JP5016625B2 - 検出装置及びパワーステアリング装置 - Google Patents
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例えば、特許文献1に記載の回転角度・トルク検出装置は、ステアリングホイールに連動して回転する第一の回転体と、これに連動して回転する第一及び第二の検出体と、これらの検出体の回転を検出信号として検出する第一及び第二の検出手段とを備える。また、第一の回転体とトーションバーを介して連結された第二の回転体と、これらの回転体の回転を検出信号として検出する第三及び第四の検出手段と、を備える。
また、前記第2の歯車とともに回転する第2の磁石と、前記第3の歯車とともに回転する第3の磁石と、を有し、前記回転角度検出手段は、前記第2の磁石から発生される磁界に基づいて前記第2の歯車の自転の角度を検出する第2の磁気抵抗素子と、前記第3の磁石から発生される磁界に基づいて前記第3の歯車の自転の角度を検出する第3の磁気抵抗素子と、を有し、当該第2の磁気抵抗素子および当該第3の磁気抵抗素子が検出した値に基づいて前記第2の回転軸の回転角度を検出することが好適である。
また、前記第1の磁気抵抗素子と、前記第2の磁気抵抗素子と、前記第3の磁気抵抗素子とは、同一のプリント基板に実装されていることが好適である。
図1は、実施の形態に係る検出装置1を適用した電動パワーステアリング装置100の断面図である。図2は、実施の形態に係る検出装置1の斜視図である。
検出装置1は、ハウジング110に回転可能に支持された第1の回転軸120と、同じくハウジング110に回転可能に支持された第2の回転軸130との相対角度を検出すると共に第2の回転軸130の回転角度を検出する装置である。
第1の回転軸120は、例えばステアリングホイールが連結される回転軸であり、軸受113を介して第1ハウジング111に回転可能に支持されている。
また、第2の回転軸130には、例えば圧入などによりウォームホイール150が固定されている。このウォームホイール150は、第2ハウジング112に固定された電動モータ160の出力軸に連結されたウォームギヤ161と噛み合っている。
検出装置1は、第1の回転軸120に取り付けられる第1の磁石10と、ハウジング110に固定される第1の歯車20と、を有している。また、検出装置1は、第2の回転軸130の回転に伴い、第2の回転軸130の軸心を回転中心として公転しつつ第1の歯車20と噛み合って自転する第2の歯車30を有する。また、検出装置1は、第2の回転軸130の回転に伴い、第2の回転軸130の軸心を回転中心として公転しつつ第1の歯車20と噛み合って自転し、第2の歯車30の歯数とは異なる歯数の第3の歯車40を有する。
第1の歯車20は、フラットケーブルカバー50の上部の内周面の全周に設けられた歯車である。フラットケーブルカバー50が、ハウジング110の第2ハウジング112に固定されることで、第1の歯車20は、ハウジング110に固定される。
第2の歯車30の内側には、半円柱状のN極と半円柱状のS極とを有する円柱状の第2の磁石30aが例えばインサート成形により装着されている。また、第3の歯車40の内側には、同じく半円柱状のN極と半円柱状のS極とを有する円柱状の第3の磁石40aが例えばインサート成形により装着されている。
プリント基板70には、図1,2に示すように、第1の回転軸120の半径方向には第1の磁石10の外周面の外側であり、第1の回転軸120の軸方向には第1の磁石10が設けられた領域内となるように第1の磁気検出素子71が装着されている。本実施の形態に係る第1の磁気検出素子71は、磁界によって抵抗値が変化することを利用した磁気センサであるMRセンサ(磁気抵抗素子)であることを例示することができる。そして、この第1の磁気検出素子71が、第1の磁石10から発生される磁界に基づいて第1の回転軸120と第2の回転軸130との相対角度を検出する相対角度検出手段を構成する。第1の磁気検出素子71および相対角度の検出手法については後で詳述する。
本実施の形態に係る第1〜第3の磁気検出素子71〜73は、磁界によって抵抗値が変化することを利用したMRセンサ(磁気抵抗素子)である。
