JPH11147932A - 高分子量エポキシ重合体の製造方法 - Google Patents

高分子量エポキシ重合体の製造方法

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JPH11147932A
JPH11147932A JP31780397A JP31780397A JPH11147932A JP H11147932 A JPH11147932 A JP H11147932A JP 31780397 A JP31780397 A JP 31780397A JP 31780397 A JP31780397 A JP 31780397A JP H11147932 A JPH11147932 A JP H11147932A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 十分に薄く、しかも十分な強度を有するエポ
キシ重合体フィルムを作製することが可能な枝分かれの
少ない高分子量エポキシ重合体の製造方法を提供する。 【解決手段】 二官能エポキシ樹脂と二官能フェノール
類を触媒の存在下、溶媒中で加熱して重合させ、高分子
量エポキシ重合体を製造する方法において、触媒とし
て、アルカリ金属化合物と有機リン化合物を併用し、二
官能エポキシ樹脂1モルに対して、アルカリ金属化合物
0.005〜0.20モル、有機リン化合物0.005
〜0.20モルの範囲で、しかもそれらの合計が0.0
1〜0.30モルの範囲で配合し、合成溶媒として沸点
130℃以上の溶媒を用い、合成時の固形分濃度を50
重量%以下として合成する高分子エポキシ重合体の製造
方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、絶縁材料、接着
剤、塗料、成形品、フィルム等に用いられる高分子量エ
ポキシ重合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】比較的低分子量の二官能エポキシ樹脂と
二官能フェノール類を原料として高分子量エポキシ重合
体を製造する方法は一般に二段法と呼ばれ、この方法に
関する最初の文献は米国特許第2,615,008号明
細書であり、日本国内においては、同じ出願人による特
公昭28−4494号公報がある。この文献では重合触
媒として水酸化ナトリウムを用い、無溶媒下、150〜
200℃で反応させることにより、エポキシ当量が5,
600の高分子量エポキシ重合体を得たことが記載され
ている。この重合体の平均分子量は、約11,000で
あると推定できる。これらの文献には、溶媒を使用した
実施例の記載は見当たらない。溶媒を使用することを記
載している文献の例としては、米国特許3,306,8
72号明細書がある。特に実施例中に溶媒を使用した例
が記載されている文献としては特開昭54−52200
号公報、特開昭60−118757号公報、特開昭60
−144323号公報、特開昭60−144324号公
報などがある。これらの文献で使用されている溶媒とし
ては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、
シクロヘキサノン、エチレングリコールモノエチルエー
テル、エチレングリコールモノメチルエーテルなどであ
る。これらの溶媒はケトン系およびエーテル系(セロソ
ルブ系)溶媒に分類される。米国特許3,306,87
2号明細書では、溶媒としてメチルエチルケトン、エチ
レングリコールモノメチルエーテルのいずれかを用いて
おり、溶液の固形分濃度は20〜60%である。触媒と
してはアルカリ金属またはベンジルトリメチルアンモニ
ウムの水酸化物またはフェノラートを用いている。重合
反応温度を75〜150℃とし、生成した高分子量エポ
キシ重合体の重量平均分子量が少なくとも40,000
以上になるまで反応を続けている。平均分子量は粘度法
によって求めており50,000〜1,000,000
と測定されている。しかしながら、粘度法は算出時に用
いるパラメータの設定によって、算出値が大きく左右さ
れることが分かっている。したがって、必ずしも正確な
分子量が測定されているとはいえない。また溶媒中で重
合させることにより高分子量エポキシ重合体が得られて
いると考えられる実施例としては、特開昭54−522
00号公報に溶媒としてエチレングリコールモノエチル
エーテルを用いて、重量平均分子量45,500の高分
