JP4362983B2 - 絶縁物の表面分析方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、絶縁物の表面分析方法に関し、具体的には、オージェ電子分光分析法(AES)やX線マイクロプローブ分析法(EPMA)等の電子線を用いた絶縁物の表面分析方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
材料の表面組成を分析する表面分析方法としては、電子線を用いた、オージェ電子分光分析法(AES)やX線マイクロプローブ分析法(EPMA)等が利用されている。上記分析方法は、分析するものがセラミックや高分子の絶縁材料からなる絶縁物の場合、絶縁物が帯電し易く、この帯電により、測定のスペクトル形状が歪んだり、ピークがシフトする恐れがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この帯電を除去する方法としては、測定する被測定物を大きく傾けて電子線を被測定物の表面すれすれに入射させて電荷を逃がす方法があるが、分析する分析領域の形状が円形でなくだ円形になり易く、特に微小の領域を分析するのに適さない。また、帯電を抑止する方法としては、電子線の加速電圧や電流量を小さくする方法があるが、この場合、検出される信号電子の強度が小さくなってしまう恐れがある。
【0004】
また、他の帯電を除去する方法としては、帯電を逃げやすくするため、別の蒸着装置で金属蒸着膜を付ける前処理をした後に、表面分析装置に被測定物を設置する方法(例えば、特開昭55―164345号公報等)もあるが、蒸着膜の元素が検出されるため、未知の材料を分析する場合に被測定物から検出された元素であるかどうか判断がつき難くなる恐れがある。またこの方法は、蒸着後に大気中にさらすため、蒸着膜が酸化して帯電除去の効率が低下する恐れがある。
【0005】
本出願人は、帯電を逃げやすくするため、被測定物の表面の分析する周辺のみ金属蒸着膜を形成する方法(特開平9―222402号公報)を提案した。この方法は、分析する個所をマスクで覆うために、複雑な機構の装置を必要とすると共に、多くの個所を分析しようとすると蒸着面積を広げ難いため、帯電除去の効果が低下して、分析の精度が低下する恐れがある。
【0006】
また、他の帯電を除去する方法としては、γ線を被測定物の表面に照射して二次電子を被測定物の表面から放出して正電荷を残した状態で、電子線を照射する方法等(例えば、特許第2794901号公報等)があるが、γ線発生装置を必要とするために、分析装置が複雑で大型のものとなる。また、他の方法としては、被測定物にバイアス電位をかけて、被測定物の表面に蓄積した電位と等電位にする方法(例えば、特開平5−209848号公報等)もあるが、測定電位が印加電位分だけシフトしてしまうため、分析の精度が低下する恐れがある。
【0007】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、絶縁物の帯電を抑えて、より精度の高い絶縁物の表面分析方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の絶縁物の表面分析方法は、絶縁物を表面分析装置内の試料台に設置し、電子線を照射して絶縁物の元素分析を行う絶縁物の表面分析方法において、上記表面分析装置は電子線を発生する電子銃と、陽イオンビームを照射するイオン銃を同一の分析室内に備え、上記絶縁物の表面に、この表面に存在する原子がエッチングされない程度の微量の正電荷の陽イオンビームを100〜500Vの低加速電圧で上記イオン銃から照射して上記絶縁物の表面を正電荷に帯電させておいた後に、上記電子銃から電子線を照射して電荷を相殺しながら元素分析を行い、分析箇所が複数の場合、上記陽イオンビームの照射をその都度行うことを特徴とする。上記によって、電子線を照射する前に、絶縁物の表面に微量の正電荷の陽イオンビームを照射することによって、電子線を照射した際に電荷を相殺することができるので、より精度の高い分析を実現できるものである。
【0009】
なお、本発明の表面に存在する原子がエッチングされない程度とは、通常原子レベルの厚さが0.1〜1nm程度であるので、この厚さ以内のエッチングを示し、例えば、エッチングされても0.02〜0.05nm程度の状態をいう。
