JP5288941B2 - スクロール型圧縮機 - Google Patents

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本発明はスクロール型圧縮機に関する。
一般に、スクロール型圧縮機は、ハウジングに固定された固定スクロールと、この固定スクロールに対向配置され、回転軸によって固定スクロールに対して旋回する可動スクロールとを有しており、これら固定スクロールと可動スクロールとによって流体を圧縮するようになっている。この可動スクロールは、可動スクロール背面の圧力と、圧縮される流体の圧力との圧力差によってスラスト方向の力を受けているが、このスラスト方向の力は、スラスト軸受によって支持されている。
可動スクロールは公転運動をするため、スラスト軸受をスクロール型圧縮機に用いた場合の摺速は比較的小さい。このため、摺動面におけるオイルの油膜形成が難しく、焼き付き等を起こしやすい。
特に、二酸化炭素冷媒を使用した冷凍サイクルで用いられる圧縮機では、圧縮される冷媒の圧力が高いため、上記スラスト方向の力も大きくなりスラスト軸受の摺動面における油膜の形成がより重要な課題となる。
このような課題を解決するための技術が特許文献1に記載されており、そこには、スラスト軸受の摺動面の内側に、摺動面の相手側部材によって閉じられ得る複数の溝を形成し、前記複数の溝を介してオイルを摺動面に供給する技術が記載されている。これにより、前記複数の溝にオイルが蓄えられるとともに、摺動面からのオイルの流出量が抑えられ、その結果摺動面へのオイルの供給が一時的に中断した状態でスクロール型圧縮機が運転されても、複数の溝に蓄えられたオイルによる摺動面の充分な潤滑が実現される。
しかしながら、特許文献1に記載されたスラスト軸受は、オイルの保持性が高い反面、オイルの流動が抑えられるため、異物が侵入したときそれを排出できずに、異物噛み込みによる焼き付きが生じること、及び摺動熱を十分に放熱できずに、温度上昇による焼き付きが生じるという問題を有していた。
特開2008−51029号公報
本発明は、上記課題に鑑みて、オイルの保持性と流動性とを両立することにより高い潤滑信頼性が確保されたスラスト軸受を備えるスクロール型圧縮機を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、ハウジング(13)に固定された固定スクロール(38)と、固定スクロール(38)に対向配置され、固定スクロール(38)に対して公転運動することにより流体を圧縮する可動スクロール(32)と、可動スクロール(32)のスラスト荷重を支持するスラスト軸受(53)と、スラスト軸受(53)にオイルを供給するオイル供給手段と、を備えるスクロール型圧縮機において、スラスト軸受(53)は、互いに摺接する第1摺動面(54a)及び第2摺動面(55a)であって、該第1摺動面(54a)及び該第2摺動面(55a)のいずれか一方がハウジング(13)側に固定されていて、いずれか他方が可動スクロール(32)と共に公転運動をする第1摺動面(54a)及び第2摺動面(55a)と、第1摺動面(54a)から軸方向に凹んで形成され且つ第1摺動面(54a)により取り囲まれた凹部(54c)と、を有しており、スラスト軸受(53)は、可動スクロール(32)の偏心方向の一方において凹部(54c)の周縁(54f)が第2摺動面(55a)の外周縁(55e)より内周側に位置し、偏心方向の他方において凹部(54c)の周縁(54f)が第2摺動面(55a)の外周縁(55e)より外周側に位置することにより凹部(54c)を部分的に開放する開口(58)が形成されるように構成されていることを特徴とするものである。
これにより、スラスト軸受内におけるオイルの保持性と流動性を両立することが可能になり、その結果、各摺動面における油膜が維持される一方で、異物の排出能力と摺動摩擦熱の良好な放熱性を備え高い潤滑信頼性を有するスラスト軸受を備えるスクロール型圧縮機が提供され得る。
請求項2に記載の発明は、スラスト軸受(53)が、凹部(54c)の底面から突出して第2摺動面(55a)に摺接する複数の島状の受圧部(54d)をさらに有することを特徴とするものである。これにより、受圧部(54d)の間の凹部(54c)にオイルが保持され易くなる。
