JP5647172B2 - サイドウォール用ゴム組成物及び空気入りタイヤ - Google Patents

サイドウォール用ゴム組成物及び空気入りタイヤ Download PDF

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Description

本発明は、サイドウォール用ゴム組成物、及びこれを用いた空気入りタイヤに関する。
従来から、タイヤの転がり抵抗を低減することにより(転がり抵抗性能の向上)、車の低燃費化が行われてきた。タイヤの転がり抵抗は、タイヤに使用されるゴムの低発熱性に大きく左右されるため、タイヤ用ゴムの低発熱性(低燃費性)を実現するための開発が盛んに行われている。さらに、近年では、車の低燃費化への要求はますます強くなってきており、タイヤ部材の中でもタイヤにおける占有比率の高いキャップトレッドを製造するゴムのみならず、サイドウォールを製造するゴムにも優れた低燃費性が要求されている。
一方、これまでタイヤのサイドウォールには、優れた引張り強さ、引き裂き強さを示す天然ゴムと、優れた耐屈曲亀裂成長性を示すブタジエンゴム等をブレンドしたゴム成分に、補強用充填剤としてカーボンブラックを配合したゴム組成物が使用されてきたが、低燃費性に劣るという問題があった。
そこで、低燃費性の向上のため、カーボンブラックの一部、場合によってはすべてをシリカに置換することが検討されている。しかし、シリカは表面に親水性シラノール基が存在するため、カーボンブラックに比べて、ゴム(特に、タイヤ用途によく使用される天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム等)との親和性が低く、耐屈曲亀裂成長性や破壊強度(破断強度や破断時伸び)の点で劣る場合が多いという問題があった。
また、一般的に破壊強度と低燃費性のバランスを向上するには、配合するブタジエンゴムのシス含量を高くする、分子量を大きくするなどの方法が知られている。しかし、カーボンブラック配合系では一定の効果は得られるものの、シリカ配合系では、シリカの分散不良を招いて、低燃費性、破壊強度、耐屈曲亀裂成長性が悪化する傾向がある。
また、特許文献1〜3では、低燃費性の向上を目的として、シリカを含む配合において、ゴムに特定の極性基を付加することによりシリカと親和性を持たせ、シリカの分散性を高め、低燃費性に優れたゴム組成物を得る方法が記載されているが、他の方法の提供も求められている。
特開2001−114939号公報 特開2005−126604号公報 特開2005−325206号公報
本発明は、前記課題を解決し、加工性、低燃費性、破壊強度、耐屈曲亀裂成長性をバランスよく改善できるサイドウォール用ゴム組成物、及びこのゴム組成物を用いた空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、硫黄化合物により変性され、シス含量が70質量%以上、ムーニー粘度(ML1+4、100℃)が30〜120であるブタジエンゴムと、シリカと、メルカプト基を有するシランカップリング剤とを含むサイドウォール用ゴム組成物に関する。
上記ゴム組成物は、補強用充填剤100質量%中のシリカの含有率が50質量%以上であることが好ましい。
上記ゴム組成物は、リン含有量が200ppm以下の改質天然ゴムを含むことが好ましい。
上記改質天然ゴムの窒素含有量が0.3質量%以下であることが好ましい。
上記ブタジエンゴムが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算のz+1平均分子量と数平均分子量の比が3.5以上であることが好ましい。
上記ブタジエンゴムが、5%トルエン溶液粘度(Tcp)とムーニー粘度(ML1+4、100℃)の比が1.8〜6.0であることが好ましい。
上記シランカップリング剤が、下記式(1)で表される化合物、及び/又は下記式(2)で示される結合単位Aと下記式(3)で示される結合単位Bとを含む化合物であることが好ましい。
Figure 0005647172
(式(1)中、R101〜R103は、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜12のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜12のアルコキシ基、又は−O−(R111−O)−R112(z個のR111は、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30の2価の炭化水素基を表す。z個のR111はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。R112は、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数6〜30のアリール基、又は炭素数7〜30のアラルキル基を表す。zは1〜30の整数を表す。)で表される基を表す。R101〜R103はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。R104は、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜6のアルキレン基を表す。)
Figure 0005647172
Figure 0005647172
(式(2)及び(3)中、R201は水素、ハロゲン、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニル基、又は該アルキル基の末端の水素が水酸基若しくはカルボキシル基で置換されたものを表す。R202は分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニレン基、又は分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニレン基を表す。R201とR202とで環構造を形成してもよい。)
上記ゴム組成物は、上記ブタジエンゴムをゴム成分100質量%中5〜60質量%含むゴム成分100質量部に対して、上記シリカを5〜100質量部、カーボンブラックを0〜60質量部含み、シリカ100質量部に対して、上記シランカップリング剤を0.1〜15質量部含むことが好ましい。
本発明はまた、上記ゴム組成物を用いて作製したサイドウォールを有する空気入りタイヤに関する。
本発明によれば、硫黄化合物により変性され、シス含量が70質量%以上、ムーニー粘度(ML1+4、100℃)が30〜120であるブタジエンゴムと、シリカと、メルカプト基を有するシランカップリング剤とを含むサイドウォール用ゴム組成物であるので、加工性、低燃費性、破壊強度、耐屈曲亀裂成長性をバランスよく改善できる。
本発明のサイドウォール用ゴム組成物は、硫黄化合物により変性され、シス含量が70質量%以上、ムーニー粘度(ML1+4、100℃)が30〜120であるブタジエンゴムと、シリカと、メルカプト基を有するシランカップリング剤とを含む。
硫黄化合物により変性され、特定の分子構造(シス含量が70質量%以上、ムーニー粘度(ML1+4、100℃)が30〜120)を有するブタジエンゴムと、シリカと、特定の官能基(メルカプト基)を有するシランカップリング剤とを併用することにより、加工性、低燃費性を相乗的に向上でき、加工性、低燃費性、破壊強度、耐屈曲亀裂成長性をバランスよく改善できる。
本発明では、ゴム成分として、硫黄化合物により変性され、シス含量が70質量%以上、ムーニー粘度(ML1+4、100℃)が30〜120であるブタジエンゴム(硫黄変性ブタジエンゴム)を使用する。
一般的に、シス含量の高い(例えば、シス含量が70質量%以上の)ブタジエンゴムは、変性が困難であり、変性を行なっても低い変性率しか達成できず、結果的に充分な変性による効果(変性効果)が得られないことが多い。一方、硫黄化合物による変性は、シス含量の高いブタジエンゴムにおいても、高い変性率を達成することが可能であり、優れた変性効果が得られる。そして、硫黄変性ブタジエンゴムを配合することにより、加工性、低燃費性、破壊強度、耐屈曲亀裂成長性をバランスよく改善できる。
