JP4370683B2 - そう痒疾患の検査方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、そう痒に対するオピオイドの関与を検査する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
痒み(そう痒)は、皮膚特有の感覚で、炎症を伴う様々な皮膚疾患に多く見られるが、ある種の内科系疾患(悪性腫瘍、糖尿病、肝疾患、腎不全、血液透析、腹膜透析、痛風、甲状腺疾患、血液疾患、鉄欠乏)や妊娠、寄生虫感染が原因となる場合や、ときには薬剤性や心因性で起きることもある。痒みは主観的な感覚であるため数量的に客観的に評価することが難しく、痒みの発現メカニズムはまだ十分に解明されていない。
【0003】
そう痒の治療には、内服剤として抗ヒスタミン薬、抗アレルギ−薬などが主に用いられ、また外用剤としては、抗ヒスタミン薬、副腎皮質ステロイド外用剤、非ステロイド系抗消炎剤、カンフル、メント−ル、フェノ−ル、サリチル酸、タ−ル、クロタミトン、カプサイシン、保湿剤(尿素、ヒルドイド、ワセリンなど)が用いられる。これらの治療薬のうち、特に十分な治療効果として認められているのは、蕁麻疹に対する抗ヒスタミン薬であり、これ以外は必ずしも治療効果が十分ではない場合が多い(宮地良樹著、かゆみQ&A、p.20、1997、医学ジャーナル社)。この理由として、従来痒みの主な原因はヒスタミンを代表とする炎症性メディエーターであると考えられ、これを拮抗する抗ヒスタミン薬と抗アレルギー薬がそう痒の治療薬として開発されてきたことが挙げられる。
【0004】
現在のところ、痒みを引き起こす刺激物質としては、ヒスタミン、セロトニン、サブスタンスP、ブラジキニン、プロテイナ−ゼ、プロスタグランジン、オピオイドペプチドなどが知られている。痒みという知覚は、これらの痒み刺激物質が表皮−真皮境界部に存在するC繊維から成る多刺激対応性の神経終末(痒み受容器)に作用し、生じたインパルスが求心性のC繊維に伝達され、脊髄視床路→視床→大脳皮質に達することで起こると考えられている(宮地良樹著、皮膚そう痒治療へのアプロ−チ、p.22、1996、先端医学社)。
【0005】
一方、オピオイドも痒みに関与することが知られていた。例えば、β−エンドルフィンやエンケファリンのような内因性オピオイドペプチドが痒みを起こすことが報告された(B.FjellerActa,Dermato−Venereol.,61(suppl.97),1−34,1981)のを始めとして、モルヒネやオピオイド化合物を硬膜外や髄腔内に投与した場合も副作用として痒みが惹起されることが明らかとなった(J.H.Jaffe and W.R.Martin,Goodman and Gilman´s Pharmacological Basis of Therapeutics,Macmillan,New York,1985)。その一方で、モルヒネの髄腔内投与によって惹起された痒みがモルヒネ拮抗薬であるナロキソンによって抑制されたこと(J.Bernstein et al.,J.Invest.Dermatol.,78,82−83,1982)や肝障害の胆汁鬱滞患者でエンケファリンの上昇によって惹起されたと強く示唆される強い痒みが、オピオイド拮抗薬であるナルメフェンによって抑制されたこと(J.R.Thornton and M.S.Losowsky,Br.Med.J.,297,1501−1504,1988)も明らかとなり、統一的見解として、オピオイド作動性物質は痒みを惹起する作用があり、逆にその拮抗剤には止痒作用があるとされた。また最近でも、アトピ−性皮膚炎の小児の血清中のβエンドルフィン濃度が健常児のそれより有意に高いことが見いだされ、オピオイド拮抗薬がアトピ−性皮膚炎の痒みに有効であろうことが報告された(S.Georgala et al.,J.Dermatol.Sci.,8,125−128,1994)。
【0006】
