JP4356805B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、周波数200〜400Hz帯域のロードノイズを低減した軽量化空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来技術】
路面が比較的荒れた道路を自動車が走行するとき、路面の凹凸によってトレッドが振動し、この振動が車軸、サスペンション、車体などの伝播経路を通り、車室内でロードノイズと呼ばれる騒音が発生する。この騒音のうち周波数60〜200Hzの帯域のロードノイズはタイヤ径方向1次モードと関係があり、トレッドゴムの厚さを大にしたり、タイヤサイド部のカーカス剛性を下げて固有振動数を下げる手法を講じて低減している。一方周波数200〜400Hzの帯域のロードノイズはタイヤ断面2次モードと関係があり、タイヤ断面2次モードの腹の振幅を小さくすれば低減できるので、ベルト剛性を大きくしたり、トレッドの肉厚を大にして質量を大きくしたり、タイヤ断面最大幅位置近傍の腹になる位置でサイドウオールを部分的に厚くして腹になる位置の質量を局部的に大きくしたりして振幅が小さくなるように対策していた。
【0003】
一方、CO2排出量低減の社会的要請に応えるために自動車の燃費向上が進められており、タイヤについては軽量化が求められている。そのために種々の軽量化の方法が検討されており、その中でもトレッドの溝底とベルトの間にあって直接摩耗寿命に関係しないノンスキッドベースと呼ばれる部分を薄くすれば、この部分は体積が大きいので、軽量化が効果的に行われる。しかし、ノンスキッドベースを薄くすれば、タイヤ断面2次モードの腹になる部分の質量が小さくなって周波数200〜400Hzの帯域のロードノイズが大きくなり、両者の間に二律背反の関係がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、タイヤ重量の軽量化を図りながら、周波数200〜400Hzの帯域のロードノイズを低減した空気入りタイヤを提供することを目的にしたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
トレッドのタイヤ断面中心線近傍とショルダー部に周方向に延びる溝を設け、周方向に配列したコードでなる幅の狭い繊維補強層をベルトの外面に貼設したタイヤについて、繊維補強層を配置する位置と周波数200〜400Hzの帯域のロードノイズの大きさの関係を実験データーを基にしてコンピューターでシュミレーション解析を行い、繊維補強層をタイヤ断面中心線からベルトの端までの距離の40〜60%の間に設けたショルダー溝の下方位置に配置すれば、200〜400Hz帯域のロードノイズが低減され、タイヤ中心線とショルダー溝との間に配置しても低減されないことが分かった。
【0006】
本発明は、上記知見に基ずいてなしたものである。すなわち、左右1対の環状ビードコアの一方から他方に装架されたカーカスプライのクラウン部外面にベルトを設け、前記ベルトを覆ってトレッドが貼設され、トレッドの表面に周方向に延びるセンター溝と溝底の中心位置がタイヤ断面中心線からベルトの端までの距離の40〜60%内に位置するショルダー溝を設けた空気入りタイヤにおいて、センター溝のノンスキッドベースの厚さがショルダー溝より小さくされるとともに、繊維補強層がセンター溝のショルダー側の溝端を通るベルトから立てた法線より回転軸方向外側に位置しながらショルダー溝のタイヤ断面中心線側の溝端を通るベルトから立てた法線と反対側の溝端を通るベルトから立てた法線を跨いでベルトの外面に貼設された空気入りタイヤである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を図面に従って説明する。図1は、本発明の一実施形態に関わる空気入りタイヤの断面図である。符号1はトレッド、2はセンター溝、3はショルダー溝である。タイヤ周方向直角に延びるコードを配列してなるカーカスプライ4が左右1対の環状のビードコア5の間に装架され、カーカスプライ4のクラウン部の外面にベルト6が貼設され、ベルト6とカーカスプライ4のショルダー部を覆ってトレッド1が配設される。トレッド1に周方向に延びるセンター溝2とショルダー溝3が設けられる。ショルダー溝3はタイヤ断面中心線C(以下、タイヤ断面中心線をタイヤ中心線と言う)から溝底の中心Sまでの距離Wsがタイヤ中心線Cからベルト端までの距離の40%〜60%になるように設置される。タイヤ周方向に延びるコードを配列した繊維補強層7がセンター溝のショルダー側の溝端P1を通るベルトから立てた法線l1より回転軸方向外側に位置してショルダー溝のタイヤ中心線側の溝端P2を通るベルトから立てた法線l2と反対側の溝端P3を通るベルトから立てた法線l3の間(以下、溝のタイヤ中心線側の溝端を通るベルトから立てた法線と反対側の溝端を通るベルトから立てた法線の間を溝下と言う)を跨いでベルトの外面に貼設される。繊維補強層7の幅Wnはショルダー溝の溝幅gより広く、ショルダー溝の溝幅gの4倍以下にされる。ショルダー溝の底から繊維補強層までの距離で表されるショルダー溝のノンスキッドベースの厚さt2はセンター溝の底からベルトまでの距離で表されるセンター溝のノンスキッドベースの厚さt1より大きく設計される。
【0008】
繊維補強層に用いるコードとしては、カーカスプライに通常使用されるコードが用いられ、ナイロンコード、アラミドコード、レイヨンコードが例示される。繊維補強層をセンター溝のショルダー側の端に対応するベルト外面上の位置から延びてベルト端で終端させることもできる。
【0009】
【実施例】
本発明の効果を実施例によって明らかにする。ナイロンコードを2.5cm当たり18本打ち込んだ簾織の両面にゴム被覆してなる繊維補強層を表1に示す幅にして表1に示す状態に配設し、ノンスキッドベースを表1に示す厚さにしたタイヤサイズ205/65R15のタイヤを試作した。各試作タイヤの重量測定と下記試験方法による周波数200〜400Hzの帯域のロードノイズの測定を行った。結果を表1に示した。値が小さい方が好ましい。
【0010】
【表1】
【0011】
ロードノイズ試験方法
試作タイヤを排気量2500ccの乗用車に装着して時速60km/hrで粗い路面を走行中、運転席窓側の耳元で周波数帯域200〜400Hzの車内騒音を計測した。
【0012】
本発明のタイヤは重量およびロードノイズが軽量化が行われていない比較例1タイヤより小さくなっている。比較例1タイヤと比較して、ノンスキッドベース厚さを変えないでショルダー溝の溝下を跨いで繊維補強層を設けた比較例2タイヤはロードノイズが減少するが、重量が増加し、センター溝のノンスキッドベースを薄くして繊維補強層をタイヤ中心線からショルダー溝の内側端まで延在させた比較例3タイヤはロードノイズが減少しておらず、繊維補強層の配設はショルダー溝の溝下を跨がなければ、ノンスキッドベースを薄くして大きくなったロートノイズを低減する効果を奏しないことを示している。比較例4はノンスキッドベースを薄くすれば軽量化は図れるが、ロードノイズが増大することを示している。
【0013】
【発明の効果】
本発明は、センター溝のノンスキッドベース厚さをショルダー溝より薄くすることによりタイヤ重量を減少させることができ、繊維補強層をショルダー溝の溝下を跨いで配設することによりノンスキッドベース厚さを薄くしたために増大したロードノイズを減少させることができ、タイヤ重量の軽量化を図りながら二律背反関係にあるロードノイズを低減させる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の空気入りタイヤの一実施形態の断面図である。
【符号の説明】
1 トレッド
2 センター溝
3 ショルダー溝
4 カーカスプライ
5 ビードコア
6 ベルト
7 繊維補強層
C タイヤ断面中心線
P1 センター溝のショルダー側の溝端
P2 ショルダー溝のタイヤ断面中心線側の溝端
P3 ショルダー溝のタイヤ断面中心線反対側の溝端
Claims (3)
- 左右1対の環状ビードコアの一方から他方に装架されたカーカスプライのクラウン部外面にベルトを設け、前記ベルトを覆ってトレッドが貼設され、トレッド表面に周方向に延びるセンター溝と溝底の中心位置がタイヤ断面中心線からベルト端までの距離の40〜60%内に位置するショルダー溝が設けられた空気入りタイヤにおいて、前記センター溝のノンスキッドベースの厚さがショルダー溝より小さくされるとともに、繊維補強層がセンター溝のショルダー側の溝端(P1)を通るベルトから立てた法線より回転軸方向外側に位置して、ショルダー溝のタイヤ断面中心線側の溝端(P2)を通るベルトから立てた法線と反対側の溝端(P3)を通るベルトから立てた法線を跨いでベルトの外面に貼設されたことを特徴とする空気入りタイヤ。
- 繊維補強層の幅が溝幅より広く、かつ溝幅の4倍以下である請求項1記載の空気入りタイヤ。
- 繊維補強層がベルト端まで延びて終端している請求項1記載の空気入りタイヤ。
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