JP4375825B2 - 高分子量エポキシ重合体の製造方法 - Google Patents

高分子量エポキシ重合体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、絶縁材料、接着剤、塗料、成形品、フィルム等に用いられる高分子量エポキシ重合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
比較的低分子量の二官能エポキシ樹脂と二官能フェノール類を原料として高分子量エポキシ重合体を製造する方法は一般に二段法と呼ばれ、この方法に関する最初の文献は米国特許第2,615,008号明細書であり、日本国内においては、同じ出願人による特公昭28−4494号公報がある。この文献では重合触媒として水酸化ナトリウムを用い、無溶媒下、150〜200℃で反応させることにより、エポキシ当量が5,600の高分子量エポキシ重合体を得たことが記載されている。この重合体の平均分子量は、約11,000であると推定できる。これらの文献には、溶媒を使用した実施例の記載は見当たらない。
溶媒を使用することを記載している文献の例としては、米国特許3,306,872号明細書がある。特に実施例中に溶媒を使用した例が記載されている文献としては特開昭54−52200号公報、特開昭60−118757号公報、特開昭60−144323号公報、特開昭60−144324号公報などがある。これらの文献で使用されている溶媒としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルなどである。これらの溶媒はケトン系およびエーテル系(セロソルブ系)溶媒に分類される。
米国特許3,306,872号明細書では、溶媒としてメチルエチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテルのいずれかを用いており、溶液の固形分濃度は20〜60%である。触媒としてはアルカリ金属またはベンジルトリメチルアンモニウムの水酸化物またはフェノラートを用いている。重合反応温度を75〜150℃とし、生成した高分子量エポキシ重合体の重量平均分子量が少なくとも40,000以上になるまで反応を続けている。平均分子量は粘度法によって求めており50,000〜1,000,000と測定されている。しかしながら、粘度法は算出時に用いるパラメータの設定によって、算出値が大きく左右されることが分かっている。したがって、必ずしも正確な分子量が測定されているとはいえない。
また溶媒中で重合させることにより高分子量エポキシ重合体が得られていると考えられる実施例としては、特開昭54−52200号公報に溶媒としてエチレングリコールモノエチルエーテルを用いて、重量平均分子量45,500の高分子量エポキシ重合体を得たことが記載されている。特開昭58−149914号公報ではメチルエチルケトンを用いて、オートクレーブ中で合成し、さらに反応溶液を貧溶媒中に投入して沈殿させて重量平均分子量81,000の重合体を得ている。特開昭60−118757号公報には、溶媒にメチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、エチレングリコールモノエチルエーテルを用いて、重量平均分子量が最大31,000の高分子量エポキシ重合体を得たことが記載されている。特開昭60−144323号公報には溶媒にメチルエチルケトンを用い、重量平均分子量53,200の高分子量エポキシ重合体を得たことが記載されており、特開昭60−144324号公報には、溶媒にメチルエチルケトンを用いて、重量平均分子量66,000の高分子量エポキシ重合体を得たことが記載されている。上記4件の公報によれば、いずれもゲル浸透クロマトグラフィーによって平均分子量を測定しているが、測定条件および算出方法等については記載されていない。ゲル浸透クロマトグラフィーによって得た分子量は、使用した充填剤の種類、溶離液の種類などの測定条件および算出方法などによって大きく異なり、正確な値を得ることは困難であり、必ずしも正確な平均分子量が測定されているとはいえない。また、特開昭58−149914号公報では、反応溶液を貧溶媒に投入した際に低分子量成分が除去され、重量平均分子量が反応溶液中に存在する場合よりも高くなったと推定できる。
