JP4372851B2 - フィルムおよびそれを用いた容器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、清涼飲料水、液体調味料あるいは清酒、焼酎などのアルコール系飲料などを包装する容器の材料として加工適性がよく、内容物の味覚保護性等に優れたフィルムおよびそれを用いた容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
液体が内容物である紙容器としては、密封された容器から液漏れがあってはならない(液体密封性)ことはいうまでもないが、さらに、空気中の酸素によって内容物が変質、変色等の悪影響を受けることがあるので、内容物の長期保存性のためには、前記紙容器への外気浸入もあってはならない(気密性)。
図3は、シール性を確認する部位を示す斜視図(a)および上面図(b)であり、図4は、図3のW−W部の段差部DS(a)及びセンターシール部CS(b)のそれぞれの断面部分拡大図である。
紙容器の前記液体密封性及び気密性の点において、ゲーベルトップ型容器を例としてあげれば液漏れや気密性を損ない易い部位としては、紙容器の構造上、図3(a)に示す貼着板の接合端部である段差部DS及びセンターシール部CSである。
図4(a)に示すように、前記段差部DSの断面には、パネルV2、SV1により形成される空隙部X、図2(b)に示すように、前記センターシール部CSの断面にはパネルV1、V2とサイドパネルの折り込み部SV1、SV2の合流点に空隙部Yがそれぞれ形成される。紙容器の成形工程において、紙容器成形用積層体の内面樹脂を溶融して前記空隙部XおよびYを確実に密封することが要求される。このように確実なる密封性を得るために、容器成形時の接合部位置の樹脂を加熱して圧着する工程における加熱条件を強くするケースがあるが、その場合には接液層の樹脂が酸化し、その際に発生する酸化臭が内容物に移行して味覚の低下となるため、前記シール条件の設定および安定稼働を保つのが難しく、注意深く条件保持をする必要があった。従って良好な機能を有する紙容器を得るための材質としては、作業条件の範囲が広いもの、特にシール温度が低くても密封性の得られる材料が望まれていた。
【0003】
例えば、前記のゲーベルトップ型やブリック(煉瓦)型のような紙容器の一般的な使用としては、PE/ 紙/PE(以下シーラントPEを PE(※) と記載する) 、PE/ 紙/PE/AL/PET/PE(※) 、PE/ 紙/PE/ SiOX PET/PE( ※) 、等の仕様であり、PE( ※) にはLDPE、LLDPE 、MDPE等が積層されている。[ 略号 PE: ポリエチレン、 SiOX : シリカ、AL: アルミニウム箔、PET:ポリエステルフィルム、LDPE: 低密度ポリエチレン、LLDPE:直鎖状低密度ポリエチレン、MDPE: 中密度ポリエチレン] 。
しかし、前記LDPEや LLDPE樹脂は、該樹脂が含有する低分子量分の溶出等により味覚が変化することが多く、また紙容器の前記段差部の空隙部Xまたはセンターシール部の空隙部Yの密封を完全にするためには、シール温度を高めにすることが必要で、そのため、樹脂の酸化臭も強くなり、内容物に臭いが移行する。また、MDPEのシール可能温度領域は、LDPEやLLDPE よりも高く、紙容器としての密封性をよくするためにさらに高温で加熱する必要があり、LDPEと同じく樹脂臭の移行の問題がある。
また、PE/ 紙/PE/ SiOX PET/PEでは、シール温度が高い場合、PET にピンホールが発生してしまう。
【0004】
以上のような課題に対し、本発明者らは各種の材料を研究した結果、前記PE(※)として、シングルサイト触媒を用いて重合したエチレンーα・オレフィン共重合体(以下シングルサイト系PEまたはS-PEと記載する)が、低温シール性、味覚の点で良好であることを確認したが、該S-PE面における滑り性が従来のポリエチレン等フィルムにくらぺ、やや悪いことが問題として残っていた。従来例としては、ポリエチレン系フィルムを構成するポリエチレン系樹脂組成物に、架橋したアクリル系樹脂粉末または架橋したシリコーン樹脂粉末0.05〜2.0 重量部を添加させることによる滑り性を改良する方法が知られている(特開平7-179679)。しかし、これらの添加剤は、滑り性の改良には効果を示すけれども、S-PE重量部中に前記のような有機系添加剤を添加すると味覚が低下することがある。
