JP4156073B2 - ヒートシール用多層フィルム及びその製造方法並びにそれを用いた紙容器 - Google Patents

ヒートシール用多層フィルム及びその製造方法並びにそれを用いた紙容器 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、容器のヒートシーラント層(以下、HS層と記載する。)の構成要素に用いる積層体(ヒートシール用多層フィルム、以下HS用多層フィルムと記載する。)に関し、フィルムの加工適性、容器の成形性(密封性)、内容物の味覚保持性能などに優れたヒートシール用多層フィルム及びそれを用いた紙容器の技術に属する。
【0002】
【従来の技術】
内容物として、液体特に食品を充填する紙容器は、密封した容器から液体の漏れや、蒸気の透過性があってはならない(液体密封性)ことはいうまでもない。更に、内容物によっては空気中の酸素の透過によって内容物が変質、変色などの悪影響をうけることもある。したがって、内容物を長期間保存するためには、前記の紙容器には水蒸気ばかりでなく、酸素を含むガスの侵入をも防ぐ(気密性)をもつことが必要である。
【0003】
図11は、紙容器90の密封性を確認する部位を示す斜視図であり、図12(a) は、図11のW−W部の段差部DS、及び図12(b) は図11のセンターシール部CSの断面の部位を示す概略の拡大図である。
紙容器90における前記の液体密封性及び気密性は、図11に示すゲーベルトップ型容器を例示して説明すれば、気密性を損じ易い部位は、紙容器の構造上、図11に示す貼着板の接合端部である段差部DS及びゲーベルの中央部にあるセンターシール部CSである。図12(a) に示すように、前記の段差部DSの断面には、パネルV2及びSV1により形成される空隔部Xがある。また、図12(b) に示すように、前記のセンターシール部CSの断面にはパネルV1とV2とのサイドパネルの折込み部SV1、SV2の合流点に空隔部Yがそれぞれ形成される。紙容器の成形工程で紙容器用積層体の内面の樹脂を溶融して前記の空隔部X及びYを確実に密封されなければならない。
【0004】
このように密封を確実とするためには、容器成形時のHS層の樹脂を、加熱・溶融して圧着する工程における加熱・加圧条件を強くする方法もある。しかしながら、そのような場合は、HS層の樹脂が押し除けられ、ヒートシール部の樹脂が薄くなり接着強度が低下(根切れ現象)し、流通時に破損を生じ易く液漏れを発生する原因となる。
また、加熱条件を強くした場合は、内容物と接触するHS層が酸化し、そのときに発生する低分子量の分解生成物が内容物に移行し風味を損なう原因となることがあった。そのような相反するヒートシール条件で製函・充填・密封工程をヒートシール条件の設定、及び安定稼働を保つことが難しく、ヒートシールの不安定さを避けることは困難であり、HS層の厚みを増したりする必要があった。従って良好なヒートシール性をもつ紙容器を得るための積層体の構成は、作業条件の範囲が広いもの、特にシール温度が低くても安定してヒートシールできる材料が望まれていた。
【0005】
一方、従来から前記のゲーベルトップ型の紙容器のHS層に用いられていた、低密度ポリエチレン(以下、LDPEと記載する。)は、ヒートシール性の安定性に劣るというばかりでなく、充填・密封時にヒートシール部に内容物が付着したときに、ヒートシール不良を発生したりするという問題があった。
【0006】
また、前記のゲーベルトップ型やブリック(煉瓦)型の液体充填に使用される紙容器の基本的な層構成は、『LDPE(表面樹脂層)/紙(基材)/LDPE(HS層)』である。そして、紙容器に強度や、水蒸気やガスバリア性を求められるときは、紙とHS層との層間にバリア性や強度をもつフィルムであるアルミニウム箔、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ナイロンフィルム、アルミニウム蒸着プラスチックフィルムや酸化ケイ素蒸着プラスチックフィルムなどから選択して挿入されていた。
【0007】
また、低温ヒートシール性があり、分子量分布がせまく、内容物である液体を付着した状態でもヒートシール(液付きシール)の安定性をもつシングルサイト系触媒を用いて重合した低密度のエチレン−α・オレフィン共重合体( 以下、S−PEと記載する。)のフィルムを使用することも試みられてきた。しかしながら、S−PEは滑りが悪いために、製膜性や紙容器の加工適性に劣るとが問題があった。
滑り不良を解決するために、HS層を構成するポリエチレン系樹脂組成物を100重量部に対して、架橋したアクリル系樹脂粉末、又は架橋したシリコーン樹脂粉末を0.05〜2.0重量部を添加して滑り性を改良する方法が知られている(特開平7ー179679号公報)参照。
しかし、これらの添加剤は、滑り性の改良には効果を示すけれども、ヒートシール時にヒートシール面に析離してHS層のヒートシール性を損なったりするばかりでなく、液付きシールを阻害したりすることがあり、安定したヒートシール性を得ることが困難であった。
