JP4365420B2 - ラックピニオン方式操向装置のサポートヨーク自動間隙補償装置 - Google Patents

Description

本発明は、ラックピニオン方式操向装置のサポートヨーク自動間隙補償装置に関し、より詳しくは、ラックピニオン方式操向装置に備えられたサポートヨークに発生する間隙（遊隙）を、トーションスプリング及びカム機構を用いて別途の調整作業なしに、自動で補償するラックピニオン方式操向装置のサポートヨーク自動間隙補償装置に関する。

操向装置は、車両の進行方向を運転者の意思の通り変更できるようにするための装置であり、車両の前輪が旋回する回転中心を任意に変更して運転者が希望する方向に車両を進行させることができるように補助する装置である。

図１は、一般的な自動車用操向装置の概略構成図である。

図１に示すように、従来の操向装置は、運転席に配置される操向ホイール１００と、これに連結された操向軸１０５と、操向軸を車体に固定する操向コラム１０３と、操向軸１０５から入力された回転力を直線運動に変換するラックギア１１０及びピニオンギア部１２０を含むギアボックス１３０と、両端部にインナーボールジョイント１３５を具備したラックバー１４０と、インナーボールジョイント１３５のボールと一体形成されたタイロッド１５０と、タイロッド１５０の端部に備えられたアウターボールジョイント１５５と、を含んで構成される。

ラックピニオンギア（Rack and Pinion Gear）方式の操向装置の場合、ラックギア１１０が形成されたラックバー１４０の左右側端部にはインナーボールジョイント１３５が備えられ、インナーボールジョイント１３５は、タイロッド１５０と連結されている。また、タイロッド１５０は、アウターボールジョイント１５５と連結されてタイヤ１５８のナックル（Knuckle）１５９と連結される。

図２は、従来のラックピニオンギア方式のギアボックスの側断面図である。

従来のラックピニオンギア方式のギアボックス１３０は、ピニオンシャフト２７６と、ラックバー１４０と、サポートヨーク２６０と、スプリング２６３と、ヨークプラグ２６５と、ラックハウジング２７０とを含んで構成される。ラックピニオンギア方式のギアボックス１３０は、前述したように、操向軸１０５から入力された回転力を直線運動に変換する。

ピニオンシャフト２７６は、操向軸１０５と連結された入力軸２７５から回転力を伝達受けてラックバー１４０に伝達する。ピニオンシャフト２７６は、入力軸２７５とトーションバー２７３を介して連結されており、ピニオンシャフト２７６の終端部にはラックギア１１０と噛合されるピニオンギア１２０が形成されている。

ラックバー１４０は、ピニオンシャフト２７６と噛合して回転運動を直線運動に転換する。 ラックバー１４０は、自動車の前輪の間を横切る棒形態で、両終端部にインナーボールジョイント１３５を含み、両側のインナーボールジョイント１３５の間にはピニオンシャフト２７６と噛合するラックギア１１０が形成されている。

サポートヨーク２６０は、円滑に動力が伝達されるように、ラックバー１４０とピニオンシャフト２７６との間の間隙を減少させる。サポートヨーク２６０は、ラックバー１４０の後方面であるラックギア１１０が形成された面に対して反対側の面に配置され、円筒形シリンダ１７０が形成されたラックハウジング２７０に挿入される。このサポートヨーク２６０は、前後方向に（ラックバー１４０の方向と、その逆の方向とに）移動可能な構造で形成される。

サポートヨーク２６０の形状は、ラックハウジング２７０のシリンダで前後にスライディング可能な円筒形であり、ラックバー１４０と接する前方部にはラックバー１４０の後方面（サポートヨーク２６０の方向の面）と密着できるように略半円型の溝が形成されている。

また、ラックバー１４０とピニオンシャフト２７６とが密着して動力伝達を効果的に伝達できるように、サポートヨーク１１０の後方にスプリング２６３が配置される。このスプリング２６３は、一定の圧力でサポートヨーク２６０をピニオンシャフト２７６方向に押すため、サポートヨーク２６０を介して圧力を受けたラックバー１４０は、ピニオンシャフト２７６のピニオンギア部１２０方向に押圧される。従って、ラックバー１４０とピニオンシャフト２７６との間に発生する間隙を補償することができる。

