図1を参照して、ステアリング装置1の構成について説明する。
ステアリング装置1は、ステアリング装置本体10、シャフト収容装置20、アシスト装置30、およびラックシャフト支持装置40を有する。ステアリング装置1は、ステアリングホイール2の操作をアシスト装置30によりアシストするラックパラレル型の電動パワーステアリング装置としての構成を有する。
ステアリング装置本体10は、コラムシャフト11、インターミディエイトシャフト12、ピニオンシャフト13、ラックシャフト14、ラックアンドピニオン機構15、2個のボールジョイント16、および2個のタイロッド17を有する。ステアリング装置本体10は、ステアリングホイール2の回転にともないコラムシャフト11、インターミディエイトシャフト12、およびピニオンシャフト13を一体的に回転させる。ステアリング装置本体10は、ピニオンシャフト13の回転によりラックシャフト14を長手方向において並進させる。ステアリング装置本体10は、ラックシャフト14を並進させることにより、ナックル4を介して転舵輪3の転舵角を変化させる。
ラックシャフト14は、ギア形成部分14Aおよびねじ形成部分14Bを有する。ラックシャフト14は、ギア形成部分14Aにおいて長手方向の所定範囲にわたり複数のラックギア14Cを有する。ラックシャフト14は、ねじ形成部分14Bにおいて長手方向の所定範囲にわたりラックねじ14Dとしての雄ねじを有する。ラックシャフト14は、長手方向に直交する断面においてD字形状に類似する断面形状を有する。
ラックアンドピニオン機構15は、ピニオンシャフト13のピニオンギア13A、およびラックシャフト14のラックギア14Cを有する。ラックアンドピニオン機構15は、ピニオンシャフト13の回転をラックシャフト14の並進に変換する。
シャフト収容装置20(図2参照)は、ラックハウジング21、オイルシール26、ボールベアリング27、およびニードルベアリング28を有する。シャフト収容装置20は、個別の部品として形成されたラックハウジング21、オイルシール26、ボールベアリング27、およびニードルベアリング28の集合体として構成される。
ラックハウジング21は、金属材料により形成される。ラックハウジング21は、ラックシャフト14の形状に対応した筒形状を有する。ラックハウジング21は、ベースハウジング22、エンドハウジング23、基礎収容空間24、および支持収容空間25を有する。ラックハウジング21は、個別の部品として形成されたベースハウジング22およびエンドハウジング23が互いに結合された構成を有する。ラックハウジング21は、基礎収容空間24において、ピニオンシャフト13、ラックシャフト14、ボールジョイント16、アシスト装置30を構成する減速装置32、およびボールねじ装置33を収容する。ラックハウジング21は、支持収容空間25においてラックシャフト支持装置40を収容する。
アシスト装置30は、電気モーター31、減速装置32、およびボールねじ装置33を有する。アシスト装置30は、電気モーター31の回転を減速装置32によりボールねじ装置33に伝達してボールねじ装置33を回転させることにより、ラックシャフト14の長手方向に作用する力をラックシャフト14に付与する。
図2を参照して、ラックアンドピニオン機構15周辺の構成について説明する。
ラックハウジング21は、基礎部分内面21Aにより基礎収容空間24を形成する。ラックハウジング21は、支持部分内面21Bにより支持収容空間25を形成する。ラックハウジング21は、支持開口部分21Cにおいて支持収容空間25を外部に向けて開口する。ラックハウジング21は、支持開口部分21Cの支持部分内面21Bにおいて開口部分雌ねじ21Dを有する。ラックハウジング21は、基礎収容空間24において、ピニオンシャフト13のピニオンギア13A、ラックシャフト14のラックギア14C、オイルシール26、ボールベアリング27、およびニードルベアリング28を収容する。
ラックシャフト支持装置40は、サポートヨーク50、プラグ60、中間カム部品70、回転力発生ばね80、および中間リング90を有する。ラックシャフト支持装置40は、個別の部品として形成されたサポートヨーク50、プラグ60、中間カム部品70、回転力発生ばね80、および中間リング90の集合体として構成される。ラックシャフト支持装置40においては、サポートヨーク50、プラグ60、中間カム部品70、回転力発生ばね80、および中間リング90が同軸を有する。ラックシャフト支持装置40は、プラグ60、中間カム部品70、および回転力発生ばね80によりサポートヨーク50をラックシャフト14のラック背面部分14Eに押し付ける。
図3を参照して、ラックシャフト支持装置40の構成について説明する。なお、押付方向は、支持収容空間25においてラックシャフト14をピニオンシャフト13(図2参照)に向けて押す方向を示す。また、離間方向は、支持収容空間25においてラックシャフト14がピニオンシャフト13(図2参照)から離間する方向を示す。
サポートヨーク50は、支持収容空間25においてラックシャフト14の背面側に配置される。サポートヨーク50は、支持収容空間25において押付方向および離間方向に移動可能な状態を有する。サポートヨーク50は、ヨーク本体51、低摩擦シート56、および樹脂弾性部品57を有する。サポートヨーク50は、個別の部品として形成されたヨーク本体51、低摩擦シート56、および樹脂弾性部品57が互いに結合された構成を有する。
ヨーク本体51は、金属材料により形成される。ヨーク本体51は、円柱形状の部品において一部分が取り除かれた形状を有する。ヨーク本体51は、本体外面51Aにおいてラックハウジング21の支持部分内面21Bにより支持される。ヨーク本体51は、ヨーク支持部分52およびヨーク背面部分53を有する。
ヨーク支持部分52は、ヨーク本体51のうちのラックシャフト14側の部分に形成される。ヨーク支持部分52は、ラックシャフト14のラック背面部分14Eに対応した形状を有する。ヨーク支持部分52は、低摩擦シート56を介してラック背面部分14Eを支持する。
ヨーク背面部分53は、凹部が形成された円柱形状を有する。ヨーク背面部分53は、ヨーク本体51のうちのプラグ60側の部分に形成される。ヨーク背面部分53は、ヨーク背面溝54およびヨーク穴部分55を有する。ヨーク背面部分53は、隙間を介して中間リング90のリング正面94と対向する。
樹脂弾性部品57は、樹脂収容部分57Aおよび樹脂突出部分57Bを有する。樹脂弾性部品57においては、樹脂収容部分57Aがヨーク背面溝54に嵌め込まれる。樹脂弾性部品57においては、樹脂突出部分57Bがヨーク背面溝54から突出してリング正面94に接触する。樹脂弾性部品57は、樹脂突出部分57Bがリング正面94に押し付けられることにより、ヨーク本体51および中間リング90により圧縮される。樹脂弾性部品57は、圧縮変形にともない生じる復元力により、中間リング90を中間カム部品70に押し付ける。
