JP4372326B2 - 印刷機のインキツボキー原点位置調整方法及び装置 - Google Patents

印刷機のインキツボキー原点位置調整方法及び装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷機のインキツボキー原点位置調整方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
印刷機械のインキ装置であるインキツボには、インキツボローラに対向して幅方向に複数のインキツボキーが配置されており、実際の印刷では絵柄に応じて各対応するインキツボキーの開度(開き量)設定を行うことでインキツボローラ上に必要なインキ膜厚を形成する。
【0003】
このインキツボキーの開度を適正に制御するためには、原点となるツボキーのゼロセット位置の設定が重要になってくる。従来の印刷機械の大半は、インキツボローラ上に数μmのインキ膜厚が幅方向に均一に形成される状態を手動操作によって各インキツボキーを調整している。
【0004】
そして、このゼロセット位置の調整作業は、インキツボキー先端の摩耗などの経時変化や環境の変化によりゼロセット位置が変動するために、定期的に行う必要がある。
【0005】
しかしながら、印刷機械には複数の印刷ユニットに複数のインキツボキーが配されており、その数は多く、全てを調整する作業は重労働となるため、自動化が望まれている。
【0006】
そこで、近年、特公平7−112734号公報等で、インキツボローラにインキツボキーを接触させ、その接触位置より予め定められた一定量だけ戻し(インキツボキーを開く方向に移動させる)、その戻した位置を原点位置として記憶し、その原点位置を基準としてその後の制御を行うようにした制御手段が提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、特公平7−112734号公報等で提案されたものにあっては、図16に示すように、両端支持のインキツボローラにインキツボキーを接触させると、インキツボローラがインキツボキーに押されて撓み、特に、インキツボローラの中央部が両端部に比べて大きく撓んでしまい(図16の(a)参照)、ここから一定量戻したとしても、インキツボローラとインキツボキーの隙間(開き量)が、両端部に比べ、中央部が小さくなるため(図16の(b)参照)、その後の制御においても、正確に制御できなくなるという問題がある。
【0008】
即ち、一般的に、機械には撓み等が発生するため、インキツボキーを決められた所定量戻すだけでは、インキツボローラ上のインキ膜厚が幅方向に均一にならないのである。
【0009】
そこで、本発明の目的は、機械の撓み等の影響を考慮して、インキツボキーの原点位置を精度良く調整できる印刷機のインキツボキー原点位置調整方法及び装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明のインキツボキー原点位置調整方法は、インキツボローラの長手方向へ複数並設されたインキツボキーを備え、これらインキツボキーの開き量の調整によってインキツボ内よりインキツボローラに供給されるインキの供給量を調整し、このインキツボローラを介して刷版へインキを供給し、この刷版に供給されたインキを印刷用紙に印刷する印刷機のインキツボキー原点位置調整方法において、オペレータが手動で前記各インキツボキーの原点位置を調整する第1のステップと、前記オペレータが手動で調整した各インキツボキーの位置を、各インキツボキーの原点位置として記憶する第2のステップと、前記各インキツボキーを移動させるインキツボキー駆動装置を駆動し、各インキツボキーをインキツボローラに接触させると共に、その移動量を記憶する第3のステップと、前記各インキツボキー駆動装置を駆動し、各インキツボキーをインキツボローラに接触した位置より前記第3のステップで記憶した移動量だけ戻す第4のステップと、前記各インキツボキー駆動装置を駆動し、各インキツボキーをインキツボローラに接触させる第5のステップと、前記各インキツボキー駆動装置を駆動し、各インキツボキーを前記記憶した移動量だけ開く方向に移動させる第6のステップと、前記移動させた位置を各インキツボキーの再調整後の新たな原点位置として記憶する第7のステップと、
