JP4363759B2 - 機械式駐車装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、空パレットを格納するパレット格納スペースを出入り口近くに設けて入出庫に備えるようにした地下格納タイプの機械式駐車装置の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
入出庫効率を良くするために、入庫に備えて空パレットを乗入・乗出階に呼び出したり、出庫後の空パレットを乗入・乗出階から取り除く時間をあまり掛けないようにした機械式駐車装置として、本出願人は特開平7−34706号公報に開示されているような地下格納タイプの機械式駐車装置を先に出願している。この機械式駐車装置では、乗入・乗出階の出入り口直下にパレット格納スペースを設けるとともに、リフト昇降路をリフトが乗入・乗出階の出入り口側方に上昇するように設け、車両を入出庫する際には、上記リフトを乗入・乗出階の出入り口側方に上昇させて出入り口とリフトとの間で車両を受け渡すようになっている。また、入庫に備えるためには、空パレットをパレット格納スペースから出入り口に持ち上げる一方、車両が出庫して空になったパレットは、次に入庫がある場合はそのまま出入り口に待機させるが、出庫が続く場合には、上記出入り口で空になったパレットを持ち下げてパレット格納スペースに格納することにより、パレットを一々格納階の格納棚から搬出したり、格納棚に戻す手間をなくして入出庫効率を良くしている。
【0003】
また、特開平4−309675号公報に開示されているように、リフトの底部にパレット格納スペースを一体に設け、パレット格納スペースをリフトと共に乗入・乗出階に上昇させて空パレットを直接にパレット格納スペースと出入り口との間で受け渡すことにより、パレットを一々格納階の格納棚から搬出したり、格納棚に戻す手間をなくして入出庫効率を良くするようにした地下格納タイプの機械式駐車装置も知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記の前者の機械式駐車装置では、乗入・乗出階の出入り口とその直下のパレット格納スペースとの間で空パレットを受け渡すようにしていることから、出入り口に持ち上げられている空パレットに入庫車両が乗り入れると、その車体荷重がパレット格納スペースに設置されているパレット格納装置に掛かるため、パレット格納装置を頑丈な構造にしなければならず、装置が複雑かつ高価なものになる。また、乗入・乗出階に出入り口とリフト上昇口とを並設しなければならず、乗入・乗出階のスペースが大きくなって乗入・乗出階のレイアウトの自由度が低くなり、立地条件の制約を受けることがある。
【0005】
一方、後者の機械式駐車装置では、パレット格納スペースがリフトに一体に設けられていることから、リフトを昇降させるのに大きな動力が必要になり、装置が高価なものになる。また、格納階の最下段の格納棚とリフトとの間でパレットを受け渡すためには、リフト昇降路下端にピットを凹設してリフトが下降して最下段の格納棚との受渡しレベルが同じ高さになった際、パレット格納スペースを上記ピット内に収容するようにしなければならず、その分だけ経費が嵩む。
【0006】
この発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、入出庫を効率良くするためのパレット格納スペースがあることを前提に、装置の複雑化を招くことなく、しかも安価であり、さらには、乗入・乗出階のスペースを縮小化してそのレイアウトの自由度を高め、立地条件の制約に十分に対応できるようにすることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、この発明は、出入り口直下をリフト等の昇降移送手段が昇降できるようにし、その昇降移送路側方にパレット格納スペースを設けたことを特徴とする。
【0008】
具体的には、この発明は、地上に設けられた乗入・乗出階と地下に設けられた格納階とを連絡する昇降移送路が上記乗入・乗出階の出入り口直下に設けられ、上記昇降移送路を昇降する昇降移送手段により上記出入り口と格納階との間で車両をパレットごと移送して入出庫する地下格納タイプの機械式駐車装置を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0009】