MRセンサは、Si若しくはガラス基板と、その上に形成されたNi−Feなどの強磁性金属を主成分とする合金の薄膜で構成されており、その薄膜強磁性金属の抵抗値は、特定方向の磁界の強度に応じて抵抗値が変化する。
図3に示すように、基板の上に矩形状に形成した薄膜強磁性金属に、矩形の長手方向、つまり図中Y方向に電流を流す。一方、磁界Hを、電流方向(Y方向)に対して垂直方向(図中X方向)に印加し、その状態で、磁界の強さを変更する。このときに、薄膜強磁性金属の抵抗値がどのように変化するかを示したのが図4である。
以下では、抵抗値変化量(ΔR)が、近似的に「ΔR∝H2」の式で表すことができる領域外を「飽和感度領域」と称す。そして、飽和感度領域においては、ある磁界強度(以下、「規定磁界強度」と称す。)以上になると3%の抵抗値変化は変わらない。
図5のように、矩形状に形成した薄膜強磁性金属の矩形の長手方向、つまり図中Y方向に電流を流し、磁界の方向として電流方向に対して角度変化θを与える。このとき、磁界の向きに起因する薄膜強磁性金属の抵抗値の変化を知るために、印加する磁界強度は、磁界強度に起因しては抵抗値が変化しない上述した規定磁界強度以上とする。
R=R0−ΔRsin2θ・・・(1)
ここで、R0は、規定磁界強度以上の磁界を電流方向と平行(θ=0度あるいは180度)に印加した場合の抵抗値である。
式(1)により、規定磁界強度以上の磁界の方向は、薄膜強磁性金属の抵抗値を把握することで検出することができる。
図7は、規定磁界強度以上の磁界強度で磁界の方向を検出する原理を利用するMRセンサの一例を示す図である。
図7に示すMRセンサの薄膜強磁性金属は、縦方向が長くなるように形成された第1のエレメントE1と横方向が長くなるように形成された第2のエレメントE2とが直列に配置されている。
R1=R0−ΔRsin2θ・・・(2)
R2=R0−ΔRcos2θ・・・(3)
図7に示すようなエレメント構成のMRセンサの等価回路は図8に示すようになる。
図7,8に示すように、第1のエレメントE1の、第2のエレメントE2と接続されていない方の端部をグランド(Gnd)とし、第2のエレメントE2の、第1のエレメントE1と接続されていない方の端部の出力電圧をVccとした場合に、第1のエレメントE1と第2のエレメントE2との接続部の出力電圧Voutは式(4)で与えられる。
Vout=(R1/(R1+R2))×Vcc…(4)
Vout=Vcc/2+α×cos2θ…(5)
ここで、αは、α=(ΔR/(2(2×R0−ΔR)))×Vccである。
式(5)により、磁界の方向は、Voutを検出することで把握することができる。
図9は、磁石が回転運動するときの磁界方向の変化とMRセンサの出力との関係を示す図である。
図9(a)に示すように、図7に示したMRセンサを、半円柱状のN極と半円柱状のS極からなる円柱状の磁石の中心軸方向の一方の面に対向するように配置する。その際、図9(b)に示す磁石とMRセンサとのギャップLは、MRセンサに規定磁界強度以上の磁界強度が印加される距離とする。
かかる場合、第1のエレメントE1と第2のエレメントE2との接続部の出力電圧Voutの波形は、式(5)に示した「Vout=Vcc/2+α×cos2θ」となり、図9(d)に示すように2周期の波形となる。
図10(a)に示すように、N極とS極が交互に配列された磁石に対して、図7に示したMRセンサを、規定磁界強度以上の磁界強度が印加されるギャップ(磁石とMRセンサとの距離)Lで、かつ磁界の方向変化がMRセンサのセンサ面に寄与するように配置する。
図7に示したエレメント構成の代わりに図11(a)に示すようなエレメント構成にすれば、図11(b)に示すように、一般的に知られているホイートストン・ブリッジ(フルブリッジ)の構成にすることができる。ゆえに、図11(a)に示すエレメント構成のMRセンサを用いることにより検出精度を高めることが可能となる。
図6に示した磁界の向きと薄膜強磁性金属の抵抗値との関係および式(1)「R=R0−ΔRsin2θ」からすると、図5で見た場合に、磁界の向きを電流の方向に対して時計回転方向に回転させても反時計回転方向に回転させても薄膜強磁性金属の抵抗値は同じである。ゆえに、薄膜強磁性金属の抵抗値を把握できても磁石の運動の方向は把握できない。
