JP4365729B2 - ロータリー圧縮機 - Google Patents

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本発明は、ロータリー圧縮機に関するものである。
ロータリー圧縮機は、例えば、ルームエアコンやパッケージエアコン等の空気調和装置において、冷媒回路内での気体冷媒の圧縮に用いられるものである。
このようなロータリー圧縮機としては、例えば後記の特許文献1に記載のロータリコンプレッサが知られている。
このロータリコンプレッサは、密封ケースと、この密封ケース内に設けられる第1のシリンダと第2のシリンダとから構成される圧縮機構部とを有している。
これら第1のシリンダと第2のシリンダは仕切板によって仕切られ、それぞれ独立している。仕切板には開口孔が設けられており、この開口孔にはシャフトが挿通されている。
このシャフトには、各シリンダ内に収納される領域にそれぞれ偏心軸部が設けられており、各偏心軸部の外周にはローラが設置されている。
また、各シリンダには、付勢手段によって付勢されて常にローラの外周面と接触させられるブレードが設けられていて、このブレードとローラとによってシリンダ内の空間が仕切られている。
ロータリコンプレッサは、シャフトを回転駆動することで偏心軸部に係合するローラを各シリンダ内で偏心回転させて、各シリンダ内でブレードとローラとによって仕切られる空間の容積を変化させ、これによって各シリンダ内への吸気、各シリンダ内雰囲気の圧縮、圧縮したシリンダ雰囲気の吐出動作を連続的に繰り返すものである。
特開平8−144976号公報(段落[0016],及び図1、図2)
ロータリー圧縮機としては、小型でありながら大容量のものが求められている。
外形寸法を大きくせずにロータリー圧縮機の容量を増加させる方法としては、偏心軸部に係合するローラの偏心量(すなわち偏心軸部の偏心量)を大きくして、シリンダ内の有効容量を増大させる方法がある。
しかし、特許文献1に記載のロータリコンプレッサは、シャフトの一方の偏心軸部に仕切板の開口部をくぐらせることによってシャフトを仕切板の開口孔に挿通する組立を前提とする構成とされているので、仕切板の開口孔の径は偏心軸部の径よりも大径とされている。
このため、このロータリコンプレッサでは、偏心軸部の偏心方向と反対の側では、偏心軸部と仕切板との間に、偏心軸部の偏心量に比例した大きさの隙間が形成される。
このロータリコンプレッサでは、この隙間がローラの外周縁内に常に位置するようにローラの肉厚(径方向の厚み)が設定されていて、これにより、シリンダ内でローラの径方向外側に位置する空間(気体の圧縮に利用される空間)とこの隙間とがローラによって隔離されて、シリンダ内で圧縮される気体のシリンダ外への漏れが防止されている。
しかし、偏心軸部の偏心量が大きくなると、それに従ってローラの肉厚も大きくする必要がある。このようにローラの肉厚を大きくすると、その分、シリンダ内の有効容量が小さくなってしまう。
このように、従来のロータリー圧縮機は、偏心軸部の偏心量をあまり大きくすることができないので、外形寸法を大きくせずに大容量化を図ることは困難であった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、小型でありながら大容量を実現することができるロータリー圧縮機を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のロータリー圧縮機は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明にかかるロータリー圧縮機は、気体を圧縮する圧縮機構部と該圧縮機構部を駆動する駆動部とを有し、前記圧縮機構部は、円筒状内面を有し内部にロータが収納される複数のシリンダが互いの間にセパレータを挟んだ状態にして軸線方向に隣接配置され、前記各シリンダには前記円筒状内面から突出する向きに付勢されて前記ロータとともに前記シリンダ内の空間を低圧空間と高圧空間とに仕切るブレードが設けられ、前記各ロータと係合するクランクシャフトが前記各シリンダ及び前記セパレータに挿通された構成とされて、該クランクシャフトを前記駆動部によって回転駆動することで前記各ロータが前記各シリンダ内で偏心回転させられて該各シリンダ内雰囲気の圧縮が行われるロータリー圧縮機であって、前記各セパレータには前記クランクシャフトが挿通される開口部が設けられており、前記クランクシャフトは、前記ロータと係合する偏心軸部が一つずつ設けられたユニットを複数連結した構成とされており、連結される前記ユニットのうちの少なくとも一方には前記偏心軸部よりも小径の連結部が設けられており、連結される前記各ユニット同士は、前記連結部を前記セパレータの前記開口部に挿通した状態で該連結部によって連結されているとともに、前記セパレータの開口部に、前記連結部を支持する軸受が設けられていることを特徴とする。
このように構成されるロータリー圧縮機では、圧縮機構部を構成するクランクシャフトの各偏心軸部はそれぞれ別個のユニットに設けられている。そして、これらユニット同士の間にセパレータを配置し、セパレータの開口部に偏心軸部よりも小径の連結部を挿通した状態で、これらユニット同士をこの連結部によって接続することによって、各偏心軸部間にセパレータが配置されたクランクシャフトが形成される。
すなわち、本発明にかかるロータリー圧縮機では、組み立ての際に、従来のようにセパレータの開口部に偏心軸部を通過させる必要がないので、開口部の大きさを著しく低減することができる。
これにより、偏心軸部の偏心量を従来よりも大きくすることができ、外形を大きくすることなく、ロータリー圧縮機の大容量化を図ることができる。
また、このように構成されるロータリー圧縮機では、クランクシャフトが複数のユニットによって構成されており、各ユニットごとに加工を施すことができるので、クランクシャフトを単一の部材によって構成した場合に比べて、クランクシャフトの加工の自由度が高い。
このため、本発明にかかるロータリー圧縮機では、従来よりもクランクシャフトの生産性を向上させたり、従来の一体のクランクシャフトでは実現することが不可能または困難であった構成を容易に実現することができる。例えば、本発明にかかるロータリー圧縮機では、異なるユニットにそれぞれ油供給経路を設けることで、クランクシャフトにおいて各シリンダ内に位置する領域ごとに独立した油供給経路を容易に設けることができる。
また、このロータリー圧縮機は、前記セパレータの開口部に、前記連結部を支持する軸受が設けられているため、クランクシャフトが偏心軸部間の領域でも軸受によって支持され、従って、ロータリー圧縮機の運転中にクランクシャフトにたわみが生じにくく、信頼性が高い。
ここで、従来のロータリー圧縮機では、偏心軸部を有するクランクシャフトが単一の部材によって構成されていて、偏心軸部に軸受をくぐらせることができないので、クランクシャフトの偏心軸部間の領域に軸受を装着することができない。このため、従来のロータリー圧縮機では、クランクシャフトの端部のみが軸受によって支持されている。
これに対して、本発明にかかるロータリー圧縮機は、前記のように、クランクシャフトが偏心軸部を有するユニットを複数連結した構成とされており、各ユニットは、偏心軸部よりも小径の連結部をセパレータの開口部に挿通した状態でこの連結部によって連結されている。
このため、セパレータの開口部に設けられた軸受に連結部を挿入し、この状態で各ユニットを連結することで、連結部が軸受を介してセパレータに支持されたクランクシャフトが形成される。すなわち、上記本発明の構成は、請求項1記載の構成を採用することによって初めて実現可能となった新規な構成である。
また、このロータリー圧縮機において、前記クランクシャフトには、前記軸受との摺動面に潤滑油を供給するための潤滑油供給経路が設けられていてもよい。
ここで、一般的に、ロータリー圧縮機には、各シリンダ内への潤滑油の供給を行う潤滑油供給機構が設けられていて、各シリンダ内では、この潤滑油供給機構によって供給された潤滑油によってシリンダ内面とロータとの間の潤滑及びシールが行われるようになっている。この潤滑油供給機構は、一般的に、クランクシャフトに設けられた油穴を利用して各シリンダ内への潤滑油の供給を行う構成とされている。
本発明にかかるロータリー圧縮機では、クランクシャフトに潤滑油供給経路を設けている。このため、従来の潤滑油供給機構を利用して軸受への潤滑油の供給を行うことができ、簡略な構造で、軸受への潤滑油の供給を実現することができる。
ここで、ロータリー圧縮機が、各シリンダを鉛直方向に配列してなるロータリー圧縮機(縦置型ロータリー圧縮機)である場合には、潤滑油供給経路は、軸受との摺動面のうち、上端側に開口させることが好ましい。これにより、潤滑油供給経路から摺動面に供給された潤滑油が、重力によって下方に移動して摺動面の下端側にも供給されるので、摺動面全体に確実に潤滑油を供給することができる。
また、このロータリー圧縮機は、前記各シリンダが鉛直方向に配列されており、前記セパレータには、下方に位置する前記シリンダより吐出される圧縮気体をこのロータリー圧縮機内での前記圧縮気体の流通経路の下流側へと導く吐出経路と、前記下方のシリンダから前記吐出経路内に送り込まれた前記圧縮気体から潤滑油を分離して前記下方のシリンダに戻す油分離器とが設けられていてもよい。
ここで、前記のように、ロータリー圧縮機の各シリンダ内には潤滑油が供給されているので、各シリンダからは圧縮気体とともに潤滑油の一部が吐出されてしまう。
従来の縦置型ロータリー圧縮機では、圧縮機構部の下端を下部マフラで覆い、圧縮機構部のうちの下部のシリンダについては排気を下部マフラ内の空間に一旦吐出させて圧縮気体と潤滑油とを分離して潤滑油を回収した後、潤滑油が除去された圧縮気体をロータリー圧縮機の後段に送出する構成とされていた。
このため、従来の縦置型ロータリー圧縮機では、圧縮機構部の下方に下部マフラを設けるためのスペースが必要であった。
これに対して、本発明にかかるロータリー圧縮機(縦置型ロータリー圧縮機)では、セパレータには、下方に位置するシリンダから吐出される圧縮気体をこのロータリー圧縮機内での圧縮気体の流通経路の下流側へと導く吐出経路が設けられている。そして、この吐出経路には、この吐出経路内に送り込まれた圧縮気体から潤滑油を分離して下方のシリンダに戻す油分離器が設けられている。
このため、このロータリー圧縮機では、下部マフラを省いて、圧縮機構部の高さ方向の寸法を低減することができるので、さらなる小型化が可能である。
また、このロータリー圧縮機において、前記クランクシャフトは、前記駆動部に一端側を保持されて該一端側から前記駆動部の駆動力を入力されており、前記クランクシャフトを構成する前記ユニットのうち前記クランクシャフトの他端側を構成する前記ユニットは、前記一端側を構成するユニットよりも軽量な材質によって構成されていてもよい。
