JP4365729B2 - ロータリー圧縮機 - Google Patents
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Description
このようなロータリー圧縮機としては、例えば後記の特許文献1に記載のロータリコンプレッサが知られている。
これら第1のシリンダと第2のシリンダは仕切板によって仕切られ、それぞれ独立している。仕切板には開口孔が設けられており、この開口孔にはシャフトが挿通されている。
このシャフトには、各シリンダ内に収納される領域にそれぞれ偏心軸部が設けられており、各偏心軸部の外周にはローラが設置されている。
また、各シリンダには、付勢手段によって付勢されて常にローラの外周面と接触させられるブレードが設けられていて、このブレードとローラとによってシリンダ内の空間が仕切られている。
外形寸法を大きくせずにロータリー圧縮機の容量を増加させる方法としては、偏心軸部に係合するローラの偏心量(すなわち偏心軸部の偏心量)を大きくして、シリンダ内の有効容量を増大させる方法がある。
このため、このロータリコンプレッサでは、偏心軸部の偏心方向と反対の側では、偏心軸部と仕切板との間に、偏心軸部の偏心量に比例した大きさの隙間が形成される。
しかし、偏心軸部の偏心量が大きくなると、それに従ってローラの肉厚も大きくする必要がある。このようにローラの肉厚を大きくすると、その分、シリンダ内の有効容量が小さくなってしまう。
このように、従来のロータリー圧縮機は、偏心軸部の偏心量をあまり大きくすることができないので、外形寸法を大きくせずに大容量化を図ることは困難であった。
すなわち、本発明にかかるロータリー圧縮機は、気体を圧縮する圧縮機構部と該圧縮機構部を駆動する駆動部とを有し、前記圧縮機構部は、円筒状内面を有し内部にロータが収納される複数のシリンダが互いの間にセパレータを挟んだ状態にして軸線方向に隣接配置され、前記各シリンダには前記円筒状内面から突出する向きに付勢されて前記ロータとともに前記シリンダ内の空間を低圧空間と高圧空間とに仕切るブレードが設けられ、前記各ロータと係合するクランクシャフトが前記各シリンダ及び前記セパレータに挿通された構成とされて、該クランクシャフトを前記駆動部によって回転駆動することで前記各ロータが前記各シリンダ内で偏心回転させられて該各シリンダ内雰囲気の圧縮が行われるロータリー圧縮機であって、前記各セパレータには前記クランクシャフトが挿通される開口部が設けられており、前記クランクシャフトは、前記ロータと係合する偏心軸部が一つずつ設けられたユニットを複数連結した構成とされており、連結される前記ユニットのうちの少なくとも一方には前記偏心軸部よりも小径の連結部が設けられており、連結される前記各ユニット同士は、前記連結部を前記セパレータの前記開口部に挿通した状態で該連結部によって連結されているとともに、前記セパレータの開口部に、前記連結部を支持する軸受が設けられていることを特徴とする。
これにより、偏心軸部の偏心量を従来よりも大きくすることができ、外形を大きくすることなく、ロータリー圧縮機の大容量化を図ることができる。
このため、本発明にかかるロータリー圧縮機では、従来よりもクランクシャフトの生産性を向上させたり、従来の一体のクランクシャフトでは実現することが不可能または困難であった構成を容易に実現することができる。例えば、本発明にかかるロータリー圧縮機では、異なるユニットにそれぞれ油供給経路を設けることで、クランクシャフトにおいて各シリンダ内に位置する領域ごとに独立した油供給経路を容易に設けることができる。
このため、セパレータの開口部に設けられた軸受に連結部を挿入し、この状態で各ユニットを連結することで、連結部が軸受を介してセパレータに支持されたクランクシャフトが形成される。すなわち、上記本発明の構成は、請求項1記載の構成を採用することによって初めて実現可能となった新規な構成である。
ここで、ロータリー圧縮機が、各シリンダを鉛直方向に配列してなるロータリー圧縮機(縦置型ロータリー圧縮機)である場合には、潤滑油供給経路は、軸受との摺動面のうち、上端側に開口させることが好ましい。これにより、潤滑油供給経路から摺動面に供給された潤滑油が、重力によって下方に移動して摺動面の下端側にも供給されるので、摺動面全体に確実に潤滑油を供給することができる。
