JP4668501B2 - 胎盤ヒトニューロキニンb前駆体 - Google Patents
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Description
妊娠の最も捕らえどころが無くかつ複雑な症状である妊娠誘発性高血圧(PIH)および子癇前症は、定義および管理するのが非常に困難であった。子癇前症は、西側諸国において、今でも最も一般的でかつ生命に関わる妊娠合併症の1つである。子癇前症の兆候および症状はいつも一連の症状として現れるため、主な原因を解明するのは困難であった。従って、一般的に、母体の高血圧および蛋白尿の特徴を示す症候群として定義されているが、母体の肝臓、凝固、および神経系等に関連する広範囲の合併症を含む(Henriksen, T., (1998) Scand. J. Rheumatol. Suppl. 107 86-91)。子癇前症の臨床的問題は、通常、妊娠後期においてのみ明白になり、妊娠の最初の3ヶ月の間に出現すると考えられている。胎盤組織が母体の子宮に存在する場合にのみ子癇前症が現れることは明らかであろう。実際、子宮が異常胎盤組織のみを有する胞状奇胎の症状が子癇前症と共に表れる(Nugent, C.E, et al (1966) Obstet. Gynecol. 87 829-31)。妊娠の経過の間に子癇前症が診断され、分娩の間に胎盤組織が外科的に除去または追い出されると、症状は最終的に消える。胎盤/子宮脈管系の乏しい発達から母体と胎児との間の免疫不適合まで広範囲にわたる、子癇前症の原因についての多くの示唆が示されている。それら理論はいくつかの物質を示唆するが、それら物質はその症候群の全身的効果を説明するものではない。多くの症状は、高血圧の二次的影響の結果であり、その症候群の直接的原因ではないと思われる。従って、PIHまたは子癇前症の早期検出は、高血圧、ならびに例えば痙攣、血液凝固問題(blot clotting problems)等の子癇前症に関連する他の合併症の特異的治療を含む、予防手段をとることを可能とする大きな利点を有する。
子癇前症を有する妊婦において現れる胎盤損傷および高血圧は、成長遅延および胎児仮死等の胎児合併症の危険性の上昇に関連すると考えられている。極端な場合、それは流産の原因となる。他の研究において、子癇前症は、胎児成長遅延への母体および胎児の順応と仮定されている。胎児成長遅延を有する全ての妊婦が子癇前症を発症するわけではないので、決定的因子は母体の反応である(Walker, J. (2000) The Lancet 356 1260-1265)。その順応の特徴は、子癇前症のみならず、胎児成長遅延および流産にも存在する。例えば、母体血漿量の正常な増加の失敗は、障害のある胎児成長および子癇前症の両方に関連する(Gulmezoglu AM, Hofmeyr GJ (2000) Cochrane Database Syst Rev 2 CD000167)。例えば血栓嗜好症等の子癇前症において観察される問題は、異常な胎盤における血栓性病変の結果であることが示唆されている(Mousa HA, Alfirevicl Z (2000) Hum Reprod 151830-3)。従って、子癇前症と胎児成長遅延および胎児仮死は関連し、子癇前症の診断法および治療が、それら胎児症状の予測、診断および/または治療にも適合し得ることは明らかである。
ニューロキニンB(NKB)はタキキニンと称されるペプチドファミリーに属し、そのファミリーの中で最初に公知となりかつ最も良く知られているのが1931年に発見されたサブスタンスPである(von Euler, U.S. and Gaddum, J.H. (1931) J Physiol 72: 74-87)。タキキニンファミリーの他の2つのメンバーの発見はさらに50年後であり、その一方はサブスタンスKすなわちニューロキニンA(Kimura, S., et al (1983) Proc. Japan Acad 59B 101-104)であり、もう一方はニューロキニンKであり、現在ニューロキニンBとして知られている(Kangawa, K., et al (1983) Biochem. Biophys. Res. Commun. 114 533-540)。タキキニンは、平滑筋収縮から、血管拡張、疼痛伝達、神経性炎症、免疫系の活性化までの広範囲な生物学的作用に関連している(Longmore, J., et al., (1997) Canadian J. Physio. & Pharmacol. 75 612-621)。ニューロキニンBは、腸間膜血管床の血管収縮(D’Orleans-Juste, P. et al (1991). Eur. J. Pharmacol. 204 329-334)および肝門脈の収縮(Mastrangelo, D., et al (1987) Eur J Pharmacol. 134, 321-6)の両方を生じさせる最も強力なニューロキニンであることが分かっている。また、ニューロキニンBは、ファミリーの中でNK3受容体で作用する最も強力なメンバーであり、サブスタンスPおよびKは心拍数を下げるが、NK3受容体アゴニストはイヌの冠動脈血液供給中に灌流させた場合に心拍数を高める反対の効果を有する(Thompson, G.W. et al (1998) American Journal of Physiology-Regulatory Integrative and Comparative Physiology 275 (5), 1683-1689)。動物モデルにおいて、ニューロキニンBのモルモットへの静脈注射が用量依存的な高血圧をもたらすことが示されており、高レベルのニューロキニンBアゴニストが動物に不快感をもたらした(Roccon, A., et al (1996) Brit. J. Pharmacol. 118 1095-1102)。同様の実験が、ラットにおけるニューロキニンBの静脈注入によって血圧が上昇することを示している(Page et al., (2000) Nature 405 797-800)。ニューロキニンBは実験動物から採取した任意の末梢組織において正確には認められていない;例えばMoussaouiらは、非常に高感度でかつ特異的な測定系を用いて広範囲の末梢組織を調べて、ニューロキニンBの形跡を全く見つけることができなかった(Neuroscience (1992) 48, 967-978)。
プロセシングによって他の哺乳類(ウシ、ブタ、ラット、およびマウス)のニューロキニンBと同一のペプチドを生じさせるヒトニューロキニンB前駆体が同定された(Incyte Pharmaceuticals Inc., 国際特許出願第WO98/57986号)。驚くべきことに、そのニューロキニンB前駆体は、妊娠の間、胎盤組織によって産生され、さらにニューロキニンBおよび前駆体の断片が母体の血流中に入ることを我々は発見した。
正常な妊娠において、出産間近に実質的レベル(例えば100ピコモル程度)のニューロキニンBが母体血流中において認められるが、それ以前にはゼロまたは非常に低レベルであることを我々は見出した。しかしながら、時には、妊娠初期(例えばたった9週間後)に出産間近のレベルが特定されており、さらに妊娠誘発高血圧または子癇前症の場合、非常に高い(ナノモル)濃度のニューロキニンBが、出産間近の母体の血漿において認められる。従って、ニューロキニンB、ニューロキニンB前駆体またはその分解産物、あるいはそれらの変異体の初期における上昇した血漿レベルの検出は、高血圧または子癇前症の発症の指標を提供し、さらにそれら症状の将来の重篤性の指標をも提供するであろう。さらには、循環ニューロキニンBレベルの低下(またはその効果の低下)は、それら症状において認められる母体に対する不都合な効果を改善するであろう。子癇前症と、胎児成長遅延および/または胎児仮死等の胎児合併症との間の関連性の結果として、ニューロキニンBアゴニストまたはアンタゴニストはそれら症状を改善するのに有用であろう。また、ヒトニューロキニンB前駆体の過剰産生は、妊娠していない個体での特定の高血圧症状の要因となり得る(ニューロキニンBの効果、または前駆体の他の1つ以上の分解産物の効果の何れかを介して)。
発明の概要
本発明の第1の態様において、例えば血液等の生体試料中のヒトニューロキニンB前駆体遺伝子産物あるいはその変異体または断片の濃度を評価することによって、ヒト被検者での妊娠誘発性高血圧を予測する方法を提供する。
本発明の第2の態様において、例えば血液等の生体試料中のヒトニューロキニンB前駆体遺伝子産物あるいはその変異体または断片の濃度を評価することによって、ヒト被検者での子癇前症または関連する胎児合併症を予測する方法を提供する。
本発明の第3の態様において、例えば血液等の生体試料中のヒトニューロキニンB前駆体遺伝子産物あるいはその変異体または断片の濃度を評価することによって、ヒト被検者での妊娠誘発性高血圧を診断する方法を提供する。
本発明の第4の態様において、例えば血液等の生体試料中のヒトニューロキニンB前駆体遺伝子産物あるいはその変異体または断片の濃度を評価することによって、ヒト被検者での子癇前症または関連する胎児合併症を診断する方法を提供する。
