JP2002130618A - 燃焼装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 灯油を燃料とし、炎孔が面状に分布した構成
を持つ燃焼装置を改良するものであり、炎孔部分の組み
立てが容易であり、且つ燃料ガスの漏れも少ない燃焼装
置を開発する。 【解決手段】 炎孔部分は、炎孔ベース２００、網状部
材２０１、炎孔部材２０２及び補炎部材２０３によって
構成される。炎孔ベース２００には、ガス放出用溝状開
口２１０と二次空気放出用溝状開口２１１が交互に設け
られている。網状部材２０１及び炎孔部材２０２は炎孔
ベース２００と同等の面積を持つ。炎孔ベース２００に
は突起２１３が設けられている。一方網状部材２０１及
び円炎孔部材２０２には取付孔２１４，２２２が設けら
れている。網状部材２０１及び炎孔部材２０２は、取付
孔２１４，２２２に炎孔ベース２００の突起２１３を挿
入し、突起２１３をかしめることにより取りつけられ
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、燃焼装置に関する
ものである。本発明の燃焼装置は、特に炎孔部分の構造
に特徴を有するものであり、炎孔が面状に分布した構成
を持つ。

【０００２】

【従来の技術】都市ガスが普及していない地域で使用さ
れる給湯器や暖房機等には、灯油等の液体燃料を使用し
た燃焼装置が採用される場合が多い。またこの中でも、
比較的発熱量が小さい用途に使用される場合は、ロータ
リーカップを内蔵した気化部を有し、当該気化部によっ
て液体燃料を気化すると共に一次空気と混合し、この気
化ガスを燃焼部に送って燃焼させる形式のものが多用さ
れている（特公平８−２３４１０号）。またこの種の燃
焼装置では、炎孔を平面的に分布させた構成が採用され
る場合が多い。

【０００３】以下、従来技術の燃焼装置の炎孔部分の構
成について説明する。図４１は、従来技術の炎孔部分の
分解斜視図である。

【０００４】従来技術の燃焼装置では、炎孔部分は、炎
孔ベース３００と多数の炎孔部材３０１によって構成さ
れていた。すなわち炎孔ベース３００は、ダイカスト工
法等によって製造され、燃料ガスが放出される溝状の開
口３０２と、これに隣接して設けられた二次空気放出開
口３０３を有する。一方、炎孔部材は短冊状をしてい
る。また炎孔部材の断面形状は、図４１の様であり、多
数の炎孔３０５が設けられた水平部３０６を有し、当該
水平部３０６の両端が垂直に折り曲げられて形成された
脚部３０７が形成され、さらに脚部３０７の端部が垂直
外側に折り曲げられて取付けフランジ部３０８が形成さ
れている。

【０００５】そして取付けフランジ部３０８には、二次
空気が通過する開口３１０が設けられている。またさら
に取付けフランジ部３０８には、ネジ止め用の孔３１１
が設けられている。

【０００６】そして従来技術の燃焼装置では、炎孔ベー
ス３００の燃料ガスが放出される溝状の開口３０２のそ
れぞれに、一個づづ炎孔部材３０１が取り付けられてい
た。即ち従来技術の燃焼装置では、短冊状の炎孔部材３
０１を溝状の開口３０２に一つ一つ当接し、隣接する炎
孔部材３０１の取付けフランジ部３０８同士を重ね、ネ
ジ３１２によって炎孔ベース３００に取り付けられてい
た。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】従来技術の燃焼装置
は、前記した様にネジ３１２によって炎孔ベース３００
に取り付けられていた。そのため従来技術の燃焼装置
は、炎孔部分の組み立てに相当の手間を要するという問
題があった。即ち正常な燃焼を行なわしめるためには、
炎孔部材３０１は炎孔ベース３００に密着して取り付け
られていなければならず、たとえ部分的であったとして
も浮いた部分があることは許されない。加えて、この種
の燃焼装置では、炎孔が平面的に分布しており分布面積
が広い。そのため従来技術の燃焼装置では、極めて多数
のネジを用いて炎孔部材を取り付けていた。実際に市販
されている家庭用給湯器用の燃焼装置では、８０本もの
ネジが使用されている。そのため従来技術の燃焼装置
は、ネジ締めに手間がかかり、炎孔部分の組み立てに相
当の工数を要し、改善が望まれていた。そこで本発明
は、従来技術の上記した問題に注目し、炎孔部分の組み
立てが容易な燃焼装置の開発を課題とするものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】そして上記した課題を解
決するための請求項１に記載の発明は、燃料ガスが放出
される開口を有する炎孔ベースを有し、炎孔ベースの前
記開口に開口が設けられた炎孔部材を装着してなる燃焼
装置において、炎孔ベースには突起が設けられ、炎孔部
材には前記突起に相当する部位に孔が設けられ、炎孔部
材の孔に炎孔ベースの突起が挿入され、さらに当該突起
が変形されて炎孔部材の孔と係合し、炎孔部材が炎孔ベ
ースに取り付けられていることを特徴とする燃焼装置で
ある。

【０００９】なお本発明において、「突起が変形されて
炎孔部材の孔と係合し」とは、突起の一部が直接的に炎
孔部材の孔と接触する場合だけでなく、補炎部材やワッ
シャ等の他の部材を介して間接的に接触・係合する場合
を含む。本発明の燃焼装置では、炎孔部材の孔に炎孔ベ
ースの突起を挿入し、突起を変形させることによって炎
孔部材を炎孔ベースに取り付けることができる。そのた
め本発明によると、従来技術で必須であったネジ締め作
業から開放され、燃焼装置を簡単に組み立てることがで
きる。

【００１０】また請求項２に記載の発明は、燃料ガスが
放出される開口を有する炎孔ベースを有し、炎孔ベース
の前記開口に開口が設けられた炎孔部材を装着してなる
燃焼装置において、炎孔ベースには内部に係合部を有す
る開口又は穴が設けられ、炎孔部材の一部又は炎孔部材
に積層された部材の一部が前記係合部と係合して炎孔部
材が炎孔ベースに取り付けられていることを特徴とする
燃焼装置である。

【００１１】本発明の燃焼装置では、炎孔ベース側の開
口又は孔に係合部が設けられている。この開口又は孔
は、例えばガスが放出される孔や二次空気を放出させる
孔等が利用できる。本発明の燃焼装置では、炎孔部材の
一部又は炎孔部材に積層された部材の一部を開口等に設
けられた係合部と係合して炎孔部材が炎孔ベースに取り
付けられるものであるから、従来技術で必須であったネ
ジ締め作業から開放され、燃焼装置を簡単に組み立てる
ことができる。

【００１２】また請求項３に記載の発明は、燃料ガスが
放出される開口を有する炎孔ベースを有し、炎孔ベース
の前記開口に開口が設けられた炎孔部材を装着してなる
燃焼装置において、炎孔ベースには内側に向かって突起
部が設けられた開口又は穴が設けられ、炎孔部材の一部
又は炎孔部材に積層された部材の一部には、前記開口又
は穴に相当する部位に当該開口又は穴側に折れ曲がった
折り曲げ部が設けられ、前記折り曲げ部が炎孔ベースの
開口又は穴に挿入されて突起部と係合し、炎孔部材が炎
孔ベースに取り付けられていることを特徴とする燃焼装
置である。

【００１３】本発明の燃焼装置では、炎孔ベース側の開
口又は孔に突起部が設けられている。この開口又は孔
は、例えばガスが放出される孔や二次空気を放出させる
孔等が利用できる。本発明の燃焼装置では、炎孔部材の
一部又は炎孔部材に積層された部材の一部には、開口又
は穴側に折れ曲がった折り曲げ部が設けられ、この折り
曲げ部が炎孔ベースの開口又は穴に挿入されて突起部と
係合する。ここで炎孔部材に積層された部材とは、例え
ば補炎部材や、炎孔部材を押さえるための板等が考えら
れる。また折り曲げ部の係合は、例えば折り曲げ部を塑
性変形させて係合させる場合のほか、折り曲げ部や突起
部の弾性を利用する方策が考えられる。本発明の燃焼装
置で、折り曲げ部を炎孔ベース側の突起部と係合させて
炎孔部材が炎孔ベースに取り付けられるものであるか
ら、従来技術で必須であったネジ締め作業から開放さ
れ、燃焼装置を簡単に組み立てることができる。

