JP4374513B2 - エンコーダー、mrセンサーおよびパワーステアリング装置 - Google Patents

エンコーダー、mrセンサーおよびパワーステアリング装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は磁気式エンコーダーに係り、特にブラシレスDCモーターのような回転体の回転速度、回転位置等の検出に好適な磁気式のエンコーダーに関わる。より好ましくは、振動、衝撃、温度変化に対する信頼性の高い車載用エンコーダーに関する。
【0002】
【従来の技術】
ロボットや工作機械等の駆動源として多数使用されているブラシレスモーターは、メンテナンスフリー、良好な制御特性、高効率運転特性などの優れた特徴を有する。ブラシレスモーターに適用する回転検出手段として、インクリメント、基準点位置、及び磁極位置のトラックを同時に一括して検出できるエンコーダーが、特公平2−45803号公報に開示されている。このエンコーダーはセンサ部に強磁性体を用いた磁気抵抗効果センサー(以下、MRセンサーと略記)であり、いわば磁気式エンコーダーである。図6に、このエンコーダーを用いたブラシレスモーターの概略構成を示す。
【0003】
まず、ブラシレスモーター101のシャフト102の一端に磁気媒体103が固着されている。この磁気媒体103は基体がアルミニウム等の非磁性体で構成され、いわゆるドラムの形状をしている。そのドラムの側面には、一様に薄い硬質な磁性体膜が被膜として形成されている。この磁性体膜を着磁することで形成した磁気信号の並びをトラックという。図6では、インクリメント信号用トラック107、基準点位置信号用トラック108、及びアブソリュート信号用トラック(磁極位置信号用トラックともいう)109について、磁極N,Sの着磁の状態を矢印で模式的に示す。この磁気媒体103に対応してMRセンサー104が、ある適当な距離(すなわちギャップg)を介して図6のごとく近接して配置されている。INC107の点線は、磁極がドラムの外周を連続的に周回している様を示す。ABS108は周回した同じ磁極を重複して示している。位置情報であるそれぞれのトラックの磁気信号はMRセンサー104によって電気信号に変換され、FPC(フレキシブルプリント基板)105を通じて波形成形回路基板106に接続される。波形成形回路基板106ではMRセンサーの出力電圧を増幅し、矩形状の電圧信号に変換する。さらに、波形成形回路基板106の出力は図示していない制御操作回路にフィードバックされ、所望の制御が行われるようになっている。
【0004】
図6における磁気媒体103とMRセンサー104とを取り出して、それぞれのトラック領域(a)と、検出部であるMRセンサー(b)の対応関係を図5に示す。実際には(a)と(b)の面が向き合うわけだが、説明しやすくするために両者を展開して図示している。特に(a)はドラムの外周面を展開して平面図にしている。図5の(a)は磁気媒体103の側面上に着磁記録されたインクリメント信号用トラック107、基準点位置信号用トラック108およびアブソリュート信号用トラック109を示す。MRセンサー104は、各々のトラックに対応したインクリメント検出部110、基準点位置検出部111およびアブソリュート検出部112を有する。各々の検出部に設けられた磁気抵抗効果素子によってトラックの磁気信号が検出される。図5(a)は1回転分のトラックを表している。磁極位置信号用トラック109は電気角で120°の位相差を有するU、VおよびW相の三相(すなわち四極に相当)で形成されている。MRセンサー104の下部にある複数のハンダ端子120は、FPC105が接続される個所であり、いわゆるMRセンサーの出力の取り出し口である。
【0005】
ギャップgは信号ピッチPの長さのおよそ0.7〜0.8倍程度に設定して使用されている。検出される信号波形の傾きが急峻で検出精度が向上する為である。信号ピッチPはドラム等の外径Dと、必要な分解能から決まり、π・D/分解能=Pなる関係がある。従って、必要な分解能から信号ピッチPが決まり、ギャップも必然的に決定される。ギャップgは0.1〜0.3mm程度である。その分解能は、1000ppr(pulse per revolution)程度となる。
【0006】
なお、インクリメント信号は同じ信号の繰り返しで、磁極のSとNが交互にドラムの外周に沿って着磁され、その磁界がインクリメント検出部により検出される。その磁界信号の数をカウントすることにより回転数や位置を知ることができる。アブソリュート信号は絶対位置信号とも呼ばれ、複数本のトラックに書かれた位置の情報を信号として読み取り、その信号をカウントすることなく位置を知ることができる。着磁の並びはドラムの外周に沿っているが、信号毎の磁化の向きはインクリメント信号の磁化と直交する向きにある。