硫黄変性ブタジエンゴムのシス含量は、70質量%以上、好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上である。70質量%未満であると、充分な低燃費性、耐摩耗性、破壊強度、耐屈曲亀裂成長性が得られない。なお、シス含量は、例えば、NMRのピーク比較による算出法、赤外線吸収スペクトルの吸収面積による算出法等により測定でき、具体的には、後述の実施例に記載の測定方法により得られる値である。
硫黄変性ブタジエンゴムのムーニー粘度(ML1+4、100℃)は30〜120である。下限は、40が好ましく、60がより好ましい。ムーニー粘度が30未満であると充分な破壊強度が得られず、120を超えると加工性が低下する。
硫黄変性ブタジエンゴムは、5%トルエン溶液粘度(Tcp)とムーニー粘度(ML1+4、100℃)の比(Tcp/ML1+4、100℃)が1.8〜6.0であることが好ましく、2.0〜5.0であることがより好ましく、2.0〜3.5であることが更に好ましい。該比は、ブタジエンゴムの分岐度の指標となるものであり、当業者には公知のものである。該比が大きいほどブタジエンゴムの分岐度が小さいこと、即ち、リニアリティが高いことを意味する。該比が1.8未満では加硫ゴムのtanδが大きくなり、充分な低燃費性が得られない傾向がある。また、該比が6.0より大きいと加工性が悪化する傾向がある。なお、5%トルエン溶液粘度(Tcp)、ムーニー粘度(ML1+4、100℃)は後述の実施例に記載の測定方法により得られる値である。
硫黄変性ブタジエンゴムは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算のz+1平均分子量(Mz+1)と数平均分子量(M)の比(Mz+1/M)が3.5以上であることが好ましく、4以上であることがより好ましく、5以上であることが更に好ましく、10以上であることが特に好ましく、15以上であることが最も好ましい。該比が3.5未満であると、加工性、低燃費性、破壊強度、耐屈曲亀裂成長性(特に、加工性)が充分に得られないおそれがある。また、該比の上限は特に限定されないが、好ましくは35以下、より好ましくは25以下である。35を超えると、ゴムがゲル化し、加工性が悪化する傾向がある。
なお、z+1平均分子量(Mz+1)とは、分子量Miの分子がそれぞれn(mol)存在したとすると、下式で表される量である。
z+1=ΣM ×n/(ΣM ×n
z+1は、高分子量成分の含有量の指標となり、Mz+1が大きいほど高分子量成分の含有量が大きいことを示す。なお、Mz+1、Mは、GPCを用い、標準ポリスチレンより換算した値であり、具体的には、後述の実施例に記載の測定方法により得られる値である。
硫黄変性ブタジエンゴムを流動パラフィンにより30質量%に希釈した溶液の粘弾性における損失弾性率が100Paの時の貯蔵弾性率は、好ましくは20Pa以上、より好ましくは25Pa以上、更に好ましくは30Pa以上である。20Pa未満であると、高分子量成分の含有量が少なく、加工性、低燃費性、破壊強度、耐屈曲亀裂成長性(特に、加工性)が充分に得られないおそれがある。また、該貯蔵弾性率は、好ましくは60Pa以下、より好ましくは45Pa以下である。
60Paを超えると、加工性が悪化するおそれがある。なお、該貯蔵弾性率は、後述の実施例に記載の測定方法により得られる値である。
硫黄変性ブタジエンゴムは、ブタジエンゴムを硫黄化合物により変性することにより得られる。具体的には、硫黄変性ブタジエンゴムは、公知の方法により製造でき、例えば、特開2012−17416号公報、特開平8−208751号公報に記載の方法等により製造できる。なお、当業者であれば、本明細書及び上記公報に記載の内容、並びに出願時の技術常識に基づいて、ブタジエンゴムを硫黄化合物により変性した後に、所望の分子構造(シス含量が70質量%以上、ムーニー粘度(ML1+4、100℃)が30〜120等)を有する硫黄変性ブタジエンゴムが得られるように、変性されるブタジエンゴムの選定(変性されるブタジエンゴムとして望ましい分子構造の決定)や、硫黄化合物の添加量、変性反応の条件等の設定を適宜行うことが可能である。
硫黄化合物により変性されるブタジエンゴムは、実際に重合してもよく、市販品を使用してもよい。
市販品としては、日本ゼオン(株)製のBR1220、宇部興産(株)製のBR130B、BR150B、BR150L、ランクセス(株)製のBunaCB21、BunaCB22等の高シス含有量のBR、宇部興産(株)製のVCR412、VCR617等のシンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR等を使用できる。
ブタジエンゴムを重合する際の触媒としては、特に限定されず、コバルト系触媒や希土類元素系触媒(例えば、ネオジム系触媒(ネオジム(Nd)含有化合物、有機アルミニウム化合物、アルミノキサン、ハロゲン含有化合物、必要に応じてルイス塩基を含む触媒))等が挙げられる。なかでも、コバルト系触媒を用いて重合したブタジエンゴムを硫黄化合物により変性することにより、分岐度が小さい分子構造を有しながら、高分子量成分の含有量が高い硫黄変性ブタジエンゴムが得られ、本発明の効果がより好適に得られるという理由から、コバルト系触媒が好ましい。
コバルト系触媒としては、コバルト化合物、ハロゲン含有アルミニウム化合物、及び水からなる触媒系、コバルト化合物、ハロゲン含有アルミニウム化合物、水、及び有機アルミニウム化合物からなる触媒系が好ましい。
重合温度は−30〜100℃が好ましい。重合時間は10分〜12時間が好ましい。また、重合圧力は他の条件に依存して任意に選択すればよい。
硫黄化合物とブタジエンゴムの変性反応は、重合反応後に引き続いて行っても良いし、重合後に重合反応を停止させた後に行っても良いし、また重合後に重合反応を停止させた後、反応生成物中に残留している溶媒や未反応モノマーをスチームストリッピング法や真空乾燥法などで除去して得られたブタジエンゴムの乾燥物をシクロヘキサン等の溶媒で再度溶解させた後に行ってもよい。
すなわち、硫黄化合物による変性は、例えば、ブタジエンゴムを重合した後の反応液や、市販品のブタジエンゴム又は重合したブタジエンゴムをシクロヘキサン等の溶媒に溶解させた溶解液に、硫黄化合物を加えて反応を行えばよい。
硫黄化合物としては、二塩化二硫黄、二臭化二硫黄、二フッ化二硫黄、二ヨウ化二硫黄等の二ハロゲン化二硫黄、二塩化硫黄、二臭化硫黄、二フッ化硫黄、二ヨウ化硫黄等の二ハロゲン化硫黄、塩化チオニル、臭化チオニル、フッ化チオニル、ヨウ化チオニル等のハロゲン化チオニル等が挙げられる。なかでも、二ハロゲン化二硫黄が好ましく、二塩化二硫黄がより好ましい。
硫黄化合物の添加量は、ブタジエンゴム100質量部に対して、好ましくは0.05〜0.5質量部、より好ましくは0.1〜0.4質量部である。また、変性反応は、10〜150分間攪拌混合することが好ましい。また、変性反応の反応温度については、好ましくは20〜100℃、より好ましくは30〜80℃である。変性反応後は、反応槽内部を必要に応じて放圧し、洗浄、乾燥等を行えばよい。
ゴム成分100質量%中の硫黄変性ブタジエンゴムの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上である。5質量%未満であると、充分な加工性、低燃費性、破壊強度、耐屈曲亀裂成長性が得られないおそれがある。硫黄変性ブタジエンゴムの含有量は、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下である。60質量%を超えると、ゴムの機械的強度(破壊強度)が不足し、チッピング等の損傷を起こす可能性がある。