【００１４】また請求項４に記載の燃焼装置は、燃料ガ
スが放出される炎孔ベースの開口と炎孔部材の間に網状
部材が介在されていることを特徴とする請求項１乃至３
に記載の燃焼装置である。本発明の燃焼装置では、燃料
ガスが放出される開口と炎孔部材の間に網状部材が介在
されているので、燃焼ガスは炎孔から放出される直前に
適度に攪拌され、且つ適度に分散される。

【００１５】また請求項５に記載の発明は、炎孔ベース
には、火炎発生側に突出する突起が設けられていること
を特徴とする請求項１乃至４に記載の燃焼装置である。

【００１６】本発明の燃焼装置は、特に液体燃料を使用
する燃焼装置に好適な構成である。即ち本発明の燃焼装
置では、炎孔ベースに火炎発生側に突出する突起が設け
られている。そのため当該突起は火炎によって加熱さ
れ、炎孔ベースを保温する。従って本発明の燃焼装置
は、燃料の再液化が防止される。

【００１７】

【発明の実施の形態】次に本発明の実施形態について説
明する。図１は、本発明の実施形態の燃焼装置の炎孔部
分を示す平面図である。図２は、図１の燃焼装置の炎孔
部分の分解斜視図である。図３は、図１のＡ−Ａ断面図
である。図４は、図１のＢ−Ｂ断面図である。図５は、
本発明の他の実施形態の燃焼装置のＡ−Ａに相当する部
位での断面図である。図６は、本発明のさらに他の実施
形態の燃焼装置の炎孔部分の分解斜視図である。図７
は、図６に示す実施形態の燃焼装置の炎孔部分の断面図
である。

【００１８】本実施形態の燃焼装置では、炎孔部分は、
炎孔ベース２００、網状部材２０１、炎孔部材２０２及
び補炎部材２０３によって構成されている。炎孔ベース
２００は、ダイカスト工法等で作られたものであり、ガ
ス放出用溝状開口２１０と二次空気放出用溝状開口２１
１が交互に設けられている。両者の内、ガス放出用溝状
開口２１０は、炎孔ベース２００の略全域に渡ってのび
ている。また他方の二次空気放出用溝状開口２１１は、
比較的短く途切れている。そしてこの途切れた部分の表
面には、突起２１３が設けられている。

【００１９】網状部材２０１は略長方形をしており、面
的広がりを持ち、炎孔ベース２００と同等の面積を持
つ。網状部材２０１には、断面形状が逆「凹」状の溝２
１５が複数列設けられている。溝２１５の幅、長さ及び
間隔は、前記した炎孔ベース２００のガス放出用溝状開
口２１０と等しい。また網状部材２０１の平面部分、す
なわち溝２１５以外の部分には、長孔２１６が設けられ
ている。当該長孔２１６の位置及び大きさは、炎孔ベー
ス２００に設けられた二次空気放出用溝状開口２１１と
等しい。従って網状部材２０１は、炎孔ベース２００に
設けられた複数列のガス放出用溝状開口２１０の全てに
装着される部材（部分）同士、及び炎孔ベース２００に
設けられた複数列の二次空気放出用溝状開口２１１の全
てに装着される部材（部分）同士が互いに連結された面
状構造を持つ。さらに本実施形態では、網状部材２０１
の長孔２１６同士の中間部分に取付孔２１４が設けられ
ている。網状部材２０１に設けられた取付孔２１４の位
置は、炎孔ベース２００に設けられた突起２１３と同一
の位置である。また網状部材２０１の平面部分（溝２１
５以外の部分）２３５には、アルミナを主成分とするシ
ール剤が塗布されている。

【００２０】炎孔部材２０２についても前記した網状部
材２０１と同様、略長方形をしており、面的広がりを持
ち、炎孔ベース２００と同等の面積を持つ。また炎孔部
材２０２にも網状部材２０１と同様に断面形状が逆
「凹」状の溝２１７が複数列設けられている。溝２１７
の幅、長さ及び間隔は、前記した炎孔ベース２００のガ
ス放出用溝状開口２１０と等しい。そして溝２１７の天
面には、図２の様に炎孔となる開口２２０が多数設けら
れている。開口２２０（炎孔）は、小さな長孔状であ
り、炎孔列の中心軸に対して千鳥状に設けられている。

【００２１】また炎孔部材２０２にも網状部材２０１と
同様、平面部分（溝２１７以外の部分）に長孔２２１が
設けられている。当該長孔２２１の位置及び大きさは、
炎孔ベース２００に設けられた二次空気放出用溝状開口
２１１と等しい。従って炎孔部材２０２についても、前
記した網状部材２０１と同様に、炎孔ベース２００に設
けられた複数列のガス放出用溝状開口２１０の全てに装
着される部材（部分）同士、及び炎孔ベース２００に設
けられた複数列の二次空気放出用溝状開口２１１の全て
に装着される部材（部分）同士が互いに連結された面状
構造を持つ。また炎孔部材２０２の長孔２２１同士の中
間部分には取付孔２２２が設けられている。炎孔部材２
０２に設けられた取付孔２２２の位置は、炎孔ベース２
００に設けられた突起２１３と同一の位置である。

【００２２】補炎部材２０３についても前記した炎孔部
材２０２等と同様、略長方形をしており、面的広がりを
持ち、炎孔ベース２００と同等の面積を持つ。補炎部材
２０３には、溝状の開口２２５が設けられている。溝状
の開口２２５の幅、長さ及び間隔は、前記した炎孔ベー
ス２００のガス放出用溝状開口２１０と等しい。また補
炎部材２０３の溝状の開口２２５の周囲は、約４５°に
曲げられている。当該折り曲げ部２２６は、火炎の基端
部を保持する効果を発揮するものである。また補炎部材
２０３の溝状の開口２２５以外の部分には、列状に孔２
２７が設けられている。ただしこれらの孔の多くは炎孔
ベース２００に設けられた突起２１３よりも小さく、炎
孔ベース２００に設けられた突起２１３に相当する位置
の孔２２８だけが炎孔ベース２００に設けられた突起２
１３よりも大きい。

【００２３】本発明の実施形態の炎孔部分は、前記した
炎孔ベース２００、網状部材２０１、炎孔部材２０２及
び補炎部材２０３が、順に積層されて構成されている。
即ち炎孔ベース２００の上部に網状部材２０１が乗せら
れ、さらにその上に、炎孔部材２０２が乗せられ、最後
に補炎部材２０３が乗せられる。ここで炎孔ベース２０
０には突起２１３が設けられており、網状部材２０１、
炎孔部材２０２及び補炎部材２０３の三者には、突起２
１３に相当する部位に取付孔２１４，２２２，２２８が
設けられている。

【００２４】そのため突起２１３を位置決めの基準と
し、突起２１３を各部材の取付孔２１４，２２２，２２
８に挿通すると、図４に示すように炎孔ベース２００の
ガス放出用溝状開口２１０と網状部材２０１の溝２１
５、炎孔部材２０２の溝２１７及び補炎部材２０３の溝
状の開口２２５が一致する。そのため炎孔ベース２００
のガス放出用溝状開口２１０は、網状部材２０１の網
目、炎孔部材２０２の開口（炎孔）２２０及び補炎部材
２０３の溝状の開口２２５を経て外部と連通する。

【００２５】ここで、網状部材２０１の、炎孔ベース２
００のガス放出用溝状開口２１０の端面と当接する部位
（平面部分２３５）にはシール剤が塗布されているの
で、ガス放出用溝状開口２１０から二次空気放出用溝状
開口２１１側への通気性は無い。またこの時、同時に炎
孔ベース２００の二次空気放出用溝状開口２１１と、網
状部材２０１の平面部分、炎孔部材２０２の平面部分及
び補炎部材２０３の開口２２５以外の部分が一致する。
そのため炎孔ベース２００の二次空気放出用溝状開口２
１１は、網状部材２０１の長孔２１６、炎孔部材２０２
の長孔２２１及び補炎部材２０３の孔２２７を経て外部
と連通する。

