JP2011219541A - タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】低極性ゴムと比較的極性のあるゴムとを併用した場合であっても、スコーチタイムの短縮を抑制でき、低燃費性、熱老化後の力学特性(引張強度、破断伸び、破壊強度(破壊エネルギー))、耐摩耗性、ウェットグリップ性能、操縦安定性がバランスよく得られるタイヤ用ゴム組成物、及びこれを用いた空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】ガラス転移温度が−58℃以下のゴム(1)と、ガラス転移温度が−55℃以上のゴム(2)とを含むゴム成分と、シリカと、下記式(1)で表されるシランカップリング剤(1)と、メルカプト基を有するシランカップリング剤(2)及び/又は窒素原子を有するシランカップリング剤(3)とを含み、前記シランカップリング剤(3)が、窒素原子を含む部分Aと、酸素原子若しくは硫黄原子を含む4〜6員環の窒素含有複素環部分B及び/又はアルコキシシリル基を有する部分Cとを有し、前記部分Aが、R−C(R)=N(R)→O及び/又はR−C≡N→Oであり、該R〜Rは、同一若しくは異なって、水素原子、炭素数が20以下の基、又は前記部分B若しくは前記部分Cに結合する結合基であり、R〜Rの少なくとも1つが前記部分B又は前記部分Cに結合しているタイヤ用ゴム組成物に関する。
[化1]
Figure 2011219541

(式(1)中、nは1〜3の整数、mは1〜9の整数、zは1以上の整数を表す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、タイヤ用ゴム組成物、及びそれを用いた空気入りタイヤに関する。
近年、車の低燃費化への要求が強くなってきており、その中で、タイヤの転がり抵抗を低減することも強く求められている。タイヤの転がり抵抗を低減するために、タイヤ用ゴム組成物の低発熱化が検討されている。低発熱化を満足させる方法として、補強用充填剤の配合量を減量する方法や、粒子径が大きい補強用充填剤を使用する方法が知られている。しかし、このような方法では、ゴム組成物の破壊強度(破壊エネルギー)が低下して信頼性の点で懸念が生じたり、硬度が低下するためタイヤが軟化して車の操縦安定性が低下したり、タイヤのウェットグリップ性能が低下したりするという問題がある。
そこで、このような問題を解決するために、充填剤としてシリカなどが一般に広く使用されており、さらに、シリカと共にシランカップリング剤が使用されている(例えば、特許文献1)。シランカップリング剤としては、ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド等のポリスルフィドシランが使用されている。
ポリスルフィドシランは、比較的極性のあるスチレンブタジエンゴム(SBR)中では、良好なカップリング性能を発揮するが、天然ゴム(NR)やブタジエンゴム(BR)等の低極性ゴムでは効果が低いという問題があった。
このため、シランカップリング剤としてポリスルフィドシランを使用した場合、NRや、特に加工性の悪いBRとシリカが配合されている系で破壊強度(破壊エネルギー)が低下するという問題がある。かかる問題は、特に長期にわたって使用した場合の力学特性の低下(熱老化後の破壊強度(破壊エネルギー)及び破断伸びの低下等)に関して深刻な問題となる場合がある。
更に、昨今のより強い低燃費化への要求に対しては、従来のポリスルフィドシラン等のシランカップリング剤では、効果が不十分との指摘もある。また、従来のポリスルフィドシラン等のシランカップリング剤は、ある程度以上の粒径を有するシリカには効果があるが、微粒子のシリカには効果が低いという問題もあった。
上記問題を解決するために、シランカップリング剤として、ポリスルフィドシランの代わりに、(保護化)メルカプトシランや、ニトリルオキシド構造を有するカップリング剤を配合することが知られている。しかし、(保護化)メルカプトシランやニトリルオキシド構造を有するカップリング剤をトレッド用ゴム組成物に使用した場合、従来のポリスルフィドシランを使用した場合に比べて、低燃費性は改善されるものの、コストが増大する、スコーチタイムが短くなってやけが発生する可能性がある等の問題があった。
(保護化)メルカプトシラン、ニトリルオキシド構造を有するカップリング剤を、NR、イソプレンゴム(IR)、BR等の低極性ゴムのみをゴム成分として含むゴム組成物に用いた場合は、SBR等の比較的極性のあるゴムのみをゴム成分として含むゴム組成物に用いた場合に比べると、スコーチタイムは長くなる(改善される)。しかし、低極性ゴムと比較的極性のあるゴムとをブレンドして用いる(併用する)場合、スコーチタイムについて未だ改善の余地がある。
また、低極性ゴムと比較的極性のあるゴムとを併用し、シリカを配合した場合の熱老化後の破壊強度(破壊エネルギー)及び破断伸びの低下に関して、(保護化)メルカプトシランやニトリルオキシド構造を有するカップリング剤を用いた場合に改善はされるものの、未だ改善の余地がある。
特開2002−363346号公報
本発明は、前記課題を解決し、低極性ゴムと比較的極性のあるゴムとを併用した場合であっても、スコーチタイムの短縮を抑制でき、低燃費性、熱老化後の力学特性(引張強度、破断伸び、破壊強度(破壊エネルギー))、耐摩耗性、ウェットグリップ性能、操縦安定性がバランスよく得られるタイヤ用ゴム組成物、及びこれを用いた空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、低極性ゴムと比較的極性のあるゴムとを併用し、シリカを含むゴム組成物において、低極性ゴム中にシリカを分散させるのに適したシランカップリング剤と、比較的極性のあるゴム中にシリカを分散させるのに適したシランカップリング剤とを併用することにより、ゴム組成物中でのシリカの分散性が向上し、上記課題を解決できるのではないかとの仮説に想到した。そして、さらに検討を重ねた結果、低極性ゴムと比較的極性のあるゴムとを併用した場合であっても、ポリスルフィドシランと共に、特定のシランカップリング剤を併用することにより、スコーチタイムの短縮を抑制でき、さらに、熱老化後の力学特性(引張強度、破断伸び、破壊強度(破壊エネルギー))を向上でき、低燃費性、熱老化後の力学特性、耐摩耗性、ウェットグリップ性能、操縦安定性がバランスよく得られることを見出した。このポリスルフィドシランと共に、特定のシランカップリング剤を併用したことにより得られる熱老化後の力学特性の向上効果は、ポリスルフィドシラン又は特定のシランカップリング剤を単独で使用した場合に比べて非常に優れており、当業者の予測を超えるものである。
本発明は、ガラス転移温度が−58℃以下のゴム(1)と、ガラス転移温度が−55℃以上のゴム(2)とを含むゴム成分と、シリカと、下記式(1)で表されるシランカップリング剤(1)と、メルカプト基を有するシランカップリング剤(2)及び/又は窒素原子を有するシランカップリング剤(3)とを含み、前記シランカップリング剤(3)が、窒素原子を含む部分Aと、酸素原子若しくは硫黄原子を含む4〜6員環の窒素含有複素環部分B及び/又はアルコキシシリル基を有する部分Cとを有し、前記部分Aが、R−C(R)=N(R)→O及び/又はR−C≡N→Oであり、該R〜Rは、同一若しくは異なって、水素原子、炭素数が20以下の基、又は前記部分B若しくは前記部分Cに結合する結合基であり、R〜Rの少なくとも1つが前記部分B又は前記部分Cに結合しているタイヤ用ゴム組成物に関する。
Figure 2011219541
(式(1)中、nは1〜3の整数、mは1〜9の整数、zは1以上の整数を表す。)
上記シランカップリング剤(2)が、下記一般式(2)で示される結合単位Aと下記一般式(3)で示される結合単位Bとの合計量に対して、結合単位Bを1〜70モル%の割合で共重合したものであることが好ましい。
Figure 2011219541
Figure 2011219541
(式(2)、(3)中、x、yはそれぞれ1以上の整数である。Rは水素、ハロゲン、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基若しくはアルキレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基若しくはアルケニレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニル基若しくはアルキニレン基、又は該アルキル基若しくは該アルケニル基の末端の水素が水酸基若しくはカルボキシル基で置換されたものを示す。Rは水素、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキレン基若しくはアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニレン基若しくはアルケニル基、又は分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニレン基若しくはアルキニル基を示す。RとRとで環構造を形成してもよい。)
CTAB比表面積が180m/g以上、BET比表面積が185m/g以上のシリカ(1)と、CTAB比表面積が95m/g以下、BET比表面積が100m/g以下のシリカ(2)とを含むことが好ましい。
上記タイヤ用ゴム組成物は、上記ゴム(1)を含むゴム成分と、シリカと、上記シランカップリング剤(2)及び/又は上記シランカップリング剤(3)とを混練し、混練物を得る第一混練工程と、上記ゴム(2)を含むゴム成分と、シリカと、上記シランカップリング剤(1)とを混練し、混練物を得る第二混練工程と、上記第一混練工程により得られた混練物と上記第二混練工程により得られた混練物とを混練する第三混練工程により得られることが好ましい。
上記タイヤ用ゴム組成物は、トレッド用ゴム組成物として用いられることが好ましい。
上記タイヤ用ゴム組成物は、サイドウォール用ゴム組成物として用いられることが好ましい。
上記タイヤ用ゴム組成物は、クリンチ用ゴム組成物として用いられることが好ましい。
本発明はまた、上記ゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤに関する。