子量エポキシ重合体を得たことが記載されている。特開
昭58−149914号公報ではメチルエチルケトンを
用いて、オートクレーブ中で合成し、さらに反応溶液を
貧溶媒中に投入して沈殿させて重量平均分子量81,0
00の重合体を得ている。特開昭60−118757号
公報には、溶媒にメチルイソブチルケトン、シクロヘキ
サノン、エチレングリコールモノエチルエーテルを用い
て、重量平均分子量が最大31,000の高分子量エポ
キシ重合体を得たことが記載されている。特開昭60−
144323号公報には溶媒にメチルエチルケトンを用
い、重量平均分子量53,200の高分子量エポキシ重
合体を得たことが記載されており、特開昭60−144
324号公報には、溶媒にメチルエチルケトンを用い
て、重量平均分子量66,000の高分子量エポキシ重
合体を得たことが記載されている。上記4件の公報によ
れば、いずれもゲル浸透クロマトグラフィーによって平
均分子量を測定しているが、測定条件および算出方法等
については記載されていない。ゲル浸透クロマトグラフ
ィーによって得た分子量は、使用した充填剤の種類、溶
離液の種類などの測定条件および算出方法などによって
大きく異なり、正確な値を得ることは困難であり、必ず
しも正確な平均分子量が測定されているとはいえない。
また、特開昭58−149914号公報では、反応溶液
を貧溶媒に投入した際に低分子量成分が除去され、重量
平均分子量が反応溶液中に存在する場合よりも高くなっ
たと推定できる。前記のいずれの文献にも、得られた高
分子量エポキシ重合体がフィルム形成能を有するという
主旨の記載は見当たらない。また得られたエポキシ重合
体は、沸点130℃以下のアミド系またはケトン系以外
の溶媒に溶解していることなどから、これらの文献に記
載された方法では取扱い上十分なフィルム形成能を有す
るまでに直鎖状に高分子量化した高分子量エポキシ重合
体は得られていないことは明らかである。本発明者ら
は、特開平4−120122号公報、特開平4−120
123号公報、特開平4−120124号公報、特開平
4−120125号公報、特開平4122714号公
報、特開平4−122713号公報において二官能エポ
キシ樹脂と二官能フェノール類を触媒の存在下、重合反
応溶媒中で加熱して重合させ、高分子量エポキシ樹脂を
製造する方法を提案した。この方法で得られた高分子量
エポキシ樹脂は分子量が高く厚み100μm以下の取り
扱い性の良好なフィルムを形成することができた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記公報の
方法で得られた高分子量エポキシ樹脂よりもさらに取扱
い性に優れたフィルム形成能を有し、引張り強さ、引張
弾性率、伸びなどの機械的特性に優れた、より直鎖状に
高分子量化した高分子量エポキシ重合体を提供すること
を課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、二官能エポキ
シ樹脂と二官能フェノール類を触媒の存在下、溶媒中で
加熱して重合させ、高分子量エポキシ重合体を製造する
方法において、(1)触媒としてアルカリ金属化合物と
有機リン化合物を併用し、アルカリ金属化合物0.00
5〜0.20モル及び有機リン化合物0.005〜0.
20モルの範囲で、かつ、二官能エポキシ樹脂1モルに
対し、それらの合計が0.01〜0.30モルの範囲で
配合し、(2)合成溶媒として沸点が130℃以上の溶
媒を用い、(3)合成時の固形分濃度を50重量%以下
とする高分子量エポキシ重合体の製造方法である。そし
て、触媒として用いる有機リン化合物/アルカリ金属化
合物のモル比が1.0以上であると好ましく、また、ア
ルカリ金属化合物がリチウム化合物であると好ましく、
有機リン化合物がアルキルホスフィンまたはアリルホス
フィンであると好ましい高分子量エポキシ重合体の製造
方法である。さらに、合成に用いる溶媒が沸点130℃
以上のアミド系溶媒またはケトン系溶媒であると好まし
く、合成時の固形分濃度が40重量%以下であると好ま
しいものである。得られた高分子量エポキシ重合体は、
GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)法によるスチレ
ン換算重量平均分子量で70,000以上、N,N−ジ
メチルアセトアミドに溶解した希薄溶液の還元粘度で