【００２６】また本発明の実施形態では、炎孔ベース２
００の上部に網状部材２０１、炎孔部材２０２及び補炎
部材２０３を重ね、炎孔ベース２００の突起２１３を各
部材の取付孔２１４，２２２，２２８に挿通した後、図
３の様に突起２１３の頭部をかしめて潰し、変形させ
る。その結果、突起２１３の頭部のかしめ部分２３３が
最も外側の補炎部材２０３と係合し、網状部材２０１、
炎孔部材２０２、補炎部材２０３の三者は炎孔ベース２
００に固定される。従って本実施形態の構成によると、
ネジ等を締める手間を要さず、簡単にこれらを取りつけ
ることができる。また本実施形態の構成によると、各部
材の位置決め作業が不要である。なお突起２１３の頭部
を変形させる作業は、ポンチ等で一つ一つ行なっても良
いが、専用の治具を製作して全ての突起２１３を一度に
変形させることが望ましい。

【００２７】本実施形態の燃焼装置では、図示しない気
化部によって液体燃料を気化し、ガス状の燃料と一次空
気と適度に混合して炎孔ベース２００のガス放出用溝状
開口２１０から放出させる。その結果、当該ガスは、網
状部材２０１の網目を経て炎孔部材２０２の開口（炎
孔）２２０から放出される。また本実施形態では、炎孔
部材２０２に網状部材２０１が積層されているので、燃
料ガスは、炎孔部材２０２の開口（炎孔）２２０からか
ら放出される直前に網状部材２０１によって攪拌され、
分散されて均質化する。なお、前記した様に、炎孔ベー
ス２００のガス放出用溝状開口２１０の端面と当接する
部位にはシール剤が塗布されているので、ガス放出用溝
状開口２１０から放出したガスが二次空気放出用溝状開
口２１１側へ流れることはない。

【００２８】一方、図示しない送風機によって炎孔ベー
ス２００の二次空気放出用溝状開口２１１から二次空気
が放出される。二次空気は、網状部材２０１の長孔２１
６、炎孔部材２０２の長孔２２１及び補炎部材２０３の
孔２２７を経て外部に放出される。即ち燃料ガスに隣接
して二次空気が供給される。そして炎孔から放出された
燃料ガスに点火され、火炎が発生する。

【００２９】以上説明した実施形態では、炎孔ベース２
００の突起２１３は、専ら炎孔部材２０２等を固定する
ために設けたが、この突起２１３に再液化防止機能を発
揮させる構成も実用的である。即ち灯油等の液体燃料を
使用する燃焼装置では、灯油を遠心力によって飛散さ
せ、さらにこれを加熱して気化させる。しかしながら気
化したガスがガス流路を通過する内に温度低下を来し、
せっかく気化した燃料が再液化してしまう事がある。そ
のため炎孔ベース等のガス流路と一部となる部材は、常
時一定以上の温度となる様に維持しておくことが大切で
ある。

【００３０】図５に示す実施形態では、突起２１３を極
めて大きなものとし、炎孔から放出される熱によって突
起２１３を加熱し、炎孔ベース２００を保温するもので
ある。すなわち図５に示す燃焼装置では、突起２１３を
炎孔部材２０２の炎孔面よりも突出させた。本実施形態
の燃焼装置によると、突起２１３が炎孔部材２０２の炎
孔面よりも突出しているので、突起２１３は、炎孔から
発生する火炎に炙られる。そのため突起２１３は昇温
し、一体となった炎孔ベース２００を保温する。なお本
実施形態では、炎孔部材２０２等を固定する突起２１３
を大きく設計して炎孔ベース２００を保温する機能を持
たせたが、炎孔部材２０２等を固定する突起２１３とは
別に保温機能専用の突起を設けてもよい。

【００３１】また以上説明した実施形態は、いずれも突
起によって炎孔部材等を固定するものであるが、他の固
定手段として、図６，７に示す構成が挙げられる。図６
に示す燃焼装置では、炎孔部材２０２の長孔２２１の端
部を炎孔方向に折り曲げている。端部の折り曲げ手段
は、例えばバーリング加工や切り起こし処理、或いはプ
レス加工等が採用可能である。

【００３２】一方、炎孔ベース２００側には、二次空気
放出用溝状開口２１１の炎孔部材側の端部に内側向きの
フランジ２３０が形成されている。そして本実施形態の
燃焼装置では、炎孔部材２０２の長孔２２１の端部に設
けられた折り曲げ部２３１を炎孔ベース２００の二次空
気放出用溝状開口２１１に挿入し、図７に示すように折
り曲げ部２３１をかしめてフランジ２３０に係合させ
る。その結果、炎孔部材２０２の長孔２２１の端部が網
状部材２０１と共にフランジ２３０を巻き込み、炎孔部
材２０２等が炎孔ベース２００に固定される。折り曲げ
部をかしめる方策は、任意であるが、専用の治具を製作
して炎孔ベース２００の裏側（炎孔部材２０２が無い
方）から折り曲げ部を押圧し、全ての折り曲げ部２３１
を一度に変形させることが望ましい。そのため折り曲げ
部２３１を挿入する開口は、裏側に貫通していることが
望ましい。

【００３３】上記した実施形態では、炎孔部材２０２の
長孔部分に折り曲げ部２３１を設けたが、炎孔部材の他
の部位に折り曲げ部２３１を設けても良い。またさらに
炎孔部材２０２以外の例えば網状部材２０１や補炎部材
２０３に折り曲げ部２３１を設けることも可能である。
また折り曲げ部は、例えば長孔に設ける場合であれば、
この全周に渡って形成させることが推奨されるが、一部
だけに設けることも可能である。炎孔ベース側の構成に
ついても同様であり、全集に渡ってフランジを設けるこ
とが望ましいが、部分的な突起であっても良い。炎孔ベ
ース側の係合部の形状は任意であるが、折り曲げ部の係
合しろを確保するため、例えばフランジを設ける場合で
あれば、その厚さは、折り曲げ部の長さの２分の１以下
であることが望ましい。突起やフランジは、開口端に設
ける作業性が良い。

【００３４】一方、前記した実施形態では、フランジ等
の係合部は炎孔ベース２００の二次空気放出用溝状開口
２１１に設けたが、ガス放出用溝状開口２１０や他の開
口又は窪みに係合部を設けてもよい。以上説明した実施
形態は、一枚の網状部材２０１，炎孔部材２０２及び補
炎部材２０３をもって炎孔ベース２００の全ての炎孔等
を形成させたが、炎孔ベース２００を適度に区分けし、
その一部に面状構造の網状部材２０１，炎孔部材２０２
及び補炎部材２０３を装着してもよい。

