JP2004226355A - 回転角検出装置 - Google Patents

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Eiji Yamatani
栄次 山谷
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Abstract

【課題】従来品と比較して、製造コストの削減と、歯車のバックラッシュに起因する検出誤差の低減とを共に実現でき、さらに誤組み付けが発生しない回転角検出装置を提供する。
【解決手段】ステアリングシャフトと一体に回転し、S極とN極が22.5度ピッチで交互に入れ替わるように8組の磁極を環状配置した歯数77の駆動歯車1と、駆動歯車1と噛み合い、S極とN極が180度ピッチで交互に入れ替わるように1組の磁極を中央に配置した歯数19の小歯車2と、駆動歯車1の磁極の回転軌跡に面した駆動歯車側磁気センサ3と、小歯車2の磁極に面した小歯車側磁気センサ4と、を設け、ステアリングシャフトが一方の回転端から他方の回転端まで回転したとき、駆動歯車側磁気センサ3と小歯車側磁気センサ4から出力される2つの出力電圧が描く波形のずれが0.5波形未満となるように設定した。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転体の回転角を検出する回転角検出装置に係り、特に、ステアリングの操舵角を検出するのに好適な回転角検出装置の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
この種の回転角検出装置としては、ステアリングシャフトに固定された駆動歯車と噛み合う2つの小歯車にそれぞれ磁石を設け、この磁石にAMR(異方性磁気抵抗)センサを付設した構成の測定装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
2つの小歯車の歯数は1つだけ異なるように設定され、ステアリングシャフトが回転したとき、3つの歯車の回転角が異なるように設定されている。2つのAMRセンサは、磁束密度を検出してそれに応じた電圧を出力するため、2つのAMRセンサが出力する電圧値の変化に基づいて、ステアリングの絶対角(ニュートラル位置からの回転角)を検出することができる。
【0004】
【特許文献1】
特表2001−505667号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術にあっては、次のような問題を有している。
(イ) 駆動歯車1つと小歯車2つの計3つの歯車を用いているため、部品費および組立費が高価である。
(ロ) 駆動歯車に2つの小歯車をそれぞれ噛み合わせた構造となっているため、2つの小歯車のバックラッシュにより、検出誤差が大きくなる。
(ハ) 2つの小歯車は歯数が異なるように設定されているが、一目しただけでは歯数の違いを確認できないため、組立作業時において誤組み付けが発生するおそれがある。
【0006】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、従来品と比較して、製造コストの削減と、歯車のバックラッシュに起因する検出誤差の低減とを共に実現でき、さらに誤組み付けが発生しない回転角検出装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するため、本発明請求項1に記載の回転角検出装置では、回転体の回転に応じて回転する駆動歯車と、この駆動歯車に従動する小歯車と、前記駆動歯車に設けた駆動歯車側磁極と、前記小歯車に設けた小歯車側磁極と、前記駆動歯車磁極に面し、磁束の変化に応じた検出信号を出力する駆動歯車側磁気センサと、前記小歯車側磁極に面し、磁束の変化に応じた検出信号を出力する小歯車側磁気センサと、前記駆動歯車側磁極と小歯車側磁極の検出信号に基づいて回転体の回転角を算出する回転角算出手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の回転角検出装置において、前記回転体を車両のステアリングシャフトとし、前記駆動歯車と小歯車の歯数、駆動歯車側磁極と小歯車側磁極の磁極数、および駆動歯車側磁気センサと小歯車側磁気センサの種類を、ステアリングシャフトが一方の回転端から他方の回転端まで回転したときに2つの磁気センサから出力される2つの検出信号が描く波形のずれが0.5波形未満となるように設定したことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の回転角検出装置において、前記駆動歯車をステアリングシャフトと一体に設け、前記駆動歯車の歯数をm1、小歯車の歯数をm2とし、前記駆動歯車が1回転したとき駆動歯車側磁気センサから出力される検出信号の波形数をn1、小歯車が1回転したとき小歯車側磁気センサから出力される検出信号の波形数をn2としたとき、
