JP4355980B2 - 燃焼装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃焼装置に関するものである。本発明の燃焼装置は、空気量調節部材に特徴を有するものであり、液体燃料を燃焼させる燃焼装置に適し、液体燃料を使用する暖房機器や給湯器、または温水暖房機、ファンヒータ等に採用する燃焼装置として特に好適である。
【0002】
【従来の技術】
一般に燃焼装置においては、燃料と空気とを予め混合した状態で炎孔から噴射させる。そして燃焼部には直接的に二次空気を供給し、燃料は予め混合された空気と二次空気によって燃焼する。従って燃料に予め混合する一次空気の量及び、炎孔外に供給する二次空気の量は、安定燃焼やターンダウン比の大小に重大な影響を与える。
そのため燃焼装置においては、空気量を調節する空気量調節部材が設けられている。例えば灯油等の液体燃料を使用する燃焼装置では、スイング形の空気量調節部材が多用され、空気流路の一部を開閉することにより、空気量の調節が行われていた。
また開口を有する二枚の板状部材を重ね合わせた構造の空気量調節部材を使用した燃焼装置が特開平6−11136号公報に開示されている。
【0003】
特開平6−11136号公報に開示された燃焼装置は、送風機と燃焼部との間に空気量調節部材が介在されたものであり、空気量調節部材は、所定形状の開口を有する二枚の板状部材が重ね合わされたものである。そして空気量調節部材を構成する一方の板状部材の中心軸にモータの回転軸が直接的に接続されている。特開平6−11136号公報に開示された燃焼装置では、モータによって一方の板状部材を直接的に回動させ、二枚の板状部材に設けられた開口の重なり部分を調節する。特開平6−11136号公報に開示された燃焼装置では、燃料供給量に応じて空気量調節部材の開口量が調節される。
【0004】
また液体燃料を使用する燃焼装置においては、モータによってカップを回転させ、カップの中に液体燃料を滴下し、遠心力によって液体燃料を飛散させる構成を備えたものが知られている(特公平7−21332号)。この形式の燃焼装置では、カップは送風機のモータとは別途のモータによって回転される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年酸性雨による環境破壊が深刻な社会問題となり、NOX(窒素酸化物)の総排出量を減少させることが急務となっている。そこで、家庭用等の小型の燃焼装置についても、NOXの発生を極力減少させる工夫が要求されている。NOXを低減させるためには、火炎の温度を適度に低下させることが必要であるが、そのためには空気量の微調整が必要となる。そのため近年では従来にも増して空気量調節部材に要求される能力が高い。
【0006】
ここで従来技術の燃焼装置について考えると、前者のスイング形の空気量調節部材を使用する燃焼装置は、空気量調節部材を全開又は全閉状態で使用するものであるから、空気量の微調整ができない。そのためNOXの抑制に要求される能力を満足することができない。またスイング形の空気量調節部材は、シール性の確保が困難であるという不満もあった。さらにスイング形の空気量調節部材は、構成部品の点数が多く、製造コストが嵩むという問題点もあった。
【0007】
特開平6−11136号公報に開示された様な二枚の板状部材を重ねた空気量調節部材は、中間程度の開度で使用することもできるので、前記したスイング形の空気量調節部材に比べると数段に空気量の調節が容易である。しかしながら、特開平6−11136号公報に開示された構成は、板状部材の中心軸にモータの回転軸を接続して板状部材を回すので、モータの僅かな回転角度によって開口量が大きく変化する。そのため従来技術の燃焼装置は、空気量の微調整が困難であり、やはりNOXの抑制に要求される能力を満足することができないものであった。また特開平6−11136号公報に開示された構成は、回転側の板状部材の中心軸に直接的にモータの回転軸を接続するものであったから、モータは相当のトルクを要する。そのため板状部材を回転させるのに強力なモータを使用しなければならないという不満もあった。
【0008】
さらに特開平6−11136号に開示された燃焼装置では、燃料の供給量に応じて空気量調節部材の開度が調節されるので、制御が困難であるという問題点があった。即ち燃料の供給量は、弁の開度等によって間接的に検知されるものであり、正確に把握することは困難である。従来技術の燃焼装置は、このような比較的曖昧な検知結果に基づいて空気量調節部材の開度を調節するので、理想的な空気量を供給することが困難であった。
【0009】
またこれらとは別の問題として、モータによってカップを回転させる形式の燃焼装置では、カップを回転させるために独立したモータが必要であるという問題点があった。
【0010】
そこで本発明は、従来技術の上記した問題点に注目し、空気量調節部材の構造を改良して空気量の微調整が可能な燃焼装置を開発することを課題とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
そして上記した課題を解決するための請求項1に記載の発明は、燃料と空気とを燃焼部に至る前に混合する予混合部を有し、当該予混合部と送風機との間に空気量調節部材が設けられ、該空気量調節部材は所定形状の開口を有する二以上の板状部材を備え、該板状部材が相対的に回転可能に重ねられたものである燃焼装置において、燃焼部に対して二次空気を供給する二次空気供給路を有し、予混合部に供給する空気と二次空気供給路に供給する空気が単一の空気量調節部材によって調節可能であり、板状部材同士が密着状態であり、送風機の送風量に応じて板状部材の回転角度が調節されることを特徴とする燃焼装置である。
【0012】
本発明の燃焼装置で採用する空気量調節部材は、所定形状の開口を有する二以上の板状部材を備え、該板状部材が相対的に回転可能に重ねられたものである。本発明で採用する空気量調節部材は、板状部材を他方の板状部材に対して回転させることにより、両者を連通する開口の面積が増減し、空気量を調節することができる。そして本発明の燃焼装置では、特に送風機の送風量に応じて回転角度を調節する。ここで送風機の送風量は、比較的把握が容易である。そのため本発明の燃焼装置では、予混合部に理想的な空気量を供給することができる。また、本発明の燃焼装置では、予混合部に空気を供給する以外に、燃焼部に対して二次空気を供給する二次空気供給路を持つ。そして予混合部に供給する空気と二次空気供給路に供給する空気を単一の空気量調節部材によって調節する。
【0013】
また同様の課題を解決するための請求項2に記載の発明は、燃料と空気とを燃焼部に至る前に混合する予混合部を有し、当該予混合部と送風機との間に空気量調節部材が設けられ、該空気量調節部材は所定形状の開口を有する二以上の板状部材を備え、該板状部材が相対的に回転可能に重ねられたものである燃焼装置において、燃焼部に対して二次空気を供給する二次空気供給路を有し、予混合部に供給する空気と二次空気供給路に供給する空気が単一の空気量調節部材によって調節可能であり、板状部材同士が密着状態であり、空気量調節部材を構成する二以上の板状部材の内、少なくとも一つの板状部材には回転中心をピッチ円中心とする歯車が形成され、動力によって回転する歯車が前記板状部材に設けられた歯車と嵌合することを特徴とする燃焼装置である。