を有することを特徴とする。
【0014】
また、本発明のインキツボキー原点位置調整装置は、インキツボローラの長手方向へ複数並設されたインキツボキーをインキツボローラに対し接離する方向へ個別に移動させる複数のインキツボキー駆動装置を備え、前記各インキツボキーのインキツボローラに対する開き量を調整することによってインキツボ内よりインキツボローラに供給されるインキの供給量を調整し、このインキツボローラを介して刷版へインキを供給し、この刷版に供給されたインキを印刷用紙に印刷する印刷機において、前記各インキツボキーに対応して設けられ各インキツボキーを手動にて進退動させて原点位置を調整する手動位置調整装置と、前記各インキツボキー駆動装置を駆動制御すると共に各インキツボキーの位置及び移動量を記憶する制御装置と、を有し、前記制御装置は、前記オペレータが前記手動位置調整装置にて手動で調整した各インキツボキーの位置を各インキツボキーの原点位置として記憶した後、前記各インキツボキー駆動装置を駆動制御して各インキツボキーをインキツボローラに接触させると共にその移動量を記憶した後、前記各インキツボキー駆動装置を反転駆動制御して各インキツボキーをインキツボローラに接触した位置より前記記憶した移動量だけ戻し、その後前記各インキツボキー駆動装置を駆動制御して各インキツボキーをインキツボローラに接触させた後、前記各インキツボキー駆動装置を反転駆動制御して各インキツボキーを前記記憶した移動量だけ開く方向に移動させ、その移動させた位置を各インキツボキーの再調整後の新たな原点位置として記憶することを特徴とする
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る印刷機のインキツボキー原点位置調整方法及び装置を実施例により図面を用いて詳細に説明する。
【0019】
[第1実施例]
図1は本発明の第1実施例を示すインキツボ装置の側断面図、図2は同じく背面図、図3は同じく平面図、図4は同じくインキツボキーの構造説明図で同図(a)は平面図、同図(b)は側断面図、図5は同じく制御ブロック図、図6は同じく初期設定時のフローチャート、図7は同じくゼロセット位置記憶機能時のフローチャート、図8は同じくゼロセット位置復帰機能時のフローチャート、図9は同じくPSSからのデータをプリセットする時のフローチャート、図15は同じく作用説明図である。
【0020】
図1乃至図3に示すように、印刷機のインキツボ装置は、左右のフレーム1に軸支されて回転するインキツボローラ2と、このインキツボローラ2の周面と両端部のせき3、及び前記インキツボローラ2の長手方向へ複数並設されたインキツボキー4で形成される断面三角形状のインキツボとを備える。
【0021】
そして、前記インキツボローラ2の周面に対する各インキツボキー4の開き量(開度)の調整によって、インキツボ内よりインキツボローラ2に供給されるインキの供給量を調整し、このインキツボローラ2を介して図示しない刷版へインキを供給し、この刷版に供給されたインキを印刷用紙に印刷するようになっている。
【0022】
即ち、前記各インキツボキー4は、後述するインキツボキー駆動装置と手動位置調整装置とにより、インキツボローラ2に対し接離する方向へ個別に移動(スライド)可能になっているのである。
【0023】
前記インキツボキー駆動装置は、図4に示すように、前記各インキツボキー4に対応してインキツボ本体4A内に組み付けられたサーボモータ5と、該サーボモータ5の出力軸にギヤトレイン6を介して連繋してインキツボ本体4A上に固着された固定部材7にねじ結合されたねじ軸8と、該ねじ軸8先端の拡径ねじ部にねじ結合されて前記インキツボキー4に結合された中間部材9とを主要部材としている。
【0024】
従って、前記インキツボキー4は、固定部材7にねじ結合されたねじ軸8がサーボモータ5によって回転されることによる、ねじ軸8自体の移動及び該ねじ軸8先端にねじ結合された中間部材9の差動移動によって、インキツボローラ2に対し接離する方向へ移動される。
【0025】
また、前記インキツボ本体4A上に突設した支持軸10とインキツボキー4の後部内に付設した支持軸11とで押圧ばね12が担持され、この押圧ばね12でインキツボキー4が常時インキツボローラ2側に付勢されることで、前記各ねじ結合部のガタが吸収されるようになっている。
