JP3533739B2 - スクロール流体機械 - Google Patents

スクロール流体機械

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JP3533739B2
JP3533739B2 JP00469395A JP469395A JP3533739B2 JP 3533739 B2 JP3533739 B2 JP 3533739B2 JP 00469395 A JP00469395 A JP 00469395A JP 469395 A JP469395 A JP 469395A JP 3533739 B2 JP3533739 B2 JP 3533739B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、一方のスクロール部材
が非旋回でもう一方のスクロール部材が自転せずに旋回
運動を行いその背面でスラスト荷重を受けるスクロール
流体機械に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、軸方向に可動な非旋回スクロール
部材と旋回スクロール部材をかみ合わせ圧縮ガスのスラ
スト荷重を旋回スクロール部材の背面で受けるスクロー
ル流体機械では、特開平5−263776 号公報に記載の第一
従来技術のように、旋回スクロール部材を圧縮機本体に
組み込む時、それを上方から組み込むために、非旋回ス
クロールを支持する非旋回対向面に旋回スクロール部材
が通り抜け可能な大きさの開口部を設けていた。また、
図15および図16に示す第二従来技術では、非旋回基
準面とスラスト基準面が同一面になるため、ストッパ部
材において非旋回基準面対向面とスラスト基準面対向面
をつなぐ部分が必要となった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】第一の従来技術では、
円環状の非旋回対向面の内径が拡大し非旋回スクロール
部材の支持点が非旋回スクロールの中央から遠くなる点
に関して考慮されておらず、非旋回スクロールの背面に
かかる接近力により非旋回スクロール部材の鏡板が大き
くたわむことで両スクロールラップの歯先歯底間の接触
が起こり、圧縮効率および信頼性が低下するという問題
が生じた。また、第二の従来技術では、ストッパ部材が
径方向に大きくなる点に関して考慮されておらず、流体
機械の小形化を阻むという問題が生じた。
【0004】本発明の第一の目的は、従来技術の問題点
を解決することにある。
【0005】また、本発明の第二の目的は、第一の目的
の他に、加工性が向上したスクロール流体機械を提供す
ることにある。
【0006】また、本発明の第三の目的は、第二の目的
の他に、量産時において性能や信頼性のばらつきの小さ
いスクロール流体機械を提供することにある。
【0007】
【0008】
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【課題を解決するための手段】第一の目的を達成するた
めに、ケーシングに対して自転を伴わずに旋回運動する
鏡板に立設されたスクロールラップを有する旋回スクロ
ール部材と、その旋回スクロール部材のスクロールラッ
プとかみ合う鏡板に立設されたスクロールラップを有す
る非旋回スクロール部材と、前記旋回スクロール部材に
旋回運動のために回転力を伝えるシャフトを有する駆動
部と、前記旋回スクロール部材の鏡板面で前記スクロー
ルラップが立設されていない面と対向するスラスト軸受
部材と、前記駆動部の運転中に前記非旋回スクロール部
材のスクロールラップが立設する側の鏡板面の外周部に
設けられた非旋回基準面と前記スラスト軸受部材のスラ
スト面との間で当接して前記シャフトの軸方向の最低距
離を規定するストッパ部材とを備え、前記旋回スクロー
ル部材のスクロールラップ及びそのスクロールラップが
立設された鏡板面の表面になじみ性を備えた表面皮膜を
設けた。
【0014】また、第二の目的を達成するために、第一
の目的を達成するための手段とともに、前記非旋回スク
ロール部材のスクロールラップ及びそのスクロールラッ
プが立設された鏡板面の表面になじみ性を備えた表面皮
膜を設けた。
【0015】また、前記第三の目的を達成するために、
の目的を達成するための手段とともに、前記非旋回
基準面と前記非旋回スクロール部材のスクロールラップ
歯底面を同一面とした。
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【作用】ストッパ部材と軸方向に可動な非旋回スクロー
ル部材を有するスクロール流体機械では、非旋回スクロ
ールの背面にかかる接近力により非旋回スクロールの鏡
板にたわみが生じ、両スクロールラップの歯先歯底間の
初期設定隙間が小さいとその歯先歯底間で圧接の危険性
が生じる。このたわみ量は非旋回スクロールの支持点の
スパンが大きくなると急激に増大する。第一の目的を達
成する手段のうちで、駆動部の運転中に非旋回スクロー
ル部材のスクロールラップが立設する側の鏡板面の外周
部に設けられた非旋回基準面とスラスト軸受部材のスラ
スト面とのシャフトの軸方向の最低距離を規定するスト
ッパ部材と、旋回スクロール部材のスクロールラップ及
びそのスクロールラップが立設された鏡板面の表面にな
じみ性を備えた表面皮膜とにより、スクロールラップの
側面間および歯先歯底間の隙間を小さくしさらにスクロ