すなわち、請求項1に記載の発明は、上記地下の格納階において、上記昇降移送手段から格納階へのパレット払出し方向と反対側の昇降移送路上端側方には、パレット格納スペースが設けられ、上記パレット格納スペースには、複数枚の空パレットを上下に積み重ねて格納するパレット格納装置が設置され、入出庫時、上記地下の格納階でのみ、上記昇降移送手段とパレット格納装置との間で必要に応じて空パレットを受け渡すようになっていることを特徴とする。
【0010】
上記の構成により、請求項1に記載の発明では、入庫時、入庫車両は出入り口で待機中の昇降移送手段上の空パレットに乗り入れ、昇降移送手段により格納階にパレットごと移送されて格納される。これに続いて出庫がある場合には、昇降移送手段が出庫車両をパレットごと出入り口に移送し、出庫車両が出入り口から退出する。一方、上記入庫に続いてさらに入庫がある場合には、昇降移送手段がパレット格納スペースから空パレットを引き出して出入り口に上昇待機する。
【0011】
出庫時、出庫車両は昇降移送手段により出入り口にパレットごと移送されて搬出され、出入り口から退出する。これに続いて入庫がある場合には、出庫車両が退出して空になったパレットをそのまま出入り口で待機させる。一方、上記出庫に続いてさらに出庫がある場合には、昇降移送手段が上記出庫車両が退出して空になったパレットを出入り口からパレット格納スペースに格納して出入り口を開け、その後、昇降移送手段が出庫車両をパレットごと出入り口に移送し、出庫車両が出入り口から退出する。
【0012】
したがって、入庫や出庫が連続する場合であっても、空パレットを一々格納階の格納棚から呼び出したり、空パレットを一々格納棚に戻さなくてよく、その分だけ待ち時間が短くなって効率良く入出庫が行われる。
【0013】
さらに、パレット格納スペースに格納されている空パレットには、車体荷重が掛からず、パレット格納装置をそれほど頑丈なものにしなくてよく、また、パレット格納スペースをリフトに一体に設けている場合に必要であったピットがいらないことから、装置が簡単な構造でかつ安価なものになる。また、乗入・乗出階には出入り口1つだけでよいことから、リフト昇降口を並設する場合に比べて乗入・乗出階のスペースが半減し、乗入・乗出階のレイアウトの自由度が高くなって立地条件の制約に十分に対応可能になる。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、パレット格納装置は、空パレットの両サイドに対応して2基配置され、上記各パレット格納装置は、空パレットを下方から保持する一対のパレット保持レバーと、上記一対のパレット保持レバーを空パレットを保持する突出位置と空パレットと干渉しない待避位置との間で移動させるレバー移動手段と、上記一対のパレット保持レバーを昇降させるレバー昇降手段とを備え、空パレットをパレット格納スペースから昇降移送手段に引き込む際、上記一対のパレット保持レバーを上記レバー移動手段の作動により突出させて下から2番目の空パレットを下方から保持し、この状態から上記一対のパレット保持レバーを上記レバー昇降手段の作動により上昇させて当該下から2番目の空パレットを最下段の空パレットから切り離すよう持ち上げる一方、空パレットを昇降移送手段からパレット格納スペースに払い出す際、上記一対のパレット保持レバーを上記レバー移動手段の作動により突出させて最下段の空パレットを下方から保持し、この状態から上記一対のパレット保持レバーを上記レバー昇降手段の作動により上昇させて当該最下段の空パレットをその下方に1パレット分の空スペースを確保するよう持ち上げるようになっていることを特徴とする。
【0015】
上記の構成により、請求項2に記載の発明では、パレット格納装置の構造及び昇降移送手段とパレット格納装置との間での空パレットの受渡し方が具体化される。
【0016】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、各パレット格納装置は、空パレットを持ち上げる際、当該空パレットの2辺の端部を両側から挟むように位置決めした状態でガイドするガイド手段を備えていることを特徴とする。
【0017】
上記の構成により、請求項3に記載の発明では、空パレット受渡し時に持ち上げられる空パレットがガイド手段により位置決めされて安定して持ち上げられる。
【0018】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、ガイド手段は、パレット格納スペース奥部側の固定ガイドと、昇降移送路側の可動ガイドと、上記可動ガイドをパレット挟持位置と、昇降移送手段と各パレット格納装置との間で受け渡される空パレットと干渉しない待避位置との間で移動させるガイド移動手段とからなることを特徴とする。
