JP4367967B2 - アミノアルコールの製造法 - Google Patents
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Description
該生成物の主な工業的用途は、多数の非イオン性X線造影剤、例えばイオヘキソール、イオペントール、イオプロミド、イオベルソール、イオキシラン、イオジキサノールの合成にある。
医師、及び薬物市販の認可を与える当局は、患者に対する副作用又は有毒作用のいかなる危険性を伴うことも最小限に抑えるために、非常に低レベルの不純物を有する薬物を必要とする。
ヨウ素化造影剤に関する限り、投与される製品の、他の医薬のそれよりはるかに高い総量のために、そのような必要性が存在する。例えば、造影剤の注入される用量は、150gに達し、それを越えることさえある。
したがって、式(I)の化合物の高い純度は、いかなる副生物の形成も避け、最終生成物に対する高い純度規格を確保するために、極めて重要である。
文献中では、化合物(I)の精製のための数多くの方法が報告されていて、最も汎用されるのは、減圧下での蒸留(例えばヨーロッパ特許第470004号公報を参照されたい)、及びその他の、未精製物に含まれる水を絶えず減圧下で除去するか(JP 3063251)、又はやはり減圧下で溶液を脱色する(JP 3086851)手順である。
それでも、該生成物は、1〜3%にわたる不純物含有量を有して市販されている(例えば、Aldrich又はMerckが市販する製品)。
合成のための主な出発シントンが、グリシドール又は3−クロロ−1,2−プロパンジオールであって、それをアンモニアと反応させるならば(例えば、下記の特許を参照されたい:JP 03063251-A2;ドイツ国特許第3830351(A1)号;ドイツ国特許第3014129(A1)号;ドイツ国特許第3014129(A1)号;ドイツ国特許第30141091(A1)公報;ドイツ国特許第3014098(A1)号公報)、予測され、ある場合には記載された主な有機不純物は、グリセリン、セリノール、3−クロロプロパン−1,2−ジオール、ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)アミン、t−(2,3−ジヒドロキシプロピル)アミンである。
これらの不純物に加え、いくつかの無機酸、例えば塩酸や酢酸、及び5−アミノ−2,4,6−トリヨードイソフタル酸のような副生物も、式(I)の化合物が造影剤の回収に由来する場合は考慮しなければならない。
3−アミノ−1,2−プロパンジオール中に存在する不純物中の種類及び含有量に応じて、異なる精製手順を選ぶことができる。
有機不純物中でも、セリノールは、式(I)の化合物のそれと類似の化学的特性を有するため、完全に除去するのが非常に困難である。
本発明は、出発生成物中に存在する不純物に応じて、遊離塩基及びその塩の双方としての生成物に直接適用できる、式(I)の化合物の精製のための新規な方法に関する。
本発明の目的は、<0.1%の有機不純物、及び0.05%未満の無機不純物の含有量を有する生成物を得るための、式(I)の化合物を精製する方法であって、下記の段階:
(a)酢酸と、(C1〜C5)直鎖もしくは分枝鎖アルコールとのエステル、又は式Alc−OH[式中、Alcは(C3〜C7)の直鎖もしくは分枝鎖の基である]で示されるアルコール溶媒のいずれかを用いた、式(I)の化合物の抽出と;
(b)シュウ酸、X−Ph−COOHの酸[式中、Xは、フェニル環Phにおける置換基、例えばH、Cl、NO2、Br及び(C1〜C4)直鎖もしくは分枝鎖アルキルである]、又はp−トルエンスルホン酸よりなる群から選ばれる酸との式(I)の化合物の塩の形成と;
(c)用いる溶媒に応じて0.5〜60%の含水量を有する、式R−OH[式中、Rは、(C1〜C6)直鎖もしくは分枝鎖アルキルである]のアルコール溶媒、又は(C3〜C7)アルキルセロソルブの群のモノアルキルエーテルグリコールを用いた、段階(b)で形成した塩の結晶化と;