このように構成されるロータリー圧縮機では、クランクシャフトのうち駆動部からの駆動力が入力される一端側に比べて負荷の少ない他端側は、より軽量な材質からなるユニットによって構成されている。
このため、他端側を構成するユニットでは、一端側を構成するユニットよりも偏心軸部の偏心量を大きくしつつ、一端側を構成するユニットと慣性モーメントを同程度に保つことができる。
すなわち、このロータリー圧縮機では、クランクシャフトにおいて駆動部からの駆動力が入力される一端側は高強度の材質からなるユニットによって構成して十分な耐久性及び信頼性を確保しつつ、クランクシャフトを回転駆動した際の慣性モーメントのバランスを良好に保ったまま、他端側のシリンダの容量を一端側のシリンダの容量よりもさらに増加させることができる。
また、このロータリー圧縮機において、前記各シリンダのうちの少なくとも一部のシリンダが、前記圧縮機構部の前記気体の流通経路上で直列に接続されていてもよい。
このように構成されるロータリー圧縮機では、直列に接続されたシリンダでは、流通経路の上流側のシリンダ内で圧縮された圧縮気体が下流側のシリンダ内でさらに圧縮される。すなわち、これら直列に接続されたシリンダによって多段圧縮が行われて、圧縮気体の圧力が圧縮機構部の最終的な吐出圧(ロータリー圧縮機の目標吐出圧)まで高められる。
この構成では、一段圧縮によって最終的な吐出圧の圧縮気体を得る構成のロータリー圧縮機に比べて、これら直列に接続されるシリンダのそれぞれにおける気体の圧縮比が小さくなるので、一段圧縮のロータリー圧縮機に比べて、各シリンダ内でロータ及びブレードによって仕切られる空間のうちの低圧空間(吸気側空間)と高圧側空間(吐出側空間)との間の圧力差が小さくて済む。
このため、このロータリー圧縮機では、シリンダ内での高圧側空間から低圧側空間への圧縮気体の漏れが少なくなり、運転効率が高い。この構成は、高圧縮が要求される冷媒(例えば二酸化炭素冷媒やアンモニア冷媒等の自然冷媒)の圧縮に用いる場合には特に有効である。
また、この構成を請求項5に記載のロータリー圧縮機に適用して、一端側のユニットが設けられるシリンダと他端側のユニットが設けられるシリンダとを直列に接続した場合には、前段の圧縮に用いられるシリンダと後段の圧縮に用いられるシリンダとで圧縮比を変えることができるので、圧縮対象の気体の性質に応じてより細かい圧縮条件の設定を行うことができる。
また、このロータリー圧縮機において、前記直列に接続されるシリンダのうち、前記流通経路の上流側のシリンダが、下流側のシリンダよりも前記クランクシャフトの一端側に配置されていてもよい。
ここで、シリンダ内での気体の圧縮はほぼ断熱圧縮であるので、圧縮された気体はその温度が上昇する。このため、多段圧縮を行うロータリー圧縮機では、より後段の圧縮に用いられるシリンダほど温度が高くなる。
一方、ロータリー圧縮機の駆動部としては一般的に駆動モータが用いられているが、駆動モータのコイルは熱に弱く、高温環境下では絶縁破壊を起こしたり、コイルの結束が解けてしまうなどの不都合が生じる。
本発明にかかるロータリー圧縮機では、より高温となる後段のシリンダが駆動部から遠ざけられているので、熱による駆動部の損傷を防止することができ、信頼性が高く、長寿命である。
また、このロータリー圧縮機では、前記圧縮機構部は、両端が閉じられた筒形状をなし内部に前記シリンダのうちの少なくとも一つの吐出する圧縮気体が一時貯留されるハウジング内に設置されていて、前記シリンダのうち少なくとも前記流通経路の最下流のシリンダでは前記ブレードが前記ハウジングの内圧によって付勢される構成とされており、前記最下流のシリンダは、前記ハウジングの軸線方向の端部に配置され、前記ハウジング内には、前記最下流のシリンダが収納される高圧領域と他の前記シリンダが収納される領域とを仕切るシリンダ隔壁が設けられており、前記高圧領域には、前記最後段の圧縮に用いられるシリンダの吐出する圧縮気体が供給されるようになっていてもよい。
ここで、従来のロータリー圧縮機では、圧縮機構部が収納されるハウジング内は一つの連続した空間とされており、この空間内には圧縮機構部の最終的な吐出圧まで加圧された圧縮気体が一時的に貯留されるようになっている。
しかし、この構成では、ハウジング全体に最終的な吐出圧が加わるので、ハウジング全体にこの高圧に耐えうるだけの強度を持たせる必要があり、製造コストが高かった。
これに対して、本発明にかかるロータリー圧縮機では、最も内圧が高くなる高圧側領域がハウジングの端部に設けられているので、ハウジングは、高圧側領域を構成する端部及びシリンダ隔壁にのみ、最終的な吐出圧に耐えられるだけの強度を持たせておけばよいので、製造コストが低くて済む。
また、このロータリー圧縮機において、前記圧縮機構部及び前記駆動部は同一のハウジング内に設置されており、該ハウジング内には、該ハウジング内の空間を前記圧縮機構部が配置される第一領域と前記駆動部が設けられる第二領域とに仕切る主隔壁が設けられており、前記第一領域は前記圧縮機構部の前記シリンダのうちの少なくとも一つの吐出する圧縮気体を一時貯留する空間とされており、前記第二領域は、このロータリー圧縮機に供給される圧縮対象の気体が前記圧縮機構部に送り込まれる前に通過する通路とされていてもよい。
このように構成されるロータリー圧縮機では、ハウジング内において駆動部が設置される第二領域と圧縮機構部が設けられる第一領域とは主隔壁によって仕切られており、この第二領域には、圧縮機構部によって圧縮される前の圧縮対象の気体、すなわちロータリー圧縮機内で最も低温の気体が取り込まれる。
すなわち、このロータリー圧縮機では、駆動部が圧縮機構部によって加圧された高温の圧縮気体から隔離されており、かつ、駆動部が最も低温の気体によって冷却されるので、熱による駆動部の損傷が生じにくく、信頼性が高く寿命が長い。
また、このロータリー圧縮機では、第一領域が油分離器として作用するので、吐出する圧縮気体から潤滑油を回収することができる。
本発明にかかるロータリー圧縮機によれば、小型でありながら大容量を実現することができる。
以下に、本発明にかかる実施形態について、図面を参照して説明する。
[第一実施形態]
以下、本発明の第一実施形態について、図1から図3を用いて説明する。
本実施形態にかかるロータリー圧縮機1は、ルームエアコンやパッケージエアコン等の空気調和装置の冷媒回路上に設けられて、この冷媒回路内を流通する気体冷媒の圧縮に用いられるものである。
図1に示すように、ロータリー圧縮機1は、密封容器であるハウジング2を有しており、このハウジング2内には、冷媒回路から供給される気体冷媒を圧縮する圧縮機構部3と、この圧縮機構部3を駆動する駆動部4とが収納されている。
本実施形態では、ハウジング2は、両端が閉じられた略円筒形状の密封容器とされており、軸線を略鉛直にした状態で設置されている。そして、圧縮機構部3は、ハウジング2の下部に配置されており、駆動部4は、圧縮機構部3の上方に配置されている。
また、ハウジング2の下部側面には、外部から冷媒回路の冷媒配管P1,P2が挿入されており、これら冷媒配管P1,P2によって圧縮機構部3に冷媒回路の気体冷媒が供給されるようになっている。
ここで、図示しないが、ハウジング2の底部には、圧縮機構部3の潤滑等に用いられる潤滑油が貯留されている。
圧縮機構部3は、冷媒配管P1,P2から供給された気体冷媒を圧縮して高圧の圧縮気体としたのちにハウジング2内に送出するものである。
ここで、ハウジング2の天井部には、外部から冷媒配管P3が挿通されており、この冷媒配管P3を通じて、ハウジング2内に一時的に貯留された圧縮気体が冷媒回路の下流側に送り込まれるようになっている。
圧縮機構部3は、円筒状内面12を有する複数のシリンダ11を有しており、これらシリンダ11は、互いの円筒状内面12が略同軸となるようにして、かつ互いの間にセパレータ13を挟み込んだ状態にして軸線方向に隣接配置されている。
各シリンダ11の内部には、それぞれ円筒状内面12よりも小径の円筒状のロータ14が、その軸線を円筒状内面12の軸線と略平行にして設けられている。
これらシリンダ11、セパレータ13、及びロータ14には、クランクシャフト16が挿通されている。クランクシャフト16は、軸線をシリンダ11の配列方向に略平行にして設けられており、下端側を圧縮機構部3に挿通されている。ここで、クランクシャフト16は、上端側を駆動部4によって支持されていて、駆動部4によって軸線回りに回転駆動されるようになっている。本実施形態では、駆動部4は、クランクシャフト16の上端側を保持するロータを有する電動モータによって構成されており、このロータを回転させることでクランクシャフト16が回転駆動されるようになっている。
クランクシャフト16において各シリンダ11に挿通される領域には、ロータ14の内周面と係合する略円柱形状の偏心軸部17が設けられており、クランクシャフト16が軸線回りに回転駆動されることで、各ロータ14がシリンダ11の円筒状内面12上で転がるようにして偏心回転させられるようになっている。
ここで、各偏心軸部17は、偏心方向をクランクシャフト16の軸線まわりに約180°ずらして設けられている(すなわち軸線まわりの位相が約180°ずれている)。これにより、クランクシャフト16が回転駆動された際に一方の偏心軸部17に生じる慣性モーメントと他方の偏心軸部17に生じる慣性モーメントとが互いに打ち消し合って、クランクシャフト16の回転が安定する。
また、これらシリンダ11の列の一端側及び他端側にはそれぞれ端部軸受18が取り付けられており、これら端部軸受18によってクランクシャフト16が軸線回りの回転を可能にして支持されている。
以下、圧縮機構部3を構成する各部材について詳細に説明する。
ここで、本実施形態では、圧縮機構部3には、シリンダ11として第一シリンダ11aと第二シリンダ11bとが設けられており、これら第一、第二シリンダ11a,11bは、互いの間にセパレータ13を挟み込んだ状態にして、略鉛直方向に配列されている。なお、以降の説明では、これらシリンダ11のうち、上方に配置されるシリンダ11を第一シリンダ11aとし、下方に配置されるシリンダ11を第二シリンダ11bとする。
図2(図1のA−A矢視断面図)に示すように、第一シリンダ11aは、外径がハウジング2の円筒部分の内径とほぼ同一とされた略円盤形状の部材であって、ハウジング2の円筒部分に対してハウジング2と略同軸にして固定されている。
第一シリンダ11aの径方向外側の領域には、上下面に開口される貫通孔が複数設けられており、この貫通孔を通じて、ハウジング2内での第一シリンダ11aの上方側の領域と下方側の領域との間での圧縮気体等の流通が許容されている。
