JP4371414B2 - アダマンタノールの製造方法 - Google Patents

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本発明は、微生物を用いたアダマンタノールの製造方法に関する。
三環性の脂環式炭化水素であるアダマンタンは、いす形構造のシクロヘキサン環4個がかご形に縮合した分子構造をとる化合物である。アダマンタンを出発物質として変換されたアルコール類やケトン類は、医薬品の合成中間体や樹脂、液晶材料など幅広い用途に使用されている。例えば、アダマンタンの1位にアミノ基が導入された塩酸アマンタジンは、抗パーキンソン病治療薬やA型インフルエンザ治療薬として使用されている。また、アダマンタン骨格を有するアクリル酸やメタクリル酸エステル類には、次世代のフォトレジスト材料(感光性樹脂)として期待されているものがある。これらアダマンタン誘導体は、アダマンタノールから合成することができるため、中間体としてのアダマンタノールの重要性は大きいものがある。
アダマンタノールは、アダマンタン骨格に水酸基が一つ結合した第3級アルコールであり、1-アダマンタノールと2-アダマンタノールの2つの異性体がある。従来のアダマンタノールの製造方法としては、化学的合成によるアダマンタンの水酸化の方法が挙げられる。例えば、鉄やルテニウム等の遷移金属を用いた酸素酸化(Mastrorilli,P. and Nobile,C.F. Terahedron Lett. 1994,35,4193-4196 (非特許文献1)、 Lau T-C. and Mak C-K. J.Chem.Soc.Chem.Commun. 1995,115,943-944 (非特許文献2))や、酸素存在下でN-ヒドロキシフタルイミド用いたラジカル反応(Ishii,Y. et al. J.org.Chem.1995,60,3934-3935 (非特許文献3)、Ishii,et al. Tetrahedron Lett.1996,37,4993-4996 (非特許文献4))がアダマンタン水酸化法として試みられてきた。しかし、これらの方法は反応の収率が低いうえ、水酸化の位置選択性の点で問題があった。
一方、微生物による反応は一般に位置選択性が高いことが知られている。これまでにアダマンタンに微生物を作用させた例としては、Pseudomonas PutidaのシトクロムP-450camが高い位置選択性をもってアダマンタンを1-アダマンタノールに変換したが、アイソザイムのP-450LM2による反応は位置選択性が低く、1-アダマンタノールのほか、2-アダマンタノール等、計4種の化合物に変換したことが報告されている(非特許文献5、6)。また、Aspergillus cellulosae、Botoryosphaeria dothideaをアダマンタンに作用させた結果、それぞれ1-アダマンタノール:2-アダマンタノールの収率が81:19、70:30の比率で、さらにChlorella pyrenoidosaにより1-アダマンタノール:2-アダマンタノール:アダマンタノンを74:16:10の収率で得た報告(非特許文献7)がある。このように、微生物反応における位置選択性は様々であって、必ずしも実用化に満足が得られるものばかりではない。
Mastrorilli,P. and Nobile,C.F. Terahedron Lett. 1994,35,4193-4196 Lau T-C. and Mak C-K. J.Chem.Soc.Chem.Commun. 1995,115,943-944 Ishii,Y. et al. J.org.Chem.1995,60,3934-3935 Ishii,et al. Tetrahedron Lett.1996,37,4993-4996 Regioselectivity in the Cytochromes P450: Control by Protein Constraints and by Chemical Reactivities. Ronald E. White, Mary-Beth McCarthy, Karen D. Egeberg and Stephen G. Sligar, Archieves of Biochemistry and Biophysics 1984, 228(2), 493-502 Microbial oxidation of adamantane by Pseudomonas putida carrying the camphor catabolic plasmid. Sergey A. Selifonov, Biochemical and BiophysicalResearch Communications 1992, 186(3) 1429-1436 第43回香料・テルペン及び精油化学に関する討論会(1999)1IV-09 アダマンタンの微生物代謝(1)野間義明・橋本敏弘・赤松由実子・高岡 茂・浅川義範 p199-201