本発明によれば、ガラス転移温度が−58℃以下のゴム(1)(低極性ゴム)と、ガラス転移温度が−55℃以上のゴム(2)(比較的極性のあるゴム)とを含むゴム成分と、シリカと、上記式(1)で表されるシランカップリング剤(1)(比較的極性のあるゴム中にシリカを分散させるのに適したシランカップリング剤)と、メルカプト基を有するシランカップリング剤(2)(低極性ゴム中にシリカを分散させるのに適したシランカップリング剤)及び/又は窒素原子を有する特定のシランカップリング剤(3)(低極性ゴム中にシリカを分散させるのに適したシランカップリング剤)とを含むタイヤ用ゴム組成物であるので、スコーチタイムの短縮を抑制でき、さらに、熱老化後の力学特性(引張強度、破断伸び、破壊強度(破壊エネルギー))を向上でき、低燃費性、熱老化後の力学特性、耐摩耗性、ウェットグリップ性能、操縦安定性がバランスよく得られる。該タイヤ用ゴム組成物をタイヤの各部材(特に、トレッド(キャップトレッド、ベーストレッド)、サイドウォール、クリンチ)に用いることにより、低燃費性、熱老化後の力学特性、耐摩耗性、ウェットグリップ性能、操縦安定性のバランス(特に、熱老化後の力学特性)に優れた空気入りタイヤを提供できる。
本発明では、上記構成を採用することにより、低極性ゴム(ゴム(1))中にも、シリカを良好に分散させることができる。さらに、低極性ゴム(ゴム(1))中にシリカを分散させるのに適したシランカップリング剤(シランカップリング剤(2)及び/又はシランカップリング剤(3))のみを用いる場合に比べて、特に比較的極性のあるゴム(ゴム(2))とかかるシランカップリング剤(シランカップリング剤(2)、シランカップリング剤(3))の間で起こりやすいスコーチの問題(スコーチタイムの短縮)を改善できる。さらに、一般的に高価である低極性ゴム中にシリカを分散させるのに適したシランカップリング剤(シランカップリング剤(2)、シランカップリング剤(3))の使用量を削減することができる。また、各々のゴム(ゴム(1)、ゴム(2))に適したシランカップリング剤を配合しているので、ゴム組成物全体としてシリカの分散が良好になると共に、熱老化後の力学特性(引張強度、破断伸び、破壊強度(破壊エネルギー))を飛躍的に向上させることができるものと推測される。
細孔分布曲線を示す図である。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、ガラス転移温度が−58℃以下のゴム(1)(低極性ゴム)と、ガラス転移温度が−55℃以上のゴム(2)(比較的極性のあるゴム)とを含むゴム成分と、シリカと、上記式(1)で表されるシランカップリング剤(1)(比較的極性のあるゴム中にシリカを分散させるのに適したシランカップリング剤)と、メルカプト基を有するシランカップリング剤(2)(低極性ゴム中にシリカを分散させるのに適したシランカップリング剤)及び/又は窒素原子を有する特定のシランカップリング剤(3)(低極性ゴム中にシリカを分散させるのに適したシランカップリング剤)とを含む。
(ゴム成分)
本発明では、ゴム成分としてガラス転移温度(Tg)が−58℃以下のゴム(1)(低極性ゴム(低極性ジエン系ゴム))と、ガラス転移温度(Tg)が−55℃以上のゴム(2)(比較的極性のあるゴム(比較的極性のあるジエン系ゴム))とを含む。
(ゴム(1))
ゴム(1)のTgは、−58℃以下、好ましくは−65℃以下、より好ましくは−70℃以下である。なお、本明細書において単に低極性ゴムと記載する場合には、Tgが−58℃以下のゴムを意味することとする。
また、本明細書におけるTgは、JIS−K7121に従い、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製の示差走査熱量計(Q200)を用いて、昇温速度10℃/分の条件で測定した値である。
ゴム(1)としては、NR、IR、BR等のジエン系ゴムやブチルゴム(IIR)、シリコーンゴム(Q)等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なお、NRは、上記ゴム(1)のTgの数値範囲を満たす範囲で、改質(例えば、エポキシ化、水素添加、グラフト化等)されていてもよい。なかでも、天然資源であり、環境に配慮できると共に、加工性に優れるという理由から、NRが好ましい。また、トレッドやクリンチに求められる耐摩耗性、サイドウォールやトレッドに求められる耐クラック性が良好であるという理由からBRが好ましい。また、NRとBRを併用することがより好ましい。
ゴム成分100質量%中のゴム(1)の含有量は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上である。30質量%未満では、耐摩耗性や転がり抵抗が悪化する可能性がある。
上記ゴム(1)の含有量は、好ましくは85質量%以下、より好ましくは70質量%以下、更に好ましくは60質量%以下である。85質量%を超えると、トレッド用としては、ウェットグリップ性能が悪化したり、トレッド、サイドウォール、クリンチ用としては、耐屈曲亀裂成長性が悪化したりする場合がある。
NRとしては、RSS♯3、TSR20などのゴム工業において一般的なものを使用することができる。
本発明のゴム組成物がNRを含有する場合、ゴム成分100質量%中のNRの含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上である。10質量%未満であると、必要な力学特性(機械的強度)の向上や耐摩耗性、耐屈曲亀裂成長性、を得ることが難しくなる場合がある。更には、BR等の更に低極性のゴムとのブレンドでトレッド用に用いる場合は、上記未満の量であると、十分なウェットグリップ性能が得られない恐れがある。上記NRの含有量は、好ましくは85質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは30質量%以下、最も好ましくは25質量%以下である。85質量%を超えると、相対的にBRやガラス転移温度が−55℃以上のゴム(2)等の配合比率が少なくなり、必要なウェットグリップ性能や耐屈曲亀裂成長性、耐摩耗性を得ることが難しくなる場合がある。
BRとしては特に限定されず、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。なかでも、シス含量が80質量%以上のものを用いることが好ましい。これにより、耐摩耗性、耐クラック性をより良好とすることができる。シス含量は、85質量%以上がより好ましく、90質量%以上が更に好ましく、95質量%以上が最も好ましい。また、BRとして、変性された変性BRを使用してもよい。
変性BRとしては、タイヤ工業において一般的に使用されるBRを変性剤で処理したものを使用することができる。上記変性剤としては、3−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルエチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、四塩化スズ、ブチルスズトリクロライド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記変性剤による変性方法としては、特公平6−53768号公報、特公平6−57767号公報等に記載されている方法等、従来公知の手法を用いることができる。
本発明のゴム組成物がBRを含有する場合、ゴム成分100質量%中のBRの含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは25質量%以上である。10質量%未満であると、必要な耐摩耗性や耐クラック性を得ることが難しくなる。上記BRの含有量は、好ましくは85質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは40質量%以下、特に好ましくは35質量%以下である。85質量%を超えると、相対的にNRやガラス転移温度が−55℃以上のゴム(2)等の配合比率が少なくなり、必要な力学特性(機械的強度)の向上やウェットグリップ性能を得ることが難しくなる場合がある。
(ゴム(2))
ゴム(2)のTgは−55℃以上、好ましくは−50℃以上、より好ましくは−40℃以上、更に好ましくは−30℃以上である。なお、本明細書において単に比較的極性のあるゴムと記載する場合には、Tgは−55℃以上のゴムを意味することとする。
ゴム(2)としては、SBR、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、ハロゲン化天然ゴム、エポキシ化ブタジエンゴム等のジエン系ゴムが挙げられる。なかでも、ウェットグリップ性能を向上させる能力が高い、安価である、種々の構造因子を制御することにより目的に適した特性のものを設計出来る、NRやBRとブレンドする場合の接着性が、他の高極性ゴムを用いた場合より良いという理由から、SBRが好ましい。
SBRとしては、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E−SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S−SBR)が挙げられる。また、SBRとして、変性された変性SBRを使用してもよい。
変性SBRとしては、タイヤ工業において一般的に使用されるSBR(上記S−SBRなど)を変性剤で処理したものを使用することができる。変性剤及び変性方法は、変性BRの場合と同様のものを使用することができる。
ゴム成分100質量%中のゴム(2)の含有量は、好ましくは15質量%以上、より好ましくは25質量%以上、更に好ましくは30質量%以上、特に好ましくは40質量%以上である。15質量%未満では、トレッド用とした場合に充分なグリップ性能(ウェットグリップ性能)を得られないおそれがある。
上記ゴム(2)の含有量は、好ましくは85質量%以下、より好ましくは70質量%以下、更に好ましくは60質量%以下である。85質量%を超えると、相対的に上記ゴム(1)の比率が低くなり、耐摩耗性やスコーチタイム(耐スコーチ性)に関して問題が生じる可能性がある。
(シリカ)
本発明では、シリカが使用される。シリカを配合することにより、低燃費性、ウェットグリップ性能が改善される。また、加硫が遅くなり、下記式(1)で表されるシランカップリング剤(1)と、メルカプト基を有するシランカップリング剤(2)及び/又は窒素原子を有するシランカップリング剤(3)を用いた場合の耐スコーチ性が改善される。
シリカとしては、例えば、乾式法シリカ(無水シリカ)、湿式法シリカ(含水シリカ)などが挙げられる。なかでも、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。シリカは、1種類のシリカを使用してもよく、2種以上のシリカを併用してもよい。