ゴム組成物に使用される硫黄変性ブタジエンゴム以外のゴム成分として、例えば、天然ゴム(NR)、硫黄変性ブタジエンゴム以外のブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(X−IIR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、スチレンーイソプレンーブタジエン共重合ゴム(SIBR)等のジエン系ゴムを使用できる。これらのゴム成分は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その主鎖及び/又は末端が変性されていてもよく、また、例えば四塩化スズ、四塩化珪素のような多官能化合物により変性され、分岐構造を有していてもよい。
硫黄変性ブタジエンゴム以外のゴム成分としては、加工性、低燃費性、破壊強度、耐屈曲亀裂成長性がよりバランスよく得られるという理由から、NRが好ましい。
NRとしては特に限定されず、例えば、SIR20、RSS♯3、TSR20等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。
ゴム成分100質量%中のNRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは40質量%以上である。5質量%未満であると、加工性、低燃費性、破壊強度、耐屈曲亀裂成長性をバランスよく改善できないおそれがある。NRの含有量は、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは80質量%以下である。95質量%を超えると、硫黄変性ブタジエンゴムの含有量が低下し、充分な加工性、低燃費性、破壊強度、耐屈曲亀裂成長性が得られないおそれがある。
また、硫黄変性ブタジエンゴム以外のゴム成分としては、低燃費性、破壊強度、耐屈曲亀裂成長性をより改善できるという理由から、リン含有量が200ppm以下の改質天然ゴムが好ましい。
天然ゴム(NR)中に含まれるリン脂質を低減、除去した天然ゴム(改質天然ゴム)(好ましくはタンパク質やゲル分も除去した改質天然ゴム)は、発熱しにくい性質があるため、NRの使用に比べて、更なる低燃費化を図ることができる。また、改質天然ゴムを配合した未加硫ゴム組成物は加工性に優れ、特段素練り工程を行わなくても充分な混練りが可能であるため、素練りに伴う天然ゴムの破壊強度、耐屈曲亀裂成長性などの低下も抑制でき、低燃費性、破壊強度、耐屈曲亀裂成長性などを効果的に高められる。
上記改質天然ゴム(HPNR)は、リン含有量が200ppm以下である。200ppmを超えると、貯蔵中にゲル量が増加し、加硫ゴムのtanδが上昇して低燃費性が悪化したり、未加硫ゴムのムーニー粘度が上昇して加工性が悪化する傾向があり、低燃費性、破壊強度、耐屈曲亀裂成長性をバランス良く改善できないおそれがある。該リン含有量は、150ppm以下が好ましく、100ppm以下がより好ましい。ここで、リン含有量は、たとえばICP発光分析等、従来の方法で測定することができる。リンは、リン脂質(リン化合物)に由来するものである。
改質天然ゴムにおいて、窒素含有量は0.3質量%以下が好ましく、0.15質量%以下がより好ましい。窒素含有量が0.3質量%を超えると、貯蔵中にムーニー粘度が上昇して加工性が悪くなる傾向があり、また、低燃費性、破壊強度、耐屈曲亀裂成長性をバランス良く改善できないおそれもある。窒素含有量は、例えばケルダール法等、従来の方法で測定することができる。窒素は、蛋白質に由来するものである。
改質天然ゴム中のゲル含有率は、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、7質量%以下が更に好ましい。20質量%を超えると、ムーニー粘度が上昇して加工性が悪くなる傾向があり、また、低燃費性、破壊強度、耐屈曲亀裂成長性をバランス良く改善できないおそれもある。ゲル含有率とは、非極性溶媒であるトルエンに対する不溶分として測定した値を意味し、以下においては単に「ゲル含有率」または「ゲル分」と称することがある。ゲル分の含有率の測定方法は次のとおりである。まず、天然ゴム試料を脱水トルエンに浸し、暗所に遮光して1週間放置後、トルエン溶液を1.3×10rpmで30分間遠心分離して、不溶のゲル分とトルエン可溶分とを分離する。不溶のゲル分にメタノールを加えて固形化した後、乾燥し、ゲル分の質量と試料の元の質量との比からゲル含有率が求められる。
改質天然ゴムは、実質的にリン脂質が存在しないことが好ましい。「実質的にリン脂質が存在しない」とは、天然ゴム試料をクロロホルムで抽出し、抽出物の31P NMR測定において、−3ppm〜1ppmにリン脂質によるピークが存在しない状態を表す。−3ppm〜1ppmに存在するリンのピークとは、リン脂質におけるリンのリン酸エステル構造に由来するピークである。
改質天然ゴムの製造方法としては、例えば、特開2010−138359号公報に記載の製法、すなわち、天然ゴムラテックスをケン化処理し、ケン化天然ゴムラテックスを得る工程(A)、及び得られたケン化天然ゴムラテックスをゴム中に含まれるリン含有量が200ppm以下になるまで洗浄する工程(B)を含む製法などが挙げられる。具体的には、先ず天然ゴムラテックスをアルカリでケン化処理してケン化天然ゴムラテックスを調製し、次いで、該ケン化天然ゴムラテックスを凝集させて得られた凝集ゴムを、ゴム分に対するリン含有率が200ppm以下になるまで繰り返し水で洗浄し、乾燥する方法などにより改質天然ゴム(ケン化天然ゴム)を製造できる。
上記製造方法によれば、ケン化により分離したリン化合物が洗浄除去されるので、天然ゴムのリン含有量を抑えることができる。また、ケン化処理により、天然ゴム中の蛋白質が分解されるので、天然ゴムの窒素含有量を抑えることができる。
ゴム成分100質量%中の改質天然ゴムの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは40質量%以上である。5質量%未満であると、加工性、低燃費性、破壊強度、耐屈曲亀裂成長性をバランスよく改善できないおそれがある。改質天然ゴムの含有量は、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは80質量%以下である。95質量%を超えると、硫黄変性ブタジエンゴムの含有量が低下し、充分な加工性、低燃費性、破壊強度、耐屈曲亀裂成長性が得られないおそれがある。
本発明のゴム組成物は、シリカを含有する。これにより、加工性、低燃費性、破壊強度、耐屈曲亀裂成長性をバランスよく改善できる。シリカとしては、例えば、乾式法シリカ(無水ケイ酸)、湿式法シリカ(含水ケイ酸)などが挙げられるが、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。
シリカの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは40m/g以上であり、より好ましくは100m/g以上、更に好ましくは150m/g以上である。40m/g未満では、破壊強度が悪化する傾向がある。該NSAは、好ましくは500m/g以下、より好ましくは300m/g以下、更に好ましくは250m/g以下、特に好ましくは200m/g以下である。500m/gを超えると、加工性、低燃費性、破壊強度、耐屈曲亀裂成長性が悪化する傾向がある。
なお、シリカのNSAは、ASTM D3037−81に準じてBET法で測定される値である。
シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは20質量部以上である。5質量部未満であると、充分な低燃費性が得られないおそれがある。該含有量は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは70質量部以下である。100質量部を超えると、シリカの分散性が低下し、加工性、低燃費性、破壊強度、耐屈曲亀裂成長性が悪化する傾向がある。
本発明のゴム組成物は、メルカプト基を有するシランカップリング剤を含有する。これにより、シリカが良好に分散し、加工性、低燃費性、破壊強度、耐屈曲亀裂成長性をバランスよく改善できる。
