JP5305092B2 - ラック軸支持装置および車両用操舵装置 - Google Patents
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そのラック軸支持装置では、ハウジングに設けられた保持孔に、前後に摺動可能なサポートヨークと、このサポートヨークを付勢する圧縮コイルばねを収容している。圧縮コイルばねにより付勢されたサポートヨークによって、ラック軸を軸方向に摺動可能に支持するとともにラック軸をピニオン軸側へ押圧している。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、長期にわたって騒音の発生を抑制することができる小型のラック軸支持装置および車両用操舵装置を提供することを目的とする。
また、上記中間部材に設けられたねじ孔と、上記封止部材に設けられた固定治具挿通孔とを備え、上記中間部材が所定の回転位置にあるときに、上記ねじ孔と上記固定治具挿通孔とが同一軸線上に並ぶようにされ、上記固定治具挿通孔を通してねじ孔にねじ込まれた固定治具を用いて、該固定治具の先端面が中間部材の端面から所定の突出量で突出する状態で上記封止部材および上記中間部材が互いに固定可能とされ、上記ラック軸支持部材と上記中間部材の端面との間には、上記所定の突出量に相当する量のクリアンラスが設けられているので、下記の利点がある。すなわち、封止部材の固定治具挿通孔を挿通して中間部材のねじ孔にねじ込まれた固定治具を用いて、封止部材に対して中間部材を軸方向および回転方向に固定することができる。また、この状態で、封止部材、中間部材、ぜんまいばねおよび固定治具を含み、ぜんまいばねの捩じり量が精度良く管理されたサブアセンブリを構成することができるので、組立性が向上する。また、中間部材とラック軸支持部材との間のクリアンラス調整が容易である。
また、請求項3において、上記封止部材および上記中間部材の一方に、係合部としての突起が設けられ、上記封止部材および上記中間部材の他方に設けられた筒状部の内周または外周に、被係合部としての溝カムが設けられている場合がある(請求項4)。
また、上記封止部材と上記中間部材との間に弾性的に圧縮された状態で介在し、上記中間部材をラック軸支持部材側へ弾性的に付勢する弾性部材を備える場合がある(請求項5)。この場合、封止部材および中間部材を係合するカム機構に起因して発生するおそれのある中間部材のがたつきを未然に防止することができる。
上記ラック軸支持装置を用いて上記ラック軸を軸方向に摺動可能に支持する車両用操舵装置であれば、好ましい(請求項6)。
図1を参照して、車両用操舵装置1は、ステアリングホイール等の操舵部材2に連結しているステアリングシャフト3と、ステアリングシャフト3に自在継手4を介して連結された中間軸5と、中間軸5に自在継手6を介して連結されたピニオン軸7と、ピニオン軸7の端部近傍に設けられたピニオン7aに噛み合うラック8aを有して自動車の左右方向に延びる転舵軸としてのラック軸8とを有している。ピニオン軸7およびラック軸8により舵取り機構としてのラックアンドピニオン機構Aが構成されている。
図2を参照して、ピニオン軸7は、例えば玉軸受からなる第1の軸受12と、例えば円筒ころ軸受からなる第2の軸受13とによって、ピニオンハウジング14内に回転可能に支持されている。ピニオン軸7のピニオン7aとラック軸8のラック8aとは、ピニオンハウジング14内で相互に噛み合わされている。
ラック軸支持装置15のハウジング17は、ピニオンハウジング14と単一の材料で一体に形成され、ラック軸8を隔ててピニオン軸7とは反対側に配置されている。ピニオンハウジング14およびハウジング17は例えばダイキャストにより製作される。
また、図3および図4を参照して、封止部材19の筒状部28の内側には、保持孔16の中心軸線C1から所定距離離れた位置に、端壁29の内面29aから突出する係合軸36が設けられている。上記ぜんまいばね25は、封止部材19の内部に収容され、封止部材19の係合軸36と中間部材20の支軸35との間に配置されている。
筒状部44の外周44aには、上記した螺旋状の溝カム22が形成されている。筒状部44には、筒状部44の軸方向とは平行に延び且つ筒状部44の径方向に対向する一対の導入溝45が形成されている。封止部材19と中間部材20を組み合わせるときに、封止部材19の一対の突起21を、それぞれ対応する導入溝45を通して、溝カム22内に組み入れるようにしている。
ラック軸支持装置15の組立の中間工程において、図9に示すように、固定治具挿通孔41を通してねじ孔46にねじ込まれた固定治具48を用いて、封止部材19および中間部材20が互いに固定可能とされている。具体的には、封止部材19、中間部材20、ぜんまいばね25、弾性部材53および固定治具48を含むサブアセンブリSAが構成されている。
このように中間部材20の回転を規制した状態で、中間部材20に対して封止部材19を回転させながら、一対の突起21を導入溝45から溝カム22内に導入する。このとき、封止部材19および中間部材20の相対回転に伴って、ぜんまいばね25が、封止部材19の係合軸36と中間部材20の支軸35との間で、捩じられる。
このようなサブアセンブリSAをハウジング17の保持孔16にねじ込み、中間部材20のベース43の前面43aから上記所定の突出量P1だけ突出している3本(図9では1本のみを示してある)の固定治具48の先端面48aをサポートヨーク18の後面18bに当接させる。これにより、ベース43の前面43aとサポートヨーク18の後面18bとの間に、上記所定の突出量P1に相当する所定のクリアランス量を確保することができる。すなわち、サブアセンブリSAを単に、ねじ込み可能な位置まででねじ込むだけで、所定のクリアランス量を確保することができ、したがって、従来行っていたような面倒なクリアランス調整の手間をかける必要がない。なお、仕様に応じてクリアランス量を変更する場合には、長さの異なる固定治具48を用いることになる。