【0026】
前記手動位置調整装置は、前記サーボモータの出力軸に固定された回転つまみ13を備え、この回転つまみ13の回転力を前記ギヤトレイン6を介して前記ねじ軸8に伝えるようになっている。
【0027】
そして、前記サーボモータ5は、図5に示すように、マイクロプロセッサ等を用いた制御装置(メインコントローラ)としてのCPU15により駆動制御され、その制御信号がD/A変換器16→インターフェイス17→サーボモータコントロールドライバー18を経て入力されるようになっている。
【0028】
一方、CPU15には、前記サーボモータ5に付設したポテンショメータ19からの検出信号(インキツボキー4の位置信号)がインターフェイス20→A/D変換器21を経て入力されるようになっている。
【0029】
また、CPU15は、固定メモリ22と可変メモリ23の他に前記インキツボキー4のマイナス動作量記憶用メモリ24と原点位置(ゼロセット位置)記憶用メモリ25を周辺に配し、前記D/A変換器16及びA/D変換器21と共に母線BUSにより接続している。
【0030】
また、CPU15には、前記インキツボキー4の原点調整作業を開始するスタートスイッチ等を有した操作パネル26からの操作信号が入出力装置27を介して入力される。
【0031】
そして、前記CPU15は、オートゼロセット動作を制御するために、下記のような機能を有する。
▲1▼ 初期設定を行う。
▲2▼ 原点位置、マイナス動作量を求め、記憶する。
▲3▼ 絵柄面積率測定装置(PSS)から次のジョブの各インキツボキー4の開き量を受け取り、各インキツボキー4の開き量の目標値に相当するポテンショメータ19の出力値を算出し、算出した目標値に相当するポテンショメータ19の出力値を原点位置のポテンショメータ19の出力値より補正し、実際のポテンショメータ19の出力値がその補正した目標値に相当するポテンショメータ19の出力値になるようにサーボモータコントロール
ドライバー18に駆動信号を出力する。
【0032】
これを、図6乃至図9のフローチャートを用いて詳述する。
先ず、初期設定時は、図6に示すように、ステップP1でマイナス動作量をゼロにセットした後、ステップP2で原点位置をゼロにセットするのである。
【0033】
次に、ゼロセット位置記憶機能時(マイナス動作量記憶時)は、図7に示すように、ステップP3でオペレータがマニユアル操作(手動)でインキツボキー4のゼロ位置を調整した後、ステップP4でスタートスイッチがONされているか否かを判断し、ONされていれば、ステップP5でポテンショメータ19の出力値を原点位置として記憶する。
【0034】
この後、ステップP6でインキツボキー4を閉じる側に駆動した後、ステップP7で予め定められた任意の時間、経過したか否かを判断し、経過していれば、ステップP8でポテンショメータ19の出力値を読み取り、記憶する。
【0035】
この後、ステップP9でポテンショメータ19の出力値が前回と同じか否かを判断し、同じであれば、ステップP10に移行し、同じでなければ、ステップP7に戻り、出力値が同じになるまで前記読み取りを続行する。
【0036】
前記ステップP10でインキツボキー4の駆動を停止した後、ステップP11でインキツボキー4の駆動停止後のポテンショメータ19の出力値を読み取り、記憶する。
【0037】
この後、ステップP12で原点位置として記憶したポテンショメータ19の出力値とインキツボキー4の駆動停止後のポテンショメータ19の出力値の差を求め、マイナス動作量として記憶した後、ステップP13で記憶したマイナス動作量だけインキツボキー4を開く側に駆動させ、インキツボキー4を元の位置に戻す。
【0038】
尚、上述した機能は、印刷機の導入初期(又はメーカーでの納入前)において、まずは手動で調整されたゼロセット位置を記憶する機能として使われる。
【0039】
次に、ゼロセット位置復帰機能時(原点位置記憶時)は、図8に示すように、先ず、ステップP14でスタートスイッチがONされているか否かを判断し、ONされていれば、ステップP15で各インキツボキー4の開き量を原点位置にする。
【0040】