【0007】
上述した磁気式エンコーダーの新しい用途として、自動車用の電動パワーステアリングが検討されている。従来は油圧を用いていたパワーステアリングでも、常時油圧ポンプを作動することによるエネルギー損失は大きな問題である。この電力損失を抑えるため、必要なときだけ駆動できる電動のものが、日経メカニカル誌(1997年9月1日号、第51頁参照)に開示されている。電動モーターで直接ステアリング操作をアシスト(補助)するものであり、複雑な制御機構を必要とせず、構成が簡単でありながら操舵特性設定の自由度があるという点で注目されてきた(例えば、技術情報社の「カーエレクトロニクスと車載用電子部品・機器の信頼性対策」第14頁参照)。
【0008】
さらに、電動パワーステアリングに磁気抵抗効果素子を用いたエンコーダーを適用した発明が成されてきた。これらの技術は、特許第2796391号公報、特公平6−15330号公報に開示されている。また、磁気式センサの2相出力よりそれぞれの磁気ドラムの角度を求めることにより、角度差で軸のトルクを検出する磁気センサを用いる電動パワーステアリング装置が、特開平4−290979号公報に開示されている。位置検出器として同じく磁気抵抗効果素子を用いた電動パワーステアリングが特開平5−193505号公報に開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従来のエンコーダーを、電動パワーステアリング装置に適用しようとすると、次の点を考慮する必要がある。まず、走行による振動や周囲温度の激しい変動等により、エンコーダーのギャップに微細な変動を生じさせる。振動は直接にギャップを変動させ、温度変化は構成材料の熱膨張によりギャップを変動させる。すると、MRセンサーで読み取る信号が外乱によって変動するため、磁気パターンの検出が正確に行われなくなる。磁気ドラムと磁気検出部が接触して、磁気ドラムや磁気検出部が破損することのないようにしなくてはならない。また、ギャップを調整する場合、調整で動かす範囲は40〜80μm程度という極めて狭い範囲で行う必要があった。組み立て調整、取り付け余裕度などの点でも問題があった。
【0010】
これらの問題点を回避すべく、ギャップgを大きくする。ただし、ギャップgの拡大に応じて磁気記録媒体からの磁力を上げるべく、着磁の記録ピッチPもしくは記録幅Tを大きくとる。すると、エンコーダーとMRセンサーも大きくなる。本発明者が検討したところ、UVWの三相アブソリュート信号のトラック幅を0.8mm程度にしないと所望のギャップ(例えば0.5mm)が得られないことがわかった。
【0011】
しかし、単にトラック幅を大きくすると、相間の磁気的な干渉がおこり、MRセンサーの出力にノイズをもたらすことが判った。図5において、トラック間隔Pやトラック幅Tを大きくすると、磁気記録媒体103の厚さやMRセンサー104も大きくなってしまう。これはエンコーダーをパワーステアリング装置に組み込めるように小型化する上で好ましくない。そこで、本発明の目的は、振動、温度変化等の外乱に強く、組み立て調整が容易で、小型なエンコーダーを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明のエンコーダーは、少なくとも1つのインクリメント信号用トラックと複数のアブソリュート信号用トラックとを備えた回転もしくは直線運動可能な磁気記録媒体と、該磁気記録媒体に対向する複数の磁気抵抗効果素子を有するMRセンサーとを備え、
前記磁気抵抗効果素子により前記各トラックに記録された磁気信号を検出するエンコーダーであって、
前記インクリメント信号用トラックを前記アブソリュート信号用トラックの間に配置したことを特徴とするエンコーダー。前記アブソリュート信号用トラックがU相、V相、W相のとき、前記インクリメント信号用トラックは、U相とV相の間あるいはV相とW相の間の少なくともどちらかに配置するか、双方に配置することができる。
【0013】
本発明の他のエンコーダーは、少なくとも1つのインクリメント信号用トラックと複数のアブソリュート信号用トラックと基準点信号用トラックを備えた回転もしくは直線運動可能な磁気記録媒体と、該磁気記録媒体に対向する複数の磁気抵抗効果素子を有するMRセンサーとを備え、
前記磁気抵抗効果素子により前記各トラックに記録された磁気信号を検出するエンコーダーであって、