ールラップの接触部における摺動性を向上できるので、
内部漏れが少なく摩擦ロスを小さくできる。
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
【実施例】本発明を非旋回スクロール部材が軸方向に可
動な非旋回フロート式スクロール圧縮機に実施した第一
の実施例を、図1および、図3ないし図14に基づいて
説明する。図1は圧縮機の縦断面図、図3は旋回スクロ
ール部材の上方からの斜視図、図4は旋回スクロール部
材の下方からの斜視図、図5は非旋回スクロール部材の
上方からの斜視図、図6は非旋回スクロール部材の下方
からの斜視図、図7は非旋回スクロール部材の底面の平
面図、図8は旋回スクロール部材の上面図、図9は図1
のA−A矢視断面図、図10はオルダムリングの上方か
らの斜視図、図11はストッパ部材の上方からの斜視
図、図12はストッパ部材の上面図、図13は油溝位置
の説明図、図14は非旋回スクロール部材の上面図を示
す。
【0032】旋回スクロール部材3は、鏡板3aの上面
にスクロールラップ3bが立設し、下面の中央部にボス
3c、また下面外周部にはスラスト面3dが配置されて
いる。鏡板3aの外周部にはオルダム突起部3e,3f
が突出し、そこには旋回オルダム溝3g,3hが設けら
れている。さらに、鏡板3aの外周部にはオルダム支持
突起部3i,3jが設けられている。スクロールラップ
3bは、中央側端部3l,外周側端部3mを除いて、中
央から外周へ向かうにつれて、厚さが減少する。ここ
で、スクロールラップ3bの厚さは、図2に示すよう
に、ラップ外線とラップ内線とのなす角α,βが等しく
なる線分A1,B1の長さとする。また、スクロールラ
ップ3bのバランスを取るために、鏡板3aの上面を直
線上に切欠いたバランス切欠き部3kを設ける。鏡板3
aの下面外周は、円筒状になっているため、スクロール
ラップ加工時や搬送時のチャッキング面として用いるこ
とが可能となる。よって、加工時の取扱いが容易とな
り、圧縮機の加工性を向上できる。
【0033】ストッパ部材7には、上面に非旋回基準面
対向面7f,下面にスラスト基準面対向面7gとなる互
いに平行な二平面を設ける。この結果、このストッパ部
材の加工性が向上する。また、その非旋回基準面対向面
7fの中央に旋回スクロール部材3が通り抜け不可能な
大きさのスクロールラップ挿入孔7iを開口する。この
ストッパ部材7の下部には、旋回スクロール部材3が旋
回運動するスペースが必要なため、大きな開口部が設け
られる。この結果、ストッパ部材7の上部にはオーバハ
ング部7hが形成される。このオーバハング部7hの上
部には回転止め溝7a,7bが設けられ、下部には固定
オルダム溝7c,7dが設けられる。この回転止め溝7
a,7bと固定オルダム溝7c,7dは共通の側面を持
っている。また、旋回運動に伴うスクロールラップ3b
の外周部との干渉を回避するためにオーバハング部7h
に内周切欠き部7eが設けられる。また、オーバハング
部7hの下部の内周面には旋回スクロール3のオルダム
突起部3e,3fの逃げとして内周溝7x,7yが設け
られている。さらに外周面にはガスおよび油の流路とな
る流通溝7zが設けられている。また吸込み孔7sが側
面に設けられている。
【0034】非旋回スクロール部材2は、鏡板2aの下
面にスクロールラップ2bが立設し、上面の中央部には
シール突起部2cが立設している。鏡板2aの下面外周
部にはスクロールラップ歯底面と同一面である非旋回基
準面2uを設ける。また、シール突起部2cの内部には
中央付近に吐出孔2dと過圧縮防止用の2個のリリース
孔2eを開口させる。リリース孔2eを被うように一体
化したリリース弁23(図14の二点鎖線)をリリース
ねじ50で固定する。ここで、リリース弁23とフロー
トスクロール2の固定法は、ねじ止めでなく、かしめピ
ン,接着,溶接または銀ろう付けでもよい。このリリー
ス孔2eは、このリリースねじ50のねじ孔2iと同一
の面上(図14のハッチング部)に開口している。また
シール突起部2cの外部には均圧孔2fが開いている。
鏡板2aの下面には回転止め2g,2hが突出してい
る。スクロールラップ2bは、中央側端部2l,外周側
端部2mを除いて、中央から外周へ向かうにつれて、厚
さが減少する。ここで、頻繁に運転する条件下で、非旋
回スクロール部材2が上方に動く必要がなく非旋回基準
面2uが非旋回基準面対向面7fに押しつけられる状態
になるようにスクロールラップ2b,3bの高さを設定
する。
【0035】スラスト部材はフレーム4と一体化されて
いる。そのフレーム4の上部はスラスト部の滑りスラス
ト軸受9aとスラスト基準面9bが同一の面上に設けら
れる。また、滑りスラスト軸受9a上には油溝4bが設
けられ、そこへ背面室11から通じている給油孔4cが
開口している。本実施例では4個であるが、背面室11
の圧力を高めにしたいときにはその給油孔4cの数を少
なくするか、細くする。さらに外周面にはガスおよび油
の流路となる流通溝4hが設けられている。また、中央
部には主軸受4aが設けられる。
【0036】オルダムリング5には上面に固定突起部5
a,5bが設けられ、下面には旋回突起部5c,5dが
設けられる。
【0037】フロートレール部材25には内周下部に非
旋回スクロール部材2の上下動の軌道となるレール面2
5c,上部にカバー押さえ25a,内周部上部にリング
溝25bが設けられる。このリング溝25には耐熱性で