(d)式(I)の化合物を遊離塩基として得るための、イオン交換樹脂を用いることによる塩からの遊離及び精製と;
(e)式R−OHのアルコールを用いた結晶化による遊離塩基の精製と
を含む方法である。
20〜50℃での溶媒による抽出は、水に溶解したか、又は融解した生成物からの有機不純物の最初の大まかな除去を与える。
該手順は、工業的規模で連続的に実施して、それによって、有機溶媒によって抽出した不純物の最初の大まかな除去を効果的に実施することができる。存在する有機不純物は、酢酸n−ブチル又はn−ペンタノールを用いて、顕著に除去することができる。
前述の造影剤の製造サイクル又は回収サイクルからの非常に不純な未精製生成物から出発して、通常、不純物の約20%を除去することができる。
原則として、式(I)の化合物の塩の製造、及びその結晶化は、いくつかの塩については、非常に純粋な生成物を与え、とりわけグリセリン、3−クロロプロパン−1,2−ジオール及びセリノールに関する限り、選別的である手順である。
塩の結晶化は、水性、水−有機性又は有機性媒体中で実施することができる。
この場合、用いる溶媒は、式R−OHのアルコール、又は(C3〜C7)アルキルセロソルブの群のモノアルキルエーテルグリコールである。2−メトキシエタノール、エタノール、n−ブタノール、2−ブタノール、メタノールが、特に好適である。
式(I)の化合物は、通常、水に溶解し、選ばれた酸と、水性媒体中、20〜80℃の温度で反応させる。
その後、溶媒を加えて、20〜−5℃の温度までの漸進的冷却によって、塩を沈澱させる。
水の百分率は、用いた塩及び溶媒に従って、0.5〜60重量(w/w)%にわたり得る。
化合物(I)の塩は、その精製が研究されているが、下記のとおりである:塩酸塩、酸性シュウ酸塩、式X−Ar−COOHの安息香酸塩、p−トルエンスルホン酸塩。より詳しくは、o−クロロ安息香酸、m−ニトロ安息香酸との塩、及びシュウ酸との酸性塩は、異性体2−アミノー1,3−プロパンジオールを完全に除去するのを可能にする。
段階(d)、すなわち、該塩からの遊離塩基の調製は、イオン交換樹脂を用いて実施したとき、無機不純物を完全に除去して、望みの質的規格の最終生成物を生じることも見出されている。
陽イオン又は陰イオン交換樹脂を個別にか、又は逐次的に用いることは、実際には、樹脂それ自体が発揮するクロマトグラフィー作用によって、更に精製された遊離塩基を得るのを可能にする。
そのような手法は、該塩を遊離するためにアルカリ又はアルカリ土類の塩基、特に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化カルシウムを利用する化学的手順と比較して、著しく斬新である。
次いで、段階(c)から得られる未精製塩を水に溶解し、陽イオン樹脂上で遊離させる。
好適な樹脂は、C20MB(Duolite)、IR120及びAmberjet 1200(Rhom & Haas)、又はこれに代えて、樹脂C100E(Purolite)又はやはりC350MB(Dow)である。
好適な陰イオン樹脂は、Amberlite IRA420又はPurolite A400である。いずれにしても、異なる製造業者からの類似の陽イオン交換体を用いることができる。
次いで、アンモニア水溶液による溶離によって、イソセリノールを陽イオン樹脂から回収する。
特に、樹脂に結合したイソセリノールを溶離するための塩基として、4.7%アンモニア水を用いることは、無機不純物の完全な排除を与える。過剰なアンモニアは、実際は、遊離塩基に関して結晶化の手法を用いる前の蒸発によって、容易に除去することができる。
生産の有意な損失なしに塩を遊離塩基へと転換するための手順として、上記に既述の該手法の使用は、樹脂自体によっては塩化できないような有機副生物を除去するには、また概して、未精製溶液を脱色するには、工業的規模で好都合である。