また、第一シリンダ11aにおいて径方向内側の領域には、上下に開口する通気路21が設けられている。
第一シリンダ11aの径方向内側の領域には、第一シリンダ11aと略同軸にして断面視円形の貫通孔22が形成されている。この貫通孔22の内周面は、前記した円筒状内面12を構成するものであって、貫通孔22の内部には円筒状のロータ14が収納されている。ここで、ロータ14の軸線方向の寸法は、貫通孔22の長さとほぼ同一とされていて、貫通孔22内は、ロータ14によって、ロータ14の外周面と円筒状内面12とによって囲まれる空間と、ロータ14の内周面に囲まれる空間とに仕切られている。
また、この貫通孔22の上端は端部軸受18によって閉塞されており、下端はセパレータ13によって閉塞されている。
後述するように、ロータ14の上端部と端部軸受18との間、及びロータ14の下端部とセパレータ13との間には、潤滑油が供給されるようになっていて、これらの部材間の隙間がこの潤滑油によって封止されるようになっている。また、ロータ14の内周面に囲まれる空間は、後述する潤滑油供給経路37等を通じてハウジング2内と連通されていて、ロータ14の内周面に囲まれる空間の内圧は、ロータ14の外周面と円筒状内面12とによって囲まれる空間の内圧以上に保たれるようになっている。
このため、ロータ14の外周面と円筒状内面12とによって囲まれる空間からロータ14の内周面に囲まれる空間への気体の漏れが防止されている。
第一シリンダ11aには、外周面から円筒状内面12まで通じる吸気口23が形成されている。この吸気口23には冷媒配管P1が挿入されていて、この吸気口23を通じて、貫通孔22内のロータ14の外周面と円筒状内面12とによって囲まれる空間に、冷媒回路の気体冷媒が供給されるようになっている。
また、第一シリンダ11aの円筒状内面12には、円筒状内面12と上面の径方向内側の領域とを接続する排気ポート24が、吸気口23の開口端に対して円周方向に隣接して形成されている。ここで、図示しないが、排気ポート24またはその後段には、第一シリンダ11aからの排気方向の気体の流通のみ許容するとともに排気ポート24に供給される気体の圧力が目標吐出圧以上となった場合にのみ気体の流通を許容する弁が設けられている。
さらに、第一シリンダ11aには、平面視において吸気口23の開口端と排気ポート24との間に位置する領域に、円筒状内面12から径方向外側に向かう略等幅のスリット26が形成されている。このスリット26は、第一シリンダ11aの上下面にも開口させられている。
また、第一シリンダ11aにおいてこのスリット26の径方向外側の端部には、上下面に開口して内部がハウジング2内に連通された圧力室27が設けられている。
このスリット26内には、板状のブレード28が、第一シリンダ11aの軸線に略平行にしてかつ貫通孔22内に進出退避可能にして設けられている。
このブレード28は、貫通孔22の長さとほぼ同一幅でスリット26の幅とほぼ同一の厚みとされている。このブレード28は、圧力室27側を向く端面で圧力室27の内圧(ハウジング2の内圧)を受けていて、この圧力によって円筒状内面12から貫通孔22内に突出する向きに付勢されている。ここで、ブレード28とスリット26の内面との間、ブレード28とセパレータ13との間、及びブレード28と端部軸受18との間は、第一シリンダ11a内に供給された潤滑油によって封止されるようになっている。
本実施の形態では、ハウジング2内には圧縮機構部3から圧縮を終えた圧縮気体が供給されていて、ロータリー圧縮機1の運転中は、ハウジング2内に連通された圧力室27内の内圧は各シリンダ11の内圧以上に保たれる。これにより、各ブレード28は、ロータリー圧縮機1の運転中は常に貫通孔22内に向く付勢力を受ける。
ブレード28は、このように貫通孔22内に向けて付勢されることによって貫通孔22側の端部が常にロータ14の外周面に当接させられるようになっている。これにより、ブレード28は、偏心回転させられるロータ14に追従して貫通孔22内に進出退避しつつ、ロータ14の外周面と円筒状内面12とに囲まれる空間を低圧空間SLと高圧空間SHとに仕切るようになっている。ここで、ブレード28とロータ14の外周面との間、及びロータ14と円筒状内面12との間は、それぞれ第一シリンダ11a内に供給された潤滑油によって封止されるようになっている。
この構成により、スリット26に対向する位置から吸気口23側に移動する向き(図2では反時計回り)にロータ14が偏心回転させられることで、シリンダ11内への気体の取り込みと、シリンダ11内の気体の圧縮とが並行して行われる。
具体的には、ロータ14が円筒状内面12のうちスリット26の近傍部分にのみ接している位置からロータ14が偏心回転すると、第一シリンダ11a内には吸気口23側に低圧空間SLが形成される。低圧空間SLの容量は、ロータ14の回転が進行するとともに次第に増加するので、これによって吸気口23から低圧空間SL内に気体が取り込まれる。
一方、すでに第一シリンダ11a内にあった空間(高圧空間SH)は、低圧空間SLが形成された時点以降はロータ14の回転の進行とともに次第に容量が減少するので、これによって高圧空間SH内の気体の圧縮が行われる。そして、ロータ14がさらに回転して高圧空間SH内の気体が目標吐出圧まで加圧されると、排気ポート24またはその後段に設けられた弁が開放されて、高圧空間SH内の気体が排気ポート24から排気される。
さらに、ロータ14が一回転し終えると、高圧空間SH内の気体が完全に排気されるとともに、第一シリンダ11a内に新たに低圧空間SLが形成され、以降はロータ14が一回転するごとに上記動作が繰り返されて、気体の圧縮が連続的に行われる。
第二シリンダ11bは、第一シリンダ11aと同様の構成を有する略円盤形状の部材であって、第二シリンダ11bには、通気路21、貫通孔22、吸気口23、排気ポート24、スリット26、及び圧力室27が、第一シリンダ11aと同一の配置にして形成されている。ここで、図示しないが、第二シリンダ11bでは、第一シリンダ11aとは異なり、排気ポート24は円筒状内面12と下面の径方向内側の領域とを接続する構成とされている。
また、第二シリンダ11bにおいても、第一シリンダ11aと同様、貫通孔22内にはロータ14が収納され、排気ポート24またはその後段には第二シリンダ11bからの排気方向の気体の流通のみ許容するとともに排気ポート24に供給される気体の圧力が目標吐出圧以上となった場合にのみ気体の流通を許容する弁が設けられ、スリット26内にはブレード28が設置されている。
そして、吸気口23には冷媒配管P2が挿入されていて、この吸気口23を通じて、ロータ14の外周面と円筒状内面12とに囲まれる空間に、冷媒回路の気体冷媒が供給されるようになっている。また、第二シリンダ11bの貫通孔22は、下端を端部軸受18によって閉塞され、上端をセパレータ13によって閉塞されている。
ここで、第二シリンダ11bにおいても、第一シリンダ11aと同様に内部に潤滑油が供給されて、各部材間が潤滑油によって封止されるようになっている。
この第二シリンダ11bにおいても、ロータ14を偏心回転させることで、前記した第一シリンダ11aにおける気体の圧縮動作と同様の動作が行われて、気体の圧縮が連続的に行われる。
図1に示すように、セパレータ13は第一、第二シリンダ11a,11bに対して同軸にして設けられる略円盤形状の部材である。セパレータ13は、第一シリンダ11aの下面の径方向内側の領域及び第二シリンダ11bの上面の径方向内側の領域を密着状態にして覆うものであって、セパレータ13と各シリンダ11との間は気密に封止されている。
セパレータ13の径方向内側には、上面から下面まで達する断面視円形の開口部13aがセパレータ13と同軸にして形成されていて、クランクシャフト16はこの開口部13aに挿通されている。この開口部13aの内径は、クランクシャフト16の偏心軸部17よりも小径とされている。
図1及び図3に示すように、セパレータ13には、開口部13aに挿通されるクランクシャフト16を回転可能にして支持する中間部軸受29が設けられている。本実施形態では、中間部軸受29は、開口部13a内に軸受メタル13bを挿入した構成のすべり軸受とされている。
また、セパレータ13には、上面において第一シリンダ11aの通気路21に対向する領域と下面において第二シリンダ11bの通気路21に対向する領域とを接続する通気路(図示せず)が設けられていて、これら通気路を通じて、第二シリンダ11bの下面側と第一シリンダ11aの上面側との間での圧縮気体等の流通が許容されている。
図1に示すように、第一シリンダ11aの上面及び第二シリンダ11bの下面には、それぞれ端部軸受18が取り付けられている。
端部軸受18は、円筒状の軸受本体31と、軸受本体31においてシリンダ11側の端部に設けられてこのシリンダ11の径方向内側の領域を覆うフランジ32とを有しており、各端部軸受18は、それぞれシリンダ11に対して略同軸にして取り付けられている。本実施形態では、端部軸受18は、軸受本体31内に軸受メタル33を挿入した構成のすべり軸受とされている。
フランジ32は、シリンダ11の径方向内側の領域のうち、貫通孔22の周囲を密着状態にして覆うものであって、フランジ32とシリンダ11の表面との間は気密に封止されている。一方、フランジ32においてシリンダ11の排気ポート24に対向する位置及び通気路21に対向する位置には、それぞれフランジ32の上下面に開口した通気路(図示せず)が形成されており、これによって通気路21がフランジ32外と連通されている。
各端部軸受18は、それぞれフランジ32のシリンダ11に密着する面とは反対側の領域をドーム状のマフラ36によって覆われている。本実施形態では、第一シリンダ11aに取り付けられる上側の端部軸受18には、フランジ32の上面を覆う上部マフラ36aが取り付けられている。また、第二シリンダ11bに取り付けられる下側の端部軸受18には、フランジ32の下面を覆う下部マフラ36bが取り付けられている。
下部マフラ36b内の空間には、フランジ32の通気路を通じて第二シリンダ11bの排気ポート24が接続されていて、第二シリンダ11bから圧縮気体が送り込まれるようになっている。また、下部マフラ36b内の空間には、フランジ32の通気路を通じて第二シリンダ11bの通気路21が接続されており、第二シリンダ11bから吐出された圧縮気体は、排気ポート24から一旦下方に向けて吐出され、下部マフラ36b内で潤滑油の分離が行われたのち、第二シリンダ11bの通気路21を通じて上方に供給されるようになっている。すなわち、下部マフラ36bは、油分離器の役割を有している。
一方、上部マフラ36a内の空間には、フランジ32の通気路を通じて第一シリンダ11aの排気ポート24が接続されていて、第一シリンダ11aから圧縮気体が送り込まれるようになっている。
