JP4370858B2 - 卵加工食品用油脂及び卵加工食品の製造法 - Google Patents

卵加工食品用油脂及び卵加工食品の製造法 Download PDF

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本発明は、卵加工食品、詳細にはオムレツ、オムライスの皮、スクランブルエッグ、親子丼の具などの卵加工食品を冷凍したものであって、湯煎などによる加熱解凍及び自然解凍後においても、作り立ての半熟様のソフトで滑らかな食感を保持する卵加工食品用油脂及び卵加工食品の製造法に関するものである。
卵を主原料とする加工食品には、スクランブルエッグ、オムレツ、卵焼き、親子丼などがあり、食生活において年齢層を問わず親しまれている。また近年これらの卵加工食品は開発が進み冷凍食品として市販されている。しかし、卵加工食品を冷凍後加熱解凍した場合、通常、卵中のタンパク質の変性や氷結晶の生成により組織が破壊されるなどの要因により保水性が失われ、スポンジ状になり、パサツクなど食感が低下する。さらに、スクランブルエッグなどは、半熟状のソフトな食感が好まれる傾向にあるが、流通するには殺菌など加熱条件の問題もあり、工業的に製造・流通されるのは困難な面があった。
こうした、問題点を解決する方法として、従来よりいくつかの方法が提案されている。離水の防止、つまり保水性の向上を目的としたものには、卵加工食品に加工澱粉を添加する方法や油脂、増粘剤、リン酸塩や乳化剤の添加がソフトな食感にする方法が知られている。また、増粘多糖類とオリゴ糖及び/ 又は糖アルコールを配合することにより離水や食感の低下を防止する方法(例えば、特許文献1を参照)が提案されている。また、食用油脂を水中油滴型乳化物として添加する方法(例えば、特許文献2を参照)などもある。
しかし、加工澱粉を利用すると、保水性は改善されるものの、澱粉の添加量が多くなると澱粉特有の食感(例えば、かまぼこ様の食感)が製品に出て、卵加工食品本来の食感や風味を損ねる問題が起こる。また、油脂を添加する方法では、焼成前の生地への油脂の分散が安定せず、また冷凍解凍後に離水と共にオイルオフが生じ、商品価値が低下する問題がある。一方、前記増粘多糖類、オリゴ糖、糖アルコールなどを特定の組み合わせで配合させる場合は、甘味が強くなり味覚の点で好ましくない。また、水中油滴型乳化物を添加する場合は、乳化物を製造する際に、ホモミキサーやホモジナイザーなど乳化物製造機を使用しなければならなく、作業性が劣る。さらに、いずれも冷凍後の加熱解凍及び自然解凍において、製造直後の卵のソフト感を保持できる効果として十分満足するに至らない。以上のような問題点から、冷凍後、解凍のために再加熱しても離水することなく、しかもソフトな食感を保持できる卵加工食品用油脂の開発が望まれていた。
特開平5−68746号公報 特開平7−39342号公報
従って、本発明の目的は、加熱解凍後及び自然解凍後においても、作りたての卵の柔らかく滑らかな食感を保持し、冷凍変性による食感の低下や風味の低下などが十分に抑制でき、且つ外観状の保形性を保持することができる卵加工食品用油脂及び卵加工食品の製造法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、液体油と中鎖飽和脂肪酸を含有する油脂、または中鎖飽和脂肪酸またはそのエステルをエステル交換反応して得られるエステル交換反応油であって、中鎖飽和脂肪酸基が油脂の全脂肪酸残基中5〜70モル%となるエステル交換反応油に特定の乳化剤を添加した卵加工食品用油脂を卵液に対して5〜30重量%と卵液を混合、攪拌した混合物を加熱調理した卵加工食品が冷凍・解凍時の品質低下を最小限に抑制し得ることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、液体油と中鎖飽和脂肪酸を含有する油脂、または中鎖飽和脂肪酸またはそのエステルをエステル交換反応し、中鎖飽和脂肪酸基が5〜70モル%となるエステル交換反応油に特定の乳化剤を添加した卵加工食品用油脂であって、卵液、卵液に対して5〜30重量%添加した卵加工食品用油を混合、攪拌した混合物を加熱調理した卵加工食品の製造である。