以上のことから、痒みはヒスタミンを主体とするケミカルメディエーターが原因になっている場合とオピオイド(モルヒネやβエンドルフィン等のμ(ミュー)オピオイド受容体作動薬またはμオピオイドペプチド)が原因になっている場合が考えられている(高森建二、皮膚科診療プラクティス6:アトピー性皮膚炎、p79、1999、文光堂)。
【0007】
オピオイド受容体には、μ、κ(カッパ)、δ(デルタ)、ORL−1(ノシセプチン)受容体の存在が知られており、それぞれを選択的に刺激する内因性オピオイドペプチドが既に発見されている。例えば、μおよびδ受容体作動性の内因性オピオイドペプチドとしてはそれぞれβエンドルフィンとエンケファリン、κ受容体作動性の内因性オピオイドペプチドとしてはダイノルフィン、ORL−1受容体作動性の内因性ペプチドとしてはノシセプチンが挙げられる。このうち、上述の通りβエンドルフィンが痒みを誘発する可能性のあるオピオイドペプチドとして知られている。一方、最近κオピオイド作動薬が痒みを抑制することが示され(国際公開98/23290)、κ受容体作動性の内因性ペプチドは痒みを抑制する可能性がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述の通り、痒みの原因としてヒスタミンを主体とするケミカルメディエーターやオピオイドが考えられており、原因によって当然治療法は異なってくるべきであるが、従来、痒みの原因に応じて適切な治療法を選択するための方法は見いだされていない。本発明は、そう痒疾患のうちでオピオイドが関与する病態を明らかにし、適切な治療を実施するための検査方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
痒みの病態にオピオイドが関与している場合、痒みを誘発する可能性のあるμオピオイド系(μオピオイドペプチドやμオピオイド受容体の発現)が、痒みを抑制する可能性のあるκオピオイド系(κオピオイドペプチドやκオピオイド受容体の発現)よりも亢進していることが推測される。本発明者らは、血球、体液、または組織中のオピオイドの濃度またはオピオイド受容体発現程度を測定し、特にμ作動性物質がκオピオイド作動性物質よりも優位であること、あるいはμオピオイド受容体がκオピオイド受容体よりも優位であることを検証することにより、オピオイドと痒みとの関連を明らかにできるとの概念に基づき、鋭意検討した結果、本発明を完成した。
【0010】
すなわち本発明は、血球、体液、または組織中の複数のオピオイドペプチドの濃度を測定し、濃度比を求めることによってそう痒に対するオピオイドの関与を判定することを特徴とするそう痒疾患の検査方法である。また本発明は、血球、体液、または組織中の複数のオピオイド受容体の発現程度を測定し、その発現程度を比較することによってそう痒に対するオピオイドの関与を判定することを特徴とするそう痒疾患の検査方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明は、血球、体液、または組織中の複数のオピオイドペプチドの濃度を測定し、濃度比を求めること、あるいは複数のオピオイド受容体の発現程度を測定し、その発現程度を比較することによってそう痒に対するオピオイドの関与を判定することを特徴とし、採取した血球、体液、または組織中のμ、κ、δ、ORL−1の各受容体作動性の内因性ペプチド濃度または各オピオイド受容体の発現程度を測定することにより、そう痒に対するオピオイドの関与を判定することからなる。
【0012】
オピオイドペプチド濃度やオピオイド受容体の発現程度の測定には、白血球、赤血球等の各種血球成分、血漿、唾液、汗、髄腔内液等の体液や、皮膚や口腔粘膜等比較的容易に採取可能な組織、バイオプシーや手術摘出標本として得られる組織等、採取可能な組織はいずれも用いることができる。中でも、オピオイドペプチド濃度の測定には被験者から採血された血漿を用いるのが好ましく、オピオイド受容体の発現程度の測定には、末梢血単核細胞を用いるのが好ましい。
【0013】