前記のいずれの文献にも、得られた高分子量エポキシ重合体がフィルム形成能を有するという主旨の記載は見当たらない。また得られたエポキシ重合体は、沸点130℃以下のアミド系またはケトン系以外の溶媒に溶解していることなどから、これらの文献に記載された方法では取扱い上十分なフィルム形成能を有するまでに直鎖状に高分子量化した高分子量エポキシ重合体は得られていないことは明らかである。本発明者らは、特開平4−120122号公報、特開平4−120123号公報、特開平4−120124号公報、特開平4−120125号公報、特開平4122714号公報、特開平4−122713号公報において二官能エポキシ樹脂と二官能フェノール類を触媒の存在下、重合反応溶媒中で加熱して重合させ、高分子量エポキシ樹脂を製造する方法を提案した。この方法で得られた高分子量エポキシ樹脂は分子量が高く厚み100μm以下の取り扱い性の良好なフィルムを形成することができた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記公報の方法で得られた高分子量エポキシ樹脂よりもさらに取扱い性に優れたフィルム形成能を有し、引張り強さ、引張弾性率、伸びなどの機械的特性に優れた、より直鎖状に高分子量化した高分子量エポキシ重合体を提供することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、二官能エポキシ樹脂と二官能フェノール類を触媒の存在下、溶媒中で加熱して重合させ、高分子量エポキシ重合体を製造する方法において、(1)触媒としてアルカリ金属化合物とアルキルフォスフィン及びアリルフォスフィンから選ばれる1以上の有機リン化合物を併用し、二官能エポキシ樹脂1モルに対し、アルカリ金属化合物0.005〜0.20モル及び有機リン化合物0.005〜0.20モルの範囲で、かつ、それらの合計が0.01〜0.30モルの範囲で配合し、(2)合成溶媒として沸点が130℃以上の溶媒を用い、(3)合成時の固形分濃度を50重量%以下とする高分子量エポキシ重合体の製造方法である。そして、触媒として用いる有機リン化合物/アルカリ金属化合物のモル比が1.0以上であると好ましく、また、アルカリ金属化合物がリチウム化合物であると好ましく、有機リン化合物がアルキルホスフィンまたはアリルホスフィンであると好ましい高分子量エポキシ重合体の製造方法である。さらに、合成に用いる溶媒が沸点130℃以上のアミド系溶媒またはケトン系溶媒であると好ましく、合成時の固形分濃度が40重量%以下であると好ましいものである。得られた高分子量エポキシ重合体は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)法によるスチレン換算重量平均分子量で70,000以上、N,N−ジメチルアセトアミドに溶解した希薄溶液の還元粘度で0.60dl/g(25℃)以上であると好ましい。また、合成した高分子量エポキシ重合体溶液から溶媒を除去して得た100μm以下のフィルムの引張り強さが10MPa以上または伸びが20%以上であると好ましい高分子量エポキシ重合体の製造方法である。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
フィルム形成能を有するまでに直鎖状に高分子量化したエポキシ重合体を得るためには、二官能エポキシ樹脂と二官能フェノール類を原料として、エーテル化触媒を用いて、合成反応溶媒中で交互に重合させる二段法を用いることが好ましい。
高分子量エポキシ重合体の合成原料である二官能エポキシ樹脂は、分子内に二個のエポキシ基をもつ化合物であれば特に制限されない。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、その他、二官能フェノール類のジグリシジルエーテル化物、二官能アルコール類のジグリシジルエーテル化物、およびそれらのハロゲン化物、水素添加物などがある。これらの化合物の分子量は制限されず互いに重合していても、分子内に二個のエポキシ基を有すればよい。これらの化合物は何種類かを併用して用いることができる。また二官能エポキシ樹脂以外の成分を含んでいても構わない。
【0006】
高分子量エポキシ重合体の合成原料である二官能フェノール類は、二個のフェノール性水酸基をもつ化合物であれば特に制限されない。例えば、単環二官能フェノールであるヒドロキノン、レゾルシノール、カテコール、多環二官能フェノールであるビスフェノールA、ビスフェノールF、ビフェノール、ジヒドロキシジフェニルエーテル、ジヒドロキシジフェニルスルホンおよびこれらのハロゲン化物、アルキル基置換体、異性体などがある。これらの化合物の分子量は制限されず互いに重合していたり他の化合物と重合していても、分子内に二個のフェノール性水酸基を有すれば良い。これらの化合物は何種類かを併用して用いることができる。また二官能フェノール類以外の成分を含んでいても構わない。
【0007】
本発明では、高分子量エポキシ重合体の合成触媒として、エポキシ基とフェノール性水酸基のエーテル化反応を促進させる触媒能を有するアルカリ金属化合物と有機リン化合物を併用して用いる。アルカリ金属化合物の例としては、ナトリウム、リチウム、カリウムの水酸化物、ハロゲン化物、有機酸塩、アルコラート、フェノラート、水素化物、ホウ水素化物、アミドなどがある。有機リン化合物としては、トリ−n−ブチルフォスフィン等のアルキルフォスフィン、トリフェニルフォスフィン、ジフェニルフォスフィン等のアリルフォスフィンが用いられる。これらの触媒は併用して使用することができる。