【0019】
上記の構成により、請求項4に記載の発明では、ガイド手段の構造が具体化される。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。
【0021】
図1(a)及び(b)はこの発明の実施の形態に係る機械式駐車装置としてのエレベータスライド式駐車装置を示し、このエレベータスライド式駐車装置は、車両CをパレットPに搭載して入出庫する地下格納タイプである。
【0022】
図1(a)及び(b)において、1は地上に設けられた乗入・乗出階、2は地下に構築された躯体であって、この躯体2の内部は格納階3を構成し、上記乗入・乗出階1床面には、出庫車両Cが前進運転で退出できるように入庫車両Cの向きを180°旋回させるターンテーブル4が設置されているとともに、車両Cが入退出するための入庫口と出庫口とを兼ねた入出庫兼用の出入り口5が設けられている。
【0023】
上記乗入・乗出階1の出入り口5直下には、乗入・乗出階1と格納階3とを連絡する昇降移送路としての上下に延びるリフト昇降路6が設けられ、このリフト昇降路6には、昇降移送手段としてのリフト7が図示しない周知のチェーンスプロケット駆動機構により昇降可能に配置され、このリフト7により上記出入り口5と格納階3との間で車両CをパレットPごと移送して入出庫するようになっている。上記格納階3のほぼ中央には台車走行路8が上下2段に設けられている。
【0024】
上記台車走行路8の両側には、車両CをパレットPごと格納する複数の格納棚9が台車走行路8に沿って全長に亘って列設されている。この格納棚9は上下3段に設けられ、上記リフト7が出入り口5と下段の格納棚レベルとの間を昇降するようになっている。
【0025】
上記2段の台車走行路8には、2条の走行レール10が下段及び中段の格納棚レベルに対応するようにそれぞれ敷設され、これら2条の走行レール10には、車両Cを搭載して搬送する搬送台車11,12が配置され、下段の搬送台車11は下段の格納棚9との間で搬送台車11に搭載した図示しない旋回アーム式等の公知の移載装置により車両CをパレットPごと移載するようになっている。中段の搬送台車12は昇降フレーム13を備えていて、中段及び上段の格納棚9との間で搬送台車12に搭載した図示しない旋回アーム式等の公知の移載装置により車両CをパレットPごと移載するようになっている。上記リフト昇降路6の前方には格納棚9はなく、上下3段の受渡しスペース14が上下3段の格納棚レベルにそれぞれ対応して設けられ、これら上下3段の受渡しスペース14とリフト7との間でリフト7に搭載した図示しない旋回アーム式等の公知の移載装置により車両CをパレットPごと移載するようになっている。
【0026】
この発明の特徴として、上記地下の格納階3において、上記リフト7から格納階3へのパレット払出し方向と反対側のリフト昇降路6上端側方には、パレット格納スペース15が設けられ、このパレット格納スペース15には、複数枚の空パレットPを上下に積み重ねて格納するパレット格納装置16が空パレットPの両サイドである2つの短辺側に対応して2基対向して設置され(図2〜4に一方のパレット格納装置16のみを現す)、入出庫時、上記地下の格納階3でのみ、上記リフト7とこれらパレット格納装置16との間で必要に応じて空パレットPを受け渡すようになっている。なお、図1(b)では、パレット格納スペース15には空パレットPを現しているが、各格納棚9には格納棚9とパレットPとが上下に重なるためパレットPを省略している。また、本例では、空パレットPの格納枚数を便宜上2枚としているが、これに限らないことは言うまでもなく、駐車装置の規模等によりその枚数は任意に設定される。
【0027】
図2〜4に示すように、上記各パレット格納装置16は、フレームの枠組体からなる昇降枠組体17aと、この昇降枠組体17aを取り囲むように配置されたフレームの枠組体からなる固定枠組体17bとを備えている。上記昇降枠組体17aの下枠中央には、レバー移動手段としての第1駆動モータ18が設置され、この第1駆動モータ18の出力軸18aにはクランクアーム19の中央が連結され、このクランクアーム19の両端には連結棒20の一端がそれぞれ連結されている。また、この両連結棒20の各々の他端には、空パレットPを下方から保持する一対のパレット保持レバー21が水平面内で回動可能に連結されている。そして、上記第1駆動モータ18の作動により、上記一対のパレット保持レバー21を空パレットPを保持する突出位置(図2実線の状態及び図5(b)参照)と空パレットPと干渉しない待避位置(図2仮想線の状態及び図5(a)参照)との間で回動させるようになっている。