メルカプト基を有するシランカップリング剤としては、下記式(1)で表される化合物、及び/又は下記式(2)で示される結合単位Aと下記式(3)で示される結合単位Bとを含む化合物を好適に使用できる。なかでも、下記式(2)で示される結合単位Aと下記式(3)で示される結合単位Bとを含む化合物がより好ましい。
Figure 0005647172
(式(1)中、R101〜R103は、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜12のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜12のアルコキシ基、又は−O−(R111−O)−R112(z個のR111は、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30の2価の炭化水素基を表す。z個のR111はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。R112は、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数6〜30のアリール基、又は炭素数7〜30のアラルキル基を表す。zは1〜30の整数を表す。)で表される基を表す。R101〜R103はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。R104は、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜6のアルキレン基を表す。)
Figure 0005647172
Figure 0005647172
(式(2)及び(3)中、R201は水素、ハロゲン、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニル基、又は該アルキル基の末端の水素が水酸基若しくはカルボキシル基で置換されたものを表す。R202は分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニレン基、又は分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニレン基を表す。R201とR202とで環構造を形成してもよい。)
以下、式(1)で表される化合物について説明する。
式(1)で表される化合物を使用することで、シリカが良好に分散し、加工性、低燃費性、破壊強度、耐屈曲亀裂成長性をよりバランスよく改善できる。
101〜R103は、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜12のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜12のアルコキシ基、又は−O−(R111−O)−R112で表される基を表す。本発明の効果が良好に得られるという点から、R101〜R103は、少なくとも1つが−O−(R111−O)−R112で表される基であることが好ましく、2つが−O−(R111−O)−R112で表される基であり、かつ、1つが分岐若しくは非分岐の炭素数1〜12のアルコキシ基であることがより好ましい。
101〜R103の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜12(好ましくは炭素数1〜5)のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、へキシル基、へプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基などがあげられる。
101〜R103の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜12(好ましくは炭素数1〜5)のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、iso−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、へキシルオキシ基、へプチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基などがあげられる。
101〜R103の−O−(R111−O)−R112において、R111は、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30(好ましくは炭素数1〜15、より好ましくは炭素数1〜3)の2価の炭化水素基を表す。
該炭化水素基としては、例えば、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニレン基、炭素数6〜30のアリーレン基などがあげられる。中でも、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキレン基が好ましい。
111の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30(好ましくは炭素数1〜15、より好ましくは炭素数1〜3)のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基、トリデシレン基、テトラデシレン基、ペンタデシレン基、ヘキサデシレン基、ヘプタデシレン基、オクタデシレン基などがあげられる。
111の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30(好ましくは炭素数2〜15、より好ましくは炭素数2〜3)のアルケニレン基としては、例えば、ビニレン基、1−プロペニレン基、2−プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、1−ペンテニレン基、2−ペンテニレン基、1−ヘキセニレン基、2−ヘキセニレン基、1−オクテニレン基などがあげられる。
111の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30(好ましくは炭素数2〜15、より好ましくは炭素数2〜3)のアルキニレン基としては、例えば、エチニレン基、プロピニレン基、ブチニレン基、ペンチニレン基、ヘキシニレン基、へプチニレン基、オクチニレン基、ノニニレン基、デシニレン基、ウンデシニレン基、ドデシニレン基などがあげられる。
111の炭素数6〜30(好ましくは炭素数6〜15)のアリーレン基としては、例えば、フェニレン基、トリレン基、キシリレン基、ナフチレン基などがあげられる。
zは1〜30(好ましくは2〜20、より好ましくは3〜7、さらに好ましくは5〜6)の整数を表す。
112は、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数6〜30のアリール基又は炭素数7〜30のアラルキル基を表す。中でも、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基が好ましい。
112の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30(好ましくは炭素数3〜25、より好ましくは炭素数10〜15)のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、へキシル基、へプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基などがあげられる。
112の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30(好ましくは炭素数3〜25、より好ましくは炭素数10〜15)のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、1−オクテニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、オクタデセニル基などがあげられる。