この後、ステップP16でインキツボキー4を閉じる側に駆動した後、ステップP17で予め定められた任意の時間、経過したか否かを判断し、経過していれば、ステップP18でポテンショメータ19の出力値を読み取り、記憶する。
【0041】
この後、ステップP19でポテンショメータ19の出力値が前回と同じか否かを判断し、同じであれば、ステップP20に移行し、同じでなければ、ステップP17に戻り、出力値が同じになるまで前記読み取りを続行する。
【0042】
前記ステップP20でインキツボキー4の駆動を停止した後、ステップP21で記憶しているマイナス動作量を読み取る。
【0043】
この後、ステップP22で読み取ったマイナス動作量だけインキツボキー4を開く側に駆動させた後、ステップP23でポテンショメータ19の出力値を原点位置として記憶する。
【0044】
尚、上述した機能は、日常使用により、インキツボキー4のゼロセット位置に狂いが発生した場合に、印刷機の導入初期同様のゼロセット状態へ復帰するために実行する。
【0045】
次に、PSSからのデータをプリセットする時は、図9に示すように、先ず、ステップP24で絵柄面積率測定装置から、次のジョブの各インキツボキー4の開き量の目標値を入力する。
【0046】
この後、ステップP25でインキツボキー4の開き量の目標値に相当するポテンショメータ19の出力値を算出した後、ステップP26で記憶している原点位置を読み取る。
【0047】
この後、ステップP27で算出した目標値に相当するポテンショメータ19の出力値に原点位置のポテンショメータ19の出力値を加え、補正した目標値に相当するポテンショメータ19の出力値を求めた後、ステップP28でポテンショメータ19の出力値を読み取り、記憶する。
【0048】
この後、ステップP29で補正した目標値に相当するポテンショメータ19の出力値と現在のポテンショメータ19の出力値より、インキツボキー4の駆動方向を求めた後、ステップP30で求めた方向にインキツボキー4を駆動する。
【0049】
この後、ステップP31でポテンショメータ19の出力値を読み取った後、ステップP32で目標値に相当するポテンショメータ19の出力値と現在のポテンショメータ19の出力値が同じか否かを判断する。
【0050】
前記ステップP32で出力値が同じであれば、ステップP33でインキツボキー4の駆動を停止し、同じでなければ、ステップP31に戻る。
【0051】
尚、上記実施例にて、サーボモータコントロールドライバー18を削除し、直接D/A変換した速度指令値をサーボモータ5に入力し、ソフトを用いてサーボ制御しても良い。
【0052】
[第2実施例]
図10は本発明の第2実施例を示す制御ブロック図、図11は同じく初期設定時のフローチャート、図12は同じくゼロセット位置記憶機能時のフローチャート、図13は同じくゼロセット位置復帰機能時のフローチャート、図14は同じくPSSからのデータをプリセットする時のフローチャートである。
【0053】
本実施例は、インキツボキー駆動装置として、第1実施例のサーボモータ5に代えてステッピングモータ30を使用したものであり、このステッピングモータ30は、図10に示すように、CPU15により駆動制御され、その制御信号がインターフェイス17→ステッピングモータコントロールドライバー31を経て入力されるようになっている。
【0054】
一方、CPU15には、前記ステッピングモータ30に付設したロータリーエンコーダ32からの検出信号(インキツボキー4の位置信号)がインターフェイス20→偏差カウンタ33及びセンサ相カウンタ34を経て入力されるようになっている。
【0055】
また、CPU15は、固定メモリ22と可変メモリ23の他に前記インキツボキー4のマイナス動作量記憶用メモリ24と予め定められた値記憶用メモリ35と原点オフセット量記憶用メモリ36を周辺に配し、前記インターフェイス17、偏差カウンタ33及びセンサ相カウンタ34と共に母線BUSにより接続している。
【0056】
また、CPU15には、前記インキツボキー4の原点調整作業を開始するスタートスイッチ等を有した操作パネル26からの操作信号が入出力装置27を介して入力される。
【0057】
そして、前記CPU15は、オートゼロセット動作を制御するために、下記のような機能を有する。
