番号15および16で表される塩基配列からなるDNAをプライマーセット(各50pmol)に用いて、LA-Taqに添付の指示書に従いPCR反応液を調製した。PCRは、94℃で2分間保温後、94℃で15秒間、55℃で20秒間、68℃で90秒間のサイクルを30回繰り返した後、72℃で10分間保温するという条件で行った。
また、W3110red株の染色体DNA(10ng)を鋳型とし、配列番号17および18で表される塩基配列からなるDNAをプライマーセット(各50pmol)に用いて、LA-Taqに添付の指示書に従いPCR反応液を調製した。PCRは、94℃で2分間保温後、94℃で15秒間、55℃で20秒間、68℃で3分間のサイクルを30回繰り返した後、72℃で10分間保温するという条件で行った。
次に、上記で得られたDNA断片1〜3(それぞれ10ng)を鋳型とし、配列番号19および20で表される塩基配列からなるDNAをプライマーセット(各50pmol)に用いて、LA-Taqに添付の指示書に従いPCR反応液を調製した。PCRは、94℃で2分間保温後、94℃で15秒間、55℃で20秒間、68℃で3分間のサイクルを30回繰り返した後、72℃で10分間保温するという条件で行った。
1μgのDNA断片4を30μlのW3110red株のコンピテントセル溶液に添加して、形質転換を行った。W3110red株のコンピテントセルは、Gene, 246, 321 (2000)に記載の方法に従って調製した。形質転換は、0.1cmのキュベット(BioRad社製)を用い、1.8KV、25μFの条件で、エレクトロポレーションにより行った。形質転換に供した細胞は、2mmol/lのIPTGを含む1mlのSOB液体培地[20g/l バクトトリプトン(Difco社製)、5g/l バクトイーストエキストラクト(Difco社製)、0.5g/l 塩化ナトリウム、0.2ml/lの5mol/l 水酸化ナトリウム、10ml/lの1mol/l 塩化マグネシウム、10ml/lの1mol/l 硫酸マグネシウム]を用いて30℃で3時間培養した後、100μlを、20μg/mlのテトラサイクリンを含むLB寒天プレート(LB液体培地に寒天を1.5%含むもの)上に塗布し、37℃で一晩培養した。テトラサイクリン耐性株として染色体上のカナマイシン耐性遺伝子がテトラサイクリン耐性遺伝子と置換された、目的とする形質転換株W3110red_tet株を取得した。
まず、W3110red株を親株として、プロリン分解酵素構造遺伝子putAを破壊した株W3110redΔputA::cat株を作製した。pHSG398プラスミドDNAを鋳型にし、配列番号21および22で表される塩基配列からなるDNAをプライマーセットとして用いたPCRにより、クロラムフェニコール耐性遺伝子を含むDNA断片を増幅させた。PCRは、宝酒造社製のEX-Taqを用いて、精製プラスミドDNA 20ng、各プライマー 50pmolを含む反応液100μlをEX-Taqに添付の指示書に従い調製し、95℃で1分間保温後、94℃で30秒間、64℃で30秒間、72℃で1分間のサイクルを30回繰り返した後、72℃で3分間保温するという条件で行った。反応液全量をQIA quick PCR Purification Kitを用いて精製し、30μlのDNA溶液を得た。次に混入している微量のプラスミドpHSG398を分解するため、DNA溶液全量に対して制限酵素pstIとbglIそれぞれを10Uずつ添加した反応液100μlを制限酵素添付の指示書に従い調製し、37℃で2時間保温後、全量をQIA quick PCR Purification Kitを用いて精製し、30μlのDNA溶液を得た。
形質転換した細胞溶液100μlを、50μg/mlのクロラムフェニコールを含むLB寒天プレート(LB液体培地に寒天を1.5%含むもの。以下、LBcm寒天培地プレートと略す)上に塗布し、37℃で一晩培養した。クロラムフェニコール耐性株として染色体上のputA遺伝子がクロラムフェニコール耐性遺伝子と置換された、目的とする形質転換株W3110redΔputA::cat株を取得した。
M9最小寒天培地(1.5% 寒天、1.2% グルコース、0.6% リン酸二ナトリウム、0.3% リン酸二水素カリウム、0.05% 塩化ナトリウム、0.1% 塩化アンモニウム、2mmol/l 硫酸マグネシウム・七水和物、12.5μmol/l 硫酸鉄、100μmol/l 塩化カルシウム)ならびにプロリン(8mg/l)を含むM9最小寒天培地、それぞれにPK株を塗布して30℃にて一晩培養し生育を調べたところ、プロリンを含む最小培地では生育したが、プロリンを含まない最小培地では生育せず、PK株は明確なプロリン要求性を示すことが確認された。
W3110red株の染色体DNAを鋳型として、配列番号33および36で表される塩基配列からなるDNAをプライマーセットとして用いたPCRにより、proBAオペロンを含む4kbpのDNA断片を増幅した。PCRは、染色体DNA 10ng、各プライマー 20pmolを含む反応液25μlをLA-Taqに添付の指示書に従い調製し、94℃で3分間保温後、94℃で15秒間、55℃で20秒間、68℃で4分間のサイクルを30回繰り返した後、72℃で10分間保温するという条件で行った。
pPCR proBAを鋳型とし、キアゲン社製QuickChange Kitを用いてin vitroにてproBAに、既報の点突然変異proB74〔L.Csonka, and et al : Gene, 64, 199-205 (1988)〕を導入した。QuickChange Kitを用いたin vitro変異導入は、添付の指示書に従って行い、proBAオペロン中のproB遺伝子に上記変異が導入されたプラスミドpPCR proB74を作製した。上記変異点導入のために用いた変異型配列を持つプライマーDNAの塩基配列は配列番号37に示した。