【0008】
これらの触媒の配合量は、原料である二官能エポキシ樹脂1モルに対して、アルカリ金属化合物0.005〜0.20モル、有機リン化合物0.005〜0.20モルの範囲で、しかもそれらの合計が0.01〜0.30モルの範囲とされる。この範囲より少ないと高分子量化反応が著しく遅く、この範囲より多いと副反応が多くなり直鎖状に高分子量化しない。
有機リン化合物/アルカリ金属化合物のモル比が1.0以上であれば、さらに好ましい。1.0未満では、フィルムの引張り強さや伸びが若干劣るようになる。
【0009】
高分子量エポキシ重合体の合成溶媒は、原料の二官能エポキシ樹脂と二官能フェノール類を溶解し、合成された高分子量エポキシ重合体を溶解する溶媒であれば制限されないが、沸点が130℃以上の溶媒を使用する。さらに好ましくは、沸点が130℃以上のアミド系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒のいずれかまたは何種類かを併用して用いても良い。
【0010】
合成溶媒として好ましいアミド系溶媒は、原料となる二官能エポキシ樹脂と二官能フェノール類を溶解し沸点が130℃以上の溶媒で有れば、制限されずに用いることができる。例えば、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N,N′,N′−テトラメチル尿素、2−ピロリドン、N−メチルピロリドン、カルバミド酸エステルなどがある。
また、合成溶媒として好ましいケトン系溶媒は、沸点が130℃以上で、原料となる二官能エポキシ樹脂と二官能フェノール類を溶解すれば制限されず、例えばアセチルアセトン、ジイソブチルケトン、ホロン、イソホロン、メチルシクロヘキサノン、シクロヘキサノン、アセトフェノンなどがある。
これらの溶媒は併用することができる。またアミド系、ケトン系、エーテル系、アルコール系、エステル系などに代表されるその他の溶媒と併用しても構わない。
【0011】
高分子量エポキシ重合体の合成条件としては、二官能エポキシ樹脂と二官能フェノール類の配合当量比は、エポキシ基/フェノール性水酸基=1/0.9〜1.1であることが望ましい。0.9当量より少ないと、直鎖状に高分子量化せずに、副反応が起きて架橋し、溶媒に不溶になる。1.1当量より多いと、高分子量化が進まない。
高分子量エポキシ重合体の合成反応温度は、60〜150℃であることが望ましい。60℃より低いと高分子量化反応が著しく遅く、150℃より高いと副反応が多くなり直鎖状に高分子量化しない。
高分子量エポキシ重合体の合成反応時の固形分濃度は50重量%以下とするが、好ましくは40重量%以下が好ましい。高濃度になるにしたがい副反応が多くなり、直鎖状に高分子量化しにくくなる。したがって、比較的高濃度で重合反応を行い、しかも直鎖状の高分子量エポキシ重合体を得ようとする場合には、反応温度を低くし、触媒量を少なくする必要がある。
【0012】
本発明の高分子量エポキシ重合体のスチレン換算重量平均分子量が70,000以上であると、従来の高分子エポキシ重合体では不可能であった厚さ100μm以下の取扱い上十分な強度を有するフィルムを成形することが可能である。
このためには、合成した高分子量エポキシ重合体のN,N−ジメチルアセトアミドに溶解した希薄溶液の還元粘度が0.6dl/g以上であることが好ましい。さらに好ましくは、0.7dl/g以上である。
本発明者等は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールAを原料とする高分子量エポキシ重合体は、ゲル浸透クロマトグラフィーによるスチレン換算重量平均分子量が100,000を越える場合にはメチルエチルケトンには溶解しないことを確認している。スチレン換算重量平均分子量が100,000を越え、しかもアミド系溶媒、沸点が130℃以上のケトン系溶媒以外の溶媒に溶解する場合には、枝分かれの多い高分子量エポキシ重合体であることも同時に確認している。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールAを用いて、エポキシ基/フェノール性水酸基の当量比を1/0.60〜1/0.80にして重合させた高分子量エポキシ重合体は、枝分かれが多いと考えられるが、この範囲の当量比で得たスチレン換算重量平均分子量110,000の高分子量エポキシ重合体は、メチルエチルケトンに溶解する。それに対してエポキシ基/フェノール性水酸基の当量比を1/0.99〜1/1.01にして、アミド系溶媒中で重合させたスチレン換算重量平均分子量66,000の高分子量エポキシ重合体は、直鎖状の高分子量エポキシ重合体と考えられるが、メチルエチルケトンには溶解しない。直鎖状高分子量エポキシ重合体がメチルエチルケトンにすべて溶解するためには、スチレン換算重量平均分子量は、約20,000以下であることが必要である。