好ましくは、第1、第2、第3、または第4の態様の方法は、例えば血液等の生体試料中のニューロキニンBの濃度を評価することを含む。
本発明の第5の態様において、例えば血液等の生体試料中のヒトニューロキニンB前駆体遺伝子産物あるいはその変異体または断片の濃度を評価し、さらにその結果を妊娠誘発性高血圧の予測される将来の重篤性と関連付けることによって、ヒト被検者における妊娠誘発性高血圧の将来の程度を予測する方法を提供する。
本発明の第6の態様において、例えば血液等の生体試料中のヒトニューロキニンB前駆体遺伝子産物あるいはその変異体または断片の濃度を評価し、さらにその結果を子癇前症または関連する胎児合併症の予測される将来の重篤性と関連付けることによって、ヒト被検者における子癇前症または関連する胎児合併症の将来の程度を予測する方法を提供する。
好ましくは、第5および第6の態様の方法は、例えば血液等の生体試料中におけるヒトニューロキニンBの濃度を評価し、さらにその結果をそれぞれ妊娠誘発性高血圧あるいは子癇前症または関連する胎児合併症の予測される将来の重篤性と関連付けることを含む。
本発明の第7の態様において、ニューロキニンBの生物学的効果を阻害する物質を投与することによって、ヒト被検者での妊娠誘発性高血圧を予防または治療する方法を提供する。
本発明の第8の態様において、ニューロキニンBの生物学的効果を阻害する物質を投与することによって、ヒト被検者での子癇前症または関連する胎児合併症を予防または治療する方法を提供する。
本発明の第9の態様において、妊娠誘発性高血圧の予測または診断で用いるための診断薬の製造における、ヒトニューロキニンB前駆体遺伝子産物あるいはその変異体または断片の使用を提供する。
本発明の第10の態様において、子癇前症または関連する胎児合併症の予測または診断で用いるための診断薬の製造における、ヒトニューロキニンB前駆体遺伝子産物あるいはその変異体または断片の使用を提供する。
好ましくは、第9および第10の態様は、ヒトニューロキニンB前駆体のエピトープ変異体またはエピトープ断片の使用を含む。より好ましくは、本方法は、妊娠誘発性高血圧あるいは子癇前症または関連する胎児合併症の予測または診断で用いるための診断薬の製造におけるニューロキニンBの使用を含む。
本発明の第11の態様において、妊娠誘発性高血圧の予防または治療のための薬剤の製造における、ニューロキニンBの生物学的効果を阻害する物質の使用を提供する。
本発明の第12の態様において、子癇前症または関連する胎児合併症の予防または治療のための薬剤の製造における、ニューロキニンBの生物学的効果を阻害する物質の使用を提供する。
第11および第12の態様の好ましい実施形態において、妊娠誘発性高血圧あるいは子癇前症または関連する胎児合併症の予防または治療において使用するための、ニューロキニンBの生物学的効果を阻害する物質を含む薬剤組成物を提供する。
本発明の第13の態様において、ニューロキニンB前駆体遺伝子産物あるいはその変異体または断片に対する例えば抗体等の結合パートナーを含む、妊娠誘発性高血圧の予測または診断のためのキットを提供する。
本発明の第14の態様において、ニューロキニンB前駆体遺伝子産物あるいはその変異体または断片に対する例えば抗体等の結合パートナーを含む、子癇前症または関連する胎児合併症の予測または診断のためのキットを提供する。
本発明の第15の態様において、生体試料中のニューロキニンBのレベルを予測する測定法を実施し、さらにその測定結果を妊娠誘発性高血圧の予測される将来の発症と関連付けるための使用説明書と共に、ニューロキニンB前駆体遺伝子産物あるいはその変異体または断片に対する例えば抗体等の結合パートナーを含む、妊娠誘発性高血圧の予測または診断のためのキットを提供する。
本発明の第16の態様において、生体試料中のニューロキニンBのレベルを予測する測定法を実施し、さらにその測定結果を子癇前症または関連する胎児合併症の予測される将来の発症と関連付けるための使用説明書と共に、ニューロキニンB前駆体遺伝子産物あるいはその変異体または断片に対する例えば抗体等の結合パートナーを含む、子癇前症または関連する胎児合併症の予測または診断のためのキットを提供する。
本発明の第17の態様において、生体試料中のニューロキニンBのレベルを予測する測定法を実施し、さらにその測定結果を妊娠誘発性高血圧の予測される将来の重篤性と関連付けるための使用説明書と共に、ニューロキニンB前駆体遺伝子産物あるいはその変異体または断片に対する例えば抗体等の結合パートナーを含む、妊娠誘発性高血圧の将来の程度の評価において使用するためのキットを提供する。
本発明の第18の態様において、生体試料中のニューロキニンBのレベルを予測する測定法を実施し、さらにその測定結果を子癇前症または関連する胎児合併症の予測される将来の重篤性と関連付けるための使用説明書と共に、ニューロキニンB前駆体遺伝子産物あるいはその変異体または断片に対する例えば抗体等の結合パートナーを含む、子癇前症または関連する胎児合併症の将来の程度の評価において使用するためのキットを提供する。
好ましくは、本発明の第13の態様から第18の態様までのキットは、ニューロキニンB前駆体、ニューロキニンB、あるいはそれらのエピトープ変異体またはエピトープ断片に対する例えば抗体等の結合パートナーを含む。さらに好ましくは、本キットは、図1または2のポリペプチド配列、あるいはそのエピトープ変異体またはエピトープ断片に対する結合パートナーを含む。
本発明の第19の態様において、低血圧の場合に血液容量を減らすための薬剤の調製におけるニューロキニンBアゴニストまたはニューロキニンBの使用を提供する。
本発明の第20の態様において、低血圧の場合に血液容量を減らすためのニューロキニンBアゴニストまたはニューロキニンBの使用を提供する。
本発明の第21の態様において、毒素発生物質の含有量を減らすようにヒト被検者の食事を調整することを含む、ヒト被検者での子癇前症を改善する方法を提供する。
本発明の第22の態様において、門脈中の潜在的毒素の濃度を減らすようにヒト被検者の食事パターンを調整することを含む、ヒト被検者での子癇前症を改善する方法を提供する。
本発明の第23の態様において、毒素発生物質の量を減らすことによる、ヒト被検者での子癇前症を改善するための食事方法を提供する。
図面の簡単な説明
図1は、クローン化ヒトニューロキニンB前駆体のポリペプチド配列を示す(登録番号aaf76980で利用可能)。
図2は、活性ニューロキニンBペプチドのポリペプチド配列を示す。
図3は、ヒトニューロキニンB前駆体の胎盤cDNAのポリヌクレオチド配列を示す:ATGは開始コドンであり;TAGは終止コドンであり;AATAAAはポリアデニル酸シグナルであり;AAAAAはポリAテイルであり;さらにGGCACAGAGCTGCTCCACAGGCACCは、ウシクローンに類似の、完全遺伝子を増幅するために用いられるニューロキニンB前駆体(登録番号08858)の人類cDNAクローン138761(登録番号R63635)に基づくPCRプライマーである。
図4は、27928塩基対プロモーター領域、イントロン、および7つのエキソン(下線)を含む、ニューロキニンBのゲノム配列を示す。
図5は、9週、13週、および妊娠満期に採取したmRNAを用いた、完全ヒトニューロキニンB前駆体の半定量的PCRの結果を示す。733bp完全長のニューロキニンB前駆体cDNAを増幅するため、9週、13週、および妊娠満期(T)に採取したmRNAを用いて逆転写PCRを実施した。β−アクチンのためのプライマーを対照(257bp)として用いた。M1は1kbのDNAラダーを示し;M2は100bpのDNAラダーを示す。
図6は、ヒト妊娠血漿およびヒト妊娠満期胎盤における酸化ニューロキニンBおよび還元ニューロキニンBの結果を示す。胎盤抽出物中に、相当量(妊娠初期において21pg g-1、妊娠満期において25pg g-1)のペプチドが存在していることが示され、そのクロマトグラフィーの挙動は、合成NKBのものに一致した。抽出の間における胎盤NKBの部分的酸化は、2つのメチオニン残基の一方または両方が酸化された、3つの酸化形態の産生をもたらした(aは血漿、bは胎盤での結果)。得られたメチオニンスルホキシドは疎水性の低下をもたらし、従って、還元形態より先に溶出した。その溶出パターンは、過酸化水素による合成NKBの部分的酸化によってもたらされたパターンに一致した。過酸化水素による完全酸化は、全てのNKBの第1ピーク位置での溶出をもたらした。同様の溶出パターンが、妊娠満期の胎盤試料(b)からのNKB抽出後においても観察された。
図7は、意識のあるラットにおけるニューロキニンBの心血管効果を示す。意識のある抑制されていないメスラットにおける、生理食塩水または漸増用量のNKBの注入の間における血圧および心拍数の変化を示す。0分から1.8nmolh-1(kg当たり)、16時間から18nmolh-1(kg当たり)、さらに20時間から180nmolh-1(kg当たり)の用量でNKBを注入した。値は平均値±s.e.で示す。*は基線およびt=20時間での値との有意差を示す(Friedman’s test)。