精製した変異型proBAオペロンを含むDNA断片2μgを、Gene, 246, 321 (2000)に記載の方法に従って調製したPK株のコンピテントセル 50μlに添加し、形質転換を行った。形質転換は、前述のエレクトロポレーション法により行った。ただし、形質転換株の選択培地はM9最小寒天培地にて行い、プロリン要求性を示さない株を選択することにより、目的とするプロリン生産性変異株PKB74株を取得した。
上記で作製したW3110red_tet株を用いて、P1形質導入ファージを調製した。該ファージを用いて、PKB74株を形質転換した。形質転換体の選択は20mg/lのテトラサイクリンを含むLB寒天平板培地を用いた。テトラサイクリン耐性株を選択することにより、カナマイシン耐性遺伝子がテトラサイクリン耐性遺伝子に置換したPKB74_tet株を取得した。
配列番号4−人工配列の説明:合成DNA
配列番号5−人工配列の説明:合成DNA
配列番号6−人工配列の説明:合成DNA
配列番号7−人工配列の説明:合成DNA
配列番号8−人工配列の説明:合成DNA
配列番号9−人工配列の説明:合成DNA
配列番号10−人工配列の説明:合成DNA
配列番号11−人工配列の説明:合成DNA
配列番号12−人工配列の説明:合成DNA
配列番号13−人工配列の説明:合成DNA
配列番号14−人工配列の説明:合成DNA
配列番号15−人工配列の説明:合成DNA
配列番号16−人工配列の説明:合成DNA
配列番号17−人工配列の説明:合成DNA
配列番号18−人工配列の説明:合成DNA
配列番号19−人工配列の説明:合成DNA
配列番号20−人工配列の説明:合成DNA
配列番号21−人工配列の説明:合成DNA
配列番号22−人工配列の説明:合成DNA
配列番号23−人工配列の説明:合成DNA
配列番号24−人工配列の説明:合成DNA
配列番号25−人工配列の説明:合成DNA
配列番号26−人工配列の説明:合成DNA
配列番号27−人工配列の説明:合成DNA
配列番号28−人工配列の説明:合成DNA
配列番号29−人工配列の説明:合成DNA
配列番号30−人工配列の説明:合成DNA
配列番号31−人工配列の説明:合成DNA
配列番号32−人工配列の説明:合成DNA
配列番号33−人工配列の説明:合成DNA
配列番号34−人工配列の説明:合成DNA
配列番号35−人工配列の説明:合成DNA
配列番号36−人工配列の説明:合成DNA
配列番号37−人工配列の説明:合成DNA
lacZ:β−ガラクトシダーゼ遺伝子
W3110:Escherichia coli W3110株
ΔyhdA:Escherichia coli W3110ΔyhdA株
ΔRyhdA:Escherichia coli W3110ΔRyhdA株
ΔyhdH:Escherichia coli W3110ΔyhdH株
Δb3254:Escherichia coli W3110Δb3254株
ΔL25:Escherichia coli W3110ΔL25株
Claims (3)
- 配列番号1で表される塩基配列からなるDNAの一部または全部が欠損した染色体DNAを有し、かつ該欠損がない染色体DNAを有する親株より生育が向上したEscherichia coliに属する微生物を培地中で培養し、培養物中に有用物質を生成、蓄積させ、該培養物から該有用物質を採取することを特徴とする有用物質の製造法。
- 配列番号1で表される塩基配列からなるDNAと95%以上の相同性を有するDNAの一部または全部が欠損した染色体DNAを有し、かつ該欠損がない染色体DNAを有する親株より生育が向上したEscherichia coliに属する微生物を培地中で培養し、培養物中に有用物質を生成、蓄積させ、該培養物から該有用物質を採取することを特徴とする有用物質の製造法。
- 有用物質が、タンパク質、アミノ酸、核酸、ビタミン、糖、有機酸および脂質からなる群より選ばれる有用物質である請求項1または2記載の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003390872A JP4376038B2 (ja) | 2003-04-09 | 2003-11-20 | 生育が向上した微生物菌株 |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003104913 | 2003-04-09 | ||
JP2003390872A JP4376038B2 (ja) | 2003-04-09 | 2003-11-20 | 生育が向上した微生物菌株 |
Publications (3)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004321169A JP2004321169A (ja) | 2004-11-18 |
JP2004321169A5 JP2004321169A5 (ja) | 2006-04-06 |
JP4376038B2 true JP4376038B2 (ja) | 2009-12-02 |
Family
ID=33512995
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003390872A Expired - Lifetime JP4376038B2 (ja) | 2003-04-09 | 2003-11-20 | 生育が向上した微生物菌株 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4376038B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPWO2006057341A1 (ja) * | 2004-11-26 | 2008-06-05 | 協和醗酵工業株式会社 | 工業的に有用な微生物 |