前記基準点信号用トラックと前記インクリメント信号用トラックを前記アブソリュート信号用トラックの間に配置したことを特徴とする。
【0014】
ここで、前記アブソリュート信号用トラックがU相、V相、W相のとき、次の組み合わせを用いることができる。第1の組み合わせは、U相とV相の間にインクリメント信号用トラックを配置し、V相とW相の間のに基準点位置信号用トラックを配置する。第2の組み合わせは、U相とV相の間に基準点位置信号用トラックを配置し、V相とW相の間のにインクリメント信号用トラックを配置する。第3の組み合わせは、U相とV相の間にインクリメント信号用トラックと基準点位置信号用トラックを配置する。第4の組み合わせは、W相とV相の間にインクリメント信号用トラックと基準点位置信号用トラックを配置する。
【0015】
上記本発明のいずれかにおいて、前記磁気記録媒体と前記MRセンサーの間のギャップが0.2mm以上であることが好ましい。さらに好ましくは、前記磁気記録媒体と前記MRセンサーの間のギャップが0.2〜1mmであることとする。
【0016】
本発明のMRセンサーは、アブソリュート検出部が3相の検出部で構成されるMRセンサーであって、前記3相の検出部の間に、インクリメント検出部が配置されていることを特徴とする。また、本発明の他のMRセンサーは、アブソリュート検出部が3相の検出部で構成されるMRセンサーであって、前記3相の検出部の間に、インクリメント検出部あるいは基準点位置検出部が配置されていることを特徴とする。ここで3相の検出部は上述のU相とV相とW相に相当する。これらのMRセンサーは、上記本発明のエンコーダーに用いることができる。
【0017】
本発明のパワーステアリング装置は、上記本発明のいずれかのエンコーダーを備え、シャフトと、前記シャフトを平行移動させる駆動軸と、前記駆動軸に設けたモーターを有し、
前記磁気記録媒体は円筒状であって前記駆動軸に同軸に固定されており、前記磁気記録媒体に所定のギャップを介して対向する磁気センサーは、前記モーターあるいはモーターを固定する部材に固定されていいることを特徴とする。また、本発明の他のパワーステアリング装置は、上記本発明のいずれかのMRセンサーを用いたパワーステアリング装置である。
【0018】
(作用効果)
インクリメント信号用トラックあるいは基準点位置信号用トラックを、アブソリュート信号用トラックの間に配置することにより、従来構成では離して配置していたインクリメント信号用トラックをアブソリュート信号用トラック間の未着磁領域に置くことが可能となり、ドラム等の幅方向の長さを短くできるという作用効果がある。また、MRセンサーと磁気記録媒体の間隔(ギャップg)を広く取っているために、調整がし易く、且つ塵埃等の影響を受けにくいエンコーダーを構成することができる。U相、V相およびW相の間隔(相間)をあけているため、相間での磁気的な干渉が無視できるほど小さくなり、MRセンサーの出力のノイズを抑制できる。相間の距離を1mm程度以上とすることが望ましい。さらに好ましくは基準点位置信号用トラックを設けない場合には相間の距離を1.5mm以上とし、基準点位置信号用トラックとインクリメント信号用トラックの双方を設ける場合には相間の距離を2mm以上とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施例により説明する。図1は、本発明のエンコーダーに係る磁気記録媒体とMRセンサーのパターンを示す概略図である。図2は、本発明の他のエンコーダーに係る磁気記録媒体とMRセンサーのパターンを示す概略図である。図1または図2の構成は図4に設けるエンコーダーに適用する。この図4は、本発明のエンコーダーを用いたパワーステアリング装置の概略を示す断面図である。図3は、図1または図2におけるアブソリュート相の磁極とアブソリュート検知部の関係を説明する概略図である。
【0020】
(実施例1)