直鎖状高分子の枝分かれの程度を正確に測定することは現在できないが、分子量が同じであれば、枝分かれが多いほど直鎖部分の長さが短くなり、様々な特性に影響を与えると考えられる。物性面では、直鎖状高分子の熱可塑性樹脂と、枝分かれの多い架橋高分子である熱硬化性樹脂とを比較すればよいと考えられる。直鎖状高分子である熱可塑性樹脂は、一般的には熱硬化性樹脂に比べて、耐衝撃性が強く、伸びが大きい。その結果、ほとんどの熱可塑性樹脂は十分な強度のフィルム形成能を有する。そして、フィルムの強度をさらに向上させるためには、高分子量エポキシ重合体の枝分かれを減らすことが必要である。本発明は、触媒としてアルカリ金属化合物と有機リン化合物を併用することによって、フィルムの枝分れをさらに減らしたものであり、十分な強度のフィルム形成能を有し、フィルムとした場合の機械的特性の引張り強さや伸びを著しく向上させることができる。
【0013】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1)
二官能エポキシ樹脂としてビスフェノールAジグリシジルエーテル340.4g(1.00モル)、二官能フェノール類としてビスフェノールA228.3g(1.00モル)、触媒として水素化リチウム0.24g(0.03モル)とトリフェニルフォスフィン7.87g(0.03モル)をアミド系溶媒であるN,N−ジメチルアセトアミド2307gに溶解させ、反応系中の固形分濃度を20重量%とした。これを機械的に攪拌しながら、オイルバス中で反応系中の温度を120℃に保ち、そのまま8h保持した。
その結果、粘度が1,820mPa・sで飽和し、重合反応が終了した。得られた高分子量エポキシ重合体の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定した結果では88,000、光散乱法によって測定した結果では86,000であった。また稀薄溶液の還元粘度は0.79dl/gであった。
この溶液をガラス板に塗布し、170℃で1h乾燥して得た39μm厚のフィルムの引張り強さは64.4MPa、引張弾性率は1,260MPa、伸びは94%であった。
【0014】
(実施例2)
実施例1における溶媒のアミド系溶媒であるN,N−ジメチルアセトアミドをケトン系溶媒であるシクロヘキサノンに代えた以外は、実施例1と同様に高分子量エポキシ重合体を合成した。
その結果、粘度が1,610mPa・sで飽和し、重合反応が終了した。得られた高分子量エポキシ重合体の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定した結果では78,000、光散乱法によって測定した結果では78,000であった。また稀薄溶液の還元粘度(N,N−ジメチルアセトアミド、25℃)は0.74dl/gであった。
この溶液をガラス板に塗布し、170℃で1h乾燥して得た46μm厚のフィルムの引張り強さは61.9MPa、引張弾性率は1,290MPa、伸びは105%であった。
【0015】
(実施例3)
二官能エポキシ樹脂としてビスフェノールAジグリシジルエーテル340.4g(1.00モル)、二官能フェノール類としてテトラブロモビスフェノールA543.9g(1.00モル)、触媒として水酸化リチウム0.96g(0.04モル)とトリ−n−ブチルフォスフィン10.12g(0.05モル)をアミド系溶媒であるN−メチルピロリドン2089gに溶解させ、反応系中の固形分濃度を30重量%とした。これを機械的に攪拌しながら、オイルバス中で反応系中の温度を120℃に保ち、そのまま10h保持した。
その結果、粘度が3,400mPa・sで飽和し、反応が終了した。得られた高分子量エポキシ重合体の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定した結果では111,000、光散乱法によって測定した結果では105,000であった。また稀薄溶液の還元粘度(N,N−ジメチルアセトアミド、25℃)は0.93dl/gであった。
この溶液をガラス板に塗布し、170℃で1h乾燥して得た40μm厚のフィルムの引張り強さは78.2MPa、引張弾性率は1,740MPa、伸びは69%であった。
【0016】
(実施例4)
実施例3における溶媒のアミド系溶媒であるN−メチルピロリドンをN,N−ジメチルアセトアミドに代え、触媒としてリチウムメトキシド1.14g(0.03モル)とジフェニルフォスフィン7.45g(0.04モル)を用いた以外は、実施例3と同様に高分子量エポキシ重合体を合成した。