また、一般的なフィルムの滑り性を向上させる方法として行われる製膜工程においてフィルム表面にエンボス加工を施すと、滑り性、味覚の保持等に良い性質を示すが、エンボス加工の設備が必要であり、また、滑り性に効果を示すエンボス形状を付与するためには、ウェブスピードを低くする必要があるので、その結果、製膜効率がおちる等の問題があった。
また、紙容器の製造加工において、高速でスカイブヘミング、あるいはフレームシールするための機械に供給するが、エンボス加工フィルムを紙容器の最内面に積層した場合、紙容器ブランクを積み上げすぎると、エンボスがつぶれて滑りが悪くなることによりインキ部を含むブランクの表面を削りとる等の不都合があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
容器の成形または密封工程における低温シール性、滑り性などの安定して物性を有し、内容物への移行臭がなく、内容物の味覚の保持性に優れたフィルムおよびそのようなフィルムを内面に積層した容器に関する技術を提供する。
【0006】
【課題を解決する手段】
上記のような課題に対して、鋭意研究の結果、本発明者らは、次のような材料から製膜されたフィルムおよびそれを用いた容器とすることにより優れた効果を示すことを見いだした。
そのフィルムとは、密度0.890 〜0.925 、メルトインデックス0.2 〜20のシングルサイト触媒を用いて重合したエチレンーα・オレフィン共重合体に、密度0.926 〜0.965 、メルトインデックス0.2 〜20のポリエチレンを5 〜40重量%ブレンドして製膜したフィルムであって、さらに、マスターバッチ式のブレンド方法により平均粒径5 〜20μmの無機系フィラーを2 〜10重量%添加すること、また、前記マスターバッチのベースレジンが密度0.926 以上のポリエチレンであるのフィルムであることを含み、また、前記フィルムを他の樹脂と共押出し法により多層に製膜して最内層とした容器であり、前記容器は紙を基材として構成し、前記フィルムと基材層との間にバリア層を含むことを含む。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施例による最内層フィルムを用いた紙容器の材料構成の断面図である。図2は、別の実施例による最内層フィルムを用いた紙容器の材料構成の断面図である。図3は、紙容器の具体的形状の例を示す斜視図(a)とその上面図(b)である。
図4は、図3におけるW−Wの断面で、段差部DS部の断面拡大図(a)、センターシール部の断面拡大図(b)である。
本発明は、容器P、例えば、図3に示すようなゲーベルトップ型、ブリック型等の最内層フィルム1として、シール性(液体密封性)や内容物の品質保持性に優れたシングルサイト系PEを選定した。該シングルサイト系PEを、容器Pの最内層フィルムとした場合、特に問題となる滑り性の向上のための研究を重ねて本発明を得た。なお、本明細書においては、図面を含め、前記容器の形態の例としてゲーベルトップ型紙容器Pにより記載した。
【0008】
前記シングルサイト系PEの滑りが悪いと、該フィルムの製膜から紙容器Pの材料として積層工程、紙容器Pの成形工程等において不都合な現象を発生する。例えば、フィルムの製膜の際に、滑りが悪いと、フィルムとして巻き取られたときに、皺がそのまま折り込まれて最終的な不良品になる要因となる。積層工程においては、ガイドロールあるいは基材との滑り不良による皺(ラミジワ)を発生しやすい。さらに、紙容器成形の際、ゲーベルトップ型容器の場合のように個々に打ち抜きされたブランクを積み上げ、スカイブヘミング加工(エッジ被覆処理)、サイド貼り(フレームシール)などにおいて、一般に前記ブランクをこれらの加工機に高速でインサートするが、前記積み上げられたブランクの下から引き出す際に、当該ブランクと次のブランクとの間の滑りが悪いと、フランクの前記各加工機への供給が円滑に行われなくなり、作業性の大幅な低下となる。