シリカのCTAB(セチルトリメチルアンモニウムブロミド)比表面積は、好ましくは10m/g以上、より好ましくは35m/g以上、更に好ましくは80m/g以上、特に好ましくは100m/g以上である。CTAB比表面積が10m/g未満であると、補強性が低すぎて、タイヤ用ゴム組成物に必要な力学強度や耐摩耗性を確保することが難しくなる傾向がある。該CTAB比表面積は、好ましくは600m/g以下、より好ましくは300m/g以下、更に好ましくは250m/g以下、特に好ましくは150m/g以下である。CTAB比表面積が600m/gを超えると、分散性に劣り、凝集してしまうため物性が低下する傾向がある。
なお、本明細書においてCTAB比表面積は、ASTM D3765−92に準拠して測定される。
シリカのBET比表面積は、好ましくは10m/g以上、より好ましくは35m/g以上、更に好ましくは80m/g以上、特に好ましくは100m/g以上である。BET比表面積が10m/g未満であると、補強性が低すぎて、タイヤ用ゴム組成物に必要な力学強度や耐摩耗性を確保することが難しくなる傾向がある。該BET比表面積は、好ましくは600m/g以下、より好ましくは300m/g以下、更に好ましくは260m/g以下、特に好ましくは150m/g以下である。BET比表面積が600m/gを超えると、分散性に劣り、凝集してしまうため、物性が低下する傾向がある。
なお、本明細書においてシリカのBET比表面積は、ASTM D3037−81に準じて測定される。
また、スコーチタイムの短縮を抑制でき、更に、低燃費性を向上できるという理由から、以下のシリカ(1)とシリカ(2)を併用することが好ましい。
(シリカ(1))
シリカ(1)として、CTAB比表面積が180m/g以上、BET比表面積が185m/g以上のシリカ(以下、「微粒子シリカ」ともいう)を使用することが好ましい。このような微粒子シリカをゴム中に良好に分散させることによって、優れた耐摩耗性、ウェットグリップ性能、ドライグリップ性能が得られ、また、転がり抵抗を低くできる。
微粒子シリカのCTAB(セチルトリメチルアンモニウムブロミド)比表面積は、好ましくは180m/g以上、より好ましくは190m/g以上、更に好ましくは195m/g以上、特に好ましくは197m/g以上である。CTAB比表面積が180m/g未満であると、力学特性(機械的強度)、耐摩耗性の充分な向上が得られにくくなる傾向がある。該CTAB比表面積は、好ましくは600m/g以下、より好ましくは300m/g以下、更に好ましくは250m/g以下である。CTAB比表面積が600m/gを超えると、分散性に劣り、凝集してしまうため、物性が低下する傾向がある。
微粒子シリカのBET比表面積は、好ましくは185m/g以上、より好ましくは190m/g以上、更に好ましくは195m/g以上、特に好ましくは210m/g以上である。BET比表面積が185m/g未満であると、力学特性(機械的強度)、耐摩耗性の充分な向上が得られにくくなる。該BET比表面積は、好ましくは600m/g以下、より好ましくは300m/g以下、更に好ましくは260m/g以下である。BET比表面積が600m/gを超えると、分散性に劣り、凝集してしまうため、物性が低下する傾向がある。
微粒子シリカのアグリゲートサイズは、好ましくは30nm以上、より好ましくは35nm以上、更に好ましくは40nm以上、特に好ましくは45nm以上、最も好ましくは50nm以上、より最も好ましくは55nm以上、更に最も好ましくは60nm以上である。また、該アグリゲートサイズは、好ましくは100nm以下、より好ましくは80nm以下、更に好ましくは70nm以下、特に好ましくは65nm以下である。このようなアグリゲートサイズを有することにより、良好な分散性を有しながら、優れた補強性、耐摩耗性を与えることができる。
アグリゲートサイズは、凝集体径又は最大頻度ストークス相当径とも呼ばれているものであり、複数の一次粒子が連なって構成されるシリカの凝集体を一つの粒子と見なした場合の粒子径に相当するものである。アグリゲートサイズは、例えば、BI−XDC(Brookhaven Instruments Corporation製)等のディスク遠心沈降式粒度分布測定装置を用いて測定できる。
具体的には、BI−XDCを用いて以下の方法にて測定できる。
3.2gのシリカ及び40mLの脱イオン水を50mLのトールビーカーに添加し、シリカ懸濁液を含有するビーカーを氷充填晶析装置内に置く。ビーカーを超音波プローブ(1500ワットの1.9cmVIBRACELL超音波プローブ(バイオブロック社製、最大出力の60%で使用))を使用して懸濁液を8分間砕解し、サンプルを調製する。サンプル15mLをディスクに導入し、撹拌するとともに、固定モード、分析時間120分、密度2.1の条件下で測定する。
装置の記録器において、16質量%、50質量%(又は中央値)及び84質量%の通過直径の値、及びモードの値を記録する。(累積粒度曲線の導関数は、分布曲線にモードと呼ばれるその最大の横座標を与える。)
このディスク遠心沈降式粒度分析法を使用して、シリカを水中に超音波砕解によって分散させた後に、Dとして表される粒子(凝集体)の重量平均径(アグリゲートサイズ)を測定できる。分析(120分間の沈降)後に、粒度の重量分布を粒度分布測定装置によって算出する。Dとして表される粒度の重量平均径は、以下の式によって算出される。
Figure 2011219541
(式中、mは、Dのクラスにおける粒子の全質量である。)
微粒子シリカの平均一次粒子径は、好ましくは25nm以下、より好ましくは22nm以下、更に好ましくは17nm以下、特に好ましくは14nm以下である。該平均一次粒子径の下限は特に限定されないが、好ましくは3nm以上、より好ましくは5nm以上、更に好ましくは7nm以上である。このような小さい平均一次粒子径を有しているものの、上記のアグリゲートサイズを有するカーボンブラックのような構造により、シリカの分散性をより改善でき、補強性、耐摩耗性を更に改善できる。
なお、微粒子シリカの平均一次粒子径は、透過型又は走査型電子顕微鏡により観察し、視野内に観察されたシリカの一次粒子を400個以上測定し、その平均により求めることができる。
微粒子シリカのD50は、好ましくは7.0μm以下、より好ましくは5.5μm以下、更に好ましくは4.5μm以下である。7.0μmを超えると、シリカの分散性がかえって悪くなっていることを示す。該微粒子シリカのD50は、好ましくは2.0μm以上、より好ましくは2.5μm以上、更に好ましくは3.0μm以上である。2.0μm未満であると、アグリゲートサイズも小さくなり、微粒子シリカとしては充分な分散性を得にくくなる傾向がある。
ここで、D50は、微粒子シリカの中央直径であって粒子の50質量%がその中央直径よりも小さい。
また、微粒子シリカは、粒子径が18μmより大きいものの割合が6質量%以下が好ましく、4質量%以下がより好ましく、1.5質量%以下が更に好ましい。これにより、シリカの良好な分散性が得られ、所望の性能が得られる。
なお、微粒子シリカのD50、所定の粒子径を有するシリカの割合は、以下の方法により測定される。
凝集体の凝集を予め超音波砕解されたシリカの懸濁液について、粒度測定(レーザー回折を使用)を実施することによって評価する。この方法では、シリカの砕解性(0.1〜数10ミクロンのシリカの砕解)が測定される。超音波砕解を、19mmの直径のプローブを装備したバイオブロック社製VIBRACELL音波発生器(600W)(最大出力の80%で使用)を使用して行う。粒度測定は、モールバーンマスターサイザー2000粒度分析器でのレーザー回折によって行う。
具体的には、以下の方法により測定される。
1グラムのシリカをピルボックス(高さ6cm及び直径4cm)中で秤量し、脱イオン水を添加して質量を50グラムにし、2%のシリカを含有する水性懸濁液(これは2分間の磁気撹拌によって均質化される)を調製する。次いで、超音波砕解を420秒間実施し、更に、均質化された懸濁液の全てが粒度分析器の容器に導入された後に、粒度測定を行う。
微粒子シリカの細孔容積の細孔分布幅Wは、好ましくは0.3以上、より好ましくは0.7以上、更に好ましくは1.0以上、特に好ましくは1.3以上、最も好ましくは1.5以上である。また、該細孔分布幅Wは、好ましくは5.0以下、より好ましくは4.0以下、更に好ましくは3.0以下、特に好ましくは2.0以下である。このようなブロードなポーラスの分布により、シリカの分散性を改善でき、所望の性能が得られる。
なお、シリカの細孔容積の細孔分布幅Wは、以下の方法により測定できる。
微粒子シリカの細孔容積は、水銀ポロシメトリーによって測定される。シリカのサンプルをオーブン中で200℃で2時間予備乾燥させ、次いでオーブンから取り出した後、5分以内に試験容器内に置き、真空にする。細孔直径(AUTOPORE III 9420 粉体工学用ポロシメーター)は、ウォッシュバーンの式によって140°の接触角及び484ダイン/cm(又はN/m)の表面張力γで算出される。
細孔分布幅Wは、細孔直径(nm)及び細孔容量(mL/g)の関数で示される図1のような細孔分布曲線によって求めることができる。即ち、細孔容量のピーク値Ys(mL/g)を与える直径Xs(nm)の値を記録し、次いで、Y=Ys/2の直線をプロットし、この直線が細孔分布曲線と交差する点a及びbを求める。そして、点a及びbの横座標(nm)をそれぞれXa及びXbとしたとき(Xa>Xb)、細孔分布幅Wは、(Xa−Xb)/Xsに相当する。
微粒子シリカの細孔分布曲線中の細孔容量のピーク値Ysを与える直径Xs(nm)は、好ましくは10nm以上、より好ましくは15nm以上、更に好ましくは18nm以上、特に好ましくは20nm以上であり、また、好ましくは60nm以下、より好ましくは35nm以下、更に好ましくは28nm以下、特に好ましくは25nm以下である。上記範囲内であれば、分散性と補強性に優れた微粒子シリカを得ることができる。
(シリカ(2))
シリカ(2)として、CTAB比表面積が95m/g以下、BET比表面積が100m/g以下のシリカを使用することが好ましい。このような特性のシリカをゴム中に良好に分散させることによって、良好な低燃費性が得られる。
シリカ(2)のCTAB(セチルトリメチルアンモニウムブロミド)比表面積は、好ましくは10m/g以上、より好ましくは20m/g以上、更に好ましくは30m/g以上である。CTAB比表面積が10m/g未満であると、補強性が低すぎて、タイヤ用ゴム組成物に必要な力学強度や耐摩耗性を確保することが難しくなる傾向がある。該CTAB比表面積は、好ましくは95m/g以下、より好ましくは80m/g以下、更に好ましくは60m/g以下である。CTAB比表面積が95m/gを超えると、シリカの分散性が悪くなり転がり抵抗低減効果と補強性・力学強度・耐摩耗性を両立することが難しくなる傾向がある。