その結果、粘度が2,100mPa・sで飽和し、反応が終了した。得られた高分子量エポキシ重合体の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定した結果では83,000、光散乱法によって測定した結果では82,000であった。また稀薄溶液の還元粘度(N,N−ジメチルアセトアミド、25℃)は0.88dl/gであった。
この溶液をガラス板に塗布し、170℃で1h乾燥して得た42μm厚のフィルムの引張り強さは70.5MPa、引張弾性率は1,680MPa、伸びは81%であった。
【0017】
(実施例5)
二官能エポキシ樹脂としてテトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテル660.0g(1.00モル)、二官能フェノール類として1,5−ナフタレンジオール160.2g(1.00モル)、触媒として水酸化ナトリウム1.20g(0.03モル)とリン酸トリメチル7.00g(0.05モル)をアミド系溶媒であるN,N−ジメチルアセトアミド1933gに溶解させ、反応系中の固形分濃度を30重量%とした。これを機械的に攪拌しながら、オイルバス中で反応系中の温度を110℃に保ち、そのまま12h保持した。
その結果、粘度が2,600mPa・sで飽和し、反応が終了した。得られた高分子量エポキシ重合体の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定した結果では102,000、光散乱法によって測定した結果では97,000であった。また稀薄溶液の還元粘度は0.96dl/gであった。
この溶液をガラス板に塗布し、170℃で1h乾燥して得た46μm厚のフィルムの引張り強さは72.4MPa、引張弾性率は1,900MPa、伸びは64%であった。
【0018】
(比較例1)
実施例1における触媒である水素化リチウム0.24g(0.03モル)とトリフェニルフォスフィン7.87g(0.03モル)を、水素化リチウム0.48g(0.06モル)だけに代えた以外は、実施例1と同様に高分子量エポキシ重合体を合成した。
その結果、粘度が1,940mPa・sで飽和し、重合反応が終了した。得られた高分子量エポキシ重合体の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定した結果では87,000、光散乱法によって測定した結果では84,000であった。また稀薄溶液の還元粘度(N,N−ジメチルアセトアミド)は1.09dl/gであった。
この溶液をガラス板に塗布し、170℃で1h乾燥して得た35μm厚のフィルムの引張り強さは50.2MPa、引張弾性率は1,270MPa、伸びは53%であった。
【0019】
(比較例2)
実施例1における触媒である水素化リチウム0.24g(0.03モル)とトリフェニルフォスフィン7.87g(0.03モル)を、トリフェニルフォスフィン7.87g(0.06モル)だけに代えた以外は、実施例1と同様に高分子量エポキシ重合体を合成した。
その結果、粘度が330mPa・sで飽和し、重合反応が終了した。得られた高分子量エポキシ重合体の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定した結果では42,000、光散乱法によって測定した結果では40,000であった。また稀薄溶液の還元粘度(N,N−ジメチルアセトアミド)は0.35dl/gであった。
この高分子量エポキシ重合体溶液を用いた以外は実施例1と同様にしてフィルムを得ようとしたが、厚さ100μm以下で引張り強さ10MPa以上のフィルムは得られなかった。
【0020】
(比較例3)
実施例3における触媒である水酸化リチウム0.96g(0.04モル)とトリ−n−ブチルフォスフィン10.12g(0.05モル)を水酸化リチウム0.96g(0.04モル)だけに代えた以外は、実施例3と同様に高分子量エポキシ重合体を合成した。
その結果、粘度が2,400mPa・sで飽和し、反応が終了した。得られた高分子量エポキシ重合体の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定した結果では104,000、光散乱法によって測定した結果、96,000であった。また稀薄溶液の還元粘度は0.96dl/gであった。
この溶液をガラス板に塗布し、170℃で1h乾燥して得た43μm厚のフィルムの引張り強さは61.2MPa、引張弾性率は1,730MPa、伸びは22%であった。
【0021】
(比較例4)
高分子量エポキシ重合体であるフェノキシ樹脂YP50P(東都化成株式会社製商品名)の平均分子量を測定した。ゲル浸透クロマトグラフィーによるスチレン換算重量平均分子量は68,000、光散乱法による平均分子量は58,000であった。また稀薄溶液の還元粘度(N,N−ジメチルアセトアミド、25℃)は0.48dl/gであった。この樹脂はメチルエチルケトンに容易に溶解した。またN,N−ジメチルアセトアミド20重量%溶液の粘度は200mPa・sであった。