【0010】
請求項2記載の絶縁物の表面分析方法は、請求項1記載の絶縁物の表面分析方法において、上記陽イオンビームが、ヘリウムイオンビームであることを特徴とする。上記によって、ヘリウムは、希ガスの中で最も原子量が小さい元素であるので、発生するヘリウムイオンビームは、被測定物の表面をエッチングする程度が軽度にでき、微量の正電荷の陽イオンビームとして適するものである。
【0011】
請求項3記載の絶縁物の表面分析方法は、請求項1記載の絶縁物の表面分析方法において、上記陽イオンビームが、アルゴンイオンビームであることを特徴とする。上記によって、深さ方向で元素分析する場合に用いるアルゴンガスと、照射条件を変更して併用することができるものである。
【0012】
請求項4記載の絶縁物の表面分析方法は、請求項1乃至請求項3いずれか記載の絶縁物の表面分析方法において、上記微量の第1の陽イオンビームを照射して絶縁物の最表面の元素分析を行った後に、第2の陽イオンビームを照射して深さ方向での絶縁物の元素分析を行うことを特徴とする。上記によって、絶縁物の最表面の元素分析と、深さ方向での絶縁物の元素分析を行うことができるものである。
【0013】
請求項5記載の絶縁物の表面分析方法は、請求項4記載の絶縁物の表面分析方法において、上記第1の陽イオンビームがヘリウムイオンビームであり、上記第2の陽イオンビームがアルゴンイオンビーム又はキセノンイオンビームであることを特徴とする。上記によって、第1の陽イオンビームの発生を微量にする制御がし易いヘリウムイオンビームを用い、第2の陽イオンビームに所定深さのエッチングをするのに好適なアルゴンイオンビーム又はキセノンイオンビームを用いることができるので、最表面の元素分析と深さ方向の元素分析を、効率良く行うことができるものである。
【0014】
請求項6記載の絶縁物の表面分析方法は、請求項4又は請求項5記載の絶縁物の表面分析方法において、上記陽イオンビームを照射するイオン銃装置として、イオン銃と、第1の陽イオンビームを発生させるガスをイオン銃に供給する第1のガス供給器と、第2の陽イオンビームを発生させるガスをイオン銃に供給する第2のガス供給器と、この第1のガス供給器から供給されるガスと第2のガス供給器から供給されるガスのガス供給路を切替える切替え手段を具備するものを用いることを特徴とする。上記によって、ガス供給路を切替えることによって、最表面の元素分析と深さ方向の元素分析を行う際に、作業が容易である。
【0015】
請求項7記載の絶縁物の表面分析方法は、請求項6記載の絶縁物の表面分析方法において、上記ガス供給路内に残存するガスを除去するためのポンプを備えることを特徴とする。上記によって、イオン銃に供給するガスの供給路を切替える際に、イオン銃と電磁バルブ間に残存するガスを除去し、第1のガス供給器から供給されるガスと第2のガス供給器から供給されるガスが混合することを防止することができるものである。その結果、陽イオンビームの照射電流量を制御し易くして、より精度の高い分析を実現できるものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明を図面に基づいて説明する。図1〜2は、本発明の請求項1、2、3、4に対応する実施の形態の一例を示し、図1は表面分析装置の概略図であり、図2はイオン銃装置の概略図である。
【0017】
本発明はセラミックや高分子の絶縁材料からなる絶縁物の表面を、電子分光法で分析するものである。本発明を実施するのに使用する表面分析装置は、絶縁物である被測定物6が設置される試料台7と、電子線3を発生する電子銃2と、被測定物6の表面から生じる検出線10を検出する検出器11と、陽イオンビーム5を照射するイオン銃4を分析室1内に備える。上記試料台7は照射面に、ステンレス製の試料ホルダー8を有し、この試料ホルダー8に被測定物6を静置して分析が行われる。表面分析の際は、電子銃2発生した電子線3を、上記被測定物6の分析箇所9に照射し、この分析箇所9から生じる信号電子や特性X線の検出線10を検出器11で検出し、そのスペクトルを測定する。上記表面分析装置は、分析室1に連接して真空ポンプ18が設けられており、この真空ポンプ18を稼働させて、表面分析装置の内部を、オージェ電子分光分析法の場合に10-7Pa以下の超高真空状態で、X線マイクロプローブ分析法の場合に10-4Pa以下の高真空状態で測定が行われる。