中間リング90は、摩擦係数が小さい金属材料により形成される。中間リング90は、サポートヨーク50と中間カム部品70との間に配置される。中間リング90は、リング貫通孔91を有する。中間リング90は、リング外面92においてラックハウジング21の支持部分内面21Bと隙間を介して対向する。中間リング90は、リング内面93において中間カム部品70の突出部分外面311と隙間を介して対向する。中間リング90は、リング背面95において中間カム本体71のカム本体正面71A、および中間カム部分72のカム部分正面72Cと接触する。
回転力発生ばね80としてのねじりコイルばねは、金属材料により形成される。回転力発生ばね80は、第1ばね端部81、第2ばね端部82、およびばね巻回部分83を有する。回転力発生ばね80は、同一の金属材料により第1ばね端部81、第2ばね端部82、およびばね巻回部分83が一体的に形成された構成を有する。回転力発生ばね80においては、第1ばね端部81がプラグ本体61に取り付けられる。回転力発生ばね80においては、第2ばね端部82が中間カム部品70に取り付けられる。回転力発生ばね80は、中間カム部品70をプラグ60に対して回転させる力を中間カム部品70に付与する。
プラグ60は、支持収容空間25において、サポートヨーク50に対してラックシャフト14とは反対側に配置される。プラグ60は、プラグ本体61、プラグ栓部品67、およびロックナット68を有する。プラグ60は、個別の部品として形成されたプラグ本体61、プラグ栓部品67、およびロックナット68が互いに結合された構成を有する。プラグ60においては、プラグ本体61およびロックナット68が同軸を有する。プラグ60は、回転力発生ばね80を保持する。プラグ60は、ラックハウジング21の支持開口部分21Cを閉塞する。
ロックナット68は、金属材料により形成される。ロックナット68は、ナット端面68Aおよびナット雌ねじ68Bを有する。ロックナット68は、ナット雌ねじ68Bによりプラグ本体61のプラグ雄ねじ62Cにねじ込まれる。ロックナット68は、ナット端面68Aにおいて支持開口部分21Cの端面に接触する。ロックナット68は、ラックハウジング21に対するプラグ本体61の緩みが生じることを抑制する。
図4を参照して、プラグ60および中間カム部品70の構成について説明する。
プラグ本体61は、金属材料により形成される。プラグ本体61は、円筒形状の部品において一方の開口部分が閉塞された形状を有する。プラグ本体61は、プラグ固定部分62、プラグ背壁部分63、プラグカム部分64、プラグ内部空間65、プラグ仮止孔66、および第1規制部分100を有する。プラグ本体61は、プラグ固定部分62、プラグ背壁部分63、プラグカム部分64、および第1規制部分100が同一の金属材料により一体的に形成された構成を有する。プラグ本体61は、プラグ内部空間65において回転力発生ばね80を収容する。
プラグ固定部分62は、円筒形状を有する。プラグ固定部分62は、固定部分外面62Aの一部分にプラグ雄ねじ62Cを有する。プラグ固定部分62は、プラグ雄ねじ62Cによりラックハウジング21の開口部分雌ねじ21Dにねじ込まれる(図3参照)。プラグ固定部分62は、プラグ雄ねじ62Cに対してロックナット68のナット雌ねじ68Bがねじ込まれる(図3参照)。
プラグ背壁部分63は、開口部分が形成されていない中実構造を有する。プラグ背壁部分63は、プラグ固定部分62に対してサポートヨーク50とは反対側の部分に形成される。プラグ背壁部分63は、ラックハウジング21の外部に配置される(図3参照)。プラグ背壁部分63は、プラグ固定部分62におけるプラグ内部空間65の開口部分の一方を閉塞する。
プラグカム部分64は、円環形状を有する。プラグカム部分64は、プラグ固定部分62に対してサポートヨーク50側の部分に形成される。プラグカム部分64は、複数の第1カム面64Aを有する。プラグカム部分64における第1カム面64Aの形状は、プラグ本体61の軸まわりにおいて周方向の一方に進むにつれて、軸方向において離間方向側から押付方向側に向けて傾斜する。プラグカム部分64においては、周方向において隣り合う第1カム面64A同士が区切部分(図示略)により区切られる。プラグカム部分64は、第1カム面64Aにおいて中間カム部品70の第2カム面72Aと接触する。
プラグ内部空間65は、円柱形状を有する。プラグ内部空間65は、プラグ固定部分62の固定部分内面62Bおよびプラグ背壁部分63の背壁部分底面63Aにより囲まれた空間として形成される。プラグ内部空間65は、第1規制部分100、第2規制部分200、および回転力発生ばね80を収容する。プラグ内部空間65においては、中間カム部品70側の開口部分が中間カム部品70の中間カム本体71により閉塞される。
プラグ仮止孔66は、プラグ本体61を軸方向に貫通する。すなわちプラグ仮止孔66は、プラグ背壁部分63、プラグ固定部分62、およびプラグカム部分64を貫通する。プラグ仮止孔66は、プラグ背壁部分63において仮止孔外開口部分66Aを有する。プラグ仮止孔66は、プラグカム部分64において仮止孔内開口部分66Bを有する。プラグ仮止孔66は、仮止孔外開口部分66Aの内面に仮止雌ねじ66Cを有する。
プラグ栓部品67は、金属材料により形成される。プラグ栓部品67は、栓部品雄ねじ67Aおよび工具挿入穴67Bを有する。プラグ栓部品67は、栓部品雄ねじ67Aによりプラグ仮止孔66の仮止雌ねじ66Cにねじ込まれる。プラグ栓部品67は、仮止孔外開口部分66Aを閉塞する。
第1規制部分100は、プラグ背壁部分63の背壁部分底面63Aからプラグ内部空間65に向けて突出する。第1規制部分100は、回転力発生ばね80のばね空間84に挿入される。第1規制部分100は、第1本体部分110および第1対向部分120を有する。第1規制部分100は、第1本体部分110および第1対向部分120が同一の金属材料により一体的に形成された構成を有する。第1規制部分100においては、第1本体部分110のうちの先端側の部分および第1対向部分120が第2規制部分200の対向収容空間223に挿入される。第1規制部分100は、プラグ本体61に対する回転力発生ばね80の第1ばね端部81の回転を規制する。
第1本体部分110は、プラグ本体61の軸方向に伸びる柱形状を有する。第1本体部分110は、柱形状の中間部分に形成されて長手方向に伸びる第1保持溝114を有する。第1本体部分110は、第1保持溝114により2個の柱形状部分に区分された構成を有する。第1本体部分110は、一方の第1本体部分内面112と他方の第1本体部分内面112との間に第1保持溝114を形成する。第1本体部分110は、第1本体部分端面113からプラグ背壁部分63との接続部分までにわたり第1保持溝114を形成する。第1本体部分110は、第1本体部分外面111においてプラグ固定部分62の固定部分内面62B、および回転力発生ばね80のばね巻回部分83と隙間を介して対向する。第1本体部分110は、第1本体部分端面113において第2規制部分200の第2対向部分底面222と隙間を介して対向する。