本発明の卵加工食品用油脂及び卵加工食品は、液体油と中鎖飽和脂肪酸を含有する油脂、または中鎖飽和脂肪酸またはそのエステルをエステル交換反応して、中鎖飽和脂肪酸基が油脂の全脂肪酸残基中5〜70モル%となるエステル交換反応油に乳化剤を添加した卵加工食品用油脂を卵液に対して5〜30重量%添加することによって、混合液中の乳化が安定となり、保水性を高め、液体の染み出しを抑制し、且つ冷凍時の油脂の結晶性がタンパク質の組織破壊を抑制し、加熱解凍、及び自然解凍後においても、作りたての卵のソフトで滑らかな食感を保持し、冷凍変性による食感の低下や風味の低下を抑制でき、且つ外観上の保形性にも優れた卵加工食品の製造が可能となるように優れた効果を奏する。
本発明において、卵加工食品は、例えば、スクランブルエッグ、オムレツ、オムライスの皮、茶碗蒸し、親子丼の具、カツ丼の具等で、卵液を加熱調理した食品であれば特に限定されない。本発明においては、卵液、卵加工食品用油脂を混合、攪拌した混合液を用い、この混合液に澱粉を卵加工食品の食感を損わない程度、例えば、混合液中に3重量%以下、好ましくは2.5重量%以下添加した方が、卵加工食品の保水性を向上させる傾向がある。
本発明で使用する澱粉類としては、例えば、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、とうもろこし澱粉、タピオカ澱粉などが例示される。この中でも、食感上、かまぼこ様食感を生じにくいタピオカ澱粉の使用が好ましい。
前記混合液には、卵液、卵加工食品用油脂、澱粉の他に、必要に応じて本発明の目的を損なわない範囲において他の材料を配合することもできる。例えば、だし汁、牛乳、クリーム、塩類、糖類、増粘剤などが挙げられる。
卵加工食品用油脂は、液体油と中鎖飽和脂肪酸を含有する油脂、または中鎖飽和脂肪酸またはそのエステルをエステル交換反応し、中鎖飽和脂肪酸基が5〜70モル%となるエステル交換反応油に乳化剤を添加したものである。液体油とは、常温(20℃)で液体状態(目視で清澄である)の油脂を言い、 中鎖飽和脂肪酸とは、炭素数4〜10、好ましくは4〜8の直鎖飽和脂肪酸を意味する。
卵加工食品用油脂は、大豆油、サフラワー油、ハイオレイックサフラワー油又はハイオレイックヒマワリ油、ナタネ油、カラシ油、マジツ油、又はオリーブ油の如き常温(20℃)で液体状態の油脂(特に不飽和度が高い(二重結合の数が2、及び3個有するもの:例えばリノール酸、リノレン酸)ものを含む液体油が好ましい。例えば、大豆油)と中鎖飽和脂肪酸を含有する油脂、または中鎖飽和脂肪酸又はそのエステルをエステル交換反応で中鎖飽和脂肪酸基が5〜70モル%となるエステル交換反応油に乳化剤を添加したものである。エステル交換反応は、1、3位脂肪酸と選択的な反応性を有するリパーゼを用いたエステル交換、ナトリウムメチラートなど金属触媒を用いたエステル交換等あるが、本発明においては、反応油の中鎖飽和脂肪酸基が5〜70モル%となるようエステル交換反応を行えばよく、エステル交換反応法には特に限定はない。
エステル交換反応を行って、反応油中に中鎖飽和脂肪酸基を導入することによって、当該油脂を冷凍下に置いた場合に、油脂の結晶を均一で微細にすることができ、これを用いて卵加工食品を製造したものを冷凍・解凍しても食感が損なわれることが少なく、油・水分の染み出しも抑制される。エステル交換反応油の中鎖飽和脂肪酸基が5モル%未満だと、上記した油脂の結晶を均一で微細にする効果に乏しく、また、不飽和酸が多くなるために酸化安定性の面からも好ましくない。一方、卵加工食品は、冷蔵乃至冷凍して保存する場合に、卵加工食品中の油脂の融点が高いと乳化状態が壊れ、冷凍解凍時等に水分や油脂を含めた液体成分の染み出しが生じる問題があるため、油脂の融点はできるだけ低い方が好ましいのであるが、エステル交換反応油の中鎖飽和脂肪酸基が70モル%を超えると、エステル交換反応油の融点が高くなってしまう。