0<|4×n1−4×(n2×m1/m2)|<0.5
となるようにm1,m2,n1,n2を設定したことを特徴とする。
【0010】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明では、駆動歯車に駆動歯車側磁極、小歯車に小歯車側磁極を設け、これらの磁束密度の方向の変化を駆動歯車側磁気センサと小歯車側磁気センサで検出し、検出された磁束密度の変化に応じて出力される検出信号に基づいて回転体の回転角を検出する構成としたため、駆動歯車と2つの小歯車、計3つの歯車を用いて回転角を検出する従来技術に比較して、部品および組立コストの低減を図ることができる。また、歯車を1つ削減したことにより、歯車のバックラッシュに起因する検出誤差が小さくなるため、検出精度の向上を図ることができる。さらに、小歯車を1つしか用いていないため、誤組み付けが発生しない。
【0011】
請求項2に記載の発明では、ステアリングホイールを一方の回転端から他方の回転端まで回転させたとき、駆動歯車側磁気センサと小歯車側磁気センサから出力される検出信号が描く波形のずれが、0.5波形未満となる。すなわち、ステアリングホイールの回転操作可能範囲内のどの角度でも、駆動歯車側磁気センサと小歯車側磁気センサの出力値の組み合わせが同一となることがないため、ステアリングの絶対角を高精度に検出することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明では、下記の式を満足するように、m1,m2,n1,n2を設定した。
0<|4×n1−4×(n2×m1/m2)|<0.5 ...式▲1▼
【0013】
通常、ステアリングホイールは、片側2回転、すなわち、一方の回転端から他方の回転端まで4回転するように設定されている。よって、駆動歯車がステアリングシャフトと一体に設けられている場合、駆動歯車側磁気センサから出力される波形数は、4×n1個となる。
【0014】
一方、小歯車と駆動歯車の回転比は、m1:m2であるから、駆動歯車が4回転する間に、小歯車は4×m1/m2回転し、小歯車側磁気センサから出力される波形数は、4×(n2×m1/m2)個となる。
【0015】
従って、式▲1▼を満足するようにm1,m2,n1,n2を設定することにより、ステアリングホイールを4回転させたとき、駆動歯車側磁気センサと小歯車側磁気センサから出力される検出信号が描く波形のずれを、0.5未満とすることができ、ステアリングの絶対角を高精度に検出できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の回転角検出装置を実現する実施の形態を、第1実施例と第2実施例とに基づいて説明する。
【0017】
(第1実施例)
まず、構成を説明する。
図1は第1実施例の回転角検出装置の構造を示す正面図、図2は磁極の設定例を示す図である。
【0018】
図において、1は駆動歯車、2は駆動歯車1と噛み合う小歯車、3は駆動歯車側磁気センサ、4は小歯車側磁気センサである。
【0019】
駆動歯車1は、その中心部形成された開口部1aに図外のステアリングシャフトが嵌挿され、ステアリングシャフトと一体に回転する。この駆動歯車1は、歯数77に設定され、その一面側には、S極とN極が22.5度ピッチで交互に入れ替わるように、8組の駆動歯車側磁極5が環状に配置されている。
【0020】
小歯車2は、駆動歯車1の約1/4程度の直径を有し、その歯数は19に設定されている。また、その一面側中央には、S極とN極が180度ピッチで交互に入れ替わるように、1組の小歯車側磁極6が配置されている。
【0021】
図3は回転角検出装置の構造を示す断面図、図4は図3の要部拡大図である。
駆動歯車1の駆動歯車軸1bはケースアッパ7とケースロア8により回動自在に固定されており、小歯車2の小歯車軸2aはケースアッパ7の軸受け7aと基板9により回動自在に固定されている。
【0022】