測定の対象となるオピオイドペプチドは、μ受容体作動性の内因性ペプチドとしてβエンドルフィン、エンドモルフィン−1、エンドモルフィン−2、δ受容体作動性の内因性ペプチドとしてロイシンエンケファリン、メチオニンエンケファリン、κ受容体作動性の内因性ペプチドとしてダイノルフィンA、ダイノルフィンB、ダイノルフィン関連ペプチド、ORL−1受容体作動性の内因性ペプチドとしてノシセプチンを例示することができる。この他にもこれら上述した受容体に作用を示す内因性ペプチドが知られている。例えばエンドルフィン関連ペプチドとしてαエンドルフィン、γエンドルフィン、ダイノルフィン関連ペプチドとしてαネオエンドルフィン、βネオエンドルフィン、リモルフィン、更にカゼイン蛋白の分解したカゾモルフィン等が挙げられる。これらの中でも、μ受容体作動性の内因性オピオイドペプチドおよびκ受容体作動性の内因性オピオイドペプチドの濃度を測定することが好ましく、βエンドルフィンおよびダイノルフィンAの濃度を測定することがより好ましい。
【0014】
体液中のオピオイドペプチド濃度の測定には、ラジオイムノアッセイ法(RIA)、酵素免疫学的測定法(エンザイムイムノアッセイ:EIA)、クロマトグラフィー法などが用いられる。また血球や組織中のオピオイドペプチド濃度は、血球や組織中から抽出して上記の測定法で測定するか、または血球や組織中のTotal RNAやmRNAを抽出し、RT−PCR法(逆転写ポリメラーゼ連鎖反応法)などの分子生物学的方法によりペプチド分子の発現状況を測定することでも可能である。ラジオイムノアッセイ法、酵素免疫学的測定法、クロマトグラフィー法、RT−PCR法などは、通常の方法により行うことができる。
【0015】
オピオイド受容体の発現程度は、μオピオイド受容体およびκオピオイド受容体の発現程度を測定することが好ましい。
【0016】
オピオイド受容体の発現程度の測定は、標本中のTotal RNAまたはmRNAを抽出し、RT−PCR法(逆転写ポリメラーゼ連鎖反応法)などの分子生物学的方法で行うのが好ましいが、それ以外にも受容体に対する抗体を用いた免疫化学的手法、さらには標識された各受容体のリガンドによる受容体結合試験法などにより、受容体分子の発現程度を測定することが可能である。例えばRT−PCR法による測定では、電気泳動により得られるバンドの強さを指標に、受容体の発現程度をスコア化して求めることができる。RT−PCR法、受容体に対する抗体を用いた免疫化学的手法、受容体結合試験法などは通常の方法により行うことができる。
【0017】
なお、オピオイドペプチド濃度、オピオイド受容体の発現程度の測定法は、実質的にオピオイド受容体の発現を定性的または定量的に測定できる方法であればよく、上記の方法に限定されるものではない。
【0018】
これらの測定結果から、痒みのある症例において、そう痒に対するオピオイドの関与を判断するため、各種オピオイドペプチド濃度の比を求めたり、各種オピオイド受容体の発現程度を比較して、血球、体液、または組織中のμ作動性オピオイドペプチドがκ作動性オピオイドペプチドよりも優位であることや、μオピオイド受容体の発現程度がκオピオイド受容体よりも優位であることを検証することが可能である。具体的には、血漿中のμ作動性オピオイドペプチド濃度が健康成人よりも高値であることや、κ作動性オピオイドペプチド濃度とμ作動性オピオイドペプチド濃度を比較した場合、健康成人に比べてμ作動性オピオイドペプチド濃度が相対的に高くなっていること、組織中のμ作動性オピオイドペプチドの発現量とκ作動性オピオイドペプチドの発現量を比較した場合、健康成人に比べてμ作動性オピオイドペプチドの発現量が相対的に高くなっていること、などが判断の指標となる。一方、オピオイド受容体については、健康成人に比べて血球成分や組織中のμ受容体の発現程度がκ受容体の発現程度よりも相対的に高くなっていることなどが判断の指標となる。さらには、血球、体液、または組織中の内因性オピオイドペプチドの濃度や濃度比と、血球、体液、または組織におけるオピオイド受容体の発現程度を総合的に考慮して判断することができる。
【0019】
なお、δオピオイド作動性のエンケファリンやδオピオイド受容体、またノシセプチンやORL−1(ノシセプチン)受容体も痒みに関与している可能性があり、これらを上記のように測定して、判定の参考にすることもできる。