【0028】
一方、上記固定枠組体17bの上枠一端側には、レバー昇降手段としての第2駆動モータ22が設置され、この第2駆動モータ22の出力軸22aには駆動スプロケット23が連結され、この駆動スプロケット23はその前方で水平に延びるシャフト24一端側の従動スプロケット25にエンドレスチェーン26により駆動連結されている。また、上記シャフト24の両端にもスプロケット27がそれぞれ取り付けられ、このスプロケット27、固定枠組体17b側の2つのスプロケット28a,28b及び昇降枠組体17a側のスプロケット29には昇降チェーン30が掛け渡され、その両端は昇降枠組体17aに固定され、上記第2駆動モータ22の作動により、昇降枠組体17aつまり一対のパレット保持レバー21を昇降させるようになっている。この際、昇降枠組体17aを安定して昇降させるために、その両側には上下方向に延びるガイドレール31が立設され、ガイドレール31のガイドバー31aを上記昇降枠組体17aの4つのガイドローラ32で挟みながら昇降案内するようになっている。
【0029】
そして、空パレットPをパレット格納スペース15からリフト7に引き込む際、上記一対のパレット保持レバー21を上記第1駆動モータ18の作動により突出させて下から2番目の空パレットPを下方から保持し(図5(b)参照)、この状態から上記一対のパレット保持レバー21を上記第2駆動モータ22の作動により上昇させて当該下から2番目の空パレットPを最下段の空パレットPから切り離すよう持ち上げるようになっている(図6(b)参照)。一方、空パレットPをリフト7からパレット格納スペース15に払い出す際、上記一対のパレット保持レバー21を上記第1駆動モータ18の作動により突出させて最下段の空パレットPを下方から保持し(図5(b)参照)、この状態から上記一対のパレット保持レバー21を上記第2駆動モータ22の作動により上昇させて当該最下段の空パレットPをその下方に1パレット分の空スペースを確保するよう持ち上げるようになっている(図7(b)参照)。なお、空パレットPをパレット格納スペース15とリフト7との間で受け渡さないときには、図5(a)に示すように、上記一対のパレット保持レバー21を上記第1駆動モータ18の作動により待避させて空パレットPを上下に積み重ねるようになっている。
【0030】
さらに、上記各パレット格納装置16は、空パレットPを持ち上げる際、当該空パレットPの2辺の長手方向端部を両側から挟むように位置決めした状態でガイドするガイド手段としてのガイド装置33を備えている。このガイド装置33は、パレット格納スペース15奥部側の固定ガイド34と、リフト昇降路6側の可動ガイド35と、この可動ガイド35を水平面内で回動させるガイド移動手段としての第3駆動モータ36とで構成されている。上記第3駆動モータ36の出力軸36aにピン37aを有するバー37が連結され、一方、上記可動ガイド35の基端には長孔38aを有するリンク38が連結され、このリンク38の長孔38aに上記バー37のピン37aが移動可能に係合している。そして、上記第3駆動モータ36の作動により、上記可動ガイド35をパレット挟持位置と、リフト7と各パレット格納装置16との間で受け渡される空パレットPに干渉しない待避位置との間で移動させるようになっている。
【0031】
なお、上記パレット格納スペース15には、複数のガイドローラ39が空パレットPの2つの短辺側に対応して2列に設けられ、2枚の空パレットPを上下に積み重ねて上記各ガイドローラ39で支持するとともに、リフト7とパレット格納装置16との間で空パレットPを受け渡す際にスムーズに案内するようになっている。
【0032】
上述の如く構成されたエレベータスライド式駐車装置において入出庫は以下のようにして行われる。
【0033】
<入庫手順>
入庫車両Cが出入り口5で待機中のリフト7上の空パレットPに乗り入れると、リフト7が格納階3の所定の受渡しスペース14側方に下降し、車両CをパレットPごと当該受渡しスペース14に払い出す。搬送台車11(又は12)が上記車両CをパレットPごと受渡しスペース14から引き込み、所定の格納棚9側方まで走行して車両CをパレットPごと当該格納棚9に払い出して格納する。