112の炭素数6〜30(好ましくは炭素数10〜20)のアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基などがあげられる。
112の炭素数7〜30(好ましくは炭素数10〜20)のアラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基などがあげられる。
−O−(R111−O)−R112で表される基の具体例としては、例えば、−O−(C−O)−C1123、−O−(C−O)−C1225、−O−(C−O)−C1327、−O−(C−O)−C1429、−O−(C−O)−C1531、−O−(C−O)−C1327、−O−(C−O)−C1327、−O−(C−O)−C1327、−O−(C−O)−C1327などがあげられる。中でも、−O−(C−O)−C1123、−O−(C−O)−C1327、−O−(C−O)−C1531、−O−(C−O)−C1327が好ましい。
104の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜6(好ましくは炭素数1〜5)のアルキレン基としては、例えば、R111の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキレン基と同様の基をあげることができる。
上記式(1)で表される化合物としては、例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシランや、下記式で表される化合物(EVONIK−DEGUSSA社製のSi363)などがあげられ、下記式で表される化合物を好適に使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
Figure 0005647172
次に、式(2)で示される結合単位Aと式(3)で示される結合単位Bとを含む化合物について説明する。
式(2)で示される結合単位Aと式(3)で示される結合単位Bとを含む化合物を使用することで、シリカが良好に分散し、加工性、低燃費性、破壊強度、耐屈曲亀裂成長性をよりバランスよく改善できる。
式(2)で示される結合単位Aと式(3)で示される結合単位Bとを含む化合物は、ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドなどのポリスルフィドシランに比べ、加工中の粘度上昇が抑制される。これは結合単位Aのスルフィド部分がC−S−C結合であるため、テトラスルフィドやジスルフィドに比べ熱的に安定であることから、ムーニー粘度の上昇が少ないためと考えられる。
また、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプトシランに比べ、スコーチ時間の短縮が抑制される。これは、結合単位Bはメルカプトシランの構造を持っているが、結合単位Aの−C15部分が結合単位Bの−SH基を覆うため、ポリマーと反応しにくく、スコーチが発生しにくいためと考えられる。
上述した加工中の粘度上昇を抑制する効果や、スコーチ時間の短縮を抑制する効果を高めることができるという点から、上記構造のシランカップリング剤において、結合単位Aの含有量は、好ましくは30モル%以上、より好ましくは50モル%以上であり、好ましくは99モル%以下、より好ましくは90モル%以下である。また、結合単位Bの含有量は、好ましくは1モル%以上、より好ましくは5モル%以上、さらに好ましくは10モル%以上であり、好ましくは70モル%以下、より好ましくは65モル%以下、さらに好ましくは55モル%以下である。また、結合単位A及びBの合計含有量は、好ましくは95モル%以上、より好ましくは98モル%以上、特に好ましくは100モル%である。
なお、結合単位A、Bの含有量は、結合単位A、Bがシランカップリング剤の末端に位置する場合も含む量である。結合単位A、Bがシランカップリング剤の末端に位置する場合の形態は特に限定されず、結合単位A、Bを示す式(2)、(3)と対応するユニットを形成していればよい。
201のハロゲンとしては、塩素、臭素、フッ素などがあげられる。
201の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、へキシル基、へプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などがあげられる。該アルキル基の炭素数は、好ましくは1〜12である。
201の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基としては、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、1−オクテニル基などがあげられる。該アルケニル基の炭素数は、好ましくは2〜12である。
201の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニル基としては、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、へプチニル基、オクチニル基、ノニニル基、デシニル基、ウンデシニル基、ドデシニル基などがあげられる。該アルキニル基の炭素数は、好ましくは2〜12である。
202の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基、トリデシレン基、テトラデシレン基、ペンタデシレン基、ヘキサデシレン基、ヘプタデシレン基、オクタデシレン基などがあげられる。該アルキレン基の炭素数は、好ましくは1〜12である。
202の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニレン基としては、ビニレン基、1−プロペニレン基、2−プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、1−ペンテニレン基、2−ペンテニレン基、1−ヘキセニレン基、2−ヘキセニレン基、1−オクテニレン基などがあげられる。該アルケニレン基の炭素数は、好ましくは2〜12である。
202の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニレン基としては、エチニレン基、プロピニレン基、ブチニレン基、ペンチニレン基、ヘキシニレン基、へプチニレン基、オクチニレン基、ノニニレン基、デシニレン基、ウンデシニレン基、ドデシニレン基などがあげられる。該アルキニレン基の炭素数は、好ましくは2〜12である。
式(2)で示される結合単位Aと式(3)で示される結合単位Bとを含む化合物において、結合単位Aの繰り返し数(x)と結合単位Bの繰り返し数(y)の合計の繰り返し数(x+y)は、3〜300の範囲が好ましい。この範囲内であると、結合単位Bのメルカプトシランを、結合単位Aの−C15が覆うため、スコーチタイムが短くなることを抑制できるとともに、シリカやゴム成分との良好な反応性を確保することができる。
式(2)で示される結合単位Aと式(3)で示される結合単位Bとを含む化合物としては、例えば、Momentive社製のNXT−Z30、NXT−Z45、NXT−Z60などを使用することができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
メルカプト基を有するシランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは6質量部以上である。0.1質量部未満では、未加硫ゴム組成物の粘度が高く、良好な加工性、低燃費性を確保できないおそれがある。また、メルカプト基を有するシランカップリング剤の含有量は、好ましくは15質量部以下、より好ましくは12質量部以下である。15質量部を超えると、加工性が低下する傾向がある。