図14は、MRセンサの他の例を示す図である。図14(a)に示すように、2組のフルブリッジ構成のエレメントを互いに45度傾けて一つの基板上に形成し、図14(b)に示すような等価回路となるエレメント構成にすることも好適である。これにより、一つのMRセンサで、図14(c)に示すように、正確な正弦波、余弦波の出力が可能となる。それゆえ、図14に示すエレメント構成のMRセンサの出力値により、MRセンサに対する磁石の運動方向及び運動量を把握することができる。
先ず、第1の磁気検出素子71として、図14に示すエレメント構成のMRセンサを用いる。第1の磁気検出素子71は、上述したように、第1の磁石10の外周面に対して垂直に配置され、第2の回転軸130の軸方向の位置は、第1の磁石10の領域内である。それゆえ、かかる場合には、第1の回転軸120と共に回転する第1の磁石10から発生される磁界により、第1の磁石10の位置に応じて、第1の磁気検出素子71には、図10(c)に示すような磁界方向の変化となる。
そこで、上記事項を基に、第1の磁気検出素子71での検出値と、第1の回転軸120と第2の回転軸130との相対角度及び両者の捩れ方向との関係のテーブルを予めトルクテーブルとして作成しておき、例えば、演算手段が有する記憶領域に記憶しておく。そして、演算手段が、第1の磁気検出素子71にて検出した値と、トルクテーブルに基づいて、第1の回転軸120と第2の回転軸130との相対角度及び両者の捩れ方向を演算できるようにしておく。
さらに、第1の歯車20の歯数と第2の歯車30の歯数との関係、第1の歯車20の歯数と第3の歯車40の歯数との関係を考慮すると共に、第2の歯車30の歯数と第3の歯車40の歯数とが異なる点を考慮すると、図15に示すような、第2の回転軸130の回転角度と、第2,3の歯車30,40の回転角度との関係を示す図を得ることができる。
そして、第2,第3の歯車30,40の歯数として、第2の回転軸130がN度回転しても両歯車が0度の状態に戻らない歯数を選択することで、ステアリングホイールの(N/360)回転分の舵角を把握することが可能となる。
すなわち、利用者がステアリングホイールを回転すると、これに伴って第1の回転軸120が回転し、トーションバー140が捩れる。そして、第2の回転軸130が第1の回転軸120より少し遅れて回転する。この遅れは、トーションバー140に連結された第1の回転軸120と第2の回転軸130との回転角度の差となってあらわれる。
この回転角度の差を、演算手段が、第1の磁気検出素子71の出力信号とトルクテーブルとに基づいて演算することにより、検出装置1は、第1の回転軸120と第2の回転軸130との相対角度及び捩れ方向、つまりはステアリングホイールに加わるトルクの大きさ及び向きを検出することが可能となる。
そして、演算手段が、第2,第3の磁気検出素子72,73の出力信号と回転角度テーブルとに基づいて演算することにより、検出装置1は、第2の回転軸130の回転角度、つまりはステアリングホイールの回転角度(舵角)を検出することが可能となる。
このように、検出装置1を予めユニット化が可能な構造とすることで組み付け性を向上させている。
また、第1の磁気検出素子71のみの出力値に基づいて第1の回転軸120と第2の回転軸130との相対角度を検出するので、複数のセンサの出力値に基づいて検出するよりは、検出精度が高くなる。
また、第1の磁石10は、ドーナツ状である必要はなく、また、外周面の周方向に全周にわたる必要はない。第1の磁石10は、少なくともトーションバー140が捩れる範囲において、第1の磁気検出素子71に対して、磁界の変化を検出させることができる範囲にわたって設けられていればよい。
他方、第1の回転軸120が連結されるステアリングホイールには、クラクション、エアバック、オーディオのコントロールスイッチ等が配置される。これらのステアリングホイールに配置された部品は、ステアリングホイールを回転した場合でも回転しない車体側との電気的接続を保つ必要がある。
Claims (6)
- ハウジングに回転可能に支持される第1の回転軸と当該ハウジングに回転可能に支持される第2の回転軸との相対角度を検出すると共に当該第2の回転軸の回転角度を検出する検出装置であって、