柔軟な材質のシールリング51を挿入する。
【0038】シャフト12には内部にシャフト給油孔1
2aと横給油孔12bが設けられる。また、その上部に
は径の拡大した軸受保持部12fがあり、そこには偏心
した位置に旋回軸受12cが圧入され、下端部には給油
パイプ12dが固定される。
【0039】ロータ15は積層鋼板15aに未着磁の永
久磁石15bを内蔵し、上面に上部バランスウエイト1
5cを固定する。ここでバランスウエイト15cを円筒
形状にするためバランスウエイト15cよりも比重の小
さい材料でできた上部補正バランスウエイト15eを上
部バランスウエイト15cに固定する。また、下面に下
部バランスウエイト15dを固定する。ここでこの下部
バランスウエイト15dを円筒形状にするため下部バラン
スウエイト15dよりも比重の小さい材料でできた下部
補正バランスウエイト15fを下部バランスウエイト1
5dに固定する。材料としてバランスウエイト15c,
15dを亜鉛または黄銅、補正バランスウエイト15
e,15fをアルミ合金としてよい。また、補正バラン
スウエイト15e,15fを積層鋼板15aに直接固定
してもよい。さらに、板材を用いて内部が空洞の補正バ
ランスウエイト15e,15fとしてもよい。この場
合、バランスウエイトおよび補正バランスウエイトの総
重量が少なくなり、圧縮機を小型軽量化できる。
【0040】ステータ16は積層鋼板16bの外周部に
油溝16cが設けられている。ところで、この油溝16
cのかわりに積層鋼板16bの内部に油流路となる縦孔
を開けてもよい。
【0041】以上の要素を以下のように組み立てて圧縮
機を構成する。
【0042】まず、フレーム4の主軸受4aにシャフト
12を挿入しロータ15を固定する。次に、旋回スクロ
ール部材3を、ボス3cを旋回軸受12cに挿入し、ス
ラスト面3dをフレーム4の滑りスラスト軸受9aに載
せて組み込む。この時、旋回スクロール部材3の背面に
は背面室11が形成される。次に、オルダムリング5
を、旋回オルダム溝3g,3hに旋回突起部5c,5d
を挿入するようにして、鏡板3aの上面に載せる。次
に、固定突起部5a,5bを固定オルダム溝7c,7d
に挿入し、スラスト基準面対向面7gを滑りスラスト軸
受9aと同一面のスラスト基準面9bに載せて、ストッ
パ部材7を組み込む。この時、旋回スクロール部材3の
周囲には吸込み室60が形成される。さらに、回転止め
2g,2hを回転止め溝7a,7bに挿入するとともに
スクロールラップ2bをスクロールラップ挿入孔7iに
挿入し、スクロールラップ2bの歯底と同一面の非旋回
基準面2uを非旋回基準面対向面7fに載せて、非旋回
スクロール部材8を組み込む。この結果、圧縮機の性能
に大きな影響を及ぼすスクロールラップ歯先歯底間の隙
間を決める寸法が、両スクロールラップ高さと旋回スク
ロール部材の鏡板3aの厚さとストッパ部材の高さの4
個に絞られるため、量産時におけるスクロールラップ歯
先歯底間の設定隙間のばらつきを抑制でき、性能および
信頼性のばらつきを小さくできる。次に、レール面25
cを非旋回スクロール部材2の外周面に沿わせ、リング
溝25b内に配置したシールリング51をシール突起部
2cの外周面に摺動させるようにして、フロートレール
部材25をストッパ部材7に載せる。このとき、非旋回
スクロール部材2の外周とレール面25cは直径差にし
て5μm程度のすきまばめにする。また、カバー押さえ
25aは、中央カバー24がシール突起部2cの内周か
ら外れることを防止する。以上のように各要素を組み込
んだ上で、シャフト12かロータ15を回しながら、カ
バーねじ53によりストッパ部材7およびフロートレー
ル部材25をフレーム4に固定する。この時、非旋回ス
クロール部材2の上面とフロートレール部材25の間
に、上面室10が形成される。
【0043】フレーム4を、予めステータ16が焼きば
めまたは圧入されている円筒ケーシング1へ挿入して固
定する。このとき、流通溝4h,7zの1個にそのステ
ータ16から出ている配線16aを通し、配線端子をフ
レーム4上部へもってくる。そして、吸込みパイプ54
を吸込み孔7sに挿入し固定する。次に、予めハーメチ
ック端子22が溶接されている上ケーシング20を、そ
のハーメチック端子22の内部端子へ配線16aの配線
端子を挿入した上で、円筒ケーシング1に固定する。こ
の時、外周カバー25の上部には上部室61が形成され
る。次に、予め副軸受17が固定されている軸受支持部
18を、シャフト12の下部をその副軸受17の内輪に
挿入して円筒ケーシング1に固定する。この状態で、ス
テータ16に電流を流し、ロータ15内部の永久磁石1
5bを着磁し、モータ19を形成する。さらに、下ケー
シング21を円筒ケーシング1に固定し、吐出パイプ5
5を円筒ケーシング1に固定する。この時、フレーム4
と下部カバー21の間にはモータ室62が形成される。
最後に、潤滑油56を入れる。
【0044】吸込みパイプ54から吸込み室60へ吸込
まれたガスは、旋回スクロール部材3の旋回運動により
圧縮室6内で圧縮され、吐出孔2dより非旋回スクロー
ル部材2の上部の上部室61に吐出される。そのガス
は、一旦、モータ室62に入ってモータ冷却とガス内に
含まれる潤滑油を分離した上で吐出パイプ55より圧縮
機外部へ出る。圧力比が低い運転条件では、リリース弁
23が働いて過圧縮を回避する。このとき、中央カバー