従来の縦置型ロータリー圧縮機では、圧縮機構部の下端を下部マフラで覆い、圧縮機構部のうちの下部のシリンダについては排気を下部マフラ内の空間に一旦吐出させて圧縮気体と潤滑油とを分離して潤滑油を回収した後、潤滑油が除去された圧縮気体をロータリー圧縮機の後段に送出する構成とされていた。
このため、従来の縦置型ロータリー圧縮機では、圧縮機構部の下方に下部マフラを設けるためのスペースが必要であった。
このため、このロータリー圧縮機では、下部マフラを省いて、圧縮機構部の高さ方向の寸法を低減することができるので、さらなる小型化が可能である。
このため、他端側を構成するユニットでは、一端側を構成するユニットよりも偏心軸部の偏心量を大きくしつつ、一端側を構成するユニットと慣性モーメントを同程度に保つことができる。
この構成では、一段圧縮によって最終的な吐出圧の圧縮気体を得る構成のロータリー圧縮機に比べて、これら直列に接続されるシリンダのそれぞれにおける気体の圧縮比が小さくなるので、一段圧縮のロータリー圧縮機に比べて、各シリンダ内でロータ及びブレードによって仕切られる空間のうちの低圧空間(吸気側空間)と高圧側空間(吐出側空間)との間の圧力差が小さくて済む。
また、この構成を請求項5に記載のロータリー圧縮機に適用して、一端側のユニットが設けられるシリンダと他端側のユニットが設けられるシリンダとを直列に接続した場合には、前段の圧縮に用いられるシリンダと後段の圧縮に用いられるシリンダとで圧縮比を変えることができるので、圧縮対象の気体の性質に応じてより細かい圧縮条件の設定を行うことができる。
一方、ロータリー圧縮機の駆動部としては一般的に駆動モータが用いられているが、駆動モータのコイルは熱に弱く、高温環境下では絶縁破壊を起こしたり、コイルの結束が解けてしまうなどの不都合が生じる。
本発明にかかるロータリー圧縮機では、より高温となる後段のシリンダが駆動部から遠ざけられているので、熱による駆動部の損傷を防止することができ、信頼性が高く、長寿命である。
しかし、この構成では、ハウジング全体に最終的な吐出圧が加わるので、ハウジング全体にこの高圧に耐えうるだけの強度を持たせる必要があり、製造コストが高かった。
これに対して、本発明にかかるロータリー圧縮機では、最も内圧が高くなる高圧側領域がハウジングの端部に設けられているので、ハウジングは、高圧側領域を構成する端部及びシリンダ隔壁にのみ、最終的な吐出圧に耐えられるだけの強度を持たせておけばよいので、製造コストが低くて済む。
すなわち、このロータリー圧縮機では、駆動部が圧縮機構部によって加圧された高温の圧縮気体から隔離されており、かつ、駆動部が最も低温の気体によって冷却されるので、熱による駆動部の損傷が生じにくく、信頼性が高く寿命が長い。
また、このロータリー圧縮機では、第一領域が油分離器として作用するので、吐出する圧縮気体から潤滑油を回収することができる。
[第一実施形態]
以下、本発明の第一実施形態について、図1から図3を用いて説明する。
本実施形態にかかるロータリー圧縮機1は、ルームエアコンやパッケージエアコン等の空気調和装置の冷媒回路上に設けられて、この冷媒回路内を流通する気体冷媒の圧縮に用いられるものである。
図1に示すように、ロータリー圧縮機1は、密封容器であるハウジング2を有しており、このハウジング2内には、冷媒回路から供給される気体冷媒を圧縮する圧縮機構部3と、この圧縮機構部3を駆動する駆動部4とが収納されている。
また、ハウジング2の下部側面には、外部から冷媒回路の冷媒配管P1,P2が挿入されており、これら冷媒配管P1,P2によって圧縮機構部3に冷媒回路の気体冷媒が供給されるようになっている。
ここで、図示しないが、ハウジング2の底部には、圧縮機構部3の潤滑等に用いられる潤滑油が貯留されている。
ここで、ハウジング2の天井部には、外部から冷媒配管P3が挿通されており、この冷媒配管P3を通じて、ハウジング2内に一時的に貯留された圧縮気体が冷媒回路の下流側に送り込まれるようになっている。
各シリンダ11の内部には、それぞれ円筒状内面12よりも小径の円筒状のロータ14が、その軸線を円筒状内面12の軸線と略平行にして設けられている。
ここで、各偏心軸部17は、偏心方向をクランクシャフト16の軸線まわりに約180°ずらして設けられている(すなわち軸線まわりの位相が約180°ずれている)。これにより、クランクシャフト16が回転駆動された際に一方の偏心軸部17に生じる慣性モーメントと他方の偏心軸部17に生じる慣性モーメントとが互いに打ち消し合って、クランクシャフト16の回転が安定する。