さらに、上部マフラ36a内の空間には、フランジ32の通気路を通じて第一シリンダ11aの通気路21が接続されており、下部マフラ36b内の圧縮気体が第二シリンダ11bの通気路21、セパレ−タ13の通気路、及び第一シリンダ11aの通気路21を通じて上部マフラ36a内に送り込まれるようになっている。
すなわち、この圧縮機構部3では、第一シリンダ11aの吐出する圧縮気体と第二シリンダ11bの吐出する圧縮気体とが上部マフラ36a内で合流されるようになっている。
上部マフラ36aと上側の端部軸受18の軸受本体18aとの間には隙間が設けられており、この隙間を通じて、上部マフラ36a内で合流させられた第一、第二シリンダ11a,11bの排気がハウジング2内に供給されている。
このようにしてハウジング2内に供給された高圧の圧縮気体は、冷媒配管P3を通じて冷媒回路の下流側に供給されるようになっている。また、この圧縮気体は、各シリンダ11の圧力室27内にも供給されるようになっており、その圧力がブレード28の付勢力として利用される。
前記クランクシャフト16は、その下端をハウジング2の底部の潤滑油貯留領域内に位置させて設けられている。また、図1及び図3に示すように、クランクシャフト16には、その下端から圧縮機構部3の各部へ潤滑油を供給するための潤滑油供給経路37が設けられている。
本実施形態では、図1に示すように、潤滑油供給経路37は、クランクシャフト16の下端から上端まで軸線に沿って形成された縦穴38と、この縦穴38から、クランクシャフト16の外周面のうち潤滑対象部位に対向する領域まで設けられた横穴39とによって構成されている。
これにより、クランクシャフト16の下端から縦穴38内に進入した潤滑油が、クランクシャフト16が回転駆動されることによって生じた遠心力によって縦穴38の内周面に沿って上昇させられるとともに各横穴39を通じてクランクシャフト16外に送出されて、潤滑対象部位に供給されるようになっている。
クランクシャフト16は、ロータ14と係合する偏心軸部17が一つずつ設けられたユニットを複数連結した構成とされている。
本実施の形態では、クランクシャフト16は、上端からセパレータ13の開口部13a内に挿入される部位までを構成する第一ユニット16aと、セパレータ13の開口部13a内に挿入される部位から下端までを構成する第二ユニット16bとを有している。
第一ユニット16a及び第二ユニット16bには、偏心軸部17よりも小径の連結部41が設けられており、第一ユニット16aと第二ユニット16bとは、連結部41をセパレータの開口部13aに挿通した状態でこの連結部41によって連結されている。
本実施形態では、図3に示すように、第一ユニット16aには、下端から離間した位置に偏心軸部17が設けられていて、偏心軸部17よりも下方の部分(下端部)が、偏心軸部17よりも小径の雌型連結部42とされている。雌型連結部42には、下端面に開口する嵌合穴42aが軸線に沿って形成されている。また、雌型連結部42の外周面は、中間部軸受29の軸受メタル13bによって受けられるようになっている。
一方、第二ユニット16bには、上端から離間した位置に偏心軸部17が設けられていて、偏心軸部17よりも上方の部分(上端部)が、偏心軸部17よりも小径で雌型連結部42の嵌合穴42aに圧入される雄型連結部43とされている。
これら第一ユニット16aと第二ユニット16bとは、雌型連結部42をセパレータ13の開口部13a内に挿入した状態で、雌型連結部42の嵌合穴42aに雄型連結部43を圧入することによって連結されている。
また、第一ユニット16aには、偏心軸部17の直上に位置する部分の外周面に開口する第一横穴39aが設けられており、この第一横穴39aを通じて上側の端部軸受18との摺動面及び第一シリンダ11a内に潤滑油が供給されるようになっている。
さらに、第一ユニット16aには、雌型連結部42の外周面まで通じる第二横穴39bが設けられており、この第二横穴39bを通じて、セパレータ13の開口部13a内に設置された中間部軸受29との摺動面に潤滑油が供給されるようになっている。
本実施形態では、第二横穴29bは、第一ユニット16aの雌型連結部42の外周面の上部に開口されていて、中間部軸受29との摺動面にその上端側から潤滑油が供給されるようになっている。
この構成では、中間部軸受29との摺動面に供給された潤滑油は、重力によって下方に移動して摺動面の下端側にも供給されることとなり、摺動面全体に確実に潤滑油を供給することができる。
さらに、雌型連結部42の嵌合穴42aは、嵌合穴42aに圧入される雄型連結部43の先端よりも上方まで設けられていて、嵌合穴42a内面と雄型連結部43の先端との間には、縦穴38と連通される空間が形成されている。第二横穴39bは、この空間に開口されている。この構成では、雌型連結部42にのみ加工を施すことで第二横穴39bを形成することができるので、クランクシャフト16の製造が容易である。
なお、下側の端部軸受18と第二ユニット16bとの摺動面には、第二シリンダ11b内に供給された潤滑油が供給されるようになっている。
以上述べたように、このように構成されるロータリー圧縮機1では、圧縮機構部3を構成するクランクシャフト16の各偏心軸部17はそれぞれ第一ユニット16aと第二ユニット16bに設けられている。そして、これら第一、第二ユニット16a,16bの間にセパレータ13を配置し、セパレータ13の開口部13aに偏心軸部17よりも小径の連結部41を挿通した状態で、これら第一、第二ユニット16a,16bをこの連結部41によって接続することによって、各偏心軸部17間にセパレータ13が配置されたクランクシャフト16が形成される。
すなわち、このロータリー圧縮機1では、組立の際に、従来のようにセパレータ13の開口部13aに偏心軸部17を通過させる必要がないので、開口部13aの大きさを著しく低減することができる。
これにより、偏心軸部17の偏心量を従来よりも大きくすることができ、外形を大きくすることなく、ロータリー圧縮機1の大容量化を図ることができる。
また、このロータリー圧縮機1には、セパレータ13の開口部13aに、連結部41を支持する中間部軸受29が設けられていて、クランクシャフト16が偏心軸部17間の領域でも支持されるので、ロータリー圧縮機1の運転中にクランクシャフト16にたわみが生じにくく、信頼性が高い。
ここで、連結部41は偏心軸部17よりも小径であるので、当然ながら中間部軸受29の内径も偏心軸部17より小径とされている。このため、中間部軸受29には、偏心軸部17を通過させることができない。
本実施形態にかかるロータリー圧縮機1では、セパレータ13の開口部13aに設けられた中間部軸受29に連結部41を挿入し、この状態で第一ユニット16aと第二ユニット16bとを連結することで、連結部41が中間部軸受29を介してセパレータ13に支持されたクランクシャフト16を形成することができる。
すなわち、この構成は、クランクシャフト16を複数のユニットによって構成するという本実施形態にかかるロータリー圧縮機1に特徴的な構成を採用することによって初めて実現可能となった新規な構成である。
また、このロータリー圧縮機1において、クランクシャフト16には、中間部軸受29との摺動面に潤滑油を供給するための潤滑油供給経路37が設けられている。
すなわち、このロータリー圧縮機1では、一般的なロータリー圧縮機と同様に、クランクシャフトを利用した潤滑油供給機構を有しているので、従来の潤滑油供給機構から構成を大きく変えることなく、簡略な構造で、中間部軸受29への潤滑油の供給を実現することができる。
ここで、本実施形態では、第一ユニット16aに雌型連結部42を設け、第二ユニット16bに雄型連結部43を設けた例を示したが、これに限られることなく、第一ユニット16aに雄型連結部42を設けて、第二ユニット16bに雌型連結部42を設けてもよい。
また、本実施の形態では、連結部41を、雌型連結部42と雄型連結部43とによって構成し、これら雌型連結部42と雄型連結部43とを嵌合させることで第一ユニット16aと第二ユニット16bとが連結される構成としたが、これに限られることなく、連結部41の構成は他の任意の構成とすることができる。例えば、第一ユニット16aの連結部41である下端部と第二ユニット16bの連結部41である上端部とを、接着、溶接、爆溶着、もしくはねじ結合等、部材の接続に通常用いられる手法によって接続した構成としてもよい。
ここで、中間部軸受29と連結部41との間の隙間はごくわずかであり、この隙間内に供給された潤滑油は、毛細管現象により摺動面に沿って広がる。このため、クランクシャフト16では、横穴39bを、中間部軸受29との摺動面またはその近傍であれば任意の位置に開口させることができる。例えば、第二ユニット16bの上端部において偏心軸部17の直上位置を嵌合穴42a内に圧入されない領域とし、この領域に横穴39bを開口させてもよい。また、これら第一ユニット16a及び第二ユニット16bは、第二ユニット16bの縦穴38から雄型連結部43及び雌型連結部42の両方を貫いて雌型連結部42の外周面に達する横穴39bが設けられた構成としてもよい。
また、本実施形態では、ロータリー圧縮機1を縦置型ロータリー圧縮機とした例を示したが、これに限られることなく、横置型ロータリー圧縮機としてもよい。この場合には、各部への潤滑油の供給はポンプ等を用いて行う構成とする。
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態について、図4から図8を用いて説明する。
本実施形態にかかるロータリー圧縮機51は、図4の縦断面図に示すように、第一実施形態に示すロータリー圧縮機1において、圧縮機構部3の代わりに、圧縮機構部3の一部構成を変更した圧縮機構部53を用いたことを主たる特徴とするものである。
以下では、第一実施形態に示すロータリー圧縮機1と同様または同一の構成については同じ符号を用いて示し、詳細な説明を省略する。
圧縮機構部53は、第一実施形態に示す圧縮機構部3において、クランクシャフト16の第二ユニット16bを、第一ユニット16aの材質よりも軽量の材質によって構成したことを主たる特徴とするものである。
本実施形態では、駆動部4からの駆動力が入力される第一ユニット16aは強度に優れた鉄製として十分な耐久性及び信頼性を確保しつつ、第一ユニット16aに比べて負荷の少ない第二ユニット16bは、鉄よりも軽量なアルミニウム製またはアルミニウム基合金製としている。