第1対向部分120は、第1本体部分110における先端側かつ外側の部分に形成される。第1対向部分120は、第1対向部分側面121および第1対向部分端面122を有する。第1対向部分120においては、第1対向部分側面121が第1本体部分外面111と連続する同一の面を形成する。第1対向部分120は、第1対向部分側面121において第2規制部分200の第2対向部分側面221と対向し、かつ第2対向部分側面221と接触する。第1対向部分120においては、第1対向部分端面122が第1本体部分端面113と連続する同一の面を形成する。第1対向部分120は、第1対向部分端面122において第2規制部分200の第2対向部分底面222と隙間を介して対向する。第1対向部分120は、第2対向部分側面221と接触することにより、プラグ本体61および中間カム部品70の径方向におけるプラグ本体61および中間カム部品70の相対的な移動を規制する。
中間カム部品70は、金属材料により形成される。中間カム部品70は、プラグ60と中間リング90との間において、サポートヨーク50、プラグ60、および中間リング90に対して回転可能な状態で配置される。中間カム部品70は、中間カム本体71、中間カム部分72、第2規制部分200、およびカム突出部分300を有する。中間カム部品70は、中間カム本体71、中間カム部分72、第2規制部分200、およびカム突出部分300が同一の金属材料により一体的に形成された構成を有する。中間カム部品70は、回転力発生ばね80から付与される力によりサポートヨーク50、プラグ60、および中間リング90に対して回転することにより、サポートヨーク50との間の隙間が拡大することを抑制する。
中間カム本体71は、円柱形状を有する。中間カム本体71は、カム本体背面71Bにおいてプラグ背壁部分63の背壁部分底面63A、および回転力発生ばね80のばね巻回部分83と対向する。
中間カム部分72は、円環形状を有する。中間カム部分72は、中間カム本体71に対して径方向外側の部分に形成される。中間カム部分72は、複数の第2カム面72Aおよび1個のカム仮止孔73を有する。中間カム部分72における第2カム面72Aの形状は、中間カム本体71の軸まわりにおいて周方向の一方に進むにつれて、軸方向において押付方向側から離間方向側に向けて傾斜する。中間カム部分72においては、周方向において隣り合う第2カム面72A同士が区切部分72Dにより区切られる。中間カム部分72は、カム部分外面72Bにおいてラックハウジング21の支持部分内面21Bと接触する(図3参照)。中間カム部分72においては、カム仮止孔73が軸方向において中間カム部分72を貫通する。
第2規制部分200は、中間カム本体71のカム本体背面71Bからプラグ内部空間65に向けて突出する。第2規制部分200は、回転力発生ばね80のばね空間84に挿入される。第2規制部分200は、第2本体部分210および第2対向部分220を有する。第2規制部分200は、第2本体部分210および第2対向部分220が同一の金属材料により一体的に形成された構成を有する。第2規制部分200は、中間カム部品70に対する回転力発生ばね80の第2ばね端部82の回転を規制する。
第2本体部分210は、中間カム部品70の軸方向に伸びる柱形状を有する。第2本体部分210は、柱形状の中間部分に形成されて長手方向に伸びる第2保持溝214を有する。第2本体部分210は、第1本体部分110に類似した構成を有する部分であり、第2保持溝214により2個の柱形状部分に区分された構成を有する。第2本体部分210は、一方の第2本体部分内面212と他方の第2本体部分内面212(図示略)との間に第2保持溝214を形成する。第2本体部分210は、第2本体部分端面213から中間カム本体71との接続部分までにわたり第2保持溝214を形成する。第2本体部分210は、第2本体部分外面211において回転力発生ばね80のばね巻回部分83と隙間を介して対向する。第2本体部分210は、第2本体部分端面213においてプラグ背壁部分63の背壁部分底面63Aと隙間を介して対向する。なお、図4は、第2本体部分210において第2保持溝214により区分して形成される一方の柱形状部分および他方の柱形状部分のうちの一方の柱形状部分を示し、他方の柱形状部分を省略している。
第2対向部分220は、第2本体部分内面212に対して中間カム部品70の径方向外側に向けて凹んだ形状を有する。第2対向部分220は、第2本体部分210における先端側かつ内側の部分に形成される。第2対向部分220は、第2本体部分210を構成する一方の柱形状部分および他方の柱形状部分のそれぞれに形成される。第2対向部分220は、第2対向部分側面221、第2対向部分底面222、および対向収容空間223を有する。第2対向部分220は、第2対向部分側面221および第2対向部分底面222により対向収容空間223を形成する。第2対向部分220においては、対向収容空間223がプラグ背壁部分63側において開口する。なお、図4は、第2本体部分210における他方の柱形状部分に形成される第2対向部分220を省略している。
図4を参照して、カム突出部分300の構成について説明する。
カム突出部分300は、円筒形状を有する。カム突出部分300は、中間リング90のリング貫通孔91からサポートヨーク50のヨーク穴部分55にまたがり形成される。カム突出部分300は、突出部分本体310および工具対応部分320を有する。カム突出部分300は、突出部分本体310および工具対応部分320が同一の金属材料により一体的に形成された構成を有する。カム突出部分300は、中間カム部品70をプラグ60と組み合わせる工程において、中間カム部品70を回転させる工具を取り付けるための部分として形成される。
突出部分本体310は、円筒形状を有する。突出部分本体310は、突出部分外面311においてヨーク穴部分55の穴部分内面55A、および中間リング90のリング内面93と隙間を介して対向する(図3参照)。突出部分本体310は、突出部分端面312においてヨーク穴部分55の穴部分底面55Bと隙間を介して対向する(図3参照)。
工具対応部分320は、突出部分本体310の内部および中間カム本体71の内部にまたがり形成される。工具対応部分320は、六角棒スパナに対応した形状の六角穴322を有する。工具対応部分320は、対応部分端面321から中間カム本体71の内部までにわたり六角穴322を有する。工具対応部分320は、対応部分端面321においてヨーク穴部分55の穴部分底面55Bと隙間を介して対向する(図3参照)。
図3を参照して、ラックシャフト支持装置40の組立方法について説明する。
ラックシャフト支持装置40の組立工程は、第1組立工程、第2組立工程、第3組立工程、第4組立工程、および第5組立工程を含む。ラックシャフト支持装置40は、第1組立工程〜第5組立工程を順に経ることにより完成する。