【0014】
本発明の燃焼装置についても、空気量調節部材は、二以上の板状部材が相対的に回転可能に重ねられたものであり、板状部材を回転させることにより、空気量を調節することができる。そして特に本発明の燃焼装置では、板状部材に回転中心をピッチ円中心とする歯車を形成し、動力によって回転する歯車が前記移動側板状部材に設けられた歯車と嵌合する構成を採用している。そのため駆動側の歯車の回転量に対する板状部材の回転角度が小さく、開度の微調整が可能である。また駆動側の原動機に要求されるトルクが小さいので、従来技術に比べてより小型の原動機を使用することができる。また、本発明の燃焼装置では、予混合部に空気を供給する以外に、燃焼部に対して二次空気を供給する二次空気供給路を持つ。そして予混合部に供給する空気と二次空気供給路に供給する空気を単一の空気量調節部材によって調節する。
【0015】
また請求項3に記載の発明は、燃料と空気とを燃焼部に至る前に混合する予混合部を有し、当該予混合部と送風機との間に空気量調節部材が設けられ、該空気量調節部材は所定形状の開口を有する二以上の板状部材を備え、該板状部材が相対的に回転可能に重ねられたものである燃焼装置において、予混合部は液体燃料を気化する気化室を持ち、当該気化室内には液体燃料を飛散させる回転部材が内蔵され、燃焼部に対して二次空気を供給する二次空気供給路を有し、予混合部に供給する空気と二次空気供給路に供給する空気が単一の空気量調節部材によって調節可能であり、送風機の回転中心と空気量調節部材の回転中心と回転部材の回転中心が同一軸線上に並べられ、板状部材同士が密着状態であり、送風機と回転部材が単一の原動機によって回転されることを特徴とする燃焼装置である。
【0016】
本発明の燃焼装置は、液体燃料を回転部材で飛散させて気化する構造の燃焼装置に関するものである。本発明の燃焼装置についても、空気量調節部材は、二以上の板状部材が相対的に回転可能に重ねられたものであり、板状部材を回転させることにより、空気量を調節することができる。そして本発明の燃焼装置では、送風機の回転中心と空気量調節部材の回転中心と回転部材の回転中心が同一軸線上に並べられ、送風機と回転部材が単一の原動機によって回転される。そのため本発明の燃焼装置は、従来必須であった回転部材専用の原動機を省略することができる。また、本発明の燃焼装置では、予混合部に空気を供給する以外に、燃焼部に対して二次空気を供給する二次空気供給路を持つ。そして予混合部に供給する空気と二次空気供給路に供給する空気を単一の空気量調節部材によって調節する。
【0017】
【0018】
【0019】
また請求項4に記載の発明は、予混合部に空気を供給する一次空気供給路と、燃焼部に二次空気を供給する二次空気供給路を有し、一次空気供給路と二次空気供給路のいずれか一方は他方に包囲されており、空気量調節部材の中心側に一方の空気供給路が位置し、空気量調節部材の周部側に他方の空気供給路が配され、空気量調節部材を構成する二以上の板状部材の内、少なくとも一つの板状部材を回転させることにより、予混合部に供給される空気と、燃焼部に対して供給される二次空気の双方が調整可能であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の燃焼装置である。
【0020】
本発明の燃焼装置は、先の発明と同様に燃焼部に対して二次空気を供給する二次空気供給路を持つ。そして一次空気供給路と二次空気供給路のいずれか一方は他方に包囲されている。一方、空気量調節部材側については、中心側に一方の空気供給路が位置し、周部側には他方の空気供給路が配されている。
この様に本発明の燃焼装置では、一次空気供給路と二次空気供給路を内側と外側に分けて配置し、空気量調節部材側については二つの供給路に合わせた位置に配している。そのため本発明の燃焼装置では、一つの板状部材を回転させることにより、予混合部に供給される空気と、燃焼部に対して供給される二次空気の双方を調節することができる。
また本発明の燃焼装置では、一次空気供給路と二次空気供給路を内側と外側に分けて配置し、空気量調節部材をこれに合わせて配置したので、空間の無駄が少なく、全体形状を小形化することができる。
【0021】
さらに請求項5に記載の発明は、燃料と空気とを燃焼部に至る前に混合する予混合部を有し、当該予混合部と送風機との間に空気量調節部材が設けられ、該空気量調節部材は所定形状の開口を有する二以上の板状部材を備え、該板状部材が相対的に回転可能に重ねられたものである燃焼装置において、燃焼部に二次空気を供給する二次空気供給路を有し、予混合部に供給する空気と二次空気供給路に供給する空気を単一の空気量調節部材によって調節可能であり、空気量調節部材を構成する二以上の板状部材の内、少なくとも一つの板状部材を回転させることにより、予混合部に供給される空気と、燃焼部に対して供給される空気の比率が変わることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の燃焼装置である。
【0022】
本発明の燃焼装置では、空気量調節部材を構成する二以上の板状部材の内、少なくとも一つの板状部材を回転させることにより、予混合部に供給される空気と、燃焼部に対して供給される空気の比率が変わる。そのため燃焼量に応じて予混合部に供給される空気と、燃焼部に供給される二次空気の比率を変えることができ、理想的な状態で燃焼させることができる。
ここで低NOX化を図るという観点から理想的な空気の比率について付言すると、高出力の燃焼を行っている場合には予混合部に供給される空気の比率を増大させ、逆に低出力の燃焼を行っている場合には予混合部に供給される空気の比率を下げることが望ましい。前者の場合の予混合部に供給される空気と、二次空気の比率は、概ね「2:1」である。また後者の場合は、この比率を概ね「1:4」程度とすることが望ましい。
即ち空気量調節部材は、予混合部に供給される空気が二次空気よりも多い状態から、二次空気の方が多い状態まで可変できることが望ましい。
【0023】
また請求項6に記載の発明は、空気量調節部材を構成する二以上の板状部材には大きさが異なるものが混在し、大きい側の板状部材には他方の板状部材と重ならない部位にも開口が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の燃焼装置である。
【0024】
本発明の燃焼装置では、空気量調節部材を構成する二以上の板状部材には大きさが異なるものが混在し、大きい側の板状部材には他方の板状部材と重ならない部位にも開口が設けられている。この様に板状部材が重ならない部位に設けられた開口は、板状部材の回転角度に係わらず空気を挿通させるから、固定的な開口として機能する。従って、板状部材が重なった部位の連通する開口面積を変化させると、相対的に固定的な開口に属する部位の送風比率が増加する。