この際、ラックバー１４０は、円筒形のサポートヨーク２６０と接触した状態でスライディングするため、このようなサポートヨーク２６０は、ラックバー１４０の後方面との間で摩擦される。その結果、この摩擦によりラックバー１４０が摩耗したり騒音が発生する。このことを防止するために、サポートヨーク２６０は、通常、ラックバー１４０よりも軟性のプラスチック等の材量を使用して形成される。

スプリング２６３は、サポートヨーク２６０がラックバー１４０と密着するように圧力を加える機能を有するが、例えば、一般的にコイルスプリングが使われる。そして、スプリング２６３の後面にはヨークプラグ２６５が配置され、このヨークプラグ２６５がスプリング２６３を支持する。

ヨークプラグ２６５は、スプリング２６３を支持してサポートヨーク２６０に圧力を加えるように形成される。このヨークプラグ２６５には、通常、雄ネジ型ネジ山が形成されて、雌ネジ型ネジ山が形成されたラックハウジング２７０に螺合可能となっている。そして、ヨークプラグ２６５の後面にはレンチを挿入することができる溝が形成されており、ヨークプラグ２６５を結合するとき、又は、ラックバー１４０とピニオンシャフト２７６との間隙が発生したときに、この溝を介してレンチでヨークプラグ２６５を締めることにより、スプリング２６３の張力を調節することができる。

この従来技術によれば、サポートヨーク２６０を単純にスプリング２６３で圧力を加えて、ラックバー１４０とピニオンシャフト２７６との間隙を補償していた構造は、ヨークプラグ２６５とサポートヨーク２６０との間に略０．０５ｍｍ位のギャップが形成されるように、構成されていた。しかし、長期間の使用すると、サポートヨーク２６０の磨耗すること等により、サポートヨーク２６０がラックバー１４０方向に前進する。この結果、ヨークプラグ２６５とサポートヨーク２６０との間に形成されたギャップが増加する。
この場合、ギャップが略０．１５ｍｍ以上に増加すれば、振動による騒音が発生する。

振動による騒音を防止するためには、ヨークプラグ２６５を再度調整しなければならなず面倒な調整作業が必要となる場合や、整備過程で操向装置の全体を交替する必要が生じる場合が多く、別途の調整作業をする必要なく自動で間隙を補償できる装置が必要となった。

そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、トーションスプリング及びカム機構を用いることによって、ラックピニオン方式操向装置に備えられたサポートヨークに発生する間隙を、別途の調整作業をすることなく自動で補償することが可能な、新規かつ改良されたラックピニオン方式操向装置のサポートヨーク自動間隙補償装置を提供することにある。

上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、ラックピニオン方式操向装置のサポートヨーク間隙補償装置であって、固定溝を有するサポートヨークと、サポートヨークにラックバー方向の圧力を加えるヨークスプリングと、サポートヨークの後面に配置されてヨークスプリングを支持し、ヨークスプリングに対して反対の面において円周方向に形成された第１傾斜面を有する第１カムと、サポートヨークと第１カムとの間にヨークスプリングを挿入した状態で固定溝に装着され、サポートヨークと第１カムとの間のギャップを一定に維持する固定部材と、第１カムを支持し、第１傾斜面と対向する第２傾斜面と、第２傾斜面の背面の中心部に形成された第１溝と、を有する第２カムと、第２カムを支持し、第２カムを支持する面の中心部に形成された第２溝を有するヨークプラグと、第１溝と第２溝とにより形成された空間に配置されるトーションスプリングと、を備え、サポートヨークに間隙が発生した場合に、トーションスプリングの延伸に従う回転により第２カムが回転して、第１カム及び第２カムの相対運動により間隙を補償することを特徴とする、ラックピニオン方式操向装置のサポートヨーク自動間隙補償装置が提供される。

以上説明したように本発明によれば、トーションスプリング及びカム機構を用いることによって、ラックピニオン方式操向装置に備えられたサポートヨークに発生する間隙を、別途の調整作業をすることなく自動で補償することができる。