【0009】
そこで、本発明はシングルサイト系PEから製膜されるフィルムに対し、内容物の味覚に影響を与えずに、その滑り性を改良する技術を提供するものである。
シングルサイト系PEは分子量分布の幅が狭く、低分子量物が極めて少ないため、内容物への溶出成分が少なく内容物への移行臭がほとんどない。また、低温でのヒートシールが可能であるので、紙容器Pの成形時の加熱による樹脂の酸化が少なく、従来使用されていたLDPEやMDPEと比較して酸化臭が低減できる。
これらのシングルサイト系PEの特性を維持しつつ、滑り性を向上させるために、以下の処方により紙容器成型等の工程に必要な滑り性を付与するものである。すなわち、密度0.926 〜0.965 、メルトインデックス0.2 〜20のポリエチレンをブレンドして製膜するものであり、また、そのブレンド比率を5 〜40%とするものである。また、さらには平均粒径5 〜20μmの無機系フィラーを2 〜10重量%添加して製膜するものである。また無機フィラーはマスターバッチ方式により添加する。
マスターバッチに用いる樹脂としては、密度0.926 以上のポリエチレンとする。その密度が、0.926 未満であると、本発明の主要な課題である最内面フィルムとした際の滑り性の効果が十分に発揮されない。
ブレンドするPEの密度はいわゆる中密度〜高密度と呼ばれるものであり、0.925 以下の低密度PEでは、滑り性改良に効果が見られない。また、ブレンド比率5 %未満では滑り性の改良に効果がなく、ブレンド比率40%を超えるとシングルサイト系PEが持つ低温シール性が損なわれ、低臭性も損なわれてしまうため好ましくない。
【0010】
前記滑り性を向上させるための添加剤としては、アクリル樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末、シリカ微粉末のようなフィラーが挙げられる。いずれも、S-PEに適当量添加することにより、滑り性は向上するけれども、添加剤の種類により内容物の味覚に影響する場合があり、まず、使用可能な添加剤の種類を選択する必要がある。
滑り性の向上を目的として、添加剤を加える技法は、前述のフィルム表面への凹凸エンボス加工をするよりも、その滑り性を向上させることができれば、従来の設備で効率よく製膜できる。内容物の味覚を損なわないで、前記フィルムの滑り性が確保されれば、生産性、引く質の両面で有用な積層素材となり得る。
【0011】
そこで、本発明者は、各種の添加剤の種類を選択し、滑り性を発現する量と粒径、粒形状等を添加したS-PEのフィルムを作成し、それぞれのフィルムを紙等の基材と積層した後、紙容器Pを形成、内容物を充填して内容物の味覚に関する影響を確認したところ、無機系フィラーを用いたものが良好な結果を示し、さらに具体的には、S-PE樹脂中に添加する無機系フィラーFは、その粒径が5 〜20μmの範囲のものが良好であった。前記無機系フィラーFの粒径が5 μm未満の場合は、滑り性の改良に効果がなく、また、前記粒径が20μmを超えると、表面に突出する無機フィラーにより、容器表面を摩擦し、傷つけることがある。
また、前記無機系フィラーFの添加量は、2 〜10重量%の範囲のものである。その添加量が、2 重量%未満であると、滑り性の効果がなく、また、10重量%を超えると、表面に突出する無機フィラーにより、容器表面を摩擦し、傷つけることがある。
【0012】
また、無機系フィラーFの粒径が大きかったり、添加量が多すぎると、シール部において、層の内部の中間層である例えばPET フィルムや SiOX 蒸着PET フィルム等のバリア層を傷つけ、その結果、バリア性の低下を来すことがある。このような現象は、シール層を構成する重量%のメルトインデックス(MI)が比較的大きい( 例えば8.0 以上) 場合に起こりやすい。
また、無機フィラーを添加する手法としては無機フィラーをマスターバッチ化してのドライブレンド法が用いられる。
【0013】
本発明の容器Pの最内層フィルムは、単層で製膜してもよく、他の重量%層との2層以上を共押出し法により製膜してもよい。
