JP4357220B2 - ゴム組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴム組成物に関し、更に詳細には、特定の配合剤を併用することにより、耐発熱性および耐スコーチ性が改善されたゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、低発熱性で耐摩耗性を向上させるゴム補強用充填剤として、有機珪素化合物で表面処理されたカーボンブラックが特開平10−46047号公報や特開平11−116841号公報等で提案され、更にこれらの機能を向上させる表面処理カーボンブラックとして、アミノ基を有するシラン化合物で表面処理されたカーボンブラックが特開平9−87612号公報により提案されている。また、本願発明者等によって、当該アミノ基を有するシラン化合物で処理されたカーボンブラックと硫黄を含有するシランカップリング剤との同時配合により、ゴムコンパウンドの耐発熱性および耐摩耗性が向上することが見出されているが、その場合に、耐スコーチ性が悪いという問題がある。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−46047号公報
【特許文献2】
特開平11−116841号公報
【特許文献3】
特開平9−87612号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明では、このアミノ基を有するシラン化合物で処理されたカーボンブラックを使用するに当たって、ゴム組成物の耐発熱性および耐摩耗性が向上し、かつ耐スコーチ性も改善されるような配合系を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、ゴム100重量部に対して、カーボンブラックに対し0.1〜10重量%のアミノ基を有するシラン化合物により表面処理されたカーボンブラック10〜100重量部および前記ゴム成分のうち少なくとも0.1重量部以上に無水マレイン化されたゴムを配合してなるゴム組成物が提供される。
【0006】
また、本発明によれば、ジエン系ゴム100重量部に対して、カーボンブラックに対し0.1〜10重量%のアミノ基を有するシラン化合物により表面処理されたカーボンブラック10〜100重量部、硫黄を含有するシランカップリング剤0.1〜20重量部および前記ゴム成分のうち少なくとも0.1重量部以上に無水マレイン化されたゴムを配合してなるゴム組成物が提供される。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明では、ジエン系ゴムに、カーボンブラックに対し0.1〜10重量%のアミノ基を有するシラン化合物により表面処理されたカーボンブラックと無水マレイン化されたゴムとを同時に配合することによって、無水マレイン化されたゴム成分における無水マレイン酸部分が、カーボンブラック表面でのアミノ基と反応性が高く、またそのゴム部分が、ゴムと加硫するため、当該無水マレイン化されたゴムにはカップリング効果があり、また、カーボンブラック表面でのアミノシランによりアルカリ側にシフトしたゴムコンパウンドのpHを、無水マレイン化されたゴムの酸により中和することによって、スコーチの改善が図られることを見出したものである。また、この配合系に更に硫黄を含有するシランカプリング剤を配合すると、当該シランカップリング剤による表面処理カーボンブラックとゴムとのカップリング効果が働くため、より優れた耐発熱性が発揮される。
【0008】
本発明のゴム組成物に用いられるゴムには、例えば、天然ゴム(NR)、およびジエン系合成ゴムとしてのポリイソプレンゴム(IR)、各種スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、各種ポリブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)等が使用される。これらゴムは単独で、あるいは二種以上のブレンドゴムとして使用することができる。天然ゴムとジエン系合成ゴムのブレンドゴムとして用いられる場合は、少なくとも60重量部以上の天然ゴムを配合したブレンドゴムとすることが好ましい。
【0009】
本発明のゴム組成物に配合されるカーボンブラックに対し0.1〜10重量%のアミノ基を有するシラン化合物により表面処理されたカーボンブラックの配合量は、ジエン系ゴム100重量部に対して、10〜100重量部とすることが好ましい。この配合量が10重量部未満では所期の効果が得られず、また100重量部を超えるとゴムの粘度が高すぎることになり、加工性が損なわれる。
【0010】
また、当該カーボンブラックの表面処理に用いられるアミノ基を有するシラン化合物としては、例えば、N−β−(アミノメチル)−γ−アミノプロピルメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどが挙げられるが、これによるカーボンブラックへの処理量は、0.1〜10重量%であることが好ましい。この処理量が0.1重量%未満では所期の効果を発揮できず、また10重量%を超えると、カーボンブラックの分散不良や、スコーチの悪化を引き起こす。
【0011】
本発明のゴム組成物に配合される無水マレイン化されたゴムの配合量は、使用するゴム成分100重量部のうち、少なくとも0.1重量部以上とすることが好ましい。この配合量が0.1重量部未満では所期の効果が得られないので好ましくない。