請求項4に記載の発明は、スラスト軸受(53)が、ケーシング(13)側に固定された第1の部材(54)と、第1の部材(54)に対向するように可動スクロール(32)に取り付けられた第2の部材(55)とから構成され、第1摺動面(54a)、受圧部(54d)、及び凹部(54c)が第1の部材(54)に形成され、第2摺動面(55a)が第2の部材(55)に形成されていることを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、第2の部材(55)は中心部に中心穴(55b)を有しており、可動スクロール(32)は、第2の部材(55)に接する面(32a)に溝状の迂回流路(32b)を有しており、迂回流路(32b)は、第2の部材の中心穴(55b)と可動スクロール(32)の外側の空間(31)とが流体連通するように形成されていることを特徴とするものである。これにより、オイルに含まれる冷媒ガスは、スラスト軸受(53)内よりも主に迂回流路(32b)を通るため、冷媒ガスに起因する摺動面の潤滑性の低下が抑えられる。
請求項6に記載の発明は、第1摺動面(54a)及び第2摺動面(55a)の外周縁(54e、55e)が円形であり、凹部(54c)の周縁(54f)が第1摺動面(54a)の外周縁(54e)と同軸の円形であることを特徴とするものである。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、開口(58)の半径方向の幅をh、公転運動の公転半径をRとしたとき、下記不等式が満足されていることを特徴とするものである。
0.01R<h<0.3R
なお、上記各手段に付した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態につき、図1〜図4を参照して説明する。
図1は、本実施形態におけるスクロール型圧縮機11を示す縦断面図である。以下二酸化炭素冷媒を使用し、吐出される二酸化炭素の圧力が臨界圧力を超える冷凍回路中で用いられる給湯機用の圧縮機を例にして説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
本実施形態におけるスクロール型圧縮機11は、密閉容器13内に電動機部27と圧縮機構部10とを収容した密閉型電動圧縮機である。
密閉容器13は、円筒形をなす円筒ケース13aと、この円筒ケース13aの両端に組みつけられた有底円筒状の電動機側端部ケース13b及び圧縮機構側端部ケース13cとを備えている。
電動機部27は、円筒ケース13aの内周面に固定された固定子25と、電動機部27によって回転駆動されるシャフト21に固定される回転子23とを備えている。
圧縮機構部10は、円筒ケース13a内において上記固定子25に隣接する位置に固定されたミドルハウジング15と、ミドルハウジング15に設けられた主軸受17によって支持されたクランク機構28により公転する可動スクロール32と、ミドルハウジング15の図中右側において、円筒ケース13aに固定され、可動スクロール32と対向配置されて共に後述する作動室45を形成する固定スクロール38とを備えている。
尚、シャフト21は、円筒ケース13a内において、固定子25と電動機側端部ケース13bとの間に設けられた円盤状の支持部材14に固定された副軸受19と、上記主軸受17とによって略水平に支持されている。
可動スクロール32は、略円盤状の可動側板33と、可動側板33の端面から固定スクロール38側に向かってインボリュート曲線状に立設した可動側渦巻41と、可動側渦巻41と反対側の端面からミドルハウジング15側に向かって円筒状に立設したボス部35を備える。
固定スクロール38は、ミドルハウジング15に固定された固定側板39と、固定側板39の可動スクロール32側の端面に設けられた渦巻状の溝によって形成された固定側渦巻43を備える。
ミドルハウジング15は、電動機部27側から固定スクロール38側に向かって、順次径が大きくなる3段円筒状をなしており、電動機部27に近い最も小径の円筒15aは主軸受17を構成し、真ん中の円筒15bはクランク機構28を収容するクランク室29を構成し、固定スクロール38に近い最も大径の円筒15cは内部に可動スクロール32を収容するスクロール収納部31を形成すると共に、円筒ケース13aの内周面に焼き嵌めなどの固定手段によって固定されている。