以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。

図３ａは、本発明の一実施形態に係るサポートヨーク自動間隙補償装置の断面図であり、図３ｂは、図３ａの‘Ａ’部分の拡大図である。

本実施形態に係るサポートヨーク自動間隙補償装置３００は、サポートヨーク３１０、ヨークスプリング３２０、第１カム３３０、固定部材３４０、第２カム３５０、ヨークプラグ３６０、及びトーションスプリング３７０を含んで構成される。

サポートヨーク３１０は、動力が円滑に伝達されるようにラックバー１４０とピニオンギア部１２０との間の間隙を減少させる。そのために、サポートヨーク３１０は、ラックバー１４０をピニオンギア部１２０方向に押圧する。このサポートヨーク３１０は、従来技術に係るサポートヨーク２６０と同様な材質及びほぼ同様な形状で形成される。しかし、本実施形態に係るヨークプラグ３６０は、更に固定部材３４０を装着するための固定溝３１５を有する形状で形成される。

そして、サポートヨーク３１０のラックバー１４０と接する面に対して反対の面（背面、又は背面）には、ヨークスプリング３２０が挿入される。このヨークスプリング３２０は、サポートヨーク３１０がラックバー１４０と密着するように圧力を加える。そして、サポートヨーク３１０の背面には、ヨークスプリング３２０を間に挟んで、第１カム３３０が配置される。

第１カム３３０は、中心部に固定部材３４０が貫通する貫通孔が形成されたキャップ形状で形成される。従って、固定部材３４０が挿入されるように、この貫通孔と、サポートヨーク３１０の固定溝３１５とが一致する位置に第１カム３００が配置させた後、固定部材３４０がこの貫通孔を貫通して固定溝３１５に装着される。この第１カム３３０は、ヨークスプリング３２０を支持する。

この際、従来技術に係るヨークプラグ２６５とサポートヨーク２６０との間に一定の間隔のギャップを形成することと同様に、第１カム３３０とサポートヨーク３１０との間にギャップが形成されるように、固定部材３４０が装着される。

第１カム３３０のサポートヨーク３１０と対向する面に対して反対の面（背面）には、円周方向に第１傾斜面３３５が形成される。つまり、第１カム３３０は、サポートヨーク３１０と対向する面と垂直な方向の幅が一定でなく形成される。換言すれば、サポートヨーク３１０と対向する面の反対の面は、例えば、サポートヨーク３１０と対向する面と平行ではなく、一定の角度で形成されてもよい。この面が、第１傾斜面３３５となる。

そして、第１カム３３０の第１傾斜面３３５が形成された面には、第２カム３５０が配置されて、第２カム３５０が、この第１カム３３０を支持する。

第２カム３５０には、第１カム３３０の第１傾斜面３３５と対向する第２傾斜面３５５が形成される。この際、第２カム３５０が回転していない状態では、例えば、第２傾斜面３５５は、第１傾斜面３３５と略平行になるように形成されてもよく、第２カム３５０の第２傾斜面３５５と反対の面は、例えば、第１カム３３０のサポートヨーク３１０と対向する面と略平行に形成されてもよい。

第１傾斜面３３５と第２傾斜面３５５が接するようにして第２カム３５０が回転する際、第１カム３３０及び第２カム３５０が左右方向に相対運動することができる。つまり、第２カム３５０が回転すると、第２傾斜面３５５は、第１傾斜面３３５に対して相対的に回転し、互いの傾斜によって第１傾斜面３３５は、サポートヨーク３１０の方向に押圧されて移動する。その結果、第１カム３３０は、第２カム３５０に対して左右方向（第２カム３５０の方向とラックバー１４０の方向）に移動することができる。

そして、第２カム３５０の第２傾斜面３５５が形成された面と反対の面（背面）の中心部にはトーションスプリング３７０が挿入される第１溝３５７が形成され、この面には、トーションスプリング３７０を挟んで、ヨークプラグ３６０が配置される。このヨークスプリング３６０は、第２カム３５０を支持する。

そして、ヨークプラグ３６０の第２カム３５０と対向する面（正面、第２カム３５０を支持する面）の中心部には、第２溝３６５が形成される。つまり、トーションスプリング３７０は、第２カム３５０とヨークプラグ３６０との間に配置され、サポートヨーク自動間隙補償装置３００は、その組立が完了した場合、第１溝３５７及び第２溝３６５により形成される空間にトーションスプリング３７０を具備することとなる。