0.60dl/g(25℃)以上であると好ましい。ま
た、合成した高分子量エポキシ重合体溶液から溶媒を除
去して得た100μm以下のフィルムの引張り強さが1
0MPa以上または伸びが20%以上であると好ましい
高分子量エポキシ重合体の製造方法である。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
フィルム形成能を有するまでに直鎖状に高分子量化した
エポキシ重合体を得るためには、二官能エポキシ樹脂と
二官能フェノール類を原料として、エーテル化触媒を用
いて、合成反応溶媒中で交互に重合させる二段法を用い
ることが好ましい。高分子量エポキシ重合体の合成原料
である二官能エポキシ樹脂は、分子内に二個のエポキシ
基をもつ化合物であれば特に制限されない。例えば、ビ
スフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エ
ポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、脂環式
エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、その他、二官
能フェノール類のジグリシジルエーテル化物、二官能ア
ルコール類のジグリシジルエーテル化物、およびそれら
のハロゲン化物、水素添加物などがある。これらの化合
物の分子量は制限されず互いに重合していても、分子内
に二個のエポキシ基を有すればよい。これらの化合物は
何種類かを併用して用いることができる。また二官能エ
ポキシ樹脂以外の成分を含んでいても構わない。
【0006】高分子量エポキシ重合体の合成原料である
二官能フェノール類は、二個のフェノール性水酸基をも
つ化合物であれば特に制限されない。例えば、単環二官
能フェノールであるヒドロキノン、レゾルシノール、カ
テコール、多環二官能フェノールであるビスフェノール
A、ビスフェノールF、ビフェノール、ジヒドロキシジ
フェニルエーテル、ジヒドロキシジフェニルスルホンお
よびこれらのハロゲン化物、アルキル基置換体、異性体
などがある。これらの化合物の分子量は制限されず互い
に重合していたり他の化合物と重合していても、分子内
に二個のフェノール性水酸基を有すれば良い。これらの
化合物は何種類かを併用して用いることができる。また
二官能フェノール類以外の成分を含んでいても構わな
い。
【0007】本発明では、高分子量エポキシ重合体の合
成触媒として、エポキシ基とフェノール性水酸基のエー
テル化反応を促進させる触媒能を有するアルカリ金属化
合物と有機リン化合物を併用して用いる。アルカリ金属
化合物の例としては、ナトリウム、リチウム、カリウム
の水酸化物、ハロゲン化物、有機酸塩、アルコラート、
フェノラート、水素化物、ホウ水素化物、アミドなどが
ある。有機リン化合物としては、有機基を有するリン化
合物であれば制限されず使用できる。それらの例とし
て、ヘキサメチルリン酸トリアミド、リン酸トリ(ジク
ロロプロピル)、リン酸トリ(クロロプロピル)、リン
酸トリメチル、トリ−n−ブチルフォスフィン、亜リン
酸トリフェニル、フェニルフォスフォン酸、トリフェニ
ルフォスフィン、ジフェニルフォスフィン等が挙げられ
る。これらの中でトリ−n−ブチルフォスフィン等のア
ルキルフォスフィン、トリフェニルフォスフィン、ジフ
ェニルフォスフィン等のアリルフォスフィンが好まし
い。これらの触媒は併用して使用することができる。
【0008】これらの触媒の配合量は、原料である二官
能エポキシ樹脂1モルに対して、アルカリ金属化合物
0.005〜0.20モル、有機リン化合物0.005
〜0.20モルの範囲で、しかもそれらの合計が0.0
1〜0.30モルの範囲とされる。この範囲より少ない
と高分子量化反応が著しく遅く、この範囲より多いと副
反応が多くなり直鎖状に高分子量化しない。有機リン化
合物/アルカリ金属化合物のモル比が1.0以上であれ
ば、さらに好ましい。1.0未満では、フィルムの引張
り強さや伸びが若干劣るようになる。
【0009】高分子量エポキシ重合体の合成溶媒は、原
料の二官能エポキシ樹脂と二官能フェノール類を溶解
し、合成された高分子量エポキシ重合体を溶解する溶媒
であれば制限されないが、沸点が130℃以上の溶媒を
使用する。さらに好ましくは、沸点が130℃以上のア
ミド系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒のいずれか
または何種類かを併用して用いても良い。
【0010】合成溶媒として好ましいアミド系溶媒は、
原料となる二官能エポキシ樹脂と二官能フェノール類を
溶解し沸点が130℃以上の溶媒で有れば、制限されず
に用いることができる。例えば、ホルムアミド、N−メ
チルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ア
セトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチ
ルアセトアミド、N,N,N′,N′−テトラメチル尿
素、2−ピロリドン、N−メチルピロリドン、カルバミ
ド酸エステルなどがある。また、合成溶媒として好まし
いケトン系溶媒は、沸点が130℃以上で、原料となる
二官能エポキシ樹脂と二官能フェノール類を溶解すれば
制限されず、例えばアセチルアセトン、ジイソブチルケ
トン、ホロン、イソホロン、メチルシクロヘキサノン、
シクロヘキサノン、アセトフェノンなどがある。これら
の溶媒は併用することができる。またアミド系、ケトン
系、エーテル系、アルコール系、エステル系などに代表
されるその他の溶媒と併用しても構わない。
【0011】高分子量エポキシ重合体の合成条件として
は、二官能エポキシ樹脂と二官能フェノール類の配合当
量比は、エポキシ基/フェノール性水酸基=1/0.9
〜1.1であることが望ましい。0.9当量より少ない
と、直鎖状に高分子量化せずに、副反応が起きて架橋
し、溶媒に不溶になる。1.1当量より多いと、高分子
量化が進まない。高分子量エポキシ重合体の合成反応温
度は、60〜150℃であることが望ましい。60℃よ
り低いと高分子量化反応が著しく遅く、150℃より高
いと副反応が多くなり直鎖状に高分子量化しない。高分
子量エポキシ重合体の合成反応時の固形分濃度は50重
量%以下とするが、好ましくは40重量%以下が好まし
い。高濃度になるにしたがい副反応が多くなり、直鎖状
に高分子量化しにくくなる。したがって、比較的高濃度
で重合反応を行い、しかも直鎖状の高分子量エポキシ重
合体を得ようとする場合には、反応温度を低くし、触媒
量を少なくする必要がある。
【0012】本発明の高分子量エポキシ重合体のスチレ
ン換算重量平均分子量が70,000以上であると、従
来の高分子エポキシ重合体では不可能であった厚さ10
0μm以下の取扱い上十分な強度を有するフィルムを成
形することが可能である。このためには、合成した高分
子量エポキシ重合体のN,N−ジメチルアセトアミドに
溶解した希薄溶液の還元粘度が0.6dl/g以上であ
ることが好ましい。さらに好ましくは、0.7dl/g
以上である。本発明者等は、ビスフェノールA型エポキ
シ樹脂とビスフェノールAを原料とする高分子量エポキ
シ重合体は、ゲル浸透クロマトグラフィーによるスチレ
ン換算重量平均分子量が100,000を越える場合に
はメチルエチルケトンには溶解しないことを確認してい
る。スチレン換算重量平均分子量が100,000を越
え、しかもアミド系溶媒、沸点が130℃以上のケトン
系溶媒以外の溶媒に溶解する場合には、枝分かれの多い
高分子量エポキシ重合体であることも同時に確認してい
る。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフ
ェノールAを用いて、エポキシ基/フェノール性水酸基
の当量比を1/0.60〜1/0.80にして重合させ
た高分子量エポキシ重合体は、枝分かれが多いと考えら
れるが、この範囲の当量比で得たスチレン換算重量平均
分子量110,000の高分子量エポキシ重合体は、メ
チルエチルケトンに溶解する。それに対してエポキシ基
/フェノール性水酸基の当量比を1/0.99〜1/
1.01にして、アミド系溶媒中で重合させたスチレン
換算重量平均分子量66,000の高分子量エポキシ重
合体は、直鎖状の高分子量エポキシ重合体と考えられる
が、メチルエチルケトンには溶解しない。直鎖状高分子
量エポキシ重合体がメチルエチルケトンにすべて溶解す
るためには、スチレン換算重量平均分子量は、約20,
000以下であることが必要である。直鎖状高分子の枝
分かれの程度を正確に測定することは現在できないが、
分子量が同じであれば、枝分かれが多いほど直鎖部分の
長さが短くなり、様々な特性に影響を与えると考えられ
る。物性面では、直鎖状高分子の熱可塑性樹脂と、枝分