クランク機構28は、シャフト21の圧縮機構部10側の端部に一体に設けられた偏心軸37と可動スクロール32のボス部35によって構成されている。偏心部37は、上記主軸受17及び副軸受19の軸中心から所定量だけ偏心するように設けられている。
ミドルハウジング15を構成する上記大径の円筒15cと真ん中の円筒15bとを繋ぐ円板部15dの可動スクロール32側の端面(以下、円板部スクロール側端面15eと称する)には、図示しないオルダムカップリングが配置されており、可動スクロール32の自転を防止している。これにより、可動スクロール32は公転のみが許容されている。圧縮機構部10は、可動側渦巻41と固定側渦巻43の噛み合いによって形成される複数の作動室45が、可動スクロール32が固定スクロール38に対して旋回することで体積を縮小することにより固定側渦巻43の最外周側に連通する吸入室(図示せず)に供給された冷媒を圧縮する。
また、円板部スクロール側端面15eと、可動スクロール32のボス部35が設けられた側の端面(以下、可動スクロール背面32aと称する)との間には、スラスト軸受53が配置されている。このスラスト軸受53は、冷媒を圧縮する時の圧縮反力と、可動スクロール背面32a側の圧力によるスラスト方向の力との差によって結果として可動側板33が受ける軸方向の力(本実施形態においては固定スクロール38側から円板部15dに向けて可動側板33を押す力)を受けながら可動スクロール背面32aを円板部スクロール側端面15eに対して低摩擦で回転させるすべり軸受である。このスラスト軸受53については後に詳述する。
吸入室は、図示されないが、固定側板39の側面に設けられており、円筒ケース13aを貫通し、密閉容器13外部の冷媒回路から冷媒を吸入する図示されない吸入管が接続されている。
固定側渦巻43の中心部には、固定側板39を軸方向に貫通する吐出口49が設けられている。可動スクロール32と固定スクロール38とによって圧縮された冷媒はこの吐出口49から吐出室50に吐出される。
吐出室50は、固定側板39の反可動スクロール32側の端面(以下、固定スクロール背面38aと称する)に設けられた凹部を吐出室カバー56によって閉じることにより形成されている。尚、吐出室50内には吐出された冷媒が逆流することを防止する吐出弁61が配置されている。
吐出室50に吐出された高温高圧の冷媒は、吐出室50の上部から図の右方に延びる冷媒流路57を経てオイルセパレータ63に導かれる。
オイルセパレータ63は、内筒63aと外筒63bとを有する遠心分離式のオイルセパレータ63であり、2重円筒状をなしている。
冷媒流路57は、遠心分離式のオイルセパレータ63の内筒63aと外筒63bの間の空間に概略接線方向に接続している。内筒63aと外筒63bの間の空間に概略接線方向から流入した冷媒は、内筒63aと外筒63bの間の空間を旋回し、冷媒に含まれていたオイルが遠心分離された後、内筒63a内を通り、内筒63aに一体の吐出管59を経て密閉容器13外部の冷媒回路へと送られる。ここで、本実施形態におけるオイルはポリアルキレングリコールまたはポリビニルエーテルまたはポリオールエステルのいずれか一つ、またはこれらのうちの複数を混合したオイルを主成分とすると好ましい。
また、吐出室カバー56と圧縮機構側端部ケース13cとの間の空間は吐出される冷媒の圧力に比べて低圧の雰囲気となっている。
オイルセパレータ63によって分離されたオイルは、外筒63bの内壁面に沿って、重力によって下方に移動し、外筒63bを構成する円筒状の穴の下端に設けられた小径孔64を介して高圧貯油室65に貯えられる。
高圧貯油室65は、圧縮機構側端部ケース13cの下部とその内側に溶接された断面略L字状の貯油室ケース68とによって形成されている。高圧貯油室65の底部には、略U字状の送油管62の一端が接続されており、送油管62の他端が固定スクロール38の固定側板39の下部に接続されている。