また、これらシリンダ11の列の一端側及び他端側にはそれぞれ端部軸受18が取り付けられており、これら端部軸受18によってクランクシャフト16が軸線回りの回転を可能にして支持されている。
ここで、本実施形態では、圧縮機構部3には、シリンダ11として第一シリンダ11aと第二シリンダ11bとが設けられており、これら第一、第二シリンダ11a,11bは、互いの間にセパレータ13を挟み込んだ状態にして、略鉛直方向に配列されている。なお、以降の説明では、これらシリンダ11のうち、上方に配置されるシリンダ11を第一シリンダ11aとし、下方に配置されるシリンダ11を第二シリンダ11bとする。
第一シリンダ11aの径方向外側の領域には、上下面に開口される貫通孔が複数設けられており、この貫通孔を通じて、ハウジング2内での第一シリンダ11aの上方側の領域と下方側の領域との間での圧縮気体等の流通が許容されている。
また、第一シリンダ11aにおいて径方向内側の領域には、上下に開口する通気路21が設けられている。
また、この貫通孔22の上端は端部軸受18によって閉塞されており、下端はセパレータ13によって閉塞されている。
このため、ロータ14の外周面と円筒状内面12とによって囲まれる空間からロータ14の内周面に囲まれる空間への気体の漏れが防止されている。
また、第一シリンダ11aの円筒状内面12には、円筒状内面12と上面の径方向内側の領域とを接続する排気ポート24が、吸気口23の開口端に対して円周方向に隣接して形成されている。ここで、図示しないが、排気ポート24またはその後段には、第一シリンダ11aからの排気方向の気体の流通のみ許容するとともに排気ポート24に供給される気体の圧力が目標吐出圧以上となった場合にのみ気体の流通を許容する弁が設けられている。
また、第一シリンダ11aにおいてこのスリット26の径方向外側の端部には、上下面に開口して内部がハウジング2内に連通された圧力室27が設けられている。
このブレード28は、貫通孔22の長さとほぼ同一幅でスリット26の幅とほぼ同一の厚みとされている。このブレード28は、圧力室27側を向く端面で圧力室27の内圧(ハウジング2の内圧)を受けていて、この圧力によって円筒状内面12から貫通孔22内に突出する向きに付勢されている。ここで、ブレード28とスリット26の内面との間、ブレード28とセパレータ13との間、及びブレード28と端部軸受18との間は、第一シリンダ11a内に供給された潤滑油によって封止されるようになっている。
具体的には、ロータ14が円筒状内面12のうちスリット26の近傍部分にのみ接している位置からロータ14が偏心回転すると、第一シリンダ11a内には吸気口23側に低圧空間SLが形成される。低圧空間SLの容量は、ロータ14の回転が進行するとともに次第に増加するので、これによって吸気口23から低圧空間SL内に気体が取り込まれる。
ここで、第二シリンダ11bにおいても、第一シリンダ11aと同様に内部に潤滑油が供給されて、各部材間が潤滑油によって封止されるようになっている。
図1及び図3に示すように、セパレータ13には、開口部13aに挿通されるクランクシャフト16を回転可能にして支持する中間部軸受29が設けられている。本実施形態では、中間部軸受29は、開口部13a内に軸受メタル13bを挿入した構成のすべり軸受とされている。
端部軸受18は、円筒状の軸受本体31と、軸受本体31においてシリンダ11側の端部に設けられてこのシリンダ11の径方向内側の領域を覆うフランジ32とを有しており、各端部軸受18は、それぞれシリンダ11に対して略同軸にして取り付けられている。本実施形態では、端部軸受18は、軸受本体31内に軸受メタル33を挿入した構成のすべり軸受とされている。
さらに、上部マフラ36a内の空間には、フランジ32の通気路を通じて第一シリンダ11aの通気路21が接続されており、下部マフラ36b内の圧縮気体が第二シリンダ11bの通気路21、セパレ−タ13の通気路、及び第一シリンダ11aの通気路21を通じて上部マフラ36a内に送り込まれるようになっている。
すなわち、この圧縮機構部3では、第一シリンダ11aの吐出する圧縮気体と第二シリンダ11bの吐出する圧縮気体とが上部マフラ36a内で合流されるようになっている。