本発明のゴム組成物は、メルカプト基を有するシランカップリング剤とともに、他のシランカップリング剤を併用してもよい。他のシランカップリング剤としては、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、ジメトキシメチルシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィドなどがあげられる。
本発明のゴム組成物は、シリカ以外にも補強用充填剤を配合してもよい。補強用充填剤としては、例えば、カーボンブラック、クレー、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、タルク、ガラスバルーン、セルロース、モンモリロナイト等が挙げられる。なかでも、カーボンブラックを配合することが好ましい。これにより、加工性、低燃費性、破壊強度、耐屈曲亀裂成長性をよりバランスよく改善できる。使用できるカーボンブラックとしては、SAF、ISAF、HAF、MAF、FEF、SRF、GPF、APF、FF、CF、SCF及びECFのようなファーネスブラック(ファーネスカーボンブラック);アセチレンブラック(アセチレンカーボンブラック);FT及びMTのようなサーマルブラック(サーマルカーボンブラック);EPC、MPC及びCCのようなチャンネルブラック(チャンネルカーボンブラック);グラファイトなどが挙げられるが、特に限定されない。カーボンブラックは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は5m/g以上が好ましく、15m/g以上がより好ましい。5m/g未満では、充分な補強性が得られず、充分な破壊強度、耐屈曲亀裂成長性が得られないおそれがある。該NSAは、100m/g以下が好ましく、60m/g以下がより好ましく、40m/g以下が更に好ましい。100m/gを超えると、分散性が悪く、加工性、低燃費性が悪化する傾向がある。
なお、カーボンブラックのNSAは、JIS K 6217−2:2001によって求められる。
本発明のゴム組成物がカーボンブラックを含有する場合、カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは15質量部以上である。5質量部未満では、充分な補強性が得られず、充分な破壊強度、耐屈曲亀裂成長性が得られないおそれがある。該含有量は、好ましくは60質量部以下、より好ましくは40質量部以下である。60質量部を超えると、発熱が大きくなり、加工性、低燃費性が悪化する傾向がある。
補強用充填剤(好ましくはシリカ及びカーボンブラックの合計)100質量%中のシリカの含有率は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは80質量%以上であり、100質量%であってもよい。該含有率が上記範囲内であれば、本発明の効果がより好適に得られる。
本発明のゴム組成物には、前記成分以外にも、ゴム組成物の製造に一般に使用される配合剤、例えば、酸化亜鉛、ステアリン酸、加工助剤、各種老化防止剤、オイルなどの軟化剤、芳香族系石油樹脂、ワックス、硫黄などの加硫剤、加硫促進剤などを適宜配合できる。
本発明で使用できる軟化剤としては、特に限定するものではないが、例えば、オイルであればアロマチックオイル、プロセスオイル、パラフィンオイル等の鉱物油が挙げられる。これら軟化剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明では、本発明の効果が好適に得られるという理由から、オイルの配合量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1〜20質量部、より好ましくは5〜15質量部である。ここで、オイルの配合量には、油展ゴムに含まれるオイル量も含まれる。
加硫促進剤としては、例えば、スルフェンアミド系、チアゾール系、チウラム系、チオウレア系、グアニジン系、ジチオカルバミン酸系、アルデヒド−アミン系若しくはアルデヒド−アンモニア系、イミダゾリン系、又はキサンテート系加硫促進剤等が挙げられる。これら加硫促進剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、スルフェンアミド系加硫促進剤が好ましい。
スルフェンアミド系加硫促進剤としては、例えば、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(TBBS)、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DCBS)等が挙げられる。なかでも、TBBSが好ましい。
加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上であり、また、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下である。上記範囲内に調整することで、本発明の効果がより好適に得られる。
本発明のゴム組成物の製造方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、前記各成分をオープンロール、バンバリーミキサー、密閉式混練機などのゴム混練装置を用いて混練し、その後加硫する方法などにより製造できる。
本発明のゴム組成物は、タイヤのサイドウォールに好適に使用できる。
本発明の空気入りタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法によって製造される。すなわち、必要に応じて各種添加剤を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でサイドウォール等の形状に合わせて押し出し加工し、タイヤ成型機上にて通常の方法にて成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、未加硫タイヤを形成した後、加硫機中で加熱加圧してタイヤを製造できる。
本発明の空気入りタイヤは、乗用車用タイヤ、トラック・バス用タイヤ、二輪車用タイヤ、競技用タイヤ等として好適に用いられる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
(製造例1)
コバルト系触媒重合で得られた宇部興産(株)製UBEPOL BR150L100gを脱水されたシクロヘキサン1000mlに溶解し、1.5リットル容量のステンレス製のオートクレーブに仕込んで内部を充分窒素置換した後、二塩化二硫黄を0.18質量部添加して常圧、40℃で40分間変性反応を行った。変性反応終了後、オートクレーブの内部を開放した後、重合液にエタノールを投入してポリブタジエンゴムを回収し、そこに老化防止剤を添加して40℃で3時間真空乾燥し、BR1(硫黄変性ブタジエンゴム)を得た。
(製造例2)
コバルト系触媒重合で得られたムーニー粘度67、5%トルエン溶液粘度190のポリブタジエン100gを脱水されたシクロヘキサン1000mlに溶解し、1.5リットル容量のステンレス製のオートクレーブに仕込んで内部を充分窒素置換した後、二塩化二硫黄を0.18質量部添加して常圧、40℃で40分間変性反応を行った。変性反応終了後、オートクレーブの内部を開放した後、重合液にエタノールを投入してポリブタジエンゴムを回収し、そこに老化防止剤を添加して40℃で3時間真空乾燥し、BR2(硫黄変性ブタジエンゴム)を得た。
(製造例3)
ポリブタジエンとして、ネオジム系触媒重合で得られたLANXESS社製BunaCB22を使用した点以外は、製造例1と同様に行い、BR3(硫黄変性ブタジエンゴム)を得た。
(製造例4)