かれの多い架橋高分子である熱硬化性樹脂とを比較すれ
ばよいと考えられる。直鎖状高分子である熱可塑性樹脂
は、一般的には熱硬化性樹脂に比べて、耐衝撃性が強
く、伸びが大きい。その結果、ほとんどの熱可塑性樹脂
は十分な強度のフィルム形成能を有する。そして、フィ
ルムの強度をさらに向上させるためには、高分子量エポ
キシ重合体の枝分かれを減らすことが必要である。本発
明は、触媒としてアルカリ金属化合物と有機リン化合物
を併用することによって、フィルムの枝分れをさらに減
らしたものであり、十分な強度のフィルム形成能を有
し、フィルムとした場合の機械的特性の引張り強さや伸
びを著しく向上させることができる。
【0013】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説
明するが、本発明はこれに限定されるものではない。 (実施例1)二官能エポキシ樹脂としてビスフェノール
Aジグリシジルエーテル340.4g(1.00モル)、
二官能フェノール類としてビスフェノールA228.3
g(1.00モル)、触媒として水素化リチウム0.24
g(0.03モル)とトリフェニルフォスフィン7.8
7g(0.03モル)をアミド系溶媒であるN,N−ジ
メチルアセトアミド2307gに溶解させ、反応系中の
固形分濃度を20重量%とした。これを機械的に攪拌し
ながら、オイルバス中で反応系中の温度を120℃に保
ち、そのまま8h保持した。その結果、粘度が1,82
0mPa・sで飽和し、重合反応が終了した。得られた
高分子量エポキシ重合体の重量平均分子量は、ゲル浸透
クロマトグラフィーによって測定した結果では88,0
00、光散乱法によって測定した結果では86,000
であった。また稀薄溶液の還元粘度は0.79dl/g
であった。この溶液をガラス板に塗布し、170℃で1
h乾燥して得た39μm厚のフィルムの引張り強さは6
4.4MPa、引張弾性率は1,260MPa、伸びは
94%であった。
【0014】(実施例2)実施例1における溶媒のアミ
ド系溶媒であるN,N−ジメチルアセトアミドをケトン
系溶媒であるシクロヘキサノンに代えた以外は、実施例
1と同様に高分子量エポキシ重合体を合成した。その結
果、粘度が1,610mPa・sで飽和し、重合反応が
終了した。得られた高分子量エポキシ重合体の重量平均
分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定し
た結果では78,000、光散乱法によって測定した結
果では78,000であった。また稀薄溶液の還元粘度
(N,N−ジメチルアセトアミド、25℃)は0.74
dl/gであった。この溶液をガラス板に塗布し、17
0℃で1h乾燥して得た46μm厚のフィルムの引張り
強さは61.9MPa、引張弾性率は1,290MP
a、伸びは105%であった。
【0015】(実施例3)二官能エポキシ樹脂としてビ
スフェノールAジグリシジルエーテル340.4g
(1.00モル)、二官能フェノール類としてテトラブロ
モビスフェノールA543.9g(1.00モル)、触媒
として水酸化リチウム0.96g(0.04モル)とト
リ−n−ブチルフォスフィン10.12g(0.05モ
ル)をアミド系溶媒であるN−メチルピロリドン208
9gに溶解させ、反応系中の固形分濃度を30重量%と
した。これを機械的に攪拌しながら、オイルバス中で反
応系中の温度を120℃に保ち、そのまま10h保持し
た。その結果、粘度が3,400mPa・sで飽和し、
反応が終了した。得られた高分子量エポキシ重合体の重
量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーによって
測定した結果では111,000、光散乱法によって測
定した結果では105,000であった。また稀薄溶液
の還元粘度(N,N−ジメチルアセトアミド、25℃)
は0.93dl/gであった。この溶液をガラス板に塗
布し、170℃で1h乾燥して得た40μm厚のフィル
ムの引張り強さは78.2MPa、引張弾性率は1,7
40MPa、伸びは69%であった。
【0016】(実施例4)実施例3における溶媒のアミ
ド系溶媒であるN−メチルピロリドンをN,N−ジメチ
ルアセトアミドに代え、触媒としてリチウムメトキシド
1.14g(0.03モル)とジフェニルフォスフィン
7.45g(0.04モル)を用いた以外は、実施例3
と同様に高分子量エポキシ重合体を合成した。その結