このようにしてハウジング2内に供給された高圧の圧縮気体は、冷媒配管P3を通じて冷媒回路の下流側に供給されるようになっている。また、この圧縮気体は、各シリンダ11の圧力室27内にも供給されるようになっており、その圧力がブレード28の付勢力として利用される。
これにより、クランクシャフト16の下端から縦穴38内に進入した潤滑油が、クランクシャフト16が回転駆動されることによって生じた遠心力によって縦穴38の内周面に沿って上昇させられるとともに各横穴39を通じてクランクシャフト16外に送出されて、潤滑対象部位に供給されるようになっている。
本実施の形態では、クランクシャフト16は、上端からセパレータ13の開口部13a内に挿入される部位までを構成する第一ユニット16aと、セパレータ13の開口部13a内に挿入される部位から下端までを構成する第二ユニット16bとを有している。
これら第一ユニット16aと第二ユニット16bとは、雌型連結部42をセパレータ13の開口部13a内に挿入した状態で、雌型連結部42の嵌合穴42aに雄型連結部43を圧入することによって連結されている。
さらに、第一ユニット16aには、雌型連結部42の外周面まで通じる第二横穴39bが設けられており、この第二横穴39bを通じて、セパレータ13の開口部13a内に設置された中間部軸受29との摺動面に潤滑油が供給されるようになっている。
この構成では、中間部軸受29との摺動面に供給された潤滑油は、重力によって下方に移動して摺動面の下端側にも供給されることとなり、摺動面全体に確実に潤滑油を供給することができる。
これにより、偏心軸部17の偏心量を従来よりも大きくすることができ、外形を大きくすることなく、ロータリー圧縮機1の大容量化を図ることができる。
本実施形態にかかるロータリー圧縮機1では、セパレータ13の開口部13aに設けられた中間部軸受29に連結部41を挿入し、この状態で第一ユニット16aと第二ユニット16bとを連結することで、連結部41が中間部軸受29を介してセパレータ13に支持されたクランクシャフト16を形成することができる。
すなわち、この構成は、クランクシャフト16を複数のユニットによって構成するという本実施形態にかかるロータリー圧縮機1に特徴的な構成を採用することによって初めて実現可能となった新規な構成である。
すなわち、このロータリー圧縮機1では、一般的なロータリー圧縮機と同様に、クランクシャフトを利用した潤滑油供給機構を有しているので、従来の潤滑油供給機構から構成を大きく変えることなく、簡略な構造で、中間部軸受29への潤滑油の供給を実現することができる。
次に、本発明の第二実施形態について、図4から図8を用いて説明する。
本実施形態にかかるロータリー圧縮機51は、図4の縦断面図に示すように、第一実施形態に示すロータリー圧縮機1において、圧縮機構部3の代わりに、圧縮機構部3の一部構成を変更した圧縮機構部53を用いたことを主たる特徴とするものである。
以下では、第一実施形態に示すロータリー圧縮機1と同様または同一の構成については同じ符号を用いて示し、詳細な説明を省略する。
本実施形態では、駆動部4からの駆動力が入力される第一ユニット16aは強度に優れた鉄製として十分な耐久性及び信頼性を確保しつつ、第一ユニット16aに比べて負荷の少ない第二ユニット16bは、鉄よりも軽量なアルミニウム製またはアルミニウム基合金製としている。
これらの構成を採用したことにより、第二シリンダ11bの容量が第一シリンダ11aの容量よりもさらに増加している。
これにより、クランクシャフト16を回転駆動した際の慣性モーメントのバランスを良好に保ったまま、下端側の第二シリンダ11bの容量を上端側の第一シリンダ11aの容量よりもさらに増加させて、さらなる大容量化を図ることができる。
また、この圧縮機構部53では、図4及び図6に示すように、第二シリンダ11bの排気ポート24は、第一シリンダ11aの排気ポート24と同様に、円筒状内面12と上面の径方向内側の領域とを接続する構成とされている。
ここで、この圧縮機構部53では、図4に示すように、下側の端部軸受18の代わりに、平板状の端部軸受68を用いている。この端部軸受68には、端部軸受18で設けられていた通気路は設けられていない。