第1組立工程は、ラックシャフト14のラック背面部分14E上にサポートヨーク50を配置する工程を示す。作業者は、第1工程において、サポートヨーク50をラックハウジング21の支持開口部分21Cから支持収容空間25に挿入し、サポートヨーク50のヨーク背面部分53をラック背面部分14E上に配置する。
第2組立工程は、サポートヨーク50の樹脂弾性部品57上に中間リング90を配置する工程を示す。作業者は、第2組立工程において、中間リング90をラックハウジング21の支持開口部分21Cから支持収容空間25に挿入し、樹脂弾性部品57上において、リング外面92と支持部分内面21Bとの間に隙間が形成される位置に中間リング90を配置する。
第3組立工程は、プラグアッセンブリを組み立てる工程を示す。プラグアッセンブリは、プラグ本体61、中間カム部品70、および回転力発生ばね80が互いに組み合わせられ、かつプラグ仮止孔66およびカム仮止孔73に仮止ボルト(図示略)が挿入された構成のアッセンブリを示す。作業者は、第3組立工程において、プラグ本体61、中間カム部品70、および回転力発生ばね80を互いに組み合わせた後、プラグ仮止孔66およびカム仮止孔73に仮止ボルトを挿入することによりプラグアッセンブリを組み上げる。
第4組立工程は、プラグアッセンブリをラックハウジング21に固定する工程を示す。作業者は、第4組立工程において、プラグアッセンブリをラックハウジング21の支持開口部分21Cから支持収容空間25に挿入し、プラグ本体61のプラグ雄ねじ62Cをラックハウジング21の開口部分雌ねじ21Dにねじ込む。第4組立工程においては、プラグ雄ねじ62Cの全部が開口部分雌ねじ21Dにねじ込まれたとき、リング正面94とヨーク背面部分53との間に隙間が形成された状態において、中間リング90が中間カム部品70により樹脂弾性部品57に押し付けられる。
第5組立工程は、ラックハウジング21に対するラックシャフト支持装置40の取り付けを完了させる工程を示す。作業者は、プラグ本体61のプラグ雄ねじ62Cにロックナット68のナット雌ねじ68Bをねじ込む。作業者は次に、仮止ボルトをプラグ仮止孔66およびカム仮止孔73から抜き取り、プラグ仮止孔66の仮止雌ねじ66Cにプラグ栓部品67の栓部品雄ねじ67Aをねじ込む。第5組立工程においては、プラグ本体61にプラグ栓部品67がねじ込まれることによりプラグ60が組み上げられるとともに、ラックハウジング21に対するラックシャフト支持装置40の取り付けが完了する。
図4を参照して、プラグアッセンブリの組立方法について説明する。
プラグアッセンブリの組立工程は、第1中間工程、第2中間工程、第3中間工程、および第4中間工程を含む。プラグアッセンブリは、第1中間工程〜第4中間工程を順に経ることにより完成する。
第1中間工程は、プラグ本体61に回転力発生ばね80の第1ばね端部81を取り付ける工程を示す。作業者は、第1中間工程において、回転力発生ばね80を第1ばね端部81側からプラグ内部空間65に挿入し、第1ばね端部81を第1規制部分100の第1保持溝114に圧入する。
第2中間工程は、中間カム部品70に回転力発生ばね80の第2ばね端部82を取り付ける工程を示す。作業者は、第2中間工程において、中間カム部品70の第2規制部分200をプラグ内部空間65に挿入し、第2ばね端部82を第2規制部分200の第2保持溝214に圧入する。第2中間工程においては、第2ばね端部82を第2保持溝214に圧入する過程において、第2規制部分200の対向収容空間223に第1規制部分100の第1本体部分110および第1対向部分120が挿入される。このため、第1対向部分側面121と第2対向部分側面221との接触により、プラグ本体61に対する中間カム部品70の組み付け位置がガイドされる。
第3中間工程は、回転力発生ばね80のばね力を調整する工程を示す。作業者は、第3中間工程において、プラグ本体61を固定治具に取り付けた後、カム突出部分300の六角穴322に六角棒スパナを挿入する。作業者は次に、六角棒スパナにトルクを加えることにより、回転力発生ばね80のばね力が増加する方向に中間カム部品70を回転させる。作業者は次に、中間カム部分72の区切部分72Dがプラグカム部分64の区切部分に突き当てられることにより、プラグ本体61に対する中間カム部品70の回転が規制されるまで、六角棒スパナにより中間カム部品70を回転させる。回転力発生ばね80のねじり量は、中間カム部分72の区切部分72Dがプラグカム部分64の区切部分に突き当てられたとき、規定のねじり量に到達する。中間カム部品70のカム仮止孔73は、中間カム部分72の区切部分72Dがプラグカム部分64の区切部分に突き当てられたとき、プラグ本体61のプラグ仮止孔66と同軸上に位置する。
第4中間工程は、プラグ本体61および中間カム部品70に仮止ボルトを挿入する工程を示す。作業者は、第4中間工程において、六角棒スパナによりプラグ本体61に対する中間カム部品70の回転位置を固定し、仮止孔外開口部分66Aからプラグ仮止孔66およびカム仮止孔73に仮止ボルトを挿入する。作業者は次に、カム突出部分300から六角棒スパナを取り外し、固定治具からプラグ本体61を取り外す。第4中間工程においては、プラグ仮止孔66およびカム仮止孔73に仮止ボルトが挿入されることにより、プラグアッセンブリが組み上げられる。プラグアッセンブリにおいては、プラグ本体61に対する中間カム部品70の回転位置が仮止ボルトにより固定される。
図3を参照して、プラグ本体61の製造方法について説明する。
プラグ本体61の製造工程は、第1プラグ製造工程、第2プラグ製造工程、および第3プラグ製造工程を含む。プラグ本体61は、第1プラグ製造工程〜第3プラグ製造工程を順に経ることにより製造される。
第1プラグ製造工程は、プラグ固定部分62、プラグ背壁部分63、プラグカム部分64、プラグ内部空間65、および第1規制部分100のそれぞれが形成されていない状態のプラグ本体61のブランクを製造する工程を示す。なお、プラグ固定部分62等が形成されていない状態は、プラグ本体61における該当部分の一部分が形成されているとともに同部分が完成していない状態、およびプラグ本体61における該当部分が形成されていない状態を含む。
第2プラグ製造工程は、第1プラグ製造工程において形成されたプラグ本体61のブランクを冷間鍛造することにより、プラグ本体61のブランクに第1規制部分100を形成する工程を示す。第2プラグ製造工程による加工前のブランクにおいては、加工後のプラグ本体61における第1規制部分100の周囲に存在するプラグ内部空間65が加工前の材料部分により埋められ、かつ第1規制部分100の形成予定部分に空間が存在する。
第2プラグ製造工程においては、プラグ内部空間65を埋める材料部分がプレスされることにより、この材料部分が第1規制部分100の形成予定部分の空間に押し出される。そして、第1規制部分100の形成予定部分の空間に押し出された材料部分により、第1規制部分100が形成される。また第2プラグ製造工程においては、プレス成形された第1規制部分100の径方向の寸法を調整する必要があるとき、切削加工により第1規制部分100の外面を加工する。