該手法のもう一つの利点は、フローセルを備えた電位差計、導電率計及び屈折計を用いた、工程の容易な自動化である。
その上、該手順は、非イオン性X線造影剤、例えばイオヘキソール、イオメプロール、イオペントールなどの生成サイクルからのイソセリノールの回収を実施する場合は、非常に好成績である。
回収された未精製生成物は、実際には、該手順からの顕著な量の副生物、例えば、トリヨードアミノイソフタル酸、トリヨードヒドロキシイソフタル酸又は類似の、アミノ基又はフェノール基がアルキル化、アミド化、エステル化もしくはエーテル化されている化合物を含有することがある。これらの場合、樹脂の使用は、ヨウ素化された副生物を容易に除去して、式(I)の精製化合物を回収するのを可能にする。
陰イオン樹脂を用いたときは、イソセリノールは、溶出液中に直接得られるが、酸は、樹脂によって塩化される。
そのような手順は、イソセリノールと比較して、より高い塩基度の樹脂の第三級アミンを利用する。
この手順は、イソセリノールを塩化する酸の混合物を含有する、未精製溶液から遊離塩基を得ようとするときは、特に好都合であり得る。遊離塩基又は塩酸塩は、樹脂をCl-の形態で再生するならば、それによって、容易に、かつ直接得ることができる。
逐次的な樹脂の使用(陰イオン及び陽イオン)は、第一のカラムで塩基を遊離し、第二のカラムでのクロマトグラフィーによって、副生物、例えば、既述の第三級及び第二級アミンに比較的富むヘッド及びテールを棄却しつつ、塩基性物質から純化するのを可能にする。
遊離塩基の結晶化は、用いる溶媒に応じて、溶媒の含水量が0.5〜5%にわたるときに実施する。この手順によれば、沈澱は、用いる溶媒に応じて、−15〜0℃の範囲の温度で実施する。好適な溶媒は、n−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール及びn−ペンタノールである。
強調すべきであるのは、記載した手法は、X線造影剤の生成サイクルからの有機副生物を除去することを可能にし、そのため、これは、セリノールを回収するための重要な手段ともなり得ることである。
本発明は、開示された手順を、連続的又は単独で用いて、最後の段階として、有機溶媒中での遊離塩基沈澱を用いて、高い純度を達成できるということが、非常に斬新である。
特に斬新であるのは、式(I)の化合物の異なる塩の結晶化及び抽出はもとより、イオン交換樹脂を用いたクロマトグラフィーによる精製の方法である。
該手順は、工業的規模で広汎に適用でき、高品質の製品を生じるということが、利点である。
現在では、式(I)の化合物の塩としてと、遊離塩基としてとの双方での、市販される製品すべてが、一般的には0.4〜2%にわたる有機物質の残留含有量を有する。その上、異性体の0.1%未満のレベルまでの除去は、必ずしも保証されない。
本発明の手順は、認め得る残留無機物質がなく、0.1%という有機物質の残留含有量を有する純粋な製品を提供し、異性体を、完全にか、又はとも角0.1%未満の含有量までには除去する。
アミノプロパンジオールの品質を評価するのに用いられる分析手順は、F. Uggeriらによる文献Journal of Chromatography, 432, 1988に報告されたそれである。
本発明の目的を更に解明するために、化合物(I)に用い得る、種類により更に区分した塩を、下記に報告するが、操作手順は、実施例に示す。
(1)酸性シュウ酸塩
セリノールとは対照的に、イソセリノールは、酸性シュウ酸塩を形成することができ(Chem. Pharm. Bull., 122, 1983)、好都合にも、これを、とりわけその異性体、及び概してその他の副生物を除去するときに、その精製において用いることができる。
この塩は、溶解度が高いため、水から結晶化させることはできないが、上記の条件下では、有機又は水−有機溶液から容易に結晶化させることができる。