24によりリリース弁23の最大開口度が規定される。
旋回スクロール部材3は、圧縮室6内部のガスにより非
旋回スクロール部材2から離間する方向の力を受ける
が、スラスト面3dが滑りスラスト軸受9aで支持され
るため、スクロール部材2,3の軸方向の離間は回避さ
れる。同様に、非旋回スクロール部材2は、圧縮室6内
部のガスにより旋回スクロール部材3から離間する方向
の力を受けるが、シール突起部2cの外周部より内側に
かかる吐出圧力による接近力により、スクロール部材
2,3の軸方向の離間は回避される。スラスト面3dが
滑りスラスト軸受9aで支持されるため、スクロール部
材2,3の軸方向の離間は回避される。その結果、スク
ロール部材の歯先と歯底の隙間は拡大せず圧縮動作を持
続することができる。ここで、非旋回基準面対向面7f
はオーバハング部7hの上面であるために、接近力に対
する非旋回スクロール部材2の支持点のスパンが小さく
なり、鏡板2aのたわみを抑制できる。この結果、圧縮
性能を向上できる。非旋回スクロール部材2のスクロー
ルラップ2b,3bの内線および外線は、原点との距離
が偏角の増大とともに上に凸の状態で増大する螺線上の
任意の点から同一距離だけ離れた点を連ねて形成される
螺線を用いている。ここで、螺線S上の任意の点Aから
同一距離bだけ離れた点とは、その点Aにおける法線上
で螺線Sからbだけ離れた点とする。前述のような原点
との距離が偏角の増大とともに上に凸の状態で増大する
螺線は、例えば、代数螺線または対数螺線または原点と
の距離が偏角の増大とともに双曲線に沿った変化で増大
していく螺線が考えられる。また、スプライン補間曲線
のように区分的に滑らかに複数の曲線を連続させて形成
した曲線でも良い。この結果、中央部から外周部へ向か
うにつれて厚さが減少する。よって、ラップ厚さが一様
な従来のスクロールラップと比較して、ラップ外周部の
ラップ厚さを薄くする分だけスクロールラップの立設す
る最外周位置を中央寄りにできる。よって、スクロール
ラップ径を小さくでき、圧縮機を小形軽量化できる。さ
らに、このことは同時に、スラスト面3dにかかる軸方
向負荷を大きく低減できる。よって、その箇所における
摩擦ロスを低減できるため、圧縮機を高効率できる。ま
た、上下方向に可動な非旋回スクロール部材2を用いて
いるため、実働時のスクロールラップ変形でラップの歯
先歯底間が圧接しようとしても、この非旋回スクロール
部材2が上部へ動くため、歯先歯底間が圧接しない。ま
た、ラップ中央部の高温による熱膨張のため、歯先歯底
の接触する位置はラップ中央部となるが、中央部のラッ
プは厚いため、圧縮機の信頼性を確保できる。また、ス
トッパ部材7を用いているために、頻繁に運転する条件
下ではラップの歯先歯底が強く接触することなく運転で
きる。よって、その箇所における摩擦ロスを低減できる
ため、圧縮機を高効率化できる。また、なじみ性の表面
被膜を、スラスト面3dに被覆せずに、旋回スクロール
部材3へ設けたため、高性能な圧縮機を容易に機械加工
できる。また、非旋回スクロール部材2に与える下方向
の力を、シール突起部2cの内周部にかかる吐出圧力に
より与えるため、専用の部品が不要となり、圧縮機の部
品点数を少なくできる。さらに、シール突起部2cの外
周部は吸込み圧力となるために、鏡板2aの上面の中央
部は吐出圧で外周部は吸込み圧となる。よって、鏡板2
aの下面と上面は同様の圧力分布となるため、この鏡板
2aの圧力変形が抑制される。この結果、圧縮機は広い
運転範囲で高効率化できる。また、リリース弁を設けた
ので、圧力比の低い運転条件でも高効率化できる。ま
た、オルダムリング5を鏡板3aの上面に載せたので、
圧縮機を小径化できる。
【0045】圧縮機の底に溜っている潤滑油56は、モ
ータ室62の吐出圧力と、給油孔4cにより吸込み室6
0と導通している背面室11の吸込み圧力の圧力差によ
り、シャフト給油孔12aを通って旋回軸受12cに給
油される。また、横給油孔12bを経由して主軸受4a
に給油される。その潤滑油56は、背圧室11および給
油孔4cを通って油溝4bに入り、一部は滑りスラスト
軸受9aを潤滑する。この油溝4bは、図13で示すよ
うに、常に一箇所が吸込み室60へ通じているため、潤
滑油56は常時吸込み室60に入る。そこで、ガスと一
緒になって圧縮室6へ入り、圧縮ガスとともに吐出孔2
dから上部室61へ吐出される。そして、モータ室62
でガスと分離され、最終的に圧縮機の底に戻る。ところ
で、油溝4bを、主軸受中心から偏心した円形としても
よい。この場合、偏心した角度において油溝4bは吸込
み室60から遮断され、背面室11の圧力が増大する。
よって、スラスト面3dにかかる負荷が大きくなるとき
の旋回軸受中心位置へ油溝4bの中心を偏心させること
により、スラスト面3dにかかる負荷を均一化できる。
この結果、圧縮機の信頼性を向上できる。また、旋回軸
受12cおよび滑りスラスト軸受9aへの給油の結果、
ボス3cの背面は吐出圧となるため、旋回スクロール部
材3の背面中央部に吐出圧をかけることになり、滑りス
ラスト軸受9aの負荷を低減できる。よって、そこでの
摩擦ロスを低減できるため、圧縮機が高効率となる。さ
らに、背面室11は吸込み圧となるために、鏡板3aの
下面の中央部は吐出圧で外周部は吸込み圧となる。よっ
て、鏡板3aの下面と上面は同様の圧力分布となるた
め、この鏡板3aの圧力変形が抑制される。この結果、
圧縮機は広い運転範囲で高効率化できる。