【0018】
本発明の表面分析方法は、絶縁物である被測定物6に電子線3を照射したときに生じる負電荷の帯電を抑えるため、上記電子線3を照射する前に、イオン銃4から正電荷の陽イオンビーム5を照射することによって、被測定物6の表面を正電荷に帯電させておき、電子線3を照射した際に、電荷を相殺する方法である。
【0019】
上記表面分析方法は、照射する陽イオンビーム5が微量であり、被測定物6の表面に存在する原子がエッチングされない程度である。上記原子がエッチングされない程度とは、通常原子レベルの厚さが0.1〜1nm程度であるので、この厚さ以内のエッチングを示し、例えば、陽イオンビーム5で被測定物6の表面がエッチングされても0.02〜0.05nm程度である。
【0020】
上記陽イオンビーム5の照射条件は、100〜500Vの低加速電圧で電流量も小さくする。上記陽イオンビーム5の照射時間は、1〜3秒程度の短時間が好適である。
【0021】
上記表面分析方法は、微量の陽イオンビーム5を照射した後に、電子線3を照射して元素分析を行う。上記表面分析方法は、その測定時間が10分以内の短時間で済ませることが望ましい。上記測定時間が短時間であると、その間の帯電を抑えることができる。また、分析箇所9が複数の場合、陽イオンビーム5の照射は、その都度短時間だけ行えばよい。
【0022】
上記陽イオンビーム5を発生させるイオン銃4の装置は、イオン銃4にガスを供給するガス供給器13、イオン銃4でイオン化されなかったガスを排出するポンプ12を備える。上記ガス供給器13としては、ガスボンベが挙げられ、上記ポンプ12としては、真空ポンプが挙げられる。上記イオン銃4の装置は、図2に示すように、導入したガスをイオン化させるフィラメント15の近傍のイオン銃4の側面にガス供給配管21が接続されており、電子レンズ17の近傍のイオン銃4の側面に、イオン化されずにイオン銃4内に充満したガスを排出する排気配管20が接続されている。上記イオン銃4の装置は、ガス供給配管21の途中にガスの流れを開閉する電磁パルブ14が設けられており、また、排気配管20の途中にガスの流れを開閉する電磁パルブ19が設けられている。また、上記ガス供給配管21及び排気配管20は、ステンレス製が望ましい。なお、図2中の符号16は、電極を示す。
【0023】
上記陽イオンビーム5を発生させるガスとしては、ヘリウムガス、又は、アルゴンガスが挙げられる。ヘリウムは、希ガスの中で最も原子量が小さい元素であるので、ヘリウムガスを用いたヘリウムイオンビームは、被測定物6の表面をエッチングする程度が軽度であるため、陽イオンビーム5を照射するときに過度に照射することが少なくて操作が容易である。
【0024】
また、アルゴンガスを用いたアルゴンイオンビームの場合、アルゴンは上記ヘリウムと比較して原子数が大きいので、被測定物6の表面をエッチングする程度が大きくなるため、陽イオンビーム5の加速電圧や電流量を下げるなどして、過度に照射されることを抑えることが必要である。
【0025】
上記アルゴンガスは、被測定物6を深さ方向で元素分析する場合に用いることができる。そこで、上記アルゴンガスを用いる表面分析方法は、最初に加速電圧や電流量を下げるなどして、微量の第1の陽イオンビーム5としてアルゴンイオンビームを照射して、最表面の元素分析を行った後に、加速電圧や電流量を上げて、第2の陽イオンビームとしてアルゴンイオンビームを照射して所定の深さのエッチングをして、深さ方向での元素分析を行うことができる。深さ方向で元素分析をするときは、第2の陽イオンビーム5を照射した際に正電荷が蓄積されているので、帯電を除去するための陽イオンビームを照射する必要がない。
【0026】
上記アルゴンガスは、被測定物6を深さ方向で元素分析する場合に用いることができるので、照射条件を変更するだけで、上記最初の帯電除去と深さ方向のエッチングとを併用することができるものである。
【0027】
上記表面分析方法は、上述の如く、電子線3を照射する前に、微量の正電荷の陽イオンビーム5を照射することによって、電子線3を照射した際に、電荷を相殺することができるので、より精度の高い分析を実現できるものである。
【0028】