更に、紙容器の製造加工において、積層体を高速でスカイブヘミング(端面を折込んで行う被覆)加工、あるいはフレームシール(容器を形成するため熱風あるいはガスフレームによる筒貼りや、天地のヒートシール)するための機械に供給される。そのとき、エンボス加工をしたフィルムを積層体のHS層として紙容器の最内面に使用した場合、紙容器のブランクを積み上げすぎると、エンボスがつぶれて滑りが悪くなったり、インキ部で形成されたブランクの絵柄層の表面を削りとるなどの不都合があった。
また、上記ブランクを積み上げた状態から加工機に引き出して供給する時、滑りが悪いと複数枚を一度に引き出したり、工程間の走行が円滑に行われず加工速度を低くする必要があるので、その結果、生産効率を低下するなどの問題があった。
【0008】
一般的なフィルムの滑り性を向上させる方法として行われる製膜工程でフィルム表面にエンボス加工を施すことにより、接触面積を少なくして、滑り性を与えることもできるが、エンボス工程の設備が必要であり、また、滑り性に効果を示すエンボス形状を与えるためには、加工速度を低くする必要があるので、その結果、生産効率を低下するなどの問題があった。
【0009】
また、フィルムの滑り性を向上させる方法として、一般的行われている無機微粒子をフィルムに混合する方法は、ヒートシールを行うときにHS層の樹脂の流れを阻害することになる。したがって、図11及び図12(a) 、(b) に示すように、段差部DSの断面に形成する空隔部Xや、空隔部Yを発生し易いという問題点があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ゲーベルトップ型やブリック型の紙容器の内層フィルムとして、低温ヒートシール性、滑り性などの安定して物性をもち、成膜、紙基材との積層、容器成形の各工程における加工適性がよく特に容器のヒートシール時の密封性に優れ、また味覚内容物の物性の保持性能に優れた内層用フィルム、及びそれを用いた積層体からなるの提供を課題とするものである。
【0011】
【課題を解決する手段】
上記の課題を解決するために本発明は、メルトインデックスが0.2〜20g/10分、かつ密度が0.890〜0.925g/cm3のシングルサイト系触媒を用いて重合した低密度エチレン・αオレフィン共重合体60〜90重量%と、メルトインデックス0.2〜20g/10分、密度0.926〜0.965g/cm3のポリエチレンを10〜40重量%のブレンド樹脂からなるヒートシーラント層、熱可塑性樹脂からなる中間樹脂層、及びヒートシーラント層の軟化温度より高い熱可塑性樹脂からなる貼合層とを層順に共押出しで形成した多層フィルムにおいて、前記ヒートシーラント層が、前記ブレンド樹脂100重量部に対して、少なくとも1種類の平均粒径が5〜20μmの無機系微粒子を0.1〜5重量部含むことをを特徴とするヒートシール用多層フィルムであって、かつ、前記の中間樹脂層が少なくとも2層からなり、HS層と接する中間樹脂層Mの軟化温度が、HS層の軟化温度より高い熱可塑性樹脂からなり、貼合層側と接する中間樹脂層FのMFRが0.2〜20g/10分、かつ密度が0.890〜0.925g/cm3のS−PEからなるヒートシール用多層フィルムである。また、第2の発明は、前記貼合層を形成する熱可塑性樹脂のMFRが、0.2〜20g/10分、かつ密度が0.925〜0.965g/cm3のポリエチレンからなるヒートシール用多層フィルムである。そして、第3の発明は、S−PEからなる中間樹脂層が、平均粒径5〜20μmの無機系微粒子を0.1〜3重量部を含むヒートシール用多層フィルムである。更に、前記の無機系微粒子は、マスターバッチとしてブレンドするヒートシール用多層フィルムの製造方法である。また、前記のヒートシール用多層フィルムの貼合層と、基材として用いる紙の一方の側とを相対して接着性樹脂層又は接着剤を介して積層し、更に他方の側に樹脂層を設けた積層体からなる紙容器である。そして、前記のヒートシール用多層フィルムの貼合層と、前記紙基材との間に水蒸気及び/又はガスバリア層を含む積層体よりなる紙容器である。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明のHS用多層フィルムは図1に示すように、MFRが0.2〜20g/10分、かつ密度が0.890〜0.925g/cm3 のS−PEからなるHS層1、熱可塑性樹脂からなる中間樹脂層2、及びHS層の軟化温度より高い熱可塑性樹脂からなる貼合層3とを層順に共押出しで形成した多層フィルム10において、HS層1が、前記のS−PEを60〜95重量%と、MFR0.2〜20g/10分、密度0.926〜0.965g/cm3 のポリエチレンを5〜40重量%とからなるブレンド樹脂を100重量部に対して、少なくとも1種類の平均粒径が5〜20μmの無機系微粒子21を0.1〜5重量部を含むヒートシール用多層フィルム10である。