【0046】背面室11内の潤滑油56は常に排出さ
れ、旋回保持部12fの回転に伴う粘性ロスを低減でき
る。また、旋回保持部12fは円筒形状であることか
ら、旋回保持部12fの回転に伴う粘性ロスを一層低減
できる。また、中央カバー24およびフロートレール部
材25は、その下部にガスの層を形成するため、上面室
61内の高温の吐出ガスからの熱が圧縮室6へ伝わるこ
とを防止する。さらに、中央カバー24およびフロート
レール部材25は、リリース弁23の開閉に伴う衝撃音
を遮断する。さらに、回転止め溝7a,7bとオルダム
溝7c,7dの側面が同一であるため、同時加工が可能
となり、両者の角度関係の精度が向上する。さらに、回
転止め2g,2hを鏡板上に一体形成したので、スクロ
ールラップ2bとの位置関係の精度が向上する。ところ
で、スクロールラップ2b,3bの側面に受けるガス圧
力によりスクロールラップ2b,3bが外周に向かって
倒れようとする結果、鏡板2a,3aのわん曲が生じ、
ラップ間隙間が拡大する。この鏡板のわん曲は、平均す
ると、鏡板中央とスクロールラップの巻終わり付近を通
る線を峰とするようなモードとなる。本実施例では、オ
ルダム支持突起部3i,3jをこの位置に設けたため、
鏡板3aの変形を抑制する。また、リリース弁23の外
周はシール突起部2cの内周とほぼ同一の寸法となって
いるため、リリース弁23の位置決めが容易である。
【0047】また、旋回スクロール部材3の鏡板3aの
上面およびスクロールラップ3bの全表面に、なじみ性
と潤滑性を備えた表面被膜を設けてもよい。例えば、浸
硫窒化処理や燐酸マンガン被膜処理による表面被膜が考
えられる。これにより、スクロールラップ3b,2bの
側面間および歯先歯底間の隙間を小さくしさらにスクロ
ールラップ3b,2bの接触部における摺動性を向上で
きるので、内部漏れが少なく摩擦ロスを小さくできる。
この結果、圧縮機の性能を向上できる。
【0048】また、非旋回スクロール部材2の鏡板2a
の下面およびスクロールラップ2bの全表面に、なじみ
性と潤滑性を備えた表面被膜を設けてもよい。例えば、
浸硫窒化処理や燐酸マンガン被膜処理による表面被膜が
考えられる。これにより、スクロールラップ3b,2b
の側面間および歯先歯底間の隙間を小さくしさらにスク
ロールラップ3b,2bの接触部における摺動性を向上
できるので、内部漏れが少なく摩擦ロスを小さくでき
る。この結果、圧縮機の性能を向上できる。
【0049】また、旋回スクロール部材3の鏡板3aの
上面およびスクロールラップ3bの全表面、さらに、非
旋回スクロール部材2の鏡板2aの下面およびスクロー
ルラップ2bの全表面に、なじみ性と潤滑性を備えた表
面被膜を設けてもよい。例えば、浸硫窒化処理や燐酸マ
ンガン被膜処理による表面被膜が考えられる。これによ
り、スクロールラップ3b,2bの側面間および歯先歯
底間の隙間を容易に小さくしさらにスクロールラップ3
b,2bの接触部における摺動性を一層向上できるの
で、内部漏れが少なく摩擦ロスを小さくできる。この結
果、圧縮機のなじみ運転期間を短縮できるとともに性能
を一層向上できる。
【0050】また、非旋回基準面対向面7fと接する非
旋回基準面2uの面上に、経時的に厚さが減少する表面
被膜を設けることが考えられる。これにより、両スクロ
ール部材2,3の歯先と歯底間が経時的に接近するた
め、偶発的な両スクロール部材2,3の歯先歯底間の接
近による摩耗で生じた歯先歯底間の隙間を縮小すること
が可能となり、長期間に渡って高性能を維持できる。こ
のような被膜として、例えば浸硫窒化処理や燐酸マンガ
ン被膜処理による表面被膜が考えられる。これらの被膜
は内部に空孔を有しているため、圧力をかけて長時間保
持すると内部の空孔が徐々につぶれるため、経時的に厚
さが減少することになる。
【0051】また、非旋回基準面対向面7fと接する非
旋回基準面2uの面上に、摩耗しやすい表面被膜を設け
ることが考えられる。非旋回スクロール部材2は、スト
ッパ部材7歯に対し、回転止め溝7a,7bに沿って非
旋回スクロール部材2の外周とレール面25cの直径隙
間だけ動くことが可能である。実際、圧縮ガスによる水
平方向の力により、両者は相対運動する。これは、非旋
回基準面対向面7fと非旋回基準面2uがこすれ合うこ
とであり、非旋回基準面2uの表面被膜が少しずつ摩耗
する。この結果、両スクロール部材2,3の歯先と歯底
間が経時的に接近するため、偶発的な両スクロール部材
2,3の歯先歯底間の接近による摩耗で生じた歯先歯底
間の隙間を縮小することが可能となり、長期間に渡って
高性能を維持できる。このような被膜として、例えば浸
硫窒化処理や燐酸マンガン被膜処理による表面被膜が考
えられる。
【0052】また、この非旋回スクロール部材2の全表
面に、浸硫窒化処理や燐酸マンガン被膜処理による表面
被膜を設けてもよい。これにより、非旋回スクロール部
材2の被膜処理をマスキング無しで行うことが可能とな
る上に、スクロールラップ3b,2bの側面間および歯
先歯底間の隙間を小さくし、スクロールラップ3b,2
bの接触部における摺動性を向上できるとともに、両ス
クロール部材2,3の歯先と歯底間が経時的に接近する
ため、偶発的な両スクロール部材2,3の歯先歯底間の
接近による摩耗で生じた歯先歯底間の隙間を縮小するこ
とが可能となる。この結果、高性能でさらに長期間に渡
ってその高性能を維持できる圧縮機を容易に作成でき