【００３５】

【実施例】以下さらに本発明の構成をロータリーカップ
を内蔵した燃焼装置に採用した実施例を説明する。なお
以下の説明において上下の関係は、燃焼装置を給湯器等
に設置した状態を基準とする。図８は、本発明の燃焼装
置を内蔵する給湯器の断面図である。図９は、本発明の
実施例の燃焼装置の正面図及び箱体の開口部分の斜視図
である。図１０は、本発明の実施例の燃焼装置の断面図
である。図１１は、本発明の実施例の燃焼装置の全体の
分解斜視図である。図１２は、図９の燃焼装置の流路形
成部材周辺の分解斜視図である。図１３は、流路形成部
材に燃料供給管を取り付ける際の構成を示す斜視図であ
る。図１４は、図９の燃焼装置で採用する空気量調節部
の斜視図である。図１５は、図９の燃焼装置の燃焼部近
傍を上から見た斜視図である。図１６は、図９の燃焼装
置で採用する空気量調節部の固定側板状部材の正面図で
ある。図１７は、図１６の固定側板状部材の側面図であ
る。図１８は、図９の燃焼装置で採用する空気量調節部
の移動側板状部材の正面図である。図１９は、図９の燃
焼装置で採用する空気量調節部の正面図であり、開口を
開いた状態を示す。図２０は、図９の燃焼装置で採用す
る空気量調節部の正面図であり、開口を閉じた状態を示
す。図２１は、図９の燃焼装置で採用する分流部材の正
面図である。図２２は、図９の燃焼装置で採用する炎孔
ベースの上面側（気体流路側）の図面である。図２３
は、図２２の炎孔ベースの下面側（炎孔側）の図面であ
る。図２４は、図９の燃焼装置で採用する炎孔ベース
と、炎孔部材、網状部材及び補炎部材を組み合わせた状
態の正面図である。図２５は、炎孔部材の正面図であ
る。図２６は、網状部材の正面図である。図２７は、補
炎部材の正面図である。図２８は、図２７のＡ−Ａ断面
図である。図２９は、図９の燃焼装置で採用するロータ
リーカップの正面図及び平面図である。図３０は、図２
３のＡ−Ａ断面図である。図３１は、図２３のＢ−Ｂ断
面図である。図３２は、図９の燃焼装置で採用する炎孔
ベースの気体流路側の構成を説明する説明図である。図
３３は、図９の燃焼装置の炎孔近傍を下側から見た斜視
図である。図３４は、燃料ガスの流れを説明する説明図
である。図３５は、二次空気の流れを説明する説明図で
ある。図３６は、炎孔部材と網状部材及び補炎部材の重
ね合わせ構造を示す斜視図である。図３７は、図９の燃
焼装置を下側から見た概略斜視図である。図３８は、本
発明の他の実施例の燃焼装置を下側から見た概略斜視図
である。図３９（ａ）は、図１０の燃焼装置の点火装置
取り付け部分の拡大図であり、（ｂ）はその変形例であ
る。図４０は、本発明の他の実施例で採用する炎孔ベー
スの端部の断面図及びその変形例を示す断面図である。

【００３６】図８〜１１において、１は、本発明の実施
例の燃焼装置を示す。本実施例の燃焼装置１は、図の様
に炎孔を下に向けて給湯器２１に内蔵されるものであ
り、上から送風機２、駆動機械部３、空気量調節部５、
混合部６及び燃焼部７が順次積み重ねられて作られたも
のである。また混合部６及び燃焼部７の近傍に気化部８
が設けられている。さらに空気量調節部５と気化部８の
間は、流路形成部材７０によって接続されている。なお
本実施例では、空気量調節部５は整流手段の機能を兼ね
る。

【００３７】上部側から順次説明すると、送風機２は、
鋼板を曲げ加工して作られた凹状のハウジング１０の中
にファン１１が回転可能に配されたものである。ハウジ
ング１０の中央部には、開口１２が設けられている。

【００３８】駆動機械部３は、箱体１３を有し、その天
板１５の中央にモータ１６が取り付けられている。モー
タ１６は、両端部から回転軸１７，１８が突出してお
り、回転軸１７，１８は、燃焼装置１の略全長を貫通し
ている。そして後記する様に、モータ１６の上方側の回
転軸１７は、ファン１１に接続され、下方側の回転軸１
８は、気化部８のロータリーカップ（回転部材）６３に
接続されている。また駆動機械部３には、温度センサー
３２が設けられている。

【００３９】空気量調節部５は、図１１の様に移動側板
状部材２３と固定側板状部材２２によって構成されてい
る。移動側板状部材２３は、図１１、図１８の様に円板
状をしており、中央に軸挿通孔２５が設けられている。
そしてその周囲に空気孔となる開口２６，２７が設けら
れている。空気孔となる開口２６，２７は、概ね内外二
重のエリアに分かれて設けられている。中心側のエリア
に設けられた開口２６は、略三角形であり、１２個、等
間隔に設けられている。

【００４０】一方、外側を取り巻くエリアに設けられた
開口２７は１２個であり、略長方形の溝状である。上記
した様に、移動側板状部材２３には、２種類の開口２
６，２７が設けられているが、これらの周方向の辺は、
いずれも移動側板状部材２３の中心と同一中心の円弧で
ある。

【００４１】また移動側板状部材２３の一部には、図１
４の様な係合部３３が設けられている。係合部３３は、
図１４の様に開口が設けられた部位から垂直方向に折り
曲げられた垂直壁３４を持ち、当該垂直壁３４に切り欠
き部４４が設けられたものである。

【００４２】一方、空気量調節部５の固定側板状部材２
２は、長方形の板体であり、周囲が折り返されてフラン
ジ部２４が設けられている。固定側板状部材２２の面積
は、前記した移動側板状部材２３よりも大きく、両者を
重ねたとき、移動側板状部材２３は固定側板状部材２２
にすっぽりと覆われる。逆にいえば、固定側板状部材２
２の端部は移動側板状部材２３からはみ出す。

【００４３】板状の部位の中心部分には、前記した移動
側板状部材２３と略同一形状の開口が設けられている。
即ち空気量調節部５の固定側板状部材２２には、中央に
軸挿通孔２５’が設けられている。そしてその周囲に空
気孔となる開口が二重のエリアに分かれて設けられてい
る。中心側のエリアに設けられた開口２６’は、略三角
形であり、１２個、等間隔に設けられている。外側のエ
リアにも１２個の開口２７’が設けられているが、外側
の開口はいずれも略長方形の溝状のものである。固定側
板状部材２２の他の部位には、多数の小孔３１が設けら
れている。小孔３１が設けられた位置は、固定側板状部
材２２の上に移動側板状部材２３を重ねた時に、両者が
重複しない部位である。即ち小孔３１は、固定側板状部
材２２のはみ出し部分に設けられている。

【００４４】また固定側板状部材２２には、二個の垂直
壁２８が設けられている。垂直壁２８は、前記した外側
のエリアの更に外側にあり、互いに平行である。二個の
垂直壁２８は、軸受けとして機能するものである。

【００４５】空気量調節部５は、図１０，１５，１６に
示すように、固定側板状部材２２の上に移動側板状部材
２３が重ねられている。空気量調節部５は、全体として
平面的である。また固定側板状部材の垂直壁２８には、
図１４の様に軸４５が挿通され、駆動部材４６が揺動自
在に軸止されている。ここで駆動部材４６は、板を６か
所で折り曲げて製作されたものであり、図１４の様に４
個の垂直壁ａ，ｂ，ｃ，ｄと、３個の水平壁ｅ，ｆ，ｇ
が交互に繋がったものである。そして中間部の垂直壁
ｂ，ｃと、この間の水平壁ｆによって囲まれた「コ」の
字状の部分によって固定側板状部材の垂直壁２８の外側
を跨ぎ、前記した軸４５によって固定されている。一
方、一端側の水平壁ｇは、移動側板状部材２３の係合部
３３の切り欠き部４４と係合している。

【００４６】また駆動部材４６の他端側の垂直壁ａに
は、係合溝４９が設けられている。そして燃焼装置１の
ハウジングに図９，１０に示す様にモータ１２１が外付
けされており、当該モータ１２１の軸が駆動部材４６の
係合溝４９と係合している（係合状態は図示せず）。

【００４７】移動側板状部材２３は、固定側板状部材２
２の上にあり、中央の軸挿通孔２５を中心として相対的
に回転可能である。また図９，１０に示す外付けされた
モータ１２１を回転させると、駆動部材４６が軸４５を
中心として揺動し、駆動部材４６の水平壁ｇが移動して
移動側板状部材２３の係合部３３を動かす。その結果、
移動側板状部材２３が、固定側板状部材２２の上で中央
に軸挿通孔２５を中心として相対的に回転する。移動側
板状部材２３の回転により、移動側板状部材２３と固定
側板状部材２２を連通する開口の面積が変化する。

【００４８】流路形成部材７０は、薄板を曲げて作られ
たものであり、図１０，１２の様に円錐形をしている。
流路形成部材７０の内部は空洞であり、上下に連通して
いる。即ち流路形成部材７０は、上部と下部に開口５
４，８３を持ち、両者は連通している。流路形成部材７
０の上部の開口５４は、前記した移動側板状部材２３の
中心側のエリアの直径に等しい。また下部の開口８３
は、後記する分流部材３５の中央の開口３７の直径に等
しい。また前記した様に流路形成部材７０は円錐形をし
ており、上部の開口５４は、下部の開口８３に対して相
当に大きい。より具体的には、上部の開口５４の直径
は、下部のそれの１．５倍以上の大きさを持つ。またよ
り好ましくは、上部の開口５４の直径は、下部のそれの
２倍以上である。