【0013】
図2に示すように前記の中間樹脂層2が少なくとも2層からなり、HS層1と接する中間樹脂層M(26)の軟化温度が、HS層の軟化温度より高い熱可塑性樹脂からなり、貼合層3側と接する中間樹脂層F(27)のMFRが0.2〜20g/10分、かつ密度が0.890〜0.925g/cm3 のS−PEからなるヒートシール用多層フィルム10である。
【0014】
図に示す前記の貼合層を形成する熱可塑性樹脂のMFRが、0.2〜20g/10分、かつ密度が0.925〜0.965g/cm3 のポリエチレンからなるヒートシール用多層フィルム10である。
【0015】
図3に示すように、平均粒径5〜20μmの無機系微粒子21を0.1〜3重量部を含むS−PEからなる中間樹脂層B(25)をもつヒートシール用多層フィルム10である。
【0016】
前記の無機系微粒子をマスターバッチとしてブレンドするヒートシール用多層フィルム10の製造方法である。
【0017】
図7に示すように、前記のヒートシール用多層フィルム10の貼合層3と、基材として用いる紙6の一方の側とを相対して接着性樹脂5又は接着剤を介して積層し、更に他方の側に樹脂層8を設けた紙容器の積層体9から形成される例えば図11の紙容器90である。
また、図8に示すようにヒートシール用多層フィルム10の貼合層と、前記紙基材6との間に水蒸気及び/又はガスバリア層7を含む積層体9よりなる紙容器である。
【0018】
本発明の紙容器用積層体、基材となる紙に多層フィルムを積層して製造するばかりでなく、上記のHS用多層フィルムの層を構成する樹脂を用いて、その貼合層の樹脂を、基材として用いる紙の一方の側に接するように多層共押出しコーティングにより形成できる。このように多層共押出しコーティングによる製造方法は、大量生産向きに適した製造方法である。
【0019】
本発明のHS層は、S−PEから構成され、内容物によるヒートシール阻害がないものである。また、HS層用多層フィルムは、図11、図12に示す紙容器90の段差シール部DS、センターシール部CSに生ずる空隔部X、Yを埋める物性を併せもつことが好ましい。したがって、HS層は融点が低く、かつMFRが大きい、ヒートシールの加熱時に流れ易い特性をもつものが好ましい。そのような意味から、MFRが0.2〜20g/10分で、かつ融点が90℃〜120℃の比較的低密度の0.890〜0.925g/cm3 のS−PEが好ましいHS層を形成できる。
【0020】
本発明で、特に密度が小さく、MFRが大きいS−PEを使用したときに滑り不良に伴う問題を発生することがある。このようなときには、S−PEを95〜60重量部に対して、S−PEとは相溶するMFRが0.2〜20g/10分で、密度が0.926〜0.965g/cm3 の中・高密度のポリエチレンを5〜40重量%含む樹脂のブレンド物100重量部に無機系微粒子を3.0重量部ブレンドしたHS層を形成することでで解決できる。
【0021】
上記の中・高密度ポリエチレンの含有量は、5重量%以下では滑り不良を改善する効果が少なく、また40重量%以上含む場合は、ヒートシール温度が上昇すため、上記の空隔部X、Yを十分に埋めることができないばかりでなく、S−PEがもつ特性である内容物との接触によるヒートシール阻害効果を低下することになる。
【0022】
前記の滑り性不良に伴う問題を解決するために使用する無機系微粉末は、マスターバッチ方式で平均粒径5〜20μmの無機系フィラーを0.1〜5重量部を添加し、均一に分散して製膜することがより好ましい。
無機系フィラーは、加熱状態でも溶融しないため、滑りの改善には有効であるが、HS層の熱流動性を損ない紙容器の段差シール部や、センターシール部に空隔部を生じ易くなる。この欠点を防止するため、本発明のヒートシール用多層フィルムは、HS層を形成する部分にのみ、均一かつ薄膜で無機系フイラーを添加したものである。それにより表面の滑りを良くし、中間樹脂層あるいは貼合層の熱流動性を保持して、紙容器の段差シール部や、センターシール部に発生する空隔部を防止するものである。
【0023】
本発明に用いる無機系フィラーはSiO2 、Al2 3 、Ti02 、ZnO、Fe2 3 、SnO2 、CeO2 、NiO、PbO、S2 Cl2 、ZnCl2 、FeCl2 、CaCO3 、MgCO3 、B2 3 などから平均粒径が5〜20μmのものから選択しできる。
そして、この無機系フィラーは、LDPEや、S−PEの中に高濃度で分散したマスターバッチ化して使用することにより、均一にHS層又は中間樹脂層Bに分散できる。マスターバッチに含まれる無機系フィラーの含有量は、粒子の密度や種類にもよるが2〜20重量%である。
もちろん、無機系微粒子と含む中・高密度ポリエチレンとをブレンドしたマスターバッチとS−PEとから、HS層を形成することができる。このような場合はS−PEと高密度ポリエチレンとのブレンドを省略することもできる。
