JP2011241275A - ポリブタジエンゴム、その製造方法、および組成物 - Google Patents

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歩美 山下
Shuichi Maeda
修一 前田
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Abstract

【課題】 ゴム材料に有用な加工性、耐摩耗性および低ロス性のバランスが改良されたポリブタジエンゴムおよびその製造方法、さらにポリブタジエンゴムを含んだ組成物に関する。
【解決手段】 ムーニー粘度が30〜120、5%トルエン溶液粘度(Tcp)とムーニー粘度(ML1+4,100℃)の比が1.8〜6.0、GPCによるポリスチレン換算のz+1平均分子量と数平均分子量の比が10以上、流動パラフィンで30wt%に希釈した溶液の粘弾性について損失弾性率が100Paの時の貯蔵弾性率が20Pa以上であることを特徴とするポリブタジエンゴム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ゴム材料に有用な加工性、耐摩耗性および低ロス性のバランスが改良されたポリブタジエンゴムおよびその製造方法、さらにポリブタジエンゴムを含んだ組成物に関する。
近年の省エネルギーニーズの高まりから、ゴム材料にもエネルギーロスを小さくできる特性(低ロス性)が求められている。ゴム材料の中でもポリブタジエンゴムは、エネルギーロスを小さくする特性に優れており、分子構造としては、シス1,4結合含量が多い、分子量が高い、分子量分布が狭い、分子鎖の分岐度が小さい、ことを満足する分子設計の実現が、重合触媒の開発などを通して精力的に検討されている。
例えば、特公昭38−1243号公報(特許文献1)には、コバルト化合物、酸性金属ハライド、アルキルアルミニウム化合物及び水からなる触媒を用い、1,3−ブタジエンを重合させる高シス−1,4−ポリブタジエンの製造法が開示されている。
また、特公昭61−54808号公報(特許文献2)には、ジエチルアルミニウムクロライド、水、及びコバルトオクトエ−トよりなる触媒を用い、1,3−ブタジエンを直鎖状または分岐状脂肪族炭化水素よりなる溶媒中で重合させる方法が開示されている。
しかし、分子量が高い、分子量分布が狭い、分子鎖の分岐度が小さいポリブタジエンゴムは、ゴムにカーボンブラックなどを配合して得られるコンパウンドを製造する際に加工性が悪化し易く、その影響で耐摩耗性も悪化してしまう傾向があり、優れた低ロス性を保持しつつ、加工性と耐摩耗性をバランスする方法が求められていた。
ポリブタジエンの加工性を改良する方法として、特開昭51−63891号公報(特許文献3)には、ポリブタジエンの重合溶液を有機アルミニウム化合物及びハロゲン化アルキル化合物で処理する方法が開示されている。また、特開昭61−225202号公報(特許文献4)には、不飽和結合を有するゴムを溶媒に溶解し、ルイス酸の存在下、有機酸ハライドを反応させてゴムを変性する方法が記載されている。また、特開平8−208751(特許文献5)には、ネオジム触媒による重合物を二塩化二硫黄、二塩化硫黄及び/又は塩化チオニルで変性することで素ゴムの流動性を改良する方法が記載されている。また、特開平2001−114817号公報(特許文献6)にはが、コバルト化合物でポリブタジエンゴムを重合した後、必要に応じて、更に酸ハロゲン化物、ハロゲン含有硫黄化合物、メルカプト基含有アルコキシシラン化合物などを反応させてコールドフロー性を改良する方法が記載されているが、いずれも加工性と低ロス性、耐摩耗性とのバランス改良について言及されていない。
特公昭38−1243号公報 特公昭61−54808号公報 特開昭51−63891号公報 特開昭61−225202号公報 特開平8−208751号公報 特開平2001−114817号公報
本発明は、加工性、耐摩耗性および低ロス性のバランスが改良されたポリブタジエンゴムおよびその製造方法、さらにポリブタジエンゴムを含んだ組成物を提供するものである。
本発明は、ムーニー粘度が30〜120、5%トルエン溶液粘度(Tcp)とムーニー粘度(ML1+4,100℃)の比が1.8〜6.0、GPCによるポリスチレン換算のz+1平均分子量と数平均分子量の比が10以上、流動パラフィンで30wt%に希釈した溶液の粘弾性について損失弾性率が100Paの時の貯蔵弾性率が20Pa以上であることを特徴とするポリブタジエンゴムに関する。
また、本発明該ポリブタジエンの重合触媒が、コバルト化合物及びR 3−nAlX(式中、Rは炭素数1〜10の炭化水素基、Xはハロゲンを示し、nは1〜2の数である。)で表されるハロゲン含有アルミニウム化合物及び水からなる触媒、若しくは周期律表第5族遷移金属化合物がバナジウム化合物のメタロセン型錯体を用いた触媒系がバナジウム化合物及び非配位性アニオンとカチオンとのイオン性化合物及び/又はアルミノキサンからなる触媒、により重合されることを特徴とする前記のポリブタジエンゴムに関する。
また、本発明は該ポリブタジエンゴムが硫黄化合物により変性されて得られることを特徴とする前記のポリブタジエンゴムの製造方法に関する。
また更に、本発明は、前記のポリブタジエンゴムを含むことを特徴とした組成物に関する。
ポリブタジエンゴムが、分岐度が小さい分子構造を有しながら、z+1平均分子量と数平均分子量の比及び30wt%流動パラフィン溶液による粘弾性分析から規定される超高分子量成分を有することで、耐摩耗性と加工性、低ロス性をバランスよく改良できることを見出し、その分子構造がコバルト触媒やメタロセン触媒を用いた重合触媒系に硫黄化合物で変性反応させることで効果的に得ることができることを見出して、本発明を完成するに至った。
その結果、加工性、耐摩耗性および低ロス性のバランスが改良されたポリブタジエンゴムおよびその製造方法、さらにポリブタジエンゴムを含んだ組成物を提供することが出来る。
(ポリブタジエンゴム)
本発明のポリブタジエンゴムのムーニー粘度は30〜120、好ましくは35〜100、より好ましくは、40〜80である。
ムーニー粘度が上記範囲より大きいと加工性が著しく悪化し、上記範囲より小さいと耐摩耗性や低ロス性が低下するので好ましくない。
5%トルエン溶液(Tcp)とムーニー粘度(ML1+4,100℃)の比(Tcp/MLと略記する)は1.8〜6.0で、好ましくは2.0〜5.0である。Tcp/ML比が上記範囲より小さいと分子鎖の分岐度が大きくなり、耐摩耗性や低ロス性が低下し、上記範囲より大きいと加工性が悪化するので好ましくない。
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算のz+1平均分子量と数平均分子量の比は10以上が好ましい。また、流動パラフィンで30wt%に希釈した溶液の粘弾性における損失弾性率が100Paの時の貯蔵弾性率は20Pa以上で、好ましくは25Pa以上である。これらが上記範囲より小さいと、加工性と低ロス性のバランスが保てないので、好ましくない。
(ポリブタジエンゴムの重合触媒)
前記ポリブタジエンゴムの重合触媒としては、コバルト系触媒、メタロセン系触媒を用いるのが好ましい。
コバルト系触媒のコバルト化合物としては、コバルトの塩や錯体が好ましく用いられる。特に好ましいものは、塩化コバルト、臭化コバルト、硝酸コバルト、オクチル酸コバルト、ナフテン酸コバルト、酢酸コバルト、マロン酸コバルト等のコバルト塩や、コバルトのビスアセチルアセトネ−トやトリスアセチルアセトネ−ト、アセト酢酸エチルエステルコバルト、ハロゲン化コバルトのトリアリ−ルフォスフィン錯体、トリアルキルフォスフィン錯体、ピリジン錯体やピコリン錯体等の有機塩基錯体、もしくはエチルアルコ−ル錯体等が挙げられる。
コバルト系触媒組成物におけるハロゲン含有アルミニウム化合物としては、R2 3-nAlXn (式中、R2 は炭素数 1〜10の炭化水素基、Xはハロゲンを示し、n は 1〜2 の数である。)で表されるものが好ましい。ジアルキルアルミニウムクロライド、ジアルキルアルミニウムブロマイドなどのジアルキルアルミニウムハライド、アルキルアルミニウムセスキクロライド、アルキルアルミニウムセスキブロマイドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド、アルキルアルミニウムジクロライド、アルキルアルミニウムジブロマイド等のアルキルアルミニウムジハライド等が挙げられる。具体的化合物としては、ジエチルアルミニウムモノクロライド、ジエチルアルミニウムモノブロマイド、ジブチルアルミニウムモノクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、ジシクロヘキシルアルミニウムモノクロライド、ジフェニルアルミニウムモノクロライド等が挙げられる。
また、コバルト系触媒組成物における有機アルミニウム化合物としては、R3 3Al(式中、R3は炭素数 1〜10の炭化水素基を示す。)で表さるものが好ましい。例えば、トリアルキルアルミニウム化合物、例えば、トリエチルアルミニウム、トリメチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム等が挙げられる。
また、アルミノキサンを用いてもよい。アルミノキサンとしては、有機アルミニウム化合物と縮合剤とを接触させることによって得られるものであって、一般式(−Al(R’)O−)nで示される鎖状アルミノキサン、あるいは環状アルミノキサンが挙げられる。(R’は炭素数1〜10の炭化水素基であり、一部ハロゲン原子及び/又はアルコキシ基で置換されたものも含む。nは重合度であり、5以上、好ましくは10以上である)。R’としてはメチル、エチル、プロピル、イソブチル基が挙げられるが、メチル基及びエチル基が好ましい。アルミノキサンの原料として用いられる有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム及びその混合物などが挙げられる。
中でも、コバルト化合物、ハロゲン含有アルミニウム化合物、及び水からなる触媒系、若しくはコバルト化合物、ハロゲン含有アルミニウム化合物、水、及び有機アルミニウム化合物からなる触媒系が好ましい。
コバルト化合物、ハロゲン含有有機アルミニウム化合物、及び水からなるコバルト系触媒組成物を用いる場合は、全て1,3−ブタジエンの1モルに対して、コバルト化合物については1×10−7〜1×10−3モルの範囲あることが好ましい。また、ハロゲン含有有機アルミニウム化合物については1×10−5〜1×10−1モルの範囲の範囲にあることが好ましい。また、水については1×10−5〜1×10−1モルの範囲にあることが好ましい。
また、コバルト化合物、ハロゲン含有有機アルミニウム化合物、水、及び有機アルミニウム化合物からなるコバルト系触媒組成物を用いる場合は、全て1,3−ブタジエンの1モルに対して、コバルト化合物については1×10−7〜1×10−3モルの範囲あることが好ましい。また、ハロゲン含有有機アルミニウム化合物については1×10−5〜1×10−1モルの範囲の範囲にあることが好ましい。また、水については1×10−5〜1×10−1モルの範囲にあることが好ましい。また、有機アルミニウム化合物については1×10−5〜1×10−1モルの範囲の範囲にあることが好ましい。
触媒成分の添加順序としては、不活性溶媒中に水を添加して均一に混合して、ハロゲン含有有機アルミニウム化合物を添加し、コバルト化合物を添加して重合を開始することが好ましい。ハロゲン含有有機アルミニウム化合物を添加した後、所定時間、熟成した後、コバルト化合物を加えることが好ましい。熟成時間は0.1〜24時間が好ましい。熟成温度は0〜80℃が好ましい。
重合溶媒としては、トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族系炭化水素、n−ヘキサン、ブタン、ヘプタン、ペンタン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素、1−ブテン、シス−2−ブテン、トランス−2−ブテン等のC4留分などのオレフィン系炭化水素、ミネラルスピリット、ソルベントナフサ、ケロシン等の炭化水素系溶媒や、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒等が挙げられる。また、1,3−ブタジエンそのものを重合溶媒としてもよい。
中でも、ベンゼン、シクロヘキサン、あるいは、シス−2−ブテンとトランス−2−ブテンとの混合物などが好適に用いられる。
分子量調節剤としては、重合時に公知の、例えば、シクロオクタジエン、アレンなどの非共役ジエン類、またはエチレン、プロピレン、ブテン−1などのα−オレフィン類を使用することができる。
重合温度は−30〜100℃の範囲が好ましく、30〜80℃の範囲が特に好ましい。重合時間は10分〜12時間の範囲が好ましく、30分〜6時間が特に好ましい。また、重合圧は、常圧又は10気圧(ゲ−ジ圧)程度までの加圧下に行われる。
メタロセン系触媒においては、(A)遷移金属化合物のメタロセン型錯体、及び(B) 非配位性アニオンとカチオンとのイオン性化合物及び/又はアルミノキサンから得られる触媒を用いて、ポリブタジエンゴムを製造できる。
あるいは、(A)遷移金属化合物のメタロセン型錯体、
(B)非配位性アニオンとカチオンとのイオン性化合物、
(C)周期律表第1〜3族元素の有機金属化合物、及び、
(D)水
から得られる触媒を用いてポリブタジエンゴムを製造できる。
(A)成分の遷移金属化合物のメタロセン型錯体としては、周期律表第4〜8族遷移金属化合物のメタロセン型錯体が挙げられる。
例えば、チタン、ジルコニウムなどの周期律表第4族遷移金属のメタロセン型錯体(例えば、CpTiCl3など)、バナジウム、ニオブ、タンタルなどの周期律表第5族遷移金属のメタロセン型錯体、クロムなどの第6族遷移金属メタロセン型錯体、コバルト、ニッケルなどの第8族遷移金属のメタロセン型錯体が挙げられる。
中でも、周期律表第5族遷移金属のメタロセン型錯体が好適に用いられる。
上記の周期律表第5族遷移金属化合物のメタロセン型錯体としては、
(1)RM・La、すなわち、シクロアルカジエニル基の配位子を有する酸化数+1の周期律表第5族遷移金属化合物
(2)RnMX2−n・La、すなわち、少なくとも1個のシクロアルカジエニル基の配位子を有する酸化数+2の周期律表第5族遷移金属化合物
(3)RnMX3−n・La
(4)RMX・La
(5)RM(O)X・La
(6)RnMX3−n(NR’)
などの一般式で表される化合物が挙げられる( 式中、nは1又は2、aは0,1又は2である)。
中でも、RM・La、RnMX2−n・La、RM・La、RMX・La、RM(O)X・Laなどが好ましく挙げられる。
Mは、周期律表第5族遷移金属化合物が好ましい。具体的にはバナジウム(V)、ニオブ(Nb)、またはタンタル(Ta)であり、好ましい金属はバナジウムである。
Rはシクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基、インデニル基、置換インデニル基、フルオレニル基又は置換フルオレニル基を示す。
置換シクロペンタジエニル基、置換インデニル基又は置換フルオレニル基における置換基としては、メチル、エチル、プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ヘキシルなどの直鎖状脂肪族炭化水素基または分岐状脂肪族炭化水素基、フェニル、トリル、ナフチル、ベンジルなど芳香族炭化水素基、トリメチルシリルなどのケイ素原子を含有する炭化水素基などが挙げられる。さらに、シクロペンタジエニル環がXの一部と互いにジメチルシリル、ジメチルメチレン、メチルフェニルメチレン、ジフェニルメチレン、エチレン、置換エチレンなどの架橋基で結合されたものも含まれる。
置換シクロペンタジエニル基の具体例としては、メチルシクロペンタジエニル基、などが挙げられる。
Xは水素、ハロゲン、炭素数1から20の炭化水素基、アルコキシ基、又はアミノ基を示す。Xは同じであっても、異なってもよい。
ハロゲンの具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
以上の中でも、Xとしては、水素、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、メチル、エチル、ブチル、メトキシ、エトキシ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノなどが好ましい。
Lは、ルイス塩基であり、金属に配位できるルイス塩基性の一般的な無機、有機化合物である。その内、活性水素を有しない化合物が特に好ましい。具体例としては、エ−テル、エステル、ケトン、アミン、ホスフィン、シリルオキシ化合物、オレフィン、ジエン、芳香族化合物、アルキンなどが挙げられる。
NR’はイミド基であり、R’は炭素数1から25の炭化水素置換基である。
(A)周期律表第5族遷移金属化合物のメタロセン型錯体としては、中でも、Mがバナジウムであるバナジウム化合物が好ましい。例えば、RV・La、RVX・La、RM・La、RMX・La、RMX・La、RM(O)X・Laなどが好ましく挙げられる。特に、RV・La、RMX・Laが好ましい。
RMX3・Laで示される具体的な化合物としては、以下のものが挙げられるシクロペンタジエニルバナジウムトリクロライドが挙げられる。モノ置換シクロペンタジエニルバナジウムトリクロライド、例えば、メチルシクロペンタジエニルバナジウムトリクロライド、エチルシクロペンタジエニルバナジウムトリクロライド、プロピルシクロペンタジエニルバナジウムトリクロライド、イソプロピルシクロペンタジエニルバナジウムトリクロライド、t−ブチルシクロペンタジエニルバナジウムトリクロライドなどが挙げられる。
1,2−ジ置換シクロペンタジエニルバナジウムトリクロライド、例えば、(1,2−ジメチルシクロペンタジエニル) バナジウムトリクロライドなどが挙げられる。
ペンタ置換シクロペンタジエニルバナジウムトリクロライド、例えば、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)バナジウムトリクロライド、(1,2,3,4−テトラメチル−5−フェニルシクロペンタジエニル)バナジウムトリクロライド、(1−メチル−2,3,4,5−テトラフェニルシクロペンタジエニル)バナジウムトリクロライドなどが挙げられる。
インデニルバナジウムトリクロライドが挙げられる。置換インデニルバナジウムトリクロライド、例えば、(2−メチルインデニル)バナジウムトリクロライド、(2−トリメチルシリルインデニル)バナジウムトリクロライドなどが挙げられる。
シクロペンタジエニルバナジウムトリt−ブトキサイド、シクロペンタジエニルバナジウムi−プロポキサイド、シクロペンタジエニルバナジウムジメトキシクロライドなどが挙げられる。
(t−ブチルアミド)ジメチル(η5−シクロペンタジエニル)シランバナジウムジクロライド、(t−ブチルアミド)ジメチル(トリメチル−η5−シクロペンタジエニル)シランバナジウムジクロライドなどが挙げられる。
RM(O)X2で表される具体的な化合物としては、シクロペンタジエニルオキソバナジウムジクロライド、メチルシクロペンタジエニルオキソバナジウムジクロライド、ベンジルシクロペンタジエニルオキソバナジウムジクロライド、(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)オキソバナジウムジクロライド、(1−ブチル−3−メチルシクロペンタジエニル)オキソバナジウムジクロライド、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)オキソバナジウムジクロライド、(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)オキソバナジウムジクロライドなどが挙げられる。上記の各化合物の塩素原子をメチル基で置換したメチル体も挙げられる。
RとXが炭化水素基、シリル基によって結合されたものも含まれる。例えば、(t−ブチルアミド)ジメチル(η5−シクロペンタジエニル)シランオキソバナジウムクロライドなどのアミドクロライド体、あるいはこれらの化合物の塩素原子をメチル基で置換したメチル体などが挙げられる。
シクロペンタジエニルオキソバナジウムジメトキサイド、シクロペンタジエニルオキソバナジウムジ−iso−プロポキサイド、シクロペンタジエニルオキソバナジウムジ−t−ブトキサイドなどが挙げられる。
上記の各化合物の塩素原子をメチル基で置換したメチル体も挙げられる。
(シクロペンタジエニル)ビス(ジエチルアミド)オキソバナジウムなどが挙げられる。
(B)成分のうち、非配位性アニオンとカチオンとのイオン性化合物を構成する非配位性アニオンとしては、例えば、テトラ(フェニル)ボレ−ト、テトラ(フルオロフェニル)ボレ−ト、テトラキス(ジフルオロフェニル)ボレ−ト、テトラキス(トリフルオロフェニル)ボレ−ト、テトラキス(テトラフルオロフェニル)ボレ−ト、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレ−ト、テトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレ−ト、テトラキス(テトラフルオロメチルフェニル)ボレ−ト、テトラ(トリイル)ボレ−ト、テトラ(キシリル)ボレ−ト、トリフェニル(ペンタフルオロフェニル)ボレ−ト、トリス(ペンタフルオロフェニル)(フェニル)ボレ−ト、トリデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレ−ト、テトラフルオロボレ−ト、ヘキサフルオロホスフェ−トなどが挙げられる。
一方、カチオンとしては、カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプチルトリエニルカチオン、遷移金属を有するフェロセニウムカチオンなどを挙げることができる。
カルボニウムカチオンの具体例としては、トリフェニルカルボニウムカチオン、トリ置換フェニルカルボニウムカチオンなどの三置換カルボニウムカチオンを挙げることができる。トリ置換フェニルカルボニウムカチオンの具体例としては、トリ(メチルフェニル)カルボニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)カルボニウムカチオンを挙げることができる。
アンモニウムカチオンの具体例としては、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリプロピルアンモニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカチオン、トリ(n−ブチル)アンモニウムカチオンなどのトリアルキルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオン、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムカチオンなどのN,N−ジアルキルアニリニウムカチオン、ジ(i−プロピル)アンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオンなどのジアルキルアンモニウムカチオンを挙げることができる。
ホスホニウムカチオンの具体例としては、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオンなどのトリアリ− ルホスホニウムカチオンを挙げることができる。
該イオン性化合物は、上記で例示した非配位性アニオン及びカチオンの中から、それぞれ任意に選択して組み合わせたものを好ましく用いることができる
中でも、イオン性化合物としては、トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレ−ト、トリフェニルカルボニウムテトラキス(フルオロフェニル)ボレ−ト、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレ−ト、1,1’−ジメチルフェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレ−トなどが好ましい。イオン性化合物を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、(B)成分として、アルモキサンを用いてもよい。アルモキサンとしては、有機アルミニウム化合物と縮合剤とを接触させることによって得られるものであって、一般式(−Al(R’)O−)n で示される鎖状アルミノキサン、あるいは環状アルミノキサンが挙げられる。(R’は炭素数1〜10の炭化水素基であり、一部ハロゲン原子及び/又はアルコキシ基で置換されたものも含む。nは重合度であり、5以上、好ましくは10以上である)。R’として、はメチル、エチル、プロピル、イソブチル基が挙げられるが、メチル基が好ましい。アルミノキサンの原料として用いられる有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム及びその混合物などが挙げられる。
トリメチルアルミニウムとトリブチルアルミニウムの混合物を原料として用いたアルモキサンを好適に用いることができる。
また、縮合剤としては、典型的なものとして水が挙げられるが、この他に該トリアルキルアルミニウムが縮合反応する任意のもの、例えば無機物などの吸着水やジオ− ルなどが挙げられる。
(A)成分及び(B)成分に、さらに(C)成分として周期律表第1〜3族元素の有機金属化合物を組合せて共役ジエンの重合を行ってもよい。(C)成分の添加により重合活性が増大する効果がある。周期律表第1〜3族元素の有機金属化合物としては、有機アルミニウム化合物、有機リチウム化合物、有機マグネシウム化合物、有機亜鉛化合物、有機ホウ素化合物などが挙げられる。
具体的な化合物としては、メチルリチウム、ブチルリチウム、フェニルリチウム、ベンジルリチウム、ネオペンチルリチウム、トリメチルシリルメチルリチウム、ビストリメチルシリルメチルリチウム、ジブチルマグネシウム、ジヘキシルマグネシウム、ジエチル亜鉛、ジメチル亜鉛、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウム、トリフッ化ホウ素、トリフェニルホウ素などを挙げられる。
さらに、エチルマグネシウムクロライド、ブチルマグネシウムクロライド、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、セスキエチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムジクロライドのような有機金属ハロゲン化合物、ジエチルアルミニウムハイドライド、セスキエチルアルミニウムハイドライドのような水素化有機金属化合物も含まれる。また有機金属化合物は、二種類以上併用できる。
上記の触媒各成分の組合せとして、(A)成分としてシクロペンタジエニルバナジウムトリクロライド(CpVCl)などのRMX3、あるいは、シクロペンタジエニルオキソバナジウムジクロライド(CpV(O)Cl)などのRM(O)X、(B)成分としてトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレ−ト、(C)成分としてトリエチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウムの組合せが好ましく用いられる。
また、(B)成分としてイオン性化合物を用いる場合は、(C)成分として上記のアルモキサンを組み合わせて使用してもよい。
各触媒成分の配合割合は、各種条件及び組合せにより異なるが、(A)成分のメタロセン型錯体と(B)成分のアルミノキサンのモル比は、好ましくは1:1〜1:100000、より好ましくは1:10〜1:10000である。
(A)成分のメタロセン型錯体と(B)成分のイオン性化合物とのモル比は、好ましくは1:0.1〜1:10である。
(A)成分のメタロセン型錯体と(C)成分の有機金属化合物とのモル比は、好ましくは1:0.1〜1:10000である。触媒成分の添加順序は、特に、制限はない。
また、本発明においては、触媒系として更に、(D)成分として水を添加することが好ましい。(C)成分の有機アルミニウム化合物と(D)成分の水とのモル比(C)/(D)は、好ましくは0.66〜5であり、より好ましくは0.7〜1.5である。
触媒成分の添加順序は、特に、制限はないが、例えば次の順序で行うことができる。
(1)重合すべき共役ジエン化合物モノマー又はモノマーと溶媒の混合物に(D)成分を添加し、(C)成分を添加した後、(A)成分と(B)成分を任意の順序で添加する。
(2)重合すべき共役ジエン化合物モノマー又はモノマーと溶媒の混合物に(D)成分と(C)成分を添加した後、(A)成分と(B)成分を任意の順序で添加する。
また重合時に、必要に応じて水素を共存させることができる。水素の存在量は、共役ジエン1モルに対して、好ましくは500ミリモル以下、あるいは、20℃1気圧で12リットル(L)以下であり、より好ましくは50ミリモル以下、あるいは、20℃、1気圧で1.2L以下である。
ここで重合すべきブタジエンモノマーとは、全量であっても一部であってもよい。モノマーの一部の場合は、上記の接触混合物を残部のモノマーあるいは残部のモノマー溶液と混合することができる。
ブタジエンモノマー以外にイソプレン、1,3−ペンタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、2−メチルペンタジエン、4−メチルペンタジエン、2,4−ヘキサジエンなどの共役ジエン、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ブテン−2、イソブテン、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1 、ヘキセン−1 、オクテン−1 等の非環状モノオレフィン、シクロペンテン、シクロヘキセン、ノルボルネン等の環状モノオレフィン、及び/又はスチレンやα−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物、ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、1,5−ヘキサジエン等の非共役ジオレフィン等を少量含んでいてもよい。
重合方法は、特に制限はなく、溶液重合、又は、1,3−ブタジエンそのものを重合溶媒として用いる塊状重合などを適用できる。トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族系炭化水素、n−ヘキサン、ブタン、ヘプタン、ペンタン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素、1−ブテン、2−ブテン等のオレフィン系炭化水素、ミネラルスピリット、ソルベントナフサ、ケロシン等の炭化水素系溶媒や、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒等が挙げられる。
本発明においては、上記の触媒を所定の温度で予備重合を行うことが好ましい。予備重合は、気相法、スラリ−法、塊状法などで行うことができる。予備重合において得られた固体は分離してから本重合に用いる、あるいは、分離せずに本重合を続けて行うことができる。
重合温度は−100〜200℃の範囲が好ましく、−50〜120℃の範囲が特に好ましい。重合時間は2分〜12時間の範囲が好ましく、5分〜6時間の範囲が特に好ましい。
(硫黄化合物による変性)
上記のコバルト系触媒、若しくはメタロセン系触媒によって製造されたポリブタジエンゴムに所望の粘弾性特性を付与するために、硫黄化合物で変性するのが好ましい。硫黄化合物で変性しない未変性品は、ムーニー粘度、Tcp/ML比は所望特性を満足するが、30wt%流動パラフィン溶液の粘弾性において所望特性を満足させることが出来ない。
具体的には、コバルト系触媒、若しくはメタロセン系触媒で重合した後の反応液に硫黄化合物として、二塩化二硫黄などの塩化硫黄化合物で変性処理する。
その他の硫黄化合物としては、塩素以外のフッ化硫黄化合物、臭化硫黄化合物、沃化硫黄化合物なども使用することも可能である。
塩化硫黄化合物の添加量は、ポリブタジエンの生成物100重量部に対して、0.05〜0.5重量部、好ましくは0.1〜0.4重量部が好ましい。
塩化硫黄化合物の反応温度については、20〜100℃、好ましくは30〜80℃である。
塩化硫黄化合物の反応時間は、10分〜90分間攪拌混合する。
塩化硫黄化合物とポリブタジエンの変性反応は、重合反応後に引き続いて行っても良いし、重合後に重合反応を停止させた後に行っても良いし、また重合後に重合反応停止させた後、反応生成物中に残留している溶媒や未反応モノマーをスチームストリッピング法や真空乾燥法などで除去した乾燥物をシクロヘキサンなどで再度溶解させた後に行っても良い。変性反応後は、反応槽内部を必要に応じて放圧し、洗浄、乾燥工程等の後処理を行う。
本発明により得られるポリブタジエンゴムは、単独で、または他の合成ゴム若しくは天然ゴムとブレンドして配合し、必要ならばプロセス油で油展し、次いでカーボンブラックやシリカ等の充填剤、加硫剤、加硫促進剤その他の通常の配合剤を加えて加硫し、タイヤ、防振ゴム、ベルト、ホース、免震ゴムなどの工業用品や紳士靴、婦人靴、スポーツシューズなどの履物といった各種のゴム用途に使用される。その場合、ゴム成分中に少なくとも本発明のポリブタジエンを10重量%含有するように配合することが好ましい。また、プラスチック、例えば、耐衝撃性ポリスチレンの改質剤として使用する、すなわち、ゴム変性耐衝撃性ポリスチレン系樹脂組成物を製造することもできる。
上記のゴム変性耐衝撃性ポリスチレン系樹脂組成物の製造法としては、ゴム状ポリマーの存在下にスチレン系モノマーの重合を行う方法が採用され、塊状重合法や塊状懸濁重合法が経済的に有利な方法である。スチレン系モノマーとしては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレンのようなアルキル置換スチレン、クロルスチレンのようなハロゲン置換スチレンなど、従来ゴム変性耐衝撃性ポリスチレン系樹脂組成物製造用として知られているスチレン系モノマーの1種又は2種以上の混合物が用いられる。これらのなかで好ましいのはスチレンである。
製造時に必要に応じて上記ゴム状ポリマーの他に、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン、エチレン−酢酸ビニル、アクリル系ゴムなどを上記ゴム状ポリマーに対して50重量%以内併用することができる。又、これらの方法によって製造された樹脂をブレンドしてよい。更に、これらの方法によって製造されたゴム変性ポリスチレン系樹脂組成物を含まないポリスチレン系樹脂を混合して製造してもよい。上記の塊状重合法として1例を挙げて説明すると、スチレンモノマー(99〜75重量%)にゴム状ポリマー(1〜25重量%)を溶解させ、場合によっては溶剤、分子量調節剤、重合開始剤などを添加して、10〜40%のスチレンモノマー転化率までゴム状ポリマーを分散した粒子に転化させる。このゴム粒子が生成するまではゴム相が連続相を形成している。更に重合を継続してゴム粒子として分散相になる相の転換(粒子化工程)を経て50〜99%の転化率まで重合してゴム変性耐衝撃性ポリスチレン系樹脂組成物が製造される。
ゴム状ポリマーの分散粒子(ゴム粒子)は、樹脂中に分散された粒子で、ゴム状ポリマーとポリスチレン系樹脂よりなり、ポリスチレン系樹脂はゴム状ポリマーにグラフト結合したり、或いはグラフト結合せずに吸蔵されている。この発明で言うゴム状ポリマーの分散粒子の径として0.5〜7.0μmの範囲、好ましくは1.0〜3.0μmの範囲のものが好適に製造できる。
グラフト率として、150〜350の範囲のものが好適に製造できる。バッチ式でも連続的製造方法でもよく特に限定されない。
上記のスチレン系モノマーとゴム状ポリマーとを主体とする原料溶液は完全混合型反応器において重合されるが、完全混合型反応器としては、原料溶液が反応器において均一な混合状態を維持するものであればよく、好ましいものとしてはヘリカルリボン、ダブルヘリカルリボン、アンカーなどの型の攪拌翼が挙げられる。ヘリカルリボンタイプの攪拌翼にはドラフトチューブを取り付けて、反応器内の上下循環を一層強化することが好ましい。
ゴム変性耐衝撃性ポリスチレン系樹脂組成物には、製造時や製造後に適宜必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤などの安定剤、離型剤、滑剤、着色剤、各種充填剤及び各種の可塑剤、高級脂肪酸、有機ポリシロキサン、シリコーンオイル、難燃剤、帯電防止剤や発泡剤などの公知添加剤を添加してもよい。この発明のゴム変性耐衝撃性ポリスチレン系樹脂組成物は、公知の各種成形品に用いることはできるが、難燃性、耐衝撃強度、引張強度に優れるために電気・工業用途分野で使用される射出成形に好適である。例えばカラーテレビ、ラジカセ、ワープロ、タイプライター、ファクシミリ、VTRカセット、電話器などのハウジングの家電・工業用などの広範な用途に用いることができる。
ムーニー粘度(ML 1+4 、100℃):JIS-K6300に従い、株式会社島津製作所製のムーニー粘度計(SMV-200)を使用して、100℃で1分予熱したのち、4分間測定してゴムのムーニー粘度(ML1+4、100℃)として表示した。
トルエン溶液粘度(Tcp):ポリマー2.28gをトルエン50mlに溶解した後、標準液として粘度計校正用標準液(JIS Z8809)を用い、キャノンフェンスケ粘度計No.400を使用して、25℃で測定した。
z+1平均分子量、数平均分子量:ポリスチレンを標準物質としてテトラヒドロフランを溶媒として温度40℃で、ゲルパーミエーション(透過)クロマトグラフィー(GPC、東ソー株式会社製)を行ない、得られた分子量分布曲線から求めた検量線を用いて計算し、z+1平均分子量、数平均分子量を求めた。
30wt%流動パラフィン溶液の粘弾性特性:流動パラフィンに30wt%となるよう溶解し、得られた溶液をレオメトリック社製DSR500で動的歪み1%において貯蔵弾性率、損失弾性率を測定した。
加工性:未加硫物のムーニー粘度で評価した。JIS-K6300に従い、株式会社島津製作所製のムーニー粘度計(SMV-200)を使用して、100℃で1分予熱したのち、4分間測定してゴムのムーニー粘度(ML1+4、100℃)として表示した。数値の大きいものほど加工性は悪くなる。
加硫物の反発弾性:BS903に従い、ダンロップ・トリプソメーターを使用して室温で反発弾性を測定し、比較例1を100として指数表示した。指数が大きいほど低ロス性が良好である。
加硫物のtanδ:GABO社製EPLEXOR 100Nを用いて、温度50℃、周波数10Hz、動的歪み0.3%の条件で測定し、比較例1を100として指数表示した。指数が大きいほど低ロス性が良好である。
加硫物の耐摩耗性:ランボーン摩耗指数は、JIS K6264に規定されている測定法に従って、スリップ率60%で測定し、比較例1を100として指数表示した。指数が大きいほど良好である。
(試作品1)
窒素置換した攪拌機付1.5リットルのオートクレーブに1,3−ブタジエンを210ml、シクロヘキサンを390ml導入した。次いで所望の分子量が得る水素ガスを導入した。30℃で3分かけてトリエチルアルミニウム0.63mmolを、次いでトリチルテトラ(パーフルオロフェニル)ボレート0.005m−mol,シクロペンタジエニルバナジウムトリクロライド0.003m−molを添加して40℃で30分間重合した。重合反応終了後、老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンゴムを回収した。次いで回収したポリブタジエンゴムを105℃で2時間真空した。
(試作品2)
試作品1で得たポリブタジエン100gを脱水されたシクロヘキサン1000mlに溶解し、1.5リットル容量のステンレス製のオートクレーブに仕込んで内部を充分窒素置換した後、二塩化二硫黄を所定量添加して40℃で40分間変性反応させた。変性反応終了後、オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入してポリブタジエンゴムを回収し、そこに老化防止剤を添加して40℃で3時間真空乾燥した。得られたポリブタジエンゴムの物性は表1に示す。
(実施例1および比較例1)
表1のポリブタジエンゴムを用い、表2に示す配合処方に従って、250ccのラボプラストミルを使用し天然ゴムとシリカやカーボンブラック等を混練してから加硫剤をオープンロールで混合した。次いで、温度160℃でプレス加硫し、得られた加硫試験片により物性を評価した。
なお、表中の比較例1に記載の「←」は、実施例1の数値と同じであることを示す。
Figure 2011241275


Figure 2011241275

Claims (4)

  1. ムーニー粘度が30〜120、5%トルエン溶液粘度(Tcp)とムーニー粘度(ML1+4,100℃)の比が1.8〜6.0、GPCによるポリスチレン換算のz+1平均分子量と数平均分子量の比が10以上、流動パラフィンで30wt%に希釈した溶液の粘弾性について損失弾性率が100Paの時の貯蔵弾性率が20Pa以上であることを特徴とするポリブタジエンゴム。
  2. 該ポリブタジエンの重合触媒が、コバルト化合物及びR 3−nAlX(式中、Rは炭素数1〜10の炭化水素基、Xはハロゲンを示し、nは1〜2の数である。)で表されるハロゲン含有アルミニウム化合物及び水からなる触媒、若しくは周期律表第5族遷移金属化合物がバナジウム化合物のメタロセン型錯体を用いた触媒系がバナジウム化合物及び非配位性アニオンとカチオンとのイオン性化合物及び/又はアルミノキサンからなる触媒、により重合されることを特徴とする請求項1に記載のポリブタジエンゴム。
  3. 該ポリブタジエンゴムが硫黄化合物により変性されて得られることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載のポリブタジエンゴムの製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のポリブタジエンゴムを含むことを特徴とした組成物。
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