図1は、本発明に係るインクリメント信号トラック(INC)とアブソリュート信号トラック(U相,V相,W相)の着磁パターンの関係を説明する概略図である。MRセンサー4を磁気記録媒体3に近接した状態で固定してエンコーダーを作製した。図1(a)は、磁気記録媒体3(ドラム)の外周面を模式的に展開した平面図である。このドラムは、アブソリュート信号用トラックであるU相9a,9a′と、V相9b,9b′と、インクリメント信号用トラック7と、アブソリュート信号用トラックであるW相9c,9c′が、順に配列するように外周面に形成されたものである。図1(b)は、このトラックの配列に応じて、U相トラックの信号を検知するアブソリュート検出部12aと、V相トラックの信号を検知するアブソリュート検出部12bと、インクリメント信号を検知するインクリメント検出部10と、W相トラックの信号を検知するアブソリュート検出部12cが、順に配列するように基板上に形成されたMRセンサー4である。この基板は下部に設けたハンダ端子20と、各検出部12a、12b、12c、10を結ぶ薄膜配線(図示を省略)を有する。各検出部における磁気抵抗効果素子や薄膜配線について、形状・回路配置は従来の技術の構成を参考にし、本実施例の検出部の配置に倣って配置を入れ替えた構成を用いた。ハンダ端子20から先にはFPCを介して波形成形回路基板に接続した。
【0021】
インクリメント信号用トラック7の着磁パターンは、小さな磁石(着磁で形成されるN,S極の磁極)が所定のピッチλで、磁気記録媒体の外周面に沿って、交互に繰り返し配列されている。トラックを着磁するピッチPは、1周で200極とした。また、アブソリュート信号用トラックはそれぞれU相、V相、W相トラックの3相に分けて着磁した。アブソリュート信号用トラックの着磁の向きは、インクリメント信号用トラツクの着磁方向と直交する向きである。図1のU相9a,9a′を例に取れば、インクリメント信号用トラック側の端面は全てN極で、他方の端面は全てS極となるように着磁されている。
【0022】
図3に、図1(a)のU相と(b)のアブソリュート検知部12aの関係を詳しく説明する。図3の(a)は、アブソリュート検知部12aの回路構成である。R1、R2,R3,R4は、磁気抵抗効果素子であるパーマロイ薄膜の配置を示す。このアブソリュート検知部12aと対向させたU相の一対の磁極13a及び13a′は点線で図示した。U相の磁極は、ドラムの回転方向に対して平行な2列のサブトラックからなり、サブトラック同士はドラムの回転方向において信号周期Pの1/2ピッチだけずらして配置させる。P/2ずらした隣接する磁極を一対の磁極とみなす。素子R1とR4、R2とR3は各々ほぼ同一の位置に配置され、磁極13a,13a′から同じ信号磁界を受ける事になるため、同時に抵抗変化を起こす。従って、中点電位Vu,Vu′はそれぞれ逆位相関係となり、周期Pに応じた差動出力e3が得られる。V相、W相はU相と信号位相が異なるだけであり、信号の出力方法は同一である。INC信号、基準点位置信号等の信号出力方法は特開平07−139966に詳述してあり、本特許での詳述はしない。
【0023】
磁気記録媒体(ドラム)は、アルミニウム合金の円筒にフェライトゴム磁石を一体成形した構成、あるいはアルミニウム合金にフェライト磁性体と有機材料の混合物を塗布した構成を用いた。なお、ドラムを接続すべき回転部材とドラムを、予め一体成型により製造することもできる。この回転部材としては、3相ブラシレズモーターの回転軸等が挙げられる。
【0024】
具体的な寸法の一例を示す。ドラムの外径は60mm,ドラムの幅は15mmとした。
U,V,W相の各トラックにおいてサブトラックのトラック幅Tは、ギャップgが0.5mmでも磁力が十分得られるように1mmに設計した。U相内のサブトラック同士13a,13a′の間隔は0.5mmとした。V相のサブトラック13b,13b′間の間隔と、U相のサブトラック13c,13c′間の間隔は、U相と同様にした。U相9aとV相9bの間隔は、1.5mmとして異相間の干渉を抑える構成とした。INC相7は小型化を計るため、従来UVW相トラックの外に別に配置していたものを、V相−W相トラックの間に配置している。この際、V相及びW相トラックとINCトラックは着磁方向が略直角であるために干渉が起きにくい。そこで、V相−INC相間と、W相−INC相間を共に0.5mmとして配置した。INC相7のトラック幅は、MRセンサーの磁気抵抗効果素子長さにより制約されるので1mmとした。磁気抵抗効果素子と磁気ドラムとの間のギャップは0.5mmとした。組立の際にドラムとMRセンサーの間に0.45mmのシムを挟んで固定した後に、シムを抜くことにより簡便に組み立てすることができた。なお、上述のトラック間あるいはサブトラック間の間隔とは、ドラムの回転方向に直交する向きの間隔を言う。
【0025】
このように作製したエンコーダーを JIS D 1601「自動車部品振動試験方法」、JIS C 0912「小型電気機器の衝撃試験方法」で試験した結果、十分に満足すべき結果を得た。実施例1以外にも、本発明のアブソリュート信号とインクリメント信号の組み合わせパターンは、同様の原理により各種の移動体の移動速度や移動位置等を検出することが出来るのは明らかである。すなわち、移動体の移動方向にインクリメント信号用トラックの磁化方向を設定し、アブソリュート信号用トラックの磁化方向を前記移動体の移動方向に直角方向に設定すれば、両トラック間で磁気干渉を起こすことなく配置できる。
