JP4366749B2 - ゴム用架橋剤及びそれを用いる架橋ゴムの製造方法 - Google Patents
ゴム用架橋剤及びそれを用いる架橋ゴムの製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4366749B2 JP4366749B2 JP08233799A JP8233799A JP4366749B2 JP 4366749 B2 JP4366749 B2 JP 4366749B2 JP 08233799 A JP08233799 A JP 08233799A JP 8233799 A JP8233799 A JP 8233799A JP 4366749 B2 JP4366749 B2 JP 4366749B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- rubber
- peroxide
- crosslinking agent
- crosslinked
- crosslinking
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Landscapes
- Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴム用架橋剤及びそれを用いる架橋ゴムの製造方法に関する。
より詳しくは、スコ−チ性が少なく、機械的物性が優れ、かつ分解生成物の臭気が無い等の優れた特性を有する架橋ゴムが得られるゴム用架橋剤及びそれを用いる架橋ゴムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にペルオキシドがゴムやプラスチックス等の架橋剤として利用できることは従来から知られており、工業的には代表的な架橋剤としてジクミルペルオキシド等が広く用いられている。
また、エチレン・ポリプロピレン・ジエン共重合体(以下EPDMと略記)のペルオキシド架橋物を用いる電線被覆、耐熱ベルト、自動車部品等、そしてアクリロニトリル・ブタジエンゴム(以下NBRと略記)や水素添加アクリロニトリル・ブタジエンゴム(以下H−NBRと略記)のペルオキシド架橋物を用いるパッキング、Oリング等が近年広く用いられるようになると共に、ペルオキシドに対する要望も多様化、高度化してきている。
このような要望に対して、比較的低温度で速い架橋ができるペルオキシケタ−ル類(特公昭43−3968号公報、独国特許第945187号公報明細書)、特に1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサンが利用されるようになってきた。
【0003】
【発明が解決しようする課題】
しかしながら、ペルオキシケタ−ル類は比較的低温度で分解・架橋反応を生じるため、ゴムの混練工程あるいは貯蔵中にスコ−チと呼ばれる部分架橋現象を起こす恐れが常にある。そのため、配合剤系にスコ−チ防止剤を使用する場合が多い。
その際、スコ−チ防止剤はペルオキシドの有効成分を減少させるため、結果として架橋後のゴム物性を低下させる欠点があった。
一方、高温で分解・架橋が可能なジクミルペルオキシドで架橋したゴムには、ジクミルペルオキシドの分解で生成したアセトフェノンの臭気が製品中に残るといった問題が生じている。
また、ペルオキシドで架橋したゴムは全体的に硬めで応力に対する変形率(伸び変化率)が小さい等の機械的物性を示すことから、ゴム物性に求められる高弾性で高伸張の機械的物性を与える架橋剤が求められている。
本発明の目的は、スコ−チ性が少なく、機械的物性が優れ、かつ分解生成物の臭気が無い等の優れた特性を有する架橋ゴムが得られるゴム用架橋剤及びそれを用いる架橋ゴムの製造方法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記問題点を改善する目的で研究した結果、特定の化合物を架橋剤として用いることによって、それらの問題点を解決できることがわかり、本発明を完成するに至った。
即ち、第1の発明は、下記一般式(1)で示されるペルオキシドを有効成分とするゴム用架橋剤である。
【0005】
【化2】
(式中、R1、R2は炭素数3又は4のアルキル基を示す。)
第2の発明は、ゴムとペルオキシドを混合、加熱して架橋ゴムを製造する方法において、ペルオキシドとして第1の発明のゴム用架橋剤を使用することを特徴とする架橋ゴムの製造方法である。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明の実施の形態について、詳細に説明する。本発明において(1)式のペルオキシドを具体的に例示すると、ジ−t−ヘキシルペルオキシド、ジ−t−ヘプチルペルオキシド、t−ヘキシル−t−ヘプチルペルオキシド等が挙げられる。
【0007】
本発明において使用するゴムは、公知のゴムが使用できる。例えば天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、NBR、H−NBR、エチレン−プロピレンゴム、EPDM、シリコ−ンゴム、ウレタンゴム及びフッ素ゴムなどが挙げられる。
これらの中では耐熱性向上、圧縮永久歪向上の点から、NBR、H−NBR、エチレン−プロピレンゴム、EPDM、シリコ−ンゴム、ウレタンゴム及びフッ素ゴムが好ましい。
さらにH−NBR、エチレン−プロピレンゴム、EPDM、シリコ−ンゴム、フッ素ゴムはより好ましいものである。
【0008】
本発明において、ゴム用架橋剤の添加量は、ゴム100重量部に対して通常0.5〜10重量部、好ましくは1〜7重量部が用いられる。
0.5重量部未満では架橋が十分に進行しないため機械的強度に劣り、10重量部を超えると架橋度が高くなるため伸びが小さくなる傾向がある。
【0009】