【0020】
痒みの病態にオピオイド系が大きく関与していると判定された場合には、例えばμオピオイド受容体の拮抗薬の投与や、βエンドルフィン等のμ作動性オピオイドペプチドの合成抑制等の処置、またはκオピオイド作動薬の投与等、痒みを抑制する治療法を施行することができる。例えば実施例2に示すように、痒みにオピオイドが関与していると判断された患者に対して、国際公開98/23290記載のκオピオイド作動薬である17−シクロプロピルメチル−3,14β−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシ−6β−[N−メチル−トランス−3−(3−フリル)アクリルアミド]モルヒナンを投与することによって、明らかな止痒効果を得ることができる。
【0021】
本発明の対象となるそう痒疾患は、そう痒を有する疾患であれば特に限定されないが、例えばアトピ−性皮膚炎、神経性皮膚炎、接触皮膚炎、脂漏性皮膚炎、自己感作性皮膚炎、毛虫皮膚炎、皮脂欠乏症、老人性皮膚そう痒、虫刺症、光線過敏症、蕁麻疹、痒疹、疱疹、膿痂疹、湿疹、白癬、苔癬、乾癬、疥癬、尋常性座瘡などの皮膚疾患、悪性腫瘍、糖尿病、肝疾患、腎不全、血液透析、腹膜透析などの内科系疾患、妊娠に伴うそう痒などが挙げられ、中でも腎不全に伴うそう痒の検査に有効である。
【0022】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。
【0023】
【実施例】
実施例1
ヒト・オピオイド受容体の発現解析系の作製
(1) ヒト・オピオイドμ受容体プライマーの作製
T. K. Chuang, L. Yu et al.; Biochem. Biophis. Res. Comm.,216, 922-930 (1995)に従い、表1に示す塩基配列を有するプライマーpMA1、pMA2、pMA3、pMA4を合成して作製した。図1にPCRでのプライマーの組み合わせおよび増幅DNAのサイズを示した。
【0024】
【表1】
Figure 0004370683
(2) ヒト・オピオイドκ受容体プライマーの作製
C. Gaveriaux, B. Kieffer et al.; FEBS Lett.,369, 272-276 (1995)、L.F. Chuang, L. Yu et al.; Biochem. Biophis. Res. Comm.,209, 1003-1010 (1995)に従い、表2に示す塩基配列を有するプライマーpKA1、pKB1、pKA2、pKB2を合成して作製した。図2にPCRでのプライマーの組み合わせおよび増幅DNAのサイズを示した。
【0025】
【表2】
Figure 0004370683
(3)ヒト・オピオイドμ, κ受容体の発現解析系の作製
a.対照細胞の培養
陽性対照細胞として、ヒトμ受容体安定発現細胞(Mu/CHO)およびヒトκ受容体安定発現細胞(Kappa/CHO)を常法に従い作製した。一方、陰性対照細胞は、発現ベクターpCR3のみで形質転換したCHO細胞((−)/CHO)を作製した。上記細胞はいずれも10%(v/v)牛胎児血清(Biological Industries)、核酸含有最少必須培地α(α−MEM)(GIBCO、BRL)で5%CO2存在下37℃ で培養した。
b.細胞の回収
約80%コンフレントの細胞を 生理的リン酸緩衝液(-)(PhosphateBuffered Saline:PBS(-))(日水製薬(株))で一旦洗浄し、セルスクレーパーを用いて培養容器から剥がし、PBS(-) 懸濁後、冷却遠沈(3000rpm,5分間)し、回収した。
c.Total RNAの抽出、RT−PCRおよび増幅DNAの解析