図8は、ヒトおよびラットの胎盤におけるニューロキニンB mRNAのin situハイブリダイゼーションを示す。aはヒトアンチセンスプローブを用いた妊娠満期(39週)のヒト胎盤、bはヒトセンスプローブを用いた妊娠満期(39週)のヒト胎盤、cはラットアンチセンスプローブを用いた18日目のラット胎盤、dはニューロキニンBを発現するラット胎盤の巨細胞を高倍率で示したものである。倍率は、a=10倍、b=10倍、c=16倍、d=40倍である。
発明の詳細な説明
本発明は、部分的に、発達中の胎盤による母体血流へのニューロキニンBの早期のおよび/または過剰な放出が妊娠誘発性高血圧および子癇前症の原因となり得ることの発見に基づく。特に、妊娠誘発性高血圧または子癇前症に罹りやすい人が、妊娠の約10週から12週において、母体血流中のニューロキニンレベルの僅かな上昇を有することが前提とされる。例えば10週から12週またはそれ以前のような妊娠初期におけるニューロキニンBの監視は、個体が妊娠後期に妊娠誘発性高血圧または子癇前症に罹りやすいか否か、および例えば胎児成長遅延、胎児仮死、または流産等の子癇前症に関連する胎児合併症に罹りやすいか否かを予測するのに有用である。例えば18週のような妊娠10週から12週より後でのニューロキニンBレベルの測定は、その予測を確認し、さらに妊娠誘発性高血圧あるいは子癇前症または関連する胎児合併症の診断を行うことを可能とする。さらには、妊娠誘発性高血圧または子癇前症の最初の予測の後のニューロキニンBレベルの上昇レベルが将来の症状の重篤性に相関することが観察された。特に、ニューロキニンBの上昇の程度と将来の症状の重篤性との間に関連性が存在することが示された。それら所見を、将来の症状の重篤性の予測において用いることができる。また、ヒトニューロキニンB前駆体の他のプロセシング断片もそれら症状の発症に関連するであろう。さらには、ニューロキニンBおよび/またはヒトニューロキニンB前駆体の他の断片の産生が、妊娠していない個体における高血圧の発症に関連するであろう。
本発明において、胎児合併症は、子癇前症に関連する任意の胎児症状を含む。特に、胎児合併症は、胎児成長遅延、胎児仮死、満期前出産、および重症例では流産を含む。
本発明の目的において、ニューロキニンB前駆体遺伝子産物は、ニューロキニンB前駆体またはニューロキニンBをコードするポリヌクレオチド配列、ならびにニューロキニンB前駆体ポリペプチドを含む。ポリヌクレオチド配列は、例えば図3または4記載の配列のようなゲノム配列またはcDNA配列、およびRNA、好ましくはmRNAを含む。好ましくは、ニューロキニンB前駆体ポリペプチドは、図1記載の配列を有する。ニューロキニンB前駆体遺伝子産物の断片は、前駆体遺伝子産物から派生した断片であり、ニューロキニンBをコードするポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列を含む。好ましくは、前駆体から派生したニューロキニンBペプチドは図2の配列を有する。エピトープ断片またはエピトープ変異体は、通常、抗体が結合できる部位を構成する少なくとも4残基のアミノ酸配列を含むものである。好ましいエピトープ断片は図1のアミノ酸配列DMHDである。
ニューロキニン前駆体遺伝子産物の変異体も含まれる。好ましくは、変異体は、ニューロキニン前駆体遺伝子産物またはその断片と80%以上、90%以上、95%以上、98%以上、さらに最も好ましくは99%以上の配列同一性を有し、好ましくは遺伝子産物またはその断片と同じ生物活性を保持する。
当業界で公知の「同一性%」は、配列間の比較によって特定される、2つのポリペプチド配列間または2つのポリヌクレオチド配列間の関連性の指標である。通常、比較される2つの配列を、それら配列間に最大の相関性をもたらすように整列させる。2つの配列の整列を検討し、2つの配列間の正確なアミノ酸またはヌクレオチドの一致をもたらす位置の数を特定し、その整列の全長によって割り、さらに100を乗じて同一性%をもたらす。比較される配列の全長に亘り同一性%を特定して差し支えなく、それは同じかまたは非常に類似する長さの配列で高い相同性を有する場合に特に適しており、あるいはより短い特定の長さに亘り同一性%を特定しても差し支えなく、それは等しくない長さの配列または低い相同性レベルを有する場合により適している。
2つ以上の配列の同一性の比較方法は、当業界で周知である。従って、例えば、Wisconsin Sequence Analysis Package, version 9.1 (Devereux J et al, Nucleic Acids Res. 12: 387-395, 1984, Genetics Computer Group, Maidson, Wisconsin, USAから購入可能)において利用可能なプログラム、例えばBESTFITおよびGAPを用いて、2つのポリヌクレオチド間の同一性%および2つのポリペプチド配列間の同一性%を特定することができる。BESTFITはSmithおよびWatermanの「局部的相同性」アルゴリズムを用い(Advances in Applied Mathematics, 2: 482-489, 1981)、2つの配列間で最も類似する単一領域を見つける。BESTFITは、異なる長さの2つのポリヌクレオチドまたは2つのポリペプチド配列を比較するのにより適しており、より短い配列がより長い配列の一部を表すとみなすプログラムである。一方、Gapは、NeddlemanおよびWunschのアルゴリズム(J. Mol. Biol. 48: 443-354, 1970)に基づいて、「最大類似性」を見つけるように2つの配列を並べる。GAPは、ほぼ同じ長さの配列を比較するのにより適しており、その整列は全長に亘り予測される。好ましくは、各プログラムで用いられるパラメーター「ギャップウェイト(Gap Weight)および「長さウェイト(Length Weight)」は、それぞれ、ポリヌクレオチド配列に関して50と3であり、ポリペプチド配列に関して12と4である。好ましくは、比較される2つの配列が最適に整列された時に同一性%および類似性を特定する。
例えば、プログラムのBLASTファミリー(Altschul S.F. et al, J. Mol. Biol., 215: 403-410, 1990, Altschul S.F. et al, Nucleic Acids Res., 25: 289-3402, 1997, 米国メリーランド州ベテスダの全米バイオテクノロジー情報センター(NCBI)から利用可能であり、さらにNCBIのホームページwww.ncbi.nlm.nih.govを介してアクセス可能である)、およびFASTA(Pearson W.R. and Lipman D.J., Proc. Nat. Acad. Sci., USA, 85: 2444-2448, 1988, ウィスコンシン配列分析パッケージの一部として利用可能である)のような、配列間の同一性および/または類似性を特定する他のプログラムも当業界で公知である。好ましくは、BLOSUM62アミノ酸置換マトリックス(Henikoff S. and Henikoff J.G., Proc. Nat. Acad. Sci., USA, 89: 10915-10919, 1992)がポリペプチド配列比較において用いられ、その際、比較前にヌクレオチド配列がまずアミノ酸配列に翻訳される。
好ましくはBESTFITプログラムを用いて、本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列に関して、照会ポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列の同一性%を特定する。照会および参照配列を最適に整列させ、さらにプログラムのパラメーターを初期値に設定する。
本発明の第1、第2、第3、および第4の態様は、ヒト被検者における妊娠誘発性高血圧あるいは子癇前症または関連する胎児合併症を予測または診断する方法に関する。それら方法は、例えば血液等の生体試料中のヒトニューロキニンB前駆体遺伝子産物あるいはその変異体または断片の濃度を評価することを含む。それら方法は、好ましくは、試料中のヒトニューロキニンB遺伝子産物(例えばニューロキニンBまたはその前駆体)の濃度の評価結果を、予測値または以前に被検者において認められた値と比較することを含む。
好ましくは、例えば予測のため10−12週、あるいは診断のため18週のような、妊娠初期においてそれら方法を実施する。
それら方法は、当業者に利用可能なニューロキニンB遺伝子産物を測定する任意の手段を含む。好ましくは、その方法は本発明のキットを用いる。本発明の方法は、生体試料中のニューロキニンB mRNA、ニューロキニンBまたはその前駆体、あるいはそれらの変異体または断片の存在を特定する工程を少なくとも含む;しかしながら、追加の工程を含んでいて差し支えない。そのような追加の工程として、1つ以上の以下の工程が挙げられる:生体試料を採取する;生体試料を調製する;試料中の、例えばポリペプチドのような標的ニューロキニンB遺伝子産物の濃度を測定する;妊娠していない個体、あるいは同じまたは異なる妊娠段階の妊娠している個体での標的ニューロキニンB遺伝子産物の期待濃度を予測するための標準曲線を作成する;特定生体試料から得られた結果を、適当な期待値または適当な標準曲線と比較して、症状の重篤性を特定する;あるいは症状の重篤性が変化するか否かを特定するために後日に以前のいくつかのまたは全ての工程を繰り返す。