果、粘度が2,100mPa・sで飽和し、反応が終了
した。得られた高分子量エポキシ重合体の重量平均分子
量は、ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定した結
果では83,000、光散乱法によって測定した結果で
は82,000であった。また稀薄溶液の還元粘度
(N,N−ジメチルアセトアミド、25℃)は0.88
dl/gであった。この溶液をガラス板に塗布し、17
0℃で1h乾燥して得た42μm厚のフィルムの引張り
強さは70.5MPa、引張弾性率は1,680MP
a、伸びは81%であった。
【0017】(実施例5)二官能エポキシ樹脂としてテ
トラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテル66
0.0g(1.00モル)、二官能フェノール類として
1,5−ナフタレンジオール160.2g(1.00モ
ル)、触媒として水酸化ナトリウム1.20g(0.0
3モル)とリン酸トリメチル7.00g(0.05モ
ル)をアミド系溶媒であるN,N−ジメチルアセトアミ
ド1933gに溶解させ、反応系中の固形分濃度を30
重量%とした。これを機械的に攪拌しながら、オイルバ
ス中で反応系中の温度を110℃に保ち、そのまま12
h保持した。その結果、粘度が2,600mPa・sで
飽和し、反応が終了した。得られた高分子量エポキシ重
合体の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー
によって測定した結果では102,000、光散乱法に
よって測定した結果では97,000であった。また稀
薄溶液の還元粘度は0.96dl/gであった。この溶
液をガラス板に塗布し、170℃で1h乾燥して得た4
6μm厚のフィルムの引張り強さは72.4MPa、引
張弾性率は1,900MPa、伸びは64%であった。
【0018】(比較例1)実施例1における触媒である
水素化リチウム0.24g(0.03モル)とトリフェ
ニルフォスフィン7.87g(0.03モル)を、水素
化リチウム0.48g(0.06モル)だけに代えた以
外は、実施例1と同様に高分子量エポキシ重合体を合成
した。その結果、粘度が1,940mPa・sで飽和
し、重合反応が終了した。得られた高分子量エポキシ重
合体の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー
によって測定した結果では87,000、光散乱法によ
って測定した結果では84,000であった。また稀薄
溶液の還元粘度(N,N−ジメチルアセトアミド)は
1.09dl/gであった。この溶液をガラス板に塗布
し、170℃で1h乾燥して得た35μm厚のフィルム
の引張り強さは50.2MPa、引張弾性率は1,27
0MPa、伸びは53%であった。
【0019】(比較例2)実施例1における触媒である
水素化リチウム0.24g(0.03モル)とトリフェ
ニルフォスフィン7.87g(0.03モル)を、トリ
フェニルフォスフィン7.87g(0.06モル)だけ
に代えた以外は、実施例1と同様に高分子量エポキシ重
合体を合成した。その結果、粘度が330mPa・sで
飽和し、重合反応が終了した。得られた高分子量エポキ
シ重合体の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフ
ィーによって測定した結果では42,000、光散乱法
によって測定した結果では40,000であった。また
稀薄溶液の還元粘度(N,N−ジメチルアセトアミド)
は0.35dl/gであった。この高分子量エポキシ重
合体溶液を用いた以外は実施例1と同様にしてフィルム
を得ようとしたが、厚さ100μm以下で引張り強さ1
0MPa以上のフィルムは得られなかった。
【0020】(比較例3)実施例3における触媒である
水酸化リチウム0.96g(0.04モル)とトリ−n
−ブチルフォスフィン10.12g(0.05モル)を
水酸化リチウム0.96g(0.04モル)だけに代え
た以外は、実施例3と同様に高分子量エポキシ重合体を
合成した。その結果、粘度が2,400mPa・sで飽
和し、反応が終了した。得られた高分子量エポキシ重合
体の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーに
よって測定した結果では104,000、光散乱法によ