本発明において、架橋助剤を併用することもできる。架橋助剤の具体例としては、例えば2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン、エチレングリコ−ルジメタクリレ−ト、ブチレングリコ−ルジメタクリレ−ト、1,3−ブチレングリコ−ルジメタクリレ−ト、トリメチロ−ルプロパントリメタクリレ−ト、トリエチレングリコ−ルジメタクリレ−ト、テトラエチレングリコ−ルジメタクリレ−ト、ポリエチレングリコ−ルジメタクリレ−ト、ペンタエリスリト−ルトリメタクリレ−ト、エチレングリコ−ルジアクリレ−ト、ブチレングリコ−ルジアクリレ−ト、1,3−ブチレングリコ−ルジアクリレ−ト、トリエチレングリコ−ルジアクリレ−ト、テトラエチレングリコ−ルジアクリレ−ト、ポリエチレングリコ−ルジアクリレ−ト、ペンタエリスリト−ルトリアクリレ−ト、トリアリルシアヌレ−ト、トリアリルイソシアヌレ−ト、N,N−m−フェニレンビスマレイミド、ポリブタジエンなどの化合物を挙げることができる。
【0010】
さらに、通常用いられる種々の添加剤、例えば酸化防止剤、顔料、紫外線安定剤、充填剤、可塑剤、滑剤などを加えることができる。
酸化防止剤としては、例えば4,4−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノ−ル)、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾ−ル等のフェノ−ル系化合物、リン系化合物或いはビス(2−メチル−4−(3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ)−5−t−ブチルフェニル)スルフィド、2,2−チオジエチレンビス(3−(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト、ジラウリルチオプロピオネ−ト等の硫黄系化合物などが挙げられる。
充填剤としては、例えばカ−ボンブラック、ケイ酸もしくはケイ酸塩類、炭酸カルシウム、タルク、クレ−などが挙げられる。
【0011】
本発明において、前記原材料の混合は、通常の混練機がすべて使用可能であるが、特にロ−ルミル、バンバリ−ミキサ−、インタ−ミックス、加圧型ニ−ダ−、スクリュ−ミキサ−などの密閉型混練機、各種押出機などで混練りおよび押出成形を行うことができる。
【0012】
その際、ゴムの架橋条件は、圧力としては100〜250kg/cm2、好ましくは150〜210kg/cm2の範囲で、加熱温度としては150〜210℃、好ましくは160〜200℃の範囲で、加熱時間としては10〜60分間、好ましくは15〜40分間の範囲で通常実施される。
【0013】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例により詳細に説明する。
尚、例中で用いる化合物の略号は以下の化合物を示し、部は重量基準である。
アミルD:ジ−t−アミルペルオキシド(純度:84%)
ヘキシルD:ジ−t−ヘキシルペルオキシド(純度:84%)
ヘプタD:ジ−t−ヘプチルペルオキシド(純度:88%)
オクタD:ジ−t−オクチルペルオキシド(純度:80%)
クミルD:ジクミルペルオキシド(純度:99%)
3M:1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(純度:90%)
H−NBR:日本ゼオン(株)製水素添加アクリロニトリル・ブタジエンゴム(商品名:ゼットポール2000)
EPDM:三井石油化学(株)製エチレン・ポリプロピレン・ジエン共重合体(商品名:EPT−4021)
【0014】
また、実施例および比較例中の物性の評価方法は以下の測定法により行った。
(引張試験)
JIS K 6251に準じて3号ダンベルに打ち抜いた試料を500mm/min、23℃で引張強さ(MPa)、伸び(%)を測定した。
(硬度試験)
JIS K 6253に準じて硬度(Shore A)を測定した。
(耐熱性試験)
JIS K 6257に準じて3号ダンペルに打ち抜いた試料をギヤ−式老化試験機により125℃、72時間熱老化させた後、老化試験の前後の引張強さ変化率(%)、伸び変化率(%)及び硬度変化率(%)として求めた。
(スコ−チタイム試験)
JIS K 6300に準拠して、ム−ニ−粘度計(APM−1、東洋精機製)を用いて、125℃の温度において最低ム−ニ−値から5ポイント上昇するまでの時間(分)を測定した。
(臭気試験)
キュラストメ−タ−(日本合成ゴム製キュラストメ−タ−V型)で架橋したゴムの臭気を確認し、臭気レベルとして以下の3段階で判定した。
レベル1:臭気が無い
レベル2:僅かに臭気が認められる
レベル3:刺激臭がある
【0015】
実施例1
EPDM100部、HAFカ−ボンブラック40部、亜鉛華5部、ステアリン酸1部およびヘキシルD 2.4部(EPDM100部に対してペルオキシ結合として0.01モル相当)を6インチロ−ル上で混練することにより、配合ゴムシ−トを作製した。
得られた配合ゴムシ−トをプレスで200kg/cm2の圧力下、170℃で30分間架橋し、架橋ゴムを作製した。次に、前記の方法に従い各種物性試験を行った。配合物の組成割合及び試験結果を表1に示した。
【0016】
【表1】
【0017】
実施例2、参考例3、実施例4、参考例5
ペルオキシドとして表1に示す種類及び添加量を使用すること以外は実施例1に準じて実施した。配合物の組成割合及び試験結果を表1に示した。
【0018】
実施例6、参考例7、実施例8、参考例9
ペルオキシド又はゴムとして表2に示す種類及び添加量を使用すること以外は実施例1に準じて実施した。配合物の組成割合及び試験結果を表2に示した。
【0019】
【表2】
【0020】
比較例1〜4
ペルオキシド又はゴムとして表3に示す種類及び添加量を使用すること以外は実施例1に準じて実施した。配合物の組成割合及び試験結果を表3に示した。
【0021】
【表3】
【0022】
表1〜3から、本発明のゴム用架橋剤を用いて得られた架橋ゴムは、既存のペルオキシドで得られた架橋ゴムと同等の引張強さ、引張強さ変化率、硬度、硬度変化率及び伸び変化率を有し、かつ伸びが非常に大きいことがわかる。
