JP5643081B2 - タイヤ用ゴム組成物、その製造方法及び空気入りタイヤ - Google Patents

タイヤ用ゴム組成物、その製造方法及び空気入りタイヤ Download PDF

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Description

本発明は、タイヤ用ゴム組成物、その製造方法、及び該ゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤに関する。
近年、自動車の低燃費化に対する要求はますます厳しくなり、自動車タイヤについても、転動抵抗を小さくすることにより、低燃費化に寄与することが要求されている。この要求に応えるため、タイヤ用ゴム組成物の低発熱化(低燃費性の改善)が検討されている。
低燃費性を改善する方法として、シリカ及びシランカップリング剤を併用する方法が知られている。近年では、低燃費性をより改善する方法として、反応性の高いメルカプト基を有するシランカップリング剤(メルカプト系シランカップリング剤)の使用が検討されている。しかし、メルカプト系シランカップリング剤は、良好な低燃費性が得られる一方で、加工性が悪化する傾向がある。また、特許文献1には、シランカップリング剤として保護化メルカプトシランを用いて低燃費性、ウェットグリップ性能及び操縦安定性を向上する技術が開示されているが、良好な加工性を確保する点については充分に検討されていなかった。
特開2008−101158号公報
本発明は、前記課題を解決し、低燃費性及び加工性を高次元で両立でき、良好なウェットグリップ性能も得られるタイヤ用ゴム組成物、その製造方法、及び該ゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、下記式(1)で表される基を有し、かつメルカプト基を有しないシランカップリング剤1とゴム成分とを混練りし、得られた混練り物とメルカプト基を有するシランカップリング剤2とを混練りして得られるタイヤ用ゴム組成物に関する。
Figure 0005643081
(式中、Rは、水素、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基、又は分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニル基を表す。)
上記シランカップリング剤2が、下記式(2)で表される化合物、及び/又は下記式(3)で示される結合単位Aと下記式(4)で示される結合単位Bとの合計量に対して、結合単位Bを1〜70モル%の割合で共重合した化合物であることが好ましい。
Figure 0005643081
(式中、R11は−O−(R15−O)−R16(m個のR15は、同一又は異なって、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30の2価の炭化水素基を表す。R16は、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数6〜30のアリール基又は炭素数7〜30のアラルキル基を表す。mは1〜30の整数を表す。)で表される基を表す。R12及びR13は、同一若しくは異なって、R11と同一の基、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜12のアルキル基又は−O−R17(R17は水素、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数6〜30のアリール基又は炭素数7〜30のアラルキル基を表す。)で表される基を表す。R14は、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキレン基を表す。)
Figure 0005643081
Figure 0005643081
(式中、x、yはそれぞれ1以上の整数である。R21は水素、ハロゲン、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基若しくはアルキレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基若しくはアルケニレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニル基若しくはアルキニレン基、又は該アルキル基若しくは該アルケニル基の末端の水素が水酸基若しくはカルボキシル基で置換されたものを示す。R22は水素、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキレン基若しくはアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニレン基若しくはアルケニル基、又は分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニレン基若しくはアルキニル基を示す。R21とR22とで環構造を形成してもよい。)
上記混練り物と上記シランカップリング剤2とが排出温度135〜150℃の条件で混練りされることが好ましい。
上記ゴム成分100質量部に対するシリカの含有量が10〜150質量部であることが好ましい。
本発明はまた、上記シランカップリング剤1及び上記ゴム成分を混練りする工程1と、上記工程1で得られた混練り物及び上記シランカップリング剤2を混練りする工程2とを含む上記ゴム組成物の製造方法に関する。
本発明はまた、上記ゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤに関する。
本発明によれば、特定の基を有し、かつメルカプト基(−SH)を有しないシランカップリング剤1とゴム成分とを混練りし、得られた混練り物とメルカプト基を有するシランカップリング剤2とを混練りして得られるタイヤ用ゴム組成物であるので、シランカップリング剤2による加工性の悪化を抑制しながら、低燃費性を改善できる。従って、該ゴム組成物をキャップトレッドなどのタイヤ部材に使用することにより、低燃費性及びウェットグリップ性能に優れ、かつ製造が容易な空気入りタイヤを提供できる。
本発明は、上記式(1)で表される基を有し、かつメルカプト基を有しないシランカップリング剤1とゴム成分とを混練りし、得られた混練り物とメルカプト基を有するシランカップリング剤2とを混練りして得られるタイヤ用ゴム組成物である。
ゴム組成物の混練り工程は、一般的に、加硫剤及び加硫促進剤以外の薬品を混練するベース練り工程と、ベース練り工程で得られた混練り物に加硫剤及び加硫促進剤を添加して混練りする仕上げ練り工程とで構成される。従来、反応性が高いシランカップリング剤2をベース練り工程で混練りすると、低燃費性が改善される一方で、加工性が悪化する傾向があった。これに対し、本発明では、ベース練り工程において、シランカップリング剤1とゴム成分とをある程度混練りしてから、シランカップリング剤2を添加して更に混練りすることにより、シリカを良好に分散させることができ、これにより、低燃費性及び加工性を高次元で両立させることができ、良好なウェットグリップ性能も得られる。
本発明のゴム組成物は、例えば、シランカップリング剤1及びゴム成分を混練りする工程1と、該工程1で得られた混練り物及びシランカップリング剤2を混練りする工程2とを含む製造方法により好適に得られる。
(工程1(ベース練り工程1))
工程1では、シランカップリング剤1及びゴム成分を混練りする。混練り方法としては特に限定されず、バンバリーミキサー、オープンロールなどの一般的なゴム工業で使用される混練機を使用できる。
工程1の混練り温度は、好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上であり、また、好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下、更に好ましくは160℃以下である。混練り温度が低すぎると、シランカップリング剤1とシリカの反応が十分に進まず、シリカを良好に分散させることができなくなり、低燃費性の向上効果が小さくなる傾向がある。一方、混練り温度が高すぎると、ムーニー粘度が上昇し、加工性が悪化する傾向がある。
工程1の混練り時間は特に限定されないが、通常30秒以上であり、好ましくは1〜30分間である。
工程1の排出温度は、好ましくは145℃以上、より好ましくは155℃以上であり、また、好ましくは175℃以下、より好ましくは165℃以下である。排出温度が低すぎると、シランカップリング剤1とシリカの反応が十分に進まず、シリカを良好に分散させることができなくなり、低燃費性の向上効果が小さくなる傾向がある。一方、排出温度が高すぎると、ムーニー粘度が上昇し、加工性が悪化する傾向がある。
本発明の効果が良好に得られるという点から、工程1で混練りするゴム成分は、全量を100質量%としたとき、好ましくは60質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは100質量%である。
ゴム成分としては、例えば、天然ゴム(NR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、イソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)などのジエン系ゴムが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。本発明の効果が良好に得られるという点から、ゴム成分としては、SBRを使用することが好ましく、SBRとBR及び/又はNRとを併用することがより好ましい。また、BRを使用する場合は、良好なウェットグリップ性能及び破壊強度を確保するため、他のゴム成分と併用することが好ましい。
SBR、BR、NRとしては特に限定されず、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。例えば、SBRとしては、乳化重合SBR(S−SBR)、溶液重合SBR(E−SBR)などを、BRとしては、高シスBR、高トランスBRなどを、NRとしては、SIR20、RSS♯3、TSR20などを使用できる。また、良好な低燃費性及びウェットグリップ性能が得られるという点から、SBR、BRとしては、変性剤によって変性されたもの(変性SBR、変性BR)を好適に使用できる。
変性SBR、変性BRとしては、それぞれ、タイヤ工業において一般的に使用されるSBR、BRを変性剤で処理したものを使用することができる。上記変性剤としては、例えば、3−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルエチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、四塩化スズ、ブチルスズトリクロライド、N−メチルピロリドンなどが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、本発明の効果が良好に得られるという点から、N−メチルピロリドンが好ましい。
上記変性剤による変性方法としては、特公平6−53768号公報、特公平6−57767号公報等に記載されている方法等、従来公知の手法を用いることができる。
上記製造方法などにより得られる本発明のゴム組成物において、ゴム成分100質量%中のSBRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは25質量%以上、更に好ましくは60質量%以上である。5質量%未満であると、充分な低燃費性が得られないおそれがある。また、SBRの含有量は、100質量%であってもよいが、良好な加工性及び耐摩耗性が得られるという点から、好ましくは85質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。
上記製造方法などにより得られる本発明のゴム組成物において、ゴム成分100質量%中のBRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上である。5質量%未満であると、充分な低燃費性、耐摩耗性及び耐クラック性が得られないおそれがある。また、BRの含有量は、好ましくは80質量%以下、より好ましくは40質量%以下である。80質量%を超えると、充分な機械強度及びウェットグリップ性能が得られないおそれがある。
シランカップリング剤1は、下記式(1)で表される基を有し、かつメルカプト基を有しない化合物であれば特に限定されず、種々の化合物を使用できる。なかでも、シリカとの良好な親和性が得られるという点から、シランカップリング剤1は、ポリスルフィド基(―Sz―、z≧2)を有しない化合物を好適に使用できる。
Figure 0005643081
上記Rは、水素、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基、又は分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニル基を表す。なかでも、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基が好ましい。
の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、へキシル基、へプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。Rのアルキル基の炭素数は、好ましくは2〜12、より好ましくは2〜8である。
の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基としては、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、1−オクテニル基等が挙げられる。Rのアルケニル基の炭素数は、好ましくは2〜12、より好ましくは2〜8である。
の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニル基としては、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、へプチニル基、オクチニル基、ノニニル基、デシニル基、ウンデシニル基、ドデシニル基等が挙げられる。Rのアルキニル基の炭素数は、好ましくは2〜12、より好ましくは2〜8である。
シリカとの良好な親和性が得られるという点から、シランカップリング剤1としては、下記式(1a)で表される化合物を好適に使用できる。
Figure 0005643081
(式中、nは0以上の整数である。R、R、R、R、R及びR10は、同一若しくは異なって、水素、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基、又は分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニル基を表す。R、R及びRは、同一若しくは異なって、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニレン基を表す。RとRとで環構造を形成してもよく、RとRとで環構造を形成してもよい。)
、R、R、R、R及びR10の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基としては、Rのアルキル基で例示した基等が挙げられる。R、R、R及びRのアルキル基の炭素数は、好ましくは2〜12、より好ましくは2〜3である。R及びR10のアルキル基の炭素数は、好ましくは2〜12、より好ましくは2〜8である。
、R、R、R、R及びR10の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基としては、Rのアルケニル基で例示した基等が挙げられる。R、R、R及びRのアルケニル基の炭素数は、好ましくは2〜12、より好ましくは2〜3である。R及びR10のアルケニル基の炭素数は、好ましくは2〜12、より好ましくは2〜8である。
、R、R、R、R及びR10の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニル基としては、Rのアルキニル基で例示した基等が挙げられる。R、R、R及びRのアルキニル基の炭素数は、好ましくは2〜12、より好ましくは2〜3である。R及びR10のアルキニル基の炭素数は、好ましくは2〜12、より好ましくは2〜8である。
、R及びRの分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基、トリデシレン基、テトラデシレン基、ペンタデシレン基、ヘキサデシレン基、ヘプタデシレン基、オクタデシレン基等が挙げられる。該アルキレン基の炭素数は、好ましくは1〜12、より好ましくは1〜6である。
、R及びRの分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニレン基としては、ビニレン基、1−プロペニレン基、2−プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、1−ペンテニレン基、2−ペンテニレン基、1−ヘキセニレン基、2−ヘキセニレン基、1−オクテニレン基等が挙げられる。該アルケニレン基の炭素数は、好ましくは2〜12、より好ましくは2〜6である。
、R及びRの分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニレン基としては、エチニレン基、プロピニレン基、ブチニレン基、ペンチニレン基、ヘキシニレン基、へプチニレン基、オクチニレン基、ノニニレン基、デシニレン基、ウンデシニレン基、ドデシニレン基等が挙げられる。該アルキニレン基の炭素数は、好ましくは2〜12、より好ましくは2〜6である。
上記nは0以上(好ましくは0〜10、より好ましくは0〜2)の整数を表す。
上記式(1a)で表される化合物としては、例えば、Momentive社製のNXT、NXT LowV、NXT Ultra−LowV等を使用することができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記製造方法などにより得られる本発明のゴム組成物において、シランカップリング剤1の含有量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは2質量部以上である。0.5質量部未満であると、シリカを充分に分散させることができず、良好な低燃費性が得られないおそれがある。また、シランカップリング1の含有量は、好ましくは12質量部以下、より好ましくは8質量部以下である。12質量部を超えると、加工性の悪化やコストの上昇につながる傾向がある。
工程1では、シランカップリング剤1及びゴム成分とともに、シリカを混練りすることが好ましい。シリカは、全量を工程1で添加しても良いが、シリカを容易に分散させることができ、加工性をより改善できるという点から、一部(例えば、全量の10〜90質量%)を工程1で混練りし、残部を工程2で混練りすることが好ましい。
シリカとしては、例えば、乾式法シリカ(無水シリカ)、湿式法シリカ(含水シリカ)などが挙げられる。なかでも、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。シリカは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シリカのチッ素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは50m/g以上、より好ましくは120m/g以上であり、また、好ましくは400m/g以下、より好ましくは200m/g以下である。上記範囲内であれば、補強性、耐摩耗性及び低燃費性がバランス良く得られる。
なお、シリカのNSAは、ASTM D3037−81に準じてBET法で測定される値である。
上記製造方法などにより得られる本発明のゴム組成物において、シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは40質量部以上、更に好ましくは50質量部以上である。10質量部未満では、充分な補強性及び低燃費性が得られないおそれがある。また、シリカの含有量は、好ましくは150質量部以下、より好ましくは120質量部以下、更に好ましくは100質量部以下である。150質量部を超えると、ムーニー粘度が高くなり、加工性が悪化する傾向がある。
(工程2(ベース練り工程2))
工程2では、工程1で得られた混練り物とシランカップリング剤2とを混練りする。混練り方法としては特に限定されず、工程1と同様の方法を使用できる。
工程2の混練り温度は、好ましくは130℃以上、より好ましくは140℃以上であり、また、好ましくは160℃以下、より好ましくは150℃以下である。混練り温度が低すぎると、シランカップリング剤2とシリカの反応が十分に進まず、低燃費性の向上効果が小さくなる傾向がある。逆に混練り温度が高すぎると、ムーニー粘度が上昇し、加工性が悪化する傾向がある。
工程2の混練り時間は特に限定されないが、通常30秒以上であり、好ましくは1〜30分間である。
工程2の排出温度は、好ましくは135℃以上、より好ましくは140℃以上であり、また、好ましくは150℃以下、より好ましくは145℃以下である。排出温度が低すぎると、シランカップリング剤2とシリカの反応が十分に進まず、低燃費性の向上効果が小さくなる傾向がある。一方、排出温度が高すぎると、ムーニー粘度が上昇し、加工性が悪化する傾向がある。
シランカップリング剤2としては、メルカプト基を有する化合物であれば特に限定されず、一般的なものを使用できる。なかでも、本発明の効果が良好に得られるという点から、下記式(2)で表される化合物や、下記式(3)で示される結合単位Aと下記式(4)で示される結合単位Bとの合計量に対して、結合単位Bを1〜70モル%の割合で共重合した化合物を好適に使用できる。
下記式(2)で表されるシランカップリング剤を配合することにより、低燃費性をより向上できる。
Figure 0005643081
上記式(2)のR11は−O−(R15−O)−R16(m個のR15は、同一又は異なって、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30の2価の炭化水素基を表す。R16は、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数6〜30のアリール基又は炭素数7〜30のアラルキル基を表す。mは1〜30の整数を表す。)で表される基を表す。
上記R15は、同一又は異なって、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30(好ましくは炭素数1〜15、より好ましくは炭素数1〜3)の2価の炭化水素基を表す。
該炭化水素基としては、例えば、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニレン基、炭素数6〜30のアリーレン基等が挙げられる。なかでも、上記アルキレン基が好ましい。
15の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30(好ましくは炭素数1〜15、より好ましくは炭素数1〜3)のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基、トリデシレン基、テトラデシレン基、ペンタデシレン基、ヘキサデシレン基、ヘプタデシレン基、オクタデシレン基等が挙げられる。
15の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30(好ましくは炭素数2〜15、より好ましくは炭素数2〜3)のアルケニレン基としては、例えば、ビニレン基、1−プロペニレン基、2−プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、1−ペンテニレン基、2−ペンテニレン基、1−ヘキセニレン基、2−ヘキセニレン基、1−オクテニレン基等が挙げられる。
15の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30(好ましくは炭素数2〜15、より好ましくは炭素数2〜3)のアルキニレン基としては、例えば、エチニレン基、プロピニレン基、ブチニレン基、ペンチニレン基、ヘキシニレン基、へプチニレン基、オクチニレン基、ノニニレン基、デシニレン基、ウンデシニレン基、ドデシニレン基等が挙げられる。
15の炭素数6〜30(好ましくは炭素数6〜15)のアリーレン基としては、例えば、フェニレン基、トリレン基、キシリレン基、ナフチレン基等が挙げられる。
上記mは1〜30(好ましくは2〜20、より好ましくは3〜7、更に好ましくは5〜6)の整数を表す。
上記R16は、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数6〜30のアリール基又は炭素数7〜30のアラルキル基を表す。なかでも、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基が好ましい。
16の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30(好ましくは炭素数3〜25、より好ましくは炭素数10〜15)のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、へキシル基、へプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。
16の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30(好ましくは炭素数3〜25、より好ましくは炭素数10〜15)のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、1−オクテニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、オクタデセニル基等が挙げられる。
16の炭素数6〜30(好ましくは炭素数10〜20)のアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基等が挙げられる。
16の炭素数7〜30(好ましくは炭素数10〜20)のアラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
上記式(2)のR11の具体例としては、例えば、−O−(C−O)−C1123、−O−(C−O)−C1225、−O−(C−O)−C1327、−O−(C−O)−C1429、−O−(C−O)−C1531、−O−(C−O)−C1327、−O−(C−O)−C1327、−O−(C−O)−C1327、−O−(C−O)−C1327等が挙げられる。なかでも、−O−(C−O)−C1123、−O−(C−O)−C1327、−O−(C−O)−C1531、−O−(C−O)−C1327が好ましい。
12及びR13は、同一若しくは異なって、R11と同一の基(すなわち、−O−(R15−O)−R16で表される基)、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜12のアルキル基又は−O−R17(R17は水素、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数6〜30のアリール基又は炭素数7〜30のアラルキル基を表す。)で表される基を表す。なかでも、化学的安定性という理由から、R11と同一の基、−O−R17(R17が分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基の場合)で表される基が好ましい。
12及びR13の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜12のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、へキシル基、へプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基等が挙げられる。
17の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30(好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜3)のアルキル基としては、例えば、上記R16の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基と同様の基を挙げることができる。
17の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30(好ましくは炭素数2〜10、より好ましくは炭素数2〜5)のアルケニル基としては、例えば、上記R16の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基と同様の基を挙げることができる。
17の炭素数6〜30(好ましくは炭素数6〜12)のアリール基としては、例えば、上記R16の炭素数6〜30のアリール基と同様の基を挙げることができる。
17の炭素数7〜30(好ましくは7〜13)のアラルキル基としては、例えば、上記R16の炭素数7〜30のアラルキル基と同様の基を挙げることができる。
上記式(2)のR12及びR13の具体例としては、例えば、−O−(C−O)−C1123、−O−(C−O)−C1225、−O−(C−O)−C1327、−O−(C−O)−C1429、−O−(C−O)−C1531、−O−(C−O)−C1327、−O−(C−O)−C1327、−O−(C−O)−C1327、−O−(C−O)−C1327、C−O−、CH−O−、C−O−等が挙げられる。なかでも、−O−(C−O)−C1123、−O−(C−O)−C1327、−O−(C−O)−C1531、−O−(C−O)−C1327、C−O−が好ましい。
14の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30(好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜5)のアルキレン基としては、例えば、上記R15の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキレン基と同様の基を挙げることができる。
上記式(2)で表されるシランカップリング剤としては、例えば、エボニックデグッサ社製のSi363等を使用することができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
下記式(3)で示される結合単位Aと下記式(4)で示される結合単位Bとの合計量に対して、結合単位Bを1〜70モル%の割合で共重合したシランカップリング剤は、結合単位Aと結合単位Bのモル比が上記条件を満たすため、ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドなどのポリスルフィドシランに比べ、加工中の粘度上昇が抑制される。これは結合単位Aのスルフィド部分がC−S−C結合であるため、テトラスルフィドやジスルフィドに比べ熱的に安定であることから、ムーニー粘度の上昇が少ないためと考えられる。
また、結合単位Aと結合単位Bのモル比が上記条件を満たすため、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプトシランに比べ、スコーチ時間の短縮が抑制される。これは結合単位Bはメルカプトシランの構造を持っているが、結合単位Aの−C15部分が結合単位Bの−SH基を覆うためポリマーと反応しにくく、スコーチが発生しにくいためと考えられる。
Figure 0005643081
Figure 0005643081
(式中、x、yはそれぞれ1以上の整数である。R21は水素、ハロゲン、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基若しくはアルキレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基若しくはアルケニレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニル基若しくはアルキニレン基、又は該アルキル基若しくは該アルケニル基の末端の水素が水酸基若しくはカルボキシル基で置換されたものを示す。R22は水素、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキレン基若しくはアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニレン基若しくはアルケニル基、又は分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニレン基若しくはアルキニル基を示す。R21とR22とで環構造を形成してもよい。)
21のハロゲンとしては、塩素、臭素、フッ素などが挙げられる。
21、R22の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、へキシル基、へプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。該アルキル基の炭素数は、好ましくは1〜12である。
21、R22の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基、トリデシレン基、テトラデシレン基、ペンタデシレン基、ヘキサデシレン基、ヘプタデシレン基、オクタデシレン基等が挙げられる。該アルキレン基の炭素数は、好ましくは1〜12である。
21、R22の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基としては、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、1−オクテニル基等が挙げられる。該アルケニル基の炭素数は、好ましくは2〜12である。
21、R22の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニレン基としては、ビニレン基、1−プロペニレン基、2−プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、1−ペンテニレン基、2−ペンテニレン基、1−ヘキセニレン基、2−ヘキセニレン基、1−オクテニレン基等が挙げられる。該アルケニレン基の炭素数は、好ましくは2〜12である。
21、R22の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニル基としては、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、へプチニル基、オクチニル基、ノニニル基、デシニル基、ウンデシニル基、ドデシニル基等が挙げられる。該アルキニル基の炭素数は、好ましくは2〜12である。
21、R22の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニレン基としては、エチニレン基、プロピニレン基、ブチニレン基、ペンチニレン基、ヘキシニレン基、へプチニレン基、オクチニレン基、ノニニレン基、デシニレン基、ウンデシニレン基、ドデシニレン基等が挙げられる。該アルキニレン基の炭素数は、好ましくは2〜12である。
上記構造のシランカップリング剤において、結合単位Aの繰り返し数(x)と結合単位Bの繰り返し数(y)の合計の繰り返し数(x+y)は、3〜300の範囲が好ましい。この範囲内であると、結合単位Bのメルカプトシランを、結合単位Aの−C15が覆うため、スコーチタイムが短くなることを抑制できるとともに、シリカやゴム成分との良好な反応性を確保することができる。
上記構造のシランカップリング剤としては、例えば、Momentive社製のNXT−Z30、NXT−Z45、NXT−Z60等を使用することができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記製造方法などにより得られる本発明のゴム組成物において、シランカップリング剤2の含有量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは2質量部以上である。0.5質量部未満であると、シリカを充分に分散させることができず、良好な低燃費性が得られないおそれがある。また、シランカップリング2の含有量は、好ましくは12質量部以下、より好ましくは8質量部以下、更に好ましくは6質量部以下である。12質量部を超えると、加工性の悪化やコストの上昇につながる傾向がある。
上記製造方法などにより得られる本発明のゴム組成物において、シランカップリング剤1及び2の合計含有量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上である。1質量部未満であると、低燃費性及び加工性を高次元でバランス良く得られないおそれがある。また、シランカップリング1及び2の合計含有量は、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下である。20質量部を超えると、加工性の悪化やコストの上昇につながる傾向がある。
(工程3(仕上げ練り工程))
工程2を行った後、工程2で得られた混練り物を冷却した後、加硫剤や加硫促進剤などを添加して混練りし、未加硫ゴム組成物を得る。工程2で得られた混練り物を冷却する温度は、通常100℃以下であり、好ましくは20〜80℃である。
工程3の混練り温度は、好ましくは110℃以下、より好ましくは100℃以下である。110℃を超えると、ゴム焼け(スコーチ)が生じるおそれがある。混練り温度の下限は特に限定されないが、好ましくは80℃以上である。
工程3の混練り時間は特に限定されないが、通常30秒以上であり、好ましくは1〜30分間である。
加硫剤、加硫促進剤としては特に限定されず、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。
本発明の効果が良好に得られるという点から、加硫剤としては、硫黄が好ましく、粉末硫黄がより好ましい。また、硫黄は、他の加硫剤と併用してもよい。他の加硫剤としては、例えば、田岡化学工業(株)製のタッキロールV200、フレキシス社製のDURALINK HTS(1,6−ヘキサメチレン−ジチオ硫酸ナトリウム・二水和物)、ランクセス社製のKA9188(1,6−ビス(N,N’−ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン)などの硫黄を含む加硫剤や、ジクミルパーオキサイドなどの有機過酸化物などが挙げられる。
加硫剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上であり、また、好ましくは15質量部以下、より好ましくは5質量部以下である。上記範囲内であれば、本発明の効果が良好に得られるとともに、良好な引張強度、耐摩耗性及び耐熱性も得られる。
(工程4(加硫工程))
工程3で得られた未加硫ゴム組成物を公知の方法で加硫することにより、本発明のゴム組成物が得られる。工程4の加硫温度は、本発明の効果が良好に得られるという点から、好ましくは120℃以上、より好ましくは140℃以上であり、また、好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下である。
本発明のゴム組成物は、上述の成分以外に、カーボンブラック、酸化亜鉛、老化防止剤、活性剤、可塑剤、滑剤、ワックスなど、タイヤ工業において一般的に用いられている各種材料が適宜配合されていてもよい。これらの材料を混練りする工程は特に限定されないが、シランカップリング剤2による加工性の悪化を効果的に抑制できるという点から、工程2で混練りすることが好ましい。
本発明のゴム組成物は、カーボンブラックを含有することが好ましい。使用できるカーボンブラックとしては特に限定されず、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAF等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
カーボンブラックのチッ素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは80m/g以上、より好ましくは100m/g以上である。80m/g未満であると、良好な補強性が得られないおそれがある。カーボンブラックのNSAは、好ましくは200m/g以下、より好ましくは150m/g以下である。200m/gを超えると、加工性が悪化する傾向がある。
なお、カーボンブラックのチッ素吸着比表面積は、JIS K6217のA法によって測定される。
カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上である。1質量部未満であると、カーボンブラックによる改善効果が充分に得られないおそれがある。また、カーボンブラックの含有量は、好ましくは30質量部以下、より好ましくは10質量部以下である。30質量部を超えると、低燃費性、加工性が悪化する傾向がある。
本発明のゴム組成物は、タイヤの各部材に使用でき、なかでも、トレッドに好適に用いることができる。
本発明の空気入りタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法によって製造される。すなわち、必要に応じて各種添加剤を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でタイヤの各部材の形状に合わせて押し出し加工し、タイヤ成型機上にて通常の方法にて成形することにより未加硫タイヤを形成した後、加硫機中で加熱加圧して製造することができる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下、実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
SBR:日本ゼオン(株)製のNipol NS116R(N−メチルピロリドンにより片末端を変性したS−SBR)
BR:宇部興産(株)製のBR150B(非変性)
シリカ:デグッサ社製のウルトラジルVN3(NSA:175m/g)
シランカップリング剤1−1:Momentive社製のNXT−LV(NXT LowV、下記式で表される化合物)
Figure 0005643081
シランカップリング剤1−2:Momentive社製のNXT(下記式で表される化合物)
Figure 0005643081
シランカップリング剤1−3:Momentive社製のNXT−ULV(NXT Ultra−LowV、下記式で表される化合物)
Figure 0005643081
シランカップリング剤2−1:Momentive社製のNXT−Z45(結合単位Aと結合単位Bとの共重合体、結合単位A:55モル%、結合単位B:45モル%)
シランカップリング剤2−2:デグッサ社製のSi363(下記式で表される化合物)
Figure 0005643081
カーボンブラック:キャボットジャパン(株)製のショウブラックN220(NSA:111m/g)
アロマオイル:(株)ジャパンエナジー製のJOMOプロセスX140
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸
ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックワックス
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
硫黄:鶴見化学(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤1:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS(N−tert−ブチル−2−ベンソチアジルスルフェンアミド)
加硫促進剤2:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(N,N’−ジフェニルグアニジン)
実施例及び比較例
バンバリーミキサーを用いて、表1の工程1(ベース練り工程1)に示す配合量の薬品を投入して、150℃以上で30秒以上混練りし、かつ、排出温度が約160℃となるように3分間混練りした。
次に、工程1により得られた混練り物(混練り物1)に対して、表1の工程2(ベース練り工程2)に示す配合量の薬品を投入して、130℃以上で30秒以上混練りし、かつ、排出温度が約140℃となるように3分間混練りした。
その後、工程2により得られた混練り物(混練り物2)に対して、表1の工程3(仕上げ練り工程)に示す配合量の硫黄及び加硫促進剤を加え、オープンロールを用いて、約80℃の条件下で3分間混練りして、未加硫ゴム組成物を得た。
得られた未加硫ゴム組成物を170℃で12分間プレス加硫し、加硫ゴムシートを得た。
得られた混練り物1、2、未加硫ゴム組成物及び加硫ゴムシートを用いて、以下の評価を行った。その結果を表1に示す。
(転がり抵抗指数)
(株)上島製作所製のスペクトロメーターを用いて、動的歪振幅1%、周波数10Hz、温度60℃で上記加硫ゴムシートのtanδを測定し、下記計算式により指数表示した。指数が大きいほど転がり抵抗が低く、低燃費性に優れることを示す。
(転がり抵抗指数)=(比較例1のtanδ)/(各配合のtanδ)×100
(シリカ分散性指数)
粘弾性測定機(米国アルファテクノロジーズ社製のRPA2000)を用いて、周波数1rad/s、歪0.4%〜64%の条件で上記加硫ゴムシートの貯蔵弾性率を測定した。得られた貯蔵弾性率からΔG’= G’(4.0%)−G’(64%)を求め、シリカ分散性の指標として用いた。結果は、比較例1を100として指数表示した。数字が小さいほどシリカの分散性が良好であることを示す。
(加工性指数)
JIS K6300の未加硫ゴム物理試験方法のムーニースコーチ試験の記述に従って130.0±0.5℃での上記混練り物1、2及び上記未加硫ゴム組成物のML1+4を測定し、下記計算式により指数表示した。指数が小さいほど、ムーニー粘度が低く、加工性に優れることを示す。今回の評価では、指数が130以上になると、混練り工程や押し出し工程での加工が困難である。
(工程1の加工性指数)=(各配合の混練り物1のML1+4)/(比較例1の混練り物1のML1+4)×100
(工程2の加工性指数)=(各配合の混練り物2のML1+4)/(比較例1の混練り物2のML1+4)×100
(工程3の加工性指数)=(各配合の未加硫ゴム組成物のML1+4)/(比較例1の未加硫ゴム組成物のML1+4)×100
(ウェットグリップ性能指数)
スタンレー社製のポータブルスキッドテスターを用いてASTM E303−83の方法に従って上記加硫ゴムシートの最大摩擦係数を測定し、下記計算式により指数表示した。指数が大きいほどウェットグリップ性能に優れることを示す。
(ウェットグリップ性能指数)=(各配合の最大摩擦係数)/(比較例1の最大摩擦係数)×100
Figure 0005643081
表1より、シランカップリング剤1を工程1で混練りし、得られた混練り物とシランカップリング剤2とを工程2で混練りして得られた実施例は、比較例に比べて、シリカが良好に分散し、低燃費性及び加工性を高次元で両立でき、良好なウェットグリップ性能も得られた。

Claims (6)

  1. 下記式(1)で表される基を有し、かつメルカプト基を有しないシランカップリング剤1とゴム成分とを混練りし、
    得られた混練り物とメルカプト基を有するシランカップリング剤2とを混練りして得られるタイヤ用ゴム組成物。
    Figure 0005643081
    (式中、Rは、水素、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基、又は分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニル基を表す。)
  2. 前記シランカップリング剤2が、下記式(2)で表される化合物、及び/又は下記式(3)で示される結合単位Aと下記式(4)で示される結合単位Bとの合計量に対して、結合単位Bを1〜70モル%の割合で共重合した化合物である請求項1記載のタイヤ用ゴム組成物。
    Figure 0005643081
    (式中、R11は−O−(R15−O)−R16(m個のR15は、同一又は異なって、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30の2価の炭化水素基を表す。R16は、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数6〜30のアリール基又は炭素数7〜30のアラルキル基を表す。mは1〜30の整数を表す。)で表される基を表す。R12及びR13は、同一若しくは異なって、R11と同一の基、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜12のアルキル基又は−O−R17(R17は水素、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数6〜30のアリール基又は炭素数7〜30のアラルキル基を表す。)で表される基を表す。R14は、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキレン基を表す。)
    Figure 0005643081
    Figure 0005643081
    (式中、x、yはそれぞれ1以上の整数である。R21は水素、ハロゲン、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基若しくはアルキレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基若しくはアルケニレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニル基若しくはアルキニレン基、又は該アルキル基若しくは該アルケニル基の末端の水素が水酸基若しくはカルボキシル基で置換されたものを示す。R22は水素、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキレン基若しくはアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニレン基若しくはアルケニル基、又は分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニレン基若しくはアルキニル基を示す。R21とR22とで環構造を形成してもよい。)
  3. 前記混練り物と前記シランカップリング剤2とが排出温度135〜150℃の条件で混練りされる請求項1又は2記載のタイヤ用ゴム組成物。
  4. 前記ゴム成分100質量部に対するシリカの含有量が10〜150質量部である請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  5. 前記シランカップリング剤1及び前記ゴム成分を混練りする工程1と、
    前記工程1で得られた混練り物及び前記シランカップリング剤2を混練りする工程2とを含む請求項1〜4のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物の製造方法。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載のゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤ。
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