垂直部66a内には、弁体67aの上方に、弁体67aを下方に向けて付勢する付勢部材67bが配置されている。本実施形態では、付勢部材67bとしてコイルスプリングを用いている。
この構成により、第二シリンダ11bの排気ポート24から垂直部66a内に供給された排気の圧力によって弁体67aが付勢部材67bの付勢力に逆らって押し上げられることで縮径部66cが開放されて、通気路66を通じた排気の通過が許容されるようになっている。また、垂直部66a内の内圧が付勢部材67bの付勢力を下回っている状態(すなわち第二シリンダ11bから圧縮気体が吐出されていない状態)では、付勢部材67bの付勢力によって弁体67aが縮径部66cに押し付けられてこれを閉塞し、吐出経路66から第二シリンダ11bへの圧縮気体の逆流が防止される。
すなわち、垂直部66a及び弁体67aは、吐出経路66内に送り込まれた圧縮気体から潤滑油を分離して第二シリンダ11bに戻す油分離器67を構成している。
セパレータ73は、セパレータ63において、吐出経路66の垂直部66a内に弁体67a、付勢部材67b、及び縮径部66cを設ける代わりに、水平部66b内に、垂直部66aの上端を閉塞するリーフ弁76を設けた構成とされている。
また、垂直部66a内の内圧がリーフ弁76の弾性力を下回っている状態(すなわち第二シリンダ11bから圧縮気体が吐出されていない状態)では、リーフ弁76の弾性力によってその一端が垂直部66aの上端に押し付けられてこれを閉塞し、吐出経路66から第二シリンダ11bへの圧縮気体の逆流が防止されるようになっている。
すなわち、このロータリー圧縮機71では、水平部66b及びリーフ弁76は、吐出経路66内に送り込まれた圧縮気体から潤滑油を分離して第二シリンダ11bに戻す油分離器77を構成している。
次に、本発明の第三実施形態について、図10を用いて説明する。
本実施形態にかかるロータリー圧縮機81は、図10の縦断面図に示すように、第二実施形態に示すロータリー圧縮機51において、圧縮機構部53の代わりに、圧縮機構部3の一部構成を変更した圧縮機構部83を用いたことを主たる特徴とするものである。
以下では、第二実施形態に示すロータリー圧縮機51と同様または同一の構成については同じ符号を用いて示し、詳細な説明を省略する。
また、第二セパレータ93は、セパレータ63とほぼ同様の構成とされている。
クランクシャフト86は、クランクシャフト16において、第一ユニット16aの代わりに、上部が駆動部4に保持されて下部が第三シリンダ11c及び第三シリンダ11c内のロータ14に挿通される第三ユニット16cと、第三ユニット16cと第二ユニット16bとの間に設けられて第一シリンダ11a及び第一シリンダ11a内のロータ14に挿通される第四ユニット16dとを設けた構成とされている。
第三ユニット16cと第四ユニット16dとは、互いの雌型連結部42と雄型連結部43とを第二セパレータ93の開口部に挿通した状態で、これら雌型連結部42と雄型連結部43とを嵌合させることによって連結されている。また、セパレータ93には、その開口部13aに挿通されるクランクシャフト16を回転可能にして支持する中間部軸受29が設けられている。
また、第三ユニット16c及び第四ユニット16dには、それぞれ潤滑油供給経路37の縦穴38と横穴39とが設けられており、これらを通じて第三シリンダ11c内及び第一シリンダ11a内に潤滑油が供給されるようになっている。
また、これら第二、第三、及び第四ユニット16b、16c、16dは、それぞれの偏心軸部17の偏心方向をクランクシャフト86の軸線まわりに約120°ずらした状態にして連結されていて、クランクシャフト86の軸線回りの慣性モーメントの釣り合いが保たれている。
第二セパレータ93は、第二実施形態で示したセパレータ63において、吐出経路66の水平部66bを、第三シリンダ11cの下面に開口する通気路21に対向する領域まで設け、さらに第一シリンダ11aの排気ポート24に対向する領域から水平部66b内まで通じる第二吐出経路(図示せず)を設けた構成とされている。
すなわち、この圧縮機構部83は、第一シリンダ11aの排気と第二シリンダ11bの排気とが第二セパレータ83の吐出経路66(図10では図示せず)内で合流する構成とされている。