各々の細胞からR−Kit(住友金属)を用い、AGPC法によりTotalRNAを抽出し、比色定量を行った。1μg total RNAを鋳型とし、100pmolのランダムプライマー、逆転写(RT)酵素SuperScriptII(GIBCO BRL)で37℃、2時間反応(反応液容量20μL)させcDNAを作製した。本cDNA(先のRT反応溶液 1μL)を鋳型として200μM dNTP、1.25U AmpliTaq(Perkin Elmer)(1:1でTaq start抗体(Clonetech)と反応 )、各種プライマー30pmolでPCRを行った(反応液容量50μL)。なおPCRに使用した緩衝液は、AmpliTaq添付の10xbufferを用いた。また、PCRはホットスタート法で行い、サイクル数やアニーリング温度などは様々に変えて行った。増幅したDNAは定法に従ってアガロース電気泳動にて解析した。
【0026】
まずRT反応における至適RNA量の検討を兼ね、陽性対照Mu/CHOまたはKappa/CHOからTotal RNAを抽出しRT−PCRを行った。PCRの条件はpMA1/pMA4、pKA1/pKA2のプライマーの組み合わせでは、熱変性反応95度・30秒間/アニーリング反応65度・30秒間/伸展反応72度・30秒間のサイクル反応を30サイクルで、pMA2/pMA3、pKB1/pKB2のプライマーの組み合わせでは、熱変性反応95度・30秒間/アニーリング反応55度・30秒間/伸展反応72度・30秒間のサイクル反応を30サイクルで行った。図3に示す通り、いずれの反応でもDNAの増幅により目的とするサイズのDNAがシングルバンドとして観察され、陽性対照での各々の受容体の発現を解析できることが確認された。なお、RNA量を変えてもバンドの濃さに違いは無かったため、鋳型toal RNA量は通常用いられる量である1μgで行うこととした。なお上記したRT−PCR反応で陰性対照 (−)/CHOのRNAを鋳型とした時は何らDNAの増幅は認められなかった。
【0027】
実施例2
オピオイドペプチドの測定によるそう痒の診断と治療
(1) ヒト血漿中のオピオイドペプチドの測定によるそう痒の診断
健康成人および定期的に維持透析を受けている血液透析患者37名から提供された末梢血を血漿と血球に分離し、血中オピオイド濃度(βエンドルフィン、ロイシンエンケファリン、ダイノルフィンA)とそれらの受容体の発現程度、ならびに痒みに関与すると考えられる血中因子(ヒスタミン、セロトニン、インタクトPTH、好酸球塩基性蛋白)を測定した。血中オピオイドの測定は米国Peninsula Laboratories社のRIAキットを用いた。ヒスタミンは蛍光法、セロトニンはHPLC法、インタクトPTHはIRMA法、好酸球塩基性蛋白はRIA法で測定した。対照群としては健常成人12名の末梢血を用いた。
【0028】
その結果、維持透析患者で痒みのない患者(n=19)、中等度痒みのある患者(n=8)、強度痒みのある患者(n=10)の血中βエンドルフィン(μ受容体作動性物質)濃度は、順に23、28、29pg/mLであり、痒みの程度と相関した。ダイノルフィンA(κ受容体作動性物質)濃度は健常成人の12pg/mLに比較し、透析患者では低下していた。βエンドルフィン:ダイノルフィンA比は、健常成人、痒みなし、中等度痒み、強度痒みの患者の順に、2.2、2.5、2.8、3.6と増加した。すなわち、痒みが強いほどβエンドルフィン:ダイノルフィンA比は増加する傾向を示した。一方、他の痒み関連因子との相関性は認められなかった。
(2)ヒト末梢血リンパ球上のオピオイド受容体発現程度の測定
健康成人ならびに血液透析患者の末梢血を常法にてEDTA採血し、3000rpm、4℃、5分間遠心し、血漿部分を除いた。残った血球部分をPBSで約2倍に希釈し、予め15mLの遠沈管に入れた4mLのSeparate−L(MUTO Pure Chemicals Co.,Ltd)に静かに重層した。その後1000rpm〜1200rpm、20℃、30〜40分間遠心し、層になった末梢血単核細胞分画(PBMC)を分離した。PBMCはPBSで2回遠心洗浄しサンプルとした。PBMCからAGPC法によってTotal RNAを抽出し、1μg total RNAを鋳型とし、RT反応をおこないcDNAを作製した。本cDNAを鋳型としてμおよびκオピオイド受容体の各プライマーとともにPCRを行った。DNAの増幅は、様々な条件検討を重ね最良の結果の得られるプライマーセット、PCR条件で行った。