キットに基づいて検出する適切な方法は当業者に明らかであり、ラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素免疫測定法(ELISA)、イムノラジオメトリックアッセイ(IRMA)、アンチセンス技術、あるいはラジオレセプターアッセイ(RRA)を含む。後者の場合、検出システムまたはバイオセンサーシステムにおいて、例えばNK3受容体または他のニューロキニンB結合パートナーを用いることができる。別の検出法として、放射分析法、ならびに例えば蛍光および発光のような非放射性の方法も挙げられる。
好ましい方法はラジオイムノアッセイであり、その方法は、少量の放射能標識ペプチド(例えばニューロキニンB)と、限定量の例えば抗体のような結合パートナー(例えばNKB特異的)との相互作用に基づく。標準ペプチドの量の増加による放射能標識ペプチドの置換を、未知の試料による置換と比較する。通常、結合パートナーを沈ませた後遠心する沈殿工程を用いて、結合パートナーに結合した標識を、遊離した標識と分離することによって置換をモニターするが、遊離の標識画分に結合しその後遠心によって除去することができる吸着剤(例えば活性炭)もある。IRMAは、1サイト(1 site)であっても2サイト(two site)であっても差し支えなく、過剰な例えば放射能標識抗体のような特異的結合パートナーを用いる。2サイト法では、ペプチド上の別のエピトープに特異的な第2の特異的結合パートナー(通常固相に結合している)を用いる。固相上の複合体の除去によって容易に分離することができる。RRAは、限定量の受容体で抗体を置換する点において、RIAに類似する。受容体調製物は、例えば遠心によって結合標識の洗浄および分離を実施できるように、膜調製物の形態であることが多い。イムノメトリックアッセイにおいて、信号部分としての酵素の使用は、通常、特異的抗体に対する酵素の架橋結合によって達成され、マウスモノクロナール抗体が最初の反応において用いられた場合には、例えば酵素に対して架橋結合したブタ抗マウス抗体が使用される。
妊娠誘発性高血圧あるいは子癇前症または関連する胎児合併症の将来の程度を予測するのに上記の方法を用いても差し支えない。それら方法は、好ましくは、試料中のヒトニューロキニンB遺伝子産物(例えばニューロキニンBまたはその前駆体)の濃度の評価の結果を、期待値と比較することを含む。例えば18週後のような、妊娠10週以降は、ヒトニューロキニンB遺伝子産物の存在(および濃度)を評価するのに特に有益な時期である。
本発明の方法は、体から取り出した試料においてインビトロで実施するのが好ましい。任意の生体試料を本発明の方法において用いて差し支えない。好ましい生体試料として、血液、唾液、または尿が挙げられる。
また、本発明は、ニューロキニンBの生物学的効果を阻害する物質を投与することによる、ヒト被検者における妊娠誘発性高血圧あるいは子癇前症または関連する胎児合併症を予防または治療する方法を提供する。好ましくは、本発明のキットを用いてそのような方法を実施する。ニューロキニンBの生物学的効果を阻害する物質として、例えば血漿からニューロキニンBを除去することによって;ニューロキニンBが受容体に結合するのを妨げるようにその構造を変化させることによって;ニューロキニンBの受容体への結合をブロックするように受容体に直接結合することによって(それ自体は、ニューロキニンBによって通常生じるそれら受容体での効果を生じることなく);同じまたは異なる受容体においてニューロキニンBとは逆の効果を及ぼすことによって;あるいは例えばニューロキニンB遺伝子プロモーターの活性を調節することによっておよび/またはアンチセンス技術を用いることによって遺伝子発現または翻訳を低下させまたは妨げることによって;作用する任意の物質が挙げられる。前駆体の産生またはプロセシングを阻害してニューロキニンの産生を妨げる物質も含まれる。その背景内で、ニューロキニンBの生物学的効果を阻害する物質は、妊娠誘発性高血圧あるいは子癇前症または関連する胎児合併症の発症に関連するヒトニューロキニンBまたはその前駆体の任意の変異体または断片の生物学的効果を阻害する物質を含む。ヒトニューロキニンBの作用の主要部位はNK3受容体であり、従って本発明において用いるためのニューロキニンBの生物学的効果を阻害する好ましい物質としてNK3受容体アンタゴニストが挙げられる。しかしながら、特に妊娠誘発性高血圧または子癇前症の被検者で出産間近に観察される高い循環濃度において、ニューロキニンBは他の受容体(例えばNK1またはNK2受容体)でも顕著な効果を有し、従って、本発明において用いるためのニューロキニンBの生物学的効果を阻害する物質は、そのような他の特異的受容体でのニューロキニンBの効果を阻害する物質、ならびに広範囲のニューロキニンアンタゴニストおよびそれらの組合せも含む。
1991年から、多くの高親和性非ペプチドアンタゴニストが報告されている。Snider R. M.(Science, 251: 435 (1991))およびGarret C.(Proc. Natl. Acad. Sci., 88: 10208(1991))らは、それぞれ、CP-96,345およびRP67580をNK1受容体でのアンタゴニストとして記載しており、一方、Advenier C.(Brit. J. Pharmacol., 105:78 (1992))らはSR 48968に基づくデータを示し、NK2受容体に対するその高親和性および選択性を示した。さらに最近、Macleod(J. Med. Chem., 36: 2044 (1993))らは、新規な一連のトリプトファン誘導体をNK1受容体アンタゴニストとして発表した。最近、NK1受容体に対して高親和性を有する「ジペプチド」FK888が記載されている(Fujii J., et al., Neuropeptide, 22: 24 (1992))。
本発明において使用するための適切なNK3受容体アンタゴニストとして、例えば、GaoおよびPeet(Current Medicinal Chemistry, 1999, 6, 375-388)、KhavagaおよびRogers(Int. J. Biochem Cell Biol. 1996, 28, 7, 721-738)、米国特許第5,942,523号、米国特許第5,846,973号、米国特許第5,491,140号、米国特許第5,328,927号、米国特許第5,360,820号、米国特許第5,344,830号、米国特許5,331,089号、米国特許第4,742,156号、米国特許第4,665,157号、欧州特許第591,040 A、国際特許出願第WO94/01402号、国際特許出願第WO94/04494号、国際特許出願第93/011609号、カナダ特許出願第2,154,116号、欧州特許第693,489号、およびカナダ特許出願第2,151,116号に記載されている物質のような、NK3受容体においてニューロキニンBの効果をブロックまたは低下させる全ての物質が挙げられる。適切なアンタゴニストの特定実施例として、受容体選択的リガンド、SR 142801(Edmonds-Alt, et al., Life Sciences, 56: 27 (1995))、および以下の化学式のデカペプチド:A1-D-Pro2-His3-D4-Phe5-D-Trp6-Val7-D-Trp8-Leu9-Nle10-NH2(A1およびD4はAspまたはD-Aspアミノ酸である)が挙げられる。
ニューロキニンBの生物学的効果を阻害するための好ましい物質として、ニューロキニンB前駆体遺伝子プロモーターの活性を調節し、それによってニューロキニンB前駆体遺伝子の転写レベルを変化させる物質が挙げられる。そのような物質の例として、ニューロキニンB前駆体遺伝子プロモーター転写因子の競合的または非競合的アンタゴニスト、ニューロキニンB前駆体遺伝子プロモーター転写因子の生物学的効果を阻害する物質、ニューロキニンB前駆体遺伝子プロモーター阻害剤のアゴニスト、ならびにニューロキニンB前駆体遺伝子プロモーター活性に結合しかつそれを阻害するポリヌクレオチド配列が挙げられる。そのようなポリヌクレオチドは、好ましくはインビボでプロモーター配列にハイブリダイズしてプロモーター活性を阻害するように、プロモーター配列の全体または一部に十分相補的であることが好ましい。適切なポリヌクレオチド配列は、プロモーターの全体または一部と、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、97%以上、98%以上、および好ましくは99%以上の配列同一性を有する配列である。好ましくは、ポリヌクレオチド配列は、例えば転写因子結合部位のようなプロモーターの調節領域に相補的であろう。