結晶化に用いるための水の量は、0〜30%にわたることができ、溶媒対生成物の比は、0.5:1〜6:1重量部にわたり得る。
(2)安息香酸塩
安息香酸及びいくつかの誘導体によって得られる塩、例えばクロロ安息香酸塩及びニトロ安息香酸塩は、それらの精製活性に起因して、特に重要である。
いくつかの手順は、イソセリノールが関係する限り、m−ニトロ安息香酸塩やo−クロロ安息香酸塩の場合は特に、1.5%の最大出発含有量で存在するときに、セリノールを完全に除去するのを可能にする点で、特に関心が持たれる。
原則として、安息香酸塩は、有機副生物の含有量を、シュウ酸塩について上に記載した手順(樹脂の使用及び結晶化)で回収された式(I)の化合物中で0.1%未満のレベルまで、>95%の収率において、下げることができる。
イソセリノールは、安息香酸及び安息香酸塩によって容易に塩化され、メタ又はパラ位が、ハロゲンもしくはニトロ基でモノ置換される。
上に既述の溶媒を用いることができる。
塩対溶媒の比は、1:0.5〜1:5重量部にわたり得る。塩の結晶化は、−5〜0℃で生じる。
遊離塩基は、イオン交換樹脂を用いても、これらの塩から得られる。ナトリウム塩の形態で再生されたスルホン樹脂を適切に用いて、水溶性の塩化された安息香酸塩の排除を促進する。その後、遊離塩基を結晶化する。
(3)p−トルエンスルホン酸塩
イソセリノールは、p−トルエンスルホン酸によって容易に塩化される。この塩も、上記の溶媒から結晶化することができる。
この場合も、得られる収率は、高く、ほとんどの有機副生物から効果的に精製され、とりわけグリセリンは、完全に除去される。
塩/溶媒比は、1〜5重量部にわたることができ、結晶化温度は、−5〜0℃にわたる。
85%を超える収率を得ることができる。
原則として、溶媒へのそれらの比較的高い溶解度を利用して、より親油性の特性を有するいくつかの有機不純物と、二つのアミノ基を有するような物質、例えば2,3−ジアミノプロパノールとの双方を除去して、特に低分子量アルコールに、より溶解しやすい一塩基性塩を与える。
ナトリウム形態で再生されたスルホン性陽イオン樹脂を用いる手順は、用いることはできるが、塩を遊離塩基へと転換するのに好都合ではない。
一方、遊離塩基又は塩化物のいずれかの形態で再生された強陰イオン樹脂の使用は、該塩を樹脂のp−トルエンスルホン酸に結合させ、溶液中の塩酸塩又は遊離塩基を回収するには、より好都合である。
好適な樹脂は、Amberlite IRA420(Rhom & Haas)及びA400(Purolite)である。
商業的に入手できる、他の生産者が製造する類似の樹脂も、用いることができる。
得られた遊離塩基は、次いで、優れた収率で結晶化される。
(a)、(b)、(c)、(d)のうち一つ又はそれ以上の段階は、未精製生成物がより僅かな量の不純物を含有するときは、省くことができる。
異性体のセリノールを完全に除去しなければならないときは、段階(b)及び(c)が必要であって、これらの不純物に対するいくつかの塩の選択性を利用する。
特に、エタノールからのイソセリノールの酸性シュウ酸塩の結晶化、イソプロパノールから結晶化したo−クロロ安息香酸塩、及び5体積%の水を含有するエタノールから結晶化したm−ニトロ安息香酸塩は、異性体のセリノールを0.05%未満まで除去することを可能にする。
抽出を伴う段階(a)は、高い含有量の有機不純物が存在するときは、式(I)の化合物の前処理であるから、他の精製法と組み合わさなければならない。
5%を超える不純物含有量から出発して、抽出は、それぞれ、この不純物含有量の5〜10%を除去することができる。式(I)の化合物の合成からの有機不純物は、すべて、容易に除去することができ、ヨウ素化造影剤の製造工程に由来する3−アミノ−1,2−プロパンジオールの回収物中に存在するのこれらの不純物は、部分的に除くことができる。