る。
【0053】また、この非旋回スクロール部材2の全表
面に、浸硫窒化処理や燐酸マンガン被膜処理による表面
被膜を設けた後、ねじ孔2iと同一の面上(図14のハ
ッチング部)を平面状に研磨してもよい。これにより、
リリース弁23によるリリース孔2fの遮蔽が確実とな
る。この結果、過圧縮条件での圧縮機の性能を向上でき
る。
【0054】また、旋回スクロール部材3のスラスト面
3dに、耐摩耗性の表面被膜または熱処理による耐摩耗
性の組織または耐摩耗性の物質を設けてもよい。これに
より、両スクロール部材2,3の歯先歯底間の離間が抑
制されるので、長期間に渡って高性能を維持できる。
【0055】また、旋回スクロール部材3のスラスト面
3dに、潤滑性の良い表面被膜または熱処理による潤滑
性の良い組織または潤滑性の良い物質を設けてもよい。
これにより、スラスト面3dの摺動ロスが低減されるの
で、圧縮機の性能を向上できる。
【0056】また、非旋回スクロール部材2の回転止め
2g,2hを溝とし、ストッパ部材7の回転止め溝7
a,7bを突起部としてもよい。この場合、ストッパ部
材7の強度が増大するため、圧縮機の信頼性を向上でき
る。
【0057】また、中央カバー24を鏡板2aの材質よ
りも熱膨張率が大きい材質とし、中央カバー24の外周
とシール突起部2cの内周を最大10μm程度のすきま
ばめとしてもよい。この場合、運転時の温度上昇で中央
カバー24が膨張して、シール突起部2cを拡張する方
向に変形する。その結果、鏡板2aの上面がその下面と
比較して相対的に伸びるため、鏡板2aが上に凸の変形
を起こす。よって、スクロールラップ中央部の高温によ
るそこでのラップ歯先歯底間の接触を回避でき、圧縮機
の高効率化,高信頼性化を実現できる。例えば、非旋回
スクロール部材2を鋳鉄製、中央カバー24を黄銅製ま
たは亜鉛製またはアルミ合金製特にシリコン含有量の1
0〜30%程度のヤング率の大きいアルミ合金製とすれ
ばよい。
【0058】また、旋回スクロール部材3のボス3cの
表面に、耐摩耗性の被膜または熱処理による耐摩耗性の
組織または耐摩耗性の物質を設けてもよい。これによ
り、ボス3cの耐久性が向上するので、圧縮機の信頼性
を向上できる。
【0059】また、旋回スクロール部材3のボス3cの
表面に、潤滑性の良い被膜または熱処理による耐摩耗性
の組織または耐摩耗性の物質を設けてもよい。これによ
り、旋回軸受の摺動ロスが低減されるので、圧縮機の性
能を向上できる。
【0060】また、旋回スクロール部材3のボス3c
を、耐摩耗性の材質からなる別部材を機械的に固定また
は溶接や接着による固定としてもよい。これにより、耐
久性のあるボス3cの加工が容易となるので、圧縮機の
加工性を向上できる。
【0061】また、スクロールラップ2b,3bをイン
ボリュート曲線で形成しても良い。これにより、スクロ
ールラップの加工が容易となるので、圧縮機の加工性を
向上できる。
【0062】次に、本発明の第二実施例を、縦断面図で
ある図17と旋回スクロール部材の上方からの斜視図で
ある図18と下方からの斜視図である図19およびオル
ダムリングの上方からの斜視図である図20に従って説
明する。ここで、オルダムリング5が旋回スクロール部
材3とフレーム4の間に配置される以外は第一の実施例
と同様なので、その他の部分の構成および動作の説明は
省略する。旋回オルダム溝3g,3hが旋回スクロール
背面に設けられ、固定オルダム溝4p,4q(4qは図
示せず)がフレーム4に設けられる。この結果、旋回ス
クロール部材の外周部に旋回オルダム溝を設ける必要が
なくなり、旋回スクロール部材の加工性を向上できる。
また、固定オルダム溝4p,4qの最外部はフレーム4
の外周側に伸び、背面室11と吸込み室60を常につな
ぎ、背面室11へ流入した潤滑油56を吸込み室60へ
導くとともに背面室11の圧力をほぼ吸込み圧にする。
この結果、背面室11と吸込み室60を連通させる孔が
不要となるため、加工性が向上する。さらに、鏡板3a
上面の外周角部を面取りしたために吸込みガスの流路抵
抗が低減できるため、圧縮効率を向上できる。また、オ
ルダムリング5を円形としたので、加工性が向上する。
【0063】次に、本発明を非旋回スクロール部材がケ
ーシングに対して固定されスラスト部材が軸方向に可動
なスラストフロート式スクロール圧縮機に実施した第三
の実施例を、縦断面図の図21に基づいて説明する。
【0064】スラスト部材9は、滑りスラスト軸受9a
となっている上面の外周部にストッパ部材の役割を果た
すストッパ部9fが突出し、その上面は非旋回基準面対
向面7fとなっている。この結果、スラスト軸受9aと
非旋回基準面対向面7fが同一方向に平行に設けられる
ため、旋盤でこの二面の距離を精度良く管理しながら加
工が容易に行える。また、スラスト軸受9aと非旋回基
準面対向面7fの距離はスクロールラップの歯先と歯底
の隙間を決める寸法の一つであるが、この寸法の精度を
容易に出せるということより、量産時における性能や信
頼性のばらつきの小さいスクロール流体機械を提供でき
る。この滑りスラスト軸受9aに設けられる油溝9gと
背面室11の間には給油孔9cが設けられる。側面には
内周側にシール溝9e,外周側に9dが設けられ、各々
にシール97,98が装着される。このスラスト部材9
をフレーム4の底面に装着し、背面にスラスト背面空間
73を形成する。ここで、このスラスト部材9は、軸方