物質がポリヌクレオチド配列である場合、ベクターの形態で投与するのが好ましい。ベクターは、例えば、応答要素を含むプロモーター、コンセンサス部位、メチル化部位、遺伝子坐制御領域、転写後修飾、スプライス変異体、ホメオボックス、誘導因子、DNA結合ドメイン、エンハンサー配列、開始コドン、およびポリA配列のような、ポリヌクレオチド配列の発現の活性化のための1つ以上の調節配列をさらに含んでいて差し支えない。当業者に公知である任意の適切な遺伝子治療技術によってそのような物質を投与して差し支えない。
例えば経口または非経口的経路のような任意の有効な経路によって、薬剤組成物の投与を実施する。非経口輸送の方法として、局所的、動脈内、皮下、脊髄内、静脈内、または鼻腔内投与が挙げられる。羊水穿刺関連技術によって投与しても差し支えない。経口投与に続く皮下注射は好ましい取り込み経路であり;持続性固定技術も用いられるであろう。胎盤NKBの効果は末梢受容体におけるものであるため、中枢神経系に対する副作用の無い有効な薬剤は、ペプチド様の分布特性を有することが好ましい。活性材料に加えて、それら薬剤組成物は、賦形剤、および活性化合物の薬剤的に用いることができる調製物への加工を容易にする他の化合物を含む、薬剤的に許容される適当な担体を含んでいて差し支えない。製剤化および投与に関するより詳細な技術は、「REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES」(Maack Publishing Co, Easton PA)の最新版に記載されている。
経口投与用の薬剤組成物は、当業界で周知な薬剤的に許容される担体を用いて、経口投与に適した用量に製剤化することができる。そのような担体は、患者による摂取に適した、例えば錠剤、丸薬、糖衣錠、カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液等に、薬剤組成物を製剤化することを可能とする。
固形賦形剤と活性化合物とを混合し、必要に応じて得られた混合物を粉砕し、さらに必要であれば適当量の追加の化合物を添加した後、その顆粒混合物を加工して、錠剤または糖衣錠のコアを得ることによって、経口投与用の薬剤調製物を作成することができる。適当な賦形剤は、炭水化物またはタンパク質の賦形剤である。そのような賦形剤は、ラクトース、スクロース、マンニトール、またはソルビトール等の糖に限定されず、トウモロコシ、小麦、米、ジャガイモまたは他の植物からのデンプン;例えばメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル−セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムのようなセルロース;アラビアゴムおよびトラガカントのようなゴム;ならびにゼラチンおよびコラーゲンのようなタンパク質を含む。必要な場合には、架橋結合ポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸、あるいは例えばアルギン酸ナトリウム等のそれらの塩のような、崩壊剤または可溶化剤を添加しても差し支えない。
糖衣錠のコアは、例えば濃縮糖溶液のような適切な被覆を用いて提供され、そのような濃縮糖溶液は、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポール(carbopol)ゲル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、ならびに適切な有機溶媒または有機溶媒混合物を含んでいても差し支えない。製品の識別、または活性化合物の量(例えば用量)の特徴付けのため、染料または色素を錠剤または糖衣錠の被覆に添加しても差し支えない。
経口で用いることができる薬剤調製物として、ゼラチンからなるプッシュフィット(push-fit)カプセル、ならびにゼラチンおよび例えばグリセロールまたはソリビトール等の被覆からなるソフトシールカプセル(soft, sealed capsules)等が挙げられる。プッシュフィットカプセルは、例えばラクトースまたはデンプンのような賦形剤または結合剤、例えばタルクまたはステアリン酸マグネシウムのような滑剤、さらに必要に応じて安定化剤と、活性材料とを混合して含んでいて差し支えない。ソフトカプセルにおいて、安定化剤と共にまたは安定化剤無しに、例えば脂肪油、流動パラフィン、または液体ポリエチレングリコールのような適切な液体中に、活性化合物を溶解または懸濁させて差し支えない。
非経口投与用の製剤は、活性化合物の水溶液を含む。注射用に、本発明の薬剤組成物を、水溶液、好ましくはハンクス液、リンガー液、または緩衝生理食塩水のような生理適合緩衝液中に製剤化して差し支えない。水溶性注射懸濁液は例えばカルボキシメチルセルロース、ソルビトール、またはデキストラン等の懸濁液の粘性を高める物質を含んでいて差し支えない。さらには、活性化合物の懸濁液を適切な油性注射懸濁液として調製しても差し支えない。適切な親油性溶媒または媒体として、例えばゴマ油等の脂肪油、あるいはオレイン酸エチルまたはトリグリセライド等の合成脂肪酸エステル、あるいはリポソーム等が挙げられる。必要に応じて、懸濁液は、化合物の安定性を高めて高濃度溶液の調製を可能とする、適切な安定化剤または物質を含んでいて差し支えない。
局所投与または鼻腔投与のため、浸透すべき特定のバリアに適した浸透剤を製剤化において用いる。そのような浸透剤は当業界で公知である。
本発明の薬剤組成物は、当業界で公知である方法に類似の方法で製造することができる(例えば、従来の混合、溶解、顆粒化、糖衣錠形成、すり潰し、乳化、カプセル化、封入、凍結乾燥工程によって)。例えば被覆のような従来手段によって、例えば徐放性または標的化された放出のような適切な放出特性をもたらすように薬剤組成物を修飾しても差し支えない。
薬剤組成物を塩として提供して差し支えなく、塩化水素に限定されず、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸等の多くの酸を用いてそれら塩を形成することができる。塩は、対応する遊離塩基の形態の水溶液または他のプロトン溶媒中に溶解しやすい傾向がある。他の例では、好ましい調製物は、pH4.5から5.5の1mM−50mMヒスチジン、0.1%−2%スクロース、2%−7%マンニトール中での凍結乾燥粉末であって差し支えなく、そのような調製物は使用前に緩衝液と混合される。
選択された標的部位にのみ輸送されるように、本発明において用いるための物質(例えばNK3受容体アンタゴニスト)を修飾することができる。例えば、内蔵でのタンパク質分解消化に対する安定性、または血液/脳関門を通過する能力を調節することによって、あるいは例えば標的部位に選択的な抗体等のターゲティング成分を含む複合分子を作成することによって修飾することができる。
許容される担体中に製剤化された本発明の化合物を含む薬剤組成物を調製した後、それら組成物を適切な容器中に置き、さらに指示条件での取り扱いのためのラベルを付ける。NK3受容体アンタゴニストの投与のため、そのようなラベルは、投与の量、頻度、および方法を含む。
本発明での使用に適した薬剤組成物として、意図した目的を達成するのに有効な量の活性材料が含まれている組成物が挙げられる。従って、治療的有効量とは、治療される疾患の症状を改善するのに十分な量である。実際に投与される量は、治療が施される個体に依存し、さらに好ましくは、顕著な副作用無しに所望の効果を達成するように最適化された量であろう。治療的有効量の決定は、当業者の能力の範囲内である。もちろん、熟練者は、分割量および部分量も本願発明の範囲内であることに気付くであろう。
任意の化合物に関して、まず、細胞培養法または任意の適当な動物モデル(例えば子癇前症に関して霊長類、高血圧に関してラットおよびモルモット、さらに誘発性高血圧および誘発性子癇前症に関する用途のため他の実験小動物)の何れかにおいて治療的有効量を評価することができる。それら測定法は、受容体活性、ならびに下流のプロセシング活性を考慮すべきである。望ましい投与濃度範囲および投与経路を見つけるためにも動物モデルが用いられる。そのような情報はヒトでの投与のための有用な用量および経路を決定するために用いることができる。
治療的有効量とは、兆候または症状を改善する物質の量を称する。標準的な薬学的方法によって、培養細胞または実験動物においてそのような化合物の治療効果と毒性を決定することができる(例えばED50:集団の50%において治療的に有効な量;LD50:集団の50%において致死的である量)。治療効果と毒性効果との間の用量比が治療指数であり、LD50/ED50の比として表すことができる。大きな治療指数を表す薬剤組成物が好ましい。ヒトでの使用のための用量範囲を決めるのに、細胞培養法および動物実験から得られたデータが用いられる。そのような化合物の用量は、好ましくは、殆どまたは全く毒性の無いED50を含む循環濃度の範囲内にある。用量は、用いられた剤形、患者の感受性、および投与経路に依存して、その範囲内で変化する。