【0025】
さらに請求項7に記載の燃焼装置は、多数の炎孔が設けられた炎孔プレートと、空気量調節部材と、送風機及び原動機を有し、前記炎孔プレートの中央部には液体燃料を気化すると共に空気と混合する気化室が配され、前記気化室には液体燃料を飛散させる回転部材が内蔵され、空気量調節部材は固定側板状部材と、移動側板状部材と動力によって回転される歯車を有し、固定側板状部材は、中央部に軸挿通孔が設けられていると共に、周部に空気孔が設けられ、移動側板状部材にも中央部に軸挿通孔が設けられていると共に、周部に空気孔が設けられ、さらに移動側板状部材の周部には歯車が形成され、移動側板状部材と固定側板状部材は互いに重ねられていて移動側板状部材は固定側板状部材に対して回転可能であり、移動側板状部材の周部に形成された歯車には動力によって回転する歯車が嵌合し、空気量調節部材は炎孔プレートと送風機の間に配置され、送風機と気化室内の回転部材が空気量調節部材の軸挿通孔を通る軸によって連結され、送風機と回転部材は単一の原動機によって回転され、送風機によって起こされた空気流の内、空気量調節部材の中程を通過する送風は主として気化室に供給され、空気量調節部材の周側を通過する送風は主として燃焼部に対して供給されることを特徴とする燃焼装置である。
【0026】
本発明の燃焼装置は、液体燃料を回転部材で飛散させて気化する構造の燃焼装置に関するものである。本発明の燃焼装置では、送風機と気化室内の回転部材が空気量調節部材の軸挿通孔を通る軸によって連結され、送風機と回転部材は単一の原動機によって回転される。そのため本発明の燃焼装置は、従来必須であった回転部材専用の原動機を省略することができる。
また本発明の燃焼装置で採用する空気量調節部材は、固定側板状部材と移動側板状部材を有するものであり、固定側板状部材と移動側板状部材に空気孔が設けられている。そして固定側板状部材と移動側板状部材は重ねられていて移動側板状部材は固定側板状部材に対して回転可能であり、移動側板状部材を回転させることにより、空気量を調節することができる。
また特に本発明の燃焼装置では、移動側板状部材の周部には歯車が形成され、移動側板状部材の周部に形成された歯車には動力によって回転する歯車が嵌合する。そのため駆動側の歯車の回転量に対する移動側板状部材の回転角度が小さく、開度の微調整が可能である。また駆動側の原動機に要求されるトルクが小さいので、従来技術に比べてより小型の原動機を使用することができる。
さらに本発明の燃焼装置では、空気量調節部材の中程を通過する送風は主として気化室に供給される。ここで本発明の燃焼装置では、炎孔プレートの中央部に気化室が配されているので、空間の無駄が少なく、全体形状を小形化することができる。
また空気量調節部材の中央部以外を通過する送風は主として燃焼部に対して供給されるので、気化室に供給される空気と、燃焼部に対して供給される空気の比率を変えることができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下さらに本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態の燃焼装置の断面図である。図2は、本発明の実施形態の燃焼装置の分解斜視図である。図3は、図1の燃焼装置の燃焼部近傍の斜視図である。図4は、図1の燃焼装置で採用する空気量調節部の移動側板状部材の正面図である。図5は、図1の燃焼装置で採用する空気量調節部の固定側板状部材の正面図である。図6は、図1の燃焼装置で採用する空気量調節部の正面図であり、開口を開いた状態を示す。図7は、図1の燃焼装置で採用する空気量調節部の正面図であり、開口を閉じた状態を示す。図8は、図1の燃焼装置で採用する分流部材の正面図である。図9(a)は、図1の燃焼装置で採用する炎孔プレートと、炎孔部材と分流部材を組み合わせた状態の正面図であり、(b)は、その部分拡大図である。図10は、図9(a)のA−A断面図である。図11は、図1の燃焼装置で採用する炎孔プレートの裏面中央部分の拡大図である。図12は、図1の燃焼装置の炎孔近傍の斜視図である。図13は、図3のA−A断面図である。図14は、図3のB−B断面図である。図15は、本発明の実施形態の燃焼装置の予混合部周辺の断面斜視図である。図16は、本発明の実施形態の燃焼装置の予混合部の気化室内部を示す断面図である。図17は、図16の縦断面図である。図18は、移動側板状部材の変形例の正面図である。
【0028】
図1において、1は、本発明の実施形態の燃焼装置を示す。本実施形態の燃焼装置1は、給湯器に内蔵されるものであり、送風機2、駆動機械部3、空気量調節部5、混合部6及び燃焼部7が順次積み重ねられて作られたものである。また混合部6及び燃焼部7の近傍に予混合部8が設けられている。
【0029】
順次説明すると、送風機2は、鋼板を曲げ加工して作られた凹状のハウジング10の中にファン11が回転可能に配されたものである。ハウジング10の中央部には、開口12が設けられている。
【0030】
駆動機械部3は、箱体13を有し、その底板15の中央にモータ16が取り付けられている。モータ16は、両端部から回転軸17,18が突出しており、回転軸17,18は、燃焼装置1の略全長を貫通している。そして後記する様に、モータ16の後端側の回転軸17は、ファン11に接続され、前方側の回転軸18は、予混合部8のロータリーカップ(回転部材)63に接続されている。
また駆動機械部3の内部には、ステッピングモータ(原動機)20が設けられている。
【0031】
空気量調節部5は、図2の様に移動側板状部材22と固定側板状部材23によって構成されている。移動側板状部材22は、図2、図4の様に円板状をしており、中央に軸挿通孔25が設けられている。そしてその周囲に空気孔となる開口26,27,28が設けられている。空気孔となる開口は、概ね内外二重のエリアに分かれて設けられている。中心側のエリア(図4の一点鎖線Aの範囲)に設けられた開口26は、略三角形であり、6個、等間隔に設けられている。
【0032】
一方、外側を取り巻くエリアに設けられた開口は、二種類の形状のものがある。即ち、外側を取り巻く開口は、6個であり、そのうちの3個の開口27は、略長方形の溝状である。これに対して、残る3個の開口28は、長方形と長円とが結合した形をしている。開口27,28は、互い違いの位置に配置され、いずれも等角に設けられている。
上記した様に、移動側板状部材22には、3種類の開口26,27,28が設けられているが、これらの周方向の辺は、いずれも移動側板状部材22の中心と同一中心の円弧である。
移動側板状部材22の外周部の一部には、歯車形状30が形成されている。歯車形状30のピッチ円中心は、移動側板状部材22の中心(軸挿通孔25)と一致する。歯車形状30は、移動側板状部材22の中心に対して概ね30・の範囲で設けられている。
【0033】