【００４９】流路形成部材７０の上下の開口には、それ
ぞれフランジ５５，５６が設けられている。流路形成部
材７０の内側には、燃料パイプ（燃料供給管）７９が固
定されている。即ち燃料パイプ７９は、図１２の様に上
部の開口５４側から流路形成部材７０の内部に入る。こ
こで流路形成部材７０の燃料パイプ７９の導入部位にお
いては、図１２の様にフランジ５５の一部が燃料パイプ
７９の外周に沿って円形に変形されている。また燃料パ
イプ７９は、図１３に示す取り付け金具６２によって流
路形成部材７０の内壁に沿って配管されている。即ち燃
料パイプ７９は、流路形成部材７０の母線に沿うと共に
流路形成部材７０の内壁に密着して配管されている。

【００５０】混合部６、燃焼部７及び気化部８は、分流
部材３５と炎孔ベース３６を中心として構成され、これ
に気化室６０と炎孔部材５１，網状部材７７及び補炎部
材７８が設けられて作られている。そしてこれらの構成
部品がハウジング１２２内に収納されたものである。

【００５１】即ち分流部材３５は、図２１に示すよう
に、長方形をした板状の部材であり、中央に大きな開口
３７が設けられている。また周部には、小さな開口４
０，８９，９０が多数設けられている。但し本実施例で
は、小さな開口は、内外二箇所のエリアに分かれて分布
している。即ち一点鎖線で囲んだ内側のエリアには、小
さな開口４０が列となって長手方向に連なって設けられ
ている。一方、二点鎖線の外側のエリアには、二列且つ
環状に開口８９，９０が設けられている。分流部材３５
の面積は、後記する炎孔ベース３６の面積よりも大き
い。

【００５２】炎孔ベース３６は、アルミダイカストによ
って作られたものであり、図２２，２３の様に長方形を
している。そして炎孔ベース３６には、複雑な枠組と開
口及び溝が設けられている。炎孔ベース３６の上面側
は、主として燃料ガス及び二次空気の流路構成面として
機能し、下面側は炎孔取付け面として機能する。即ち炎
孔ベース３６は、外周を囲む外側燃焼壁４１を持つ。こ
の外側燃焼壁４１の内部は、実際に火炎が発生する部分
であり、燃焼部７として機能する。外側燃焼壁４１に
は、図１５，３０，３１，３４，３５に示すように孔
（開口）５３が設けられている。

【００５３】さらに外側燃焼壁４１内は、図１５，２
２，２３，３０，３１の様に、多数の垂直壁５０によっ
て仕切られて設けられた溝４８が設けられている。そし
て溝４８を構成する垂直壁５０は、図１５，３２の様に
二組づつがループを構成していて、島状の部位７５を形
成している。即ち外側燃焼壁４１内には、ループ状に閉
塞された垂直壁５０の組によって構成される閉塞された
溝４８ａと、それ以外の開放された溝４８ｂを持つ。そ
して島状の部位７５は、図１５，３２の様に長手方向に
部分的に切れており、当該切れ目５２の部分で島状以外
の部位の溝４８ｂ同士が連通している。

【００５４】また図１５，３０，３１の様に、炎孔ベー
ス３６の上面側（流路構成面側）には、中央部と、島状
の部位７５の切れ目部分を除いて天井壁５７が設けられ
ている。但し、前記した垂直壁５０で構成された島状の
部位７５の溝４８ａの上部については、天井壁５７に開
口５８が設けられている。垂直壁５０同士の島を構成し
ない部位の溝４８ｂの上部には開口はない。また各溝４
８は、いずれも炎孔ベース３６の下面側（炎孔取付け面
側）に連通している。従って島によって囲まれた溝４８
ａは、図３５の様に上部の天井壁５７に開口５８が設け
られていると共に下面側（炎孔取付け面側）にも開放さ
れているから、炎孔ベース３６を上下方向（厚さ方向）
に貫通する。一方、島を構成しない溝４８ｂは、図３４
の様に上部側が天井壁５７によって閉塞され、下面側
（炎孔取付け面側）にのみ連通する。なお、島状の部位
７５の切れ目５２部分については、垂直壁５０の底側
（炎孔取付け面側）同士が繋がり、さらに当該部位に炎
孔部材５１等を取り付けるための突起３８が設けられて
いる。

【００５５】炎孔ベース３６の中央部には、図３２に示
すように開口８２が設けられている。そして開口８２の
内部には、８本のリブ６６が設けられ、中央に一次空気
導入筒８８が支持されている。本実施例の燃焼装置１で
は、この一次空気導入筒８８及びリブ６６は、炎孔ベー
ス３６と一体的に成形されたものである。また炎孔ベー
ス３６の下面側（炎孔取付け面側）であって、開口８２
の近傍には、炎孔ベース３６の長手方向にのびる内壁４
３が設けられている。内壁４３の高さは、前記した外側
燃焼壁４１の高さと等しい。さらに炎孔ベース３６の下
面側（炎孔取付け面側）であって、気化室６０の開口４
７の近傍には、炎孔ベース３６の短手方向に延びる内壁
５９が設けられている。これらの内壁４３，５９は、燃
焼部７から熱を受けて炎孔ベース３６を保温し、燃料の
再液化を防ぐものである。

【００５６】次に炎孔部材５１について説明する。炎孔
部材５１は、図２５の様に略長方形の板状であり、気化
室用の開口７６と、空気孔７１と炎孔７２及び取付孔１
５０が設けられたものである。即ち炎孔部材５１は、中
央に略四角形の気化室用の開口７６を持つ。また炎孔部
材５１は、板をプレスすることによって多数の長孔（空
気孔）７１と小孔（炎孔たる開口）７２を設け、これら
によって炎孔列ａと空気孔列ｂが形成されている。また
空気孔列ｂの長孔（空気孔）７１同士の間に、取付孔１
５０が設けられている。即ち図２５に示される多数の長
孔７１は、空気孔である。長孔（空気孔）７１は、長手
方向に並べられ、さらにそれが１０列に渡って設けられ
ている。そして各列の長孔（空気孔）７１に、取付孔１
５０がある。また取付孔１５０は、周部にも設けられて
いる。一方、小孔７２は炎孔として機能する。小孔（炎
孔）７２は、図の様に小さな長孔状であり、炎孔列ａの
中心軸に対して千鳥状に設けられている。本実施例で
は、炎孔列ａは１１列設けられており、前記した空気孔
列ｂと互い違いに隣接して配されている。

【００５７】網状部材７７は、細い金属糸で網目状に構
成したもので、前記した炎孔部材５１と略同一の面積を
持つものであり、図２６に示すように略長方形をしてい
る。網状部材７７には、前記した炎孔部材５１の気化室
用の開口７６に相当する部位に開口６９が設けられてい
る。また網状部材７７の前記した炎孔部材５１の炎孔列
に相当する部分は、浅い溝１５５が列状に設けられてい
る。さらに網状部材７７には、前記した炎孔部材５１の
長孔（空気孔）７１に相当する部位に長孔７３が設けら
れている。また長孔７３の周囲（図３６の斜線の濃い部
分）には、シール剤が塗布されている。シール剤７４が
塗布されているのは、炎孔ベース３６の垂直壁５０の端
面と当接する部位である。さらに炎孔部材５１の取付孔
１５０に相当する部位に取付孔１５１が設けられてい
る。