トーションスプリング３７０の両側端部は、各々第２カム３５０及びヨークプラグ３６０に固定される。このようにトーションスプリング３７０を具備することにより、サポートヨーク３１０の摩耗等により、間隙が発生すれば、トーションスプリング３７０が弛緩して延伸しながら第２カム３５０を回転させる。

第２カム３５０が回転されれば、第２傾斜面３５５と第１傾斜面３３５の相対運動により、第１カム３３０、固定部材３４０、ヨークスプリング３２０及びサポートヨーク３１０の全てがラックバー１４０方向に移動することになって、自動で間隙を補償することができる。

つまり、例えば、サポートヨーク３１０がラックバー１４０との間の摩擦により磨耗して間隙が生じた場合、トーションスプリング３７０は弛緩し、このトーションスプリング３７０に固定された第２カム３５０は回転する。この回転により、第２カム３５０の第２傾斜面３５５と第１カム３３０の第１傾斜面３３５とが略一致して接触した状態からずれる。そして、互いの傾斜により、第１傾斜面３３５の一部と第２傾斜面３５５の一部とが接触した状態を維持しつつ、第１傾斜面３３５は、第２傾斜面３５５によりラックバー１４０方向に押される。その結果、第１カム３３０は、ラックバー１４０の方向に移動して、それに伴い、固定部材３４０、ヨークスプリング３２０及びサポートヨーク３１０も、ラックバー１４０の方向に移動する。従って、サポートヨーク３１０の磨耗により発生する間隙を自動で補償することができる。

以上、説明したように、本実施形態によれば、ヨークプラグ３６０とサポートヨーク３１０との間に所定の間隙を形成することにより、この間隙（ギャップ）が増大して発生するラトルノイズ等を低減する必要がなく、第１カム３３０、第２カム３５０及びトルクスプリング３７０を備えることにより、サポートヨーク３１０とラックバー１４０との間に発生しうる間隙（ギャップ）を自動で補償することができる。

以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。

一般的な自動車用操向装置の概略構成図である。 従来のラックピニオンギア方式のギアボックスの側断面図である。 本発明の一実施形態に係るサポートヨーク自動間隙補償装置の断面図である。 図３ａの‘Ａ’部分拡大図である。

符号の説明

３００ サポートヨーク自動間隙補償装置
３１０ サポートヨーク
３２０ ヨークスプリング
３３０ 第１カム
３３５ 第１傾斜面
３４０ 固定部材
３５０ 第２カム
３５５ 第２傾斜面
３５７ 第１溝
３６０ ヨークプラグ
３６５ 第２溝
３７０ トーションスプリング

Claims (1)

1. ラックピニオン方式操向装置のサポートヨーク間隙補償装置であって、
   固定溝を有する前記サポートヨークと、
   前記サポートヨークにラックバー方向の圧力を加えるヨークスプリングと、
   前記サポートヨークの後面に配置されて前記ヨークスプリングを支持し、前記ヨークスプリングに対して反対の面において円周方向に形成された第１傾斜面を有する第１カムと、
   前記サポートヨークと前記第１カムとの間に前記ヨークスプリングを挿入した状態で前記固定溝に装着され、前記サポートヨークと前記第１カムとの間のギャップを一定に維持する固定部材と、
   前記第１カムを支持し、前記第１傾斜面と対向する第２傾斜面と、前記第２傾斜面の背面の中心部に形成された第１溝と、を有する第２カムと、
   前記第２カムを支持し、前記第２カムを支持する面の中心部に形成された第２溝を有するヨークプラグと、
   前記第１溝と前記第２溝とにより形成された空間に配置されるトーションスプリングと、
   を備え、
   前記サポートヨークに間隙が発生した場合に、前記トーションスプリングの延伸に従う回転により前記第２カムが回転して、前記第１カム及び前記第２カムの相対運動により前記間隙を補償することを特徴とする、ラックピニオン方式操向装置のサポートヨーク自動間隙補償装置。

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