一方、空気量調節部5の固定側板状部材23は、長方形の板体であり、周囲には図示しないフランジ部が設けられている。固定側板状部材23の面積は、前記した移動側板状部材22よりも大きく、両者を重ねたとき、移動側板状部材22は固定側板状部材23にすっぽりと覆われる。逆にいえば、固定側板状部材23の端部は移動側板状部材22からはみ出す。
【0034】
板状の部位の中心部分には、前記した移動側板状部材22と略同一形状の開口が設けられている。即ち空気量調節部5の固定側板状部材23には、中央に軸挿通孔25'が設けられている。そしてその周囲に空気孔となる開口が二重のエリアに分かれて設けられている。中心側のエリアに設けられた開口26'は、略三角形であり、6個、等間隔に設けられている。また外側のエリアにも開口27'が設けられているが、外側の開口はいずれも略長方形の溝状のものである。
また固定側板状部材23の他の部位には、多数の小孔31が設けられている。小孔31が設けられた位置は、固定側板状部材23の上に移動側板状部材22を重ねた時に、両者が重複しない部位である。即ち小孔31は、固定側板状部材23のはみ出し部分に設けられている。
【0035】
空気量調節部5は、図6,7に示すように、固定側板状部材23の上に移動側板状部材22が重ねられている。また両者の中心部には、下部にウェーブワッシャ33が設けられており、固定側板状部材23を移動側板状部材22側に押圧している。ウェーブワッシャ33は、波うった形状の座金であり、相当の反発力を有するものであり、固定側板状部材23を移動側板状部材22に押しつけ、両者の密着性を向上させる働きをする。なおウェーブワッシャ33に代わってコイルバネや皿バネ等のバネ、あるいはゴム等の弾性体を使用しても同様の作用効果が期待できる。
移動側板状部材22は、固定側板状部材23の上で中央に軸挿通孔25を中心として相対的に回転可能である。移動側板状部材22の回転により、後記する様に移動側板状部材22と固定側板状部材23を連通する開口の面積が変化する。
【0036】
混合部6、燃焼部7及び予混合部8は、分流部材35と炎孔プレート36を中心として構成されている。
分流部材35は、図8に示すように、長方形をした板状の部材であり、中央に大きな開口37が設けられている。また周部には、中程度の開口38が取り巻いている。そしてその中間部には、小さな開口40が多数設けられている。
小さな開口40は、図の様に列となって長手方向に連なって設けられている。
【0037】
炎孔プレート36は、アルミダイカストによって作られたものであり、図9の様に長方形をしている。そして炎孔プレート36には、複雑な枠組と開口及び溝が設けられている。
即ち炎孔プレート36は、外周を囲む外側燃焼壁41を持ち、この外側燃焼壁41の内側にやや背の高い内側燃焼壁43が設けられている。内側燃焼壁43の内部は、実際に火炎が発生する部分であり、燃焼部7として機能する。
炎孔プレート36の内部には、燃焼壁41,43に対して垂直方向(設置方向は水平)に水平壁44が設けられている。
【0038】
前記した様に、炎孔プレート36は、外側燃焼壁41と内側燃焼壁43が設けられているので、これらの間は、環状の溝が形成されている。そしてこの環状の溝45のそれぞれの辺には、各2本づづ、長細い開口46が設けられている。
また内側燃焼壁43で囲まれた中央部には円形の開口47が設けられている。さらに内側燃焼壁43内には、多数の溝48は、図3,10,11の様に、垂直壁50によって仕切られて設けられている。
そして溝48を構成する垂直壁50は、図3、11の様に二組づつがループを構成していて、島状の部位を形成している。そしてループを構成していない組み合わせの垂直壁同士の間に、図3の様に炎孔部材51が装着されている。炎孔部材51には、炎孔となる開口54が設けられている。
【0039】
炎孔プレート36の裏面には、図2,3,10の様に分流部材35が装着されている。
炎孔プレート36の裏面側では、前記したように垂直壁50は、図3、11の様に二組づつがループを構成していて、島状の部位を形成し、さらに垂直壁50の突端部分に分流部材35が当接しているので、島状の部位は他の部位から隔離されている。即ち、島状の部位と他の部位との間に通気性はない。そして島状の部位以外の部位は気化ガスと空気との混合を促進しつつ炎孔部材51に混合ガスを送る通路56として機能する。また当該部位は、混合部としても機能する。島状の部位は、前記「混合ガスを送る通路56」を経ずに燃焼部7に空気を供給する二次空気供給路49として機能する。
【0040】
分流部材35の中央の大きな開口37は、炎孔プレート36の中央の開口47と連通する。また分流部材35の周囲に設けられた中程度の大きさの開口38の群は、炎孔プレート36の外側燃焼壁41と内側燃焼壁43の間に設けられた長細い開口46と連通する。さらに分流部材35の小さな開口40は、炎孔プレート36のループを構成する組み合わせの垂直壁50同士の間の部位に位置する。即ち分流部材35の小さな開口40は、二次空気供給路49に開口する。炎孔部材51が設けられたループを構成していない組み合わせの垂直壁同士の間には、分流部材35の開口は無い。即ち混合部6には分流部材35の開口は無い。
【0041】
炎孔プレート36と分流部材35は、上記した状態に組み合わされ、外箱53内に配置されている。なお外箱53と炎孔プレート36及び分流部材35の間には、図1,3に示すように空隙55がある。
【0042】
次に予混合部8について説明する。予混合部8は、気化室60と、ロータリーカップ(回転部材)63によって構成されている。
また気化室60は、蓋部81と本体部82によって構成されている。そして気化室60の外周部、より詳細には気化室60の蓋部81の外周には、図15の様に歯車の様な凹凸形状をした表面積増大部83が設けられている。
気化室60は、図1,15の様に、炎孔プレート36の中央の開口47部分に取り付けられており、炎孔プレート36の内側燃焼壁43に囲まれた部位であって炎孔プレート36の中央にあり、炎孔となる開口54に囲まれていて燃焼部7に近接して位置する。
【0043】
気化室60の内面は、図15,図17の様に上部に開くテーパー形状をしており、気化室60の形状は、略円錐台形状をしている。即ち気化室60は、下部に開口部84を有し、開口部84の近傍部分が狭く、内部が広い。また開口部84の近傍には突起部85が設けられている。突起部85の断面形状は、略半円形であり、気化室60の内壁に沿って環状に延びている。そのため気化室60の開口部近傍はテーパ形状と突起部85とがあいまって、狭窄部80を構成している。
また前記した突起部85の内部には、電気ヒータ64が内蔵されている。即ち突起部85は加熱機能を持つ。電気ヒータ64に通電することにより、突起部85の部分が発熱し、さらにこの熱が気化室60の壁を伝導し、気化室60の内壁が全体的に加熱される。
また気化室60の壁内には温度センサー90が内蔵されており、電気ヒータ64は、温度センサー90の検知温度に基づいてオンオフ制御される。
【0044】
ロータリーカップ63は、すり鉢状をしていて、上部には、振り切り板状部材68が取り付けられている。またロータリーカップ63の下部の中央には開口87が設けられている。ロータリーカップ63の下部の開口87はテーパ状であって、奥に行くほど開口径が狭くなっている。
そしてロータリーカップ63の下部中央の開口87には、一次空気供給筒88が挿入されている。一次空気供給筒88は、先端が漸次細くなったテーパ状である。一次空気供給筒88の最先端の開口部の位置は、気化室60の内部であって、突起部85のさらに奥に位置する。即ち一次空気供給筒88の最先端の開口は、電気ヒータ64の配置位置よりも気化室60の奥側に位置する。
一方、一次空気供給筒88の下端は、一次空気導入口70に繋がっている。一次空気導入口70は、図1,図2の様に、下端がラッパ状に開くものであり、その開口直径は、移動側板状部材22の中心側のエリア(図4の一点鎖線Aの範囲)の直径に略等しい。一次空気供給筒88は、一次空気を供給する供給路の始端である。
一次空気供給筒88以外から供給される空気は、全て二次空気として機能するから、本実施形態では、一次空気を供給する供給路は、二次空気の供給路に包囲されている。
【0045】
一次空気供給筒88の内部には、燃料パイプ79が配管されており、燃料パイプ79はロータリーカップ63内に至っている。
さらに本実施形態で採用するロータリーカップ63は、図1,2,16の様に外周部に攪拌翼86が設けられている。
【0046】
次に、本実施形態の燃焼装置1の各部の組み立て構造について説明する。
本実施形態の燃焼装置1は、最初に説明した様に、送風機2、駆動機械部3、空気量調節部5が中心軸を一致させて順次積み重ねられたものであり、駆動機械部3の底板状部材部15に送風機2が直接的にネジ止めされている。即ち本実施形態では、送風機2の回転中心と空気量調節部材5の軸挿通孔25(移動側板状部材22の回転中心)とロータリーカップ63の回転中心が同一軸線上に並べられている。
【0047】
そして駆動機械部3の上部に空気量調節部5がネジ止めされている。また駆動機械部3に設けられたステッピングモータ20に図2の様な歯車67が設けられており、当該歯車67は、空気量調節部5の移動側板状部材22の歯車形状30と嵌合している。そのためステッピングモータ20を回転させることにより、移動側板状部材22を固定側板状部材23に対して回転させることができる。即ち移動側板状部材22に設けられた歯車形状30は、そのピッチ円中心が移動側板状部材22の回転中心(軸挿通孔25)と一致するから、移動側板状部材22自体が一つの歯車として機能し、ステッピングモータ20に取り付けられた歯車67と嵌合する。そのため移動側板状部材22の歯車形状30は、ステッピングモータ20に取り付けられた歯車67と円滑に嵌合し、ステッピングモータ20の回転によって移動側板状部材22が回転する。
【0048】
また空気量調節部5の上部には、混合部6及び燃焼部7が設けられているが、混合部6と空気量調節部5の境界たる分流部材35に、ラッパ状の一次空気導入口70が設けられている。一次空気導入口70の中心軸は、空気量調節部5の移動側板状部材22のそれと一致し、且つ前記した様に一次空気導入口70の開口直径は、移動側板状部材22の中心側のエリア(図4の一点鎖線Aの範囲)の直径に略等しいので、一次空気導入口70は移動側板状部材22の中心側のエリアを覆う様に位置することとなる。従って移動側板状部材22の中心側のエリアから排出された空気は、主として一次空気導入口70によって捕捉される。
そして一次空気導入口70は、前記した一次空気供給筒88に直接的に連通し、前述の様に直接的に予混合部8の気化室60内に開口している。従って移動側板状部材22の中心側のエリアから排出された空気は、前記した様に主として一次空気導入口70によって捕捉され、一次空気供給筒88を経由して直接的に予混合部8の気化室60内に導入される。
【0049】
また駆動機械部3のモータ16の回転軸18は、空気量調節部5の中央の軸挿通孔25,25'を連通して一次空気導入口70(一次空気供給筒88)を通過し、気化室60のロータリーカップ63に接続されている。
従ってロータリーカップ63は、モータ16の動力によって回転する。またモータ16の後端側の回転軸17は、ファン11にも接続されているから、本実施形態では、単一のモータ16によって予混合部8のロータリーカップ63とファン11の双方が駆動される。
なお軸挿通孔25は、移動側板状部材22の回転中心でもあるから、移動側板状部材22が回転する際に移動することはない。そのため軸挿通孔25,25'にモータ16の回転軸18があっても、移動側板状部材22の回転の妨げとならない。また前記した様に、空気量調節部5の移動側板状部材22と固定側板状部材23は、ウェーブワッシャ33によって互いに押圧されているが、回転軸18は、ウェーブワッシャ33の中心の開口を通っている。
【0050】
次に本実施形態の燃焼装置1の機能について説明する。
本実施形態の燃焼装置1では、モータ16を起動してファン11とロータリーカップ63を回転させる。
ファン11の回転により、図1の矢印の様に送風機2のハウジング10の中央部に設けられた開口12から空気が吸い込まれ、空気は駆動機械部3に入る。そして空気は、駆動機械部3から上部の空気量調節部5を経て混合部6側に流れるが、本実施形態の燃焼装置1では、空気量調節部5によって流量調整される。
【0051】
即ち空気量調節部5は、前記した様に固定側板状部材23の上に移動側板状部材22が回転可能に重ねられており、両者には略同一形状の開口26,26',27,27',28が設けられている。そのため図6の様に、両者の開口26,26',27,27',28が重なる様な回転位置にある時は、両者の開口26,26',27,27',28が連通し、空気量調節部5全体として大きな開口面積を持つこととなる。従って移動側板状部材22が固定側板状部材23に対して図6の様な位置関係にある時は、混合部6及び予混合部8に大量の空気が送風される。
なお図6の様な空気量調節部5が全開状態の時、空気量調節部5の中心側のエリアAの開口面積は、他の部位の開口面積の約2倍となる。
【0052】
逆に、図6に示した位置からステッピングモータ20を回転して移動側板状部材22を回転させると、一方の開口と他方の閉塞部が重なり、空気量調節部5全体としての開口面積が小さくなる。従って移動側板状部材22が固定側板状部材23に対して図7の様な位置関係にある時は、混合部6及び予混合部8に送風される風量は減少する。ただし、固定側板状部材23の両脇側に設けられた開口31は、固定的なものであって閉塞されることはないので、相対的にエリアAの開口比率が減少し、予混合部8に送風される空気の比率が減少する。
図7の様に、閉状態におけるエリアAの開口面積は、他の部位の開口面積の約4分の1である。
【0053】
本実施形態で採用する空気量調節部5は、板状の部材を重ね合わせたものであるから密着性が高く、空気の漏れが少ない。特に本実施形態では、ウェーブワッシャ33によって固定側板状部材23を移動側板状部材22側に押圧しているので、両者の間から空気が洩れる余地は少ない。
本実施形態の燃焼装置1では、ステッピングモータ20は、送風機2の送風量に応じて動作される。送風機2の送風量は、送風機2のモータを流れる電流値と相関関係がある。
本実施形態の燃焼装置1では、送風機2の送風量が多い場合は、空気量調節部5を開いて中心側のエリアAから高い比率で空気を排出する。その結果、予混合部8により多くの割合で空気が導入される。一方、送風機2の送風量が少ない場合は、図7の様に空気量調節部5を閉じ、中心側以外の部位から排出される空気の比率を高める。そして一次空気の比率が減少し、二次空気の比率が上昇する。
【0054】
空気量調節部5を通過した空気は、大きく4つの方向に別れて下流側に流れる。即ち中心部のエリアAを通過した空気は、直接的にラッパ状の一次空気導入口70に捕捉され、これと連通する一次空気供給筒88から気化室60の中に送風される。
【0055】
また他の一部は、分流部材35に設けられた多数の小口径の開口40の多くから、炎孔プレート36のループを構成する組み合わせの垂直壁50同士の間の部位に流れる。即ち分流部材35に設けられた多数の小口径の開口40の多くから、混合部を経ずに燃焼部7に空気を供給する二次空気供給路49に空気が流れる。
また分流部材35に設けられた小口径の開口40の中の、最も外側に配された開口は、炎孔プレート36の外側燃焼壁41と内側燃焼壁43の間に設けられた長細い開口46と連通し、当該開口40に入った空気は、外側燃焼壁41と内側燃焼壁43によって構成される二次空気供給用の環状溝45を流れる。
さらに分流部材35の周囲に設けられた中程度の大きさの開口38から入った空気は、外箱53と炎孔プレート36の間の二次空気供給用の空隙55に流れる。
【0056】
そしてファン11の送風により、上記した様に予混合部8内に一次空気が導入され、気化室60を通風雰囲気とする。また突起部85に内蔵された電気ヒータ64に通電して発熱させ、突起部85を中心として気化室60の内壁全体を昇温させる。この状態において、燃料パイプ79から液体燃料をロータリーカップ63内に滴下する。
滴下された液体燃料は、ロータリーカップ63から遠心力を受け、ロータリーカップ63の斜面を登り、振り切り板状部材68から飛散する。そして飛散した液体燃料は、ロータリーカップ63の周囲に配された傾斜面65に接触し、熱を受けて気化する。
そしてロータリーカップ63と一体化された攪拌翼86によって気化室60内の空気が攪拌され、燃料ガスと空気との混合が促進される。
【0057】
こうして発生した混合ガスは、図17の矢印の様に、ロータリーカップ63の外壁と気化室60の内壁によって形成される空隙95を流れて下部に向かう。即ち混合ガスは、気化室60の逆円錐台形状に傾斜した傾斜面65に沿って下方向に流れる。ここで気化室60の形状は、逆円錐台形状であり、開口部84に向かうにつれて断面積が漸次減少してゆき、混合ガスの通過面積も小さくなって行く。そのため混合ガスは、互いに衝突し、相互に攪拌される。そして混合ガスは、突起部85が設けられた狭窄部80に至る。ここで気化室60の開口部近傍に設けられた狭窄部80は、断面積が他の部位に比べて小さいばかりでなく、ロータリーカップ63の下部中央の開口87に一次空気供給筒88が挿入されているので、混合ガスの流路は極めて狭い。そのため混合ガスの攪拌は、狭窄部80においてさらに進行する。また前記したように、混合ガスは気化室60の逆円錐台形状に傾斜した壁面に沿って下方向に流れるので、突起部85と直接的に衝突する。ここで本実施形態の燃焼装置1では、突起部85の内部に電気ヒータ64が内蔵されており、突起部85の部分は特に他の部位に比べて高温である。そのため混合ガスは、当該部位で強く加熱される。
【0058】
こうして気化室60の開口部84から一次空気供給筒88を介して気化室60の内部、より具体的には電気ヒータ64よりも奥の位置に設けられた一次空気供給筒88から供給された空気は、気化室60の奥部の比較的広い部位に開放されて飛散した燃料と混合され、徐々に流路が狭められて燃料ガスと衝突・攪拌される。そして混合ガスは、最も流路が狭い部位を通過する際により高温の部位と接し、高温状態となって気化室60の下部の開口部84から排出される。そして気化室60を出た混合ガスは、一旦炎孔プレート36の裏面側の通路に流れ込む。なお混合ガスが開口部84から排出される際には、混合ガスは、一次空気供給筒88の外形形状たるテーパに沿って広がるので、混合ガスの広がりは一様であり、且つ流路抵抗も小さい。
【0059】
そして混合ガスは、図3,11,13の様にループを構成していない組み合わせの垂直壁50同士の間に流れ込み、上昇して炎孔54から噴射される。
【0060】
一方、他の部位から下流側に流れた空気は、燃料と混合されることなく、直接燃焼部7側に流れ込み、二次空気として燃焼に寄与する。即ち二次空気は、分流部材35に設けられた多数の小口径の開口40の多くから、炎孔プレート36のループを構成する組み合わせの垂直壁50同士の間の部位(二次空気供給路49)に流れ、炎孔54の側面部に供給される。さらに炎孔プレート36の外側燃焼壁41と内側燃焼壁43の間に設けられた長細い開口46から、炎孔54の上部側(下流側)に二次空気が供給される。さらに分流部材35の周囲に設けられた中程度の大きさの開口38から入った空気は、外箱53と炎孔プレート36の間の空隙55に流れて、炎孔54から遠い位置に供給される。
【0061】
そして図示しない点火装置によって燃料ガスに点火されると、内側燃焼壁43の内側を火炎の基端部として燃焼が行われる。
【0062】
また本実施形態の燃焼装置では、燃焼出力の変化に応じてステッピングモータ20が回動され、空気量調節部5の開口量を変化させる。即ち燃焼量が増加し、送風機2が発生する送風量が多いときは、ステッピングモータ20を回動して固定側板状部材23と移動側板状部材22の開口26,26',27,27',28が連通する方向に移動側板状部材22を回す。その結果、燃焼に寄与する空気量が増大するだけでなく、予混合部8に供給される一次空気の比率が上昇する。
その結果、炎孔54から噴射される燃料ガスの濃度が低下する。
【0063】
逆に燃焼量が減少し、送風機2が発生する送風量が減少した場合は、移動側板状部材22の開口26,27,28を固定側板状部材23の閉塞部と合致させる方向に移動側板状部材22を回す。その結果、燃焼に寄与する空気量が減少するだけでなく、予混合部8に供給される一次空気の比率が減少する。即ち、噴射する燃料ガスの濃度が濃くなり、その周囲に供給される空気が相対的に多くなる。
このように、高出力燃焼を行なっている場合に、予混合部8に供給される一次空気の比率を上げ、逆に低出力燃焼を行なっている場合に一次空気の比率を下げることによって、NOX(窒素酸化物)の排出量を減少させることが可能となる。
【0064】
即ち本実施形態の燃焼装置1では、高出力燃焼を行なっている場合に、予混合部8に供給される一次空気の比率が上昇するので、予混合されて炎孔54から噴射される燃料の濃度が下がる。その結果、混合気が希薄となり火炎の温度が低下してNOX の排出量が減少する。なお高出力燃焼を行なっている場合は、火勢が強いので、炎孔54から噴射される燃料の濃度が低くても、火飛び等の悪影響は少ない。高出力燃焼を行なっている際の一次空気の比率は、二次空気よりも高いことが望ましく、理想的には、本実施形態の燃焼装置1で採用する空気量調節部5を全開にした時のように、
(一次空気:二次空気=2:1)
となることが推奨される。
一方、低出力燃焼を行なう場合は、火勢が弱いので燃料濃度を上昇させざるを得ないが、本実施形態の燃焼装置1では、燃焼部7に供給される二次空気の比率が増大するので、火炎の周囲に多量に二次空気が供給され、二次空気によって火炎が冷却される。そのため、結果的にNOX の排出量が抑制される。
低出力燃焼を行なっている際の一次空気の比率は、二次空気よりも低いことが望ましく、理想的には、本実施形態の燃焼装置1で採用する空気量調節部5を閉じた時のように、
(一次空気:二次空気=1:4)
となることが推奨される。
【0065】
本発明者らの実験によると、高出力燃焼時に供給空気の比率を
(一次空気:二次空気=2:1)
とし、低出力燃焼時に供給空気の比率を
(一次空気:二次空気=1:4)
とすることにより、全出力領域におけるNOX 排出量の平均を100ppm未満とすることができた。
【0066】
本実施形態の燃焼装置1では、予混合部8を構成する気化室60の内側形状が円錐形状であり、さらに開口近傍に電気ヒータ64が内蔵された突起部85が設けられ、且つ一次空気供給筒88がテーパ状であって電気ヒータ64よりもさらに奥部に空気を供給するので、気化性能が高く、また混合ガスは均質である。そのため、炎孔54から噴射される混合ガスは、液滴を含まず、完全にガス化している。したがって本実施形態の燃焼装置1は、火炎が安定している。
【0067】
また本実施形態の燃焼装置1では、予混合部8は、燃焼部7の近傍に配置されているので、燃焼が開始されると、気化室60が火炎によって加熱される。特に本実施形態の燃焼装置1では、気化室60の外周部に凹凸形状の表面積増大部83が設けられているので、気化室60は、より強く加熱される。そのため気化室60内の温度が上昇し、燃料の気化がさらに促進される。
【0068】
なお、本実施形態の燃焼装置1を製作する場合には、予混合部8及び燃料ガスの経路が断熱塗料によって保温することが望ましい。即ち予混合部8の頂部8a及び外周面8bに断熱塗料を塗布することが推奨される。ここで断熱塗料は、例えば無機質系中空ビーズ(セラミック系無機バルーン)を素材としたものである。より具体的には、組成がアルミナシリケートであり、中空球体又は真球微粒子形状をしており、粒子径は、概ね5〜300μmである。また熱分解温度は、330℃程度であり、アクリル・スチレン系のバインダーが採用されている。
【0069】
予混合部8の頂部8a及び外周面8bに断熱塗料を塗布することにより、予混合部60からの熱放散が減少する。また特に予混合部8の頂部8aは、燃焼時においても火炎によって加熱されにくい部位であり、予混合部8の頂部8a及び外周面8bに断熱塗料が塗布することにより、当該部位からの熱放散が抑制され、燃料の気化が促進される。
【0070】
また分流部材35の外側、言い換えると分流部材35の下流側或いは送風が当接する側の面や、炎孔プレート36のループを構成する垂直壁50の内外面、炎孔プレート36の外側燃焼壁41の外側及び内側燃焼壁43の外側、分流部材35の内側や炎孔プレート36の水平壁44の内外面、炎孔プレート36の外側燃焼壁41の内側、内側燃焼壁43の内側等についても、断熱塗料を塗布しておくことが望ましい。
【0071】
以上説明した実施形態では、移動側板状部材22の歯車形状30と嵌合する歯車67に平歯車を採用したが、ウォーム歯車を活用してもよい。また本実施形態では、移動側板状部材22の外周面に歯車形状30を設けたが、図18の様にやや内部の位置に歯車形状30を設けてもよい。
また本実施形態では、固定側板状部材23を移動側板状部材22よりも大きなものとし、両者が重ならない部位に固定的な小孔31を設けたが、小孔31を設ける構成は必須ではない。また固定側板状部材23と移動側板状部材22は同一の大きさであってもよい。
また本発明は、ガンタイプバーナにも応用することができる。
【0072】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の燃焼装置は、空気量調節部材に特別の構造を採用し、空気量の微調整が可能である。そのため本発明の燃焼装置は、ターンダウン比が高く、使い勝手が良い。また本発明の燃焼装置は、NOX排出量の低減にも寄与することができる。
特に請求項1に記載の燃焼装置は、送風機の送風量に応じて回転角度を調節するので、予混合部に理想的な空気量を供給することができる。また請求項1に記載の燃焼装置では、単一の空気量調節部材によって調節するので、部品点数が少なく、組み立てが容易である。
【0073】
また請求項2に記載の燃焼装置では、板状部材に回転中心をピッチ円中心とする歯車を形成し、この歯車を介して板状部材を回動させるので、駆動側の歯車の回転量に対する板状部材の回転角度が小さく、開度の微調整が可能であるという効果がある。また本発明の燃焼装置では、従来技術に比べてより小型の原動機を使用して板状部材を回動させることができる。また請求項2に記載の燃焼装置では、単一の空気量調節部材によって調節するので、部品点数が少なく、組み立てが容易である。
【0074】
さらに請求項3に記載の燃焼装置では、送風機と気化室内の回転部材が単一の原動機によって回転されるので、従来必須であった回転部材専用の原動機を省略することができ、燃焼装置のコストダウンに寄与するばかりでなく、電動機に起因する故障が低減する効果がある。また請求項3に記載の燃焼装置では、単一の空気量調節部材によって調節するので、部品点数が少なく、組み立てが容易である。
【0075】
【0076】
また請求項4に記載の燃焼装置は一次空気供給路と二次空気供給路を内側と外側に分けて配置し、空気量調節部材をこれに合わせて配置したので、空間の無駄が少なく、全体形状を小形化することができる効果がある。
【0077】
さらに請求項5に記載の燃焼装置は、燃焼量に応じて予混合部に供給される空気と、燃焼部に供給される二次空気の比率を変えることができ、理想的な状態で燃焼させることができる効果がある。また高出力燃焼時の予混合部に供給される空気と二次空気の比率を概ね「2:1」とし、低出力燃焼時の予混合部に供給される空気と二次空気の比率を「1:4」程度とすることにより、排出されるNOXを低減することもできる。
【0078】
また請求項6に記載の燃焼装置は、固定的な開口を設けることにより、板状部材を回転した際における、予混合部に供給される空気と、二次空気の比率変動を大きくすることができる効果がある。
【0079】
請求項7に記載の燃焼装置は、上記した効果を総合した効果を持ち、空気量調節部材の開度の微調整が可能であるという効果があり、空気量調節部材を動作させるのに小型の原動機で足りる効果があり、回転部材専用の原動機を省略することができる効果があり、空間の無駄が少なく、全体形状を小形化することができる効果があり、予混合部に供給される空気と、二次空気の比率に大きな変化を付けることができるといった数々の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態の燃焼装置の断面図である。
【図2】 本発明の実施形態の燃焼装置の分解斜視図である。
【図3】 図1の燃焼装置の燃焼部近傍の斜視図である。
【図4】 図1の燃焼装置で採用する空気量調節部の移動側板状部材の正面図である。
【図5】 図1の燃焼装置で採用する空気量調節部の固定側板状部材の正面図である。
【図6】 図1の燃焼装置で採用する空気量調節部の正面図であり、開口を開いた状態を示す。
【図7】 図1の燃焼装置で採用する空気量調節部の正面図であり、開口を閉じた状態を示す。
【図8】 図1の燃焼装置で採用する分流部材の正面図である。
【図9】 (a)は、図1の燃焼装置で採用する炎孔プレートと、炎孔部材と分流部材を組み合わせた状態の正面図であり、(b)は、その部分拡大図である。
【図10】 図9(a)のA−A断面図である。
【図11】 図1の燃焼装置で採用する炎孔プレートの裏面中央部分の拡大図である。
【図12】 図1の燃焼装置の炎孔近傍の斜視図である。
【図13】 図3のA−A断面図である。
【図14】 図3のB−B断面図である。
【図15】 本発明の実施形態の燃焼装置の予混合部周辺の断面斜視図である。
【図16】 本発明の実施形態の燃焼装置の予混合部の気化室内部を示す断面図である。
【図17】 図16の縦断面図である。
【図18】 移動側板状部材の変形例の正面図である。
【符号の説明】
1 燃焼装置
5 空気量調節部
6 混合部
7 燃焼部
8 予混合部
20 ステッピングモータ
22 移動側板状部材
23 固定側板状部材
25 軸挿通孔
25'軸挿通孔
26,27,28 開口
60 気化室
63 ロータリーカップ
67 歯車
A 中心側のエリア
Claims (7)
- 燃料と空気とを燃焼部に至る前に混合する予混合部を有し、当該予混合部と送風機との間に空気量調節部材が設けられ、該空気量調節部材は所定形状の開口を有する二以上の板状部材を備え、該板状部材が相対的に回転可能に重ねられたものである燃焼装置において、燃焼部に対して二次空気を供給する二次空気供給路を有し、予混合部に供給する空気と二次空気供給路に供給する空気が単一の空気量調節部材によって調節可能であり、板状部材同士が密着状態であり、送風機の送風量に応じて板状部材の回転角度が調節されることを特徴とする燃焼装置。
- 燃料と空気とを燃焼部に至る前に混合する予混合部を有し、当該予混合部と送風機との間に空気量調節部材が設けられ、該空気量調節部材は所定形状の開口を有する二以上の板状部材を備え、該板状部材が相対的に回転可能に重ねられたものである燃焼装置において、燃焼部に対して二次空気を供給する二次空気供給路を有し、予混合部に供給する空気と二次空気供給路に供給する空気が単一の空気量調節部材によって調節可能であり、板状部材同士が密着状態であり、空気量調節部材を構成する二以上の板状部材の内、少なくとも一つの板状部材には回転中心をピッチ円中心とする歯車が形成され、動力によって回転する歯車が前記板状部材に設けられた歯車と嵌合することを特徴とする燃焼装置。
- 燃料と空気とを燃焼部に至る前に混合する予混合部を有し、当該予混合部と送風機との間に空気量調節部材が設けられ、該空気量調節部材は所定形状の開口を有する二以上の板状部材を備え、該板状部材が相対的に回転可能に重ねられたものである燃焼装置において、予混合部は液体燃料を気化する気化室を持ち、当該気化室内には液体燃料を飛散させる回転部材が内蔵され、燃焼部に対して二次空気を供給する二次空気供給路を有し、予混合部に供給する空気と二次空気供給路に供給する空気が単一の空気量調節部材によって調節可能であり、送風機の回転中心と空気量調節部材の回転中心と回転部材の回転中心が同一軸線上に並べられ、板状部材同士が密着状態であり、送風機と回転部材が単一の原動機によって回転されることを特徴とする燃焼装置。
- 予混合部に空気を供給する一次空気供給路と、燃焼部に二次空気を供給する二次空気供給路を有し、一次空気供給路と二次空気供給路のいずれか一方は他方に包囲されており、空気量調節部材の中心側に一方の空気供給路が位置し、空気量調節部材の周部側に他方の空気供給路が配され、空気量調節部材を構成する二以上の板状部材の内、少なくとも一つの板状部材を回転させることにより、予混合部に供給される空気と、燃焼部に対して供給される二次空気の双方が調節可能であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の燃焼装置。
- 燃料と空気とを燃焼部に至る前に混合する予混合部を有し、当該予混合部と送風機との間に空気量調節部材が設けられ、該空気量調節部材は所定形状の開口を有する二以上の板状部材を備え、該板状部材が相対的に回転可能に重ねられたものである燃焼装置において、燃焼部に二次空気を供給する二次空気供給路を有し、予混合部に供給する空気と二次空気供給路に供給する空気を単一の空気量調節部材によって調節可能であり、空気量調節部材を構成する二以上の板状部材の内、少なくとも一つの板状部材を回転させることにより、予混合部に供給される空気と、燃焼部に対して供給される空気の比率が変わることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の燃焼装置。
- 空気量調節部材を構成する二以上の板状部材には大きさが異なるものが混在し、大きい側の板状部材には他方の板状部材と重ならない部位にも開口が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の燃焼装置。
- 多数の炎孔が設けられた炎孔プレートと、空気量調節部材と、送風機及び原動機を有し、前記炎孔プレートの中央部には液体燃料を気化すると共に空気と混合する気化室が配され、前記気化室には液体燃料を飛散させる回転部材が内蔵され、空気量調節部材は固定側板状部材と、移動側板状部材と動力によって回転される歯車を有し、固定側板状部材は、中央部に軸挿通孔が設けられていると共に、周部に空気孔が設けられ、移動側板状部材にも中央部に軸挿通孔が設けられていると共に、周部に空気孔が設けられ、さらに移動側板状部材の周部には歯車が形成され、移動側板状部材と固定側板状部材は互いに重ねられていて移動側板状部材は固定側板状部材に対して回転可能であり、移動側板状部材の周部に形成された歯車には動力によって回転する歯車が嵌合し、空気量調節部材は炎孔プレートと送風機の間に配置され、送風機と気化室内の回転部材が空気量調節部材の軸挿通孔を通る軸によって連結され、送風機と回転部材は単一の原動機によって回転され、送風機によって起こされた空気流の内、空気量調節部材の中程を通過する送風は主として気化室に供給され、空気量調節部材の周側を通過する送風は主として燃焼部に対して供給されることを特徴とする燃焼装置。
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