シリカ(2)のBET比表面積は、好ましくは10m/g以上、より好ましくは20m/g以上、更に好ましくは30m/g以上である。BET比表面積が10m/g未満であると、補強性が低すぎて、タイヤ用ゴム組成物に必要な力学強度や耐摩耗性を確保することが難しくなる傾向がある。該BET比表面積は、好ましくは100m/g以下、より好ましくは80m/g以下、更に好ましくは60m/g以下である。BET比表面積が100m/gを超えると、シリカの分散性が悪くなり転がり抵抗低減効果と補強性・力学強度・耐摩耗性を両立することが難しくなる傾向がある。
シリカ(1)(上記微粒子シリカ)の配合量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは15質量部以上、更に好ましくは20質量部以上、特に好ましくは40質量部以上である。5質量部未満であると、充分な補強性、力学特性(機械的強度)、耐摩耗性が得られないおそれがある。該微粒子シリカ(シリカ(1))の配合量は、好ましくは150質量部以下、より好ましくは100質量部以下、更に好ましくは60質量部以下である。100質量部を超えると、加工性が悪化するとともに、良好な分散性を確保するのが困難となるおそれがある。
シリカ(2)の配合量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは15質量部以上、更に好ましくは20質量部以上である。5質量部未満では、分散性改善効果が得にくく、転がり抵抗低減効果と補強性・力学強度・耐摩耗性を両立することが難しくなる傾向がある。また、シリカ(2)の配合量は、好ましくは150質量部以下、より好ましくは80質量部以下、更に好ましくは60質量部以下、特に好ましくは30質量部以下である。150質量部を超えると、熱老化後の力学特性(引張強度、破断伸び、破壊強度(破壊エネルギー))、耐摩耗性、ウェットグリップ性能、操縦安定性が悪化する傾向がある。また、シリカが多すぎて加工することが難しくなると共に、相対的にシリカ(1)の配合可能量が減り、補強性や力学強度を確保することが難しくなる。
シリカを1種又は2種以上使用する場合、シリカの合計配合量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは20質量部以上、より好ましくは30質量部以上、更に好ましくは50質量部以上、特に好ましくは65質量部以上である。20質量部未満では、十分な補強性を得ることが難しくなる傾向がある。また、硬度を得るために、シリカ以外の補強剤としてカーボンブラック等の配合量を増やす必要があり、転がり抵抗特性の点で好ましくない。また、シリカの合計配合量は、好ましくは150質量部以下、より好ましくは100質量部以下、更に好ましくは85質量部以下である。150質量部を超えると、加工性が悪化する傾向がある。
(シランカップリング剤)
本発明では、下記式(1)で表されるシランカップリング剤(1)(比較的極性のあるゴム中にシリカを分散させるのに適したシランカップリング剤)と、メルカプト基を有するシランカップリング剤(2)(低極性ゴム中にシリカを分散させるのに適したシランカップリング剤)及び/又は窒素原子を有する特定のシランカップリング剤(3)(低極性ゴム中にシリカを分散させるのに適したシランカップリング剤)とを併用する。これにより、スコーチタイムの短縮を抑制でき、さらに、熱老化後の力学特性(引張強度、破断伸び、破壊強度(破壊エネルギー))を向上でき、低燃費性、熱老化後の力学特性(引張強度、破断伸び、破壊強度(破壊エネルギー))、耐摩耗性、ウェットグリップ性能、操縦安定性がバランスよく得られる。
上記微粒子シリカ(シリカ(1))と、シランカップリング剤(2)及び/又はシランカップリング剤(3)とを併用することにより、微粒子シリカが良好に分散され、ゴム(1)(低極性ゴム)を含むゴム組成物を良好に補強でき、力学特性(引張強度、破断伸び、破壊強度(破壊エネルギー))をより向上できる。また、微粒子シリカ(シリカ(1))と共に配合することにより、シランカップリング剤(2)及び/又はシランカップリング剤(3)の欠点である耐スコーチ性を改善することが出来る。
(シランカップリング剤(1))
下記式(1)で表されるシランカップリング剤(1)は、従来からシリカとともに使用されるシランカップリング剤(ポリスルフィドシラン)である。シランカップリング剤(1)(比較的極性のあるゴム中にシリカを分散させるのに適したシランカップリング剤)を配合することにより、ゴム(2)(比較的極性のあるゴム)中にシリカを良好に分散でき、ウェットグリップ性能を保持し、更に耐屈曲亀裂成長性を保持したまま良好な転がり抵抗特性と補強性を確保することが出来る。
Figure 2011219541
(式(1)中、nは1〜3の整数、mは1〜9の整数、zは1以上の整数を表す。)
式(1)中、nは1〜3の整数であり、2が好ましい。nが4以上では、カップリング反応が遅くなる傾向がある。
また、mは1〜9の整数であり、1〜5が好ましく、3がより好ましい。mが0では、合成が困難である傾向があり、10以上でも、合成が困難である傾向がある。
さらに、zは1以上の整数であり、2〜8が好ましく、2〜5がより好ましい。zが8をこえると、貯蔵安定性が低下する傾向がある。
上記式(1)で表されるシランカップリング剤(1)としては、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(エボニックデグッサ社製のSi69)、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(エボニックデグッサ社製のSi266)等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シランカップリング剤(1)の配合量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは1.0質量部以上、より好ましくは2.0質量部以上、更に好ましくは、5.0質量部以上である。1.0質量部未満では、かかるゴム中でシリカを良好に分散させることが難しくなる傾向がある。また、上記配合量は、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。20質量部をこえると、それ以上添加量を増やしても、シリカの分散を向上させる効果が得られず、コストが増大する傾向がある。
なお、2種以上のシリカを配合する場合、シランカップリング剤の配合量は、シリカの合計配合量に対する量をいう。
(シランカップリング剤(2))
メルカプト基を有するシランカップリング剤(2)(低極性ゴム中にシリカを分散させるのに適したシランカップリング剤)を配合することにより、ゴム(1)(低極性ゴム)中にシリカを良好に分散でき、かかるゴムを効果的に補強し、良好な力学物性を得ることが出来るとともに、良好な転がり抵抗を両立することが出来る。なお、本明細書において、メルカプト基を有するとは、SH基を有するということを意味し、保護化SH基であるSR基(Rは保護基)はメルカプト基に含まれない。
メルカプト基を有するシランカップリング剤(2)としては、例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学社製のKBM−802)、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製のKBM−803)、下記一般式(2)で示される結合単位Aと下記一般式(3)で示される結合単位Bとの合計量に対して、結合単位Bを1〜70モル%の割合で共重合したもの(下記(上記)構造のシランカップリング剤ともいう)等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、下記構造のシランカップリング剤が好ましい。
Figure 2011219541
Figure 2011219541
(式(2)、(3)中、x、yはそれぞれ1以上の整数である。Rは水素、ハロゲン、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基若しくはアルキレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基若しくはアルケニレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニル基若しくはアルキニレン基、又は該アルキル基若しくは該アルケニル基の末端の水素が水酸基若しくはカルボキシル基で置換されたものを示す。Rは水素、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキレン基若しくはアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニレン基若しくはアルケニル基、又は分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニレン基若しくはアルキニル基を示す。RとRとで環構造を形成してもよい。)
上記構造のシランカップリング剤は、結合単位Aと結合単位Bのモル比が上記条件を満たすため、ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドなどのポリスルフィドシランに比べ、加工中の粘度上昇が抑制される。これは結合単位Aのスルフィド部分がC−S−C結合であるため、テトラスルフィドやジスルフィドに比べ熱的に安定であることから、ムーニー粘度の上昇が少ないためと考えられる。
また、結合単位Aと結合単位Bのモル比が上記条件を満たす場合、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプトシランに比べ、スコーチタイムの短縮が抑制される。これは、結合単位Bはメルカプトシランの構造を持っているが、結合単位Aの−C15部分が結合単位Bの−SH基を覆うため、ポリマーと反応しにくくなるためである。これにより、スコーチタイムが短くなりにくく、また、粘度が上昇しにくい。
のハロゲンとしては、塩素、臭素、フッ素などが挙げられる。
、Rの分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、へキシル基、へプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。該アルキル基の炭素数は、好ましくは1〜12である。