【００５８】補炎部材７８は、図２７の様な長方形をし
ており、前記した炎孔部材５１及び網状部材７７と同様
に中央に開口６８が設けられている。また補炎部材７８
には、長孔６５と列状に並んだ丸孔６７が設けられてい
る。補炎部材７８の長孔６５は、前記した炎孔部材５１
の炎孔を構成する小孔７２が設けられたエリアに相当す
る部位にある。一方、丸孔６７は、炎孔部材５１の、長
孔（空気孔）７１に相当する部位に設けられている。こ
の丸孔６７の多くは、前記した炎孔ベース３６の突起３
８よりも小さく、丸孔６７の多くには突起３８は入らな
い。しかしながら炎孔ベース３６の突起３８に相当する
位置（炎孔部材５１の取付孔１５０）に相当する位置の
孔１５２だけは他の孔よりも大きく、炎孔ベース３６の
突起３８が挿通可能である。また前記した補炎部材７８
の長孔６５の周囲は、図２８の様に約４５°に曲げられ
ている。当該折り曲げ部６８は、火炎の基端部を保持す
る効果を発揮するものである。

【００５９】炎孔部材５１は、図１１，１５，３６の様
に、網状部材７７を及び補炎部材７８と共に炎孔ベース
３６の下面に配され、炎孔ベース３６に設けられた突起
３８によって炎孔ベース３６の下面に取り付けられてい
る。即ち図３６に示すように炎孔ベースに網状部材７７
が接し、さらにそれに重ねて炎孔部材５１が配され、最
後に補炎部材７８が設けられる。このとき、炎孔ベース
３６に設けられた突起３８に、網状部材７７の取付孔１
５１、炎孔部材５１の取付孔１５０及び補炎部材７８の
取付孔１５２が挿通されて位置決めがなされる（図３
１）。そして所定の治具によって炎孔ベース３６に設け
られた突起３８をかしめて変形させる。

【００６０】こうして位置決め及び取付が成された状態
では、炎孔部材５１の空気孔列ｂは、炎孔ベース３６の
垂直壁５０によって構成される島状の部位７５によって
構成される溝４８ａの真下に位置する。なお空気孔列ｂ
と島状の部位７５によって構成される溝４８ａの間には
網状部材７７が介在されるが、当該部位は図３６の様に
網状部材７７の長孔７３に相当する。また炎孔部材５１
の空気孔列ｂの外側（下部側）には補炎部材７８が存在
するが、当該部位は、補炎部材７８の丸孔６７が位置す
る。そのため島状の部位７５は、網状部材７７の長孔７
３、炎孔部材５１の空気孔列ｂ及び補炎部材７８の丸孔
６７を経て外部と連通する。

【００６１】一方、島状を構成していない組み合わせの
垂直壁５０によって挟まれた溝４８ｂの真下には、炎孔
部材５１の炎孔列ａが位置する。炎孔部材５１の炎孔列
ａと島状を構成していない組み合わせの垂直壁５０によ
って挟まれた溝４８ｂの間には網状部材７７が介在され
る。また炎孔部材５１の炎孔列ａの外側（下部側）には
補炎部材７８が存在するが、当該部位は、補炎部材７８
の長孔６５が位置する。そのため島状を構成していない
組み合わせの部位は、網状部材７７の溝１５５部の網
目、炎孔部材５１の炎孔列ａ及び補炎部材７８の長孔６
５を経て外部と連通する。ここで、網状部材７７の炎孔
ベース３６の垂直壁５０の端面と当接する部位にはシー
ル剤が塗布されているので、垂直壁５０部位におけるガ
スの横方向の流通は無い。

【００６２】炎孔ベース３６の裏面には、図１１の様に
分流部材３５が装着されている。なお、分流部材３５の
面積は、前記した様に炎孔ベース３６よりも大きく、分
流部材３５は、図２４の様に炎孔ベースからはみ出す。
炎孔ベース３６の上面側（流路形成側）では、前記した
ように垂直壁５０は、図１１，２５の様に二組づつがル
ープを構成していて、島状の部位７５を形成し、さらに
垂直壁５０の突端部分に分流部材３５が当接しているの
で、島状の部位７５によって形成される溝４８ａは他の
部位から隔離されている。即ち、島状の部位７５の溝４
８ａと他の部位との間に通気性はない。従って、前記し
た様に島状の部位７５以外の部位は気化した燃料ガスと
空気との混合を促進しつつ炎孔部材５１に混合ガスを送
る流路として機能する。また当該部位は、混合部６とし
ても機能する。島状の部位７５によって囲まれた溝４８
ａは、二次空気流路として機能する。

【００６３】分流部材３５の中央の大きな開口３７は、
炎孔ベース３６の中央に設けられた一次空気導入筒８８
と連通する。また分流部材３５のその他の開口４０，８
９，９０の内、列となって設けられている開口４０は、
炎孔ベース３６の島状を構成する組み合わせの垂直壁５
０同士の間の部位に位置する。即ち分流部材３５の小さ
な開口４０は、二次空気流路たる島状の部位７５によっ
て囲まれた溝４８ａに開口する。炎孔部材５１に設けら
れた島状を構成していない組み合わせの垂直壁同士の間
には、分流部材３５の開口は無い。即ち混合部６には分
流部材３５の開口は無い。

【００６４】また分流部材３５の面積は、前記した様に
炎孔ベース３６よりも大きく、分流部材３５を炎孔ベー
ス３６に装着した状態の時、図２４の様に分流部材３５
は、炎孔ベースからはみ出す。そしてこの状態では、分
流部材３５の外側のエリアに設けられた開口８９，９０
は、いずれも炎孔ベース３６の外側に露出する。

【００６５】炎孔ベース３６と分流部材３５は、上記し
た状態に組み合わされ、ハウジング１２２内に配置され
ている。ハウジング１２２は、外形が略四角形の箱であ
るが、内部が二重構造となっている。即ちハウジング１
２２の内部には、全面に遮熱壁８５が設けられいる。遮
熱壁８５は、４面が組合わさっていて四角形の筒状を呈
し、支持部材８６によってハウジング１２２の外壁部１
００の内面に取りつけられている。遮熱壁８５の下端
は、内側に向かって９０°に折り返され、内側向きのフ
ランジ１０２が形成されている。ハウジング１２２の外
壁部１００と、遮熱壁８５との間には空気流路１０１と
なる空隙が形成されている。

【００６６】炎孔ベース３６と分流部材３５は、上記し
たハウジング１２２に配置されるが、炎孔ベース３６の
外周を囲む外側燃焼壁４１は、ハウジング１２２内部の
遮熱壁８５よりも更に小さく、炎孔ベース３６の外側燃
焼壁４１と遮熱壁８５の間にも空気流路１０３となる空
隙が形成される。また分流部材３５の、炎孔ベース３６
からはみ出した部位の孔８９，９０の内、外側の孔９０
は、ハウジング１２２と遮熱壁８５の間に形成される空
気流路１０１と連通し、内側の孔８９は、炎孔ベース３
６の外側燃焼壁４１と遮熱壁８５の間に形成される空気
流路１０３と連通する。

【００６７】次に気化部８について説明する。気化部８
は、気化室６０と、ロータリーカップ（回転部材）６３
によって構成されている。また気化室６０は、図１０，
１１，１５，３３の様に底部９１と周部９２を持つ円筒
体であり、底部９１は閉塞し、上部は開口している。即
ち気化室６０は窪んだ形状をしており、底部９１及び周
部９２は閉塞していて気密・水密性を持ち、上部は開放
されている。気化室６０は、前記した様に底部９１及び
周部９２を持ち、あたかもコップの様な形状をしてい
て、図１０，１１，１５，３３の様に、炎孔ベース３６
の中央の開口８２部分に取り付けられている。気化室６
０の位置は、炎孔ベース３６の内壁４３に囲まれた部位
であって炎孔ベース３６の中央にあり、炎孔（小孔７
２）に囲まれていて燃焼部７に近接して位置する。また
気化室６０の大部分は、燃焼部７側に露出する。より具
体的には、気化室６０の底部９１の全部と、周部９２の
大部分が燃焼部７側に露出する。従って後記する様に燃
焼時には炎孔（小孔７２）から発生する火炎により、気
化室６０が外側から加熱される。