▲1▼ 初期設定を行う。
▲2▼ 原点オフセット量(駆動指令パルス数換算)、マイナス動作量(駆動指令パルス数換算)を求め、記憶する。
▲3▼ 絵柄面積率測定装置から次のジョブの各インキツボキー4の開き量を受け取り、各インキツボキー4の開き量をゼロ位置からのステッピングモータ30の駆動指令パルス数に変換し、センサ相カウンタ34からの絶対的位置信号(駆動指令パルス数換算)と原点オフセット量(駆動指令パルス数換算)より現在の各インキツボキー4の開き量(駆動指令パルス数換算)を求め、変換したゼロ位置からのステッピングモータ30の駆動指令パルス数と現在の各インキツボキー4の開き量(駆動指令パルス数換算)の差を求め、その差分だけステッピングモータコントロールドライバー31に駆動指令を出力する。
【0058】
尚、前記偏差カウンタ33は、CPU15からの駆動指令パルス数とロータリーエンコーダ32からのパルス数の差を求め、一定値以上になった場合に、脱調信号をCPU15に出力するものである。脱調の検出にあたっては、ロータリーエンコーダ32のA、B相のフィードバックパルスの出力と、あるべき相[(0、0)(0、1)(1、1)(1、0)]との差が発生した場合に、脱調と判断する。前記センサ相カウンタ34はロータリーエンコーダ32からのパルスをカウントし、予め定められた任意の値をゼロ位置とする各インキツボキー4の絶対的位置(駆動指令パルス数換算)を求める。このセンサ相カウンタ34は、一度セットしたら、以後、二度とリセットしない。
【0059】
これを、図11乃至図14のフローチャートを用いて詳述する。
先ず、初期設定時は、図11に示すように、ステップP1でセンサ相カウンタ34の値を予め定められた任意の値にセットすると共に、ステップP2でマイナス動作量をゼロにセットした後、ステップP3で原点オフセット量をゼロにセットするのである。
【0060】
次に、ゼロセット位置記憶機能時(マイナス動作量記憶時)は、図12に示すように、ステップP4でオペレータがマニユアル操作(手動)でインキツボキー4のゼロ位置を調整する。その際、制御装置本体の電源がOFFになっているため、ロータリーエンコーダ32からのパルスは、偏差カウンタ33及びセンサ相カウンタ34によってカウントされないようになっている。その後、オペレータが制御装置本体の電源をONとする。その後、ステップP5でスタートスイッチがONされているか否かを判断し、ONされていれば、ステップP6でマイナス側(インキツボキー4を閉じる側)に駆動指令パルスを出力する。
【0061】
この後、ステップP7で脱調したか否かを判断し、脱調していれば、ステップP8に移行し、脱調していなければ、ステップP6に戻る。
【0062】
前記ステップP8で予め定められた任意の値とセンサ相カウンタ34のカウント値の差を求め、マイナス動作量として記憶した後、ステップP9で記憶したマイナス動作量だけインキツボキー4をプラス側(開く側)に動作させ、インキツボキー4を元の位置に戻す。
【0063】
尚、上述した機能は、印刷機の導入初期(又はメーカーでの納入前)において、まずは手動で調整されたゼロセット位置を記憶する機能として使われる。
【0064】
次に、ゼロセット位置復帰機能時(原点オフセット量記憶時)は、図13に示すように、先ず、ステップP10でスタートスイッチがONされているか否かを判断し、ONされていれば、ステップP11で各インキツボキー4の開き量をゼロ位置にする。
【0065】
この後、ステップP12でマイナス側(インキツボキー4を閉じる側)に駆動指令パルスを出力した後、ステップP13で脱調したか否かを判断し、脱調していれば、ステップP14に移行し、脱調していなければ、ステップP12に戻る。
【0066】
前記ステップP14で記憶しているマイナス動作量を読み取った後、ステップP15で読み取ったマイナス動作量だけインキツボキー4をプラス側(開く側)に動作させると共に、ステップP16でセンサ相カウンタ34のカウント値と予め定められた任意の値との差を求め、その差を原点オフセット量として記憶する。
【0067】
尚、上述した機能は、日常使用により、インキツボキー4のゼロセット位置に狂いが発生した場合に、印刷機の導入初期同様のゼロセット状態へ復帰するために実行する。