そして、この圧縮機構部53では、図5(図4のB−B矢視断面図)及び図6(図4のC−C矢視断面図)に示すように、第二ユニット16bの偏心軸部17の偏心量EC(図6参照)を、第一ユニット16aの偏心軸部17の偏心量EC(図5参照)よりも大きく設定している。ここで、第二ユニット16bの偏心量ECは、第一ユニット16aと第二ユニット16bの慣性モーメントが同程度となるように設定される。また、第二ユニット16bの偏心軸部17の偏心量を大きくした分、この偏心軸部17が係合されるロータ14(以下ロータ14aとする)の外径が低減されている。
これらの構成を採用したことにより、第二シリンダ11bの容量が第一シリンダ11aの容量よりもさらに増加している。
このロータリー圧縮機51は、前記のように第二ユニット16bが第一ユニット16aよりも軽量の材質によって構成されているため、第二ユニット16bの偏心軸部17の偏心量ECを第一ユニット16aの偏心軸部17の偏心量ECよりも大きくしても、第一ユニット16aと第二ユニット16bの慣性モーメントを同程度に保つことができる。
これにより、クランクシャフト16を回転駆動した際の慣性モーメントのバランスを良好に保ったまま、下端側の第二シリンダ11bの容量を上端側の第一シリンダ11aの容量よりもさらに増加させて、さらなる大容量化を図ることができる。
また、このロータリー圧縮機51の圧縮機構部53は、図4に示すように、第一実施形態に示す圧縮機構部3においてセパレータ13の代わりに本実施形態にかかるセパレータ63を用いた構成とされている。
また、この圧縮機構部53では、図4及び図6に示すように、第二シリンダ11bの排気ポート24は、第一シリンダ11aの排気ポート24と同様に、円筒状内面12と上面の径方向内側の領域とを接続する構成とされている。
図4及び図7(図4のD−D矢視断面図)に示すように、セパレ−タ63には、第二シリンダ11bから吐出される圧縮気体をこのロータリー圧縮機51内での圧縮気体の流通経路の下流側(第一シリンダ11aの通気路21内)へと導く吐出経路66が設けられている。なお、セパレータ63には、セパレータ13で設けられていた通気路は設けられていない。
また、図8(図4のE−E矢視断面図)に示すように、上側の端部軸受18のフランジ32には、第一シリンダ11aの排気ポート24に対向する位置に、下面から上面まで通じる第一通気路32aが形成されている。さらに、フランジ32の第一シリンダ11aの通気路21に対向する位置には、下面から上面まで通じる第二通気路32bが形成されている。これら第一通気路32a及び第二通気路32bによって、第一シリンダ11aの排気と第二シリンダ11bの排気とが上部マフラ36a内の空間で合流されるようになっている。
ここで、この圧縮機構部53では、図4に示すように、下側の端部軸受18の代わりに、平板状の端部軸受68を用いている。この端部軸受68には、端部軸受18で設けられていた通気路は設けられていない。
吐出経路66は、セパレータ63の下面において第二シリンダ11bの排気ポート24に対向する領域から上面まで略垂直に設けられる垂直部66a(図4、図8参照)と、セパレータ63の上面において垂直部66aの上端から第一シリンダ11aの下面の通気路21の開口部に対向する領域まで延びる水平部66b(図7参照)とを有している。
図4に示すように、垂直部66aには、下端近傍に縮径部66cが設けられている。そして、垂直部66aにおいて縮径部66cよりも上方には、この縮径部66bを閉塞する弁体67aが略垂直方向に移動可能にして設けられている。
垂直部66a内には、弁体67aの上方に、弁体67aを下方に向けて付勢する付勢部材67bが配置されている。本実施形態では、付勢部材67bとしてコイルスプリングを用いている。
この構成により、第二シリンダ11bの排気ポート24から垂直部66a内に供給された排気の圧力によって弁体67aが付勢部材67bの付勢力に逆らって押し上げられることで縮径部66cが開放されて、通気路66を通じた排気の通過が許容されるようになっている。また、垂直部66a内の内圧が付勢部材67bの付勢力を下回っている状態(すなわち第二シリンダ11bから圧縮気体が吐出されていない状態)では、付勢部材67bの付勢力によって弁体67aが縮径部66cに押し付けられてこれを閉塞し、吐出経路66から第二シリンダ11bへの圧縮気体の逆流が防止される。
また、弁体67aは、フロート弁を兼ねており、垂直部66a内に潤滑油が所定量以上貯留されている状態では浮力が生じて上方に持ち上げられるようになっている。そして、このように弁体67aが浮力によって持ち上げられることで、重力によって垂直部66a内の潤滑油が縮径部66bを通じて第二シリンダ11b内へ落下するようになっている。
すなわち、垂直部66a及び弁体67aは、吐出経路66内に送り込まれた圧縮気体から潤滑油を分離して第二シリンダ11bに戻す油分離器67を構成している。
このように、このロータリー圧縮機51では、セパレータ63が油分離器67を有しているので、下部マフラ36bを省いて、圧縮機構部4の高さ方向の寸法を低減することができ、さらなる小型化が可能である。
ここで、本実施の形態では、吐出経路66に弁体67aと付勢部材67bとを設けてこれらの部材を逆止弁や油分離器として利用する構成した例を示したが、これに限られることなく、例えば図9の縦断面図に示すロータリー圧縮機71のように、他の構成によって逆止弁や油分離器を構成してもよい。
ロータリー圧縮機71は、第二実施形態に示すロータリー圧縮機51において、セパレータ63の代わりにセパレータ73を設けたことを主たる特徴とするものである。
セパレータ73は、セパレータ63において、吐出経路66の垂直部66a内に弁体67a、付勢部材67b、及び縮径部66cを設ける代わりに、水平部66b内に、垂直部66aの上端を閉塞するリーフ弁76を設けた構成とされている。
リーフ弁76は、一端が垂直部66aの上端を覆う位置に配置され他端が水平部66bの底面に固定された板状の弾性体である。リーフ弁76は、その弾性力によって一端が垂直部66aの上端に押し付けられて垂直部66aを閉塞しており、第二シリンダ11bの排気ポート24から垂直部66a内に供給された排気の圧力によって一端が押し上げられることで垂直部66aが開放されて、通気路66を通じた排気の通過を許容するものである。
また、垂直部66a内の内圧がリーフ弁76の弾性力を下回っている状態(すなわち第二シリンダ11bから圧縮気体が吐出されていない状態)では、リーフ弁76の弾性力によってその一端が垂直部66aの上端に押し付けられてこれを閉塞し、吐出経路66から第二シリンダ11bへの圧縮気体の逆流が防止されるようになっている。
ここで、水平部66bの底面において垂直部66aの上端の周縁部66dは、他の領域よりも上方に突出して設けられていて、リーフ弁76のうち少なくとも一端側の部分は、水平部66bの底面の他の部分から離間させられている。
また、リーフ弁76は、フロート弁を兼ねており、水平部66b内に潤滑油が所定量以上貯留されている状態では浮力が生じて一端が上方に持ち上げられるようになっている。このように一端が浮力によって持ち上げられることで、重力によって水平部66b内の潤滑油が垂直部66aを通じて第二シリンダ11b内へ落下するようになっている。
すなわち、このロータリー圧縮機71では、水平部66b及びリーフ弁76は、吐出経路66内に送り込まれた圧縮気体から潤滑油を分離して第二シリンダ11bに戻す油分離器77を構成している。
[第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態について、図10を用いて説明する。
本実施形態にかかるロータリー圧縮機81は、図10の縦断面図に示すように、第二実施形態に示すロータリー圧縮機51において、圧縮機構部53の代わりに、圧縮機構部3の一部構成を変更した圧縮機構部83を用いたことを主たる特徴とするものである。
以下では、第二実施形態に示すロータリー圧縮機51と同様または同一の構成については同じ符号を用いて示し、詳細な説明を省略する。
圧縮機構部83は、第二実施形態に示す圧縮機構部53において、円筒状内面12を有する第三シリンダ11cを第一シリンダ11aと上側の端部軸受18との間に同軸にして設け、第三シリンダ11cと第一シリンダ11aとの間に第二セパレータ93を設けたものである。ここで、第三シリンダ11cは、第一シリンダ11aとほぼ同様の構成とされており、第三シリンダ11c内には、第一シリンダ11aと同様にしてロータ14が収納されている。
また、第二セパレータ93は、セパレータ63とほぼ同様の構成とされている。
また、圧縮機構部83では、クランクシャフト16の代わりに、クランクシャフト86を設けている。
クランクシャフト86は、クランクシャフト16において、第一ユニット16aの代わりに、上部が駆動部4に保持されて下部が第三シリンダ11c及び第三シリンダ11c内のロータ14に挿通される第三ユニット16cと、第三ユニット16cと第二ユニット16bとの間に設けられて第一シリンダ11a及び第一シリンダ11a内のロータ14に挿通される第四ユニット16dとを設けた構成とされている。
第三ユニット16cは、第一ユニット16aとほぼ同様の構成とされており、第四ユニット16dは、第二ユニット16bにおいて偏心軸部17よりも下方に雌型連結部42を設けた構成とされている。
第三ユニット16cと第四ユニット16dとは、互いの雌型連結部42と雄型連結部43とを第二セパレータ93の開口部に挿通した状態で、これら雌型連結部42と雄型連結部43とを嵌合させることによって連結されている。また、セパレータ93には、その開口部13aに挿通されるクランクシャフト16を回転可能にして支持する中間部軸受29が設けられている。
同様に、第四ユニット16dと第二ユニット16bとは、互いの雌型連結部42と雄型連結部43とをセパレータ63の開口部に挿通した状態で、これら雌型連結部42と雄型連結部43とを嵌合させることによって連結されている。
また、第三ユニット16c及び第四ユニット16dには、それぞれ潤滑油供給経路37の縦穴38と横穴39とが設けられており、これらを通じて第三シリンダ11c内及び第一シリンダ11a内に潤滑油が供給されるようになっている。
また、これら第二、第三、及び第四ユニット16b、16c、16dは、それぞれの偏心軸部17の偏心方向をクランクシャフト86の軸線まわりに約120°ずらした状態にして連結されていて、クランクシャフト86の軸線回りの慣性モーメントの釣り合いが保たれている。
以下、圧縮機構部83の各部の構成について詳細に説明する。
第二セパレータ93は、第二実施形態で示したセパレータ63において、吐出経路66の水平部66bを、第三シリンダ11cの下面に開口する通気路21に対向する領域まで設け、さらに第一シリンダ11aの排気ポート24に対向する領域から水平部66b内まで通じる第二吐出経路(図示せず)を設けた構成とされている。
すなわち、この圧縮機構部83は、第一シリンダ11aの排気と第二シリンダ11bの排気とが第二セパレータ83の吐出経路66(図10では図示せず)内で合流する構成とされている。