プラグ本体61においては、冷間鍛造による第1規制部分100の形成にともないプラグ固定部分62の固定部分内面62B、第1本体部分110の第1本体部分外面111、第1本体部分内面112、および第1対向部分120の第1対向部分側面121が形成される。このため、完成品としてのプラグ本体61におけるこれらの各面は、鍛造により形成される組織を有する。なお、同各面の少なくとも1面において、冷間鍛造後に切削加工等の追加加工が施された場合、追加加工が施された面は、追加加工により形成される組織を有する。
第3プラグ製造工程は、プラグ雄ねじ62C、プラグ仮止孔66、仮止雌ねじ66C、および第1カム面64Aを形成する工程を示す。これらの部分の製造順序は、各部分の加工性等を考慮して設定される。そして、第3プラグ製造工程が終了することにより、プラグ本体61が完成する。
図2を参照して、ラックシャフト支持装置40の動作および作用について説明する。
ラックシャフト支持装置40は、第1の機能および第2の機能を有する。第1の機能は、ラックシャフト14がピニオンシャフト13に対して離間方向に移動することを抑制する機能を示す。第2の機能は、ラックシャフト14の摩擦部分における摩耗の進行に起因して、ラックギア14Cおよびピニオンギア13Aの噛み合い部分におけるクリアランスが増加することを抑制する機能を示す。なお、ラックシャフト14の摩擦部分は、ラックギア14Cおよびピニオンギア13Aの噛み合い部分と、ラック背面部分14Eおよびサポートヨーク50の低摩擦シート56との接触部分とを含む。
ラックシャフト支持装置40の第1の機能について説明する。
プラグ60は、プラグ本体61の第1カム面64Aにおいて中間カム部品70の第2カム面72Aに接触していることにより、中間カム部品70がラックハウジング21等に対して離間方向に移動することを規制する。中間カム部品70は、中間リング90および樹脂弾性部品57を介してサポートヨーク50のヨーク背面部分53を支持していることにより、サポートヨーク50がラックハウジング21等に対して離間方向に移動することを規制する。サポートヨーク50は、ヨーク支持部分52においてラックシャフト14のラック背面部分14Eを支持する。
このため、ラックシャフト14がピニオンシャフト13に対して離間方向に移動することが規制される。このため、ピニオンシャフト13の回転にともないラックシャフト14がピニオンシャフト13に対して離間方向および押付方向に移動することに起因して、部品同士の接触音が生じることが抑制される。なお、ラックシャフト支持装置40においては、ヨーク背面部分53と中間リング90との間に隙間が形成されている。このため、ヨーク本体51がラックシャフト14から離間方向に作用する力を受けたとき、ヨーク本体51がヨーク背面部分53と中間リング90と隙間の分だけ離間方向に移動することが許容される。ヨーク本体51は、ラックハウジング21等に対して離間方向に移動するとき、樹脂弾性部品57の圧縮変形量を増加させる。このため、樹脂弾性部品57がヨーク本体51を押付方向に押す力が増加する。
ラックシャフト支持装置40の第2の機能について説明する。
回転力発生ばね80は、中間カム部品70をプラグ本体61に対して回転させる力を中間カム部品70に付与している。すなわち回転力発生ばね80は、第2カム面72Aを第1カム面64Aに対して回転させる力を中間カム部品70に付与している。
中間カム部品70に付与されるばね力は、第1カム面64Aが離間方向側から押付方向側に向けて傾斜する軸まわりの方向と同じ方向に作用する。このため第2カム面72Aは、中間カム部品70に付与されるばね力により、第1カム面64Aに対して押付方向に移動しようとする状態にある。すなわち中間カム部品70は、第2カム面72Aと第1カム面64Aとの接触、および回転力発生ばね80から付与されるばね力により、プラグ本体61に対して押付方向に移動しようとする状態にある。
一方、中間カム部品70は、ラックハウジング21等に対する押付方向への移動がサポートヨーク50により規制されている。このため、回転力発生ばね80からばね力が付与された状態において、中間カム部品70がプラグ本体61に対して押付方向に移動しない。しかし、ラックシャフト14の摩擦部分の摩耗量が増加するときには、押付方向においてラックハウジング21等に対してヨーク本体51の移動が許容される範囲が拡大する。このため、押付方向において、ラックハウジング21等に対して中間カム部品70の移動が許容される範囲も拡大する。
このため、回転力発生ばね80のばね力により中間カム部品70がプラグ本体61に対して回転する。このため、中間カム部品70のカム本体正面71Aおよびカム部分正面72Cが、プラグ本体61に対する中間カム部品70の回転が生じる前の位置から押付方向に移動する。このため、押付方向におけるカム本体正面71Aおよびカム部分正面72Cとヨーク背面部分53との相対的な位置関係は、プラグ本体61に対する中間カム部品70の回転が生じる前の関係と実質的に同じ関係に維持される。すなわち、押付方向における中間カム部品70とヨーク本体51との相対的な位置関係は、ラックシャフト14の摩擦部分の摩耗量が増加する前の関係と実質的に同じ関係に維持される。
このため、ラックシャフト14の摩擦部分の摩耗量が増加することに起因して、離間方向におけるラック背面部分14Eに対するヨーク本体51の移動範囲が拡大することが抑制される。このため、ラックシャフト14の摩擦部分の摩耗量が増加した場合においても、ピニオンシャフト13およびラックシャフト14の接触音の発生が抑制される。
本実施形態のステアリング装置1は、以下の効果を奏する。
(1)ステアリング装置1は、ラックシャフト支持装置40を有する。ラックシャフト支持装置40においては、第1規制部分100の第1対向部分120と第2規制部分200の第2対向部分220とが互いに対向する。この構成によれば、プラグ本体61の軸および中間カム部品70の軸に交差する方向(プラグ本体61および中間カム部品70の径方向)においてプラグ本体61および中間カム部品70の相対的な移動が規制される。すなわち、第1規制部分100および第2規制部分200は、プラグ本体61および中間カム部品70の径方向においてプラグ本体61および中間カム部品70を位置決めする機能を有する。
またラックシャフト支持装置40においては、プラグ本体61および中間カム部品70が互いに組み合わせられるとき、プラグ本体61に対する中間カム部品70の組み付け位置が第1対向部分120および第2対向部分220によりガイドされる。このため、第1カム面64Aおよび第2カム面72Aの相対的な位置関係が正規の位置関係からずれた状態において、プラグ本体61および中間カム部品70が組み合わせられることが抑制される。また、プラグ本体61および中間カム部品70が互いに組み合わせられるときの作業性が向上する。