また、卵加工食品用油脂に添加する乳化剤は、油脂に溶解分散しやすいHLBが2〜10、及び食塩や酸等の調味料を含む水相に比較的安定なO/Wエマルジョンとして維持することができるポリグリセリン脂肪酸エステルが好適である。その中でも、自己乳化能を有する不飽和ジグリセリン脂肪酸エステルが好ましい。
卵加工食品用油脂においては、ポリグリセリン脂肪酸エステルをエステル交換反応油に対して0.5〜10重量%、好ましくは1〜5重量%添加するのが良い。エステル交換反応油に対して0.5重量%未満の場合は、混合液中での油相と水相の分離が生じて、油脂単独を添加した場合と同様にオイルオフが起こりやすくなる。また、エステル交換反応油に対して10重量%を超える場合は風味低下を引き起こしやすい。
卵加工食品は、卵液、卵加工食品用油脂を混合、攪拌した混合物を加熱調理したものである。卵の使用量は、前述したスクランブルエッグ、茶碗蒸、親子丼の具等、使用量様々であるが、卵加工食品用油脂を、卵加工食品中の卵の重量に対して5〜30重量%添加する場合、原材料を混合した中に卵加工食品用油脂を添加し均一に分散させるか、原材料中の水や調味液と予め混合、乳化させた後、卵加工食品用油脂が所定量になるように添加しても良い。これにより、加熱調理後、滑らかでソフトな食感の冷凍卵加工食品となる。
また、混合液中の卵加工食品用油脂の含有量は、卵液に対して5〜30重量%である。卵加工食品用油脂の添加により、微細で安定な乳化状態を作り、氷結晶の形成、及び粗大化を抑制することが出来る。その結果、タンパク質の損傷や組織損傷による劣化と離水を抑制すると考えられる。卵に対して5重量%未満の場合、氷結晶の形成、及び粗大化の抑制が充分でなく、離水が生じやすい傾向にある。一方、卵に対して30重量%を超えると、冷凍卵加工食品の味が油っぽくなり、商品的価値が低減する傾向になる。
卵、卵加工食品用油脂を混合する際は、手攪拌の如く弱い攪拌で行うことができ、ホモゲナイザー等、乳化機器による強攪拌を必須としない。
本発明の卵加工食品は、常法に従い製造できる。例えば、スクランブルエッグは卵液、牛乳、油脂、澱粉、調味料を加え、均一に混合、攪拌し、加熱成型する。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、例中、%及び部は重量基準を意味する。
卵加工食品用油脂を以下のように作成した。
〔製造例1〕
大豆白絞油と中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)の95/5の混合油にリゾープスニベウス由来のリパーゼ(天野エンザイム製:「ニューラーゼ」)を常法により固定化して選択的にエステル交換反応を行った。このエステル交換反応油(中鎖飽和脂肪酸基:9モル%)100重量部に対してポリグリセリン脂肪酸エステルとしてジグリセリンモノオレート(理研ビタミン株式会社製:ポエムDO−100:HLB=8.0)1.2重量部を添加し溶解させ、油脂Aを作成した。
〔製造例2〕
製造例1と同様にエステル交換反応油100重量部に対してジグリセリンモノオレート(理研ビタミン株式会社製:ポエムDO−100:HLB=8.0)0.6重量部を添加し溶解させ、油脂Bを作成した。
〔製造例3〕
製造例1と同様にエステル交換反応油100重量部に対してジグリセリンモノオレート(理研ビタミン株式会社製:ポエムDO−100:HLB=8.0)9.0重量部を添加し溶解させ、油脂Cを作成した。
〔製造例4〕
製造例1と同様にエステル交換反応油100重量部に対してジグリセリンモノオレート(理研ビタミン株式会社製:ポエムDO−100:HLB=8.0)4.8重量部を添加し溶解させ、油脂Dを作成した。
〔製造例5〕
大豆白絞油と中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)の88/12の混合油にナトリウムメチラート(東ソー製:「ソジウムメチラート」)を0.3%添加してエステル交換反応を行った。このエステル交換反応油(中鎖飽和脂肪酸基:20モル%)100重量部に対してポリグリセリン脂肪酸エステルとしてジグリセリンモノオレート(理研ビタミン株式会社製:ポエムDO−100:HLB=8.0)1.2重量部を添加し溶解させ、油脂Eを作成した。