具体的にはμ受容体についてはpMA1とpMA4のプライマーの組み合わせで、κ受容体についてはpKA1とpKA2のプライマーセットで、PCRの条件は94度5分間の反応(ホットスタート法)の後、熱変性反応95度・30秒間/アニーリング反応68度(μ受容体)または54度(κ受容体)・30秒間/伸展反応72度・30秒間のサイクル反応を35サイクルで行った。増幅されたDNAはアガロース電気泳動にて解析した。得られた電気泳動バンドの強さから、強発現、弱発現、発現なしをそれぞれ+、±、−と判定した。μおよびκオピオイド受容体の発現程度をそれぞれの被験者個人で比べると、表3の通りとなり、健康成人ではκ受容体の発現が優位であるのに対し、痒みのある患者ではμ受容体とκ受容体の発現が同等であり、μ受容体の発現が相対的に高くなっていた。
【0029】
【表3】
Figure 0004370683
(3)κオピオイド作動薬による痒みの治療
上記(1)と(2)で、既存の抗ヒスタミン薬および抗アレルギー薬が無効で常時強い痒みを訴える集団から4名の患者を選び、κオピオイド作動薬である17−シクロプロピルメチル−3,14β−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシ−6β−[N−メチル−トランス−3−(3−フリル)アクリルアミド]モルヒナン塩酸塩カプセル(10μg/body)を1カプセル服用させた。患者全員において、服薬用後2時間目から痒みが軽減し、止痒効果は24時間目まで持続した。痒みの程度を定量化するために用いたVAS(visual analogue scale:0−100mmの直線上で痒みの程度を測定する。「0」を痒みなし、「100」を考えられる最大の痒みとする)では、4名の平均値で、投薬前が75mmであったのに対し、投薬後4〜24時間目では0mmになった。
【0030】
以上のことから、慢性腎不全や血液透析患者で問題となっている難治性の痒みにはオピオイド系が関与していることが診断として観察され、これに基づいて、止痒効果を有すると考えられているκオピオイド作動薬の投与により、痒み治療が可能となることが示された。
【0031】
したがって、本発明はそう痒の治療法を選択するのに有用な検査方法とすることができる。
【0032】
【発明の効果】
本発明の検査方法により、そう痒疾患に対するオピオイドの関与を判定し、オピオイド系の止痒薬による治療が適当か否かを判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ヒトμ受容体遺伝子をPCRにより増幅したときのプライマーの組み合わせと得られる増幅DNAのサイズを表す。
【図2】ヒトκ受容体遺伝子をPCRにより増幅したときのプライマーの組み合わせと得られる増幅DNAのサイズを表す。
【図3】陽性対照細胞Mu/CHOまたはKappa/CHOの各プライマーセットによるRT−PCRでのDNAの増幅 を表す。

Claims (5)

  1. 血球、体液、または組織中のμオピオイドペプチド濃度およびκオピオイドペプチド濃度を測定し、それらの濃度比を求めることによってそう痒に対するオピオイドの関与を判定することを特徴とするそう痒疾患の検査方法。
  2. 濃度を測定するμオピオイドペプチドがβエンドルフィンであり、κオピオイドペプチドがダイノルフィンAである請求項1記載の方法。
  3. 血球、体液、または組織中のμオピオイド受容体およびκオピオイド受容体の発現程度を測定し、それらの発現程度を比較することによってそう痒に対するオピオイドの関与を判定することを特徴とするそう痒疾患の検査方法。
  4. そう痒疾患が悪性腫瘍、糖尿病、肝疾患、腎不全、血液透析、腹膜透析、痛風、甲状腺疾患、血液疾患、鉄欠乏、皮膚疾患、妊娠、寄生虫感染のいずれかに伴うそう痒である請求項1からのいずれかに記載の方法。
  5. そう痒疾患が薬剤性または心因性のそう痒である請求項1からのいずれかに記載の方法。
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