って測定した結果、96,000であった。また稀薄溶
液の還元粘度は0.96dl/gであった。この溶液を
ガラス板に塗布し、170℃で1h乾燥して得た43μ
m厚のフィルムの引張り強さは61.2MPa、引張弾
性率は1,730MPa、伸びは22%であった。
【0021】(比較例4)高分子量エポキシ重合体であ
るフェノキシ樹脂YP50P(東都化成株式会社製商品
名)の平均分子量を測定した。ゲル浸透クロマトグラフ
ィーによるスチレン換算重量平均分子量は68,00
0、光散乱法による平均分子量は58,000であっ
た。また稀薄溶液の還元粘度(N,N−ジメチルアセト
アミド、25℃)は0.48dl/gであった。この樹
脂はメチルエチルケトンに容易に溶解した。またN,N
−ジメチルアセトアミド20重量%溶液の粘度は200
mPa・sであった。この高分子量エポキシ重合体溶液
を用いた以外は実施例1と同様にしてエポキシ重合体の
フィルムを得ようとしたが、厚さ100μm以下で引張
り強さ10MPa以上のフィルムは得られなかった。
【0022】以上の実施例、比較例における測定方法の
詳細を以下に示す。また、実施例、比較例の測定結果を
表1、表2に示した。粘度はEMD型粘度計(東京計器
株式会社製商品名)を用いて、25℃で測定した。ゲル
浸透クロマトグラフィー(GPC)に使用したカラム
は、TSKgelG6000+G5000+G4000
+G3000+G2000(東ソー株式会社製商品名)
である。溶離液には、N,N−ジメチルアセトアミドを
使用し、試料濃度は2重量%とした。様々な分子量のス
チレンを用いて分子量と溶出時間の関係を求めた後、溶
出時間から分子量を算出し、スチレン換算重量平均分子
量とした。光散乱光度計は、大塚電子株式会社製DLS
−700を用いた。稀薄溶液の還元粘度は、ウベローデ
粘度計を用いて測定した。引張り強さ、伸び、引張弾性
率は、株式会社東洋ボールドウィン製テンシロンを用い
て測定した。フィルム試料サイズは50×10mm、引
張り速度は5mm/分とした。
【0023】
【表1】 項目 実施例1 実施例2 実施例3 実施例4 実施例5 水素化リチウム(モル) 0.03 0.03 − − − トリフェニルフォスフィン(モル) 0.03 0.03 − − − 水酸化リチウム(モル) − − 0.04 − − トリ-n-フ゛チルフォスフィン(モル) − − 0.05 − − リチウムメトキシト゛(モル) − − − 0.03 − シ゛フェニルフォスフィン(モル) − − − 0.04 − 水酸化ナトリウム(モル) − − − − 0.03 リン酸トリメチル(モル) − − − − 0.05 溶媒 DMAc シクロヘキサノン NMP DMAc DMAc 固形分濃度(wt%) 20 20 30 30 30 粘度(mPa・s) 1820 1610 3400 2100 2600 GPC分子量 88000 78000 111000 83000 102000 光散乱法 86000 78000 105000 82000 97000 還元粘度(dl/g) 0.79 0.74 0.93 0.88 0.96 フィルム厚み(μm) 39 46 40 42 46 引張り強さ(Mpa) 64.4 61.9 78.2 70.5 72.4 引張り弾性率(Mpa) 1260 1290 1740 1680 1900 伸び(%) 94 105 69 81 64 DMAc;N,N-シ゛メチルアセトアミト゛、NMP;N-メチルヒ゜ロリト゛ン
【0024】
【表2】 項目 比較例1 比較例2 比較例3 比較例4 水素化リチウム(モル) 0.06 − − − トリフェニルフォスフィン(モル) − 0.06 − − 水酸化リチウム(モル) − − 0.04 − 溶媒 DMAc DMAc NMP − 固形分濃度(wt%) 20 20 30 − 粘度(mPa・s) 1940 330 2400 200 GPC分子量 87000 42000 104000 68000 光散乱法 84000 40000 96000 58000 還元粘度(dl/g) 1.09 0.35 0.96 0.48 フィルム厚み(μm) 35 − 43 − 引張り強さ(Mpa) 50.2 − 61.2 − 引張り弾性率(Mpa) 1270 − 1730 − 伸び(%) 53 − 22 −
【0025】各実施例に示したように、本発明の高分子
量エポキシ重合体の製造方法を用いることによって、十