乾燥・窒素置換された、ゴム詮付容積100ミリリットルのガラスびんに、以下の順番に、ブタジエンのシクロヘキサン溶液(15.2質量%)7.11g、ネオジムネオデカノエートのシクロヘキサン溶液(0.56モル/リットル)0.59ミリリットル、メチルアルミノキサンMAO(東ソ−アクゾ社製PMAO)のトルエン溶液(アルミニウム濃度として3.23モル/リットル)10.32ミリリットル、水素化ジイソブチルアルミニウム(関東化学社製)のヘキサン溶液(0.90モル/リットル)7.77ミリリットルを投入し、室温で2分間熟成した後、塩素化ジエチルアルミニウム(関東化学社製)のヘキサン溶液(0.95モル/リットル)1.45ミリリットルを加え室温で、時折攪拌しながら15分間熟成した。こうして得られた反応溶液を重合触媒溶液として次の反応に用いた。
1リットル容積のゴム栓付きガラスびんを乾燥・窒素置換し、乾燥精製されたブタジエンのシクロヘキサン溶液及び乾燥シクロヘキサンを各々投入し、ブタジエン12.5質量%のシクロヘキサン溶液が400g投入された状態とした。次に、前記調製した触媒溶液2.28ミリリットル (ネオジム換算0.025mmol)を 投入し、50℃温水浴中で1.0時間重合を行った。重合系に老化防止剤2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)(NS−5)のイソプロパノール5%溶液2ミリリットルを加えて反応の停止を行い、さらに微量のNS−5を含むイソプロパノール中で再沈殿を行い、ドラム乾燥することにより未変性ポリブタジエンゴムを得た。このものを製造例1と同様にして硫黄変性を行い、BR4(硫黄変性ブタジエンゴム)を得た。
製造例1〜4により得られた硫黄変性ブタジエンゴム(BR1〜4)及び宇部興産(株)製のUBEPOL BR150Lについて下記の評価を行った。結果を表1に示す。
(シス含量)
BRUKER社製AV400のNMR装置、データ解析ソフトTOP SPIN2.1を用いてシス含量を測定した。
(ガラス転移温度(Tg))
JIS−K7121に従い、(株)島津製作所製の自動示差走査熱量計(DSC−60A)を用いて、昇温速度10℃/分の条件でガラス転移温度(Tg)を測定した。
(ムーニー粘度(ML1+4、100℃)表1中ではMLと略記)
JIS−K6300に従い、(株)島津製作所製のムーニー粘度計(SMV−200)を使用して、100℃で1分間予熱したのち、4分間測定してゴムのムーニー粘度(ML1+4、100℃)を測定した。
(5%トルエン溶液粘度(Tcp))
ポリマー2.28gをトルエン50mlに溶解した後、標準液として粘度計校正用標準液(JIS Z8809)を用い、キャノンフェンスケ粘度計No.400を使用して、25℃で5%トルエン溶液粘度(Tcp)を測定した。
(z+1平均分子量(Mz+1)、数平均分子量(M))
ポリスチレンを標準物質としてテトラヒドロフランを溶媒として温度40℃で、ゲルパーミエーション(透過)クロマトグラフィー(GPC、東ソー株式会社製)を行い、得られた分子量分布曲線から求めた検量線を用いて計算し、z+1平均分子量、数平均分子量を求めた。
(流動パラフィンにより30質量%に希釈した溶液の粘弾性における損失弾性率が100Paの時の貯蔵弾性率)
ポリマーを流動パラフィンに30質量%となるよう溶解し、得られた溶液をレオメトリック社製DSR500で動的歪み1%において貯蔵弾性率、損失弾性率を測定し、損失弾性率が100Paの時の貯蔵弾性率を決定した。
Figure 0005647172
以下、製造例5、6で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
天然ゴムラテックス:Muhibbah Lateks社から入手したフィールドラテックス
界面活性剤:花王(株)製のEmal−E27C(ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム)
NaOH:和光純薬工業(株)製のNaOH
(ケン化天然ゴムの作製)
(製造例5)
天然ゴムラテックスの固形分濃度(DRC)を30%(w/v)に調整した後、天然ゴムラテックス1000g(wet状態)に対し、10%Emal−E27C水溶液25gと40%NaOH水溶液50gを加え、室温で48時間ケン化反応を行い、ケン化天然ゴムラテックスを得た。このラテックスに水を添加してDRC15%(w/v)となるまで希釈した後、ゆっくり撹拌しながらギ酸を添加しpHを4.0に調整し、凝集させた。
凝集したゴムを粉砕し、水1000mlで洗浄を繰り返し、その後90℃で4時間乾燥して固形ゴム(ケン化天然ゴムA)を得た。
(製造例6)
40%NaOH水溶液の添加量を25gに変更した以外は製造例1と同様に、固形ゴム(ケン化天然ゴムB)を得た。
製造例5、6により得られた固形ゴム(ケン化天然ゴムA、B)及びTSRについて以下に示す方法により、窒素含有量、リン含有量、ゲル含有率を測定した。結果を表2に示す。
(窒素含有量の測定)
窒素含有量は、CHN CORDER MT−5(ヤナコ分析工業社製)を用いて測定した。測定には、まずアンチピリンを標準物質として、窒素含有量を求めるための検量線を作製した。次いで、試料約10mgを秤量し、3回の測定結果から平均値を求めて、試料の窒素含有量とした。
(リン含有量の測定)
ICP発光分析装置(ICPS−8100、(株)島津製作所製)を使用して、試料のリン含有量を求めた。
また、リンの31P−NMR測定は、NMR分析装置(400MHz、AV400M、日本ブルカー社製)を使用し、80%リン酸水溶液のP原子の測定ピークを基準点(0ppm)として、クロロホルムにより生ゴムより抽出した成分を精製し、CDClに溶解して測定した。
(ゲル含有率の測定)
1mm×1mmに切断した生ゴムのサンプル70.00mgを計り取り、これに35mLのトルエンを加え1週間冷暗所に静置した。次いで、遠心分離に付してトルエンに不溶のゲル分を沈殿させ上澄みの可溶分を除去し、ゲル分のみをメタノールで固めた後、乾燥し質量を測定した。次の式によりゲル含有率(%)を求めた。
ゲル含有率(質量%)=[乾燥後の質量mg/最初のサンプル質量mg]×100
Figure 0005647172
表2に示すように、ケン化天然ゴムA、Bは、TSRに比べて、窒素含有量、リン含有量、ゲル含有率が低減していた。
また、31P−NMR測定において、ケン化天然ゴムA、Bは、−3ppm〜1ppmにリン脂質によるピークが存在しなかった。
以下、実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
NR:TSR
ケン化天然ゴムA:製造例5により得られた改質天然ゴム
ケン化天然ゴムB:製造例6により得られた改質天然ゴム
BR1:製造例1により調製したBR1(硫黄変性ブタジエンゴム)(Tg:−108℃)
BR2:製造例2により調製したBR2(硫黄変性ブタジエンゴム)(Tg:−108℃)
BR3:製造例3により調製したBR3(硫黄変性ブタジエンゴム)(Tg:−109℃)
BR4:製造例4により調製したBR4(硫黄変性ブタジエンゴム)(Tg:−110℃)
BR5:宇部興産(株)製のポリブタジエンゴム(硫黄非変性ブタジエンゴム)UBEPOL BR150L(Tg:−108℃)
シリカ:EVONIK−DEGUSSA社製のウルトラジルVN3(NSA:175m/g)
カーボンブラック:新日化カーボン(株)製のニテロン#55S(NSA:28m/g)
シランカップリング剤1:Momentive社製のNXT−Z45(結合単位A及び結合単位Bを含む化合物(結合単位A:55モル%、結合単位B:45モル%))
シランカップリング剤2:EVONIK−DEGUSSA社製のSi363
シランカップリング剤3:EVONIK−DEGUSSA社製のSi69(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)
プロセスオイル:ジャパンエナジー社製のプロセスX−140(芳香族系プロセスオイル)
ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックN
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸「桐」