【0026】
以上、磁気抵抗効果素子(MR素子)を例に取って説明したが、本発明のMRセンサーに多層構造からなる巨大磁気抵抗効果素子(GMR素子)を用いても良い。GMR素子はMR素子よりも磁気抵抗変化率が大きい。出力が大きいのでギャップをより広く取ることが可能になり、ギャップの変動に対する許容度が大きく、機械設計の点で極めて有効である。すなわち、GMR素子を用いれば、ギャップが多少変化しても安定した出力を得ることができる。
【0027】
(実施例2)
図2は、本発明に係るインクリメント信号トラック(INC相)と、基準点位置信号用トラック(Z相)と、アブソリュート信号トラック(U相,V相,W相)の着磁パターンの関係を説明する概略図である。図2(a)は、基準点位置信号用トラック8(Z相)を図1(a)の構成に加えた磁気記録媒体3bである。U,V相とZ相の間隔は0.1mm、Z相のトラック幅は2mmとした。インクリメント信号用トラックやその他の構成は、図1(a)と同様にした。図2(b)は、このトラックの配列に応じて、U相トラックの信号を検知するアブソリュート検出部12aと、基準点位置信号を検知する基準点位置検知部11と、V相トラックの信号を検知するアブソリュート検出部12bと、インクリメント信号を検知するインクリメント検出部10と、W相トラックの信号を検知するアブソリュート検出部12cが、順に配列するように基板上に形成されたMRセンサー4bである。その他の構成は図1(b)と同様にした。
【0028】
上述したように、インクリメント信号用トラックと同様に基準点位置信号用トラックの着磁方向が、U、VおよびW相のアブソリュート信号用トラックとは、その成す角度がほぼ90度であり、近接しても影響を受けにくい。従って、INC信号と併せてZ相もU、VおよびW相に近接配置することができ、従来例に比べてより小型化が可能となる。
【0029】
(実施例3)
図4に本発明のエンコーダーを設けたパワーステアリング装置の概略を断面図で示す。このパワーステアリング装置は、自動車において一対の車輪保持部40と連結バー33を一対の車輪31の間に有し、この連結バー33に連結バー駆動部とステアリング駆動部を設けた。続けて各部の構成を説明する。車輪保持部40は、車輪31(例えば、タイヤとホイール)を回転可能に保持し、軸部41を中心にして矢印dの向きに方向を変えることができる。連結バー33は、回転自在な連結軸39を介して一対の車輪保持部40を連結する。一対の軸部41が自動車に固定された状態で連結バー33を矢印Xの向きに動かすと、一対の車輪31は互いに平行な状態で向きを変える。ステアリング駆動部は、運転席におけるステアリングホイール38と、ステアリングホイールに接続してその回転を伝えるロッド部37と、ロッド部の回転を伝達して連結バー33を矢印Xの向きに動かすギヤボックス36で構成した。連結バー33が矢印Xの向きに平行に動くと、車輪31は矢印dの向きに回転した。
【0030】
前記連結バー駆動部は、連結バーを矢印Xの向きに動かすためのモーターとエンコーダーで構成した。このモーターは、中空の駆動軸32と、この駆動軸32の周囲に固定した磁石34と、この磁石34を取り囲み、駆動軸を回転させるための磁界を印加するコイル35で構成される3相ブラシレスモーターである。駆動軸の内面にはピニオンギアがあり、連結バーに設けたネジとかみ合う。このピニオンギアの回転方向を逆転させると連結バー33が移動する向きが反転する。
【0031】
このパワーステアリング装置は、ステアリング駆動部によって連結バーを動かすことにより、少ない力でステアリングホイールを回しても、車輪の向きを変えることができる。但し、車輪の傾斜には制限があるため、ステアリング駆動部のモーターの回転量によって連結バーの移動量を把握しておく必要がある。そのために、モーターの駆動軸32に磁気記録媒体3を設け、モーターにより回転する磁気記録媒体3の磁気信号をMRセンサー4で読み取り、その回転量から連結バー33の移動量、すなわち、車輪31のX方向の移動量を換算するものである。MRセンサー4は、コイル35を保持するフレームに固定した。磁気記録媒体3は円筒状のドラムであり、モーターから突き出た駆動軸に嵌めるように固定した。磁気記録媒体3とMRセンサー4として、上述した実施例に係るエンコーダーを適用することにより、駆動軸の突き出す長さを短くしてステアリング駆動部を小型化することができた。