【0068】
次に、PSSからのデータをプリセットする時は、図14に示すように、先ず、ステップP17で絵柄面積率測定装置から、次のジョブの各インキツボキー4の開き量の目標値を入力する。
【0069】
この後、ステップP18でゼロ位置よりインキツボキー4の開き量の目標値までの駆動指令パルス数を算出した後、ステップP19で記憶している原点オフセット量を読み取る。
【0070】
この後、ステップP20でセンサ相カウンタ34のカウント値から原点オフセット量を減算し、インキツボキー4の現時点の開き量を求める。
【0071】
この後、ステップP21でゼロ位置よりインキツボキー4の開き量の目標値までの駆動指令パルス数とインキツボキー4の現時点の開き量の差より、出力すべき駆動指令パルス数を算出した後、ステップP22で出力すべき数の駆動指令パルスを出力する。
【0072】
このようにして、上記各実施例では、図15に示すように、先ず、各インキツボキー4とインキツボローラ2の間の隙間量が一定になるようにオペレータが手動で調整し(図15の(a)参照)、その後、各インキツボキー4をインキツボローラ2に接触させるように移動させると共に(図15の(b)参照)、その移動量を記憶している。つまり、移動量として、(オペレータが手動で調整した各インキツボキー4とインキツボローラ2の間の隙間量+インキツボローラ2の撓み量)を記憶している。
【0073】
次に、その記憶した移動量だけ戻しているため、結局は、(オペレータが手動で調整した各インキツボキー4とインキツボローラ2の間の隙間量+インキツボローラ2の撓み量)だけ戻すことになり、最終的な各インキツボキー4とインキツボローラ2の間の隙間量は、オペレータが手動で調整した一定値になる(図15の(c)参照)。尚、インキツボキー4やインキツボローラ2が経時変化したとしても、インキツボローラ2の撓み量はほとんど変化しないため、時間が経っても、ほぼ一定値に維持される。
【0074】
尚、本発明は上記各実施例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、各種変更が可能である。
【0075】
【発明の効果】
以上、実施例に基づいて具体的に説明したように、本発明によれば、オペレータが手動で各インキツボキーの原点位置を調整した後、各インキツボキーをインキツボローラに接触させてその移動量を記憶すると共に、前記オペレータが手動で調整した各インキツボキーの原点位置を、各インキツボキーの原点位置として記憶するので、従来技術で必要とされた「所定量」の設定がインキツボローラ上の膜厚を基に視覚的に判断して設定でき、インキツボキー原点位置を精度良く記憶することができる。即ち、インキツボキー先端の摩耗などの経時変化や環境の変化、インキツボローラの撓みなどによる影響は、インキツボローラ上の膜厚として視覚的に包含されるので、それらの条件を考慮する必要がない。
また、各インキツボキーをインキツボローラに接触させた後各インキツボキーを前記記憶した移動量だけ開く方向に移動させてその位置を各インキツボキーの再調整後の新たな原点位置として記憶するので、機械の撓み等の影響を考慮して、インキツボキーの原点位置を精度良く調整できる。さらにまた、原点位置調整の作業が自動化されることにより、従来オペレータが手動で定期的に行っていたゼロセット調整作業が無くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示すインキツボ装置の側断面図である。
【図2】同じく背面図である。
【図3】同じく平面図である。
【図4】同じくインキツボキーの構造説明図で同図(a)は平面図、同図(b)は側断面図である。
【図5】同じく制御ブロック図である。
【図6】同じく初期設定時のフローチャートである。
【図7】同じくゼロセット位置記憶機能時のフローチャートである。
【図8】同じくゼロセット位置復帰機能時のフローチャートである。
【図9】同じくPSSからのデータをプリセットする時のフローチャートである。
【図10】本発明の第2実施例を示す制御ブロック図である。
【図11】同じく初期設定時のフローチャートである。
【図12】同じくゼロセット位置記憶機能時のフローチャートである。