高圧貯油室65に貯えられたオイルは、送油管62から固定側板39の下部に導入され、固定側渦巻43よりも下方において、固定側板39を貫通するオイル戻し通路67を通って可動側板33内部に設けられたオイル通路69に導かれる。尚、オイル戻し通路67の出口には、小径の絞り部67aが設けられている。
オイル通路69の入口は、可動側板33の可動側渦巻41が設けられた面に開口しており、このオイル通路69の入口は、可動スクロール32の公転運動によってオイル戻し通路67の出口と間欠的に連通するようになっている。また、オイル通路69の出口は、シャフト21の端部とボス部35の底面との間の空間に連通するようにボス部35の内壁に開口している。
尚、高圧貯油室65に蓄えられたオイルは、冷媒の吐出圧力を受けて高圧となっているが、絞り部67aおよび可動スクロール32の公転運動によるオイル戻し通路67とオイル通路69との間欠的な連通によって、所望の圧力まで減圧される。また、高圧貯油室から供給されるオイルには通常冷媒が含まれており、この冷媒は各潤滑部に供給される際には減圧されて発泡している。従って、各潤滑部に供給されるオイルは、正確に表現すると、液体のオイルと気体の冷媒からなる気液2相状態の流体である。
シャフト21の端部とボス部35の底面との間の空間に導かれたオイルは、シャフト21内部を軸方向に貫通するオイル通路71に流入する。
オイル通路71を通過したオイルは、後述する径方向孔71bを通過し密閉容器13内に導かれる。支持部材14、固定子25、ミドルハウジング15、固定側板39には、円筒ケース13aとの間に図示しない隙間があり、密閉容器13内に導かれたオイルは、密閉容器13内の全領域において下方に貯留される。密閉容器13内の全領域の下方は低圧貯油室66を構成している。
低圧貯油室66に貯留されたオイルは、固定側板39に設けられた図示しないオイル戻し孔を通ってスクロール収納部31に至る。
オイル通路71には、主軸受17及び副軸受19に対応する部位に径方向孔71a、71bがオイル通路71から分岐するように設けられている。
径方向孔71aの出口はシャフト21に設けられたシャフト溝21aに連通しており、径方向孔71aに流入したオイルは、主軸受17、オイル溝72、スラスト軸受53を潤滑した後、スクロール収納部31に至る。
一方、径方向孔71bに流入したオイルは、副軸受19を潤滑した後、低圧貯油室66内に落下し、固定側板39に設けられた図示しないオイル戻し孔によってスクロール収納部31に至る。
オイル戻し通路67、オイル通路69、71、径方向穴71aは、オイルセパレータ63によって分離されたオイルの圧力とスラスト軸受53が配置される部位の圧力との圧力差によってスラスト軸受53にオイルを供給するオイル供給手段をなしている。
スクロール収納部31に至ったオイルは、可動スクロール32と固定スクロール38の摺動面に供給され、作動室45で冷媒と共に圧縮され、再びオイルセパレータ63によって冷媒から分離される。
次に、本実施形態におけるスラスト軸受53について説明する。本実施形態におけるスラスト軸受53は、円板部スクロール側端面15eに固定された第1プレート54と、可動スクロール背面32aに固定された第2プレート55とから構成されている。第1プレート54と第2プレート55は互いに摺接する第1摺動面54aと第2摺動面55aをそれぞれ有している。
第2プレート55は、可動スクロール32の可動側板33とほぼ等しい外径の円板状に形成されており、その中心部に、可動スクロール32のボス部35が挿通する中心穴55bを有している。第2プレート55の第2摺動面55aはプレーンな平面として第2プレート55の一方の側面全域に形成されている。
一方、第1プレート54は、第2プレートより僅かに大きい外径を有する円板状に形成されており、その中心部には、クランク室29の径とほぼ同一の内径を有する中心穴54bを有している。また、第1プレート54の第1摺動面54a側には、図2及び図3に示されるように、軸方向の凹部54cと、その凹部54cの底面から突出した多数の島状の受圧部54dが形成されている。なお、図2は、図1のA−Aから見たスラスト軸受53の平面図であり、第1プレート54と第2プレート55との位置関係を分かりやすくするために第2プレート55にハッチングを施している。また、図3は図2のB−B断面図である。