【0034】
これに続いて出庫がある場合には、搬送台車11(又は12)が出庫車両Cを所定の格納棚9から引き込んで所定の受渡しスペース14に払い出し、リフト7がこの出庫車両CをパレットPごと当該受渡しスペース14から引き込み、リフト昇降路6を出入り口5まで上昇して出庫車両Cを出入り口5に移送し、運転者が出庫車両Cに乗り込んで出入り口5から退出する。
【0035】
一方、上記入庫に続いてさらに入庫がある場合には、リフト7がパレット格納スペース15から空パレットPを引き込んで出入り口5に上昇待機する。その要領を図6に基づいて説明する。
【0036】
(1) 前提として、図6(a)に示すように、パレット格納スペース15には2枚の空パレットPがガイドローラ39上に上下に積み重ねられて格納されているものとする。この状態では、図5(a)に示すように、両パレット格納装置16の一対のパレット保持レバー21は空パレットPと干渉しない位置に待避している。また、ガイド装置33の可動ガイドは空パレットPの上昇に備えてパレット挟持位置に移動している。
【0037】
(2) 一対のパレット保持レバー21を第1駆動モータ18の作動により突出させて下から2番目である上側の空パレットPを下方から保持し(図5(b)参照)、この状態から一対のパレット保持レバー21を第2駆動モータ22の作動によりガイド装置33で案内しながら上昇させ、図6(b)に示すように、当該上側の空パレットPを持ち上げて最下段である下側の空パレットPから切り離し、空パレットPの受渡し態勢を整える。
【0038】
(3) 図6(c)に示すように、リフト7がパレット格納スペース15側方で停止する。両パレット格納装置16では、ガイド装置33の可動ガイド35を第3駆動モータ36の作動により回動させ、パレット格納スペース15からリフト7に引き込まれる空パレットPと干渉しない待避位置に移動させる。この状態からリフト7の移載装置を作動させて空パレットPをパレット格納スペース15からリフト7に引き込む。
【0039】
(4) 図6(d)に示すように、空パレットPを引き込んだリフト7を出入り口5まで上昇させ、次の入庫に備える。パレット格納スペース15では、ガイド装置33の可動ガイド35を第3駆動モータ36の作動により回動させ、空パレットPの下降に備えてパレット挟持位置に移動させる。両パレット格納装置16の一対のパレット保持レバー21を第2駆動モータ22の作動によりガイド装置33で案内しながら下降させ、空パレットPをガイドローラ39に預ける。一対のパレット保持レバー21を第1駆動モータ18の作動により待避させる(図5(a)参照)。これにより、図6(e)に示すように、パレット格納スペース15には空パレットPが1枚格納された状態になる。
【0040】
<出庫手順>
搬送台車11(又は12)が所定の格納棚9から出庫車両CをパレットPごと引き込み、所定の受渡しスペース14まで走行して上記出庫車両CをパレットPごと所定の受渡しスペース14に払い出す。リフト7が当該所定の受渡しスペース14から出庫車両CをパレットPごと引き込んで出入り口5に上昇すると、運転者が出庫車両Cに乗り込んで出入り口5から退出する。
【0041】
これに続いて入庫がある場合には、出庫車両Cが退出して空になったパレットPをそのまま出入り口5で待機させる。
【0042】
一方、上記出庫に続いてさらに出庫がある場合には、リフト7が上記出庫車両Cが退出して空になったパレットPを出入り口5からパレット格納スペース15に格納して出入り口5を開け、その後、リフト7が出庫車両CをパレットPごと出入り口5に移送し、運転者が乗り込んで出入り口5から退出する。その要領を図7に基づいて説明する。
【0043】
(1) 前提として、図7(a)に示すように、パレット格納スペース15には1枚の空パレットPがガイドローラ39上に乗って格納されているものとする。この状態では、図5(a)に示すように、両パレット格納装置16の一対のパレット保持レバー21は空パレットPと干渉しない位置に待避している。また、ガイド装置33の可動ガイド35は空パレットPの上昇に備えてパレット挟持位置に移動している。
【0044】
(2) 一対のパレット保持レバー21を第1駆動モータ18の作動により突出させて1枚の空パレットPを下方から保持し(図5(b)参照)、この状態から一対のパレット保持レバー21を第2駆動モータ22の作動によりガイド装置33で案内しながら上昇させ、図7(b)に示すように、当該1枚の空パレットPをガイドローラ39から持ち上げて1パレット分の空スペースを確保し、空パレットPの受渡し態勢を整える。