塩、及びその結晶化は、有機不純物のレベルを3〜5%から0.5〜1%にわたる、より低い値まで下げるのに効果的であり、必要ならば、該方法を反復する。
より具体的には、グリセリンは、記載された酸との塩を与え得ないすべての副生物とともに、容易に除去されるのに対し、第三級及び第二級アミンは、それらの塩は、通常、式(I)の化合物の塩より高い、溶媒への溶解度を有するため、部分的に除去される。
段階(a)、(b)、(c)及び(d)は、異性体のセリノールの含有量が0.1%より低く、総有機不純物含有量が0.3%である場合は、省くこともでき、この場合、X線造影剤の生成サイクルからの無機又は非イオン性不純物が全く存在しないならば、直ちに結晶化を実施することが望ましい。
n−ブタノールからの結晶化は、特に、異性体のセリノールを部分的に除去することを許して、その含有量を0.3%から0.05〜0.1%まで下げる。
イオン交換樹脂の使用は、10%より高い含有量から出発するときでさえ、すべての無機不純物を除去するのを可能にする。この場合、用いるべき樹脂の量は、適切に決定することになる。
陽イオン樹脂の使用は、その塩から遊離された塩基を、生成物の損失なしに与え、造影剤の生成サイクルに由来するイオン性物質を完全に除去する。
第二級アミンが副生物として存在するとき(上記の不純物を参照されたい)、陽イオン樹脂からの溶出液の最終画分は、適切には、棄却することになるため、不純物含有量は、最終画分を棄却して、低下することになる。
下記の実施例は、本発明を実施する最良の実験的条件を例示することを、意図するものである。
実施例1
出発生成物は、10%の有機副生物(うち0.7%はセリノールであり、8%は5−アミノ−2、4、6−トリヨード−1,3−ベンゼンジカルボン酸である)を含有する未精製イソセリノールである。
シュウ酸二水和物456gを、6(重量)%の水を含有するエタノール410gに懸濁させる。
別に、6(重量)%の水を含有するエタノール300gに、未精製イソセリノール300gを溶解して、溶液を調製し、次いで、得られた溶液を、シュウ酸を含有する懸濁液に30分間滴加する。添加後、混合物を10℃で4時間冷却し、次いで、100%エタノール150gで洗浄しつつ、濾過する。得られた生成物を、12mmHgの下で60℃で12時間乾燥して、酸性シュウ酸塩570gを得る。
塩基の遊離
得られた生成物を、水に溶解して、15重量%の溶液を得る。
該溶液を、酸性形態で再生した1,300mlの陽イオン樹脂Amberjet 1200上で濾過し、次いで、樹脂を中性pHまで洗浄する。次いで、イソセリノールを、4.7%アンモニア水1,300mlで、約2BV/hで溶出させつつ、樹脂から置換する。
樹脂を脱イオン水(約2リットル)で中性pHまで洗浄する。得られた溶液を濃縮して、残渣を得、これをn−ブタノール300gに溶解し、次いで、−10℃まで冷却し、該温度を6時間保つ。
セリノールを濾過し、n−ブタノール60gで洗浄し、0℃で冷却し、3mmHgの真空下で30℃で12時間乾燥する。
総収率:75%。
有機副生物:0.1%、うちイソセリノール<0.05%。
実施例2
5(重量)%の水を含有するエタノール2,640gを、m−ニトロ安息香酸550gに懸濁させ、55℃に加熱し、次いで、3%の有機副生物(うち1%がセリノール)を含有するイソセリノール300gを加え、それによって温度を約10℃の上昇させ、完全な溶解を生じさせる。
15℃に3時間冷却することによって、塩を沈澱させ、次いで、これを濾取し、5(重量)%の水を含有するエタノール200gで洗浄する。
生成物を、14mmHgの下で50℃で12時間乾燥し、それによって塩790gを得る。収率:92.9%。
塩基の遊離
得られた生成物を、水1,500gに溶解して、15重量%の溶液を得る。
該溶液を、ナトリウム形態で再生した1,300mlの陽イオン樹脂Amberjet 1200上で濾過し、次いで、樹脂を洗浄して、<30μS/cmの比伝導度を有する溶出液を得る。