、Rの分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基、トリデシレン基、テトラデシレン基、ペンタデシレン基、ヘキサデシレン基、ヘプタデシレン基、オクタデシレン基等が挙げられる。該アルキレン基の炭素数は、好ましくは1〜12である。
、Rの分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基としては、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、1−オクテニル基等が挙げられる。該アルケニル基の炭素数は、好ましくは2〜12である。
、Rの分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニレン基としては、ビニレン基、1−プロペニレン基、2−プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、1−ペンテニレン基、2−ペンテニレン基、1−ヘキセニレン基、2−ヘキセニレン基、1−オクテニレン基等が挙げられる。該アルケニレン基の炭素数は、好ましくは2〜12である。
、Rの分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニル基としては、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、へプチニル基、オクチニル基、ノニニル基、デシニル基、ウンデシニル基、ドデシニル基等が挙げられる。該アルキニル基の炭素数は、好ましくは2〜12である。
、Rの分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニレン基としては、エチニレン基、プロピニレン基、ブチニレン基、ペンチニレン基、ヘキシニレン基、へプチニレン基、オクチニレン基、ノニニレン基、デシニレン基、ウンデシニレン基、ドデシニレン基等が挙げられる。該アルキニレン基の炭素数は、好ましくは2〜12である。
上記構造のシランカップリング剤において、結合単位Aの繰り返し数(x)と結合単位Bの繰り返し数(y)の合計の繰り返し数(x+y)は、3〜300の範囲が好ましい。この範囲内であると、結合単位Bのメルカプトシランを、結合単位Aの−C15が覆うため、スコーチタイムが短くなることを抑制できるとともに、シリカやゴム成分との良好な反応性を確保することができる。
上記構造のシランカップリング剤としては、例えば、Momentive社製のNXT−Z30、NXT−Z45、NXT−Z60等を使用することができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(シランカップリング剤(3))
窒素原子を有する特定のシランカップリング剤(3)(低極性ゴム中にシリカを分散させるのに適したシランカップリング剤)を配合することにより、ゴム(1)(低極性ゴム)中にシリカを良好に分散でき、かかるゴムを効果的に補強し、良好な力学物性を得ることが出来るとともに、良好な転がり抵抗を両立することが出来る。
シランカップリング剤(3)は、窒素原子を含む部分Aと、酸素原子若しくは硫黄原子を含む4〜6員環の窒素含有複素環部分B及び/又はアルコキシシリル基を有する部分Cとを有する。さらに、上記部分Aが、R−C(R)=N(R)→O(ニトロン系)、及び/又はR−C≡N→O(ニトリルオキサイド系)であり、該R〜Rは、同一若しくは異なって、水素原子、炭素数が20以下の基、又は上記部分B若しくは上記部分Cに結合する結合基であり、R〜Rの少なくとも1つが上記部分B又は上記部分Cに結合している。
シランカップリング剤(3)の上記部分Aがゴム成分の二重結合と反応し、上記部分B及び/又は上記部分Cがシリカのシラノール基と反応するため、シランカップリング剤(3)はシランカップリング剤として機能する。
上記部分AのR〜Rの炭素数が20以下の基において、炭素数が20を超えると、化合物自体の分子量が嵩み、ゴム成分との反応性が悪くなるおそれがある。
上記部分Aがニトロン系の場合にはR〜Rの少なくとも1つが、上記部分B又は上記部分Cと結合しており、シランカップリング剤(3)中に上記部分B及び/又は上記部分Cが複数存在していても良い。
上記部分Aがニトリルオキサイド系の場合にはRが上記部分B又は上記部分Cと結合している。
上記部分AのR〜Rの具体的な基又は結合基としては、水素原子、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜20(好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜3)のアルキル基、及び炭素数6〜20(好ましくは炭素数6〜12、より好ましくは炭素数6〜8)のアリール基(但し、芳香族環にはニトロ基、シアノ基、クロロ基、ブロモ基、アシル基、カルボニルアルキル基、アルキル基、及びアルコキシル基を有してよい。)、又はこれらからなる結合基である。上記アシル基、カルボニルアルキル基、及びアルコキシル基は、分岐鎖を有していてもよく、またシクロ環を有していてもよい。
分岐若しくは非分岐の炭素数1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、へキシル基、へプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。なかでも、メチル基、エチル基が好ましい。
炭素数6〜20のアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基等が挙げられる。なかでも、フェニル基が好ましい。
上記部分Bは、酸素原子又は硫黄原子を含む4〜6員環の窒素含有複素環部分である。上記部分Bとしては、例えば、オキゼチン系、チオゼチン系、オキサゾリン系、チアゾリン系、テトラヒドロオキサジン系、テトラヒドロチオキサジン系等の酸素原子又は硫黄原子を有する4〜6員環の窒素含有複素環が挙げられる。なかでも、下記式(I)〜(III)で表される4〜6員環の窒素含有複素環が好ましい。なかでも、構造式(II)で表されるオキサゾリン及びチアゾリンがより好ましい。
Figure 2011219541
(式(I)〜(III)中のDは、酸素原子又は硫黄原子を示す。R〜R12は、同一若しくは異なって、水素原子、炭素数が20以下の基、又は上記部分Aを結合する結合基を示し、R〜R12の少なくとも1つは結合基である。)
〜R12の炭素数が20以下の基としては、上記R〜Rの炭素数が20以下の基と同様の基を挙げることができる。
部分Aとの結合基を構成する場合、式(I)で表される窒素含有複素環では、R〜Rの少なくとも1つが、上記部分Aが有するR〜R(結合基)に相当する。式(II)で表される窒素含有複素環では、R〜R10の少なくとも1つが、上記部分Aが有するR〜R(結合基)に相当する。式(III)で表される窒素含有複素環では、R〜R12の少なくとも1つが、上記部分Aが有するR〜R(結合基)に相当する。なお、シランカップリング剤(3)中に上記部分Aが複数存在していても良い。
上記部分Cは、アルコキシシリル基を有する部分である。上記部分Cとしては、アルコキシシリル基を有すれば特に限定されず、例えば、下記式(IV)で表される基等が挙げられる。
Figure 2011219541
(式(IV)中、R13は、上記部分Aを結合する結合基を示す。pは1〜3の整数を示す。)
13は、上記部分Aが有するR〜Rのいずれか(結合基)に相当する。
pは1〜3の整数であり、2が好ましい。nが4以上では、カップリング反応が遅くなる傾向がある。
シランカップリング剤(3)としては、例えば、4−(2−オキサゾリル)−フェニル−N−メチル−ニトロン、4−(2−チアゾリル)−フェニル−N−メチル−ニトロン、4−(2−オキサゾリル)−フェニル−N−フェニル−ニトロン、4−(2−チアゾリル)−フェニル−N−フェニル−ニトロン、フェニル−N−4−(2−オキサゾリル)−フェニル−ニトロン、フェニル−N−4−(2−チアゾリル)−フェニル−ニトロン、4−トリル−N−4−(2−オキサゾリル)−フェニル−ニトロン、4−トリル−N−4−(2−チアゾリル)−フェニル−ニトロン、4−メトキシフェニル−N−4−(2−オキサゾリル)−フェニル−ニトロン、4−メトキシフェニル−N−4−(2−チアゾリル)−フェニル−ニトロン、4−(2−オキサゾリル)−フェニル−ニトリルオキシド、4−(2−チアゾリル)−フェニル−ニトリルオキシド、4−(2−オキサゾリル)−フェニル−N−メチル−ニトリルイミン、4−(2−チアゾリル)−フェニル−N−メチル−ニトリルイミン、4−(2−チアゾリル)−フェニル−ニトリルオキシド、4−(2−オキサゾリル)−フェニル−N−フェニル−ニトリルイミン、4−(2−チアゾリル)−フェニル−N−フェニル−ニトリルイミン、フェニル−N−4−(2−オキサゾリル)−フェニル−ニトリルイミン、フェニル−N−4−(2−チアゾリル)−フェニル−ニトリルイミン等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なかでも、4−(2−オキサゾリル)−フェニル−N−メチル−ニトロン(下記式(V)で表される化合物(4OPMN))、4−(2−オキサゾリル)−フェニル−N−フェニル−ニトロン(下記式(VI)で表される化合物(4OPPN))が好ましい。
Figure 2011219541
シランカップリング剤(3)は、過度の実験をしなくても製造できる。例えば、4OPPNに関しては後述する実施例に記載の製造方法により製造できる。また、4OPMNは、例えば、特開2008−143944号公報に記載の方法により製造できる。その他の化合物についても、他の開始物質及び中間物質を適宜選択すること等により製造することができる。
シランカップリング剤(2)及び/又はシランカップリング剤(3)の配合量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上である。0.5質量部未満であると、シリカを良好に分散させること、とりわけガラス転移温度が−65℃以下のゴム(1)中で、また特に、微粒子のシリカを分散させることが難しくなる傾向がある。また、該配合量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下、更に好ましくは5.0質量部以下、特に好ましくは3.0質量部以下、最も好ましくは2.0質量部以下である。20質量部を超えると、それ以上添加量を増やしても、シリカ(特に、シリカ(1))の分散を向上させる効果が得られず、コストが増大する。またスコーチタイムが短くなり、練りや押し出しでの加工性が悪化する傾向がある。
上記配合量は、シランカップリング剤(2)及びシランカップリング剤(3)を併用する場合は、合計配合量を意味する。また、2種以上のシリカを配合する場合、シランカップリング剤の配合量は、シリカの合計配合量に対する量をいう。
このように、本発明では、シランカップリング剤(1)と、シランカップリング剤(2)及び/又はシランカップリング剤(3)とを併用することにより、一般的に高価である低極性ゴム中にシリカを分散させるのに適したカップリング剤であるシランカップリング剤(2)、シランカップリング剤(3)の配合量を上記量とする(削減する)ことができる。
(芳香族ビニル重合体)
本発明のゴム組成物は、特定の芳香族ビニル重合体、即ち、α−メチルスチレン及び/又はスチレンを重合して得られる樹脂を含有することが好ましい。これにより、ウェットグリップ性能をより向上できる。なお、上記芳香族ビニル重合体は、ゴム成分には含まれない。
上記芳香族ビニル重合体では、芳香族ビニル単量体(単位)として、スチレン、α−メチルスチレンが使用され、それぞれの単量体の単独重合体、両単量体の共重合体のいずれでもよい。上記芳香族ビニル重合体としては、経済的で、加工しやすく、ウェットグリップ性能に優れていることから、α−メチルスチレンの単独重合体又はα−メチルスチレンとスチレンとの共重合体が好ましい。
上記芳香族ビニル重合体の軟化点(Softening Point)は、好ましくは100℃以下、より好ましくは92℃以下、更に好ましくは88℃以下である。100℃を超えると、耐摩耗性及び低温時のグリップ性能が悪化する傾向がある。また、該軟化点は、好ましくは30℃以上、より好ましくは60℃以上、更に好ましくは75℃以上である。30℃未満であると、ウェットグリップ性能が悪化する傾向がある。
なお、本明細書において、軟化点とは、JIS K 6220に規定される軟化点を環球式軟化点測定装置で測定し、球が降下した温度である。
上記芳香族ビニル重合体の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは500以上、より好ましくは800以上である。500未満では、転がり抵抗特性及びウェットグリップ性能の充分な改善効果が得られにくい傾向がある。また、上記芳香族ビニル重合体の重量平均分子量は、好ましくは3000以下、より好ましくは2000以下である。3000を超えると、転がり抵抗特性が悪化する傾向がある。
なお、本明細書において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)(東ソー(株)製GPC−8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMALTPORE HZ−M)による測定値を基に標準ポリスチレン換算により求めたものである。
上記芳香族ビニル重合体の配合量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、更に好ましくは3質量部以上である。0.5質量部未満であると、ウェットグリップ性能の充分な改善効果が得られにくい傾向がある。また、上記芳香族ビニル重合体の配合量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは30質量部以下、より好ましくは15質量部以下、更に好ましくは7質量部以下である。30質量部を超えると、転がり抵抗特性及び耐摩耗性が悪化する傾向がある。
本発明のゴム組成物には、上記成分以外にも、ゴム組成物の製造に一般に使用される配合剤、例えば、カーボンブラック等の補強用充填剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、各種老化防止剤、オイル、ワックス、加硫剤、加硫促進剤などを適宜配合することができる。
本発明のゴム組成物の製造方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、前記各成分をオープンロール、バンバリーミキサーなどのゴム混練装置を用いて混練し、その後加硫する方法等により製造できる。なお、より本願発明の効果が得られるという理由から、以下の方法により製造することが好ましい。
(第一混練工程)
第一混練工程では、例えば、ゴム(1)を含むゴム成分と、シリカと、シランカップリング剤(2)及び/又はシランカップリング剤(3)とをゴム混練装置を用いて混練し、混練物(1)を得る。第一混練工程では、ゴム成分と、シリカと、シランカップリング剤(2)及び/又はシランカップリング剤(3)に加えて、さらに、例えば、オイルを一緒に混練してもよい。また、シリカ(1)とシリカ(2)を併用する場合には、上記シリカ(1)(微粒子シリカ)を第一混練工程において混練することが好ましい。
(第二混練工程)
第二混練工程では、例えば、ゴム(2)を含むゴム成分と、シリカと、シランカップリング剤(1)とをゴム混練装置を用いて混練し、混練物(2)を得る。第二混練工程では、ゴム成分と、シリカと、シランカップリング剤(1)に加えて、さらに、例えば、オイルを一緒に混練してもよい。また、シリカ(1)とシリカ(2)を併用する場合には、上記シリカ(2)を第二混練工程において混練することが好ましい。
(第三混練工程)
第三混練工程では、例えば、第一混練工程により得られた混練物(1)と第二混練工程により得られた混練物(2)とをゴム混練装置を用いて混練し、混練物(3)を得る。第三混練工程では、混練物(1)、混練物(2)に加えて、さらに、カーボンブラック、ステアリン酸、酸化亜鉛、老化防止剤、ワックス、芳香族ビニル重合体等を一緒に混練してもよい。
(仕上げ練り工程)
仕上げ練り工程では、例えば、第三混練工程により得られた混練物(3)と、硫黄等の加硫剤や加硫促進剤等をゴム混練装置を用いて混練し、未加硫ゴム組成物を得る。
(加硫工程)
仕上げ練り工程により得られた未加硫ゴム組成物を135〜190℃で、120〜3分間加硫することにより、本発明のゴム組成物が得られる。
上記製造方法では、(A)ゴム(1)(低極性ゴム)と、低極性ゴム中にシリカを分散させるのに適したシランカップリング剤であるシランカップリング剤(2)及び/又はシランカップリング剤(3)との混練と、(B)ゴム(2)(比較的極性のあるゴム)と、比較的極性のあるゴム中にシリカを分散させるのに適したシランカップリング剤であるシランカップリング剤(1)との混錬を別々に行った後、得られた各混練物を混練する。そのため、各ゴム(ゴム(1)(低極性ゴム)、ゴム(2)(比較的極性のあるゴム))とそれに適したシランカップリング剤を効率良く反応させることができ、より良好なシリカの分散性を得ることができる。これによって、転がり抵抗の低減や耐スコーチ性の改善(スコーチタイムの短縮を抑制)、また、トレッド用に用いた場合は耐摩耗性、ウェットグリップ性能、操縦安定性の向上をより実現することができる。また、更に熱老化後の力学特性(引張強度、破断伸び、破壊強度(破壊エネルギー))を向上させることができる。
低極性ゴム中にシリカを分散させるのに適したシランカップリング剤であるシランカップリング剤(2)及び/又はシランカップリング剤(3)は、ゴム(1)(低極性ゴム)と、また、比較的極性のあるゴム中にシリカを分散させるのに適したシランカップリング剤であるシランカップリング剤(1)は、ゴム(2)(比較的極性のあるゴム)と、より反応していることが好ましい。各シランカップリング剤がどの様に反応しているのかはSiのNMR測定等により確認することができる。
本発明のゴム組成物は、ゴム(1)(低極性ゴム)相、ゴム(2)(比較的極性のあるゴム)相を含む2相以上から構成されている。
本発明のゴム組成物(加硫後)中のシリカの平均分散粒子径は、好ましくは90nm以下、より好ましくは75nm以下、更に好ましくは60nm以下、特に好ましくは50nm以下である。90nmを超えると、シリカの分散が良好とは言えず、破壊強度(破壊エネルギー)や耐摩耗性転がり抵抗特性が悪化する傾向がある。平均分散粒子径は、小さければ小さい程好ましいが、平均一次粒子径よりは大きくなってしまうため、一般には10nm以上、場合によっては、20nm以上や30nm以上となってしまう。本発明におけるシリカの平均分散粒子径とは、ゴム(1)(低極性ゴム)相中のシリカの平均分散粒子径、或いは、ゴム(2)(比較的極性のあるゴム)相中のシリカの平均分散粒子径を示すこともあるが、特に言及しない場合には、両相中のシリカの全平均分散粒子径(nm)に相当する数値のことを示す。
なお、本発明におけるこれらのシリカの平均分散粒子径は、実施例に記載の方法により測定される値である。
本発明のゴム組成物(加硫後)において、ゴム(1)(低極性ゴム)相中のシリカの平均分散粒子径と、ゴム(2)(比較的極性のあるゴム)相中のシリカの平均分散粒子径の比(ゴム(1)相中のシリカの平均分散粒子径/ゴム(2)相中のシリカの平均分散粒子径)は、上記比は、好ましくは2.0以下、より好ましくは1.7以下、更に好ましくは1.3以下、特に好ましくは1.2以下である。上記比が2.0を超えると、低極性ゴム中のシリカ分散が悪く破断強度等が低下する傾向がある。また、上記比は、好ましくは0.5以上、より好ましくは0.7以上、更に好ましくは0.9以上である。上記比が0.5未満であると、ゴム(2)(比較的極性のあるゴム)相中のシリカ分散が悪く、転がり抵抗特性や耐摩耗性が悪化する傾向がある。
なお、本発明におけるゴム(1)相中のシリカの平均分散粒子径と、ゴム(2)相中のシリカの平均分散粒子径、及び両者の比、更には両相中のシリカの全平均分散粒子径(nm)は、実施例に記載の方法により測定される値である。
本発明のゴム組成物は、タイヤの各部材(特に、トレッド(キャップトレッド、ベーストレッド)、サイドウォール、クリンチ)に好適に使用できる。
クリンチとは、サイドウォールの内方端に配されるゴム部であり、具体的には、例えば、特開2008−75066号公報の図1、特開2004−106796号公報の図1等に示される部材である。
本発明の空気入りタイヤ(空気入りラジアルタイヤ)は、上記ゴム組成物を用いて通常の方法によって製造される。すなわち、必要に応じて各種添加剤を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でタイヤの各部材(特に、トレッド(キャップトレッド、ベーストレッド)、サイドウォール、クリンチ)の形状に合わせて押し出し加工し、タイヤ成型機上にて通常の方法にて成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧してタイヤを製造できる。
本発明の空気入りタイヤは、乗用車用タイヤ、トラック・バス用タイヤ、二輪車用タイヤ、競技用タイヤ等として好適に用いられる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
製造例1(4−(2−オキサゾリル)−フェニル−N−フェニル−ニトロン(4OPPN)の製造)
クロロホルム300mlに15.0gの4−ホルミル−ベンゾイルクロライド(1当量)を攪拌混合した溶液に、クロロホルム200mlに10.9gの2−アミノエタノール(2当量)を加えた溶液を−10℃下で滴下して加えた。この溶液を25℃に2時間おいた後、白色沈殿物が濾過により除かれた。濾液はロータリーエバポレータにより乾燥させ、17.4gの黄色液である4−ホルミル−N−(2−ヒドロキシエチル)−ベンザミドを得た。
濃硫酸50mlに4−ホルミル−N−(2−ヒドロキシエチル)−ベンザミド17.4gを攪拌しながら滴下し、混合物を100℃で1時間加熱した。この溶液に20%水酸化ナトリウム及びクロロホルムの各500mlを攪拌混合しながら滴下し、温度を15℃以下に維持した。生成層が分離され乾燥されて、6.3gの4−(2−オキサゾリル)−ベンズアルデヒドを得た。
4−(2−オキサゾリル)−ベンズアルデヒド(1当量、6.3g)とN−フェニル−ヒドロキシアミン(1当量、3.9g)との混合物を100mlのエタノール中で30分間還流して、50ml量に濃縮した。水50mlの同量を添加して、混合物を冷蔵庫に5℃にて一昼夜冷却した。濾過分離及び乾燥により白色結晶が得られ、6.7gの4−(2−オキサゾリル)−フェニル−N−フェニルニトロンを生成した。
以下、実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
SBR:日本ゼオン(株)製のニポールNS116R。片末端をN−メチルピロリドンで変性したもの(変性S−SBR)(スチレン含有量:21質量%、Tg:−25℃)
BR:宇部興産(株)製のBR150B(シス含量:97質量%、ML1+4(100℃):40、25℃における5%トルエン溶液粘度:48cps、Mw/Mn:3.3、Tg:−90℃)
NR:RSS#3(Tg:−60℃)
シリカ1:エボニックデグッサ社製のウルトラジル360(CTAB比表面積:50m/g、BET比表面積:50m/g、平均一次粒子径:38nm、pH:9.0)(本発明のシリカ(2)に相当)
シリカ2:Rhodia社製のZeosil 1115MP(CTAB比表面積:105m/g、BET比表面積:115m/g、平均一次粒子径:25nm、アグリゲートサイズ:92nm、細孔分布幅W:0.63、細孔分布曲線中の細孔容量ピーク値を与える直径Xs:60.3nm、pH6.5)
シリカ3:Rhodia社製のZeosil Premium 200MP(CTAB比表面積200m/g、BET比表面積:220m/g、平均一次粒子径10:nm、アグリゲートサイズ:65nm、D50:4.2μm、18μmを超える粒子の割合:1.0質量%、細孔分布幅W:1.57、細孔分布曲線中の細孔容量ピーク値を与える直径Xs:21.9nm、pH6.5)(本発明のシリカ(1)に相当)
シランカップリング剤1:エボニックデグッサ社製のSi69(ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(本発明のシランカップリング剤(1)に相当))
シランカップリング剤2:Momentive社製のNXT−Z45(結合単位Aと結合単位Bとの共重合体(結合単位A:55モル%、結合単位B:45モル%)(本発明のシランカップリング剤(2)に相当)
シランカップリング剤3:上記製造例1により調製した4−(2−オキサゾリル)−フェニル−N−フェニル−ニトロン(4OPPN)(本発明のシランカップリング剤(3)に相当)
オイル:出光興産(株)製のダイアナプロセスオイルAH−24
カーボンブラック:キャボットジャパン(株)製のN110(NSA:130m/g)
芳香族ビニル重合体:Arizona chemical社製のSYLVARES SA85(α−メチルスチレンとスチレンとの共重合体、軟化点:85℃、Mw:1000)
ステアリン酸:日油(株)製の桐
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛2種
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C
ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックワックス
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤BBS:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS
加硫促進剤DPG:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD
実施例1〜7及び比較例1〜3
表1に示す配合内容に従い、1.7Lバンバリーミキサーを用いて、工程1に示す配合量の薬品を投入して、排出温度が約150℃となる様に5分間混練りした。更に、実施例2〜7に関しては、1.7Lバンバリーミキサーを用いて、別途工程2に記載の配合量の薬品を投入して、同じく排出温度が約150℃となる様に5分間混練りした。なお、実施例1、比較例1〜3では、工程2の混練は実施しなかった。その後、1.7Lバンバリーミキサーを用いて、工程1、工程2(実施例2〜7のみ)で得られた各混練物と、工程3に記載の配合量の薬品を投入して、排出温度が約150℃となる様に5分間混練りした。最後に、工程3で得られた混練物に、工程4に示す配合量の硫黄および加硫促進剤を加え、オープンロールを用いて、約80℃の条件下で3分混練りして、未加硫ゴム組成物を得た。
得られた未加硫ゴム組成物を170℃で15分間加硫することにより、加硫ゴム組成物を得た。
また、得られた未加硫ゴム組成物をトレッド形状に成形して、他のタイヤ部材とはりあわせ、170℃で15分間加硫することにより、試験用タイヤを作製した。
得られた未加硫ゴム組成物、加硫ゴム組成物、試験用タイヤを使用して、下記の評価を行った。それぞれの試験結果を表1に示す。
(転がり抵抗試験)
得られた加硫ゴム組成物から2mm×130mm×130mmのゴムスラブシートを作製し、そこから測定用試験片を切り出し、粘弾性スペクトロメーターVES((株)岩本製作所製)を用いて、温度50℃、初期歪10%、動歪2%、周波数10Hzの条件下で、各加硫ゴム組成物のtanδを測定し、比較例1の転がり抵抗指数を100として、下記計算式により、転がり抵抗特性をそれぞれ指数表示した。指数が小さいほど転がり抵抗が低く、低燃費性に優れることを示す。
(転がり抵抗指数)=(各配合のtanδ/比較例1のtanδ)×100
(熱老化後の引張強度、破断伸びと破壊エネルギー指数)
JIS K6251の「加硫ゴムおよび熱可塑性ゴム−引張特性の求め方」にしたがって、得られた加硫ゴム組成物から加硫ゴムスラブシートを作製し、該加硫ゴムスラブシートを100℃で72時間熱老化させた後、かかるスラブシートから打ち抜いたダンベルを用いて、引張強度(TB)と破断伸び(EB)を測定した。更に、引張強度×破断伸び/2により(熱老化後の)破壊エネルギーを計算し、各々比較例1の結果を100として指数表示した。なお、指数は各配合の上記各測定値を、比較例1の対応する測定値で割って、それに100をかけて求めた。
熱老化後の引張強度(TB)指数が大きいほど、熱老化後の引張強度に優れることを示す。熱老化後の破断伸び(EB)指数が大きいほど、熱老化後の破断伸びに優れることを示す。熱老化後の破壊エネルギー指数が大きいほど、熱老化後の破壊強度(破壊エネルギー)に優れることを示す。
(耐摩耗性試験(摩耗試験))
試験用タイヤを車に装着し、市街地を8000km走行した後の溝深さの減少量を測定し、溝深さが1mm減少するときの走行距離を算出した。さらに、比較例1の耐摩耗性指数を100とし、下記計算式により、各配合の溝深さの減少量を指数表示した。なお、耐摩耗性指数が大きいほど、耐摩耗性に優れることを示す。
(耐摩耗性指数)=(各配合で1mm溝深さが減るときの走行距離)/(比較例1のタイヤの溝が1mm減るときの走行距離)×100
(スコーチタイム)
得られた未加硫ゴム組成物について、JIS K6300の未加硫ゴム物理試験方法のムーニースコーチ試験の記述に従って試験を行い、130.0±0.5℃でのt5[分]を測定し、比較例1の結果を100として指数表示した。スコーチタイムが短くなるとやけの問題が起こる。今回の評価では、ムーニースコーチタイム指数が70以下となると、仕上げ練りや押し出し工程等で焼けの問題が起こる可能性を生じる。
(シリカ分散性)
得られた加硫ゴム組成物から2mm×130mm×130mmのゴムスラブシートを作製し、該ゴムスラブシートから測定用試験片を切り出し、JIS K6812「ポリオレフィン管、継手及びコンパウンドの顔料分散又はカーボン分散の評価方法」に準じて、加硫ゴム組成物中のシリカの凝集塊をカウントして、分散率(%)をそれぞれ算出して、比較例1の分散率を100として、シリカの分散率を指数表示した。シリカ分散指数が大きいほどシリカがより分散し、シリカの分散性に優れることを示す。
(シリカ分散性指数)=(各配合の分散率/比較例1の分散率)×100
(ウェットグリップ性能)
アンチロックブレーキシステム(ABS)評価試験により得られた制動性能をもとにして、ウェットグリップ性能を評価した。すなわち、1800cc級のABSが装備された乗用車に試験用タイヤを装着して、アスファルト路面(ウェット路面状態、スキッドナンバー約50)を実車走行させ、時速100km/hの時点でブレーキをかけ、乗用車が停止するまでの減速度を算出した。ここで、本発明でいう減速度とは、乗用車が停止するまでの距離である。そして、比較例1のウェットグリップ性能指数を100とし、下記計算式により、各配合の減速度をウェットグリップ性能指数として示した。なお、ウェットグリップ性能指数が大きいほど、ウェット路面における制動性能が良好であり、ウェットグリップ性能に優れることを示す。
(ウェットグリップ性能指数)=(比較例1の減速度)÷(各配合の減速度)×100
(ドライ操安性能指数)
上記車両を用いてドライ路面での発進、加速及び停止(ドライ路面における操縦安定性)について、テストドライバーにより官能評価を行った。官能評価は、比較例1を100とした基準とし、明らかに性能が向上したとテストドライバーが判断したものを120、これまで同クラス/同サイズタイヤでは、全く見られなかった良好なレベルであるものを140とするような基準で行った。
(ゴム(1)相中シリカの平均分散粒子径(nm)、ゴム(2)相中シリカの平均分散粒子径(nm)、ゴム(1)、ゴム(2)相中のシリカの平均分散粒子径の比(ゴム(1)相中のシリカの平均分散粒子径/ゴム(2)相中のシリカの平均分散粒子径)、両相中のシリカの全平均分散粒子径(nm))
上記シリカの各平均分散粒子径は、透過型電子顕微鏡により観察し、視野内に観察されたシリカの分散粒子塊(凝集体)を400個以上測定し、その凝集体径の数平均値(nm)を計算することにより求めた。
ゴム(1)(NR,BR)相中シリカの平均分散粒子径(nm)、ゴム(2)(SBR)相中シリカの平均分散粒子径(nm)については、各々染色により、ゴム(1)相、ゴム(2)相を区別し、各々の相の中で、上記手法により平均分散粒子径(nm)を測定することにより求めた。
また、ゴム(1)、ゴム(2)相中のシリカの平均分散粒子径の比については、 [ゴム(1)相中のシリカの平均分散粒子径]/[ゴム(2)相中のシリカの平均分散粒子径]を計算することにより求めた。
また、両相中のシリカの全平均分散粒子径(nm))は、ゴム(1)、ゴム(2)相中の各々の中での平均分散粒子径と、各々の相へのシリカの配合率(体積比率・分配率)をもとに算出した。
Figure 2011219541
比較例1では、低極性ゴム中にシリカを分散させるのに適したシランカップリング剤であるシランカップリング剤2、シランカップリング剤3を用いなかった。よって、シリカの分散性、転がり抵抗が、実施例に比べて劣っていた。また、熱老化後の力学特性(引張強度、破断伸び、破壊強度(破壊エネルギー))も実施例1〜3、5〜7に比べて劣っていた。
比較例2では、シランカップリング剤として、低極性ゴム中にシリカを分散させるのに適したシランカップリング剤であるシランカップリング剤2のみを用いた。このため、耐摩耗性や転がり抵抗、ウェットグリップ性能は良好であったが、ムーニースコーチタイムが短すぎ、ゴムやけの懸念があった。また、熱老化後の力学特性(引張強度、破断伸び、破壊強度(破壊エネルギー))やドライ操安性指数も同じシリカを同量配合した実施例1や実施例2に比べて、大幅に劣っていた。
比較例3では、シリカとしてCTAB比表面積が95m/g、BET比表面積が100m/g以下のシリカ1(大粒径シリカ、本発明におけるシリカ(2)に相当)のみを用いた。このため、転がり抵抗やシリカ分散性は良好であったが、熱老化後の力学特性(引張強度、破断伸び、破壊強度(破壊エネルギー))や耐摩耗性、ウェットグリップ性能、操縦安定性が実施例に比べてかなり劣っていた。
他方、実施例1〜7は転がり抵流指数がいずれも小さく、環境に配慮することができる。また、転がり抵抗指数が低い割に、耐摩耗性指数が良好、又はそれほど悪くなく、操縦安定性やウェットグリップ性能もそれほど悪くなく、実用可能なレベルであった。また、熱老化後の力学特性(引張強度、破断伸び、破壊強度(破壊エネルギー))が良好、又は対応する比較例と比べて改善していた。
特に、比較的極性のあるゴム中にシリカを分散させるのに適したシランカップリング剤であるシランカップリング剤1のみを配合した比較例1、低極性ゴム中にシリカを分散させるのに適したシランカップリング剤であるシランカップリング剤2のみを配合した比較例2に比べて、シランカップリング剤1、2を併用した実施例1の熱老化後の力学特性(引張強度、破断伸び、破壊強度(破壊エネルギー))は、非常に優れており、この向上効果は当業者の予測を超えるものである。
また、実施例2〜7に示す様に、NR、BR(低極性ゴム(本発明におけるゴム(1)に相当))と、低極性ゴム中にシリカを分散させるのに適したシランカップリング剤であるシランカップリング剤2(本発明におけるシランカップリング剤(2)に相当)及び/又はシランカップリング剤3(本発明におけるシランカップリング剤(3)に相当)を混練(反応)し混練物を得て、更に、別途、SBR(比較的極性のあるゴム(本発明におけるゴム(2)に相当))と、比較的極性のあるゴム中にシリカを分散させるのに適したシランカップリング剤であるシランカップリング剤1(本発明におけるシランカップリング剤(1)に相当)を混練(反応)し混練物を得て、さらに、得られた両混練物を混練(ブレンド)してゴム組成物を得ることで、各ポリマーとそれに適したシランカップリング剤を効率良く反応させることができ、より良好なシリカの分散性を得ることができる。これによって、転がり抵抗や耐スコーチ性(スコーチタイムの短縮)の改善、耐摩耗性、ウェットグリップ性能、操縦安定性の向上を実現することができた。更に熱老化後の力学特性(引張強度、破断伸び、破壊強度(破壊エネルギー))を向上させることができた。
実施例4〜7では、低極性ゴム中にシリカを分散させるのに適したシランカップリング剤であるシランカップリング剤2と、比較的極性のあるゴム中にシリカを分散させるのに適したシランカップリング剤であるシランカップリング剤1を用いると共に、CTAB比表面積180m/g、BET比表面積が185m/g以上のシリカ3(微粒子シリカ、本発明におけるシリカ(1)に相当)と、CTAB比表面積95m/g、BET比表面積が100m/g以下のシリカ1(大粒径シリカ、本発明におけるシリカ(2)に相当)を組み合わせて用いた。
このため、特に、低極性ゴム中にシリカを分散させるのに適したシランカップリング剤であるシランカップリング剤2と、微粒子シリカとの併用により、微粒子シリカが良好に分散され、NR、BR(低極性ゴム)が配合されたゴム組成物を良好に補強でき、力学特性(引張強度、破断伸び、破壊強度(破壊エネルギー))に優れており、比較例3に比べて熱老化後の力学特性(引張強度、破断伸び、破壊強度(破壊エネルギー))を向上させることができた。また、転がり抵抗も非常に良好であった。
特に、CTAB比表面積が180m/g、BET比表面積が185m/g以上のシリカ(シリカ(1))として、ディスク遠心分離法X線測定されたアグリゲートサイズが30nm以上のシリカ3を用いたため、シリカの分散性指数が非常に優れている比較例3と同等程度までシリカの分散性が改善できた。これによって、耐摩耗性やウェットグリップ性能、ドライ路面での操縦安定性も比較例3等に比べて非常に向上していた。
実施例5に、更に(オイルとの置換で)芳香族ビニル重合体を加えた実施例7では、ウェットグリップ性能を比較例1並に改善できただけでなく、非常に良好な転がり抵抗性能や耐摩耗性を維持したまま、熱老化後の力学特性(引張強度、破断伸び、破壊強度(破壊エネルギー))も更に改善することができた。

Claims (8)

  1. ガラス転移温度が−58℃以下のゴム(1)と、ガラス転移温度が−55℃以上のゴム(2)とを含むゴム成分と、
    シリカと、
    下記式(1)で表されるシランカップリング剤(1)と、
    メルカプト基を有するシランカップリング剤(2)及び/又は窒素原子を有するシランカップリング剤(3)とを含み、
    前記シランカップリング剤(3)が、窒素原子を含む部分Aと、酸素原子若しくは硫黄原子を含む4〜6員環の窒素含有複素環部分B及び/又はアルコキシシリル基を有する部分Cとを有し、
    前記部分Aが、R−C(R)=N(R)→O及び/又はR−C≡N→Oであり、該R〜Rは、同一若しくは異なって、水素原子、炭素数が20以下の基、又は前記部分B若しくは前記部分Cに結合する結合基であり、R〜Rの少なくとも1つが前記部分B又は前記部分Cに結合しているタイヤ用ゴム組成物。
    Figure 2011219541
    (式(1)中、nは1〜3の整数、mは1〜9の整数、zは1以上の整数を表す。)
  2. 前記シランカップリング剤(2)が、下記一般式(2)で示される結合単位Aと下記一般式(3)で示される結合単位Bとの合計量に対して、結合単位Bを1〜70モル%の割合で共重合したものである請求項1記載のタイヤ用ゴム組成物。
    Figure 2011219541
    Figure 2011219541
    (式(2)、(3)中、x、yはそれぞれ1以上の整数である。Rは水素、ハロゲン、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基若しくはアルキレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基若しくはアルケニレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニル基若しくはアルキニレン基、又は該アルキル基若しくは該アルケニル基の末端の水素が水酸基若しくはカルボキシル基で置換されたものを示す。Rは水素、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキレン基若しくはアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニレン基若しくはアルケニル基、又は分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニレン基若しくはアルキニル基を示す。RとRとで環構造を形成してもよい。)
  3. CTAB比表面積が180m/g以上、BET比表面積が185m/g以上のシリカ(1)と、CTAB比表面積が95m/g以下、BET比表面積が100m/g以下のシリカ(2)とを含む請求項1又は2記載のタイヤ用ゴム組成物。
  4. 前記ゴム(1)を含むゴム成分と、シリカと、前記シランカップリング剤(2)及び/又は前記シランカップリング剤(3)とを混練し、混練物を得る第一混練工程と、
    前記ゴム(2)を含むゴム成分と、シリカと、前記シランカップリング剤(1)とを混練し、混練物を得る第二混練工程と、
    前記第一混練工程により得られた混練物と前記第二混練工程により得られた混練物とを混練する第三混練工程により得られる請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  5. トレッド用ゴム組成物として用いられる請求項1〜4のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  6. サイドウォール用ゴム組成物として用いられる請求項1〜4のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  7. クリンチ用ゴム組成物として用いられる請求項1〜4のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤ。
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