向回りに回転してもよいため、回転止めは不要となり、
圧縮機の構造は簡単となり加工性が向上する。さらに、
旋回運動面内の平行移動も許されるため、スラスト部材
9の側面の隙間はシール97,98でシール性が確保で
きるまで大きい設定が可能となるため加工性が向上す
る。スラスト背面空間73には圧力導入孔4uから吐出
ガスが流入し、ほぼ吐出圧となる。これにより、スラス
ト部材9を上方に押し上げる接近力を与える。この接近
力により、通常運転時にはスラスト部材9の非旋回基準
面対向面7fが非旋回スクロール部材2のスクロールラ
ップ歯先と同一面上にある非旋回基準面2uに押し当て
られる。ここで、非旋回スクロール部材2のスクロール
ラップ歯先と非旋回基準面2uが同一面上にあるため、
スクロールラップ歯先と歯底の隙間の管理が容易とな
り、量産時における性能や信頼性のばらつきの小さいス
クロール流体機械を提供できる。また、運転時のスクロ
ール部材の変形により、ラップの歯先歯底間が圧接しよ
うとしたとき、このスラスト部材9が下方へ移動するた
め、ラップの歯先歯底間の圧接が回避され、圧縮機の信
頼性を確保できる。ここで、支持背面室73に板ばねや
耐熱性ゴムのような弾性体を配置してもよい。この結
果、吐出圧が非常に低く、支持背面室73のガス圧力だ
けではスラスト部材9を押し上げられない場合でも、そ
の弾性力でスラスト部材9を押し上げることが可能とな
るため、圧縮機の高効率の運転範囲を広域化できる。
【0065】次に、本発明の第四実施例を、縦断面図で
ある図22に従って説明する。ここで、油受け70を設
け、ガスの通路であった圧力導入孔を主に油の通路とな
る導油路4uとし、シール溝9eかシール溝9dのどち
らか一方または両方を取り除き、それに伴ってシール9
7,98も取り除きそこの隙間を小さくした以外は第三
の実施例と同様なので、その他の部分の構成および動作
の説明は省略する。流通路4hを通ってくる吐出ガスは
多量に潤滑油を含んでいるため、油受け70にはその吐
出ガス内の油の一部が溜る。スラスト背面空間73の圧
力は、スラスト部材9のシールのない側面の隙間により
吐出圧力よりも低くなる。この圧力差により、油受け7
0内に溜った油が導油路4uからスラスト背面空間73
内に流入する。この結果、スラスト背面空間73はスラ
スト部材の振動に対してダンパの役割を果たすため、高
信頼性で高効率な運転範囲を拡大できる。ここで、スラ
スト部材9の側面内周のシール97を除いた場合、背面
室11の圧力が若干上がるため、旋回スクロール部材3
を押し上げる力が大きくなり、滑りスラスト軸受9aで
の摺動ロスが低減でき圧縮性能が向上する。さらに、滑
りスラスト軸受9aを潤滑する潤滑油にスラスト背面空
間73を通ってきた油が含まれ油の温度が下がる結果、
耐負荷荷重が増大し、信頼性が向上する。
【0066】次に、第五の実施例を、縦断面図である図
23に従って説明する。これは、主軸受を上部主軸受4
wと下部主軸受4aに分割してその間に溝を形成し、こ
の位置に横給油孔12bが開口するとともに、この溝と
スラスト背面空間73の間に導油路4uを設ける以外は
第四の実施例と同様なので、その他の部分の構成および
動作の説明は省略する。横給油孔12bから出た油は、
導油路4uを通ってスラスト背面空間73へ入る。この
結果、スラスト部材の軸方向運動のダンパを設けること
ができることになり、高信頼性とともに高効率の運転範
囲を広域化できる。
【0067】次に、第六の実施例を、縦断面図である図
24に従って説明する。これは、スラスト部材側面のシ
ールを両側とも設け、スラスト背面空間とモータ室をつ
なぐ排出孔4vを設ける以外は第五の実施例と同様なの
で、その他の部分の構成および動作の説明は省略する。
横給油孔12bから出た油は、遠心力によって導油路4
uを通りスラスト背面空間73へ入る。運転前にスラス
ト背面空間73へ入っているガスは、排出孔4vを通っ
てモータ室92に排出される。この結果、スラスト部材
両側面のシールがあってもスラスト背面空間73へ油を
導入できるため、吐出ガスの吸込み室60への漏れを防
止しながらスラスト部材の軸方向運動のダンパを設ける
ことができることになり、高信頼性とともに体積効率が
向上し一層圧縮性能が向上した圧縮機を提供できる。
【0068】次に、本発明を横置き型のスラストフロー
ト式スクロール圧縮機に実施した第七の実施例を、縦断
面図である図25と軸受支持部の平面図である図26に
従って説明する。これは、潤滑油を貯める機構と潤滑油
を主軸受やスラスト背面空間へ供給する機構以外は第四
の実施例と同様なので、その他の部分の構成および動作
の説明は省略する。
【0069】上部に通気孔18bと通気フタ18e,下
部に導油孔18aと導油フタ18dを設け、さらに、中
央部に軸受孔18cを設けた軸受支持部18を円筒ケー
シング1に固定して、貯油室80を形成する。また、吐
出管55をこの貯油室80から出す。また、軸受孔18
cに静止給油管71を固定した軸受ハウジング70を圧
入する。また、下部の流通路4hに導油路4uを開口さ
せる。横置きのため導油路4uの流通路4h側の開口部
には潤滑油56がある。この結果、スラスト背面空間7
3に油を導入するために特別な機構は不要となり、加工
性が向上する。モータ室62の圧縮ガスは通気フタ18
eに衝突しながら通気孔18bを通過して貯油室80に
流入する。これにより、モータ室62の圧力は貯油室8