第1プレート54に設けられた凹部54cは、円形の第1プレート54及び第1摺動面54aに同軸の円形で形成され、従って、凹部54cは外周側では第1プレート54の環状の第1摺動面54aによって取り囲まれている。凹部54cは中心側では第1プレート54の中心穴54bに達するまで延在している。
島状の受圧部54dは3列の同心円状に千鳥配置されている。これら受圧部54dは、互いに或いは第1摺動面54aに繋がることなくそれぞれが島状に独立している。また、島状の受圧部54dは、その頂面が第2摺動面55aに摺接するように、第1摺動面54aと同一の平面に属する高さで形成されている。
次に、第1プレート54と第2プレート55との間の、及び従って第1摺動面54aと第2摺動面55aとの間の位置関係を図2及び3を参照して説明する。本実施形態のスクロール型圧縮機においては、可動スクロール32は、前述したとおりミドルハウジング15を介してハウジング13に固定された固定スクロール38に対して所定の公転半径で公転するように構成されている。従って可動スクロール32に固定された第2プレート55は、ミドルハウジング15を介してハウジング側に固定された第1プレート54に対して同様に公転する。公転半径は、シャフト21に対する偏心軸37の偏心量R、即ち図2に示される第1摺動面54aの中心C1と第2摺動面55aの中心C2間の距離Rに一致する。また、本明細書では公転半径が延びる方向、つまり図2の場合はy軸に一致する方向を偏心方向と呼ぶ。
第2摺動面55aは、その中心C2が前述したとおり第1摺動面54aの中心C1から偏心方向にRだけ偏心して公転するものであるが、図2の場合そのy軸方向に一致する偏心方向の一方である上側では、第2摺動面の外周縁55eより内周側に第1摺動面の外周縁54e及び従って凹部54cの周縁54fが位置し、前記偏心方向の他方である下側では、第2摺動面の外周縁55eより外周側に凹部54cの周縁54fが位置する。従って偏心方向の一方(上側)では、凹部54cは、第1摺動面54aと第2摺動面55aの接触によって閉じられているが、偏心方向の他方(下側)では、第2摺動面の外周縁55eと凹部54cの周縁54fとの間には半径方向の隙間h及びこの隙間hに対応した細い三日月状の開口58が形成されるので部分的に開放される。このように、凹部54cは、第2プレート55の公転運動中に、その大部分は第2摺動面55aと環状の第1摺動面54aとの接触によって閉じられているが、一部が細い三日月状の開口58によって開放されている。また勿論、三日月状の開口58の位置は、第2プレート55の公転にともなって円周方向に移動していく。
スラスト軸受をこのように構成することにより、スクロール型圧縮機の運転中にクランク室29に流入したオイルは、第1プレート54の中心穴54bから凹部54cに流入して保持されるとともに、そこから第2摺動面55aと受圧部54dとの間及び第2摺動面55aと第1摺動面54aとの間に供給されてそれらの間に油膜を形成する一方で、一部のオイルが三日月状の開口58から外へ、つまりスクロール収納部31の空間へ流れ出るようになる。
三日月状の開口58から流れ出るオイルの流れは、異物の排出性及び摺動摩擦熱の放熱性を高めるが、それが過剰であると、スラスト軸受内でのオイルの保持性が低下することにより潤滑性が低下するという問題が生じる。従って、開口58からのオイルの漏れ量は、スラスト軸受におけるオイルの保持性と流動性を両立できる適切な範囲にあることが求められる。
ところで、本実施形態のように三日月状の開口58が形成される場合、前記開口58からのオイルの漏れ量は下式で表わされる。
Figure 0005288941
ここで、Qは開口からの漏れ量、f(h/R)は開口の等化面積を表す関数、hは隙間、Rは公転半径、Δpは開口の前後の差圧、ρoilはオイルの密度、Cは流量係数、である。また上式に基づいて、図4のグラフを作成することができ、このグラフは、縦軸が開口58からの漏れ量であり、横軸は隙間hと公転半径Rの比である。
本発明の発明者は、開口58からの適切な漏れ量Qが、開口58の隙間hと公転半径Rとに基づいて定められ得ること、及び隙間hと公転半径Rが、下記不等式
0.01R<h<0.3R