次に、本発明の他の実施の形態を説明する。図3〜4は、本発明の請求項4、5、6に対応する実施の形態の一例を示し、図3は表面分析装置の概略図であり、図4はイオン銃装置の概略図である。上記実施の形態と異なる点のみ説明する。
【0029】
上記表面分析方法に用いるイオン銃4の装置は、第1の陽イオンビーム5を発生する第1のガス供給器13aと、第2の陽イオンビームを発生する第2のガス供給器13bとを別々に備える。上記第1の陽イオンビーム5は、最初に被測定物6の帯電を抑えるために用い、また、上記第2の陽イオンビームは、深さ方向での元素分析を行うために所定の深さのエッチングをするために用いる。上記第1のガス供給器13aから供給されるガスは、ヘリウムが挙げられ、上記第2のガス供給器13bから供給されるガスとしては、アルゴンや、アルゴンより原子量の大きいキセノンが挙げられる。上記イオン銃4の装置は、ガス供給配管21を備え、このガス供給配管21は、第1のガス供給器13aと連接する第1のガス供給配管21aと、第2のガス供給器13bと連接する第2のガス供給配管21bとに分岐している。それぞれのガス供給配管21a、21bは、その途中にガスの流れを開閉する電磁パルブ14a、14bが設けられている。また、上記イオン銃4の装置は、切替え器22を備えている。上記切替え器22は、電磁パルブ14a、14bと電気回線25a、25bで接続しており、切替え器22から指示信号が送信されると、この指示信号に応じて電磁パルブ14a、14bが開閉する。上記イオン銃4の装置は、電磁パルブ14a、14bの開閉により、イオン銃4に、第1のガス供給器13a又は第2のガス供給器13bからガスが供給されたり又は停止したりする。上記イオン銃4の装置は、上記切替え器22を操作して、第1のガス供給器13aから供給されるガスと第2のガス供給器13bから供給されるガスのガス供給路を切替えることができるものである。
【0030】
上記表面分析方法は、切替え器22を操作し、第2のガス供給配管21bを閉じた状態で、最初に第1のガス供給器13aから第1のガス供給配管21aを介してヘリウムガスをイオン銃4に供給し、第1の陽イオンビーム5としてヘリウムイオンビームを照射する。これによって、被測定物6の表面を正電荷に帯電させる。その後、上記表面分析方法は、電子線3を照射して最表面の元素分析を行う。次いで、上記表面分析方法は、切替え器22を操作し、第1のガス供給配管21aを閉じ、第2のガス供給器13bから第2のガス供給配管21bを介して、アルゴンガス又はキセノンガスのいずれかをイオン銃4に供給し、第2の陽イオンビームとしてアルゴンイオンビーム又はキセノンイオンビームを照射して所定の深さのエッチングをし、電子線3を照射して、深さ方向での元素分析を行う。上記表面分析方法は、第2の陽イオンビームの照射を繰り返すことで、深さ方向での元素分析を行うものである。なお、上記表面分析方法にあっては、イオン銃4に供給するガスを切替える際に、イオン銃4に接続したポンプ12を稼動してイオン銃4に残存するヘリウムガスを排気しておくことが望ましい。
【0031】
上記表面分析方法は、陽イオンビーム5の発生を微量にする制御がし易いヘリウムガスを最初に用いてヘリウムイオンビームを照射した後に、被測定物6を所定深さのエッチングをするのに好適なアルゴンガス又はキセノンガスのいずれかをイオン銃4に供給し、アルゴンイオンビーム又はキセノンイオンビームを発生させることで、最表面の元素分析と深さ方向の元素分析を、効率良く行うことができる。
【0032】
上記表面分析方法は、イオン銃4を複数設置することなく、1つのイオン銃4を分析装置に備えておくだけで、被測定物6の最表面の元素分析と深さ方向の元素分析を両方を円滑に行うことができるものである。
【0033】
次に、本発明の他の実施の形態を説明する。図5は、本発明の請求項7に対応する実施の形態の一例を示したイオン銃装置の概略図である。上記実施の形態と異なる点のみ説明する。
【0034】
上記表面分析方法は、上述の図4に示す装置を用いた表面分析方法に追加して、イオン銃4に供給するガスの供給路を、第1のガス供給配管21aから第2のガス供給配管21bに切替える際に、イオン銃4と電磁バルブ14a間に残存するガスを除去し、第1のガス供給器から供給されるガスと第2のガス供給器から供給されるガスが混合することを防止する方法である。