本発明はこのような状況を鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、微生物を用いたアダマンタンの位置選択的水酸化反応による効率的なアダマンタノール製造方法の提供である。
本発明者らは上記課題を解決すべく、アダマンタンを位置選択的に水酸化する微生物について鋭意探索を行った。その結果、従来アダマンタンの位置選択的水酸化活性が知られていなかったストレプトマイセス(Streptomyces)属、ドシオラ(Dothiora)属に高い上記活性を初めて具体的に見出し、さらにこれら微生物の培養条件の最適化も併せて実施し、本発明を完成した。すなわち、本発明は微生物を用いた以下のアダマンタノールの製造方法に関する。
(1)アダマンタンからアダマンタノールを製造するアダマンタノールの製造方法であって、ストレプトマイセス(Streptomyces)属、ドシオラ(Dothiora)属に属する微生物の菌体あるいはその処理物をアダマンタンに作用させる工程を含む、アダマンタノールの製造方法。
(2)ストレプトマイセス(Streptomyces)属に属する菌株がStreptomyces griseoplanus またはStreptomyces sp.である、上記(1)に記載のアダマンタノールの製造方法。
(3)ドシオラ(Dothiora)属に属する菌株がDothiora phaeospermaである、上記(1)に記載のアダマンタノールの製造方法。
(4)微生物の菌体あるいはその処理物をアダマンタンに作用させる工程において、該工程を界面活性剤存在下で行うことを特徴とする、上記(1)から上記(3)のいずれかに記載のアダマンタノールの製造方法。
(5)界面活性剤がTween60またはTween80である、上記(4)に記載のアダマンタノールの製造方法。
(6)アダマンタンからアダマンタノールを生成する微生物であって、該微生物がストレプトマイセス(Streptomyces)属またはドシオラ(Dothiora)属に属する微生物。
(7)受託番号FERM P-19655,受託番号FERM P-19656のいずれかで示される、請求項6に記載のアダマンタンからアダマンタノールを生成する微生物。
本発明により、アダマンタノールの新たな製造方法が提供された。本発明の製造方法によれば、位置選択的にアダマンタノールを製造することができ、所望のアダマンタン誘導体を効率的に得ることができる。
本発明は、微生物をアダマンタンに作用させる工程を含むアダマンタノールの製造方法に関する。
本発明の製造方法において使用する微生物は、ストレプトマイセス(Streptomyces)属、ドシオラ(Dothiora)属に属する微生物から選択することができる。上記の属に属する微生物であって、アダマンタンからアダマンタノールを生成する微生物であれば、種類を問わず、本発明の製造方法に使用することができる。より好適な微生物は、アダマンタンを位置選択的に水酸化してアダマンタノールを生成する微生物であり、このような微生物の例として、Streptomyces griseoplanus、Streptomyces sp.、Dothiora phaeospermaを挙げることができる。使用する微生物は、野生株、変異株、または、細胞融合、もしくは遺伝子操作などの遺伝的手法より誘導される組換え株など、いずれの株でも好適に用いることができる。
生化学的性状等に基づいて、微生物を分類する方法は公知である。また、土壌、河川、あるいは湖沼などの材料から採取したこれらの種を同定する方法は公知である。例えば、細菌であればBergey's Manual of Determinative Bacteriology, 9th Edition, Edited by John G. Holt, Williams & Wilkins, Baltimore、カビであれば"The Genera of Hyphomycetes from soil", G.L.Barron, Baltimore, Maryland, Williams and Wilkins(1968)、"Compendium of soil Fungi", K.H. Domsh, W. Gams, T. Anderson, New York, Academic Press(1980)等の文献を参照することができる。