を満足するとき漏れ量Qが好適であることを見出した。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態のスクロール型圧縮機をその圧縮機構部10とスラスト軸受53の縦断面図である図5を参照して説明する。第2の実施形態のスクロール型圧縮機は、可動スクロール32の背面32a、即ち第2プレート55が接する面32aに、半径方向に延びる溝状の迂回流路32bが形成されている点において、第1の実施形態と異なっている。迂回流路32bは、前記背面32aの内周端、即ちボス部35に接する部分、から外周端に達するまで延びている。このため、クランク室29及び前記中心穴55bとスクロール収納部31の空間とが迂回流路32bを介して流体連通されている。また、迂回流路32bは、その流路面積が開口58の面積に比べて充分大きくなるように構成されている。このため、本実施形態では迂回流路32bは1本設けられているが、流路面積を拡大するために複数本設けられてもよい。
このような迂回流路32bが設けられた第2の実施形態のスクロール型圧縮機では、クランク室29に流れ込んだオイルは、第1の実施形態の場合と同様に第1プレートと第2プレートとの間の各摺動面から開口58を通る第1の経路P1に加えて、第2プレートの中心穴55bから可動スクロールの迂回流路32bを通る第2の経路P2も通ってスクロール収納部31に流れる。
その結果、スラスト軸受内でのオイルの保持性を確保するために開口58を比較的小さくした場合でも、クランク室29からスクロール収納部31へ無理なくオイルを流すことが可能になる。また、スラスト軸受53内の各摺動面に流入する冷媒ガスの量を低下させることも可能になるが、その理由を以下に述べる。
各潤滑部に供給されるオイルは、前述したとおり、液体のオイルと気体の冷媒からなる気液2相状態の流体として各潤滑部に供給されるが、冷媒ガスが摺動面に侵入すると油膜が切られて潤滑不良が生じ易くなるという問題がある。このため、第2の実施形態では、クランク室29に流入したオイルに含まれる冷媒ガスが主に迂回流路32bを通るようにしている。冷媒ガスが主に迂回流路32bを流れるのは、一つには冷媒ガスと液体のオイルの密度を比べたときオイルの方が5倍程度大きいため、同じ流路面積を同じ差圧で流れる場合、冷媒ガスの体積流量はオイルの2.2倍になり、その結果大量の冷媒ガスが迂回流路32bを通る一方で開口58を通る冷媒ガスは少量となるためであり、二つ目には、可動スクロールとともに旋回運動をするクランク室29内の冷媒ガスと液体オイルに働く遠心力が、重い液体オイルを外側に及び軽い冷媒ガスを内側に集め、内側に集められた冷媒ガスは内周側に入り口のある迂回流路32bの方により多く流入するためと考えられる。
(その他の実施形態)
前述の実施形態では、第1プレート54に凹部54cが形成されたが、第1プレート54をプレーンな平板にして、第2プレート55に凹部を形成してもよい。
前述の実施形態のスクロール型圧縮機のスラスト軸受53は島状の受圧部54dを備えていたが、本発明のスクロール型圧縮機のスラスト軸受53は島状の受圧部54dを備えなくてもよい。
本発明の第1の実施形態によるスクロール型圧縮機を示す縦断面図である。 図1のA−A矢視図であり、前記スクロール型圧縮機のスラスト軸受の平面図を示す図である。 図2のB−B断面図であり、前記スラスト軸受の部分縦断面図である。 開口からのオイルの漏れ量をグラフで示す図である。 本発明の第2の実施形態によるスクロール型圧縮機のスラスト軸受及び圧縮機構部を含む部分縦断面図である。
符号の説明
53 スラスト軸受
54 第1プレート
54a 第1摺動面
54c 凹部
54d 受圧部
54e 第1プレートの外周縁
54f 凹部の周縁
55 第2プレート
55a 第2摺動面
55e 第2プレートの外周縁
58 開口
h 開口の半径方向の隙間
R 公転半径

Claims (9)

  1. ハウジング(13)に固定された固定スクロール(38)と、
    前記固定スクロール(38)に対向配置され、前記固定スクロール(38)に対して公転運動することにより流体を圧縮する可動スクロール(32)と、