〔製造例6〕
大豆白絞油と中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)の95/5の混合油にリゾープスニベウス由来のリパーゼ(天野エンザイム製:「ニューラーゼ」)を常法により固定化して選択的にエステル交換反応を行い、油脂Fを作成した。
〔製造例7〕
大豆白絞油と中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)を95/5で混合し、油脂Gを作成した。
〔製造例8〕
油脂G100重量部に対してジグリセリンモノオレート(理研ビタミン株式会社製:ポエムDO−100:HLB=8.0)1.2重量部を添加し溶解させ、油脂Hを作成した。
Figure 0004370858
スクランブルエッグを次ぎのように作成した。油脂Aを用いて、表1のスクランブルエッグの配合をオールインミックスし、手攪拌して混合液を作り、フッ素系樹脂加工を施したフライパンに全量流しいれ、木ベラで鍋底をこそげとるように全体を手早くかき混ぜながら均一に熱が通るように3分間加熱した。その後、濡れ布きんの上にフライパンを移し、余熱のある間、混ぜ続け、あら熱が取れた段階で耐熱性ポリ袋に充填して、−40℃で急速冷凍した。これを、冷凍品Aとする。得られた冷凍品Aを75℃の湯煎で15分間再加熱し、専門パネラー5人により以下に示す官能評価を行った。食感評価として、柔らかさ、滑らかさについて5点満点で評価した。また、水分や油脂を含めた液体成分の染み出しの程度を目視で評価し、5点満点評価で数値化した。結果を表2に示す。
油脂Bを使用して実施例1と同様に冷凍スクランブルエッグ(冷凍品B)を作成し、各評価を行った。結果を表2に示す。
油脂Cを使用して実施例1と同様に冷凍スクランブルエッグ(冷凍品C)を作成し、各評価を行った。結果を表2に示す。
油脂Dを使用して実施例1と同様に冷凍スクランブルエッグ(冷凍品D)を作成し、各評価を行った。結果を表2に示す。
油脂Eを使用して実施例1と同様に冷凍スクランブルエッグ(冷凍品E)を作成し、各評価を行った。結果を表2に示す。
〔比較例1〕
油脂Fを使用して実施例1と同様に冷凍スクランブルエッグ(冷凍品F)を作成し、各評価を行った。結果を表2に示す。
〔比較例2〕
油脂Gを使用して実施例1と同様に冷凍スクランブルエッグ(冷凍品G)を作成し、各評価を行った。結果を表2に示す。
〔比較例3〕
油脂Hを使用して実施例1と同様に冷凍スクランブルエッグ(冷凍品H)を作成し、各評価を行った。結果を表2に示す。
〔比較例4〕
油脂Aの代わりに菜種白絞油を使用して実施例1と同様に冷凍スクランブルエッグ(冷凍品I)を作成し、各評価を行った。結果を表2に示す。
〔比較例5〕
油脂Aの代わりに中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)を使用して実施例1と同様に冷凍スクランブルエッグ(冷凍品J)を作成し、各評価を行った。結果を表2に示す。
〔比較例6〕
油脂を使用せず実施例1と同様に冷凍スクランブルエッグ(油脂無添加品)(冷凍品K)を作成し、各評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 0004370858
表2の結果の通り、実施例1〜5の冷凍品A〜Eは食感の柔らかさ、滑らかさ、及び水分や油脂を含めた液体成分の染み出しの程度が少なく概ね良好であった。また、ポリグリセリン脂肪酸エステルのHLBが2〜10のものについて、エステル交換反応油に対して1.2重量%添加して実施例1と同様に冷凍スクランブルエッグを作成し、評価したところ、実施例1と同等の評価を得た。
〔卵加工食品用油脂の結晶状態観察〕
油脂Aを完全融解し、シャーレに7g入れ、−15℃で5時間以上静置し、結晶の成長状態を目視で観察した。