アダマンタノールを生成する微生物は、アダマンタンから1-アダマンタノール、2-アダマンタノールのいずれかを生成する微生物であってもよく、あるいは、これら2つの異性体の両方を生成する微生物であってもよい。アダマンタンを位置選択的に水酸化してアダマンタノールを生成する微生物、すなわち、1-アダマンタノール、2-アダマンタノールのいずれか一方を優先的に生成する微生物であれば、本発明の方法に使用する目的において、より好適な微生物といえる。またアダマンタノールを生成する微生物は、アダマンタノール以外にアダマンタノン等の他の物質を生成してもよい。
アダマンタノールを生成する能力を有する微生物であること、または、アダマンタンを位置選択的に水酸化してアダマンタノールを生成する微生物であることは、実施例の方法により確認することができる。すなわち、アダマンタン存在下で微生物を培養した後、培養液を酢酸エチルで抽出し、抽出液中のアダマンタノールをガスクロマトグラフィー法などにより同定することで確認可能である。
本発明に使用する微生物として具体的には、Streptomyces griseoplanus GF122 、Streptomyces sp. GF138、Dothiora phaeosperma CBS870.71を挙げることができる。これらは、アダマンタンを位置選択的に水酸化してアダマンタノールを生成する能力を有することが、本発明者らによって初めて具体的に明らかにされた微生物である。このうち新規菌株は、本発明者らによって独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに寄託された。以下に、寄託を特定する内容を記載する。
(a)寄託機関の名称・あて名
名称:独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター
あて名:日本国茨城県つくば市東1丁目1番3号中央第6(郵便番号305-8566)
(b)寄託日:平成16年2月2日
(c)受託番号:
Streptomyces griseoplanus GF122株 (受託番号 FERM P-19656)
Streptomyces sp. GF138株 (受託番号 FERM P-19655)
また、Dothiora phaeosperma CBS870.71は、CENTRAALBUREAU VOOR SCHIMMELCULTURES BAARN-DELFT(The Netherlands)発行のLIST OF CULTURES FUNGI and YEASTS 34th edition (1996)に記載されており、該機関から入手可能である。
上記微生物を培養するための培地は、該微生物が増殖しうるものであれば特に制限はない。例えば、炭素源としては上記微生物が利用可能であればいずれも使用でき、具体的には、グルコース、フルクトース、シュクロース、デキストリンなどの糖類、ソルビトール、グリセロールなどのアルコール類、フマール酸、クエン酸、酢酸、プロピオン酸等の有機酸類およびその塩類、パラフィンなどの炭化水素類などあるいはこれらの混合物を使用することができる。窒素源としては例えば、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウムなどの無機酸のアンモニウム塩、フマル酸アンモニウム、クエン酸アンモニウムなどの有機酸のアンモニウム塩、肉エキス、酵母エキス、コーンスティープリカー、カゼイン加水分解物、尿素、などの無機有機含窒素化合物、あるいはこれらの混合物を使用することができる。他に無機塩、微量金属塩、ビタミン類など、通常の培養に用いられる栄養源を適宜混合して用いることができる。また、必要に応じて微生物の増殖を促進する因子、本発明の目的化合物の生成能力を高める因子、あるいは培地のpH保持に有効なCaCO3などの物質も添加できる。
培養方法としては、培地pHは3〜11、好ましくは4〜8、培養温度は15〜60℃、好ましくは20〜45℃で、嫌気的あるいは好気的に、その微生物の生育に適した条件下5〜240時間程度培養する。
上記微生物をアダマンタンに作用させる工程において、該微生物は生菌体のまま使用しもよいし、菌体破砕物、アセトン処理、トルエン処理、凍結乾燥などの処理を施した状態で使用してもよい。微生物菌体はカラギーナンゲル、アルギン酸ゲル、ポリアクリルアミドゲル、セルロース、寒天などに公知の方法で固定化して行うことも可能であり、限外ろ過膜などを用いて反応器中で反応させることもできる。