第三シリンダ11cの通気路21は、第二セパレータ93の吐出経路66によって第一シリンダ11aの排気ポート24と接続されている。また、第三シリンダ11cの通気路21は、吐出経路66及び第二吐出経路によって第二シリンダ11bの排気ポート24と接続されている。すなわち、第三シリンダ11cは、圧縮機構部83内の気体の流通経路上で、第一、第二シリンダ11a,11bに対して直列に接続されている。
すなわち、この圧縮機構部83は、直列に接続された複数のシリンダ11によって多段圧縮する構成とされている。
次に、本発明の第四実施形態について、図11を用いて説明する。
本実施形態にかかるロータリー圧縮機101は、図11の縦断面図に示すように、第一実施形態に示すロータリー圧縮機1において、圧縮機構部3の代わりに、圧縮機構部3の一部構成を変更した圧縮機構部103が用いられ、ハウジング2内に、ハウジング2内を圧縮機構部103が設けられる下部側の領域(以下第一領域S1とする)と駆動部4が設けられる上部側の領域(以下第二領域S2とする)とに仕切る主隔壁106が設けられた構成とされている。
以下では、第一実施形態に示すロータリー圧縮機1と同様または同一の構成については同じ符号を用いて示し、詳細な説明を省略する。
すなわち、第二領域S2は、このロータリー圧縮機101に供給される気体冷媒が圧縮機構部103に送り込まれる前に通過する通路とされている。
圧縮機構部103は、第一実施形態で示す圧縮機構部3において、第一、第二シリンダ11a,11bの通気路21、セパレータ13の通気路、下側の端部軸受18に設けられる通気路のうち第二シリンダ11bの通気路21に接続される通気路、及び上部マフラ36aをなくした構成とされている。
一方、第二シリンダ11bの吸気口23には冷媒配管P5が挿入されており、第二シリンダ11b内には、冷媒配管P5を通じて圧縮対象の気体冷媒が供給されるようになっている。
また、このロータリー圧縮機101では、第一領域S1が油分離器として作用するので、吐出する圧縮気体から潤滑油を回収することができる。
このため、このロータリー圧縮機101では、駆動部4が圧縮機構部104によって加圧された高温の圧縮気体から隔離されており、かつ、駆動部4が最も低温の気体によって冷却されるので、熱による駆動部4の損傷が生じにくく、信頼性が高く寿命が長い。
次に、本発明の第五実施形態について、図12及び図13を用いて説明する。
本実施形態にかかるロータリー圧縮機111は、図12の縦断面図に示すように、第四実施形態に示すロータリー圧縮機101において、圧縮機構部103の代わりに、圧縮機構部3の一部構成を変更した圧縮機構部113を用いたものであるとされている。
以下では、第四実施形態に示すロータリー圧縮機101と同様または同一の構成については同じ符号を用いて示し、詳細な説明を省略する。
また、ハウジング2には、第一領域S1を、後段側圧縮機構部113bが収納される高圧領域Hと低圧領域Lとに仕切るシリンダ隔壁116が設けられている。このシリンダ隔壁116は、後述するように第四シリンダ11d内の空間と第一シリンダ11a内の空間とを仕切るセパレータを兼ねている。
また、第一シリンダ11a及び第二シリンダ11bの排気は、低圧領域L内に吐出されて一時的に貯留されるようになっている。すなわち、ロータリー圧縮機111の運転中は、前段圧縮機構部113aが収納される低圧領域Lの内圧は、第一、第二シリンダ11a,11bの内圧以上に保たれる。これにより、第一及び第二シリンダ11a,11b内でのブレード28の動作及び第一及び第二シリンダ11a,11b内の各部への潤滑油の供給及び潤滑油による各部の封止が良好に行われるようになっている。
ここで、第四シリンダ11dの上面は、上側の端部軸受18によって覆われており、第四シリンダ11dの下面は、シリンダ隔壁116によって覆われている。
第四シリンダ11dは、その吸気口23が、シリンダ隔壁116に設けられた通気路を通じて低圧領域Lに連通されており、これによって低圧領域L内の圧縮気体が第四シリンダ11d内に送り込まれるようになっている。なお、このとき、第一シリンダ11a及び第二シリンダ11b内に供給された潤滑油の一部も、圧縮気体とともに第四シリンダ11d内に送り込まれる。
また、下部プレート117には、第一シリンダ11aの排気ポート24と低圧領域Lとを接続する通気路が設けられている。
この油溜め121には、後段圧縮機構部113bの各部の潤滑や封止に用いられる潤滑油が貯留される。