次いで、イソセリノールを、4.7%アンモニア水1,300mlで、約2BV/hで溶出させつつ、樹脂から置換する。
樹脂を脱イオン水(約2リットル)で中性pHまで洗浄する。得られた溶液を濃縮して、残渣を得、これをn−ペンタノール300gに溶解し、次いで、−8℃まで冷却し、該温度を6時間保つ。
イソセリノールを濾過し、n−ペンタノール70gで洗浄し、0℃で冷却し、3mmHgの真空下で30℃で12時間乾燥する。
総収率:87%。
有機副生物:0.1%、うちセリノール<0.05%。
実施例3
o−クロロ安息香酸515.5gを、50℃に加熱しつつ、イソプロパノール2,000gに溶解する。
別に、3%の有機副生物(うち1.5%がセリノール)を含有するイソセリノール300gを、イソプロパノール660gに溶解する。
イソセリノールの溶液を、50℃の酸の溶液に約60分で滴加し、0〜5℃に冷却し、この温度に約2時間保つ。
得られた塩を濾取し、0℃に冷却したイソプロパノール400gで洗浄し、14mmHgの下で50℃で乾燥して、塩792gを得る。
収率:96.8%
塩基の遊離
得られた生成物を水1,500gに溶解して、15重量%の溶液を得る。
該溶液を、ナトリウム形態で再生した1,300mlの陽イオン樹脂Amberjet 1200上で濾過し、次いで、樹脂を洗浄して、<30μS/cmの比伝導度を有する溶出液を得る。
次いで、イソセリノールを、4.7%アンモニア水1,300mlで、約2BV/hで溶出させつつ、樹脂から置換する。
樹脂を脱イオン水(約2リットル)で中性pHまで洗浄する。得られた溶液を濃縮して、残渣を得、これをイソブタノール400gに溶解し、−10℃まで冷却し、該温度に6時間保つ。
イソセリノールを濾過し、0℃に冷却したイソブタノール10gで洗浄し、3mmHgの真空下で30℃で12時間乾燥する。
総収率:93.5%
有機副生物:0.1%、セリノールなし、無機物を含まず。
実施例4
1%の有機副生物を含有するイソセリノール300gを、25℃でn−ブタノール300gに溶解する。
溶液を−5℃に冷却し、該温度を12時間保つ。残渣を濾取し、0℃に冷却したn−ブタノール240gで洗浄する。
収率95%
総有機副生物の含有量:0.1%、無機物を含まず。
実施例5
1.5%の有機副生物(うち0.7%がセリノール)を含有するイソセリノール300gを、50℃に加熱して、融解生成物を得、次いで、分液漏斗に入れ、酢酸ブチル900gで3回洗浄する。
得られた生成物を50℃で水に溶解して、未精製溶液を得、酸性形態で再生した1,300mlの陽イオン樹脂Amberjet 1200上で溶出させ、<30μS/cmの比伝導度に達するまで水洗する。
次いで、イソセリノールを、5%アンモニア水1,400mlで、約2BV/hで溶出させつつ置換し、その後、中性pHまで水洗する。
溶出液を、ロータリーエバポレーター中、減圧下で50℃の温度で濃縮して、蒸留できない残渣を得、これを2−ブタノール250gに2回溶解し、蒸発させて乾燥する。
残渣を2−ブタノール200gに溶解し、得られた溶液を−3℃に冷却し、該温度を4時間保ち、かつ熟成する。
得られた固体を濾取し、予め冷却した溶媒30gで洗浄する。生成物を、12mmHgの下で30℃で12時間乾燥する。
収率:56%。
総有機副生物の含有量:0.1%、うちセリノール0.1%、無機物を含まず。
実施例6
3%の有機副生物(うち1.5%がセリノール)を含有するイソセリノール300gを、水600gに溶解し、60℃に加熱し、次いで、p−トルエンスルホン酸一水和物626.5gを、部分に分けて加える。
溶液を、減圧下で50℃で濃縮して、20〜40%の含水量を有する融解生成物を得る。無水エタノール600gを加え、溶液を還流する。
溶液を、約8%の残留含水量に達するまで新鮮な乾燥溶媒を加えつつ、共沸蒸留する。