またラックシャフト支持装置40においては、プラグ本体61および中間カム部品70を位置決めする第1規制部分100および第2規制部分200が、プラグ背壁部分63または中間カム本体71からプラグ内部空間65に向けて突出する形状を有する。このため、中間カム本体71の軸方向において回転力発生ばね80と第1規制部分100および第2規制部分200とが重なり合う部分を形成することが可能になる。このため、プラグ本体61および中間カム部品70を位置決めする部分が、プラグ内部空間65における中間カム部品70側の部分を埋めると仮定した構成と比較して、ラックシャフト支持装置40における押付方向の寸法を小さくすることが可能になる。なお、比較の対象とした上記構成の一例としては、図9に示されるラックシャフト支持装置440の構成が挙げられる。
(2)ラックシャフト支持装置40においては、第1規制部分100の第1対向部分側面121が第2規制部分200の第2対向部分側面221に接触する。この構成によれば、第1対向部分側面121と第2対向部分側面221との間に隙間が形成されると仮定した構成と比較して、径方向におけるプラグ本体61および中間カム部品70の相対的な位置関係が安定する。
(3)ラックシャフト支持装置40においては、第1規制部分100が第1本体部分110および第1対向部分120を有し、第2規制部分200が第2本体部分210および第2対向部分220を有する。すなわち、第1規制部分100および第2規制部分200は、プラグ本体61および中間カム部品70の径方向においてプラグ本体61および中間カム部品70を位置決めする機能と、回転力発生ばね80を保持する機能とを有する。この構成によれば、プラグ本体61および中間カム部品70を位置決めする機能を有する部分と、回転力発生ばね80を保持する機能を有する部分とが個別に形成されていると仮定した構成と比較して、ラックシャフト支持装置40の構成が簡略化される。
(4)ラックシャフト支持装置40においては、第1規制部分100および第2規制部分200が回転力発生ばね80のばね空間84に配置される。この構成によれば、第1規制部分100および第2規制部分200が回転力発生ばね80の軸方向におけるばね空間84の外側に配置されると仮定した構成と比較して、ラックシャフト支持装置40の押付方向において部品同士が重なり合う部分が多くなる。このため、ラックシャフト支持装置40における押付方向の寸法を小さくすることが可能になる。
(5)ラックシャフト支持装置40は、カム突出部分300が形成された中間カム部品70を有する。この構成によれば、回転力発生ばね80のばね力の大きさを調整する工程(第3中間工程)において、カム突出部分300に工具を取り付けることができる。そして、この工具により中間カム部品70をプラグ本体61に対して回転させることにより、回転力発生ばね80のばね力の大きさを調整することができる。このため、従来のラックシャフト支持装置における調整ボルトを省略することができる。このため、ラックシャフト支持装置40における押付方向の寸法を小さくすることが可能になる。
(6)ラックシャフト支持装置40は、カム突出部分300に工具対応部分320を有する。この構成によれば、回転力発生ばね80のばね力の大きさを調整する工程において、工具対応部分320の六角穴322に六角棒スパナを取り付けることができる。そして、六角棒スパナにより中間カム部品70をプラグ本体61に対して回転させることにより、回転力発生ばね80のばね力の大きさを調整することができる。このため、カム突出部分300において工具対応部分320が形成されていないと仮定した構成と比較して、中間カム部品70をプラグ本体61に対して回転させる作業に関する作業性が向上する。
(7)ラックシャフト支持装置40においては、カム突出部分300がサポートヨーク50のヨーク穴部分55に挿入される。このため、カム突出部分300が中間カム部品70の軸方向におけるサポートヨーク50の外側に配置されると仮定した構成と比較して、ラックシャフト支持装置40における押付方向の寸法を小さくすることが可能になる。
(8)ラックシャフト支持装置40は、サポートヨーク50によりラックシャフト14のラック背面部分14Eを支持する。この構成によれば、ピニオンシャフト13の回転にともないラックシャフト14がピニオンシャフト13に対して離間方向および押付方向に移動することに起因して、部品同士の接触音が生じることが抑制される。
(9)ラックシャフト支持装置40は、プラグ本体61に対して中間カム部品70を回転させる回転力発生ばね80を有する。この構成によれば、ラックシャフト14の摩擦部分の摩耗量が増加するとき、プラグ本体61に対して中間カム部品70が回転する。このため、押付方向における中間カム部品70とヨーク本体51との相対的な関係は、ラックシャフト14の摩擦部分の摩耗量が増加する前と実質的に同じ関係が維持される。このため、ラックシャフト14の摩擦部分の摩耗量が増加した場合においても、ピニオンシャフト13およびラックシャフト14の接触音の発生が抑制される。
なお、上記実施形態の説明において、同軸を有する旨の説明が付された複数の構成要素間の関係は、複数の構成要素のそれぞれの軸が一致する場合、および複数の構成要素のそれぞれの軸が実質的に一致しているとみなせる場合の双方を含む。
また、プラグ本体61の軸は、プラグ本体61の回転軸を示す。プラグ本体61の径方向は、プラグ本体61の軸に直交する方向を示す。ロックナット68の軸は、ロックナット68の回転軸を示す。ロックナット68の径方向は、ロックナット68の軸に直交する方向を示す。中間カム部品70の軸は、中間カム部品70の回転軸を示す。中間カム部品70の径方向は、中間カム部品70の軸に直交する方向を示す。中間リング90の軸は、プラグ本体61等の軸と同軸上に位置する軸を示す。中間リング90の径方向は、中間リング90の軸に直交する方向を示す。ヨーク本体51の軸は、プラグ本体61等の軸と同軸上に位置する軸を示す。ヨーク本体51の径方向は、ヨーク本体51の軸に直交する方向を示す。ラックシャフト支持装置40の押付方向は、プラグ本体61等の軸方向と同一の方向を示す。
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態以外の実施形態を含む。以下、本発明のその他の実施形態としての上記実施形態の変形例を示す。なお、以下の各変形例は、互いに組み合わせることもできる。
・実施形態のサポートヨーク50は、ヨーク本体51、ヨーク支持部分52、およびヨーク背面部分53が同一の金属材料により一体的に形成された構成を有する。一方、変形例のサポートヨーク50は、ヨーク支持部分52およびヨーク背面部分53の少なくとも一方がヨーク本体51から独立した個別の部品として形成された構成を有する。この変形例のサポートヨーク50は、個別の部品として形成されたヨーク支持部分52およびヨーク背面部分53の少なくとも一方がヨーク本体51に結合された構成を有する。この変形例のサポートヨーク50においては、ヨーク支持部分52およびヨーク背面部分53の少なくとも一方の部品をヨーク本体51とは異なる材料により形成することもできる。