【0012】
本発明のゴム組成物に配合される無水マレイン化されたゴムには、分子量10万〜200万の固体状の無水マレイン化ゴムおよび分子量30000以下の液体状の無水マレイン化ゴムが含まれ、当該無水マレイン化されたゴムとしては、その主鎖がジエン系ゴムまたはブチルゴムのいずれか、もしくはそれらのブレンド物であって、かつ、そのマレイン化率が、当該マレイン化されたゴムの総量に対し反応した無水マレイン酸が0.2〜20重量%であるものを使用することが好ましい。
【0013】
本発明で有効に用いられる無水マレイン化されたゴムとしては、上記液体状の無水マレイン化ゴム、例えば、液状無水マレイン酸変性ブチルゴム、液状無水マレイン酸変性ポリイソプレンゴム、液状無水マレイン酸変性ポリブタジエンゴムなどが好ましく使用される。
【0014】
更に、本発明のゴム組成物に配合される硫黄を含有するシランカップリング剤の配合量は、ゴム100重量部に対して、0.1〜20重量部とすることが好ましい。この配合量が0.1重量部未満では所期の効果を発揮することができず、また、20重量部を超えると、混合や押出工程でスコーチが生じ易くなるので、好ましくない。
【0015】
当該硫黄を含有するシランカップリング剤には、例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス−(3−(トリエトキシシリル)−プロピル)テトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピル−N、N−ジメチルチオカルバモイル−テトラスルフィド、トリメトキシシリルプロピル−メルカプトベンゾチアゾールテトラスルフィド、トリエトキシシリルプロピル−メタクリレート−モノスルフィド、ジメトキシメチルシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイル−テトラスルフィド等が挙げられる。
【0016】
本発明のゴム組成物には、上記した必須成分に加えて、架橋または加硫剤、架橋または加硫促進剤、各種オイル、老化防止剤、軟化剤、可塑剤などのタイヤ用、その他一般ゴム用に配合されている各種配合剤を配合することができ、かかる配合剤は、一般的な方法で混練、加硫してゴム組成物とし、加硫または架橋するのに使用することができる。これら配合剤の配合量も、本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
【0017】
【実施例】
以下、実施例および比較例によって本発明を更に説明するが、本発明の技術的範囲をこれらの実施例によって限定するものでないことは言うまでもない。
【0018】
試験サンプルの作製
以下の表1に示すゴム配合系における硫黄と加硫促進剤を除く成分を1.8リットルの密閉型ミキサーで3〜5分間混練し、165±5℃に達したときに放出したマスターバッチに硫黄と加硫促進剤を加えて8インチのオープンロールで混練して、ゴム組成物を得た。このゴム組成物の一部をスコーチおよび加硫試験に供した。次いで、このゴム組成物の残部を15cm×15cm×0.2mの金型中で160℃、20分間プレス加硫して、試験片(ゴムシート)を作製し、これを粘弾性および耐摩耗性試験に供した。
【0019】
試験方法
1) スコーチ時間:JIS K6300に準拠して、125℃で粘度が5ポイント上昇する時間(分)を測定した。
2) 加硫時間:JIS K6300に準拠して、160℃で95%の加硫度に達する時間(分)を測定した。
3) 粘弾性:東洋精機製作所製の粘弾性スペクトロメーターを用いて、初期歪:10%、振幅:±2%、周波数:20Hzの条件で、60℃のtanδを測定した。比較例1を100とした指数で示した。数値が大きい程、耐発熱性が良好である。
4) 耐摩耗性:ランボーン摩耗試験機(岩本製作所製)を用いて、荷重5kg、スリップ率25%、時間4分、室温の条件で測定し、摩耗減量を比較例1を100とした指数で示した。数値が大きい程、耐摩耗性が良好である。
【0020】
実施例1〜13および比較例1〜7
結果を表1に示す。
【表1】
Figure 0004357220
【表2】
Figure 0004357220
【0021】
【発明の効果】
以上の結果によると、本発明の配合組成では、耐スコーチ性および耐発熱性に優れ、また、耐摩耗性にも優れたゴム組成物が得られたことがわかる。

Claims (3)

  1. ゴム100重量部に対して、カーボンブラックに対し0.1〜10重量%のアミノ基を有するシラン化合物により表面処理されたカーボンブラック10〜100重量部および前記ゴム成分のうち少なくとも0.1重量部以上に無水マレイン化されたゴムを配合してなるゴム組成物。
  2. ゴム100重量部に対して、カーボンブラックに対し0.1〜10重量%のアミノ基を有するシラン化合物により表面処理されたカーボンブラック10〜100重量部、硫黄を含有するシランカップリング剤0.1〜20重量部および前記ゴム成分のうち少なくとも0.1重量部以上に無水マレイン化されたゴムを配合してなるゴム組成物。
  3. 前記無水マレイン化されたゴムが、その主鎖がジエン系ゴムまたはブチルゴムのいずれか、もしくはそれらのブレンド物であって、かつ、そのマレイン化率が当該無水マレイン化されたゴムの総量に対し反応した無水マレイン酸が0.2〜20重量%である、請求項1または2に記載のゴム組成物。
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