【0024】
無機系フィラーの粒径が5μm未満の場合は、滑り性の改善に効果は少ない。また、20μmを超える大きさであったり、添加量が多すぎたりすると、ヒートシール不良をおこしたり、成膜時にヒートシール用多層フィルムの内部の層、例えば中間樹脂層や貼合層、あるいはバリア層を形成する酸化ケイ素(Si0x )やアルミニウム蒸着層を傷つけることがある。このような現象は、中間樹脂層を構成する樹脂の軟化温度がHS層と近いものであったり、MFRが比較的大きい(例えば20.0g/10分以上) 場合に起こり易い。
【0025】
平均粒径の異なる2種以上の無機系微粒子を使用することが滑りの改善に大きな効果を奏する。例えば、粒径が大きいフィラーの添加量に対して粒径が小さいフィラーを少量使用することによって成膜適性を含む加工適性を改善する効果を奏した。また、前記の低密度S−PEからなるHS層が、平均粒径5〜20μmの無機系微粒子を0.1〜5重量%、及び前記無機系微粒子より粒径が小さい平均粒径5〜20μmの無機系微粒子を0.05〜2重量%含む図4〜図6に示すヒートシール用多層フィルム10も好ましい構成である。
【0026】
本発明の中間樹脂層は、上記の無機系微粒子が、多層フィルムの表面にのみ集中して、ヒートシール用多層フィルム全体としては、少量の無機系微粒子で滑りを維持し、HS用多層フィルム全体としては無機系微粒子の過剰添加による熱流動性の低下を防ぐ効果を奏するものである。そして、ヒートシールの温度でHS層は溶融しても軟化温度の高い中間樹脂層Mや貼合層が、無機系微粒子がHS用多層フィルムの表面(HS層)から、内部に侵入するのを阻止して、表面の滑りを維持するものである。
【0027】
中間樹脂層Mは、HS層であるS−PEの軟化温度である80〜110℃より高く、熱流動性に優れ、S−PEと共押出し成形で接着するものから選択する。例えば、密度が0.926〜0.965の中・高密度ポリエチレン(軟化温度は110〜130℃、MFR0.2〜20g/10分)が好ましい。かつ、共押出し製膜時のラミナーフローを円滑に行うためのキャリアであり、製膜適性に重点を置いて材料を選択することが好ましい。
例えば、図2や図5に示す構成で、HS層がもつ融点より高い温度の中間樹脂層M(26)は無機系微粒子が低密度の中間樹脂層F(27)にヒートシール時に流動するのを防ぎ、ヒートシール用多層フィルム全体としては中間樹脂層F(27)が空隔部へ流動する作用を維持するものである。
【0028】
中間樹脂層Fは、紙容器のヒートシール時に空隔部へ流動し、密封を完成するもであり、熱流動性に優れ、中間樹脂層Mと共押出し成形で接着するものから選択する。例えば、上記のS−PEや、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、アイオノマーがある。
また、本発明の多層フィルムを製造するときに副生するスクラップを適宜ブレンドして使用することは省資源、リサイクルの見地からも好ましい。
【0029】
貼合層3は、本質的には中間樹脂層Mと同一の材料から選択できる。好ましくは、S−PEの軟化温度より高い樹脂が好ましい。また、本発明の多層フィルムを製造するときに副生するスクラップを中間層にばかりでなく、貼合層にも適宜ブレンドして使用することもできる。
【0030】
本発明のヒートシール用多層フィルムは、通常の多層フィルムを製造するT型ダイス又はサーキュラダイスで製膜できる。
【0031】
本発明の紙容器に水蒸気及び/又はガスバリア性を与える層は、基材となる熱可塑性樹脂を延伸又は未延伸で成膜したプラスチックフィルムにSi0x 層や金属アルミニウムを蒸着して形成したものや、ポリビニルアルコール、塩化ビニリデンの層をコーティングしたものがある。また、エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物、アクリロニトリル、ポリビニルアルコール、塩化ビニリデン、ナイロンのフィルムの他金属アルミニウム箔がある。
【0032】
本発明のヒートシール用多層フィルムの貼合層と上記のバリア層との積層は、通常の方法で行える。例えば、接着剤を用いたドライラミネーション(塗工時に溶剤を含まない接着剤を用いたノンソルラミも含む。)や、プライマー層を介して接着性樹脂層を溶融押出しで形成するサンドイッチラミネーションなど適宜に選択できる。
【0033】
要求されるバリア性の程度にもよるが、多層フィルム中間樹脂層M若しくはF又は貼合層にナイロンや、エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物を用いて、S−PEの水蒸気バリア性との相乗効果をもつヒートシール用多層フィルムを形成することもできる。
例えば、無機微粒子を含むS−PE(HS層)/中密度ポリエチレン(中間樹脂層M/エチレン・アクリル酸共重合体(中間樹脂層F)/エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物(貼合層)のヒートシール用多層フィルムの構成がある。