・実施形態のプラグ60のプラグ本体61は、プラグ固定部分62、プラグ背壁部分63、およびプラグカム部分64が同一の金属材料により一体的に形成された構成を有する。一方、変形例のプラグ60は、プラグ背壁部分63およびプラグカム部分64の少なくとも一方がプラグ固定部分62から独立した個別の部品として形成された構成を有する。この変形例のプラグ本体61は、個別の部品として形成されたプラグ背壁部分63およびプラグカム部分64の少なくとも一方がプラグ固定部分62に結合された構成を有する。この変形例のプラグ本体61においては、プラグ固定部分62およびプラグ背壁部分63の少なくとも一方の部品をプラグ固定部分62とは異なる材料により形成することもできる。
・実施形態のプラグ60のプラグ本体61は、プラグ背壁部分63および第1規制部分100が同一の金属材料により一体的に形成された構成を有する。一方、変形例のプラグ本体61は、第1規制部分100がプラグ背壁部分63から独立した個別の部品として形成された構成を有する。この変形例のプラグ本体61は、第1規制部分100がプラグ背壁部分63に結合された構成を有する。この変形例のプラグ本体61においては、第1規制部分100をプラグ背壁部分63とは異なる材料により形成することもできる。
・実施形態の中間カム部品70は、中間カム本体71および第2規制部分200が同一の金属材料により一体的に形成された構成を有する。一方、変形例の中間カム部品70は、第2規制部分200が中間カム本体71から独立した個別の部品として形成された構成を有する。この変形例の中間カム部品70は、第2規制部分200が中間カム本体71に結合された構成を有する。この変形例の中間カム部品70においては、第2規制部分200を中間カム本体71とは異なる材料により形成することもできる。
・実施形態のプラグ60の第1規制部分100は、第1本体部分110および第1対向部分120が同一の金属材料により一体的に形成された構成を有する。一方、図5に示される変形例の第1規制部分100は、第1対向部分120が第1本体部分110から独立した個別の部品として形成された構成を有する。この変形例の第1規制部分100は、第1対向部分120が第1本体部分110に結合された構成を有する。この変形例の第1規制部分100においては、第1対向部分120を第1本体部分110とは異なる材料により形成することもできる。
・実施形態の中間カム部品70の第2規制部分200は、第2本体部分210および第2対向部分220が同一の金属材料により一体的に形成された構成を有する。一方、図6に示される変形例の第2規制部分200は、第2対向部分220が第2本体部分210から独立した個別の部品として形成された構成を有する。この変形例の第2規制部分200は、第2対向部分220が第2本体部分210に結合された構成を有する。この変形例の第2規制部分200においては、第2対向部分220を第2本体部分210とは異なる材料により形成することもできる。
・実施形態の中間カム部品70は、中間カム本体71およびカム突出部分300が同一の金属材料により一体的に形成された構成を有する。一方、変形例の中間カム部品70は、カム突出部分300が中間カム本体71から独立した個別の部品として形成された構成を有する。この変形例の中間カム部品70は、カム突出部分300が中間カム本体71に結合された構成を有する。この変形例の中間カム部品70においては、カム突出部分300を中間カム本体71とは異なる材料により形成することもできる。
・実施形態の中間カム部品70のカム突出部分300は、突出部分本体310および工具対応部分320が同一の金属材料により一体的に形成された構成を有する。一方、図7に示されるカム突出部分300は、工具対応部分320が突出部分本体310から独立した個別の部品として形成された構成を有する。この変形例のカム突出部分300は、工具対応部分320が突出部分本体310に結合された構成を有する。この変形例のカム突出部分300においては、工具対応部分320を突出部分本体310とは異なる材料により形成することもできる。
・実施形態のカム突出部分300は、突出部分端面312においてヨーク穴部分55の穴部分底面55Bと隙間を介して対向する。一方、変形例のカム突出部分300は、突出部分端面312においてヨーク穴部分55の穴部分底面55Bと接触する。
・実施形態のカム突出部分300は、突出部分外面311においてヨーク穴部分55の穴部分内面55Aと隙間を介して対向する。一方、変形例のカム突出部分300は、突出部分外面311の少なくとも一部分において穴部分内面55Aと接触する。
・実施形態のカム突出部分300は、六角穴322が形成された工具対応部分320を有する。一方、変形例のカム突出部分300は、工具対応部分320に代えて、スパナに対応する多角形状の外形を有する工具対応部分を有する。この変形例のカム突出部分300においては、工具対応部分の多角形状の外形が突出部分本体310の先端部分の外形を形成する。
・実施形態のカム突出部分300は、突出部分本体310および工具対応部分320を有する。一方、変形例のカム突出部分300は、工具対応部分320が省略された構成を有する。この変形例のカム突出部分300においては、例えば突出部分本体310が中実の部分として形成されることにより、工具対応部分320に相当する部分が埋められる。
この変形例のカム突出部分300を有するラックシャフト支持装置40においては、プラグ本体61、中間カム部品70、および回転力発生ばね80を互いに組み合わせる工程において、工具をカム突出部分300(突出部分本体310)に取り付けることができる。そして、カム突出部分300に取り付けた工具により中間カム部品70をプラグ60に対して回転させることにより、回転力発生ばね80のばね力の大きさを調整することができる。このため、従来のラックシャフト支持装置における調整ボルトを省略することができる。このため、ラックシャフト支持装置40の押付方向の寸法を小さくすることができる。
・実施形態のラックシャフト支持装置40は、中間カム部品70において1個のカム突出部分300を有し、サポートヨーク50においてこのカム突出部分300に対応する1箇所のヨーク穴部分55を有する。一方、変形例のラックシャフト支持装置40は、以下の(a)〜(c)のいずれか1つの構成を有する。
(a)変形例のラックシャフト支持装置40は、中間カム部品70において複数のカム突出部分300を有し、サポートヨーク50において複数のカム突出部分300が挿入される1箇所のヨーク穴部分55を有する。
(b)変形例のラックシャフト支持装置40は、中間カム部品70において複数のカム突出部分300を有し、サポートヨーク50において複数のカム突出部分300のそれぞれが個々に挿入される複数箇所のヨーク穴部分55を有する。