この高分子量エポキシ重合体溶液を用いた以外は実施例1と同様にしてエポキシ重合体のフィルムを得ようとしたが、厚さ100μm以下で引張り強さ10MPa以上のフィルムは得られなかった。
【0022】
以上の実施例、比較例における測定方法の詳細を以下に示す。また、実施例、比較例の測定結果を表1、表2に示した。
粘度はEMD型粘度計(東京計器株式会社製商品名)を用いて、25℃で測定した。
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)に使用したカラムは、TSKgelG6000+G5000+G4000+G3000+G2000(東ソー株式会社製商品名)である。溶離液には、N,N−ジメチルアセトアミドを使用し、試料濃度は2重量%とした。様々な分子量のスチレンを用いて分子量と溶出時間の関係を求めた後、溶出時間から分子量を算出し、スチレン換算重量平均分子量とした。
光散乱光度計は、大塚電子株式会社製DLS−700を用いた。
稀薄溶液の還元粘度は、ウベローデ粘度計を用いて測定した。
引張り強さ、伸び、引張弾性率は、株式会社東洋ボールドウィン製テンシロンを用いて測定した。フィルム試料サイズは50×10mm、引張り速度は5mm/分とした。
【0023】
【表1】
Figure 0004375825
【0024】
【表2】
Figure 0004375825
【0025】
各実施例に示したように、本発明の高分子量エポキシ重合体の製造方法を用いることによって、十分な強度を有する100μm以下の厚さのエポキシフィルムを与える高分子量エポキシ重合体を製造することができる。
一方、比較例1、比較例3に示したように、触媒としてアルカリ金属化合物だけを用いた場合には、フィルムの引張り強さが10%以上低下し、伸びは1/2以下に低下する。
比較例2に示したように、触媒として有機リン化合物だけを用いた場合には、厚さ100μm以下で引張強さが10MPa以上のフィルムが成形できなかった。また、比較例4に示したように、市販の高分子量エポキシ重合体であるフェノキシ樹脂を用いた場合には100μm以下のエポキシ重合体フィルムは成形できなかった。
【0026】
【発明の効果】
本発明の高分子量エポキシ重合体を用いることによって、十分に薄く、しかも十分な強度や伸びを有するエポキシ重合体フィルムを作製することが可能になり、絶縁材料、接着剤、塗料、成型品、フィルム等に好適に使用することができる。

Claims (9)

  1. 二官能エポキシ樹脂と二官能フェノール類を触媒の存在下、溶媒中で加熱して重合させ、高分子量エポキシ重合体を製造する方法において、(1)触媒として、二官能エポキシ樹脂1モルに対し、アルカリ金属化合物0.005〜0.20モル及びアルキルフォスフィン及びアリルフォスフィンから選ばれる1以上の有機リン化合物0.005〜0.20モルの範囲で、かつ、それらの合計が0.01〜0.30モルの範囲で配合し、(2)合成溶媒として沸点が130℃以上の溶媒を用い、(3)合成時の固形分濃度が50重量%以下であることを特徴とする高分子量エポキシ重合体の製造方法。
  2. 触媒として用いる有機リン化合物/アルカリ金属化合物のモル比が1.0以上である請求項1に記載の高分子量エポキシ重合体の製造方法。
  3. 触媒として用いるアルカリ金属化合物がリチウム化合物である請求項1または請求項2に記載の高分子量エポキシ重合体の製造方法。
  4. 合成に用いる溶媒が沸点130℃以上のアミド系溶媒またはケトン系溶媒である請求項1ないし請求項のいずれかに記載の高分子量エポキシ重合体の製造方法。
  5. 合成時の固形分濃度が40重量%以下である請求項1ないし請求項のいずれかに記載の高分子量エポキシ重合体の製造方法。
  6. 合成した高分子量エポキシ重合体のGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)法によるスチレン換算重量平均分子量が70,000以上である請求項1ないし請求項のいずれかに記載の高分子量エポキシ重合体の製造方法。
  7. 合成した高分子量エポキシ重合体をN,N−ジメチルアセトアミドに溶解した希薄溶液の還元粘度が0.60dl/g(25℃)以上である請求項1ないし請求項のいずれかに記載の高分子量エポキシ重合体の製造方法。
  8. 合成した高分子量エポキシ重合体溶液から溶媒を除去して得た100μm以下のフィルムの引張り強さが10MPa以上である請求項1ないし請求項のいずれかに記載の高分子量エポキシ重合体の製造方法。
  9. 合成した高分子量エポキシ重合体溶液から溶媒を除去して得た100μm以下のフィルムの伸びが20%以上である請求項1ないし請求項のいずれかに記載の高分子量エポキシ重合体の製造方法。
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