【0034】
ヒートシール用多層フィルムの各層の厚みは、任意に設定できる。例えば、フィルムの総厚みは、30〜100μm、各層の比率は、HS層/中間樹脂層/貼合層=1/3/2や、HS層/中間樹脂層M/中間樹脂層F/貼合層=2/2/5/4のように、無機系微粒子を含むHS層を薄くして、中間樹脂層Fを厚くすることが、無機系微粒子による滑りの効果を発揮してかつ流動阻害を最小にする効果を奏するとともに、中間樹脂層Fが紙容器のヒートシール部における空隔を埋める目的に合致するものである。
【0035】
本発明の紙容器用積層体に使用する基材の紙は、非塗工又は微塗工(塗工量が12g/m2 以下の塗工紙)の紙器用の板紙である。例えば、アイボリー、カード用紙、一般マニラボールなどから剛性、強度、厚み(坪量g/m2 )を配慮して選定する。そして、好ましくは単層抄紙、あるいはバインダーを使用した150g/m2 〜600g/m2 のものである。
【0036】
紙容器用積層体を構成するヒートシール用多層フィルムと基材となる紙との積層は、ヒートシール用多層フィルムの貼合層と、紙とを接着性樹脂層(通常はLDPE)を用いてサンドイッチラミネーションで積層する。貼合層の側が、ポリエチレン系樹脂以外の例えば、ポリエステルフィルム、ナイロンフィルムやアルミニウム箔のような場合は、ポリエステルフィルムやアルミニウムにプライマー層を設けて接着性樹脂層(LDPE)を用いて積層する。ヒートシール用多層フィルムと紙とを積層するサンドイッチラミネーションに使用する接着性樹脂層の厚みは15〜40μmである。
接着性樹脂層を含む総厚みは、上記の数値に限定されることはなく、紙容器の大きさによって任意に設定できる。
【0037】
バリア層の側がナイロン、エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物やアルミニウム箔のようにカルボニル基をもつ樹脂と接着する場合は、バリア層の側にプライマー層を設けないで、直接エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、あるいは、アイオノマーなどの接着性樹脂層を用いてHS用多層フィルムの貼合層とをサンドイッチラミネーションを行い紙容器用積層体を構成することもできる。
【0038】
ヒートシール用多層フィルムと、基材となる紙との積層は、積層フィルムを別工程で製膜して紙と積層するばかりではなく、図示はしないが、貼合層と紙とを接するようにして共押出しコーテイングにより構成することができる。
例えば、基材となる紙の一方の側に、中密度ポリエチレン(貼合層)、低密度S−PE(中間樹脂層F)、中密度ポリエチレン(中間樹脂層M)、及びS−PE及び高密度ポリエチレンと無機系微粒子とからなるHS層を、同時に共押出しコーティングをできる。
また、紙にアルミニウム箔を貼合した積層体のアルミニウム面に、アシッドポリマーからなるエチレン・アクリル酸共重合体(接着性樹脂層)、高密度ポリエチレン(貼合層)、低密度S−PE(中間樹脂層)及びS−PE及び中密度ポリエチレンと無機系微粒子とからなるHS層を、同時に共押出しコーティングすることもできる。
【0039】
本発明のヒートシール用多層フィルムを用いた紙容器用積層体は、前記ゲーベルトップ型やブリック型の紙容器の最内層フィルムととしても用いられるが、その他、印刷したプラスチックフィルムと積層したパウチ、バッグインボックスの内袋、ラミネートチューブ、紙カップあるいは紙を積層した丸筒容器等の液体や粘稠体を内容物とする容器にも適用できるものである。
【0040】
以下、本発明について実施例に基づいて更に詳細に説明する。
なお、実施例及び比較例のフィルムは、いずれもサーキュラダイスによる成膜を行ったものである。
【0041】
【実施例】
ゲーベルトップ型の紙容器用積層体を、次に示す構成で実施例及び比較例の試料を作成した。
(実施例 1)
図3に示すように、密度が0.913、融点が114℃、MFR4.0gのS−PEを70重量%と、密度が0.958、融点が132℃、MFR0.36gの高密度ポリエチレンを10重量%と、上記S−PEに平均粒径7μmのシリカ微粒子21を15%分散したマスターバッチを20重量%とからなる〔HS層11〕と、上記のS−PEに上記のマスターバッチを5重量%含む〔中間樹脂層B25〕、及び密度が0.935、融点が123℃、MFR2.1gの〔貼合層3〕が、それぞれ層比1:3:2になるようにに構成した厚み40μmの3層のHS層用多層フィルム10を作成した。