また、油戻し121aをキャピラリによって構成した場合には、キャピラリを通じて単位時間内に低圧領域Lに送り込まれる潤滑油の量が単位時間に低圧領域Lから圧縮気体とともに送り込まれる潤滑油とほぼ同じ量となるように、適切な抵抗を有するキャピラリを用いる。
クランクシャフト126は、クランクシャフト16と同様に、それぞれ偏心軸部17が一つずつ設けられたユニットを複数連結してなるものである。
そして、第一ユニット126aと第二ユニット126bとは、それぞれに設けられた連結部をシリンダ隔壁116に設けられた貫通孔122に挿通した状態で、これら連結部によって連結されている。また、第二ユニット126bと第三ユニット126cとは、それぞれに設けられた連結部をセパレータ13に設けられた開口部に挿通した状態で、これら連結部によって連結されている。
第二潤滑油供給経路128は、第三ユニット126cの下端から第二ユニット126bの上端近傍まで軸線に沿って形成された縦穴128aと、第二ユニット126b及び第三ユニット126cのそれぞれにおいて縦穴128aの内周面から外周面において潤滑対象部位に対向する領域まで設けられた横穴128bとを有している。
次に、本発明の第六実施形態について、図14を用いて説明する。
本実施形態にかかるロータリー圧縮機131は、図14の縦断面図に示すように、第五実施形態に示すロータリー圧縮機111において、圧縮機構部113の代わりに、圧縮機構部113の一部構成を変更した圧縮機構部133を用いたことを主たる特徴とするものである。
以下では、第五実施形態に示すロータリー圧縮機111と同様または同一の構成については同じ符号を用いて示し、詳細な説明を省略する。
また、第一シリンダ11a及び第二シリンダ11bの排気は、低圧領域L内に吐出されて一時的に貯留されるようになっている。
後段圧縮機構部113bにおいて、第五シリンダ11eの上面はシリンダ隔壁136によって覆われており、第五シリンダ11eの下面は、下側の端部軸受18によって覆われている。
そして、第五シリンダ11eが圧縮した高圧の圧縮気体は、下側の端部軸受18の通気路を通じて下部マフラ36b内に一旦吐出されて潤滑油が除去されたのちに、下部マフラ36bを通じて高圧領域H内に吐出されて一時的に貯留されるようになっている。
この油溜め141には、前段圧縮機構部113aの各部の潤滑や封止に用いられる潤滑油が貯留される。
なお、シリンダ隔壁136に設けられる配管136aは、上端が油溜め141の油貯留領域よりも上方まで設けられており、これによって後段圧縮機構113bには低圧領域L内の圧縮気体のみ送り込まれるようになっている。
クランクシャフト146は、クランクシャフト16と同様に、それぞれ偏心軸部17が一つずつ設けられたユニットを複数連結してなるものである。
そして、第一ユニット146aと第二ユニット146bとは、それぞれに設けられた連結部をセパレータ13の開口部13aに挿通した状態で、これら連結部によって連結されている。また、第二ユニット146bと第三ユニット146cとは、それぞれに設けられた連結部をシリンダ隔壁136の貫通孔142に挿通した状態で、これら連結部によって連結されている。
第二潤滑油供給経路148は、第三ユニット146cの下端から上端近傍まで軸線に沿って形成された縦穴148aと、第三ユニット146cにおいて縦穴148aの内周面から外周面において潤滑対象部位に対向する領域まで設けられた横穴(図示せず)とを有している。
2 ハウジング
3,53,83,103,113,133 圧縮機構部
4 駆動部
11a〜11e 第一〜第五シリンダ
12 円筒状内面
13,63,73 セパレータ
13a 開口部
14 ロータ
16,86,126,146 クランクシャフト
16a〜16d 第一〜第四ユニット
17 偏心軸部
28 ブレード
29 中間部軸受
37 潤滑油供給経路
41 連結部
66 吐出経路
67,77 油分離器
93 第二セパレータ
106 主隔壁
116,136 シリンダ隔壁
126a〜126c 第一〜第三ユニット
127,147 第一潤滑油供給経路
128,148 第二潤滑油供給経路
146a〜146c 第一〜第三ユニット
H 高圧領域
S1 第一領域
S2 第二領域
SH 高圧空間
SL 低圧空間
Claims (8)