なお、固定治具48を取り外したのち、図3に示すように、封止部材19の固定治具挿通孔41の入口に形成された拡径部49に、栓42が嵌め入れられ、これにより、固定治具挿通孔41の入口が塞がれている。具体的には、栓42を構成する雄ねじが、拡径部49の内周に形成された雌ねじに、ねじ込まれている。
特に、中間部材20に回転力を与えるために、ぜんまいばね25を用いており、ぜんまいばね25は、保持孔16の深さ方向X1に場所をとらないので、保持孔16の深さ方向X1に関して、ラック軸支持装置15を格段に小型にすることができる。しかも、封止部材19および中間部材20を係合するカム機構23を用いるので、構造を簡素化でき、この点からもラック軸支持装置15を小型にすることができる。
また、中間部材20の支軸35に、ぜんまいばね25の内端37を係合する係合溝39が形成されているので、構造を簡素化することができる。また、サポートヨーク18と中間部材20との間に介在する付勢部材24によって、サポートヨーク18をラック軸8側へ弾性的に付勢することができる。
また、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、例えば、図10に示すラック軸支持装置150のように、封止部材190の筒状部280の内周に、被係合部としての螺旋状の溝カム220を設け、中間部材200の筒状部440の外周から突出する係合部としての突起210を設けて、カム機構230を構成するようにしてもよい。
Claims (6)
- ハウジングに形成された保持孔内に上記保持孔の深さ方向に摺動可能に収容され且つラック軸を摺動可能に支持するラック軸支持部材と、
上記保持孔の入口に固定された封止部材と、
上記ラック軸支持部材と封止部材との間に配置された中間部材であって、上記封止部材に設けられた支持する部分によって支持される部分を有し、上記支持される部分が上記封止部材の上記支持する部分によって支持されることによって、上記保持孔の中心軸線の回りに回転可能で且つ上記保持孔の深さ方向に移動可能に支持されている中間部材と、
上記封止部材および中間部材の一方に設けられた係合部および他方に設けられ上記係合部に係合する被係合部を含み、上記係合部および上記被係合部は上記支持する部分および上記支持される部分とは別に設けられているカム機構と、
一端が上記中間部材に係合され他端が上記封止部材に係合されたぜんまいばねと、
上記中間部材を挿通するように設けられたねじ孔と、
上記封止部材に設けられた固定治具挿通孔と、を備え、
上記中間部材が所定の回転位置にあるときに、上記ねじ孔と上記固定治具挿通孔とが同一軸線上に並ぶようにされ、
上記固定治具挿通孔を通してねじ孔にねじ込まれた固定治具を用いて、該固定治具の先端が中間部材の端面から所定の突出量で突出する状態で上記封止部材および上記中間部材が互いに固定可能とされ、
上記ラック軸支持部材と上記中間部材の端面との間には、上記所定の突出量に相当する量のクリアランスが設けられ、
上記ぜんまいばねの捩じり戻しによる上記中間部材の回転力が、上記カム機構によって上記中間部材を上記ラック軸支持部材側へ押す力に変換されることを特徴とするラック軸支持装置。 - 請求項1において、上記封止部材および上記中間部材の一方に、係合部としての突起が設けられ、上記封止部材および上記中間部材の他方に設けられた筒状部の内周または外周に、被係合部としての溝カムが設けられていることを特徴とするラック軸支持装置。
- ハウジングに形成された保持孔内に上記保持孔の深さ方向に摺動可能に収容され且つラック軸を摺動可能に支持するラック軸支持部材と、
上記保持孔の入口に固定された封止部材と、
上記ラック軸支持部材と封止部材との間に配置され、上記保持孔の中心軸線の回りに回転可能で且つ上記保持孔の深さ方向に移動可能な中間部材と、
上記封止部材および中間部材の一方に設けられた係合部および他方に設けられ上記係合部に係合する被係合部を含むカム機構と、
一端が上記中間部材に係合され他端が上記封止部材に係合されたぜんまいばねと、
上記中間部材を挿通するように設けられたねじ孔と、
上記封止部材に設けられた固定治具挿通孔と、を備え、
上記中間部材が所定の回転位置にあるときに、上記ねじ孔と上記固定治具挿通孔とが同一軸線上に並ぶようにされ、
上記固定治具挿通孔を通してねじ孔にねじ込まれた固定治具を用いて、該固定治具の先端が中間部材の端面から所定の突出量で突出する状態で上記封止部材および上記中間部材が互いに固定可能とされ、
上記ラック軸支持部材と上記中間部材の端面との間には、上記所定の突出量に相当する量のクリアランスが設けられ、
上記ぜんまいばねの捩じり戻しによる上記中間部材の回転力が、上記カム機構によって上記中間部材を上記ラック軸支持部材側へ押す力に変換されることを特徴とするラック軸支持装置。 - 請求項3において、上記封止部材および上記中間部材の一方に、係合部としての突起が設けられ、上記封止部材および上記中間部材の他方に設けられた筒状部の内周または外周に、被係合部としての溝カムが設けられていることを特徴とするラック軸支持装置。
- 請求項1から4の何れか1項において、上記封止部材と上記中間部材との間に弾性的に圧縮された状態で介在し、上記中間部材をラック軸支持部材側へ弾性的に付勢する弾性部材を備えることを特徴とするラック軸支持装置。
- 請求項1から5の何れか1項に記載のラック軸支持装置を用いて上記ラック軸を軸方向に摺動可能に支持することを特徴とする車両用操舵装置。
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