正確な用量は、治療される患者を考慮して、個々の医者によって選択される。用量および投与は、十分なレベルの活性部分を提供するように、または所望の効果を維持するように調整される。考慮され得る付加的因子として、疾患症状の重篤性が挙げられる。特定製剤の半減期およびクリアランス率に基づいて、3から4日おき、1週間おき、あるいは2週間おきに、持続性薬剤組成物を投与して差し支えない。特定用量および輸送方法に関するガイダンスが文献において提供されている(参照によってこの中に組み込まれている、米国特許第4,657,760号;第5,206,344号;および第5,225,212号を参照)。
子癇前症を予防または治療する本発明の方法;あるいは子癇前症を予防または治療するための薬剤を調製する本発明の方法;において用いるための、ニューロキニンBの生物学的効果を阻害する物は、限定はされないが、食後の段階(post prandial phase)で、その物質の使用が有効であるように製剤化されることが好ましい。その物質は、食後の段階でのみ有効であるというのではなく、例えば24時間に亘り有効であるように選択される。子癇前症は、門脈における高血圧のせいで血液が肝臓(通常毒素を除去する)を通過できないことによる母体血液供給中における毒素の形成に関連すると考えられているため、食後の段階が特に重要な時間である。従って、食事後の高血圧の一時的な除去は、最高濃度の毒素が存在する時に血液が肝臓を通過することを可能とし、従って胎盤で産生されたニューロキニンBによって生じる効果に短期間の低下をもたらすのみであっても、子癇前症の危険性をかなり減らすであろう。そのような時間限定効果は、短期間の活性を有する物質を選択し、さらに適当な製剤および用量スケジュールを用いることによって達成されるであろう。
好ましくは、この中に記載の症状を予防または治療する方法は、例えば妊娠10週後に最初の予測または診断を行った後直ぐに開始されるであろう。一連の治療の開始に関する決定はもちろん医師の決定であり、従って早くまたは遅く開始する場合がある。通常、妊娠の間中、または症状が治まるまで、一連の治療を行う。その治療は、出産後8週間まで続くかもしれない。例えば成長遅延または仮死のような胎児症状あるいは子癇前症を発症する危険性があるとして特定された個体において(例えば妊娠における以前の流産または合併症のような他の要因を考慮することによって)、妊娠が確認された直後に治療を開始し、妊娠満期まで継続して差し支えない。
本発明の別の態様において、妊娠誘発性高血圧あるいは子癇前症または関連する胎児合併症の予測または診断で使用するための診断薬の製造における、ヒトニューロキニンB前駆体遺伝子産物あるいはその変異体または断片の使用を提供する。例えばニューロキニンBに特異的な結合パートナーを含む診断薬の製造において、用いられる遺伝子産物は、ニューロキニンB、あるいはその変異体または断片であることが好ましい。好ましくは、その変異体または断片はエピトープである。例えばニューロキニンB前駆体ゲノム配列の調節配列、またはアンチセンス配列の産生におけるニューロキニンB前駆体mRNAのような他の遺伝子産物を用い得ることが考えられる。
用いられるポリペプチドとして、ヒトニューロキニンBまたはその前駆体、あるいはそれらの変異体または断片が挙げられる。好ましくは、ポリペプチドは、図1または図2の配列をそれぞれ含む。好ましくは、その断片または変異体は上述したようにエピトープである。
それらポリペプチドは、単離された実質的に純粋な形態で、または組換えポリペプチドとして作成される。そのような作成方法は当業者に明白であろう。例えば、組換え技術または抽出、ゲル分離、あるいは、より一般的に、ニューロキニンBのサイズのペプチドに関して、例えば液相および固相ペプチド等の化学合成が挙げられる。
本発明の別の態様において、妊娠誘発性高血圧あるいは子癇前症または関連する胎児合併症の予防または治療のための薬剤の製造における、ニューロキニンBの生物学的効果を阻害する物質の使用を提供する。好ましくは、その物質は上記のようなものである。
本発明の別の態様において、妊娠誘発性高血圧あるいは子癇前症または関連する胎児合併症の兆候を予測し、その将来の重篤性を診断または評価するためのキットを提供する。本発明のキットは、例えばニューロキニンBまたはその前駆体あるいはそれらの断片または変異体をコードするポリヌクレオチドまたはポリペプチドのようなヒトニューロキニンB遺伝子産物の、被検者による産生を検出する手段を含む。従って、本キットは、ニューロキニンBまたはその前駆体に対する結合パートナー;ニューロキニンBポリペプチドあるいはその変異体または断片;および/またはニューロキニンBあるいはその変異体または断片をコードする配列にハイブリダイズするポリヌクレオチド配列;の1つ以上を通常含む。
結合パートナーは、例えば抗体のような、標的を検出(およびそれに結合)できる任意の物質を意味する。本発明のキットにおいて用いるための好ましい結合パートナーは、ニューロキニンB前駆体あるいはそのエピトープ断片またはエピトープ変異体に特異的な抗体である。ニューロキニンBに対する抗体およびヒトニューロキニンB前駆体に対する抗体が好ましい。ニューロキニンBに特異的である抗体が最も好ましいが、測定可能な時間、身体に残存するニューロキニンB前駆体の任意の他の分解産物に特異的な抗体も用いることができる。それら抗体は、ヒトニューロキニンB前駆体の断片に結合して、ヒトの体による前駆体の産生を特定することができる。本発明の抗体は、例えば、ポリクロナール抗体、モノクロナール抗体、キメラ抗体、またはヒト化抗体、あるいはそれらの断片であって差し支えない。例えばサブスタンスPすなわちNKAのような関連ペプチドと交差反応する結合パートナーは、それら関連ペプチドがニューロキニンBと共通配列(FVGLM-NH2)を有するため、例えば薬剤としてまたは診断において有用となり得る。
そのような抗体を作成する方法は、当業者に明白であろう。例えば、ポリクロナール抗体の場合、動物を免疫する標準的方法によって、あるいはモノクロナール抗体の場合、KhlerおよびMilsteinの周知の方法、または米国特許第5,844,080号に記載の方法の使用によって実施できる。キメラ抗体は、遺伝子組換え技術によって作成することができ、定常領域はヒト由来であるが、可変領域は例えばマウス抗体由来であるような抗体である。キメラ抗体の利点は免疫原性を減らすことである。ヒト化抗体は、キメラ抗体の原則に加えて、相補性決定領域および可変領域中の最少数の他のアミノ酸が例えばマウス等の動物由来である。抗体構造の残りの部分はヒトの配列であり、ヒト免疫系によってヒトとして認識される(例えば、Queen et al, PNAS, USA 86(December 1989), 10029-10033を参照)。
本発明のキットのポリヌクレオチドは、好ましくは、ニューロキニンBまたはその前駆体、あるいはそれらの変異体または断片をコードする配列、あるいはそれらの相補体に、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドである。図3または図4のヌクレオチド配列、あるいはそれらの相補体に、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド配列であることが好ましい。ストリンジェントな条件は、例えば、65℃で6xSSCである。好ましくは、そのようなポリヌクレオチド配列は、参照配列の相補体と、85%以上、90%以上、95%以上、さらに好ましくは98%以上、さらに最も好ましくは99%以上の配列同一性を有する。そのようなポリヌクレオチドは、好ましくは、少なくとも10ヌクレオチド長であり、ニューロキニンBまたはその前駆体の発現を検出するのに有用であろう。そのようなポリヌクレオチドはアンチセンス技術または診断的PCRにおいて有用である。本発明のポリヌクレオチドを作成する手段は当業者に明白であり、例えば、合成的に、あるいは適当なcDNAまたはゲノムライブラリー(特に胎盤cDNAライブラリー)を用いることによって作成することができる。
本発明のキットは、生体試料中のニューロキニンBのレベルを予測または診断するための測定法(ニューロキニンBの直接的測定によって、あるいはヒトニューロキニンB前駆体またはその断片の濃度を測定し、その値を用いてニューロキニンBの存在量を予測することによって)の実施に関する使用説明書を含んでいて差し支えない。Peninsula Laboratories, Belmont, CA, USAから市販されているニューロキニンBラジオイムノアッセイキットRIA 7357の構成要素を本発明で用いることができる。本発明のキットは、好ましくは、生体試料中のニューロキニンB遺伝子産物のレベルと、妊娠誘発性高血圧あるいは子癇前症または関連する胎児合併症の診断、および/またはそのような症状の将来の発症および/または重篤性との間の相関性を示す手段を含む。