上記工程中、微生物をアダマンタンに作用させる方法は、最初からアダマンタンの添加された培地を用いて上記微生物を培養する方法でもよく、または、上記微生物を培養中の培養液に途中からアダマンタンを添加する方法でもよい。さらに、上記微生物を培養した培養液から遠心分離等により菌体を分離し、これをそのまま、あるいは洗浄した後、緩衝液、水などに再懸濁したものに、アダマンタンを添加し、反応させる方法などがある。アダマンタンは反応阻害が起らない濃度範囲で、一括あるいは間欠的に、あるいは連続して添加することができ、通常0.001から10%(wt/wt)程度添加する。アダマンタンは、培地にそのまま添加することもできるが、反応に影響を与えないような有機溶媒に溶解したり、界面活性剤などに分散させたりしてから添加することもできる。
上述のアダマンタン添加の際に使用する界面活性剤は、アダマンタンを溶解でき、かつアダマンタノールの生成を低下させない限り、その種類および使用濃度を問わない。本発明の使用において好適な界面活性剤の例として、非イオン性界面活性剤を挙げることができ、より好適な例としては、Tween60、Tween80を挙げることができる。これら界面活性剤の使用により、アダマンタンからアダマンタノールへの変換活性の向上を図ることも可能である。Tween60の濃度は、好ましくは4%(終濃度)未満である。
反応温度は5〜70℃、望ましくは15〜60℃で反応させる。反応pHは酵素が反応する範囲で適宜選択すればよいが、通常pH5〜10、望ましくはpH6〜9で緩衝液中あるいはpHスタットを用いて行う。反応は静置あるいは振とう、攪拌いずれでも行うことができる。反応に用いる溶媒は通常水であるが、反応に影響を与えない範囲でアルコールなどの有機溶媒を加えることができる。生成したアダマンタノールは限外ろ過、濃縮、カラムクロマトグラフィー、抽出、活性炭処理、晶析など通常の方法を組み合せることで回収、精製できる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
[実施例1]アダマンタン変換活性菌のスクリーニング
アダマンタン変換活性菌の取得を目的として、各種土壌標品について、単一炭素源として0.04-0.15% (w/v)のアダマンタン及び窒素源として0.15-0.2% (w/v)の塩化アンモニウムを加えた培地を用いて集積培養を行った。しかし、アダマンタンを炭素源として分解資化する菌株は得られなかった。
そこで、研究室保存の各種菌株について、アダマンタン変換活性菌のスクリーニングを行った。各種菌株を、表1組成の栄養培地(30 ml)を用いて28℃で1-3日間振盪培養し、菌が十分に生育したのを確認したのち、0.14% (w/v) (40.9 mg, 0.3 mmol)のアダマンタンを培地に添加してさらに20℃または28℃で5日間培養した。
菌体を遠心分離およびろ過で除去したのち、培養液を酢酸エチル15 mlで抽出した。該有機層について、表2に示した条件でガスクロマトグラフィー法により分析した。
研究室保存菌株(バクテリア163株、放線菌147株、カビ160株)を0.14% (w/v) (40.9 mg, 0.3 mmol)のアダマンタンを用いて培養反応(30 ml)によってスクリーニングした結果、アダマンタン変換活性菌として、放線菌で18株、カビで7株を見出した。しかしながら、バクテリアについては、この条件では活性菌は得られなかった。
アダマンタン変換活性菌によって変換された生成物は、ガスクロマトグラフィー分析の結果から、いずれもアダマンタノールに相当するものであった。得られたアダマンタン変換活性菌の中で、カビのDothiora phaeosperma CBS870.71や放線菌のStreptomyces griseoplanus GF122、Streptomyces sp. GF138、Streptomyces griseusはアダマンタンの水酸化活性が高く、高い位置選択性で1-アダマンタノールを生成した。また、Dothiora phaesperma CBS870.71、Streptomyces griseoplanus GF122では、わずかであるが2-アダマンタノールの生成も確認された。結果を表3に示す。
[実施例2]アダマンタノール変換活性菌反応生成物の確認
高いアダマンタン変換活性を示した放線菌S. griseus,S. griseoplanusおよびカビDothidea haeosermaについて反応生成物の構造決定を行った。