- 気体を圧縮する圧縮機構部と該圧縮機構部を駆動する駆動部とを有し、前記圧縮機構部は、円筒状内面を有し内部にロータが収納される複数のシリンダが互いの間にセパレータを挟んだ状態にして軸線方向に隣接配置され、前記各シリンダには前記円筒状内面から突出する向きに付勢されて前記ロータとともに前記シリンダ内の空間を低圧空間と高圧空間とに仕切るブレードが設けられ、前記各ロータと係合するクランクシャフトが前記各シリンダ及び前記セパレータに挿通された構成とされて、該クランクシャフトを前記駆動部によって回転駆動することで前記各ロータが前記各シリンダ内で偏心回転させられて該各シリンダ内雰囲気の圧縮が行われるロータリー圧縮機であって、
前記各セパレータには前記クランクシャフトが挿通される開口部が設けられており、
前記クランクシャフトは、前記ロータと係合する偏心軸部が一つずつ設けられたユニットを複数連結した構成とされており、
連結される前記ユニットのうちの少なくとも一方には前記偏心軸部よりも小径の連結部が設けられており、連結される前記各ユニット同士は、前記連結部を前記セパレータの前記開口部に挿通した状態で該連結部によって連結されているとともに、
前記セパレータの開口部に、前記連結部を支持する軸受が設けられていることを特徴とするロータリー圧縮機。 - 前記クランクシャフトには、前記軸受との摺動面に潤滑油を供給するための潤滑油供給経路が設けられていることを特徴とする請求項1記載のロータリー圧縮機。
- 前記各シリンダが鉛直方向に配列されており、
前記セパレータには、下方に位置する前記シリンダから吐出される圧縮気体をこのロータリー圧縮機内での前記圧縮気体の流通経路の下流側へと導く吐出経路と、
前記下方のシリンダより前記吐出経路内に送り込まれた前記圧縮気体から潤滑油を分離して前記下方のシリンダに戻す油分離器とが設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のロータリー圧縮機。 - 前記クランクシャフトは、前記駆動部に一端側を保持されて該一端側から前記駆動部の駆動力を入力されており、
前記クランクシャフトを構成する前記ユニットのうち前記クランクシャフトの他端側を構成する前記ユニットは、前記一端側を構成するユニットよりも軽量な材質によって構成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のロータリー圧縮機。 - 前記各シリンダのうちの少なくとも一部のシリンダが、前記圧縮機構部の前記気体の流通経路上で直列に接続されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のロータリー圧縮機。
- 前記直列に接続されるシリンダのうち、前記流通経路の上流側のシリンダが、下流側のシリンダよりも前記クランクシャフトの一端側に配置されていることを特徴とする請求項5記載のロータリー圧縮機。
- 前記圧縮機構部は、両端が閉じられた筒形状をなし内部に前記シリンダのうちの少なくとも一つの吐出する圧縮気体が一時貯留されるハウジング内に設置されていて、前記シリンダのうち少なくとも前記流通経路の最下流のシリンダでは前記ブレードが前記ハウジングの内圧によって付勢される構成とされており、
前記最下流のシリンダは、前記ハウジングの軸線方向の端部に配置され、
前記ハウジング内には、前記最下流のシリンダが収納される高圧領域と他の前記シリンダが収納される領域とを仕切るシリンダ隔壁が設けられており、
前記高圧領域には、前記最後段の圧縮に用いられるシリンダの吐出する圧縮気体が供給されることを特徴とする請求項5または6に記載のロータリー圧縮機。 - 前記圧縮機構部及び前記駆動部は同一のハウジング内に設置されており、
該ハウジング内には、該ハウジング内の空間を前記圧縮機構部が配置される第一領域と前記駆動部が設けられる第二領域とに仕切る主隔壁が設けられており、
前記第一領域は前記圧縮機構部の前記シリンダのうちの少なくとも一つの吐出する圧縮気体を一時貯留する空間とされており、
前記第二領域は、このロータリー圧縮機に供給される圧縮対象の気体が前記圧縮機構部に送り込まれる前に通過する通路とされていることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のロータリー圧縮機。
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