    前記可動スクロール(32)のスラスト荷重を支持するスラスト軸受(53)と、
    前記スラスト軸受(53)にオイルを供給するオイル供給手段と、を備えるスクロール型圧縮機において、
    前記スラスト軸受(53)は、互いに摺接する第1摺動面(54a)及び第2摺動面(55a)であって、該第1摺動面(54a)及び該第2摺動面(55a)のいずれか一方がハウジング(13)側に固定されていて、いずれか他方が前記可動スクロール(32)と共に公転運動をする第1摺動面(54a)及び第2摺動面(55a)と、前記第1摺動面(54a)から軸方向に凹んで形成され且つ前記第1摺動面(54a)により取り囲まれた凹部(54c)と、を有しており、
    前記スラスト軸受(53)は、可動スクロール(32)の偏心方向の一方において前記凹部(54c)の周縁(54f)が前記第2摺動面(55a)の外周縁(55e)より内周側に位置し、前記偏心方向の他方において前記凹部(54c)の前記周縁(54f)が前記第2摺動面(55a)の前記外周縁(55e)より外周側に位置することにより前記凹部(54c)を部分的に開放する開口(58)が形成されるように構成されており、
    前記スラスト軸受(53)は、前記ハウジング(13)側に固定された第1の部材(54)と、前記第1の部材(54)に対向するように前記可動スクロール(32)に取り付けられた第2の部材(55)とを有しており、
    前記第2の部材(55)は、前記第1摺動面(54a)及び前記第2摺動面(55a)の各内周縁よりも内周側に中心穴(55b)を有しており、前記第2の部材(55)と前記可動スクロール(32)との間には、前記中心穴(55b)と前記可動スクロール(32)の外側の空間とを連通する迂回流路(32b)が形成されており、
    前記迂回流路(32b)の流路面積が前記開口(58)の面積よりも大であることを特徴とするスクロール型圧縮機。
  2. 前記スラスト軸受(53)は、前記凹部(54c)の底面から突出して前記第2摺動面(55a)に摺接する複数の島状の受圧部(54d)をさらに有することを特徴とする、請求項1に記載のスクロール型圧縮機。
  3. 前記複数の島状の受圧部(54d)は、円形であって、千鳥配置されていることを特徴とする、請求項2に記載のスクロール型圧縮機。
  4. 記第1摺動面(54a)、前記受圧部(54d)、及び前記凹部(54c)が前記第1の部材(54)に形成され、前記第2摺動面(55a)が前記第2の部材(55)に形成されていることを特徴とする、請求項2または3に記載のスクロール型圧縮機。
  5. 前記迂回流路(32b)は、前記可動スクロール(32)、前記第2の部材(55)に接する面(32a)に溝状に形成されていることを特徴とする、請求項4に記載のスクロール型圧縮機。
  6. 前記第1摺動面(54a)及び前記第2摺動面(55a)の前記外周縁(54e、55e)が円形であり、前記凹部(54c)の前記周縁(54f)が前記第1摺動面(54a)の前記外周縁(54e)と同軸の円形であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のスクロール型圧縮機。
  7. 前記開口(58)の半径方向の幅をh、前記公転運動の公転半径をRとしたとき、下記不等式が満足されていることを特徴とする、請求項6に記載のスクロール型圧縮機。
    0.01R<h<0.3R
  8. 前記流体からオイルを分離する油分離手段(63)を備え、
    前記オイル供給手段は、前記油分離手段(63)によって分離されたオイルの圧力と前記スラスト軸受(53)が配置される部位(31)の圧力との圧力差によって前記スラスト軸受(53)にオイルを供給することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のスクロール型圧縮機。
  9. 前記流体が二酸化炭素であり、吐出される二酸化炭素の圧力が臨界圧力を超えることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載のスクロール型圧縮機。
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