油脂Dを完全融解し、シャーレに7g入れ、−15℃で5時間以上静置し、結晶の成長状態を目視で観察した。
油脂Eを完全融解し、シャーレに7g入れ、−15℃で5時間以上静置し、結晶の成長状態を目視で観察した。同時に比較例7〜10として、油脂F、G、Hと大豆白絞油についても観察した。結果を表3に示す。
Figure 0004370858
表3の結果の通り、−15℃において油脂の結晶性が異なることが観察された。実施例6、7、8は全体的に均一な細かい結晶となるが、比較例7〜10は全体に高融点成分の結晶が点在する。特に大豆白絞油は結晶が粗大である。実施例6(油脂A)、比較例7(油脂F)と比較例9(油脂H)の場合、液体油と中鎖飽和脂肪酸を含有する油脂の混合比率が同じで、乳化剤の添加の有無(油脂Aと油脂F)、エステル交換反応の有無(油脂Aと油脂H)の関係であるが、油脂A、油脂F、油脂Hの結晶成長状態を比較すると、乳化剤(ポリグリセリン脂肪酸エステル)を添加することで、油脂の結晶サイズを微細にする効果、及びエステル交換反応を行うことで、油脂の結晶サイズをより微細に均一する効果が見られる。冷凍食品の冷凍・解凍時のタンパク質の組織破壊並びに乳化破壊は氷結晶が一つの要因と考えられているが、表3の結果から、油脂の結晶成長状態が、卵加工食品の冷凍・解凍時における乳化破壊の要因の一つと推測する。
〔混合液の組織状態、及び染み出し率確認テスト〕
実施例1と同様の油脂Aを添加したスクランブルエッグの配合を用いて混合液を作成し、ゼリーカップに72g充填後シールした。その後、75℃の湯煎で45分間加熱して、卵加工食品を得た。これを、−30℃で1週間冷凍保存した。これを、冷凍品Lとする。冷凍品Lを75℃の湯煎で15分間再加熱し、組織の状態を観察した。また、液体成分の染み出し量として、20℃の室温にてカップより内容物を取り出し、濾紙の上に置き、15分後の内容物の重量を測定した。充填時の内容物との重量差から、染み出し率を計算した。結果を表4に示す。
実施例4の混合液をゼリーカップに充填する以外は実施例9と同様に冷凍した卵加工食品(冷凍品M)を作成し、組織状態の観察と染み出し率を計算した。結果を表4に示す。
〔比較例11〕
比較例1の混合液をゼリーカップに充填する以外は実施例9と同様に冷凍卵加工食品(冷凍品N)を作成し、組織状態の観察と染み出し率を計算した。結果を表4に示す。
〔比較例12〕
比較例2の混合液をゼリーカップに充填する以外は実施例9と同様に冷凍卵加工食品(冷凍品O)を作成し、組織状態の観察と染み出し率を計算した。結果を表4に示す。
〔比較例13〕
比較例4の混合液をゼリーカップに充填する以外は実施例9と同様に冷凍卵加工食品(冷凍品P)を製造し、組織状態の観察と染み出し率を計算した。結果を表4に示す。
〔比較例14〕
比較例6の卵混合液をゼリーカップに充填する以外は実施例9と同様に冷凍卵加工食品(冷凍品Q)を製造し、組織状態の観察と染み出し率を計算した。結果を表4に示す。
Figure 0004370858
表4の結果の通り、実施例9及び10の染み出し率は低く、特に比較例13、14に比べると半分以下であり、染み出し抑制効果が非常に良好であった。更に組織の状態は、実施例9、10はキメが細かく整い、冷凍前と同様な状態であった。しかし、比較例11〜14は組織が荒れたり、オイルオフが激しい状態であった。

Claims (2)

  1. 液体油と中鎖飽和脂肪酸を含有する油脂、または中鎖飽和脂肪酸またはそのエステルをエステル交換反応して得られるエステル交換反応油であって、中鎖飽和脂肪酸基が油脂の全脂肪酸残基中5〜70モル%となるエステル交換反応油にHLBが2〜10のポリグリセリン脂肪酸エステルを0.5〜10重量%添加してなる卵加工食品用油脂を卵液に対して5〜30重量%添加し混合、攪拌した混合液を加熱調理して得られる卵加工食品の製造法。
  2. 混合液中に澱粉を3重量%以下添加する請求項記載の卵加工食品の製造法。
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