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛2種
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N−フェニル−p−フェニレンジアミン)
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
(実施例及び比較例)
表3に示す配合処方に従い、1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を150℃の条件下で3分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、50℃の条件下で5分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。
得られた未加硫ゴム組成物を170℃で12分間、0.5mm厚の金型でプレス加硫し、加硫ゴム組成物を得た。
得られた未加硫ゴム組成物、加硫ゴム組成物について下記の評価を行った。結果を表3に示した。
(加工性)
JIS K6300に準じて、130℃で所定の未加硫ゴム組成物のムーニー粘度を測定した。測定結果を、比較例1を100として、下記計算式により指数表示した。指数が大きいほど粘度が低く、加工が容易であることを示す。
(ムーニー粘度指数)=(比較例1のムーニー粘度)/(各配合のムーニー粘度)×100
(低燃費性)
粘弾性スペクトロメーターVES((株)岩本製作所製)を用いて、温度70℃、初期歪み10%、動歪み2%の条件下で、各配合の加硫ゴム組成物のtanδを測定し、比較例1のtanδを100として、下記計算式により指数表示した。指数が大きいほど、転がり抵抗特性(低燃費性)が優れている。
(転がり抵抗指数)=(比較例1のtanδ)/(各配合のtanδ)×100
(破壊強度)
得られた加硫ゴム組成物について、JIS K6251に準じて3号ダンベルを用いて引張り試験を実施し、破断強度(TB)及び破断時伸び(EB)(%)を測定した。そして、TB×EB/2の数値を破壊強度とし、各配合の破壊強度を、比較例1の破壊強度を100として指数表示した。指数が大きいほど破壊強度に優れる。
(耐屈曲亀裂成長性)
得られた加硫ゴム組成物を用い、JIS K6260「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−デマッチャ屈曲亀裂試験方法」に基づいてサンプルを作製し、屈曲亀裂成長試験を行い、70%伸張を100万回繰り返してサンプルを屈曲させた後、発生した亀裂の長さを測定した。
そして、比較例1の測定値(長さ)を100とし、下記計算式により指数表示した。指数が大きいほど、亀裂の成長が抑制され、耐屈曲亀裂成長性に優れることを示す。
(耐屈曲亀裂成長性指数)=(比較例1の測定値)/(各配合の測定値)×100
Figure 0005647172
表3の結果より、硫黄化合物により変性され、シス含量が70質量%以上、ムーニー粘度(ML1+4、100℃)が30〜120であるブタジエンゴム(BR1〜4)と、シリカと、メルカプト基を有するシランカップリング剤(シランカップリング剤1、2)とを含む実施例は、加工性、低燃費性、破壊強度、耐屈曲亀裂成長性をバランスよく改善できた。
比較例1、2、3、実施例1の比較により、硫黄化合物により変性され、シス含量が70質量%以上、ムーニー粘度(ML1+4、100℃)が30〜120であるブタジエンゴムと、メルカプト基を有するシランカップリング剤を併用することにより、加工性、低燃費性が相乗的に向上できることが分かった。

Claims (9)

  1. 硫黄化合物により変性され、シス含量が70質量%以上、ムーニー粘度(ML1+4、100℃)が30〜120であるブタジエンゴムと、天然ゴム及び/又はリン含有量200ppm以下の改質天然ゴムと、シリカと、メルカプト基を有するシランカップリング剤とを含み、
    ゴム成分100質量%中の前記ブタジエンゴムの含有量が5〜60質量%、前記天然ゴムの含有量が30〜95質量%、前記改質天然ゴムの含有量30〜95質量%であるサイドウォール用ゴム組成物。
  2. 補強用充填剤100質量%中のシリカの含有率が50質量%以上である請求項1記載のサイドウォール用ゴム組成物。
  3. ゴム成分100質量部に対して、オイルの含有量が1〜20質量部、加硫促進剤の含有量が0.1〜5質量部である請求項1又は2記載のサイドウォール用ゴム組成物。
  4. 前記改質天然ゴムの窒素含有量が0.3質量%以下である請求項1〜3のいずれかに記載のサイドウォール用ゴム組成物。
  5. 前記ブタジエンゴムが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算のz+1平均分子量と数平均分子量の比が3.5以上である請求項1〜4のいずれかに記載のサイドウォール用ゴム組成物。
  6. 前記ブタジエンゴムが、5%トルエン溶液粘度(Tcp)とムーニー粘度(ML1+4、100℃)の比が1.8〜6.0である請求項1〜5のいずれかに記載のサイドウォール用ゴム組成物。
  7. 前記シランカップリング剤が、下記式(1)で表される化合物、及び/又は下記式(2)で示される結合単位Aと下記式(3)で示される結合単位Bとを含む化合物である請求項1〜6のいずれかに記載のサイドウォール用ゴム組成物。
    Figure 0005647172
    (式(1)中、R101〜R103は、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜12のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜12のアルコキシ基、又は−O−(R111−O)−R112(z個のR111は、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30の2価の炭化水素基を表す。z個のR111はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。R112は、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数6〜30のアリール基、又は炭素数7〜30のアラルキル基を表す。zは1〜30の整数を表す。)で表される基を表す。R101〜R103はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。R104は、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜6のアルキレン基を表す。)
    Figure 0005647172
    Figure 0005647172
    (式(2)及び(3)中、R201は水素、ハロゲン、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニル基、又は該アルキル基の末端の水素が水酸基若しくはカルボキシル基で置換されたものを表す。R202は分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニレン基、又は分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニレン基を表す。R201とR202とで環構造を形成してもよい。)
  8. ム成分100質量部に対して、前記シリカを5〜100質量部、カーボンブラックを0〜60質量部含み、シリカ100質量部に対して、前記シランカップリング剤を0.1〜15質量部含む請求項1〜7のいずれかに記載のサイドウォール用ゴム組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載のゴム組成物を用いて作製したサイドウォールを有する空気入りタイヤ。
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