前記第1の回転軸に設けられる第1の磁石と、
前記ハウジングに固定される第1の歯車と、
前記第2の回転軸の回転に伴い、当該第2の回転軸の軸心を回転中心として公転しつつ前記第1の歯車と噛み合い自転する第2の歯車と、
前記第2の回転軸の回転に伴い、当該第2の回転軸の軸心を回転中心として公転しつつ前記第1の歯車と噛み合い自転し、前記第2の歯車の歯数とは異なる歯数を有する第3の歯車と、
前記第2の回転軸に固定され、前記第1の磁石から発生される磁界に基づいて前記第1の回転軸と前記第2の回転軸との相対角度を検出する相対角度検出手段と、
前記第2の歯車の自転の角度と前記第3の歯車の自転の角度とに基づいて前記第2の回転軸の回転角度を検出する回転角度検出手段と、を備え、
前記第1の歯車の歯数と前記第2の歯車の歯数との最大公約数および前記第1の歯車の歯数と前記第3の歯車の歯数との最大公約数の少なくともいずれかは1であることを特徴とする検出装置。 - 前記第1の磁石は、外周面に交互に配置されたN極とS極とを有し、
前記相対角度検出手段は、前記第1の磁石の外周面の外側に配置され、前記第1の回転軸の軸心に対して垂直に延びる磁性体を有する第1の磁気抵抗素子を備えることを特徴とする請求項1に記載の検出装置。 - 前記第2の歯車とともに回転する第2の磁石と、前記第3の歯車とともに回転する第3の磁石と、を有し、
前記回転角度検出手段は、前記第2の磁石から発生される磁界に基づいて前記第2の歯車の自転の角度を検出する第2の磁気抵抗素子と、前記第3の磁石から発生される磁界に基づいて前記第3の歯車の自転の角度を検出する第3の磁気抵抗素子と、を有し、当該第2の磁気抵抗素子および当該第3の磁気抵抗素子が検出した値に基づいて前記第2の回転軸の回転角度を検出することを特徴とする請求項2に記載の検出装置。 - 前記第1の磁気抵抗素子と、前記第2の磁気抵抗素子と、前記第3の磁気抵抗素子とは、同一のプリント基板に実装されていることを特徴とする請求項3に記載の検出装置。
- ハウジングに回転可能に支持された回転軸の回転角度を検出する検出装置であって、
前記ハウジングに固定される第1の歯車と、
前記回転軸の回転に伴い、当該回転軸の軸心を回転中心として公転しつつ前記第1の歯車と噛み合い自転する第2の歯車と、
前記回転軸の回転に伴い、当該回転軸の軸心を回転中心として公転しつつ前記第1の歯車と噛み合い自転し、前記第2の歯車の歯数とは異なる歯数を有する第3の歯車と、
前記第2の歯車の自転の角度と前記第3の歯車の自転の角度とに基づいて前記回転軸の回転角度を検出する回転角度検出手段と、を備え、
前記第1の歯車の歯数と前記第2の歯車の歯数との最大公約数および前記第1の歯車の歯数と前記第3の歯車の歯数との最大公約数の少なくともいずれかは1であることを特徴とする検出装置。 - ハウジングに回転可能に支持され、ステアリングホイールに連結される第1の回転軸と、トーションバーを介して当該第1の回転軸と連結される第2の回転軸と、を備えるパワーステアリング装置であって、
前記第1の回転軸に設けられる第1の磁石と、
前記ハウジングに固定される第1の歯車と、
前記第2の回転軸の回転に伴い、当該第2の回転軸の軸心を回転中心として公転しつつ前記第1の歯車と噛み合い自転する第2の歯車と、
前記第2の回転軸の回転に伴い、当該第2の回転軸の軸心を回転中心として公転しつつ前記第1の歯車と噛み合い自転し、前記第2の歯車の歯数とは異なる歯数を有する第3の歯車と、
前記第2の回転軸に固定され、前記第1の磁石から発生される磁界に基づいて前記第1の回転軸と前記第2の回転軸との相対角度を検出する相対角度検出手段と、
前記第2の歯車の自転の角度と前記第3の歯車の自転の角度とに基づいて前記第2の回転軸の回転角度を検出する回転角度検出手段と、を備え、
前記第1の歯車の歯数と前記第2の歯車の歯数との最大公約数および前記第1の歯車の歯数と前記第3の歯車の歯数との最大公約数の少なくともいずれかは1であることを特徴とするパワーステアリング装置。
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