さらに、被検者におけるニューロキニンBまたはその前駆体の生物学的効果を阻害する手段を含む、妊娠誘発性高血圧あるいは子癇前症または関連する胎児合併症の予防または治療のためのキットを提供する。好ましくは、そのような手段として、上記のような物質が挙げられる。特に、上記のような抗体またはポリヌクレオチド配列は、ニューロキニンBまたはその前駆体の生物学的効果を阻害するためのキットにおいて有用であろう。キットは、好ましくは、妊娠誘発性高血圧あるいは子癇前症または関連する胎児合併症を予防または治療するためのキットの使用に関する使用説明書、および/または用いられる物質の量と症状に対する予測の効果との間の相関性を示す手段を含む。
子癇前症は、毒素および毒素発生物質の含有量を減らすようにヒト被検者の食事を調整することによって改善される。毒素発生物質は、非常に高濃度で血液中を循環した場合にその殆どのものが毒性となるアミノ酸に消化され、そのようなアミノ酸として内蔵から吸収されるタンパク質を含む。通常、1日の必要量を越える任意のアミノ酸は、肝臓によって直ぐにアミノ基が取り去られて代謝される。例えば、個体の食事量を実質的に減らす(少量の食事の回数を増やす)ことによって、門脈中に現れる潜在的毒素の濃度が最高になるのを防止するように、被検者の食事パターンを調整しても差し支えない。
ニューロキニンBのアゴニストは、血圧の上昇または血液容量の減少が有益と考えられる医薬品として用いても差し支えない。適切なアゴニストは、例えばセンクタイド(senktide)または[MePhe7]NKBのような、NK3受容体(または任意の他の受容体)でのニューロキニンBの効果を補足または模倣する任意の作用を含む。
また、本発明は、適当なモデルにおいて、ニューロキニンBの昇圧効果をブロック(または増強)する能力を調べることによって、潜在的有効物質(例えばNK3受容体アンタゴニストおよびアゴニスト)をスクリーニングする手段を提供する。適当な物質が同定されると直ぐに、高血圧;妊娠誘発性高血圧または子癇前症;の予防または治療におけるそれら物質の可能性を特定するためにさらに評価され、その結果によって用いられる。そのような工程によって同定された全ての物質(既に公知の物質を除いて)が本発明に含まれる。スクリーニング方法として、Affymetric IncのVilsipsTM技術のような、ラージアレイ(large array)技術が挙げられる(例えばEPB No. 0476014を参照)。
当業者に明白である方法での、受容体結合実験および細胞シグナル経路実験において、クローン化NK3(あるいはNK1またはNK2)受容体を包含するトランスフェクト細胞を用いることができる。原則的に、内生的に高レベルのニューロキニン受容体を発現する細胞株、あるいはニューロキニン受容体のクローン化cDNA構成物でトランスフェクトした細胞株の何れかを用いて、膜調製物を作成することができる。溶液中またはリン脂質膜中に再構築された精製受容体の膜調製物を用いて、ニューロキニンBの標識アゴニストおよび/またはアンタゴニストとの受容体結合を評価することができる。標準的細胞シグナリングアッセイを用いて、アゴニストおよびアンタゴニストの作用の効果を評価することができる。当業者に明白な方法で(受容体結合、サイクリックAMP測定、プロテインキナーゼC、イノシトール三リン酸濃度等の測定法を含む)、G-タンパク質結合受容体システムを用いる場合に、それら方法は日常的に実施されるであろう。ニューロキニンB、ニューロキニンBアゴニスト、およびニューロキニンBアンタゴニストの長期および短期の効果を特定するために、慢性的にアゴニストを注入されたモルモットおよびラットを含む動物モデルにおいてそれら実験を実施することも可能である。心拍数、血圧、血液容量、および臓器の重量(例えば子宮、胎盤)の変化等の効果を測定することができる。
実施例
実施例1
ヒトニューロキニンB前駆体cDNAの産生
以下の方法による胎盤cDNAのクローニングを用いて、図1に示すポリペプチド配列を有するヒトニューロキニンB前駆体を同定した。前駆体におけるニューロキニンBのペプチド配列を下線で示した(C末端のG残基は、図2の最終的なプロセシングを受けたペプチドにおけるC末端のM上のアミドとなる)。ヒトニューロキニンB前駆体のクローン化胎盤cDNAが図3に示されており、位置26-28のATG開始コドン、389−391のTAG終止コドン、659−663のAATAAAポリアデニル酸シグナル、ならびに680のポリAテイル開始を有する(下線)。
9および13週の妊娠期間ならびに妊娠満期で妊娠を終えた被検者からヒト胎盤組織を得た。地方研究倫理委員会に従い、その許可を受けて、試料を採取した。基本的に、Chomczinski, P.およびSacchi, N.(1987) Analytical Biochemistry, 162, 156-159に記載のようにRNAを抽出した。
RT-PCRを用いて、ヒト妊娠末期全胎盤RNAから完全長プレプロニューロキニンB前駆体を増幅した。その増幅は、SMART RACE cDNA増幅法を用いて行われた(Chenchik, A. et al(1998), In RT-PCR Methods for Gene Cloning and Analysis. Eds. Siebert, P. and Larrick, J. BioTechniques Books, MA, 305-319)。基本的に、全RNAの抽出後、3’アンカー配列を包含するcDNA合成プライマー(5’AAGCAGTGGTAACAACGCAGAGTAC(T)30N1N3’)を用いて逆転写を実施した。ウシP08858ニューロキニンB前駆体に類似の人類cDNAクローン138761由来の5’遺伝子特異的プライマー(5’GGCACAGAGCTGCTCCACAGGCACCAT3’)を用いて、3’伸長を実施した。得られたPCR断片をゲル電気泳動の後ゲル精製し、さらに発現ベクターpGEM-T Easy中にクローン化した。得られたクローンの配列を決定し、BLASTプログラム(Altschul, S.F., et al (1990) J. Mol. Biol. 215: 403-410)を用いて、GeneBankデータベースにおける提出配列と比較した。
実施例2
胎盤におけるNKBを測定するための半定量的PCR
下記のように半定量的PCRを用いて、9および13週の妊娠期間ならびに妊娠満期に採取した胎盤中のニューロキニンB mRNAの発現を測定した。最初の3ヶ月の胎盤と妊娠満期の胎盤との間に、発現程度の違いが示された。図5に示されるように、発現レベルは妊娠満期に5倍まで上昇した。
ウシP08858ニューロキニンB前駆体に類似の人類cDNAクローン138761由来の5’遺伝子特異的プライマー(5’GGCACAGAGCTGCTCCACAGGCACCAT3’)、ならびに3’SMARTアンカー配列プライマーを用いて、SMART RACE cDNA法によって胎盤cDNAを増幅した。正規化のためにβ-アクチンに特異的なプライマー対を用いた。95℃で30秒間および68℃で2分間の21サイクルを用いてPCRを実施した。非特異的産物の形成の可能性を減らすため、2段階でPCR反応が行われるように、高いアニーリング温度を有するプライマーが意図的に選択された。β-アクチンRT-PCR産物の再現可能な指数増幅を達成するのに必要とされるサイクルの回数は、15、18、21、24、および30サイクルでそれぞれ制御反応を終わらせることによって特定された。それら実験を用いて、産生されるβ-アクチンPCR産物のレベルを最適化するため、精度、効率、および半定量的増幅を行う必要がある全RNA量をチェックした。PCR産物を電気泳動後、UV照射によって可視化した(図5において、1kb DNAラダー(M1)および100kb DNAラダー(M2)が示されている)。
実施例3
胎盤組織および血漿からのニューロキニンBの抽出
以下に記載の技術を用いた胎盤抽出物の評価は、ニューロキニンBが相当量存在し、そのHPLCでのクロマトグラフィー特性が合成ニューロキニンBのものと一致することを示した。また、そのメチオニン残基を酸化後、(HPLCで)同程度の疎水性の喪失を示した。酸化は、2酸化形態(1)、1酸化形態(2)、および非酸化形態(3)の3つのピークをもたらすことが認められた(図6を参照)。図6(a)は、RPHPLCによって、ヒト妊娠血漿から分離された酸化および還元ニューロキニンBを示し、図6(b)は、RPHPLCによってヒト妊娠満期胎盤から抽出した濃縮および還元されたニューロキニンの分離を示す。
胎盤からのニューロキニンBの抽出