【００６８】また前記した気化室６０の底部９１内に
は、電気ヒータ６４が内蔵されている。即ち気化室６０
の底部９１は加熱機能を持つ。電気ヒータ６４に通電す
ることにより、底部９１が発熱し、さらにこの熱が気化
室６０の壁を伝導し、気化室６０の内壁が全体的に加熱
される。また気化室６０には、温度センサー６１が埋め
込まれている。

【００６９】ロータリーカップ６３は、底部９１と周部
９２を持つ有底の円筒形をしている。但し、ロータリー
カップ６３の底部には、９個の孔が設けられている。こ
の内、中央に設けられた孔９５は、半円形状をしてお
り、図３３の様に回転軸１８が取り付けられるものであ
る。一方、周囲の９個の孔８７は、円形であり、灯油等
の液体燃料を落下させるための孔である。またロータリ
ーカップ６３の底部と周部との境の角の部分にも、１２
個の開口９７が設けられている。

【００７０】さらにロータリーカップ６３の周部には、
１２個のスリット９８が設けられている。スリット９８
は、いずれもロータリーカップ６３の上端側に開口して
いる。またスリット９８の形状は、略三角形である。ま
たスリットの一辺には、図１０，１１，２９の様に内側
に折り返された羽根部９９が設けられている。即ちスリ
ット９８は、ロータリーカップ６３の側面に斜め方向に
スリットを設け、そのスリットの一方の縁を内側に折り
返して羽根部９９を形成させたものである。

【００７１】そしてロータリーカップ６３の下部中央の
開口８７には、一次空気導入筒８８が挿入されている。
一次空気導入筒８８の最先端（下側）の開口部の位置
は、気化室６０の内部に位置する。

【００７２】また一次空気導入筒８８の内部には、流路
形成部材７０から垂下された燃料パイプ７９が挿入さ
れ、燃料パイプ７９は図１０，１１の様にロータリーカ
ップ６３内に至っている。より具体的に説明すると、燃
料パイプ７９はロータリーカップ６３の上部の開口から
真っ直ぐに垂下され、上からロータリーカップ６３内に
至る。そして燃料パイプ７９からロータリーカップ６３
の底部に灯油等の液体燃料が滴下される。

【００７３】次に、本実施例の燃焼装置１の各部の組み
立て構造について説明する。本実施例の燃焼装置１は、
最初に説明した様に、送風機２、駆動機械部３、空気量
調節部５が中心軸を一致させて順次積み重ねられたもの
であり、駆動機械部３の天板１５に送風機２が直接的に
ネジ止めされている。即ち本実施例では、送風機２の回
転中心と空気量調節部５の軸挿通孔２５（移動側板状部
材２３の回転中心）とロータリーカップ６３の回転中心
が同一軸線上に直線的に並べられている。

【００７４】そして駆動機械部３の上部に空気量調節部
５がネジ止めされている。また空気量調節部５の下部に
は、混合部６及び燃焼部７が設けられているが、混合部
６と空気量調節部５の境界たる分流部材３５に、円錐形
の流路形成部材７０が設けられている。即ち前記した様
に空気量調節部５の中心部に、パッキン８０を介して流
路形成部材７０の大きいほうの開口５４が取り付けられ
ている。一方、分流部材３５の中心部の開口３７にはパ
ッキン８１を介して空気量調節部５の小さいほうの開口
８３が接続されている。なおこれらのパッキン８０，８
１は、断熱性に優れ、且つ灯油等の液体燃料がしみ込ま
ないものが望ましい。具体的に、パッキンの素材には、
シリコンが採用されている。

【００７５】流路形成部材７０の中心軸は、空気量調節
部５の移動側板状部材２３のそれと一致し、且つ前記し
た様に流路形成部材７０の開口５４の直径は、移動側板
状部材２３の中心側のエリアの直径に略等しいので、流
路形成部材７０は移動側板状部材２３の中心側のエリア
を覆う様に位置することとなる。従って移動側板状部材
２３の中心側のエリアから排出された空気は、流路形成
部材７０によって捕捉される。また流路形成部材７０の
開口端にはフランジ５５が設けられており、さらにフラ
ンジ５５と空気量調節部５の間にはパッキン８０が介在
されているので、空気の漏れはなく、移動側板状部材２
３の中心側のエリアから排出された空気は、漏れなく流
路形成部材７０の中に入る。そして流路形成部材７０の
他方の開口８３は、パッキン８１を介して分流部材３５
に取り付けられ、前記した一次空気導入筒８８に直接的
に連通し、一次空気導入筒８８は前述の様に直接的に気
化部８の気化室６０内に開口している。従って移動側板
状部材２３の中心側のエリアの開口群から排出された空
気は、前記した様に主として流路形成部材７０によって
捕捉され、一次空気導入筒８８を経由して直接的に気化
部８の気化室６０内に一次空気として導入される。

【００７６】また駆動機械部３のモータ１６の回転軸１
８は、空気量調節部５の中央の軸挿通孔２５，２５’を
連通して流路形成部材７０（一次空気導入筒８８）を通
過し、気化室６０のロータリーカップ６３に接続されて
いる。従ってロータリーカップ６３は、モータ１６の動
力によって回転する。またモータ１６の後端側の回転軸
１７は、ファン１１にも接続されているから、本実施例
では、単一のモータ１６によって気化部８のロータリー
カップ６３とファン１１の双方が駆動される。なお軸挿
通孔２５は、移動側板状部材２３の回転中心でもあるか
ら、移動側板状部材２３が回転する際に移動することは
ない。そのため軸挿通孔２５，２５’にモータ１６の回
転軸１８があっても、移動側板状部材２３の回転の妨げ
とならない。

【００７７】また電気ヒータ６４の配線及び気化室６０
の温度センサー６１の配管は、空気量調節部５と分流部
材３５の間の空隙１０５を通り、側面に設けられた開口
１０６（図９）から外部に引き出される。より詳細に説
明すると、箱体１３の側面であって空気量調節部５と分
流部材３５の中間部分には、図９（ｂ）の様な開口１０
６が設けられている。開口１０６の形状は、大きな長方
形部分１１０と、小さな円形部分１１１が合体したもの
である。そして大きな長方形部分１１０には、図示しな
いネジによって長方形の蓋１１２が装着される。一方、
円形部分１１１は、ゴム性の装着具１１３が嵌め込まれ
る。装着具１１３は、円盤状であり、外周部に円形孔の
端部が嵌合する溝が１１４が設けられている他、中央部
に貫通孔１１５が設けられている。

【００７８】当該部分を組み立てる際は、予め装着具１
１３の孔に電気ヒータ６４等の配線１１６を通し、面積
の大きい長方形部分１１０からこれらの配線１１６を引
き出す。そして装着具１１３を小さな円形部分１１１に
嵌め込み、最終的に長方形の蓋１１２を閉じる。

【００７９】空気量調節部５と分流部材３５の間の空隙
１０５は、送風が通過する領域であるから、比較的温度
が低い。そのため電気ヒータ６４等の配管の被覆は、耐
熱性の低いもので足る。

【００８０】点火装置９６は、図１０，図３９（ａ）に
示すように、ハウジング１２２を貫通させ、さらに遮熱
壁８５及び炎孔ベース３６の外側燃焼壁４１に開口１２
５，１２６を設け、三者を貫通して炎孔部に近接させて
いる。また他の方策として、図３９（ｂ）の様にハウジ
ング１２２を貫通させ、た後、大きく「コ」の字状に曲
げ、遮熱壁８５と炎孔ベース３６の外側燃焼壁４１を跨
ぎ、先端部を炎孔部に近接させて固定してもよい。

【００８１】本実施例の燃焼装置１は、炎孔を下に向け
て使用される。以下、燃焼装置１の取付方向について説
明する。本実施例の燃焼装置１は、図８の様な給湯器２
１に使用される。そして燃焼装置１は、熱交換器１９が
内蔵された缶体４の上部に設置され、下部の熱交換器１
９に向かって火炎を発生させる。