溶液を、20℃に徐々に冷却し、該温度を3時間保つ。塩を濾取し、乾燥エタノール100gで洗浄する。
得られた塩(約700g)を、水に溶解して、約10%の溶液を得る。
該溶液を、5,000mlの陰イオン樹脂Amberlite IRA420上で溶出させ、中性pHまで水洗する。
得られた水溶液を、濃縮して残渣を得、実施例5に記載の手順に従って、結晶化する。
収率:68%
有機副生物<0.1%、無機物を含まず。
Claims (18)
- イソセリノールを精製する方法であって、
(a)酢酸と、(C1〜C5)直鎖もしくは分枝鎖アルコールとのエステル、又は(C3〜C7)直鎖もしくは分枝鎖アルコール溶媒のいずれかを用いた、イソセリノールの抽出工程と;
(b)シュウ酸、式X−Ph−COOH[式中、Xは、フェニル環Phにおける置換基であり、水素、Cl、NO2、Br及び(C1〜C4)直鎖もしくは分枝鎖アルキルから選ばれる]で示される酸、又はp−トルエンスルホン酸よりなる群から選ばれる酸とのイソセリノールの塩の形成工程と;
(c)R−OH[式中、Rは、(C1〜C6)直鎖もしくは分枝鎖アルキルである]のアルコール、又は(C3〜C7)アルキルセロソルブから選ばれる、0.5〜60%の含水量を有する溶媒を用いた、工程(b)で得た塩の結晶化工程と;
(d)イオン交換樹脂を通じての溶出による、塩からの遊離及び精製によりイソセリノールを遊離塩基として得る工程と;
(e)工程(c)記載のアルコールからの、結晶化による遊離塩基の精製工程とを含む方法。 - <0.1%の有機不純物、及び0.05%未満の無機不純物の含有量を有するイソセリノールを得るための請求項1記載の方法。
- 工程(a)での抽出温度が、20〜50℃である請求項1記載の方法。
- 工程(a)で用いる溶媒が、酢酸n−ブチル又はn−ペンタノールから選ばれる請求項1記載の方法。
- 工程(c)での結晶化の溶媒が、メタノール、エタノール、n−ブタノール、2−ブタノール、2−メトキシエタノールから選ばれる請求項1記載の方法。
- o−クロロ安息香酸、m−ニトロ安息香酸、シュウ酸、p−トルエンスルホン酸からイソセリノール塩を形成する請求項1記載の方法。
- o−クロロ安息香酸、m−ニトロ安息香酸又はシュウ酸との塩の形成によって、セリノールを0.05%未満まで完全に除去する請求項6記載の方法。
- イソセリノールの酸性シュウ酸塩の結晶化をエタノール中で実施する請求項7記載の方法。
- o−クロロ安息香酸塩の結晶化をイソプロパノール中で実施する請求項7記載の方法。
- m−ニトロ安息香酸塩の結晶化を、5重量%の水を含有するエタノール中で実施する請求項7記載の方法。
- ナトリウム又は酸性形態で再生した陽イオン樹脂の使用によって、これらの塩から遊離塩基を得る請求項1記載の方法。
- アンモニア水による樹脂からの置換によって、イソセリノールを回収する請求項11記載の方法。
- 4.7%アンモニア水を用いる請求項12記載の方法。
- 強陰イオン樹脂の使用によって、遊離塩基をこれらの塩から得る請求項1記載の方法。
- 陰イオン及び陽イオン樹脂を逐次的に用いる請求項1記載の方法。
- 遊離塩基の結晶化を、用いる溶媒に応じて、含水量が0.5〜5%であるときに、−15〜0℃の範囲の温度で、沈澱相において実施する請求項1記載の方法。
- 遊離塩基の結晶化を、n−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール及びn−ペンタノールよりなる群から選ばれる溶媒中で実施する請求項1記載の方法。
- 出発生成物中の有機不純物含有量が0.3%を超えず、異性体セリノールの含有量が0.15%より低い場合に、セリノール含有量が0.05%より低く、無機不純物含有量が0.05%より低いイソセリノールを製造するための、請求項1記載の方法。
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