例えば、共押出し法により、密度0.890 〜0.925 、メルトインデックス0.2 〜20のシングルサイト系PEに密度0.926 〜0.965 、メルトインデックス0.2 〜20のポリエチレンを5 〜40重量%ブレンドして製膜するものであり、前記ブレンド樹脂に、さらに、マスターバッチ方式のブレンドにより、平均粒径5 〜20μmの無機系フィラーを 2〜10重量%ブレンドした樹脂(以下、製膜後を本層という)と別の組成の樹脂(以下、製膜後を共押出相手層という)とを共押出し法により製膜して2層構成の最内層フィルムを作成した後、図2に示すように、接着層4aを介して紙基材に中間層6を積層し、さらに、前記中間層6に接着層1bを介して前記共押出し法により製膜した最内層フィルムを積層する。
前記共押出相手層としては、前記本層との相溶性が良く、容器の形成における密封性、内容物の味覚の保持に支障のない材料を選択する。
【0014】
本発明においては、特に、滑り性を改良するために無機フィラーを添加するが、滑り性はフィルムの表面のみでよい。従って、前記のように容器Pの最内層フィルム1としてのフィルムを2層以上の共押出多層フィルムとしたときには、前記共押出本層のみに無機フィラーを添加すれば良く、その方が、使用する無機フィラーの量は少なくて済む。
また、本発明の容器Pの最内層フィルム1は、単層であれ、共押出し法による多層であれ、その製膜の方法はとくに限定されない。具体的にはインフレーション法、Tダイ法等の製膜方法を用いることにより課題を解決しうる物性を有したフィルムを得ることができる。
【0015】
以上説明した構成の樹脂組成物により製膜したフィルムを、容器Pの最内層フィルム1として用いる場合、例えば図1に示すように紙基材2と接着層4を介して積層するが、さらに、図2の構成のように紙基材2と最内層フィルム1との間に中間層6を設けることが好ましい。前記中間層6は、内容物の品質保護のためのバリア層であったり、最内層フィルム1のピンホール対策のための支持層であったりするが、各種の素材を用いることができる。前記中間層としては、具体的には、アルミニウム箔やポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニリデン、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール等の樹脂よりなるフィルムまたはこれらのフィルムにポリ塩化ビニリデン等のバリアコート剤を塗布したフィルム、アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化珪素(シリカ)等を蒸着したフィルム等を使用することができる。
また、前記中間層の設け方は図2に示すように、紙基材2に接着層4aを介して中間層6、さらに接着層4bを介して本発明の最内層フィルム1を積層する。
前記中間層6として、特にバリア層を用いることにより、長期保存性のよい容器とすることが可能となるが、従来の技術による内層フィルムにおいては、例えば、前記ゲーベルトップ型紙容器におけるセンターシール部CSでの密封性が不十分であることがあったが、本発明の最内層フィルムとすることによって、紙基材と最内層との間にバリア層を設けても安定した密封容器とすることができるようになった。
また、紙基材の外面には、表面樹脂層3を積層することが多い。また、通常該表面樹脂層3の上または表面樹脂層3を設ける前の紙基材1の外面に印刷層5を設ける。
容器Pの最内層フィルム1が前記共押出し多層フィルムである場合には、無機フィラーを含有する接液層として積層する。
【0016】
本発明の容器Pの最内層フィルム1は、前記ゲーベルトップ型やブリック型の紙容器の最内層フィルム1としても用いられるが、その他、パウチ、バッグインボックスの内袋、ラミネートチューブ、紙カップ或いは紙を積層した丸筒容器等の液体や粘稠体を内容物とする容器にも適用できるものであり、シールがより完全に行われ、密封性が向上し、また、これら容器の成型におけるブランク同士の滑り性、成型機のマンドレル等との接触時の滑り性として有効な特性である。
【0017】
【実施例】
ゲーベルトップ型の紙容器に次のような仕様の積層材料を作成し、実施例および比較例の評価用試料とした。
(材質略号の後の数値は厚みの単位μm、紙の場合はg/m2