(c)変形例のラックシャフト支持装置40は、カム突出部分300が省略された構成の中間カム部品70を有する。このラックシャフト支持装置40においては、サポートヨーク50のヨーク穴部分55を省略することもできる。
・実施形態のラックシャフト支持装置40は、ばね空間84に第1規制部分100および第2規制部分200が挿入される構成を有する。一方、変形例のラックシャフト支持装置40は、第1規制部分100および第2規制部分200において回転力発生ばね80を収容する巻回部分収容空間を有する。この変形例のラックシャフト支持装置40においては、回転力発生ばね80が巻回部分収容空間に挿入されることにより、プラグ本体61の径方向において回転力発生ばね80の周囲が第1規制部分100および第2規制部分200により覆われる。
・実施形態のラックシャフト支持装置40は、第1規制部分100の第1対向部分側面121が第2規制部分200の第2対向部分側面221と接触する構成を有する。一方、変形例のラックシャフト支持装置40は、中間カム部品70の径方向において第1対向部分側面121が第2対向部分側面221と隙間を介して対向する構成を有する。この変形例のラックシャフト支持装置40においては、中間カム部品70の径方向における第1規制部分100および第2規制部分200の相対的な移動により第1対向部分側面121および第2対向部分側面221が互いに接触する。そして、第1対向部分側面121および第2対向部分側面221が互いに接触することにより、中間カム部品70の径方向におけるプラグ本体61および中間カム部品70の相対的な移動が規制される。この変形例のラックシャフト支持装置40によれば、第1対向部分側面121および第2対向部分側面221が互いに接触する構成と比較して、プラグ本体61に対して中間カム部品70が回転するときの回転抵抗が小さくなる。このため、回転力発生ばね80のばね力を小さくしても中間カム部品70をプラグ本体61に対して回転させることが可能になる。
・実施形態のラックシャフト支持装置40は、プラグ本体61の軸方向に沿う形状の第1本体部分外面111および第1対向部分側面121が形成された第1規制部分100を有する。また、実施形態のラックシャフト支持装置40は、中間カム部品70の軸方向に沿う形状の第2対向部分側面221が形成された第2規制部分200を有する。一方、図8に示される変形例のラックシャフト支持装置40は、第1規制部分100に代えて第1規制部分100Aを有し、第2規制部分200に代えて第2規制部分200Aを有する。
第1規制部分100Aは、次の点において第1規制部分100と異なる構成を有し、その他の部分において第1規制部分100と同じ構成を有する。第1規制部分100Aは、第1本体部分110Aおよび第1対向部分120Aを有する。第1規制部分100Aにおいては、第1本体部分110Aのうちの先端側の部分および第1対向部分120Aが第2規制部分200Aの対向収容空間223Aに挿入される。
第1本体部分110Aは、第1本体部分外面111Aを有する。第1本体部分110Aにおいては、第1本体部分外面111Aがプラグ本体61の軸方向において押付方向に進行するにつれて径方向内方に向けて傾斜する。
第1対向部分120Aは、第1対向部分側面121Aを有する。第1対向部分120Aにおいては、第1対向部分側面121Aが第1本体部分外面111Aと連続する同一の面を形成する。第1対向部分120Aにおいては、第1対向部分側面121Aがプラグ本体61の軸方向において押付方向に進行するにつれて径方向内方に向けて傾斜する。
第2規制部分200Aは、次の点において第2規制部分200と異なる構成を有し、その他の部分において第2規制部分200と同じ構成を有する。第2規制部分200Aは、第2本体部分210Aおよび第2対向部分220Aを有する。
第2対向部分220Aは、第2対向部分側面221Aおよび対向収容空間223Aを有する。第2対向部分220Aにおいては、第2対向部分側面221Aが中間カム部品70の軸方向において押付方向に進行するにつれて径方向内方に向けて傾斜する。第2対向部分220Aは、第2対向部分側面221Aにおいて第1対向部分側面121Aと対向し、かつ第1対向部分側面121Aと接触する。
・実施形態のラックシャフト支持装置40は、第1規制部分100の第1本体部分110の先端側部分および第1対向部分120が第2規制部分200の対向収容空間223に挿入される構成を有する。一方、変形例のラックシャフト支持装置40は、第1規制部分100において対向収容空間223に相当する対向収容空間を有し、第2本体部分210の先端側部分および第2対向部分220がこの対向収容空間に挿入される構成を有する。この変形例のラックシャフト支持装置40は、具体的には例えば次の構成を有する。ラックシャフト支持装置40は、実施形態の第1規制部分100に代えて、第2規制部分200と同じ構造を有する規制部分をプラグ本体61に有する。ラックシャフト支持装置40は、実施形態の第2規制部分200に代えて、第1規制部分100と同じ構造を有する規制部分を中間カム部品70に有する。プラグ本体61の規制部分および中間カム部品70の規制部分は、実施形態のラックシャフト支持装置40における第1規制部分100および第2規制部分200の関係と同じ関係を有する。
・実施形態のラックシャフト支持装置40は、回転力発生ばね80としてねじりコイルばねを有する。一方、変形例のラックシャフト支持装置40は、回転力発生ばね80としてぜんまいばねを有する。
・実施形態のラックシャフト支持装置40は、ヨーク本体51に樹脂弾性部品57が取り付けられる構成を有する。一方、変形例のラックシャフト支持装置40は、ヨーク本体51に代えて中間カム部品70に樹脂弾性部品57が取り付けられる構成を有する。この変形例のラックシャフト支持装置40においては、樹脂弾性部品57の復元力により中間リング90がサポートヨーク50のヨーク背面部分53に押し付けられる。
・実施形態のステアリング装置1は、軸方向に直交する断面の形状がD字形状に類似するラックシャフト14を有する。一方、変形例のステアリング装置1は、ラックシャフト14に代えて、軸方向に直交する断面の形状がY字形状に類似するラックシャフトを有する。
・実施形態のステアリング装置1は、ラックパラレル型の電動パワーステアリング装置としての構成を有する。一方、変形例のステアリング装置は、コラムアシスト型、ピニオンアシスト型、デュアルピニオンアシスト型、またはラック同軸型の電動パワーステアリング装置としての構成を有する。
・実施形態のステアリング装置1は、アシスト装置30を有する電動パワーステアリング装置としての構成を有する。一方、変形例のステアリング装置は、アシスト装置30が省略された機械式のステアリング装置としての構成を有する。
要するに、ラックシャフトおよびピニオンシャフトを有するステアリング装置であれば、ラックパラレル型以外の電動パワーステアリング装置、および電動パワーステアリング装置以外のステアリング装置についても本発明を適用することができる。