【0045】
(3) 図7(c)に示すように、リフト7が出入り口5から下降してパレット格納スペース15側方で停止する。両パレット格納装置16では、ガイド装置33の可動ガイド35を第3駆動モータ36の作動により回動させ、リフト7からパレット格納スペース15に払い出される空パレットPと干渉しない待避位置に移動させる。この状態からリフト7の移載装置を作動させて空パレットPをリフト7からパレット格納スペース15に払い出す。
【0046】
(4) 図7(d)に示すように、空パレットPを払い出したリフト7はその後の出庫車両Cの受取りに備える。パレット格納スペース15では、ガイド装置33の可動ガイド35を第3駆動モータ36の作動により回動させ、上記持ち上げた空パレットPの下降に備えてパレット挟持位置に移動させる。両パレット格納装置16の一対のパレット保持レバー21を第2駆動モータ22の作動によりガイド装置33で案内しながら下降させ、上記持ち上げた空パレットPを下方の空パレットPに積み重ねる。一対のパレット保持レバー21を第1駆動モータ18の作動により待避させる(図5(a)参照)。これにより、図7(e)に示すように、パレット格納スペース15には空パレットPがガイドローラ39上に2枚上下に積み重ねられて格納された状態になる。
【0047】
したがって、入庫や出庫が連続する場合であっても、空パレットPをリフト7とパレット格納スペース15との間でやり取りするだけでよいことから、空パレットPを一々格納階3から呼び出したり、空パレットPを一々格納階3に搬入する手間を省くことができ、その分だけ無駄な時間をなくして入出庫を効率良く行うことができる。
【0048】
さらに、パレット格納スペース15では、空パレットPだけを上下に積み重ねて格納しているだけであり、パレット格納装置16は格納される空パレットPのトータル重量に耐えるだけの構造でよく、構造の簡単な装置で十分に賄うことができ、廉価な装置とすることができる。
【0049】
また、パレット格納スペースをリフトに一体に設けている場合に必要であったピット設備を設けなくてよいので、その分だけ経費を節約することができる。
【0050】
加えて、乗入・乗出階1には出入り口5を1つだけ設ければよいので、リフト昇降口を並設する場合に比べて乗入・乗出階1のスペースを半減することができ、乗入・乗出階1のレイアウトの自由度を高くして立地条件の制約に十分に対応することができる。
【0051】
さらにまた、パレット格納スペース15とリフト7との間で空パレットPを受け渡す際に、持ち上げた空パレットPの昇降動作をガイド装置33で案内するようにしているので、空パレットPを横ぶれすることなく安定して昇降させることができる。
【0052】
なお、この実施の形態では、機械式駐車装置がエレベータスライド式駐車装置である場合を例示したが、平面往復式駐車装置やエレベータ式駐車装置等の他の機械式駐車装置にも適用することができるものである。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、地上に設けられた乗入・乗出階と地下に設けられた格納階とを連絡する昇降移送路を上記乗入・乗出階の出入り口直下に設け、複数枚の空パレットを上下に積み重ねて格納するパレット格納装置を、上記地下の格納階において、昇降移送手段から格納階へのパレット払出し方向と反対側の上記昇降移送路上端側方のパレット格納スペースに設置し、入出庫時、上記地下の格納階でのみ、上記昇降移送手段とパレット格納装置との間で必要に応じて空パレットを受け渡すようにしたので、空パレットを一々格納階の格納棚から呼び出したり格納棚に戻す手間をなくして入出庫効率を向上させることができる。さらに、パレット格納スペースに格納されている各パレット格納装置には空パレットの重量しか掛からず、また、余分なピット設備もいらないので、装置を構造の簡単なものにかつ安価なものにすることができる。加えて、乗入・乗出階は1つの出入り口のスペースに見合うだけのスペースで足りるので、リフト昇降口を並設する場合に比べて省スペース化を図ることができ、制約を受ける立地条件に十分に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態に係る機械式駐車装置としてのエレベータスライド式駐車装置を示し、(a)は縦断面図、(b)は格納階の平面図である。