次いで、図9に示すように、HS用多層フィルム10の貼合層3と、バリア層として、イソシアネート系のプライマー層32を設けたSi0x 層を蒸着した厚み12μmのポリエステルフィルム71とを20μmのLDPEを接着性樹脂層51を用いてサンドイッチラミネーションを施した。更に、ポリエステルフィルムの側に、プライマー層33を設けて、厚み30μmのLDPEを接着性樹脂層52として、坪量400g/m2 の基材となる紙6の一方の側とをサンドイッチラミネーションし、紙の他の側に厚み20μmのLDPEからなる樹脂層8を押出しコーティングで構成し、本発明の実施例1の紙容器用の積層体9を形成した。
【0042】
(実施例 2)
図2に示すように、実施例1で用いた〔HS層1〕と、密度が0.935、融点が123℃、MFR2.1gの中密度ポリエチレンからなる〔中間樹脂層M(26)〕と、密度が0.913、融点が114℃、MFR4.0gのS−PE〔中間樹脂層F(27)〕とからなる2層の中間樹脂層2と、密度が0.935、融点が123℃、MFR2.0からなる〔貼合層3〕が、それぞれ層比2:2:5:4になるようにに構成した厚み40μmの実施例2のHS用多層フィルム10を作成した。
次いで実施例1と同様にして、Si0x 層蒸着ポリエステルフィルム71、基材となる紙6及び樹脂層8を設けて本発明の実施例2の紙容器用の積層体9を作成した。
【0043】
(実施例 3)
図6に示すように、密度が0.913、融点が114℃、MFR4.0gのS−PE70重量%と、密度が0.958、融点が132℃、MFR0.36gの高密度ポリエチレン10重量%と、上記S−PEに平均粒径7μmのシリカ21を15%分散したマスターバッチを10重量%と、上記S−PEに平均粒径5μmのシリカ22を15%分散したマスターバッチを5重量%とからなる〔HS層1〕と、上記のS−PEに上記の平均粒径7μmのシリカ22を分散したマスターバッチを5重量%からなる〔中間樹脂層B(25)〕、及び密度が0.935、融点が123℃、MFR2.1gの中密度ポリエチレンからなる〔貼合層3〕とが、それぞれ層比1:3:2になるようにに構成した厚み40μmの実施例3のHS用多層フィルム10を作成した。
次いで、実施例1と同様にして、Si0x 層蒸着ポリエステルフィルム71、基材となる紙6及び樹脂層8を設けて本発明の実施例3の紙容器用の積層体9を作成した。
【0044】
(実施例 4)
図4に示すように、実施例3で用いた〔HS層11〕と、密度が0.913、融点が114℃、MFR4.0gのS−PEからなる〔中間樹脂層2〕、及び実施例2で用いた中密度ポリエチレンからなる〔貼合層3〕が、それぞれ層比1:3:2になるようにに構成した厚み40μmの実施例4のHS用多層フィルム10を作成した。
次いで、実施例1と同様にして、Si0x 層蒸着ポリエステルフィルム71、基材となる紙6及び樹脂層8を設けて本発明の実施例5の紙容器用の積層体9を作成した。
【0045】
(実施例 5)
図5に示すように、密度が0.913、融点が114℃、MFR2.0gのS−PE70重量%と、密度が0.958、融点が132℃、MFR0.36gの高密度ポリエチレン10重量%と、上記S−PEに平均粒径7μmのシリカ21を15%分散したマスターバッチを15重量%と、上記S−PEに平均粒径5μmのシリカ22を10%分散したマスターバッチを5重量%とからなる〔HS層1〕と、密度が0.935、融点が123℃、MFR2.0gの中密度ポリエチレンからなる〔中間樹脂層M(26)〕、実施例4で用いたS−PEからなる〔中間樹脂層F(27)とからなる中間樹脂層2、及び実施例4で用いた中密度ポリエチレンからなる〔貼合層3〕が、それぞれ層比2:2:5:4になるようにに構成した厚み40μmの実施例5のHS用多層フィルム10を作成した。
次いで、実施例1と同様にして、Si0x 層蒸着ポリエステルフィルム7、基材となる紙6及び樹脂層8を設けて本発明の実施例5の紙容器用の積層体9を作成した。
【0046】
(実施例 6)
実施例1で作成した紙容器用積層体9のSi0x 層蒸着ポリエステルフィルム71をアルミニウム蒸着ポリエステルに代えた以外は実施例1と同様にして実施例6の紙容器用の積層体9を形成した。
【0047】
(実施例 7)
実施例2で作成した紙容器用積層体9のSi0x 層蒸着ポリエステルフィルム71をアルミニウム蒸着ポリエステルに代えた以外は実施例2と同様にして実施例7の紙容器用の積層体9を形成した。
【0048】
(実施例 8)
実施例3で作成した紙容器用積層体9のSi0x 層蒸着ポリエステルフィルム71をアルミニウム蒸着ポリエステルに代えた以外は実施例3と同様にして実施例8の紙容器用の積層体9を形成した。
【0049】
(実施例 9)
実施例4で作成した紙容器用積層体9のSi0x 層蒸着ポリエステルフィルム71をアルミニウム蒸着ポリエステルに代えた以外は実施例4と同様にして実施例9の紙容器用の積層体9を形成した。
【0050】
(実施例 10)
実施例5で作成した紙容器用積層体9のSi0x 層蒸着ポリエステルフィルム71をアルミニウム蒸着ポリエステルに代えた以外は実施例5と同様にして実施例10の紙容器用の積層体9を形成した。