第三シリンダ11cは、第一シリンダ11aから吸気口23をなくし、かつ通気路21の上端が、上面ではなく円筒状内面12において吸気口23が開口していた領域に開口させられた構成とされている。
第三シリンダ11cの通気路21は、第二セパレータ93の吐出経路66によって第一シリンダ11aの排気ポート24と接続されている。また、第三シリンダ11cの通気路21は、吐出経路66及び第二吐出経路によって第二シリンダ11bの排気ポート24と接続されている。すなわち、第三シリンダ11cは、圧縮機構部83内の気体の流通経路上で、第一、第二シリンダ11a,11bに対して直列に接続されている。
ここで、第三シリンダ11cの排気ポート24は、上側の端部軸受18のフランジ32の通気路を通じて上部マフラ39a内に供給され、上部マフラ39aからハウジング2内に供給されたのちに、冷媒配管P3を通じて冷媒回路の下流側に送り込まれるようになっている。
この圧縮機構部83では、駆動部4によってクランクシャフト86が軸線回りに回転駆動されることで、ロータ14が第三シリンダ11c内で偏心回転させられて、第一シリンダ11a及び第二シリンダ11bから供給された圧縮気体のさらなる圧縮が行われる構成とされている。
すなわち、この圧縮機構部83は、直列に接続された複数のシリンダ11によって多段圧縮する構成とされている。
このため、一段圧縮によって最終的な吐出圧の圧縮気体を得る構成のロータリー圧縮機に比べて、これら直列に接続されるシリンダ11のそれぞれにおける気体の圧縮比が小さくなるので、一段圧縮のロータリー圧縮機に比べて、各シリンダ11内でロータ14及びブレード28によって仕切られる空間のうちの低圧空間SLと高圧側空間SHとの間の圧力差が小さくて済む。
このように各シリンダ11内の低圧空間SLと高圧側空間SHとの間の圧力差が小さいために、このロータリー圧縮機81では、シリンダ11内での高圧側空間SHから低圧側空間SLへの圧縮気体の漏れが少なくなり、運転効率が高い。この構成は、高圧縮が要求される冷媒(例えば二酸化炭素冷媒やアンモニア冷媒等の自然冷媒)の圧縮に用いる場合には特に有効である。
また、このロータリー圧縮機81では、第二シリンダ11bの容量は、第三シリンダ11cとは異なる容量とすることができ、第二シリンダ11bと第三シリンダ11cとで圧縮比を変えることができるので、圧縮対象の気体の性質に応じてより細かい圧縮条件の設定を行うことができる。
[第四実施形態]
次に、本発明の第四実施形態について、図11を用いて説明する。
本実施形態にかかるロータリー圧縮機101は、図11の縦断面図に示すように、第一実施形態に示すロータリー圧縮機1において、圧縮機構部3の代わりに、圧縮機構部3の一部構成を変更した圧縮機構部103が用いられ、ハウジング2内に、ハウジング2内を圧縮機構部103が設けられる下部側の領域(以下第一領域S1とする)と駆動部4が設けられる上部側の領域(以下第二領域S2とする)とに仕切る主隔壁106が設けられた構成とされている。
以下では、第一実施形態に示すロータリー圧縮機1と同様または同一の構成については同じ符号を用いて示し、詳細な説明を省略する。
このロータリー圧縮機101では、ハウジング2には、ロータリー圧縮機101と冷媒回路とを接続する冷媒配管として、冷媒配管P1〜P3の代わりに、外部からハウジング2の天井部に冷媒配管P4が挿入されており、この冷媒配管P4を通じてハウジング2の第二領域S2に冷媒回路の気体冷媒が供給されるようになっている。
また、ハウジング2の側面には、第二領域S2内と第一領域S1内の圧縮機構部103とを接続する冷媒配管P5が挿入されていて、第二領域S2内に供給された気体冷媒がこの冷媒配管P5を通じて圧縮機構部103に送り込まれるようになっている。
すなわち、第二領域S2は、このロータリー圧縮機101に供給される気体冷媒が圧縮機構部103に送り込まれる前に通過する通路とされている。
圧縮機構部103は、冷媒配管P5を通じて供給された気体冷媒を圧縮して高圧の圧縮気体としたのちにハウジング2の第一領域S1内に送出するものである。すなわち、ロータリー圧縮機101の運転中は、圧縮機構部103が収納される第一領域S1の内圧は、各シリンダ11の内圧以上に保たれる。これにより、各シリンダ11内でのブレード28の動作及び各シリンダ11内での潤滑油の供給が良好に行われる。
ハウジング2の下部側面には、外部から冷媒配管P6が挿通されており、この冷媒配管P6を通じて、ハウジング2の第一領域S1内に一時的に貯留された圧縮気体が冷媒回路の下流側に送り込まれるようになっている。
以下、圧縮機構部103の詳細な構成について説明する。
圧縮機構部103は、第一実施形態で示す圧縮機構部3において、第一、第二シリンダ11a,11bの通気路21、セパレータ13の通気路、下側の端部軸受18に設けられる通気路のうち第二シリンダ11bの通気路21に接続される通気路、及び上部マフラ36aをなくした構成とされている。
一方、第二シリンダ11bの吸気口23には冷媒配管P5が挿入されており、第二シリンダ11b内には、冷媒配管P5を通じて圧縮対象の気体冷媒が供給されるようになっている。
また、圧縮機構部103には、下部マフラ36b内から第一シリンダ11aの吸気口23まで通じる冷媒配管P7が設けられており、第二シリンダ11bの排気が、下部マフラ36b及び冷媒配管P7を通じて第一シリンダ11a内に供給されるようになっている。そして、第一シリンダ11a内で二段目の圧縮を受けた気体冷媒は、第一シリンダ11aの排気ポート24及び上側の端部軸受18の通気路を通じて第一空間S1内に吐出されて一時的に貯留されたのち、冷媒配管P6を通じて冷媒回路の下流側に送り込まれる。
また、このロータリー圧縮機101では、第一領域S1が油分離器として作用するので、吐出する圧縮気体から潤滑油を回収することができる。
このように構成されるロータリー圧縮機101では、ハウジング2内において駆動部4が設置される第二領域S2と圧縮機構部103が設けられる第一領域S1とは主隔壁106によって仕切られており、この第二領域S2には、圧縮機構部103によって圧縮される前の圧縮対象の気体、すなわちロータリー圧縮機101内で最も低温の気体が取り込まれる。
このため、このロータリー圧縮機101では、駆動部4が圧縮機構部104によって加圧された高温の圧縮気体から隔離されており、かつ、駆動部4が最も低温の気体によって冷却されるので、熱による駆動部4の損傷が生じにくく、信頼性が高く寿命が長い。
また、このロータリー圧縮機101では、ハウジング2内が第一領域S1と第二領域S2とに仕切られていて、圧縮機構部103によって圧縮された圧縮気体は第一領域S1内にのみ貯留される。このため、このロータリー圧縮機101では、ハウジング2において第一領域S1を構成する部分にのみ、最終的な吐出圧に耐えられるだけの強度を持たせておけばよいので、製造コストが低くて済む。
[第五実施形態]
次に、本発明の第五実施形態について、図12及び図13を用いて説明する。
本実施形態にかかるロータリー圧縮機111は、図12の縦断面図に示すように、第四実施形態に示すロータリー圧縮機101において、圧縮機構部103の代わりに、圧縮機構部3の一部構成を変更した圧縮機構部113を用いたものであるとされている。
以下では、第四実施形態に示すロータリー圧縮機101と同様または同一の構成については同じ符号を用いて示し、詳細な説明を省略する。
圧縮機構部113は、圧縮機構部3とほぼ同様の構成をなす前段圧縮機構部113aと、この前段圧縮機構部113aによって圧縮された圧縮気体をさらに圧縮する後段圧縮機構部113bとを有している。
また、ハウジング2には、第一領域S1を、後段側圧縮機構部113bが収納される高圧領域Hと低圧領域Lとに仕切るシリンダ隔壁116が設けられている。このシリンダ隔壁116は、後述するように第四シリンダ11d内の空間と第一シリンダ11a内の空間とを仕切るセパレータを兼ねている。
前段圧縮機構部113aは、圧縮機構部3において、上側端部軸受18の代わりにシリンダ隔壁116によって第一シリンダ11aの上面を覆った構成とされている。また、これら第一、第二シリンダ16a,16bには、クランクシャフト16の代わりに、後述するクランクシャフト126が挿通されている。
第一シリンダ11a及び第二シリンダ11bは、それぞれ吸気口23に冷媒管路P5が挿入されて、第二領域S2内の気体冷媒が供給されるようになっている。
また、第一シリンダ11a及び第二シリンダ11bの排気は、低圧領域L内に吐出されて一時的に貯留されるようになっている。すなわち、ロータリー圧縮機111の運転中は、前段圧縮機構部113aが収納される低圧領域Lの内圧は、第一、第二シリンダ11a,11bの内圧以上に保たれる。これにより、第一及び第二シリンダ11a,11b内でのブレード28の動作及び第一及び第二シリンダ11a,11b内の各部への潤滑油の供給及び潤滑油による各部の封止が良好に行われるようになっている。
後段圧縮機構部113bは、第一シリンダ11aとほぼ同様の構成とされた第四シリンダ11dと、第四シリンダ11d内に収納されるロータ14及びブレード28(図12では図示せず)とを有している。
ここで、第四シリンダ11dの上面は、上側の端部軸受18によって覆われており、第四シリンダ11dの下面は、シリンダ隔壁116によって覆われている。
第四シリンダ11dは、その吸気口23が、シリンダ隔壁116に設けられた通気路を通じて低圧領域Lに連通されており、これによって低圧領域L内の圧縮気体が第四シリンダ11d内に送り込まれるようになっている。なお、このとき、第一シリンダ11a及び第二シリンダ11b内に供給された潤滑油の一部も、圧縮気体とともに第四シリンダ11d内に送り込まれる。
そして、第四シリンダ11dが圧縮した高圧の圧縮気体は、上側の端部軸受18の通気路を通じて高圧領域H内に吐出されて一時的に貯留されるようになっている。すなわち、ロータリー圧縮機111の運転中は、後段圧縮機構部113bが収納される高圧領域Hの内圧は、第四シリンダ11dの内圧以上に保たれる。これにより、第四シリンダ11d内でのブレード28の動作及び第四シリンダ11d内の各部への潤滑油の供給及び潤滑油による各部の封止が良好に行われるようになっている。
これら前段圧縮機構部113aと後段圧縮機構部113bとの間に設けられるシリンダ隔壁116は、第一シリンダ11aの上面を覆う下部プレート117と、下部プレート117の上方に設けられて第四シリンダ11dの下面を覆う上部プレート118と、下部プレート117の上面と上部プレート118の下面とを接続してこれら上下のプレート117,118とともに高圧領域Hと低圧領域Lとを仕切る接続部119とを有している。