【0032】
【発明の効果】
インクリメント信号用トラックと複数のアブソリュート信号用トラックとを備えたドラムと、このドラムに近接して配置された複数の磁気抵抗効果素子を有するMRセンサーにより、前記各トラックに記録された磁気信号を検出するエンコーダーにおいて、前記インクリメント信号用トラックを前記アブソリュート信号用トラックの間に配置したので、組み立てが容易で振動、温度変化等の外乱に強く、且つ小型で安価なエンコーダーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のエンコーダーの一実施例で、磁気ドラムの着磁パターンと磁気センサを示す概略図である。
【図2】本発明のエンコーダーの一実施例で、磁気ドラムの着磁パターンと磁気センサを示す概略図である。
【図3】本発明のMRセンサーとエンコーダーの関係を説明する概略図である。
【図4】本発明のエンコーダを設けたパワーステアリング装置の断面図である。
【図5】図6の磁気ドラムの着磁パターンと磁気センサを説明する概略図である。
【図6】従来のエンコーダーと回転器の関係を示す斜視図である。
【符号の説明】
3 磁気記録媒体、3b 磁気記録媒体、
7 インクリメント信号用トラック(INC相)、
8 基準点位置信号用トラック(Z相)、9a U相、9b V相、
9c W相、13a 13a′ U相の磁極、13b 13b′ V相の磁極、
13c 13c′ W相の磁極、14 インクリメント相の磁極、
4 MRセンサー、4b MRセンサー、10 インクリメント検知部、
11 基準点位置検知部、12a 12b 12c アブソリュート検出部、
20 ハンダ端子、31 車輪、32 中空軸(ラック)、33 連結バー、
34 磁石、35 固定子(コイル)、36 ギヤボックス、37 ロッド部、
38 ステアリングホイール、39 連結軸、40 車輪保持部、41 軸部

Claims (8)

  1. 少なくとも1つのインクリメント信号用トラックと複数のアブソリュート信号用トラックとを備えた回転もしくは直線運動可能な磁気記録媒体と、該磁気記録媒体に対向する複数の磁気抵抗効果素子を有するMRセンサーとを備え、
    前記磁気抵抗効果素子により前記各トラックに記録された磁気信号を検出するエンコーダーであって、
    前記インクリメント信号用トラックを前記複数のアブソリュート信号用トラックの間に配置したことを特徴とするエンコーダー。
  2. 少なくとも1つのインクリメント信号用トラックと複数のアブソリュート信号用トラックと基準点信号用トラックを備えた回転もしくは直線運動可能な磁気記録媒体と、該磁気記録媒体に対向する複数の磁気抵抗効果素子を有するMRセンサーとを備え、
    前記磁気抵抗効果素子により前記各トラックに記録された磁気信号を検出するエンコーダーであって、
    前記基準点信号用トラックと前記インクリメント信号用トラックを前記複数のアブソリュート信号用トラックの間に配置したことを特徴とするエンコーダー。
  3. 前記磁気記録媒体と前記MRセンサーの間のギャップが0.2mm以上である請求項1または2のいずれかに記載のエンコーダー。
  4. 前記磁気記録媒体と前記MRセンサーの間のギャップが0.2〜1mmである請求項1または2のいずれかに記載のエンコーダー。
  5. アブソリュート検出部が3相の検出部で構成されるMRセンサーであって、
    前記3相の検出部の相間に、インクリメント検出部が配置されていることを特徴とするMRセンサー。
  6. アブソリュート検出部が3相の検出部で構成されるMRセンサーであって、
    前記3相の検出部の相間に、インクリメント検出部あるいは基準点位置検出部が配置されていることを特徴とするMRセンサー。
  7. 請求項1ないし4のいずれかに記載のエンコーダーを用いたパワーステアリング装置であって、シャフトと、前記シャフトを平行移動させる駆動軸と、前記駆動軸に設けたモーターを有し、
    前記磁気記録媒体は円筒状であって前記駆動軸に同軸に固定されており、前記磁気記録媒体に所定のギャップを介して対向する磁気センサーは、前記モーターあるいはモーターを固定する部材に固定されていいることを特徴とするパワーステアリング装置。
  8. 請求項5または6のいずれかに記載のMRセンサーを用いたパワーステアリング装置。
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