アダマンタン存在下において上記3株を28℃で5日間振盪培養し、酢酸エチルで抽出した。抽出物について、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを行った。シリカゲルクロマトグラフィーは、n-hexane : ethyl acetateを、順に 1:0, 8:1, 4:1, 0:1の割合で、1回の精製につき各200 mlずつ流して実施した。1-アダマンタノール、2-アダマンタノールは、いずれもn-hexane : ethyl acetate比を8:1としたときに溶出した。その後にガスクロマトグラフィーを行い精製・単離した。
得られた各アダマンタン変換生成物について、1H-NMR, 13C-NMRおよびEI-MS分析を行った。結果を図1、図2、図3および表4に示す。放線菌S. griseus、S. griseoplanusのアダマンタン変換生成物は、標準品の1−アダマンタノールと全く同じケミカルシフト及びマススペクトルを示したことから、1-アダマンタノールであると同定した。一方、Dothiora phaeospermaは、2種の生成物が観察され、1-アダマンタノール、2-アダマンタノールであると同定した。生成物中の1-アダマンタノール:2-アダマンタノール比は、9:1であった。
[実施例3]界面活性剤の添加効果の検討および培地の最適化
アダマンタンが水に不溶性であることから、反応液中のアダマンタンの溶解度を高めるために界面活性剤の添加を検討した。放線菌S. griseoplanusを栄養培地で2日間、28℃で培養し、その培地(30 ml)に非イオン系界面活性剤であるTween類は終濃度1% (w/v)で0.14% (w/v)のアダマンタンと同時に添加した。またBrij、デオキシコール酸、コール酸についてはいずれも終濃度0.2%(w/v)になるように添加した。
界面活性剤無添加の状態を100としたときの各種界面活性剤添加によるアダマンタン変換活性への効果を表5に示す。Tween 60、Tween 80の添加によってアダマンタンの変換活性が増加することが明らかになった。さらに、これらの界面活性剤の添加濃度を検討したところ、表6に示すように、Tween 60を終濃度3% (w/v)となるように添加したときに最もアダマンタンから1-アダマンタノールへの変換活性が増加した。また、S. griseoplanusについて培地を最適化し、72時間の培養反応(30 ml)を行った。界面活性剤のない培地でS. griseoplanusを前培養し、菌生育後にアダマンタンと同時にTween60を終濃度3%(v/v)となるよう添加した。その結果、変換率10%で1.0 mMの1-アダマンタノールが生成した。2-アダマンタノールの生成はごくわずかにすぎなかった。最適化した培地の組成を表7に示す。
S. griseus、S. griseoplanusによる反応生成物について行った13C-NMR分析結果を示す図である。 S. griseus、S. griseoplanusによる反応生成物について行ったEI-MS分析結果を示す図である。 Dothiora phaeosperma による反応生成物について行った13C-NMR分析結果を示す図である。

Claims (6)

  1. アダマンタンからアダマンタノールを製造するアダマンタノールの製造方法であって、ストレプトマイセス(Streptomyces)属、ドシオラ(Dothiora)属に属する微生物の菌体あるいはその処理物をアダマンタンに作用させる工程を含む、アダマンタノールの製造方法。
  2. ストレプトマイセス(Streptomyces)属に属する菌株がStreptomyces griseoplanusまたは Streptomyces sp.である、請求項1に記載のアダマンタノールの製造方法。
  3. ドシオラ(Dothiora)属に属する菌株がDothiora phaeospermaである、請求項1に記載のアダマンタノールの製造方法。
  4. 微生物の菌体あるいはその処理物をアダマンタンに作用させる工程において、該工程を界面活性剤存在下で行うことを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれかに記載のアダマンタノールの製造方法。
  5. 界面活性剤がTween60またはTween80である、請求項4に記載のアダマンタノールの製造方法。
  6. 受託番号FERM P-19655または受託番号FERM P-19656のいずれかで示されるアダマンタンからアダマンタノールを生成する微生物。
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