また、下部プレート117には、第一シリンダ11aの排気ポート24と低圧領域Lとを接続する通気路が設けられている。
ここで、下部プレート117と上部プレート118とは水平方向の位置がずらして配置されており、下部プレート117の上面の一部は高圧領域Hに露出され、上部プレート118の下面の一部は低圧領域Lに露出されている。これにより、高圧領域Hには、上部プレート118よりも下方に、下部プレート117の上面と接続部119及びケーシング2の内面とによって囲まれる油溜め121が形成されている。
この油溜め121には、後段圧縮機構部113bの各部の潤滑や封止に用いられる潤滑油が貯留される。
また、このロータリー圧縮機111には、油溜め121内の潤滑油をハウジング2の低圧領域Lに送り込む油戻し121aが設けられている。この油戻し121aは、電磁弁が設けられた配管、もしくはキャピラリによって構成されている。
油戻し121aを電磁弁が設けられた配管によって構成した場合には、油溜め121内に所定量以上の潤滑油が貯留された際に電磁弁が開かれて潤滑油が低圧領域Lに送り込まれる構成とされる。
また、油戻し121aをキャピラリによって構成した場合には、キャピラリを通じて単位時間内に低圧領域Lに送り込まれる潤滑油の量が単位時間に低圧領域Lから圧縮気体とともに送り込まれる潤滑油とほぼ同じ量となるように、適切な抵抗を有するキャピラリを用いる。
また、シリンダ隔壁116には、下部プレート117、上部プレート118、及び接続部119を貫いて、クランクシャフト126が挿通される貫通孔122が形成されている。さらに、接続部119には、油溜め121において潤滑油が貯留される領域内から貫通孔122まで通じる横穴123が設けられていて、この横穴123を通じて油溜め121内の潤滑油がクランクシャフト126に供給されるようになっている。
前記のように、前段圧縮機構部113a及び後段圧縮機構部113bには、クランクシャフト126が挿通されている。
クランクシャフト126は、クランクシャフト16と同様に、それぞれ偏心軸部17が一つずつ設けられたユニットを複数連結してなるものである。
具体的には、クランクシャフト126は、上部が駆動部4に保持されて下部が後段圧縮機構部113b及びシリンダ隔壁116の貫通孔122に挿通される第一ユニット126aと、シリンダ隔壁115の貫通孔122に挿通される部位から前段圧縮機構部113aのセパレータ13の開口部13a内に挿入される部位までを構成する第二ユニット126bと、前段圧縮機構部113aのセパレータ13の開口部13a内に挿入される部位から下端までを構成する第三ユニット126cとを有している。
第一ユニット126aの下端、第二ユニット126bの上端及び下端及び第三ユニット126cの上端には、それぞれ偏心軸部17よりも小径の連結部が設けられている。
そして、第一ユニット126aと第二ユニット126bとは、それぞれに設けられた連結部をシリンダ隔壁116に設けられた貫通孔122に挿通した状態で、これら連結部によって連結されている。また、第二ユニット126bと第三ユニット126cとは、それぞれに設けられた連結部をセパレータ13に設けられた開口部に挿通した状態で、これら連結部によって連結されている。
これら第一、第二、第三ユニット126a,126b、126cは、それぞれの偏心軸部17の偏心方向をクランクシャフト126の軸線まわりに約120°ずらした状態にして連結されていて、クランクシャフト126の軸線回りの慣性モーメントの釣り合いが保たれている。
図12及び図13に示すように、このクランクシャフト126には、第一ユニット126aに第一潤滑油供給経路127が設けられている。図13に示すように、第一潤滑油供給経路127は、第一ユニット126aにおいて接続部119の横穴123に対向する領域に通じる第一横穴127aと、この第一横穴127aから軸線に沿って上方に延びる縦穴127bと、この縦穴127bからクランクシャフト126の外周面のうち潤滑対象部位に対向する領域まで設けられた第二横穴127cとを有している。
この第一潤滑油供給経路127は、油溜め121内の潤滑油が第一横穴127aを通じて縦穴127b内に供給されている。このように縦穴127b内に供給された潤滑油は、クランクシャフト126が回転駆動されることによって生じた遠心力によって縦穴127bの内周面に沿って上昇させられるとともに第二横穴128cを通じてクランクシャフト126外に送出されて、潤滑対象部位に供給されるようになっている。
また、このクランクシャフト126において第二ユニット126b及び第三ユニット126cによって構成される領域には、第二潤滑油供給経路128が設けられている。
第二潤滑油供給経路128は、第三ユニット126cの下端から第二ユニット126bの上端近傍まで軸線に沿って形成された縦穴128aと、第二ユニット126b及び第三ユニット126cのそれぞれにおいて縦穴128aの内周面から外周面において潤滑対象部位に対向する領域まで設けられた横穴128bとを有している。
これにより、クランクシャフト126の下端から縦穴128a内に進入した潤滑油が、クランクシャフト126が回転駆動されることによって生じた遠心力によって縦穴128aの内周面に沿って上昇させられるとともに各横穴128bを通じてクランクシャフト126外に送出されて、潤滑対象部位に供給されるようになっている。
このように一つのクランクシャフトに二つの独立した潤滑油供給経路を設けた構成は、クランクシャフトを単一の部材によって構成した場合には実現することが困難であり、本実施形態のようにクランクシャフト126を複数のユニットによって構成したことによって初めて、容易に実現することが可能となった構成である。すなわち、本実施形態では、第一〜第三ユニット126a〜126cの各ユニットごとにそれぞれ加工を施すことで、第一潤滑油供給経路127及び第二潤滑油供給経路128を有するクランクシャフト126を容易に製造することができる。
例えば、クランクシャフト126の縦穴127bは、図13に示すように、第一ユニット126aの下端に嵌合穴42aを形成して、この嵌合穴42aに第二ユニット126bの上端に形成された雄型連結部43を圧入して嵌合穴42aの下端を閉塞することによって形成することができる。
このように構成されるロータリー圧縮機111によれば、圧縮機構部113が配置される第一領域S1を高圧側領域Hと低圧側領域Lとに仕切った構成としつつ、圧縮機構部113において高圧側領域Hと低圧側領域Lとのそれぞれに対して潤滑油の供給を良好に行うことができるので、性能が高く、寿命も長い。
[第六実施形態]
次に、本発明の第六実施形態について、図14を用いて説明する。
本実施形態にかかるロータリー圧縮機131は、図14の縦断面図に示すように、第五実施形態に示すロータリー圧縮機111において、圧縮機構部113の代わりに、圧縮機構部113の一部構成を変更した圧縮機構部133を用いたことを主たる特徴とするものである。
以下では、第五実施形態に示すロータリー圧縮機111と同様または同一の構成については同じ符号を用いて示し、詳細な説明を省略する。
圧縮機構部133は、圧縮機構部113において、前段圧縮機構部113aの下方に後段圧縮機構部113bを隣接配置した構成とされており、第一領域S1を後段側圧縮機構部113bが収納される高圧領域Hと低圧領域Lとに仕切るシリンダ隔壁として、本実施形態にかかるシリンダ隔壁136が用いられている。このシリンダ隔壁136は、後述するように第二シリンダ11b内の空間と第五シリンダ11e内の空間とを仕切るセパレータを兼ねている。
また、前段圧縮機構部113aを構成する第一シリンダ11aの上面は上側の端部軸受18によって覆われており、前段圧縮機構部113aを構成する第二シリンダ11bの下面はシリンダ隔壁136によって覆われている。これら第一、第二シリンダ16a,16bには、クランクシャフト126の代わりに、後述するクランクシャフト146が挿通されている。ここで、本実施形態では、上部マフラ36a及び冷媒配管P5は設けられていない。
このロータリー圧縮機131では、前段圧縮機構部113aは主隔壁106の下方に隣接配置されており、第一シリンダ11aの吸気口23及び第二シリンダ11bの吸気口23は、冷媒配管P5を介さずに、直接第二領域S2と接続されていて、第二領域S2から直接気体冷媒が供給されるようになっている。
また、第一シリンダ11a及び第二シリンダ11bの排気は、低圧領域L内に吐出されて一時的に貯留されるようになっている。
後段圧縮機構部113bは、第二シリンダ11bとほぼ同一の構成の第五シリンダ11eを有している。具体的には、第五シリンダ11eは、排気ポート24が下面に開口されていて、下側の端部軸受18の通気路を通じて下方に排気を行う構成とされている。
後段圧縮機構部113bにおいて、第五シリンダ11eの上面はシリンダ隔壁136によって覆われており、第五シリンダ11eの下面は、下側の端部軸受18によって覆われている。
第五シリンダ11eは、その吸気口23が、シリンダ隔壁136を上下に貫く配管136aに設けられた通気路を通じて低圧領域Lに連通されており、これによって低圧領域L内の圧縮気体が第五シリンダ11e内に送り込まれるようになっている。
そして、第五シリンダ11eが圧縮した高圧の圧縮気体は、下側の端部軸受18の通気路を通じて下部マフラ36b内に一旦吐出されて潤滑油が除去されたのちに、下部マフラ36bを通じて高圧領域H内に吐出されて一時的に貯留されるようになっている。
これら前段圧縮機構部113aと後段圧縮機構部113bとの間に設けられるシリンダ隔壁136は、第五シリンダ11eの上面を覆うとともに高圧領域Hと低圧領域Lとを仕切る下部プレート137と、下部プレート137の上方に設けられて第二シリンダ11bの下面を覆う上部プレート138と、下部プレート137の上面と上部プレート138の下面とを接続してこれら上下のプレート137,138を上下に離間させた状態にして接続する接続部139とを有している。
ここで、このように下部プレート137と上部プレート138とが上下に離間されていることにより、これらの間には、油溜め141が形成されている。
この油溜め141には、前段圧縮機構部113aの各部の潤滑や封止に用いられる潤滑油が貯留される。
なお、シリンダ隔壁136に設けられる配管136aは、上端が油溜め141の油貯留領域よりも上方まで設けられており、これによって後段圧縮機構113bには低圧領域L内の圧縮気体のみ送り込まれるようになっている。
また、シリンダ隔壁136には、下部プレート137、上部プレート138、及び接続部139を貫いて、クランクシャフト146が挿通される貫通孔142が形成されている。さらに、接続部139には、油溜め141において潤滑油が貯留される領域内から貫通孔142まで通じる横穴143が設けられていて、この横穴143を通じて油溜め141内の潤滑油がクランクシャフト146に供給されるようになっている。