JPWO2007037300A1 (ja) * | 2005-09-29 | 2009-04-09 | 協和発酵キリン株式会社 | 有用物質の製造法 |
EP1939301A4 (en) * | 2005-09-29 | 2009-04-22 | Kyowa Hakko Kogyo Kk | METHOD FOR PRODUCING A USEFUL SUBSTANCE |
-
2003
- 2003-11-20 JP JP2003390872A patent/JP4376038B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2004321169A (ja) | 2004-11-18 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
RU2207376C2 (ru) | Способ получения l-аминокислоты методом ферментации, штамм бактерии escherichia coli - продуцент l-аминокислоты (варианты) | |
CN101715490B (zh) | 谷胱甘肽及γ-谷氨酰半胱氨酸的制造方法 | |
JP5486029B2 (ja) | 遺伝子増幅によるリジン産生の増加 | |
CN103215291B (zh) | 用于生产l-2-氨基丁酸的载体、工程菌株及方法 | |
US7638312B2 (en) | E.coli mutant containing mutant genes related with tryptophan biosynthesis and production method of tryptophan by using the same | |
JP2022547432A (ja) | L-トリプトファン産生効率を向上させるトランスポーター遺伝子の大腸菌における使用 | |
MXPA03009345A (es) | El microoganismo del cual el gen fadr tuvo expresion bloqueada en el cromosoma y un procedimiento para producir l-treonina mediante fermentacion con el mismo mutante. | |
JP2000157276A (ja) | サーマス属細菌のl−リジン生合成系遺伝子 | |
US20100047861A1 (en) | Process for producing useful substance | |
JP4376038B2 (ja) | 生育が向上した微生物菌株 | |
US20100047872A1 (en) | Process for producing useful substance | |
JP4780749B2 (ja) | 発酵法によるl−アミノ酸の製造方法 | |
WO2021261564A1 (ja) | ジペプチドの製造法 | |
JPWO2006025477A1 (ja) | 工業的に有用な微生物 | |
JP5424604B2 (ja) | グルコサミンの製造法 | |
JP4665613B2 (ja) | L−チロシン生産菌及びl−チロシンの製造法 | |
CN113667627B (zh) | 一种提高l-谷氨酸生产效率的谷氨酸棒杆菌的构建及应用 | |
JP2013106588A (ja) | L−アスパラギンの製造法 | |
JP5860287B2 (ja) | L−アミノ酸の製造法 | |
JPWO2008126785A1 (ja) | 有用物質の製造法 | |
CN119432692A (zh) | 一种生产甘氨酸的工程菌株及其构建方法和应用 | |
JP3930555B2 (ja) | 3−ケト−アシルCoAリダクターゼ及びそれをコードする遺伝子 | |
CN114381417A (zh) | 一种提高谷氨酸棒杆菌对抑制物耐受性的方法 | |
CN113677795A (zh) | 新型dahp合成酶 | |
JP2010098998A (ja) | 1,5−ペンタンジアミンの製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20060215 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20060215 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20090106 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20090203 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20090414 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20090703 |
|
A911 | Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911 Effective date: 20090721 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20090811 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20090908 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120918 Year of fee payment: 3 |