(略号 SiOX -VMPET:シリカ蒸着PET フィルム)
(略号 Al-VMPET :Al蒸着PET フィルム)
実施例1 PE30/紙400/PE30/ SiOX-VMPET12/PE20/PEフィルム (* 1)40 接液側
PE フィルム (* 1)40は、3層共押出フィルム( 層厚さ比2:3:1)であり、その構成は、PE(D=0.935、MI=1.6)/S-PE (* a)/ S-PE(D=0.910、MI=2.0のS-PEにD=0.950 のPEを10WT%ブレンド、粒径7 μmのSiOX系AB剤を3 %添加した)[ なお、前記SiOX 系AB剤のマスターバッチ;SiOX15%で、ベースレジンとしてはD=0.950 のPEとした]
実施例2 PE30/紙400/PE30/ Al-VMPET12/PE20/PEフィルム (* 2)40 接液側
PE フィルム (* 2)40は、3層共押出フィルム(層厚さ比1:2:1)であり、その構成は、PE(D=0.935、MI=2.1)/S-PE (* a)/ S-PE(D=0.910、MI=2.0のS-PEにD=0.950 のPEを20WT%ブレンド、粒径10μmのSiO X 系AB剤を1.5 %添加した)[ なお、前記SiO X 系AB剤のマスターバッチ; SiOX 15%で、ベースレジンとしてはD=0.950 のPEとした]
実施例3 PE30/紙400/PE30/ Al7/ PET12/PE20/PEフィルム (* 3)40 接液側
PEフィルム (* 3)40は、3層共押出フィルム( 層厚さ比1:2:1)であり、その構成は、PE(D=0.935、MI=2.1)/S-PE (* a)/ S-PE(D=0.910、MI=2.0のS-PEにD=0.950 のPEを15WT%ブレンド、粒径 5μmのSiO X 系AB剤を2.0 %添加した)[ なお、前記SiO X 系AB剤のマスターバッチ; SiOX 15%で、ベースレジンとしてはD=0.950 のPEとした]
比較例1 PE30/ 紙400/PE30/SiOX -VMPET12/PE20/PEフィルム (* 4)40 接液側
( * 4) S-PE単体
比較例2 PE30/ 紙400/PE30/Al-VMPET12/PE20/PE フィルム (* 4)40 接液側
比較例3 PE30/ 紙400/PE30/Al7/PET12/PE20/PEフィルム (* 4)40 接液側
比較例4 PE30/ 紙400/PE30/Al7/PET12/PE20/PEフィルム (* 5)40 接液側
( * 5) LDPE(D=0.923 MI=4.0)
比較例5 PE30/ 紙400/PE30/Al7/PET12/PE20/PEフィルム (* 6)40 接液側
( * 6) MDPE(D=0.935 MI=2.0)
( 略号 D:密度、MI: メルトインデックス、AB: アンチブロッキング、滑り剤)S-PEは( * a)( * 4 ) ともフィラー無添加で、(D=0.910 MI=2.0) のものを用いた。( )内のPEの前の数字は密度、粒径は平均粒径、%はAB剤の重量%を示す。また、上記に用いたPE(※)フィルムはいずれもインフレーション法により製膜し、実施例1〜3は共押出し製膜法により作成した3層フィルムである。前記の各フィルムの製膜時の適性及び紙容器の最内層に積層して、1.8 リットルのゲーベルトップ型紙容器を作成するまでの工程における滑り性を始めとする紙容器成形加工適性を確認し、充填機にてミネラルウォーター及び清酒を充填し、各種の評価に供した。その結果は表1の通りである。
【表1】
Figure 0004372851
評価はいずれの項目も次のとおりである。
◎:良好
○:使用可能範囲
△:条件により使用可能
×:トラブル発生の危険あり
総合的な評価としてシール性はシングルサイト系PE/シングルサイト系PEが良好であり、LDPEよりも約50℃低い温度で安定したシールができた。また、MDPEのシール適性としては温度範囲が高くて狭い。加工適性に関しては、ベースレジンの密度0.926 以上のPEをブレンドしたものが良好であったが、滑り剤を添加したものは更に良好であった。また、滑り剤のマスターバッチのベースレジンの密度を0.926 以上とした実施例1〜3が最も良好な結果となった。味覚に関してはS-PEが良好であり、MDPE、LDPEの順に味覚の劣化は大きくなっていく。