【図2】この発明の実施の形態に係る機械式駐車装置としてのエレベータスライド式駐車装置が備えるパレット格納装置の平面図である。
【図3】図2においてパレットを除いた状態のA矢視図である。
【図4】図2のIV−IV線における断面図である。
【図5】この発明の実施の形態に係る機械式駐車装置としてのエレベータスライド式駐車装置が備えるパレット格納装置のパレット保持レバーの作動状態を示し、(a)はパレット保持レバーが待避している状態、(b)はパレット保持レバーでパレットを保持している状態である。
【図6】(a)〜(e)はこの発明の実施の形態に係る機械式駐車装置としてのエレベータスライド式駐車装置が備えるパレット格納装置によるパレット引き出し手順を示す工程図である。
【図7】(a)〜(e)はこの発明の実施の形態に係る機械式駐車装置としてのエレベータスライド式駐車装置が備えるパレット格納装置によるパレット払い出し手順を示す工程図である。
【符号の説明】
1 乗入・乗出階
3 格納階
5 出入り口
6 リフト昇降路(昇降移送路)
7 リフト(昇降移送手段)
15 パレット格納スペース
16 パレット格納装置
18 第1駆動モータ(レバー移動手段)
21 パレット保持レバー
22 第2駆動モータ(レバー昇降手段)
33 ガイド装置(ガイド手段)
34 固定ガイド
35 可動ガイド
36 第3駆動モータ(ガイド移動手段)
C 車両
P パレット

Claims (4)

  1. 地上に設けられた乗入・乗出階と地下に設けられた格納階とを連絡する昇降移送路が上記乗入・乗出階の出入り口直下に設けられ、上記昇降移送路を昇降する昇降移送手段により上記出入り口と格納階との間で車両をパレットごと移送して入出庫する地下格納タイプの機械式駐車装置であって、
    上記地下の格納階において、上記昇降移送手段から格納階へのパレット払出し方向と反対側の昇降移送路上端側方には、パレット格納スペースが設けられ、
    上記パレット格納スペースには、複数枚の空パレットを上下に積み重ねて格納するパレット格納装置が設置され、
    入出庫時、上記地下の格納階でのみ、上記昇降移送手段とパレット格納装置との間で必要に応じて空パレットを受け渡すようになっていることを特徴とする機械式駐車装置。
  2. 請求項1記載の機械式駐車装置において、
    パレット格納装置は、空パレットの両サイドに対応して2基配置され、
    上記各パレット格納装置は、空パレットを下方から保持する一対のパレット保持レバーと、
    上記一対のパレット保持レバーを空パレットを保持する突出位置と空パレットと干渉しない待避位置との間で移動させるレバー移動手段と、
    上記一対のパレット保持レバーを昇降させるレバー昇降手段とを備え、
    空パレットをパレット格納スペースから昇降移送手段に引き込む際、上記一対のパレット保持レバーを上記レバー移動手段の作動により突出させて下から2番目の空パレットを下方から保持し、この状態から上記一対のパレット保持レバーを上記レバー昇降手段の作動により上昇させて当該下から2番目の空パレットを最下段の空パレットから切り離すよう持ち上げる一方、
    空パレットを昇降移送手段からパレット格納スペースに払い出す際、上記一対のパレット保持レバーを上記レバー移動手段の作動により突出させて最下段の空パレットを下方から保持し、この状態から上記一対のパレット保持レバーを上記レバー昇降手段の作動により上昇させて当該最下段の空パレットをその下方に1パレット分の空スペースを確保するよう持ち上げるようになっていることを特徴とする機械式駐車装置。
  3. 請求項2記載の機械式駐車装置において、
    各パレット格納装置は、空パレットを持ち上げる際、当該空パレットの2辺の端部を両側から挟むように位置決めした状態でガイドするガイド手段を備えていることを特徴とする機械式駐車装置。
  4. 請求項3記載の機械式駐車装置において、
    ガイド手段は、パレット格納スペース奥部側の固定ガイドと、
    昇降移送路側の可動ガイドと、
    上記可動ガイドをパレット挟持位置と、昇降移送手段と各パレット格納装置との間で受け渡される空パレットと干渉しない待避位置との間で移動させるガイド移動手段とからなることを特徴とする機械式駐車装置。
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