0の圧力に比較し高くなるので、モータ室62の潤滑油
56は導油孔18aを通って貯油室80に流入する。こ
のとき、ガスも同時に貯油室80に流入し、貯油室80
内の潤滑油中を気泡が上昇するが、導油フタ18dによ
り軸受支持部18に沿って気泡が上昇するため、油孔7
1aに気泡が入ることを回避でき、信頼性を向上でき
る。以上より、モータ室62の油面をロータ15やシャ
フト12へかかることなく、潤滑油56を小形の圧縮機
内部に蓄えることが可能となるため、高信頼性の横置き
圧縮機を小形で実現できる。潤滑油56は、静止給油管
71を通って、副軸受72を潤滑するとともに、給油孔
12aへ流入する。えることが可能となるため、高信頼
性の横置き圧縮機を小形で実現できる。
【0070】
【発明の効果】本発明によれば、信頼性,圧縮効率およ
び加工性が高く、量産時に信頼性および圧縮効率のばら
つきが小さい流体機械を提供できる。また、構造が簡単
で組み立て性および加工性が高く量産時に信頼性および
圧縮効率のばらつきが小さい流体機械を提供できる。さ
らに、運転範囲が広く構造が簡単な流体機械を提供でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一の実施例の縦断面図。
【図2】一般的スクロールラップのラップ幅の説明図。
【図3】第一の実施例の旋回スクロール部材の上方から
の斜視図。
【図4】第一の実施例の旋回スクロール部材の下方から
の斜視図。
【図5】第一の実施例の非旋回スクロール部材の下方か
らの斜視図。
【図6】第一の実施例の非旋回スクロール部材の上方か
らの斜視図。
【図7】第一の実施例の非旋回スクロール部材の底面の
平面図。
【図8】第一の実施例の旋回スクロール部材の上面図。
【図9】図1のA−A矢視断面図。
【図10】第一の実施例のオルダムリングの上方からの
斜視図。
【図11】第一の実施例のストッパ部材の上方からの斜
視図。
【図12】第一の実施例のストッパ部材の上面図。
【図13】第一の実施例の油溝位置の説明図。
【図14】第一の実施例の非旋回スクロール部材の上面
図。
【図15】第二の従来例のストッパ部材の断面図。
【図16】第二の従来例のストッパ部材の縦断面図。
【図17】第二の実施例の縦断面図。
【図18】第二の実施例の旋回スクロール部材の上方か
らの斜視図。
【図19】第二の実施例の旋回スクロール部材の下方か
らの斜視図。
【図20】第二の実施例のオルダムリングの上方からの
斜視図。
【図21】第三の実施例の縦断面図。
【図22】第四の実施例の縦断面図。
【図23】第五の実施例の縦断面図。
【図24】第六の実施例の縦断面図。
【図25】第七の実施例の縦断面図。
【図26】第七の実施例の軸受支持部の平面図。
【符号の説明】
2…非旋回スクロール部材、2u…非旋回基準面、3…
旋回スクロール部材、3d…スラスト面、7…ストッパ
部材、7f…非旋回基準面対向面、7g…スラスト基準
面対向面、7i…スクロールラップ挿入孔、7h…オー
バハング部、9…スラスト部材、9b…スラスト基準
面、9a…スラスト軸受、8…フロートレール部材。
フロントページの続き (72)発明者 香曽我部 弘勝 茨城県土浦市神立町502番地 株式会社 日立製作所 機械研究所内 (72)発明者 松尾 一也 茨城県土浦市神立町502番地 株式会社 日立製作所 機械研究所内 (56)参考文献 特開 平6−159264(JP,A) 特開 平5−263776(JP,A) 特開 平5−256272(JP,A) 特開 平5−86483(JP,A) 特開 平2−161189(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F04C 18/02 311

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ケーシングに対して自転を伴わずに旋回運
    動する鏡板に立設されたスクロールラップを有する旋回
    スクロール部材と、その旋回スクロール部材のスクロー
    ルラップとかみ合う鏡板に立設されたスクロールラップ
    を有する非旋回スクロール部材と、前記旋回スクロール
    部材に旋回運動のために回転力を伝えるシャフトを有す
    る駆動部と、前記旋回スクロール部材の鏡板面で前記ス
    クロールラップが立設されていない面と対向するスラス
    ト軸受部材と、前記駆動部の運転中に前記非旋回スクロ
    ール部材のスクロールラップが立設する側の鏡板面の外
    周部に設けられた非旋回基準面と前記スラスト軸受部材
    のスラスト面との間で当接して前記シャフトの軸方向の
    最低距離を規定するストッパ部材とを備え、前記旋回ス
    クロール部材のスクロールラップ及びそのスクロールラ
    ップが立設された鏡板面の表面になじみ性を備えた表面
    皮膜を設けたスクロール流体機械。
  2. 【請求項2】請求項1において、前記非旋回スクロール
    部材のスクロールラップ及びそのスクロールラップが立
    設された鏡板面の表面になじみ性を備えた表面皮膜を設
    けたスクロール流体機械。
  3. 【請求項3】請求項において、前記非旋回基準面と前
    記非旋回スクロール部材のスクロールラップの歯底面を
    同一面とするスクロール流体機械。
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