【0018】
【発明の効果】
本発明のフィルム及びそれを用いた容器は、シングルサイト触媒を用いて重合したエチレンーα・オレフィン共重合体を主成分としていることにより、内容物の味覚の保持、及び安定した密封シール性を示す。さらに、密度0.926 〜0.965 、メルトインデックス0.2 〜20のポリエチレンをブレンドすることにより前記共重合体樹脂の特性を保ちながら、滑り性を改良することができる。その滑り性は、前記ブレンド樹脂に、さらに、密度0.926 以上のポリエチレンをベースレジンとするマスターバッチ方式のブレンドにより、平均粒径7 〜20μmの無機系フィラーを2 〜10重量%ブレンドした樹脂により製膜することにより、さらに改善される。前記樹脂は、他の樹脂と共押出し法により多層に製膜することにより、前記中高密度のポリエチレン及び無機系フィラー等の使用量を必要最小限とすることができるので製造のコストを安価に抑えることができる。
前記フィルムを最内層に構成した容器は、最内層フィルムを構成する樹脂および紙基材と最内層フィルムとの間にバリア層を設けることにより、内容物の味覚を良好に保持し、その密封性においては、段差部を形成する構造の容器にあっても安定した密封シール性を示す優れた容器である。
前記フィルムを他の層と共押出し法により製膜することにより、最内面層が内容物の味覚の保持、密封シール性の向上に効果を示すので、コストの軽減ともなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例による最内層フィルムを用いた紙容器の材料構成の断面図。
【図2】本発明の別の実施例による最内層フィルムを用いた紙容器の材料構成の断面図
【図3】紙容器の具体的形状の例を示す斜視図(a)、その上面図(b)
【図4】図3におけるW−Wの断面で、段差部DS部の断面拡大図(a)、センターシール部CS部の断面拡大図(b)
【符号の説明】
P 紙容器
F 無機系フィラー
DS 段差シール部
CS センターシール部
X 段差シール部に生ずる空隙部
Y センターシール部に生ずる空隙部
V1〜V2 紙容器のパネル
D 注出口
1 最内層フィルム
2 紙基材
3 表面層
4 接着層
5 印刷インキ
6 中間層

Claims (2)

  1. ポリエチレンと、
    シングルサイト触媒を用いて重合したエチレン−α・オレフィン共重合体と、
    密度0.890〜0.925、メルトインデックス0.2〜20のシングルサイト触媒を用いて重合したエチレン−α・オレフィン共重合体に、密度0.926〜0.965、メルトインデックス0.2〜20のポリエチレンを5〜40重量%ブレンドし、更に、マスタ−バッチのベ−スレジンが密度0.926以上のポリエチレンであり、かつ、無機系フィラ−が、シリカ微粉末であるマスタ−バッチ式のブレンド方法による平均粒径5〜20μの無機系フィラ−を2〜10重量%添加してなる樹脂組成物とを使用し、
    これらを共押出し法により多層に製膜した3層共押出フィルムからなる層を容器の最内層とし、
    かつ、当該3層共押出フィルムを構成する層のうち、密度0.890〜0.925、メルトインデックス0.2〜20のシングルサイト触媒を用いて重合したエチレン−α・オレフィン共重合体に、密度0.926〜0.965、メルトインデックス0.2〜20のポリエチレンを5〜40重量%ブレンドし、更に、マスタ−バッチのベ−スレジンが密度0.926以上のポリエチレンであり、かつ、無機系フィラ−が、シリカ微粉末であるマスタ−バッチ式のブレンド方法による平均粒径5〜20μmの無機系フィラ−を2〜10重量%添加してなる樹脂組成物からなる層を接液側に位置させたことを特徴とする容器。
  2. 紙を基材として構成し、前記3層共押出フィルムからなる層と基材層との間にバリア層を含むことを特徴とする請求項1記載の容器。
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