【0035】
上記表面分析方法に用いるイオン銃4の装置は、イオン銃4と電磁バルブ14a、14bの間のガス供給配管21に分岐してポンプ12に接続する排気配管24が形成されている。上記排気配管24は、その途中にガスの流れを開閉する電磁パルブ23が設けられおり、排気配管24の電磁パルブ23を開いた状態でポンプ12を稼動すると、イオン銃4と電磁バルブ14a、14bの間に残存するガスが除去される。また、上記イオン銃4の装置は、切替え器22が排気配管24の電磁パルブ23と電気回線25cで接続しており、切替え器22からの指示信号に応じて電磁パルブ23を開閉することができるものである。
【0036】
上記表面分析方法は、切替え器22を操作し、第2のガス供給配管21bを閉じた状態で、最初に第1のガス供給器13aから第1のガス供給配管21aを介してヘリウムガスをイオン銃4に供給し、第1の陽イオンビーム5としてヘリウムイオンビームを照射した後に電子線3を照射して、最表面の元素分析を行う。ヘリウムイオンビームを照射した後に、切替え器22を操作し、第1のガス供給配管21aを閉じ、排気配管24を開けると共に、ポンプ12を稼動してイオン銃4と電磁バルブ14aの間に残存するヘリウムガスを除去する。次いで、上記表面分析方法は、切替え器22を操作し、電磁パルブ23を閉じ、第2のガス供給器13bから第2のガス供給配管21bを介して、アルゴンガス又はキセノンガスのいずれかをイオン銃4に供給し、第2の陽イオンビームを照射して所定の深さのエッチングをし、電子線3を照射して、深さ方向での元素分析を行う。
【0037】
なお、上記ポンプ12は、上記のようにイオン銃4からガスを排出するものと併用してもよいし、別に設置してもよい。
【0038】
上記表面分析方法は、イオン銃4に供給するガスの供給路を切替える際に、ガス供給配管21に残存するガスを除去し、第1のガス供給器13aから供給されるガスと第2のガス供給器13bから供給されるガスが混合することを防止することができるので、陽イオンビームの照射電流量を制御し易くして、より精度の高い分析を実現できるものである。
【0039】
【実施例】
本発明の具体的方法を説明する。分析装置としてオージェ電子分光分析装置(日本電子株式会社製:JAMP―7800F)を用いた。
【0040】
(実施例1)
プリント配線板の金メッキした電極の表面に付着した有機物を分析した。金メッキした電極は、幅が100μmであり、絶縁材料からなるレジストで被覆されて、帯電し易いものである。そこで、図1に示す装置を用い、微量の陽イオンビームとして、加速電圧200V、フィラメント電流量5mAの条件でアルゴンイオンビームを1秒間照射し、その後、電子線を用いて元素分析を行ったところ、分析のチャートにノズが出なく、正確な分析が行えた。解析したところ金35%、炭素54%、酸素11%が検出された。また、上記アルゴンイオンビームのエッチングの程度を測定のため、100nmのSiO2 薄膜を除去するのに要する時間を、上記条件でアルゴンイオンビームを照射して測定したところ、1秒間の照射では0.05nmと、非常にわずかしかエッチングされていないことが確認できた。
【0041】
(実施例2)
石英ガラスの表面に付着した有機物を分析した。図1に示す装置を用い、微量の陽イオンビームとして、加速電圧500V、フィラメント電流量5mAの条件でヘリウムイオンビームを2秒間照射し、その後、電子線を用いて元素分析を行ったところ、分析のチャートにノズが出なく、正確な分析が行えた。解析したところシリコン24%、炭素54%、酸素22%が検出された。また、上記ヘリウムイオンビームのエッチングの程度を測定のため、実施例1と同様にしてSiO2 薄膜に上記条件でヘリウムイオンビームを照射して測定したところ、2秒間の照射では0.02nmと、非常にわずかしかエッチングされていないことが確認できた。
【0042】
(実施例3)
石英ガラスの表面に付着した有機物及び有機物の厚みを分析した。図3に示す装置を用い、第1の陽イオンビームとしてヘリウムイオンビームを、第2の陽イオンビームとしてアルゴンイオンビームを採用した。最初に、加速電圧500V、フィラメント電流量5mAの条件でヘリウムイオンビームを2秒間照射し、その後、電子線を用いて元素分析を行ったところ、分析のチャートにノズが出なく、正確な分析が行え、元素が検出された。次いで、切替え器を操作すると共にイオン銃に接続したポンプを稼動してイオン銃に残存するヘリウムガスを排気した。その後、加速電圧2000V、フィラメント電流量20mAの条件でアルゴンイオンビームを照射し、深さ方向の分析を行った。アルゴンイオンビームの照射を繰り返すことで、有機物の厚みが7nmであることが検出された。また、実施例2と同様にヘリウムイオンビームのエッチングの程度を測定したところ、2秒間の照射では0.02nmと、非常にわずかしかエッチングされていないことが確認できた。一方、同様にSiO2 薄膜に上記条件でアルゴンイオンビームを照射して測定したところ、1秒間の照射では1nmもエッチングすることが確認できた。
【0043】
【発明の効果】
本発明の絶縁物の表面分析方法は、電子線を照射する前に、微量の正電荷の陽イオンビームを照射することによって、電子線を照射した際に、電荷を相殺することができるので、より精度の高い分析を実現できるものである。
【0044】
さらに、本発明の請求項4〜7記載の絶縁物の表面分析方法は、上記効果に加えて、絶縁物の最表面の元素分析と共に、深さ方向での絶縁物の元素分析も帯電を抑えて行うことができるため、より精度の高い分析を実現できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に対応する実施の形態の一例を示し、表面分析装置の概略図である。
【図2】同上のイオン銃装置の概略図である。
【図3】本発明に対応する他の実施の形態の一例を示し、表面分析装置の概略図である。
【図4】同上のイオン銃装置の概略図である。
【図5】本発明に対応する他の実施の形態の一例を示し、イオン銃装置の概略図である。
【符号の説明】
1 分析室
2 電子銃
3 電子線
4 イオン銃
5 陽イオンビーム
6 被測定物
11 検出器
13、13a、13b ガス供給器
14、14a、14b 電磁パルブ
21、21a、21b ガス供給配管
22 切替え器

Claims (7)

  1. 絶縁物を表面分析装置内の試料台に設置し、電子線を照射して絶縁物の元素分析を行う絶縁物の表面分析方法において、上記表面分析装置は電子線を発生する電子銃と、陽イオンビームを照射するイオン銃を同一の分析室内に備え、上記絶縁物の表面に、この表面に存在する原子がエッチングされない程度の微量の正電荷の陽イオンビームを100〜500Vの低加速電圧で上記イオン銃から照射して上記絶縁物の表面を正電荷に帯電させておいた後に、上記電子銃から電子線を照射して電荷を相殺しながら元素分析を行い、分析箇所が複数の場合、上記陽イオンビームの照射をその都度行うことを特徴とする絶縁物の表面分析方法。
  2. 上記陽イオンビームが、ヘリウムイオンビームであることを特徴とする請求項1記載の絶縁物の表面分析方法。
  3. 上記陽イオンビームが、アルゴンイオンビームであることを特徴とする請求項1記載の絶縁物の表面分析方法。
  4. 上記微量の第1の陽イオンビームを照射して絶縁物の最表面の元素分析を行った後に、第2の陽イオンビームを照射して深さ方向での絶縁物の元素分析を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項3いずれか記載の絶縁物の表面分析方法。
  5. 上記第1の陽イオンビームがヘリウムイオンビームであり、上記第2の陽イオンビームがアルゴンイオンビーム又はキセノンイオンビームであることを特徴とする請求項4記載の絶縁物の表面分析方法。
  6. 上記陽イオンビームを照射するイオン銃装置として、イオン銃と、第1の陽イオンビームを発生させるガスをイオン銃に供給する第1のガス供給器と、第2の陽イオンビームを発生させるガスをイオン銃に供給する第2のガス供給器と、この第1のガス供給器から供給されるガスと第2のガス供給器から供給されるガスのガス供給路を切替える切替え手段を具備するものを用いることを特徴とする請求項4又は請求項5記載の絶縁物の表面分析方法。
  7. 上記ガス供給路内に残存するガスを除去するためのポンプを備えることを特徴とする請求項6記載の絶縁物の表面分析方法。
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