【0051】
(実施例 11)
図10に示すように、厚み7μmのアルミニウム箔72と厚み12μmのポリエステルフィルム73とを、ポリエステル・イソシアネート系接着剤31を用いてドライラミネーションを施して積層した。次いで、ポリエステルフィルムにイソシアネート系プライマー層32を設け、更に厚み20μmのLDPE51を用いて、実施例1で作成したHS用多層フィルム10の貼合層3とをサンドイッチラミネーションをした。
次いで、アルミニウム箔と基材となる紙とを厚み30μmのエチレン・メタアクリル酸共重合体を用いて、坪量400g/m2 の基材となる紙6の一方の側とをサンドイッチラミネーションし、紙の他の側に厚み20μmのLDPEからなる樹脂層8を構成し、本発明の実施例11の紙容器用の積層体9を形成した。
【0052】
(実施例 12)
実施例11で用いたHS用多層フィルム10を実施例2で作成したものに代えた以外は、実施例11と同様にして本発明の実施例11の紙容器用の積層体9を形成した。
【0053】
(実施例 13)
実施例11で用いたHS用多層フィルム10を実施例3で作成したものに代えた以外は、実施例11と同様にして本発明の実施例13の紙容器用の積層体9を形成した。
【0054】
(実施例 14)
実施例11で用いたHS用多層フィルム10を実施例4で作成したものに代えた以外は、実施例11と同様にして本発明の実施例14の紙容器用の積層体9を形成した。
【0055】
(実施例 15)
実施例11で用いたHS用多層フィルムを実施例5で作成したものに代えた以外は、実施例11と同様にして本発明の実施例15の紙容器用の積層体9を形成した。
【0056】
(比較例 1)
実施例1で用いたHS用多層フィルムを、密度が0.913g/cm3 、MFRが4.0g/10分、融点が114℃の単層S−PE層に代えた以外は実施例1と同様にして比較例1の積層体を構成した。
【0057】
(比較例 2)
実施例6で用いたHS用多層フィルムを、比較例1のS−PEに代えた以外は実施例1と同様にして比較例2の積層体9を構成した。
【0058】
(比較例 3)
実施例11で用いたHS用多層フィルムを、比較例1のS−PEに代えた以外は実施例1と同様にして比較例2の積層体9を構成した。
【0059】
(比較例 4)
実施例1で用いたHS用多層フィルムを、密度が0.923g/cm3 、MFRが4.5g/10分、融点が111℃の単層LDPE層に代えた以外は実施例1と同様にして比較例4の積層体9を構成した。
【0060】
(比較例 5)
実施例6で用いたHS用多層フィルムを、比較例4の単層LDPE層に代えた以外は実施例6と同様にして比較例5の積層体9を構成した。
【0061】
(比較例 6)
実施例11で用いたHS用多層フィルムを比較例4の単層LDPE層に代えた以外は実施例11と同様にして比較例6の積層体9を構成した。
【0062】
(比較例 7)
実施例1で用いたHS用多層フィルムを、密度が0.935g/cm3 、MFRが2.0g/10分、融点が123℃の単層中密度ポリエチレンに代えた以外は実施例1と同様にして比較例7の積層体9を構成した。
【0063】
(比較例 8)
実施例6で用いたHS用多層フィルムを、比較例5の単層中密度ポリエチレンに代えた以外は実施例6と同様にして比較例8の積層体91を構成した。
【0064】
(比較例 9)
実施例11で用いたHS用多層フィルムを、比較例5の単層中密度ポリエチレンに代えた以外は実施例11と同様にして比較例9の積層体9を構成した。
【0065】
次いで、実施例及び比較例の各紙容器用積層体を用いて1.8リットルのゲーベルトップ型紙容器を作成するまでの工程における、積層体の滑りをはじめとする紙容器の成形加工性と、液体充填機を用いてミネラルウオーター及び日本酒を充填して、次に示す各評価を行った。
【0066】
(密封性)
ゲーベルトップ型紙容器のヒートシール部の段差部、センターシール部の空隔部(XあるいはY)の密封性を染料で着色した有機溶剤からなるシールチェック液により液漏れや滲透の程度により目視で評価する。
(加工適性)
紙容器積層体のスカイブヘビング工程、及びフレームシーラーにおける供給性(滑り不良に伴う供給不良の有無)、積み上げたブランクから引き出すときに発生する傷の有無を目視で評価する。
(味覚に及ぼす影響)
80℃のミネラルウオーター又は65℃の日本酒をゲーベルトップ型紙容器に充填後15℃のシャワーで冷却後、20℃にて1ケ月静置して、官能テストによる味覚の評価を行う。
(評価基準)
◎ 良好
○ 若干問題があるが、実用上問題なし
△ 使用条件、用途により使用可能
× 極く限定された用途にのみ使用可
使用不可
【0067】
各物性の評価方法は、次の通りである。
〔シール性(ヒートシール性)〕
ゲーベルトップの段差部及びセンターシール部に生ずる空隙部(図12に示すXあるいはY)の有無をシールチェック液により液漏れや滲透の程度により目視で評価する。