また、スコ−チタイムを延長でき、かつ、架橋ゴムの臭気を大幅に低減できるが確認できた。
【0023】
【発明の効果】
本発明のゴム用架橋剤及びそれを用いる架橋ゴムの製造方法は、特定のペルオキシドを用いることでゴムの引張強さと硬度を維持しながら、高い伸びを示す架橋ゴムを作製できると共に、スコ−チ性が小さく、かつ、分解生成物の臭気のない架橋ゴムを製造することができる。
Claims (2)
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP08233799A JP4366749B2 (ja) | 1999-03-25 | 1999-03-25 | ゴム用架橋剤及びそれを用いる架橋ゴムの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP08233799A JP4366749B2 (ja) | 1999-03-25 | 1999-03-25 | ゴム用架橋剤及びそれを用いる架橋ゴムの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000273244A JP2000273244A (ja) | 2000-10-03 |
JP4366749B2 true JP4366749B2 (ja) | 2009-11-18 |
Family
ID=13771759
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP08233799A Expired - Lifetime JP4366749B2 (ja) | 1999-03-25 | 1999-03-25 | ゴム用架橋剤及びそれを用いる架橋ゴムの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4366749B2 (ja) |
-
1999
- 1999-03-25 JP JP08233799A patent/JP4366749B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2000273244A (ja) | 2000-10-03 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6050138B2 (ja) | シール材用ゴム組成物及びこれを用いたシール材 | |
JP6896546B2 (ja) | ゴム組成物、該ゴム組成物の加硫物及び加硫成形体 | |
JP4366749B2 (ja) | ゴム用架橋剤及びそれを用いる架橋ゴムの製造方法 | |
JP2004285088A (ja) | ゴム組成物及びその加硫物 | |
JPH11246717A (ja) | ゴム組成物 | |
JP2014136759A (ja) | ゴム組成物 | |
JP7243375B2 (ja) | 有機過酸化物含有マスターバッチ、ゴム組成物、およびゴム架橋物 | |
JPS627945B2 (ja) | ||
JP3344187B2 (ja) | 耐フロン冷媒用水素化nbr組成物 | |
JP6333010B2 (ja) | シール材の製造方法 | |
JPH0242874B2 (ja) | ||
JP2005054188A (ja) | 改良された流動性を有する水素化ニトリルゴム組成物 | |
JP2006213743A (ja) | 水素化ニトリルゴム組成物 | |
JP2932740B2 (ja) | 熱風架橋用エチレン−プロピレン系共重合ゴム組成物 | |
JP2007031507A (ja) | 架橋ゴムの製造方法 | |
JP7450043B2 (ja) | エチレン・プロピレン系共重合ゴム組成物 | |
JP4059691B2 (ja) | ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤ | |
JP6932242B2 (ja) | ゴム組成物 | |
JPH07138379A (ja) | ゴム組成物の製造方法 | |
RU2595674C1 (ru) | Резиновая смесь | |
JP2003105134A (ja) | ゴム用架橋剤及びそれを用いる架橋ゴムの製造方法 | |
JP2005082711A (ja) | ゴム組成物 | |
JP2017122140A (ja) | ゴム組成物及びそれを用いたゴムシール | |
JPH023438A (ja) | ゴム組成物 | |
JPH05271478A (ja) | 低スコーチ性ゴム組成物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20060317 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20080813 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20090407 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20090602 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20090804 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20090817 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120904 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130904 Year of fee payment: 4 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |