JP2000241371A - X線光電子分光装置およびx線光電子分光法 - Google Patents

X線光電子分光装置およびx線光電子分光法

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JP2000241371A
JP2000241371A JP11043961A JP4396199A JP2000241371A JP 2000241371 A JP2000241371 A JP 2000241371A JP 11043961 A JP11043961 A JP 11043961A JP 4396199 A JP4396199 A JP 4396199A JP 2000241371 A JP2000241371 A JP 2000241371A
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ray
sample
irradiation
electron beam
photoelectron spectroscopy
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JP11043961A
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Shinji Fujii
眞治 藤井
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Original Assignee
Matsushita Electronics Corp
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 帯電現象が生じて分析が困難な絶縁物試料に
対して、帯電中和を十分に行うことができ、これによ
り、帯電現象に基づく誤差が低減された有効なXPSス
ペクトルを取得することができるX線光電子分光法およ
びX線光電子分光装置を提供する。 【解決手段】 X線光電子分光装置が、X線を発生する
X線発生部と、該X線発生部で発生されたX線を試料に
照射したときに該試料から放射される光電子を受ける検
出部と、該X線の照射によって該試料の表面に生じる電
荷を中和させるように該試料のすくなくとも一部にエネ
ルギーを放射するエネルギー放射部と、を備え、該X線
発生部は、X線励起用電子線を放射するフィラメント
と、該フィラメントに接続された電源と、を含み、該電
源は、該X線が該試料に間欠的に照射されるように、該
フィラメントに間欠的に電力を供給する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、真空中で測定を行
う表面分析技術に関する。より詳細には、本発明は、元
素の識別についてあるいは元素の化学状態についての情
報を得るための表面分析技術に関し、特に、X線光電子
分光法およびX線光電子分光装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体デバイスの高密度化および
微細化が進むにつれて、表面分析技術の果たす役割が増
大してきている。この分野で用いられている表面分析技
術としては、例えば、X-ray Photoelectron Spectrosco
py(XPS:X線光電子分光法)、Ultra Violet Photo
electron Spectroscopy(UPS:真空紫外光電子分光
法)、Auger Electron Spectroscopy(AES:オージ
ェ電子分光法)等が挙げられる。これらの表面分析技術
のうち、特に、X線を試料に照射するXPS、およびX
PSを適用したX線光電子分光装置について、以下に説
明する。
【0003】XPSは、超高真空中に置かれた試料に軟
X線を照射した時に、試料から放射される光電子の運動
エネルギーを分光し、分光された運動エネルギーのピー
クエネルギーに基づいて、試料表面を構成する原子また
は分子の電子軌道の種類を決定する分析技術である。さ
らに、XPSによれば、このピークエネルギーの基準ピ
ークエネルギーに対するシフト量に基づいて、構成元素
のイオン化の価数および化学結合状態についての情報を
得ることができる。XPSに用いられる軟X線として
は、Al−Kα(1486.6eV)またはMg−Kα
(1253.6eV)などが挙げられる。
【0004】一般に、絶縁物試料をXPS測定する場
合、試料のX線が照射された領域が正に帯電する。これ
は、X線を照射することによって光電子が脱出し、この
光電子が脱出したX線照射領域へは電荷の流入が起こり
にくくなることに起因する。光電子の運動エネルギー
は、上記のようにX線照射領域が正に帯電している場
合、X線照射領域の正の帯電によって負の帯電粒子であ
る光電子の脱出が妨げられるために、X線照射領域が帯
電していない場合に比べて小さくなる。XPSによれ
ば、運動エネルギーに基づいて結合エネルギーが求めら
れ、結合エネルギーの理論値からのシフト量に基づいて
化学結合状態を解析する。X線照射領域が正に帯電して
いる場合には、X線照射領域が帯電していない場合に比
べて、運動エネルギーが小さくなるので、より大きい結
合エネルギー(見かけの結合エネルギー)が求められ
て、これにより、結合エネルギーのシフト量に誤差が生
じる。上記のように、試料表面が正に帯電することは、
化学結合状態の解析に用いられる情報(結合エネルギー
のシフト量)に誤差を付与する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】XPS解析をより正確
にするためには、X線照射領域が正に帯電する現象が起
こらないようにする必要がある。従来技術においては、
上記のような帯電を中和させるために、タングステンフ
ィラメントを用いた電子銃を被測定試料の近傍に配し、
この電子銃を用いて試料表面に電子線をX線照射と同時
に照射できる装置および方法が用いられている。
【0006】このような方法を用いてXPS測定時の帯
電を中和させる、従来の装置について、図12を参照し
て以下に説明する。図12は、従来のX線光電子分光装
置の要部構成を説明する概略図である。
【0007】図12を参照して、従来のX線光電子分光
装置600は、X線発生部70と、検出部80と、中和
用電子線発生部90とを含む。これらのX線発生部70
と、中和用電子線発生部90と、検出部80とは、X線
発生部70および中和用電子線発生部90が所定の位置
に配置された被測定試料61に、単色化されたAl−K
α線71および中和用電子線91をそれぞれ同時に照射
し、検出部80がこれにより放出される光電子81を検
出し得るように構成されている。X線発生部70は、X
線励起用電子線74を放射するX線励起用電子線発生フ
ィラメント72と、X線励起用電子線発生フィラメント
72に接続された直流電源73と、X線励起用電子線7
4により照射されるAlターゲット75と、Alターゲ
ット75から放射されるAl−Kα線76を単色化する
モノクロメーター77とを含む。検出部80は、光電子
81を受けるインプットレンズ82と、光電子検出器8
4と、これらを接続する同心半球型アナライザー83と
を含む。中和用電子線発生部90は、中和用電子線発生
フィラメント92と、中和用電子線発生フィラメント9
2に接続された直流電源93と、中和用電子線発生フィ
ラメント92から放射される電子線を加速するための引
き出し電極94と、引き出し電極94に接続された直流
電源95とを含む。ここで、試料61の表面において、
単色化されたAl−Kα線71の照射領域は約200μ
mの直径を有し、中和用電子線91の照射領域は約5m
mの直径を有する。
【0008】次に、従来のX線光電子分光装置600を
用いたXPS測定方法について以下に説明する。X線励
起用電子線発生フィラメント72より放射されたX線励
起用電子線74は、Alターゲット75に達する。これ
により、特性X線(Al−Kα線)76がAlターゲッ
ト75から放射され、次いで、モノクロメーター77に
よって単色化される。単色化されたAl−Kα線71
は、試料61に照射される。光電効果によって、試料6
1の表面から光電子81が放射される。光電子81は、
インプットレンズ82へ導かれ、同心半球型アナライザ
ー83によってエネルギー分光される。これにより、特
定のエネルギーの光電子強度が光電子検出器84によっ
て測定される。その後、測定されたデータは、ADコン
バーター、コンピューター、およびデータ出力装置によ
って処理される。
【0009】一方、帯電防止のための電子線放射が、上
記のX線(すなわち、単色化されたAl−Kα線71)
の放射と同時に以下のように行われる。中和用電子線9
1は、中和用電子線発生フィラメント92(タングステ
ンフィラメント、標準電流約200mAの条件下)より
放射され、引き出し電極94によって加速エネルギー
(約500eV)まで加速される。このときの電子線の
加速は、直流電源95(直流電圧約500V)によって
行われる。引き出し電極94を通して引き出された電子
線91は、試料61の表面にX線71の照射と同時に照
射される。試料61の表面における電子線91が照射さ
れた領域(以下、「電子線照射領域」とする)は、X線
71が照射された領域(以下、「X線照射領域」とす
る)より広く、かつX線照射領域を含む。
【0010】次に、XPS測定時の試料表面における電
荷分布について、図13(a)〜(d)を参照して以下
に説明する。図13(a)〜(d)において、縦軸は帯
電量であり、正の帯電をプラス側に、負の帯電をマイナ
ス側に示している。図13(a)は、X線照射領域が正
に帯電することを示す模式図である。図13(b)は、
電子線照射領域が負に帯電していることを示す模式図で
ある。図13(c)は、電子線照射が適切であり、X線
照射領域に電荷が存在していないことを示す模式図であ
る。図13(d)は、電子線照射が不十分であり、X線
照射領域に正の電荷が残留していることを示す模式図で
ある。
【0011】X線のみが照射され、電子線が照射されな
い場合には、図13(a)に示すように、試料表面のX
線照射領域(直径約200μm)は正に帯電する。この
とき、上述のように、負の電荷を有する光電子は、試料
表面から脱出することが困難になる。この帯電現象によ
る影響を低減するために、従来のX線光電子分光装置に
よれば、X線照射領域より広くかつこれを含む領域に電
子線を照射している。このとき、図13(b)に示すよ
うに、電子線照射領域(直径約5mm)が負に帯電す
る。ここで、図13(b)は、電子線のみが照射される
場合を仮想的に示している。従って、X線照射と同時に
電子線照射を行う従来のX線光電子分光装置において
は、図13(c)に示すように、試料表面において、X
線照射による正の帯電(図13(a))と、電子線照射
による負の帯電(図13(b))とが重ね合わされる。
これにより、X線照射領域においては、X線照射による
正の電荷と電子線照射による負の電荷とがキャンセルさ
れて、帯電が中和され得る。
【0012】しかしながら、上記のような従来のX線光
電子分光装置を用いる方法では、X線照射領域の正の帯
電量と電子線照射領域の負の帯電量が等しい場合にし
か、X線照射領域における帯電が完全に中和されない。
従って、電子線の照射が不十分であり、電子線照射によ
る負の帯電量がX線照射による正の帯電量よりも小さい
場合には、図13(d)に示すように、帯電の中和が不
十分となり、X線照射による正の電荷が試料表面のX線
照射領域に残留する。この残留している正の電荷は、上
述のように、光電子が試料表面から脱出することを妨げ
るので、XPS測定における結合エネルギーのシフト量
に誤差を生じさせる。
【0013】上記のように、X線照射によって生じた正
の帯電が電子線の照射によって完全に中和できない例
は、被測定試料が厚い絶縁物である場合など、X線照射
によって生じた正電荷を中和する負電荷が、試料および
試料周辺より供給されない場合にしばしば見られ得る。
【0014】例として、従来の装置および方法を用い、
被測定試料としてポリエチレンテレフタレート(PE
T)を用いた場合について、図14ならびに図15
(a)および(b)を参照して以下に説明する。図14
は、X線照射のみを行った場合のPETのXPS測定ス
ペクトルを示す。図15(a)および(b)は、X線照
射と同時に電子線照射を行った場合のPETのXPS測
定スペクトルを示す。このとき用いたPETは、約2m
mの厚さを有していた。X線光電子分光装置としては、
PHI社(米国)製Model 5400MCを使用し、X線として
は、単色化されたAl−Kαを使用した。測定条件は、
以下とした;Pass Energy:187.65eV、Step Si
ze:1.6eV、X線照射部分直径:200μm、電子
線照射部分直径:5mm、電子線加速エネルギー:50
0eV、XPSスペクトル取得時間:15分(連続的実
計測時間)。
【0015】図14は、電子銃による帯電中和を行わな
かった場合のXPS測定スペクトルを示す。本来、C1
s(炭素1s軌道)は、285eV近傍にピークが観察
されるはずである。しかし、図14を参照すると、C1
sは650eV近傍へシフトし、ピーク幅が広がってし
まっているために、明瞭なピークが観察されていないこ
とがわかる。このような現象は、測定表面において強い
正の帯電が生じることに起因する。このような帯電に起
因するシフトが生じると、C1sおよびO1sのピーク
形状に歪が生じる。これにより、ピーク形状をカーブフ
ィティングにより解析する化学状態解析が困難となる。
【0016】一方、図15(a)および(b)は、スペ
クトル測定中に、タングステンフィラメントを有する電
子銃を用いて帯電中和を行った場合のXPS測定スペク
トルを示す。図15(a)は、サーベイスペクトル(横
軸:0〜1100eVの範囲の結合エネルギー)、図1
5(b)は、C1sのスペクトルが本来存在する285
eV近傍における図15(a)の拡大図である。図15
(a)を参照すると、スペクトラムは低エネルギー側に
シフトし、明瞭なピークが見られ得るので、図14の方
法に比べて、測定方法が改善されていることがわかる。
これは、電子線照射作用により、帯電中和が行われたこ
とに起因する。しかし、より詳細に図15(b)を参照
すると、C1sのピーク位置が297eV近傍に観察さ
れ、本来のC1sのスペクトルのピーク位置である28
5eV近傍からシフトされている。従って、上記のよう
な従来の方法では、電子線照射による帯電の中和が不十
分であることがわかる。
【0017】上述してきたように、従来のX線光電子分
光法および装置を用いると、電子線照射による帯電の中
和が十分に行われない場合に、XPS測定スペクトルに
誤差を生じさせる問題を解決できない。電子線照射が不
十分である場合は、XPS分析、特に半導体技術などに
適用される微小領域を対象とするXPS分析において、
しばしば起こり得る。
【0018】XPS分析は、半導体集積回路の不良解析
および薄膜材料の分析などにも広く利用されている。近
年の微細加工技術の発展にともなって、微小領域を解析
する必要が生じている。この要請により、XPS分析に
おいても、X線被照射領域を小面積化する必要がある。
試料表面におけるX線照射領域を小面積化する手段のひ
とつとしては、X線を発生させる電子線断面を微小領域
に絞ることによって、X線の発生点の大きさを小さくし
(すなわち、点光源とし)、この点光源をモノクロメー
ターを使用して試料に投影することが挙げられる。
【0019】例えば、X線照射面積については、199
0年に発売された米国PHI社製Model 5400MCでは、X
線照射面積が200μmの直径を有していた。これに対
して、1994年に発売された同社製Quantum2000(特
開平7−325052を参照のこと)では、X線照射面
積が20μmの直径を有し、小口径化すなわち小面積化
された。
【0020】X線照射面積の小面積化は、上記のように
X線を集束することによって行われるので、照射X線密
度は大きくなる。ここで、照射X線密度がどの程度増加
したかを、上記2つの装置のカタログにもとづいて見積
もった結果を表1に示す。
【0021】
【表1】
【0022】表1より、照射X線密度(単位面積あたり
の強度)は、小面積化によって480倍に増大している
ことがわかる。このようなX線照射領域の小面積化が行
われる場合、X線照射による試料表面の正の帯電量も照
射X線密度の増加に対応して増大する。このとき、試料
近傍にタングステンフィラメントよりなる電子銃を配置
し、これを用いて電子線を試料表面に照射する従来の方
法では、X線照射により試料表面に帯電した正電荷を中
和するのに十分な電子量を供給することは事実上不可能
である。
【0023】X線照射により試料表面が正に帯電して、
測定誤差を生じさせる問題を解決するために、電子銃を
用いる上記方法の他に、次の2つの方法が提案されてい
る。第1の方法は、被分析試料に影響を与えない導電性
薄膜(導電性のCまたはAuなど)を試料表面に薄く蒸
着する方法である。第2の方法は、帯電電荷が試料台を
介して接地されるように、導電性電極を測定点近傍に設
ける方法、例えば、メッシュと呼ばれる網状治具で試料
を覆う等の方法である(参考文献:日本表面化学会編、
X線光電子分光法、p.57(1998)丸善)。しか
し、第1の方法によれば、試料表面に、CまたはAuを
蒸着することによって、試料に含有されるCまたはAu
の測定が不能になる。さらに、第1の方法によれば、試
料作製のための前処理として、導電性薄膜を蒸着する必
要があり、余分な工程および時間を要する。さらに、こ
の蒸着において、導電性を有し、かつ試料表面からの光
電子が影響を受けないような、適当な厚さの膜を蒸着し
なくてはならない。また、第2の方法によれば、被測定
領域が露出されたメッシュ間領域よりも小さい必要があ
るので、試料の被測定領域が狭くなるなどの欠点を有す
る。
【0024】また、近年、半導体集積回路製造の分野で
は、パッケージに用いられるエポキシ樹脂およびポリイ
ミド等を始め、メモリ用の容量絶縁膜として使用される
Ta 25(酸化タンタル)またはPZT(ジルコン酸チ
タン酸鉛)等、上記の電子銃を用いる従来の帯電防止方
法では帯電を十分に中和させることが困難な材料が、多
種採用され始めている。特に、小口径化したX線照射領
域を用いるXPS測定による従来の材料解析は、困難で
ある。
【0025】本発明は、上記の従来の問題を解決するた
めになされたものであり、本発明の目的は、XPS分析
時に生じる試料表面における正の帯電を効果的に中和す
る方法およびその方法を用いた装置を提供することにあ
る。
【0026】
【課題を解決するための手段】本発明のある局面におい
て、本発明のX線光電子分光装置は、X線を発生するX
線発生部と、該X線発生部で発生されたX線を試料に照
射したときに該試料から放射される光電子を受ける検出
部と、該X線の照射によって該試料の表面に生じる電荷
を中和させるように該試料のすくなくとも一部にエネル
ギーを放射するエネルギー放射部と、を備えるX線光電
子分光装置であって、該X線発生部は、X線励起用電子
線を放射するフィラメントと、該フィラメントに接続さ
れた電源と、を含み、該電源は、該X線が該試料に間欠
的に照射されるように、該フィラメントに間欠的に電力
を供給し、このことにより上記課題が解決される。
【0027】本発明の別の局面において、本発明のX線
光電子分光装置は、X線を発生するX線発生部と、該X
線発生部で発生されたX線を試料に照射したときに該試
料から放射される光電子を受ける検出部と、該X線の照
射によって該試料の表面に生じる電荷を中和させるよう
に該試料のすくなくとも一部にエネルギーを放射するエ
ネルギー放射部と、を備えるX線光電子分光装置であっ
て、該X線発生部は、X線励起用電子線を放射するフィ
ラメントと、該フィラメントの近傍に配設された制御電
極と、該制御電極に接続された電源と、を含み、該電源
は、該X線が該試料の被測定領域に間欠的に照射される
ように、該制御電極に間欠的に電力を供給し、このこと
により上記課題が解決される。
【0028】上記エネルギー放射部は、上記試料に電子
線を照射する中和用電子線発生部であり、該中和用電子
線発生部は、該試料に電子線を連続的に照射してもよ
い。
【0029】上記エネルギー放射部は、上記試料に磁界
を印加する磁界発生部であり、該磁界発生部は、該試料
に磁界を間欠的かつ該X線の照射と相補的に印加しても
よい。
【0030】上記エネルギー放射部は、上記試料に紫外
光を照射する紫外光発生部をさらに備え、該紫外光発生
部は、該試料に紫外光を間欠的かつ該X線の照射と相補
的に照射してもよい。
【0031】本発明のある局面において、本発明のX線
光電子分光法は、X線発生部で発生されたX線を試料に
照射し、該試料から放射される光電子を検出部で受け
る、X線光電子分光法であって、該X線の照射によって
該試料の表面に生じる電荷を中和させるように、該試料
のすくなくとも一部にエネルギーを放射する工程と、X
線が試料に間欠的に照射されるように、フィラメントに
接続された電源から該フィラメントに間欠的に電力を供
給する工程と、を含み、このことにより上記課題が解決
される。
【0032】上記エネルギー放射工程は、上記試料に電
子線を連続的に照射する工程を含んでいてもよい。
【0033】上記エネルギー放射工程は、上記試料に磁
界を間欠的かつ上記X線の照射と相補的に印加する工程
を含んでいてもよい。
【0034】上記エネルギー放射工程は、上記試料に紫
外光を間欠的かつ上記X線の照射と相補的に照射する工
程を含んでいてもよい。
【0035】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態として、第1
〜第3の実施形態を図面を参照しながら以下に説明す
る。
【0036】(第1の実施形態)本実施形態は、XPS
測定時に電子線を照射しながらX線を間欠的に照射する
ことによって、試料表面における帯電を中和させるX線
光電子分光法およびその方法を用いる装置に関し、図1
〜4を参照しながら以下により詳細に説明する。
【0037】図1は、本実施形態のX線光電子分光装置
の要部構成を説明する概略図である。図1を参照して、
本実施形態のX線光電子分光装置100は、X線発生部
10と、検出部20と、中和用電子線発生部(エネルギ
ー放射部)30とを含む。これらのX線発生部10と、
検出部20と、中和用電子線発生部30とは、X線発生
部10および中和用電子線発生部30が所定の位置に配
置された被測定試料1に、単色化されたAl−Kα線1
1および中和用電子線31をそれぞれ同時に照射し、検
出部20がこれにより放出される光電子21を検出し得
るように構成されている。X線発生部10は、X線励起
用電子線14を放射するX線励起用電子線発生フィラメ
ント12と、X線励起用電子線発生フィラメント12に
接続された電源(任意波形発生パルス電源)13と、X
線励起用電子線14により照射されるAlターゲット1
5と、Alターゲット15から放射されるAl−Kα線
16を単色化するモノクロメーター17とを含む。検出
部20は、光電子21を受けるインプットレンズ22
と、光電子検出器24と、これらを接続する同心半球型
アナライザー23とを含む。中和用電子線発生部30
は、中和用電子線発生フィラメント32と、中和用電子
線発生フィラメント32に接続された電源33と、中和
用電子線発生フィラメント32から放射される電子線を
加速するための引き出し電極34と、引き出し電極34
に接続された電源35とを含む。ここで、試料1の表面
において、単色化されたAl−Kα線11の照射領域は
約20μmの直径を有し、中和用電子線31の照射領域
は約5mmの直径を有する。
【0038】ここで、X線励起用電子線発生フィラメン
ト12に接続された電源13は、任意波形発生パルス電
源であり、X線励起用電子線発生フィラメント12ヘ間
欠的に電流を供給することができる。これにより、X線
励起用電子線14が間欠的にAlターゲット15に照射
され得、単色化されたAl−Kα線11が間欠的に試料
1の表面に照射され得る。
【0039】次に、本実施形態のX線光電子分光装置1
00を用いたXPS測定方法について以下に説明する。
X線励起用電子線発生フィラメント12より間欠的に放
射されたX線励起用電子線14は、Alターゲット15
に達する。これにより、特性X線(Al−Kα線)16
がAlターゲット15から放射され、次いで、モノクロ
メーター17によって単色化される。単色化されたAl
−Kα線11は、試料1に照射される。光電効果によっ
て、試料1の表面から光電子21が放射される。光電子
21は、インプットレンズ22へ導かれ、同心半球型ア
ナライザー23によってエネルギー分光される。これに
より、特定のエネルギーの光電子強度が光電子検出器2
4によって測定される。その後、測定されたデータは、
ADコンバーター、コンピューター、およびデータ出力
装置によって処理される。
【0040】一方、帯電防止のための電子線放射が、上
記のX線(すなわち、単色化されたAl−Kα線11)
の放射と同時に以下のように行われ、これは図14を用
いて説明した従来の機構と実質的に同じ機構である。中
和用電子線31は、中和用電子線発生フィラメント32
(タングステンフィラメント、標準電流約200mAの
条件下)より放射され、引き出し電極34によって加速
エネルギー(500eV)まで加速される。このときの
電子線の加速は、電源35(直流電圧500V)によっ
て行われる。引き出し電極34を通して引き出された電
子線31は、試料1の表面にX線11の照射と同時に照
射される。試料1の表面における電子線照射領域は、X
線照射領域より広く、かつX線照射領域を含む。
【0041】次に、XPS測定時の試料表面における帯
電の様子について、図2(a)〜(d)を参照して以下
に説明する。図2(a)および(c)は、X線照射領域
が正に帯電することを示す模式図である。図2(b)お
よび(d)は、X線照射を停止し、電子線照射によって
負の帯電が生じることを示す模式図である。図2におい
て、試料表面の電荷分布は、(a)〜(d)の順に経時
変化する。
【0042】まず、図2(a)に示すように、電子線を
照射しながらX線を試料表面に照射し、X線照射領域
(直径約20μm)が、X線照射によって正に帯電す
る。その後、図2(b)に示すように、X線照射を停止
し、電子線のみを照射することによって、試料表面の帯
電の中和を十分に行う。上記の図2(a)および(b)
からなる工程を1周期とし、その後、図2(c)および
(d)に示すように、上記の図2(a)および(b)の
工程を繰り返す。ここで、図2(a)〜(d)に示すX
線照射の1周期に相当する期間は、1m秒とした。この
ようにして、図2(a)および(b)の工程を必要に応
じて複数回繰り返し行い、これにより、電子線照射を連
続的に行い、かつX線照射を間欠的に(本実施形態にお
いては、周期的に)行うことができる。ここで、XPS
測定は、図2(a)および(c)に示すようにX線を照
射して、光電子を基板表面より発生させている間につい
て行う。
【0043】この場合において、図3(a)および
(b)を参照して、帯電量の時間変化を以下に説明す
る。図3(a)は、X線および電子線の照射のタイミン
グチャートであり、横軸は時間、縦軸は照射強度であ
る。ここで、理解を容易にするために、X線照射強度を
プラス側に示し、電子線照射強度をマイナス側に示して
いる。図3(a)を参照すると、電子線照射が連続的に
行われ、かつX線照射が間欠的に(本実施形態において
は、1m秒の周期で)行われることが容易に理解され得
る。
【0044】図3(b)は、X線照射および電子線照射
によって試料表面のX線照射領域に現れる帯電現象を模
式的に説明する図である。ここで、理解を容易にするた
めに、X線照射による正の帯電量をプラス側に示し、電
子線照射による負の帯電量をマイナス側に示している。
図3(b)によれば、X線照射による正の帯電量は、X
線照射の開始よりも約0.2m秒遅れて発生しはじめ、
やがて正の帯電量が緩やかに増加している。このこと
は、X線照射によって試料表面より光電子が放出されて
起こる正の帯電現象が、X線照射時間の経過につれかつ
時間遅れをともなって、電子線照射によって試料表面に
生じる負の帯電現象よりも大きな影響を与えるようにな
り、これにより、試料表面が正に帯電することに起因し
ている。その後、X線照射を停止すると、X線照射によ
る正の帯電現象が、電子線照射による負の帯電現象によ
り次第に中和されるので、X線照射による正の帯電量は
次第に減少する。これに対して、同じく図3(b)よ
り、電子線照射による試料表面の負の帯電量は、X線照
射の終了よりも約0.2m秒遅れて発生しはじめ、やが
て緩やかに帯電量が増加している。このことは、電子線
照射によって試料表面に生じる負の帯電現象が、X線照
射停止時間の経過につれかつ時間遅れをともなって、光
電子放出による正の帯電現象よりも大きな影響を与える
ようになり、試料表面が負に帯電することに起因してい
る。その後、X線照射による正の帯電現象が、電子線照
射による負の帯電現象よりも大きな影響を与えるように
なると、電子線照射による負の帯電量は次第に減少す
る。
【0045】図3(c)は、図3(b)を参照して説明
したX線照射による正の帯電量と電子線照射による負の
帯電量とを重ね合わせて示した模式図である。図3
(c)によれば、周期的(間欠的)なX線照射によって
生じる正の帯電現象と、連続的な電子線照射による負の
帯電現象が試料表面で交互に生じていることが示され
る。なお、実際には、これらが重ね合わされた波形は、
過渡的な帯電状態を示しているので、波形になまりが生
じて丸みを帯び得る。
【0046】次に、本実施形態の装置および方法を用
い、被測定試料としてポリエチレンテレフタレート(P
ET)を用いた場合について、図4(a)および(b)
を参照して以下に説明する。このとき用いたPETは、
約2mmの厚さを有していた。X線光電子分光装置とし
ては、PHI社(米国)製Quantum2000を使用し、X線
としては、単色化されたAl−Kαを使用した。測定条
件は、以下とした;PassEnergy:187.65eV、St
ep Size:1.6eV、X線照射部分直径:20μm、
電子線照射部分直径:2mm、電子線加速エネルギー:
500eV、XPSスペクトル取得時間:15分(連続
的実計測時間)。
【0047】図4(a)は、サーベイスペクトル(横
軸:0〜1100eVの範囲の結合エネルギー)、図4
(b)は、C1sのスペクトルが本来存在する285e
V近傍における図4(a)の拡大図である。図4(a)
および(b)を参照すると、C1sのピーク位置が本来
のピーク位置(285eV)とほぼ等しくなっているの
で、従来法で取得したXPSスペクトルを示す図14な
らびに図15(a)および(b)の方法に比べて、測定
方法が改善されていることがわかる。これは、間欠的な
X線照射と連続的な電子線照射との相互作用により、帯
電中和が十分に行われたことに起因する。
【0048】以上、本実施形態によれば、試料表面に電
子線を連続的に照射し、かつ、X線励起用電子線発生フ
ィラメントに接続された電源(任意波形発生パルス電
源)の出力を間欠的にオンオフすることによって、X線
を試料に間欠的に照射し、これにより、試料表面の帯電
を効果的に中和させて、X線光電子分析法および装置の
分析精度を向上させることができる。
【0049】X線(単色化されたAl−Kα線)を間欠
的に照射する方法としては、本実施形態の他に、図1を
参照して、モノクロメーター17と試料1との間に機械
的開閉装置(シャッター)を設けて、この機械的シャッ
ターの開閉を制御することも考えられ得る。しかし、X
線光電子分光装置などの超高真空条件下で試料分析を行
う装置が、機械的シャッターを備えることは好ましくな
い。なぜなら、機械的シャッターすなわち機械的可動部
分が動作すると、ガスの発生を招いて、装置中の真空度
を低下させる原因となるからである。さらに、このこと
は、機械的シャッターに単色化されたAl−Kα線11
が照射されると、不要な電磁波を発生させる原因とな
る。本実施形態によれば、このような問題を回避するこ
とができる。
【0050】また、本実施形態の改変例として、図5に
示すX線光電子分光装置110が挙げられる。図5を参
照して、X線光電子分光装置110は、図1のX線光電
子分光装置100の構成に加えて、X線励起用電子線発
生フィラメント12とAlターゲット14の間に配設さ
れた制御電極18と、制御電極18に接続された電源1
9とをさらに備えている。ここで、フィラメント12に
接続された電源13は、フィラメント12に電力を間欠
的に供給する必要はないので、任意波形発生パルス電源
に限定されない。このX線光電子分光装置110によれ
ば、本実施形態と同様に、機械的開閉装置を用いずにX
線を間欠的に試料に照射する方法および装置が提供され
る。具体的には、X線光電子分光装置110では、電源
(任意波形発生パルス電源)19の出力をオンオフさせ
て、Alターゲット15へのX線励起用電子線14の入
射位置を制御することができ、これにより、試料1の被
測定領域に間欠的にX線を照射してもよい。この改変例
によっても、本実施形態と同様の効果を奏することがで
きる。
【0051】(第2の実施形態)本実施形態は、XPS
測定時に磁界を間欠的に印加しながらX線を間欠的に照
射することによって、試料表面における帯電を中和させ
るX線光電子分光法およびその方法を用いる装置に関
し、図6〜8を参照しながら以下により詳細に説明す
る。なお、上述の実施形態と同様の構成部品について
は、同じ参照符号を付すものとし、異なる点を中心に説
明する。
【0052】図6は、本実施形態のX線光電子分光装置
の要部構成を説明する概略図である。図6を参照して、
本実施形態のX線光電子分光装置200は、X線発生部
10と、検出部20と、磁界発生部(エネルギー放射
部)40とを含む。これらのX線発生部10と、検出部
20と、磁界発生部40とは、X線発生部10が単色化
されたAl−Kα線11を試料1に照射し、磁界発生部
40が試料1の周囲に磁界を発生させ、検出部20がこ
れにより放出される光電子21を検出し得るように構成
されている。X線発生部10および検出部20は、第1
の実施形態と同様の構成を有し、ここではこれらの説明
を省略する。磁界発生部40は、電磁石41と、電磁石
41に接続された電源(任意波形発生パルス装置)42
とを含む。
【0053】ここで、電磁石41に接続された電源42
は、任意波形発生パルス装置であり、電磁石41ヘ間欠
的に電流を供給することができる。この電磁石41は、
ステンレス製(非磁性)の試料台(図示せず)の裏面に
配設されている。これにより、電磁石41は試料1の裏
面に磁界を間欠的に形成し得る。さらに、本実施形態に
おいても、第1の実施形態と同様に、X線励起用電子線
14が間欠的にAlターゲット15に照射され得、単色
化されたAl−Kα線11が間欠的に試料1の表面に照
射され得る。
【0054】次に、本実施形態のX線光電子分光装置2
00を用いたXPS測定方法について以下に説明する。
X線(Al−Kα線)11の間欠的照射機構、および光
電子21の分析機構については、第1の実施形態と同様
であり、ここではこれらの機構の説明を省略する。この
とき、帯電防止のための試料1の裏面における磁界発生
が、X線(すなわち、単色化されたAl−Kα線11)
の間欠的照射と相補的かつ間欠的に行われる。
【0055】この場合において、図7(a)および
(b)を参照して、帯電量の時間変化を以下に説明す
る。図7(a)は、X線照射および磁界印加のタイミン
グチャートであり、横軸は時間、縦軸は任意強度であ
る。ここで、理解を容易にするために、X線照射強度を
プラス側に示し、印加した磁界強度をマイナス側に示し
ている。図7(a)を参照すると、X線照射および磁界
印加が間欠的かつ相補的に(本実施形態においては、い
ずれも1m秒の周期で)行われることが容易に理解され
得る。
【0056】図7(b)は、X線照射および磁界印加に
よって試料表面のX線照射領域に現れる帯電現象を模式
的に説明する図である。ここで、理解を容易にするため
に、X線照射による正の帯電量をプラス側に示し、X線
照射によって生じた正の帯電であり、かつ磁界印加によ
って減少した正の帯電量をマイナス側に示している。図
7(b)によれば、X線照射による正の帯電量は、X線
照射の開始よりも約0.5m秒遅れて発生しはじめ、や
がて正の帯電量が緩やかに増加している。このことは、
X線照射によって試料表面より光電子が放出されて起こ
る正の帯電現象が、X線照射時間の経過につれかつ時間
遅れをともなって、磁界印加によって正の帯電量が減少
される現象よりも大きな影響を与えるようになり、これ
により、試料表面が正に帯電することに起因している。
その後、X線照射を停止すると、X線照射による正の帯
電現象が、磁界印加によって正の帯電量が減少される現
象により次第に中和されるので、X線照射による正の帯
電量は次第に減少する。これに対して、同じく図7
(b)より、磁界印加によって減少される正の帯電量
は、X線照射の終了よりも約0.5m秒遅れて発生しは
じめ、やがて緩やかに帯電量が増加している。このこと
は、磁界印加によって正の帯電量が減少される現象が、
X線照射停止時間の経過につれかつ時間遅れをともなっ
て、光電子放出による正の帯電現象よりも大きな影響を
与えるようになり、試料表面の正の帯電量が減少される
ことに起因している。その後、X線照射による正の帯電
現象が、磁界印加によって正の帯電量が減少される現象
よりも大きな影響を与えるようになると、磁界印加によ
って減少される正の帯電量は次第に減少する。
【0057】この正の帯電が、試料裏面に磁界を間欠的
に印加することによって発散する理由は次のように考え
られる。磁界印加がない場合には、正の電荷の拡散は、
単純に自然拡散機構による。これに対して、磁界印加が
ある場合には、正の電荷の自然拡散に加えて、磁界によ
って生じたローレンツ力が正の電荷の運動を加速する。
従って、試料表面に生じた正の帯電量は、このローレン
ツ力により強制的に排除される。この排除される正の帯
電量を、「減少される正の帯電量=負の帯電量」として
示している。
【0058】図7(c)は、図7(b)を参照して説明
したX線照射による正の帯電量と磁界印加による負の帯
電量とを重ね合わせて示した模式図である。図7(c)
によれば、第1の実施形態を説明する図3(c)と同様
に、周期的(間欠的)なX線照射によって生じる正の帯
電現象と、周期的かつX線照射の周期と相補的な磁界印
加によって負の帯電が生じる現象が試料表面で交互に生
じていることが示される。
【0059】次に、本実施形態の装置および方法を用
い、被測定試料としてポリエチレンテレフタレート(P
ET)を用いた場合について、図8(a)および(b)
を参照して以下に説明する。このときの測定条件は、電
子線発生に関する条件を除いて、第1の実施形態と同じ
である。ここでさらなる条件として、磁界は、透磁率約
1000の軟鉄を中心に有する長さ約2センチメートル
の円筒形電磁石に銅線を500回巻き付けたものに、電
流約0.2Aを印加して発生させた。このときの電磁石
の強度(磁束密度)は、約6280Gaussである。
なお、電磁石の磁束密度の見積りを以下に示す。
【0060】
【数1】
【0061】図8(a)は、サーベイスペクトル(横
軸:0〜1100eVの範囲の結合エネルギー)、図8
(b)は、C1sのスペクトルが本来存在する285e
V近傍における図8(a)の拡大図である。図8(a)
および(b)を参照すると、C1sのピーク位置が本来
のピーク位置(285eV)とほぼ等しくなっているの
で、従来法で取得したXPSスペクトルを示す図14な
らびに図15(a)および(b)の方法に比べて、測定
方法が改善されていることがわかる。これは、間欠的な
X線照射と間欠的な磁界印加との相互作用により、帯電
中和が十分に行われたことに起因する。ここで、本実施
形態で用いた電磁石よりも強力な磁界を発生する電磁石
を用いれば、より効果的に帯電を除去できる。
【0062】磁界を印加する様式としては、本実施形態
の他に、X線照射を行いXPSスペクトルを取得すると
同時に連続的に磁界を印加することも考えられ得る。し
かし、連続的に磁界を印加することは、以下の理由によ
り好ましくない。磁界が印加されている場合には、試料
表面から放出され、検出部に達する光電子の経路が、磁
界の影響を受けて偏向および/または分散される。この
ため、検出部によって捕獲される光電子の割合が減少し
て、得られる信号強度が小さくなり、半値幅が広がる。
従って、取得されるスペクトル波形が広がって、エネル
ギー分解能が低下する原因となる。さらにまた、磁界が
印加されている場合には、試料表面から放出され、検出
部に達する光電子の加速または減速が生じ得る。従っ
て、光電子エネルギーのシフトが生じて、スペクトル波
形が歪む原因となる。このような現象は、より磁界の影
響を受けやすいことから、光電子のエネルギーの低運動
エネルギー側において現れやすく、光電子の低運動エネ
ルギー側におけるスペクトル形状に歪が生じやすい。従
って、磁界による悪影響をできるだけ低減するために、
本実施形態のように、X線照射中に磁界を印加せず、磁
界印加とX線照射とを相補的に行う、すなわちX線照射
と磁界印加とを交互に繰り返して行うことが望ましい。
【0063】本実施形態に示した、磁界を間欠的に印加
することによって帯電を中和する装置および方法は、特
に、電子線照射による損傷の影響が顕著な試料、例え
ば、半導体微細加工技術のリソグラフィー工程で用いら
れるレジスト材料を含む試料に対して効果的である。
【0064】また、本実施形態の改変例として、図5を
参照し上述した第1の実施形態と同様の構成および方法
が可能である。具体的には、改変例は、本実施形態のX
線光電子分光装置の構成に加えて、X線励起用電子線発
生フィラメントとAlターゲットの間に配設された制御
電極と、制御電極に接続された電源とをさらに備えてい
る。ここで、フィラメントに接続された電源は、フィラ
メントに電力を間欠的に供給する必要はないので、任意
波形発生パルス電源に限定されない。この改変例によっ
ても、制御電極に接続された電源(任意波形発生パルス
電源)の出力をオンオフさせて、AlターゲットへのX
線励起用電子線の入射位置を制御することができ、これ
により、試料の被測定領域に間欠的にX線を照射するこ
とが可能である。この改変例によっても、本実施形態と
同様の効果を奏することができる。
【0065】(第3の実施形態)本実施形態は、XPS
測定時に紫外線を間欠的に照射しながらX線を間欠的に
照射することによって、試料表面における帯電を中和さ
せるX線光電子分光法およびその方法を用いる装置に関
し、図9〜11を参照しながら以下により詳細に説明す
る。なお、上述の実施形態と同様の構成部品について
は、同じ参照符号を付すものとし、異なる点を中心に説
明する。
【0066】図9は、本実施形態のX線光電子分光装置
の要部構成を説明する概略図である。図9を参照して、
本実施形態のX線光電子分光装置300は、X線発生部
10と、検出部20と、紫外光発生部(エネルギー放射
部)50とを含む。これらのX線発生部10と、検出部
20と、紫外光発生部50とは、X線発生部10および
紫外光発生部50が所定の位置に配置された被測定試料
1に、単色化されたAl−Kα線11および紫外光51
をそれぞれ同時に照射し、検出部20がこれにより放出
される光電子21を検出し得るように構成されている。
X線発生部10および検出部20は、第1の実施形態と
同様の構成を有し、ここではこれらの説明を省略する。
紫外光発生部50は、紫外光ランプ52と、紫外光ラン
プ52に接続された電源(任意波形発生パルス装置)5
3とを含む。
【0067】ここで、紫外光ランプ52は低圧水銀ラン
プ(交流点灯、電力:100W、主波長:253.7n
m)である。また、紫外光ランプ52に接続された電源
53は、任意波形発生パルス装置であり、紫外光ランプ
52ヘ間欠的に電流を供給することができる。これによ
り、紫外光ランプ52は試料1の表面に紫外光51を間
欠的に照射し得る。さらに、本実施形態においても、第
1に実施形態と同様に、X線励起用電子線14が間欠的
にAlターゲット15に照射され得、単色化されたAl
−Kα線11が間欠的に試料1の表面に照射され得る。
【0068】次に、本実施形態のX線光電子分光装置3
00を用いたXPS測定方法について以下に説明する。
X線(Al−Kα線)11の間欠的照射機構、および光
電子21の分析機構については、第1の実施形態と同様
であり、ここではこれらの機構の説明を省略する。この
とき、帯電防止のための試料1の表面への紫外光51の
照射が、X線(すなわち、単色化されたAl−Kα線1
1)の間欠的照射と相補的かつ間欠的に行われる。
【0069】この場合において、図10(a)および
(b)を参照して、帯電量の時間変化を以下に説明す
る。図10(a)は、X線および紫外光の照射のタイミ
ングチャートであり、横軸は時間、縦軸は照射強度であ
る。ここで、理解を容易にするために、X線照射強度を
プラス側に示し、紫外光照射強度をマイナス側に示して
いる。図10(a)を参照すると、X線および紫外光の
照射が間欠的かつ相補的に(本実施形態においては、い
ずれも1m秒の周期で)行われることが容易に理解され
得る。
【0070】図10(b)は、X線照射および紫外光照
射によって試料表面のX線照射領域に現れる帯電現象を
模式的に説明する図である。ここで、理解を容易にする
ために、X線照射による正の帯電量をプラス側に示し、
X線照射によって生じた正の帯電であり、かつ紫外光照
射によって発散された正の帯電量をマイナス側に示して
いる。図10(b)によれば、X線照射による正の帯電
量は、X線照射の開始よりも約0.5m秒遅れて発生し
はじめ、やがて正の帯電量が緩やかに増加している。こ
のことは、X線照射によって試料表面より光電子が放出
されて起こる正の帯電現象が、X線照射時間の経過につ
れかつ時間遅れをともなって、紫外光照射によって正の
帯電量が発散される現象よりも大きな影響を与えるよう
になり、これにより、試料表面が正に帯電することに起
因している。その後、X線照射を停止すると、X線照射
による正の帯電現象が、紫外光照射によって正の帯電量
が発散される現象により次第に中和されるので、X線照
射による正の帯電量は次第に減少する。これに対して、
同じく図10(b)より、紫外光照射によって発散され
る正の帯電量は、X線照射の終了よりも約0.5m秒遅
れて発生しはじめ、やがて緩やかに帯電量が増加してい
る。このことは、紫外光照射によって正の帯電量が発散
される現象が、X線照射停止時間の経過につれかつ時間
遅れをともなって、光電子放出による正の帯電現象より
も大きな影響を与えるようになり、試料表面の正の帯電
量が発散されることに起因している。その後、X線照射
による正の帯電現象が、紫外光照射によって正の帯電量
が発散される現象よりも大きな影響を与えるようになる
と、紫外光照射によって発散される正の帯電量は次第に
減少する。
【0071】この正の帯電が、試料表面に紫外光を間欠
的に照射することによって減少する理由は次のように考
えられる。紫外光照射がない場合には、正の電荷の拡散
は、単純に自然拡散機構による。これに対して、紫外光
照射がある場合には、試料表面に照射される紫外光のエ
ネルギーによって、電子−正孔対が試料表面に形成され
る。紫外光の照射された領域では、これにより、電荷を
輸送するキャリアが増加されて、電気伝導度が増す。こ
の電気伝導度の増加によって、X線照射によって生じた
正の電荷が、より速い速度で自然拡散されて発散され
る。この発散される正の帯電量を、「減少される正の帯
電量=負の帯電量」として示している。
【0072】図10(c)は、図10(b)を参照して
説明したX線照射による正の帯電量と紫外光照射による
負の帯電量とを重ね合わせて示した模式図である。図1
0(c)によれば、第1の実施形態を説明する図3
(c)と同様に、周期的(間欠的)なX線照射によって
生じる正の帯電現象と、周期的かつX線照射の周期と相
補的な紫外光照射によって負の帯電が生じる現象が試料
表面で交互に生じていることが示される。
【0073】次に、本実施形態の装置および方法を用
い、被測定試料としてポリエチレンテレフタレート(P
ET)を用いた場合について、図11(a)および
(b)を参照して以下に説明する。このときの測定条件
は、電子線発生に関する条件を除いて、第1の実施形態
と同じである。ここでさらなる条件として、紫外光発生
に関しては、低圧水銀ランプ(交流点灯、電力100
W、主波長253.7nm)とした。
【0074】図11(a)は、サーベイスペクトル(横
軸:0〜1100eVの範囲の結合エネルギー)、図1
1(b)は、C1sのスペクトルが本来存在する285
eV近傍における図11(a)の拡大図である。図11
(a)および(b)を参照すると、C1sのピーク位置
が本来のピーク位置(285eV)とほぼ等しくなって
いるので、従来法で取得したXPSスペクトルを示す図
14ならびに図15(a)および(b)の方法に比べ
て、測定方法が改善されていることがわかる。これは、
間欠的なX線照射と間欠的な紫外光照射との相互作用に
より、帯電中和が十分に行われたことに起因する。
【0075】紫外光を照射する様式としては、本実施形
態の他に、X線照射を行いXPSスペクトルを取得する
と同時に連続的に紫外光を照射することも考えられ得
る。しかし、連続的に紫外光を照射することは、好まし
くない。なぜなら、紫外光によって励起された高運動エ
ネルギーの光電子の放射が生じるからである。従って、
本実施形態のように、X線照射中に紫外光を照射せず、
紫外光照射とX線照射とを相補的に行う、すなわち交互
に繰り返して行うことが望ましい。
【0076】本実施形態に示した、紫外光を間欠的に照
射することによって帯電を中和する装置および方法は、
特に、紫外線照射によって電子−正孔対の形成されやす
いイオン性結晶材料、および強誘電体セラミックス等を
含む試料に対して効果的である。
【0077】また、本実施形態の改変例として、図5を
参照し上述した第1の実施形態と同様の構成および方法
が可能である。具体的には、改変例は、本実施形態のX
線光電子分光装置の構成に加えて、X線励起用電子線発
生フィラメントとAlターゲットの間に配設された制御
電極と、制御電極に接続された電源とをさらに備えてい
る。ここで、フィラメントに接続された電源は、フィラ
メントに電力を間欠的に供給する必要はないので、任意
波形発生パルス電源に限定されない。この改変例によっ
ても、制御電極に接続された電源(任意波形発生パルス
電源)の出力をオンオフさせて、AlターゲットへのX
線励起用電子線の入射位置を制御することができ、これ
により、試料の被測定領域に間欠的にX線を照射するこ
とが可能である。この改変例によっても、本実施形態と
同様の効果を奏することができる。
【0078】以上、本発明の第1から3の実施形態とし
て、試料表面からXPSスペクトルを取得する方法およ
び装置を例示的に示した。本発明は、これらの実施形態
に限定されず、上述の実施形態を少なくとも2つ組み合
わせた場合には、さらに大きな効果が得られ得る。
【0079】さらに本発明はまた、例えば、X線照射に
アルゴンイオンビーム照射を組合せて、XPSスペクト
ルの深さ方向分析を行う場合にも同様の効果を奏する。
本発明はさらに、X線光電子分光法のみならず、同様の
測定原理に基づく分析方法(例えば、真空紫外光電子分
光法およびオージェ電子分光法等)またはシンクロトロ
ン放射光を光源とした電子分光法にも適用できることは
言うまでもない。
【0080】
【発明の効果】本発明のX線光電子分光法およびX線光
電子分光装置によれば、帯電現象が生じて分析が困難で
あった絶縁物試料に対して、帯電中和を十分に行うこと
ができ、これにより、帯電現象に基づく誤差が低減され
た有効なXPSスペクトルを取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態における、X線光電子
分光装置の要部構成を説明する概略図である。
【図2】本発明の第1の実施形態における、XPS測定
時の試料表面における帯電の様子を説明する図であり、
(a)および(c)は、X線照射領域が正に帯電するこ
とを示す模式図であり、(b)および(d)は、X線照
射を停止し、電子線照射によって負の帯電が生じること
を示す模式図である。
【図3】本発明の第1の実施形態における、帯電量の時
間変化を説明する図であり、(a)は、X線および電子
線の照射のタイミングチャートであり、(b)および
(c)は、X線照射および電子線照射によって試料表面
のX線照射領域に現れる帯電現象を模式的に説明する図
である。
【図4】(a)は、本発明の第1の実施形態のX線電子
分光装置を用いて測定したXPSスペクトルであり、
(b)は、(a)の285eV近傍における拡大図であ
る。
【図5】本発明の第1の実施形態の改変例における、X
線光電子分光装置の要部構成を説明する概略図である。
【図6】本発明の第2の実施形態における、X線光電子
分光装置の要部構成を説明する概略図である。
【図7】本発明の第2の実施形態における、帯電量の時
間変化を説明する図であり、(a)は、X線照射および
磁界印加のタイミングチャートであり、(b)および
(c)は、X線照射および磁界印加によって試料表面の
X線照射領域に現れる帯電現象を模式的に説明する図で
ある。
【図8】(a)は、本発明の第2の実施形態のX線電子
分光装置を用いて測定したXPSスペクトルであり、
(b)は、(a)の285eV近傍における拡大図であ
る。
【図9】本発明の第3の実施形態における、X線光電子
分光装置の要部構成を説明する概略図である。
【図10】本発明の第3の実施形態における、帯電量の
時間変化を説明する図であり、(a)は、X線および紫
外線の照射のタイミングチャートであり、(b)および
(c)は、X線照射および紫外線照射によって試料表面
のX線照射領域に現れる帯電現象を模式的に説明する図
である。
【図11】(a)は、本発明の第3の実施形態のX線電
子分光装置を用いて測定したXPSスペクトルであり、
(b)は、(a)の285eV近傍における拡大図であ
る。
【図12】従来のX線電子分光装置の要部構成を説明す
る概略図である。
【図13】従来のX線電子分光装置における、試料表面
の帯電状態を説明する模式図であり、(a)は、X線照
射領域が正に帯電していることを示す模式図であり、
(b)は、電子線照射領域が負に帯電していることを示
す模式図であり、(c)は、電子線照射が適切であり、
X線照射領域に電荷が存在していないことを示す模式図
であり、(d)は、電子線照射が不十分であり、X線照
射領域に正の電荷が残留していることを示す模式図であ
る。
【図14】従来のX線電子分光装置を用いて測定した、
電子線による帯電の中和を行わなかった場合のXPSス
ペクトルである。
【図15】従来のX線電子分光装置を用いて測定した、
電子線による帯電の中和を行った場合のXPSスペクト
ルである。
【符号の説明】
1 試料 10 X線発生部 11 単色化されたAl−Kα線 12 X線励起用電子線発生フィラメント 13 電源(任意波形発生パルス電源) 14 X線励起用電子線 15 Alターゲット 16 Al−Kα線 17 モノクロメーター 18 制御電極 19 電源(任意波形発生パルス電源) 20 検出部 21 光電子 22 インプットレンズ 23 同心半球型アナライザー 24 光電子検出器 30 中和用電子線発生部(エネルギー放射部) 31 中和用電子線 32 中和用電子線発生フィラメント 33 電源 34 引き出し電極 35 電源 100 X線光電子分光装置

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 X線を発生するX線発生部と、該X線発
    生部で発生されたX線を試料に照射したときに該試料か
    ら放射される光電子を受ける検出部と、該X線の照射に
    よって該試料の表面に生じる電荷を中和させるように該
    試料のすくなくとも一部にエネルギーを放射するエネル
    ギー放射部と、を備えるX線光電子分光装置であって、 該X線発生部は、X線励起用電子線を放射するフィラメ
    ントと、該フィラメントに接続された電源と、を含み、 該電源は、該X線が該試料に間欠的に照射されるよう
    に、該フィラメントに間欠的に電力を供給する、X線光
    電子分光装置。
  2. 【請求項2】 X線を発生するX線発生部と、該X線発
    生部で発生されたX線を試料に照射したときに該試料か
    ら放射される光電子を受ける検出部と、該X線の照射に
    よって該試料の表面に生じる電荷を中和させるように該
    試料のすくなくとも一部にエネルギーを放射するエネル
    ギー放射部と、を備えるX線光電子分光装置であって、 該X線発生部は、X線励起用電子線を放射するフィラメ
    ントと、該フィラメントの近傍に配設された制御電極
    と、該制御電極に接続された電源と、を含み、 該電源は、該X線が該試料の被測定領域に間欠的に照射
    されるように、該制御電極に間欠的に電力を供給する、
    X線光電子分光装置。
  3. 【請求項3】 前記エネルギー放射部は、前記試料に電
    子線を照射する中和用電子線発生部であり、該中和用電
    子線発生部は、該試料に電子線を連続的に照射する、請
    求項1または2に記載のX線光電子分光装置。
  4. 【請求項4】 前記エネルギー放射部は、前記試料に磁
    界を印加する磁界発生部であり、該磁界発生部は、該試
    料に磁界を間欠的かつ該X線の照射と相補的に印加す
    る、請求項1または2に記載のX線光電子分光装置。
  5. 【請求項5】 前記エネルギー放射部は、前記試料に紫
    外光を照射する紫外光発生部をさらに備え、該紫外光発
    生部は、該試料に紫外光を間欠的かつ該X線の照射と相
    補的に照射する、請求項1または2に記載のX線光電子
    分光装置。
  6. 【請求項6】 X線発生部で発生されたX線を試料に照
    射し、該試料から放射される光電子を検出部で受ける、
    X線光電子分光法であって、 該X線の照射によって該試料の表面に生じる電荷を中和
    させるように、該試料のすくなくとも一部にエネルギー
    を放射する工程と、 X線が試料に間欠的に照射されるように、フィラメント
    に接続された電源から該フィラメントに間欠的に電力を
    供給する工程と、を含む、X線光電子分光法。
  7. 【請求項7】 前記エネルギー放射工程は、前記試料に
    電子線を連続的に照射する工程を含む、請求項6に記載
    のX線光電子分光法。
  8. 【請求項8】 前記エネルギー放射工程は、前記試料に
    磁界を間欠的かつ前記X線の照射と相補的に印加する工
    程を含む、請求項6に記載のX線光電子分光法。
  9. 【請求項9】 前記エネルギー放射工程は、前記試料に
    紫外光を間欠的かつ前記X線の照射と相補的に照射する
    工程を含む、請求項6に記載のX線光電子分光法。
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