・◎:密封状態が非常に良好
・○:空隔部及びピンホールの発生なし
・△:充填直後は空隔部は認められないが6ケ月後には空隔部が認められる
・×:充填直後に空隔部及びピンホールが認められる
【0068】
【表1】
Figure 0004156073
【0069】
【発明の効果】
紙容器の内面のHS層にS−PE、中間樹脂層(中間樹脂層M、中間樹脂層F)及び貼合層とからなるHS用多層フィルム基材となる紙に積層した紙容器用積層体で構成した紙容器は、低温ヒートシール性をもち、充填シール時に空隔部の発生がない密封性に優れるものである。
そして、最低厚みのHS層に含む中・高密度ポリエチレンと、少なくとも1種類以上の無機系微粒子は表面の滑り不良に伴う密封性の欠如を改善するとともに充填工程の安定化に効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のHS用多層フィルムの断面概略図である。
【図2】本発明の他の構成のHS用多層フィルムの断面概略図である。
【図3】本発明の他の構成の耐薬品性積層フィルムの断面概略図である。
【図4】実施例の耐薬品性積層フィルムの断面概略図である。
【図5】他の実施例の耐薬品性積層フィルムの断面概略図である。
【図6】他の実施例の耐薬品性積層フィルムの断面概略図である。
【図7】紙容器用積層体の例を示す断面概略図である。
【図8】バリア層を含む紙容器用積層体の他の例を示す断面概略図である。
【図9】実施例のバリア層を含む紙容器用積層体の例を示す断面概略図である。
【図10】実施例のバリア層を含む紙容器用積層体の他の例を示す断面概略図である。
【図11】本発明の紙容器の一例を示す斜視図である。
【図12】空隔部を説明するためのシール部の断面拡大図である。
(a) 段差シール部の拡大図
(b) センターシール部の断面拡大図
【符号の説明】
1 HS層
2 中間脂層層
3 貼合層
4 フィラー
5 接着性樹脂層
6 紙
7 バリア層
8 樹脂層
9 紙容器用積層体
10 HS用多層フィルム
21、22 無機系微粒子
25 中間脂層層B
26 中間脂層層M
27 中間脂層層F
31 接着剤層
32、33 プライマー層
51、52 LDPE層
5 接着性樹脂層
6 紙
71 蒸着フィルム
72 アルミニウム箔
73 ポリエステルフィルム
90 紙容器
DS 段差シール部
CS センターシール部
X 段差シール部に生ずる空隙部
Y センターシール部に生ずる空隙部
V1 〜V2 紙容器のパネル

Claims (6)

  1. メルトインデックスが0.2〜20g/10分、かつ密度が0.890〜0.925g/cm3のシングルサイト系触媒を用いて重合した低密度エチレン・αオレフィン共重合体60〜90重量%と、メルトインデックス0.2〜20g/10分、密度0.926〜0.965g/cm3のポリエチレンを10〜40重量%のブレンド樹脂からなるヒートシーラント層、熱可塑性樹脂からなる中間樹脂層、及びヒートシーラント層の軟化温度より高い熱可塑性樹脂からなる貼合層とを層順に共押出しで形成した多層フィルムにおいて、前記ヒートシーラント層が、前記ブレンド樹脂100重量部に対して、少なくとも1種類の平均粒径が5〜20μmの無機系微粒子を0.1〜5重量部含み、前記中間樹脂層が少なくとも2層からなり、前記ヒートシーラント層と接する中間樹脂層Mが、前記ヒートシーラント層の軟化温度より高い熱可塑性樹脂からなり、前記貼合層側と接する中間樹脂層Fのメルトインデックスが0.2〜20g/10分、かつ密度が0.890〜0.925g/cm 3 のシングルサイト系触媒を用いて重合した低密度エチレン・αオレフィン共重合体であることを特徴とするヒートシール用多層フィルム。
  2. 前記貼合層を形成する熱可塑性樹脂のメルトインデックスが、0.2〜20g/10分、かつ密度が0.925〜0.965g/cm3のポリエチレンからなることを特徴とする請求項1に記載のヒートシール用多層フィルム。
  3. 低密度エチレン・αオレフィン共重合体からなる前記中間樹脂層が、平均粒径5〜20μmの無機系微粒子を0.1〜3重量部を含むことを特徴とする請求項1乃至2に記載のヒートシール用多層フィルム。
  4. 請求項1乃至請求項に記載の前記無機系微粒子は、マスターバッチとしてブレンドすることを特徴とするヒートシール用多層フィルムの製造方法。
  5. 請求項1乃至に記載のヒートシール用多層フィルムの貼合層と、基材として用いる紙の一方の側とを相対して接着性樹脂層又は接着剤を介して積層し、更に他方の側に樹脂層を設けた積層体からなることを特徴とする紙容器。
  6. 請求項1乃至に記載のヒートシール用多層フィルムの貼合層と、前記紙基材との間に水蒸気及び/又はガスバリア層を含む積層体よりなることを特徴とする請求項5に記載の紙容器。
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