分な強度を有する100μm以下の厚さのエポキシフィ
ルムを与える高分子量エポキシ重合体を製造することが
できる。一方、比較例1、比較例3に示したように、触
媒としてアルカリ金属化合物だけを用いた場合には、フ
ィルムの引張り強さが10%以上低下し、伸びは1/2
以下に低下する。比較例2に示したように、触媒として
有機リン化合物だけを用いた場合には、厚さ100μm
以下で引張強さが10MPa以上のフィルムが成形でき
なかった。また、比較例4に示したように、市販の高分
子量エポキシ重合体であるフェノキシ樹脂を用いた場合
には100μm以下のエポキシ重合体フィルムは成形で
きなかった。
【0026】
【発明の効果】本発明の高分子量エポキシ重合体を用い
ることによって、十分に薄く、しかも十分な強度や伸び
を有するエポキシ重合体フィルムを作製することが可能
になり、絶縁材料、接着剤、塗料、成型品、フィルム等
に好適に使用することができる。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二官能エポキシ樹脂と二官能フェノール
    類を触媒の存在下、溶媒中で加熱して重合させ、高分子
    量エポキシ重合体を製造する方法において、(1)触媒
    として、アルカリ金属化合物0.005〜0.20モル
    及び有機リン化合物0.005〜0.20モルの範囲
    で、かつ、二官能エポキシ樹脂1モルに対し、それらの
    合計が0.01〜0.30モルの範囲で配合し、(2)
    合成溶媒として沸点が130℃以上の溶媒を用い、
    (3)合成時の固形分濃度が50重量%以下であること
    を特徴とする高分子エポキシ重合体の製造方法。
  2. 【請求項2】 触媒として用いる有機リン化合物/アル
    カリ金属化合物のモル比が1.0以上である請求項1に
    記載の高分子量エポキシ重合体の製造方法。
  3. 【請求項3】 触媒として用いるアルカリ金属化合物が
    リチウム化合物である請求項1または請求項2に記載の
    高分子量エポキシ重合体の製造方法。
  4. 【請求項4】 触媒として用いる有機リン化合物がアル
    キルフォスフィンまたはアリルフォスフィンである請求
    項1ないし請求項3のいずれかに記載の高分子量エポキ
    シ重合体の製造方法。
  5. 【請求項5】 合成に用いる溶媒が沸点130℃以上の
    アミド系溶媒またはケトン系溶媒である請求項1ないし
    請求項4のいずれかに記載の高分子量エポキシ重合体の
    製造方法。
  6. 【請求項6】 合成時の固形分濃度が40重量%以下で
    ある請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の高分子
    量エポキシ重合体の製造方法。
  7. 【請求項7】 合成した高分子量エポキシ重合体のGP
    C(ゲル浸透クロマトグラフィー)法によるスチレン換
    算重量平均分子量が70,000以上である請求項1な
    いし請求項6のいずれかに記載の高分子量エポキシ重合
    体の製造方法。
  8. 【請求項8】 合成した高分子量エポキシ重合体をN,
    N−ジメチルアセトアミドに溶解した希薄溶液の還元粘
    度が0.60dl/g(25℃)以上である請求項1な
    いし請求項7のいずれかに記載の高分子量エポキシ重合
    体の製造方法。
  9. 【請求項9】 合成した高分子量エポキシ重合体溶液か
    ら溶媒を除去して得た100μm以下のフィルムの引張
    り強さが10MPa以上である請求項1ないし請求項8
    のいずれかに記載の高分子量エポキシ重合体の製造方
    法。
  10. 【請求項10】 合成した高分子量エポキシ重合体溶液
    から溶媒を除去して得た100μm以下のフィルムの伸
    びが20%以上である請求項1ないし請求項9のいずれ
    かに記載の高分子量エポキシ重合体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016169257A (ja) * 2015-03-11 2016-09-23 大阪ガスケミカル株式会社 フェノキシ(メタ)アクリレート並びにその製造方法及び用途

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