【図13】同じくゼロセット位置復帰機能時のフローチャートである。
【図14】同じくPSSからのデータをプリセットする時のフローチャートである。
【図15】本発明の作用説明図である。
【図16】従来例の作用説明図である。
【符号の説明】
1 フレーム
2 インキツボローラ
3 せき
4 インキツボキー
4A インキツボ本体
5 サーボモータ
6 ギヤトレイン
7 固定部材
8 ねじ軸
9 中間部材
10 支持軸
11 支持軸
12 押圧ばね
13 回転つまみ
15 CPU
16 D/A変換器
17 インターフェイス
18 サーボモータコントロールドライバー
19 ポテンショメータ
20 インターフェイス
21 A/D変換器
22 固定メモリ
23 可変メモリ
24 マイナス動作量記憶用メモリ
25 原点位置(ゼロセット位置)記憶用メモリ
26 操作パネル
27 入出力装置
30 ステッピングモータ
31 ステッピングモータコントロールドライバー
32 ロータリーエンコーダ
33 偏差カウンタ
34 センサ相カウンタ

Claims (2)

  1. インキツボローラの長手方向へ複数並設されたインキツボキーを備え、これらインキツボキーの開き量の調整によってインキツボ内よりインキツボローラに供給されるインキの供給量を調整し、このインキツボローラを介して刷版へインキを供給し、この刷版に供給されたインキを印刷用紙に印刷する印刷機のインキツボキー原点位置調整方法において、
    オペレータが手動で前記各インキツボキーの原点位置を調整する第1のステップと、
    前記オペレータが手動で調整した各インキツボキーの位置を、各インキツボキーの原点位置として記憶する第2のステップと、
    前記各インキツボキーを移動させるインキツボキー駆動装置を駆動し、各インキツボキーをインキツボローラに接触させると共に、その移動量を記憶する第3のステップと、
    前記各インキツボキー駆動装置を駆動し、各インキツボキーをインキツボローラに接触した位置より前記第3のステップで記憶した移動量だけ戻す第4のステップと、
    前記各インキツボキー駆動装置を駆動し、各インキツボキーをインキツボローラに接触させる第5のステップと、
    前記各インキツボキー駆動装置を駆動し、各インキツボキーを前記記憶した移動量だけ開く方向に移動させる第6のステップと、
    前記移動させた位置を各インキツボキーの再調整後の新たな原点位置として記憶する第7のステップと、
    を有することを特徴とする印刷機のインキツボキー原点位置調整方法。
  2. インキツボローラの長手方向へ複数並設されたインキツボキーをインキツボローラに対し接離する方向へ個別に移動させる複数のインキツボキー駆動装置を備え、前記各インキツボキーのインキツボローラに対する開き量を調整することによってインキツボ内よりインキツボローラに供給されるインキの供給量を調整し、このインキツボローラを介して刷版へインキを供給し、この刷版に供給されたインキを印刷用紙に印刷する印刷機において、
    前記各インキツボキーに対応して設けられ各インキツボキーを手動にて進退動させて原点位置を調整する手動位置調整装置と、
    前記各インキツボキー駆動装置を駆動制御すると共に各インキツボキーの位置及び移動量を記憶する制御装置と、
    を有し、
    前記制御装置は、前記オペレータが前記手動位置調整装置にて手動で調整した各インキツボキーの位置を各インキツボキーの原点位置として記憶した後、前記各インキツボキー駆動装置を駆動制御して各インキツボキーをインキツボローラに接触させると共にその移動量を記憶した後、前記各インキツボキー駆動装置を反転駆動制御して各インキツボキーをインキツボローラに接触した位置より前記記憶した移動量だけ戻し、その後前記各インキツボキー駆動装置を駆動制御して各インキツボキーをインキツボローラに接触させた後、前記各インキツボキー駆動装置を反転駆動制御して各インキツボキーを前記記憶した移動量だけ開く方向に移動させ、その移動させた位置を各インキツボキーの再調整後の新たな原点位置として記憶することを特徴とする印刷機のインキツボキー原点位置調整装置
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