出産後直ぐに全胎盤の重量を測定し、10mM EDTA含有150mM塩化ナトリウム溶液(pH7.5)で洗浄した。100g以下の組織試料を切り取り、ガラス容器付きのブレンダーを用いて、100mlの生理食塩水/EDTA溶液中においてホモジナイズした。プロテアーゼ阻害剤である、フェニルメチルスルホニルフッ化物、N-エチルマレイミド、およびペプスタチンをメタノール中の原液から添加した。20秒後、800mlのメタノールを添加し、さらに1分間混合を続けた。混合物を200mlポリプロピレン遠心チューブに静かに注ぎ、4℃、3000xgで30分間遠心した。上清を分離し、4℃で一晩保存し、さらに生じた沈殿物を遠心で除いた。各抽出物の容積は最初の容積の1/8未満まで減少し、3容積の0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)含有水の添加によって希釈した。最後の遠心工程によって任意の微量の浮遊物質を除去した。抽出物の容積を記録し、Sep-Pak C18 3CCカートリッジ(Waters Chromatography Division, Millipore Corporation, Milford, MA, U.S.A.)を用いた固相抽出用に、20gの胎盤に相当する量を保存した。2mlの以下の溶液を灌流させることによって、使用前にカートリッジを準備する;1)0.1%TFAおよび0.1% Polypepゼラチン加水分解物(Sigma-Aldrich, Poole, UK)含有水;2)0.1%TFA含有水;3)80%v/vアセトニトリル含有水;および4)0.1%TFA含有水。各抽出物を調製カートリッジに通し、その後、2mlの0.1%TFA含有水、2mlの0.1%TFA含有水中の10%アセトニトリル、および2mlの0.1%TFA含有水中の20%アセトニトリルで洗浄した。2mlの0.1%TFA含有水中の30%、40%、および50%アセトニトリルでカラムを溶出した。溶出分画に1mgのマンニトールおよび100μgのPolypepを添加後、真空下で乾燥した。妊娠中絶から得た少量の胎盤も上記のように処理したが、胎盤重量に対する緩衝液およびメタノールの比率が同じになるようにしてガラスホモジナイザー中において分離した。
血漿からのニューロキニンBの抽出
5人の若い女性の血液からEDTA中に採取したプール血漿においてニューロキニンB標準を調製した。その標準は、1280、640、320、160、および80pg/mlニューロキニンBを含む。220μlの0.21Mグリシン含有1M HClの添加によって血漿標準の各2mlの試料を酸性化した。その後、0.9%生理食塩水によって10mlに希釈し、さらに3000xgで20分間遠心し、完全に透明にした。Sep-Pak C18 3CCカートリッジに関して上述したようにして、Sep-Pak C18 3CCカートリッジを準備した。試料添加後、1mlの0.02Mグリシン含有0.1M HCl、続いて1mlの0.1%TFA含有水でカートリッジを洗浄した。1mlの0.1%TFA含有水中の10%および20%アセトニトリルでさらに洗浄した後、1mlの50%の水とアセトニトリルとの混合物中の0.1%TFAで溶出した。溶出分画に1mgのマンニトールおよび100μgのPolypepを添加後、真空下で乾燥した。注意しても、不活性循環前駆体が内因性血漿プロテアーゼによって切断されて免疫活性ペプチドを産生する可能性があるため、酸性化工程によって、既にプロセシングを受けた成熟ペプチドを抽出することを確実にした。
実施例4
胎盤組織および血漿におけるNKBの測定
胎盤および血漿抽出物を、Peninsula Laboratories, Belmont, CA, USAから市販されているニューロキニンBラジオイムノアッセイキットRIK 7357の一部として提供される緩衝液に0.2%のlgepal CA-630非イオン性界面活性剤(Sigma)を添加した液500μl中に再構築した。抽出標準および非抽出標準から一部試料25μlを採り、上記の緩衝液75μlと混合した。200μg/mlのPolypepを添加したlgepalを含む緩衝液中に標準を調製した。ブランクを除いて全ての測定チューブに抗ニューロキニン抗体溶液(100μl)を添加し、ラジオイムノアッセイキットの使用説明書の「一般的プロトコル」に記載のように測定を実施した。二重で測定を実施し、抽出標準を参照にして結果を補正した。
様々なヒトボランティアおよびラットにおけるニューロキニンBの血漿および胎盤でのレベルを上記の方法によって測定した。血漿試料の結果を表1に要約する。胎盤試料は妊娠7週−15週から採取したものであり、7例全てが同等の相当量のニューロキニンBを有することを示した;しかしながら、妊娠満期に検出された血漿NKBの濃度は、母体の心血管に影響を及ぼすことが予測されるであろう100ピコモル程度であった。非妊娠ボランティアから採取した血漿試料は全て、7週から15週で人工妊娠中絶を受けた個体から採取した血漿試料の大部分と同様に低いレベルのペプチドを有していた。7週から15週で人工妊娠中絶を受けた個体の群の内4試料は、妊娠満期の試料で認められた濃度と同等の濃度を有していた。このことは、その個体由来の胎盤が妊娠の初期に生理的濃度を越える濃度のニューロキニンBを分泌し始めることを示唆する。高血圧および子癇前症に罹った妊娠後期の患者の試料は全て、ナノモル程度の濃度を有しており、このことはニューロキニンBの上昇がそれら症状の原因となり得ることを示唆する。
【表1】
【表2】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、クローン化ヒトニューロキニンB前駆体のポリペプチド配列を示す
【図2】 図2は、活性ニューロキニンBペプチドのポリペプチド配列を示す
【図3】 図3は、ヒトニューロキニンB前駆体の胎盤cDNAのポリヌクレオチド配列を示す
【図4】 図4は、27928塩基対プロモーター領域、イントロン、および7つのエキソン(下線)を含む、ニューロキニンBのゲノム配列を示す
【図5】 図5は、9週、13週、および妊娠満期に採取したmRNAを用いた、完全ヒトニューロキニンB前駆体の半定量的PCRの結果を示す
【図6】 図6は、ヒト妊娠血漿および妊娠満期の胎盤における酸化ニューロキニンおよび還元ニューロキニンBの結果を示す
【図7】 図7は、意識のあるラットにおけるニューロキニンBの心血管効果を示す
【図8】 図8は、ヒトの胎盤におけるニューロキニンB mRNAのin situハイブリダイゼーションを示す
Claims (15)
- ニューロキニンB前駆体遺伝子産物あるいはその変異体または断片に対する結合パートナーを含んでなる、妊娠誘発性高血圧、あるいは子癇前症または関連する胎児合併症の予測または診断のためのキット。
- 生体試料中のニューロキニンBのレベルを測定するための測定法を実施し、さらにその結果を妊娠誘発性高血圧あるいは子癇前症または関連する胎児合併症の予測される将来の発症と関連付けるための使用説明書をさらに含んでなる請求項1記載のキット。
- 生体試料中のニューロキニンBのレベルを測定するための測定法を実施し、さらにその測定結果を妊娠誘発性高血圧ならびに子癇前症または関連する胎児合併症の予測される将来の重篤性と関連付けるための使用説明書と共に、ニューロキニンB前駆体遺伝子産物あるいはその変異体または断片に対する結合パートナーを含んでなる、妊娠誘発性高血圧あるいは子癇前症または関連する胎児合併症の将来の重篤性の評価において使用するためのキット。
- 前記結合パートナーが、ニューロキニンB前駆体、またはニューロキニンB、あるいはそれらのエピトープ断片またはエピトープ変異体に特異的な抗体であることを特徴とする請求項1から3何れか1項記載のキット。
- 前記結合パートナーが、配列番号1の配列を有するヒトニューロキニンB前駆体あるいはそのエピトープ変異体またはエピトープ断片に特異的な抗体であることを特徴とする請求項1から4何れか1項記載のキット。
- ラジオイムノアッセイキット、酵素免疫測定法キット、イムノラジオメトリックアッセイキット、ラジオレセプターアッセイキット、または蛍光もしくは発光ベースのキットであることを特徴とする請求項1から5何れか1項記載のキット。
- 生体試料中のヒトニューロキニンB前駆体遺伝子産物あるいはその変異体または断片の濃度を測定することを含む、ヒト被検者での妊娠誘発性高血圧あるいは子癇前症または関連する胎児合併症を検査する方法。
- 生体試料中のヒトニューロキニンBまたはその前駆体、あるいはそのエピトープ変異体またはエピトープ断片の濃度を測定することを含む、ヒト被検者での妊娠誘発性高血圧、あるいはヒト被検者での初期における子癇前症または関連する胎児合併症を検査する方法。
- ニューロキニンBおよびその前駆体が、それぞれ配列番号1および2の配列を有することを特徴とする請求項8記載の方法。
- 請求項1または2記載のキットの使用を含むことを特徴とする、請求項7から9何れか1項記載の方法。
- 生体試料中のヒトニューロキニンB前駆体遺伝子産物あるいはその変異体または断片の濃度を測定し、さらにその結果を妊娠誘発性高血圧あるいは子癇前症または関連する胎児合併症の予測される将来の重篤性と関連付けることを含む、ヒト被検者における妊娠誘発性高血圧あるいは子癇前症または関連する胎児合併症の将来の程度を検査する方法。
- 生体試料中のヒトニューロキニンBの濃度を測定することを含むことを特徴とする請求項11記載の方法。
- 請求項3から5何れか1項記載のキットの使用を含むことを特徴とする請求項11または12記載の方法。
- 前記キットが、ニューロキニンBに特異的な抗体を含むことを特徴とする請求項13記載の方法。
- 前記キットが、ラジオイムノアッセイキット、酵素免疫測定法キット、イムノラジオメトリックアッセイキット、ラジオレセプターアッセイキット、または蛍光もしくは発光ベースのキットであることを特徴とする請求項13または14記載の方法。
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