駆動歯車側磁気センサ3は、基板9に実装された状態で、駆動歯車1の駆動歯車側磁極5の回転軌跡に面して配置されている。この駆動歯車側磁気センサ3としては、例えば、ホールICが用いられている。
【0023】
小歯車側磁気センサ4は、駆動歯車側磁気センサ3と同様に、基板9に実装された状態で、小歯車2の小歯車側磁極6に面して配置されている。この小歯車側磁気センサ4としては、例えば、MR(Magneto Resistance)センサが用いられる。
【0024】
これら駆動歯車側磁気センサ3および小歯車側磁気センサ4は、駆動歯車側磁極5および小歯車側磁極6の回転に伴って変化する磁束密度に応じて出力電圧を変化させる。この出力電圧は、基板9上の増幅回路を介して基板9上の演算回路に入力される。演算回路では、2つの出力電圧を比較してステアリングの絶対角を算出する。算出されたステアリングの絶対角は、図外のステアリングハーネスを介して車両の制御装置に入力され、4輪操舵制御等の車両制御に利用される。
【0025】
次に、作用を説明する。
[ステアリング絶対角検出作用]
駆動歯車側磁気センサ3と小歯車側磁気センサ4の出力電圧を比較してステアリングの絶対角を求める場合、ステアリングを一方の回転端から他方の回転端まで回転させたとき、2つの出力電圧値が描く波形の位置関係がいずれの角度でも同一とならないように設定する必要がある。
【0026】
このためには、駆動歯車1と小歯車2の歯数と、駆動歯車側磁極5および小歯車側磁極6の磁極数を、ステアリングシャフトが一方の回転端から他方の回転端まで回転したとき、駆動歯車側磁気センサ3と小歯車側磁気センサ4からそれぞれ出力される出力電圧が描く波形のずれが0.5波形未満となるように設定すればよい。
【0027】
2つの波形のずれが0.5未満となるためには、駆動歯車1の歯数をm1、1回転当たりの波形数をn1、総回転数を4(=ステアリングの総回転数)とし、小歯車2の歯数をm2、1回転当たりの波形数をn2としたとき、
0<|4×n1−4×(n2×m1/m2)|<0.5
上記の式を満足するm1,n1,m2,n2を設定しなければならない。
【0028】
第1実施例では、m1=77,n1=8,m2=19,n2=2であるから、ステアリングシャフトが4回転したとき、駆動歯車側磁気センサ3から出力される波形数と、小歯車側磁気センサ4から出力される波形数は、
4×n1=4×8=32
4×(n2×m1/m2)=4×(2×77/19)≒32.42
となり、小歯車側磁気センサ4の出力波形が駆動歯車側磁気センサ3の出力波形よりも0.42だけ進む(図5参照)。
【0029】
次に、効果を説明する。
第1実施例の回転角検出装置にあっては、次に列挙する効果を得ることができる。
【0030】
(1) 駆動歯車1と小歯車2の計2つの歯車でステアリングの操舵角を検出できるため、駆動歯車と2つの小歯車、計3つの歯車を用いてステアリングの操舵角を検出する従来技術に比して、部品および組立コストの低減を図ることができる。また、歯車を1つ削減したことにより、歯車のバックラッシュに起因する検出誤差が小さくなるため、検出精度の向上を図ることができる。さらに、小歯車2を1つしか用いていないため、誤組み付けが発生しない。
【0031】
(2) ステアリングホイールを一方の回転端から他方の回転端まで回転させたとき、小歯車側磁気センサ4の出力電圧が描く波形を、駆動歯車側磁気センサ3の出力電圧が描く波形よりも0.42波形進むように駆動歯車1と小歯車2の歯数および駆動歯車側磁極3と小歯車側磁極4の磁極数を設定したため、ステアリングホイールの回転操作可能範囲のどの角度においても、2つの波形の位置関係が同一となることがなく、ステアリングホイールの絶対角を高精度に検出できる。
【0032】
(第2実施例)
まず、構成を説明する。
第2実施例の回転角検出装置の構成は、駆動歯車の磁極数と歯数、小歯車の歯数、小歯車側磁気センサの素子としてMRセンサに代えてホールICを用いた点で第1実施例と異なり、他の部分は第1実施例と同じである。
【0033】
図6は第2実施例の回転角検出装置の構造を示す正面図、図7は磁極の設定例を示す図である。
駆動歯車10は、歯数68に設定され、その一面側には、S極とN極が互い違いとなるように、3組の磁極12が60度ピッチで環状に配置されている。
【0034】
小歯車11は、駆動歯車10の約1/3程度の直径を有し、その歯数は22に設定されている。また、その一面側中央には、S極とN極が互い違いとなるように1組の磁極13が180度ピッチで配置されている。
【0035】
次に、作用を説明する。