前記のように、前段圧縮機構部113a及び後段圧縮機構部113bには、クランクシャフト146が挿通されている。
クランクシャフト146は、クランクシャフト16と同様に、それぞれ偏心軸部17が一つずつ設けられたユニットを複数連結してなるものである。
具体的には、クランクシャフト146は、上部が駆動部4に保持されて下部が前段圧縮機構部113aのセパレータ13の開口部13a内に挿入される部位までを構成する第一ユニット146aと、前段圧縮機構部113aのセパレータ13の開口部13a内に挿入される部位からシリンダ隔壁136の貫通孔142に挿入される部位までを構成する第二ユニット146bと、シリンダ隔壁136の貫通孔12に挿入される部位から下端までを構成する第三ユニット146cとを有している。
第一ユニット146aの下端、第二ユニット146bの上端及び下端及び第三ユニット146cの上端には、それぞれ偏心軸部17よりも小径の連結部が設けられている。
そして、第一ユニット146aと第二ユニット146bとは、それぞれに設けられた連結部をセパレータ13の開口部13aに挿通した状態で、これら連結部によって連結されている。また、第二ユニット146bと第三ユニット146cとは、それぞれに設けられた連結部をシリンダ隔壁136の貫通孔142に挿通した状態で、これら連結部によって連結されている。
このクランクシャフト146には、第一ユニット146a及び第二ユニット146bに第一潤滑油供給経路147が設けられている。第一潤滑油供給経路147は、第二ユニット146aにおいて接続部139の横穴143に対向する領域に通じる第一横穴147aと、この第一横穴147aから軸線に沿って第一ユニット146aまで通じる縦穴147bと、これら第一ユニット146a及び第二ユニット146bにおいて縦穴147bからクランクシャフト126の外周面のうち潤滑対象部位に対向する領域まで設けられた第二横穴(図示せず)とを有している。
この第一潤滑油供給経路147は、油溜め141内の潤滑油が第一横穴147aを通じて縦穴147b内に供給されている。このように縦穴147b内に供給された潤滑油は、クランクシャフト16が回転駆動されることによって生じた遠心力によって縦穴147bの内周面に沿って上昇させられるとともに第二横穴を通じてクランクシャフト146外に送出されて、潤滑対象部位に供給されるようになっている。
また、このクランクシャフト146において第三ユニット146cによって構成される領域には、第二潤滑油供給経路148が設けられている。
第二潤滑油供給経路148は、第三ユニット146cの下端から上端近傍まで軸線に沿って形成された縦穴148aと、第三ユニット146cにおいて縦穴148aの内周面から外周面において潤滑対象部位に対向する領域まで設けられた横穴(図示せず)とを有している。
これにより、クランクシャフト146の下端から縦穴148a内に進入した潤滑油が、クランクシャフト146が回転駆動されることによって生じた遠心力によって縦穴148aの内周面に沿って上昇させられるとともに各横穴148bを通じてクランクシャフト146外に送出されて、潤滑対象部位に供給されるようになっている。
このロータリー圧縮機131では、圧縮機構部133において、より高温となる後段圧縮機構部113bがハウジング2の下端に位置していて駆動部4から遠ざけられているので、熱による駆動部4の損傷を防止することができ、信頼性が高く、長寿命である。
また、このロータリー圧縮機131では、後段圧縮機構部113bの排気が一時的に貯留される高圧領域H、すなわちハウジング2内で最も内圧が高くなる高圧側領域がハウジング2の下端部に設けられているので、ハウジング2は、高圧側領域Hを構成する下端部及びシリンダ隔壁136にのみ、最終的な吐出圧に耐えられるだけの強度を持たせておけばよいので、製造コストが低くて済む。
また、このロータリー圧縮機131では、ハウジング2内に、第二領域S2、低圧領域L、及び高圧領域Hを、気体の流通される順番に沿って設けているので、これらの領域を冷媒配管P5等の外部配管を用いずに接続することができ、ロータリー圧縮機131の外形がより小型となる。
本発明の第一実施形態にかかるロータリー圧縮機の構成を示す縦断面図である。 図1のA−A矢視断面図である。 本発明の第一実施形態にかかるロータリー圧縮機の圧縮機構部の構成を示す縦断面図である。 本発明の第二実施形態にかかるロータリー圧縮機の構成を示す縦断面図である。 図4のB−B矢視断面図である。 図4のC−C矢視断面図である。 図4のD−D矢視断面図である。 図4のE−E矢視断面図である。 本発明の第二実施形態にかかるロータリー圧縮機の他の構成例を示す縦断面図である。 本発明の第三実施形態にかかるロータリー圧縮機の構成を示す縦断面図である。 本発明の第四実施形態にかかるロータリー圧縮機の構成を示す縦断面図である。 本発明の第五実施形態にかかるロータリー圧縮機の構成を示す縦断面図である。 本発明の第五実施形態にかかるロータリー圧縮機のクランクシャフトの構成を示す縦断面図である。 本発明の第六実施形態にかかるロータリー圧縮機の圧縮機構部の構成を示す縦断面図である。
符号の説明
1,51,71,81,101,111,131 ロータリー圧縮機
2 ハウジング
3,53,83,103,113,133 圧縮機構部
4 駆動部
11a〜11e 第一〜第五シリンダ
12 円筒状内面
13,63,73 セパレータ
13a 開口部
14 ロータ
16,86,126,146 クランクシャフト
16a〜16d 第一〜第四ユニット
17 偏心軸部
28 ブレード
29 中間部軸受
37 潤滑油供給経路
41 連結部
66 吐出経路
67,77 油分離器
93 第二セパレータ
106 主隔壁
116,136 シリンダ隔壁
126a〜126c 第一〜第三ユニット
127,147 第一潤滑油供給経路
128,148 第二潤滑油供給経路
146a〜146c 第一〜第三ユニット
H 高圧領域
S1 第一領域
S2 第二領域
SH 高圧空間
SL 低圧空間

Claims (8)

  1. 気体を圧縮する圧縮機構部と該圧縮機構部を駆動する駆動部とを有し、前記圧縮機構部は、円筒状内面を有し内部にロータが収納される複数のシリンダが互いの間にセパレータを挟んだ状態にして軸線方向に隣接配置され、前記各シリンダには前記円筒状内面から突出する向きに付勢されて前記ロータとともに前記シリンダ内の空間を低圧空間と高圧空間とに仕切るブレードが設けられ、前記各ロータと係合するクランクシャフトが前記各シリンダ及び前記セパレータに挿通された構成とされて、該クランクシャフトを前記駆動部によって回転駆動することで前記各ロータが前記各シリンダ内で偏心回転させられて該各シリンダ内雰囲気の圧縮が行われるロータリー圧縮機であって、
    前記各セパレータには前記クランクシャフトが挿通される開口部が設けられており、
    前記クランクシャフトは、前記ロータと係合する偏心軸部が一つずつ設けられたユニットを複数連結した構成とされており、
    連結される前記ユニットのうちの少なくとも一方には前記偏心軸部よりも小径の連結部が設けられており、連結される前記各ユニット同士は、前記連結部を前記セパレータの前記開口部に挿通した状態で該連結部によって連結されているとともに、
    前記セパレータの開口部に、前記連結部を支持する軸受が設けられていることを特徴とするロータリー圧縮機。
  2. 前記クランクシャフトには、前記軸受との摺動面に潤滑油を供給するための潤滑油供給経路が設けられていることを特徴とする請求項1記載のロータリー圧縮機。
  3. 前記各シリンダが鉛直方向に配列されており、
    前記セパレータには、下方に位置する前記シリンダから吐出される圧縮気体をこのロータリー圧縮機内での前記圧縮気体の流通経路の下流側へと導く吐出経路と、
    前記下方のシリンダより前記吐出経路内に送り込まれた前記圧縮気体から潤滑油を分離して前記下方のシリンダに戻す油分離器とが設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のロータリー圧縮機。
  4. 前記クランクシャフトは、前記駆動部に一端側を保持されて該一端側から前記駆動部の駆動力を入力されており、
    前記クランクシャフトを構成する前記ユニットのうち前記クランクシャフトの他端側を構成する前記ユニットは、前記一端側を構成するユニットよりも軽量な材質によって構成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のロータリー圧縮機。
  5. 前記各シリンダのうちの少なくとも一部のシリンダが、前記圧縮機構部の前記気体の流通経路上で直列に接続されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のロータリー圧縮機。
  6. 前記直列に接続されるシリンダのうち、前記流通経路の上流側のシリンダが、下流側のシリンダよりも前記クランクシャフトの一端側に配置されていることを特徴とする請求項5記載のロータリー圧縮機。
  7. 前記圧縮機構部は、両端が閉じられた筒形状をなし内部に前記シリンダのうちの少なくとも一つの吐出する圧縮気体が一時貯留されるハウジング内に設置されていて、前記シリンダのうち少なくとも前記流通経路の最下流のシリンダでは前記ブレードが前記ハウジングの内圧によって付勢される構成とされており、
    前記最下流のシリンダは、前記ハウジングの軸線方向の端部に配置され、
    前記ハウジング内には、前記最下流のシリンダが収納される高圧領域と他の前記シリンダが収納される領域とを仕切るシリンダ隔壁が設けられており、
    前記高圧領域には、前記最後段の圧縮に用いられるシリンダの吐出する圧縮気体が供給されることを特徴とする請求項5または6に記載のロータリー圧縮機。
  8. 前記圧縮機構部及び前記駆動部は同一のハウジング内に設置されており、
    該ハウジング内には、該ハウジング内の空間を前記圧縮機構部が配置される第一領域と前記駆動部が設けられる第二領域とに仕切る主隔壁が設けられており、
    前記第一領域は前記圧縮機構部の前記シリンダのうちの少なくとも一つの吐出する圧縮気体を一時貯留する空間とされており、
    前記第二領域は、このロータリー圧縮機に供給される圧縮対象の気体が前記圧縮機構部に送り込まれる前に通過する通路とされていることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のロータリー圧縮機。
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