第2実施例では、m1=68,n1=3,m2=22,n2=1であるから、駆動歯車側磁気センサ3から出力される波形数と、小歯車側磁気センサ4から出力される波形数は、
4×n1=4×3=12
4×(n2×m1/m2)=4×(1×68/22)≒12.36
となり、小歯車側磁気センサ4の出力波形が駆動歯車側磁気センサ3の出力波形よりも0.36だけ進む(図8参照)。
【0036】
次に、効果を説明する。
第2実施例の回転角検出装置にあっては、駆動歯車10の歯数を68に設定したため、歯数を77に設定した第1実施例よりも小径の駆動歯車となる。よって、第1実施例と比較して装置のコンパクト化を図ることができる。
【0037】
(その他の実施例)
以上、本発明の回転角検出装置を実現する実施の形態を、第1実施例と第2実施例とに基づいて説明したが、本発明の具体的な構成は第1実施例と第2実施例とに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
【0038】
例えば、第1実施例では、ステアリングホイールを一方の回転端から他方の回転端まで回転させたとき、小歯車側磁気センサの出力電圧が描く波形を駆動歯車側磁気センサの出力電圧が描く波形よりも0.42(第2実施例では0.36)波形進むように設定したが、2つの出力電圧が描く波形のずれは、0.5未満であればよい。
【0039】
また、駆動歯車は、ステアリングシャフトと一体化した構成ではなく、他の歯車を介してステアリングシャフトの回転に連動する構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の回転角検出装置の構造を示す正面図である。
【図2】第1実施例の磁極の設定例を示す図である。
【図3】回転角検出装置の構造を示す断面図である。
【図4】図3の要部拡大図である。
【図5】第1実施例において、ステアリングを一方の回転端から他方の回転端まで回転させたとき、2つの磁気センサの出力電圧が描く波形を重ね合わせた図である。
【図6】第2実施例の回転角検出装置の構造を示す正面図である。
【図7】第2実施例の磁極の設定例を示す図である。
【図8】第2実施例において、ステアリングを一方の回転端から他方の回転端まで回転させたとき、2つの磁気センサの出力電圧が描く波形を重ね合わせた図である。
【符号の説明】
1 駆動歯車
1a 開口部
1b 駆動歯車軸
2 小歯車
2a 小歯車軸
3 駆動歯車側磁気センサ
4 小歯車側磁気センサ
5 駆動歯車側磁極
6 小歯車側磁極
7 ケースアッパ
7a 軸受け
8 ケースロア
9 基板
10 駆動歯車
11 小歯車
12 駆動歯車側磁極
13 小歯車側磁極

Claims (3)

  1. 回転体の回転に応じて回転する駆動歯車と、
    この駆動歯車に従動する小歯車と、
    前記駆動歯車に設けた駆動歯車側磁極と、
    前記小歯車に設けた小歯車側磁極と、
    前記駆動歯車磁極に面し、磁束の変化に応じた検出信号を出力する駆動歯車側磁気センサと、
    前記小歯車側磁極に面し、磁束の変化に応じた検出信号を出力する小歯車側磁気センサと、
    前記駆動歯車側磁極と小歯車側磁極の検出信号に基づいて回転体の回転角を算出する回転角算出手段と、を備えることを特徴とする回転角検出装置。
  2. 請求項1に記載の回転角検出装置において、
    前記回転体を車両のステアリングシャフトとし、
    前記駆動歯車と小歯車の歯数、駆動歯車側磁極と小歯車側磁極の磁極数、および駆動歯車側磁気センサと小歯車側磁気センサの種類を、ステアリングシャフトが一方の回転端から他方の回転端まで回転したときに2つの磁気センサから出力される2つの検出信号が描く波形のずれが0.5波形未満となるように設定したことを特徴とする回転角検出装置。
  3. 請求項2に記載の回転角検出装置において、
    前記駆動歯車をステアリングシャフトと一体に設け、
    前記駆動歯車の歯数をm1、小歯車の歯数をm2とし、
    前記駆動歯車が1回転したとき駆動歯車側磁気センサから出力される検出信号の波形数をn1、小歯車が1回転したとき小歯車側磁気センサから出力される検出信号の波形数をn2としたとき、
    0<|4×n1−4×(n2×m1/m2)|<0.5
    となるようにm1,m2,n1,n2を設定したことを特徴とする回転角検出装置。
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