【００８２】次に本実施例の燃焼装置１の機能について
説明する。本実施例の燃焼装置１では、モータ１６を起
動してファン１１とロータリーカップ６３を回転させ
る。ファン１１の回転により、図１０の矢印の様に送風
機２のハウジング１０の中央部に設けられた開口１２か
ら空気が吸い込まれ、空気は駆動機械部３に入る。そし
て空気は、駆動機械部３から上部の空気量調節部５を経
て混合部６側に流れるが、本実施例の燃焼装置１では、
空気量調節部５によって流量調整される。

【００８３】即ち空気量調節部５は、前記した様に固定
側板状部材２２の上に移動側板状部材２３が回転可能に
重ねられており、両者には略同一形状の開口２６，２
６’２７，２７’が設けられている。そして移動側板状
部材２３は、外部に取りつけられたモータ１２１を回転
させることにより、固定側板状部材２２に対して相対的
に回転することができる。そのため図２０の様に、両者
の開口２６，２６’２７，２７’が重なる様な回転位置
にある時は、両者の開口２６，２６’２７，２７’が連
通し、空気量調節部５全体として大きな開口面積を持つ
こととなる。従って移動側板状部材２３が固定側板状部
材２２に対して図１９の様な位置関係にある時は、混合
部６及び気化部８に大量の空気が送風される。なお図１
９の様な空気量調節部５が全開状態の時、空気量調節部
５の中心側のエリアの開口面積は、他の部位の開口面積
の約２倍となる。

【００８４】逆に、図２０に示した位置からモータ１２
１を回転して移動側板状部材２３を回転させると、一方
の開口と他方の閉塞部が重なり、空気量調節部５全体と
しての開口面積が小さくなる。従って移動側板状部材２
３が固定側板状部材２２に対して図２０の様な位置関係
にある時は、混合部６及び気化部８に送風される風量は
減少する。但し、固定側板状部材２２の両脇側に設けら
れた開口３１は、固定的なものであって閉塞されること
はないので、相対的に中心側の開口比率が減少し、気化
部８に送風される空気の比率が減少する。図２０の様
に、閉状態におけるエリアの開口面積は、他の部位の開
口面積の約４分の１である。

【００８５】本実施例の燃焼装置１では、送風機２の送
風量が多い場合は、空気量調節部５を開いて中心側のエ
リアから高い比率で空気を排出する。その結果、気化部
８により多くの割合で空気が導入される。一方、送風機
２の送風量が少ない場合は、図２０の様に空気量調節部
５を閉じ、中心側以外の部位から排出される空気の比率
を高める。そして一次空気の比率が減少し、二次空気の
比率が上昇する。

【００８６】空気量調節部５を通過した空気は、二つの
方向に別れて下流側に流れる。即ち中心部のエリアを通
過した空気は、直接的に円錐状の流路形成部材７０に捕
捉され、これと連通する一次空気導入筒８８から気化室
６０の中に送風される。ここで本実施例の燃焼装置１で
は、流路形成部材７０は、空気量調節部５側の開口５４
が気化部側の開口８３に比べて大きいから、大量の空気
が流路形成部材７０に取り込まれ、気化部８側に送られ
ることとなる。機能的に説明すると、空気量調節部５の
中心側のエリアの開口群によって送風機２から発生する
全送風の一部が一次空気として分離され、面積の大きい
流路形成部材７０の上部の開口５４に入る。そして流路
形成部材７０を流れる内に風速が増加し、分流部材３５
の開口３７から一次空気導入筒８８に入り、気化室６０
に供給される。なお本実施例では、流路形成部材７０は
円錐形であり、内部がテーパー状であるから、空気が通
過する際の渦損失等が少なく、空気の流れはスムーズで
ある。さらに本実施例の燃焼装置１では、燃料パイプ７
９が流路形成部材７０の内側に母線に沿って固定されて
いるので、燃料パイプ７９が送風の妨げとならない。そ
のため気化室６０に入る空気のパターンは均等的であ
る。また本実施例の燃焼装置１では、燃料パイプ７９が
しっかりと固定されているので、ぐらつかず、気化室６
０に入る空気のパターンが変化することもない。

【００８７】また送風の他の一部は、分流部材３５に列
状に設けられた多数の小口径の開口４０の多くから、炎
孔ベース３６の島状のループを構成する組み合わせの垂
直壁５０同士の間の溝４８ａに流れる。即ち分流部材３
５に設けられた開口４０及び溝４８ａを経て、燃焼部７
に二次空気が供給される。より具体的には、分流部材３
５の列状の開口４０、網状部材７７の長孔７３、炎孔部
材５１の空気孔列ｂ及び補炎部材７８の丸孔６７を経て
燃焼部７に二次空気が供給される。

【００８８】さらに分流部材３５の外側のエリアに設け
られた開口８９，９０を通過した送風は、炎孔ベース３
６の外周部を流れる。具体的には、内側の開口８９を通
過した送風は、炎孔ベース３６の外側燃焼壁４１と遮熱
壁８５の間に形成される空気流路１０３を流れ、遮熱壁
８５の下端に設けられたフランジ１０２と衝突して炎孔
ベース３６の内側に向きを変え、燃焼部７側に向かって
流れる。また空気流路１０３を流れる空気の一部は、外
側燃焼壁４１に設けられた孔（開口）５３からも炎孔ベ
ース３６の内側に流れ込む。上記した炎孔ベース３６の
外側燃焼壁４１と遮熱壁８５の間に形成される空気流路
１０３を流れる空気は、遮熱壁８５を冷却する作用を持
つ。またこの空気は、フランジ１０２と衝突して炎孔ベ
ース３６の内側に向きを変え、その多くが二次空気とし
て消費される。外側燃焼壁４１に設けられた孔（開口）
５３からも炎孔ベース３６の内側に流れ込む空気も、そ
の多くが二次空気として燃焼に寄与する。

【００８９】さらに分流部材３５の外側の開口９０を通
過した送風は、ハウジング１２２の外壁部１００と遮熱
壁８５の間に形成される空気流路１０１を流れる。当該
空気流路１０１を流れる空気は、主としてハウジング１
２２の外壁部１００や下部の熱交換器の外壁を冷やす機
能を果たす。

【００９０】そして送風機２の送風により、上記した様
に気化部８内に大量に一次空気が導入され、気化室６０
を通風雰囲気とする。また周部９２に内蔵された電気ヒ
ータ６４に通電して発熱させ、気化室６０の内壁全体を
昇温させる。この状態において、燃料パイプ７９から灯
油をロータリーカップ６３内に滴下する。滴下された灯
油は、ロータリーカップ６３から遠心力を受け、ロータ
リーカップのスリット９８及び角の部分の開口９７から
飛散する。そして飛散した灯油は、ロータリーカップ６
３の周囲に配された気化室６０の内面に接触し、熱を受
けて気化する。また灯油の一部は、遠心力によってスリ
ット９８及び角の部分の開口９７に至る前にロータリー
カップの底の孔８７から気化室６０の底部９１に落下
し、気化室６０の底部９１に接触し、熱を受けて気化す
る。そしてロータリーカップ６３の内面に設けられた羽
根部９９によって気化室６０内の空気が攪拌され、燃料
ガスと空気との混合が促進される。

【００９１】こうして発生した混合ガスは、図１５の矢
印の様に、ロータリーカップ６３の外壁と気化室６０の
周壁９２によって形成される空隙９４を流れて下流に向
かう。即ち混合ガスは、気化室６０の円筒状の周壁９２
に沿って一旦上方に流れる。ここで気化室６０の開口部
近傍には一次空気導入筒８８が挿入されているので、混
合ガスの流路は極めて狭い。そのため混合ガスの攪拌
は、当該部位においてさらに進行する。

【００９２】こうして流路形成部材７０から一次空気導
入筒８８を介して気化室６０の内部に供給された空気
は、飛散した燃料と混合され、高温状態となって気化室
６０の上部の開口部８４から排出される。そして気化室
６０を出た混合ガスは、一旦炎孔ベース３６の上部側の
通路に流れ込む。

【００９３】そして混合ガスは、図１５，３２の様に島
状のループを構成していない組み合わせの垂直壁５０同
士の間の溝４８ｂに流れ込む。そして前記した様に燃料
ガスは、下部に設けられた炎孔（小孔７２）から放出さ
れる。本実施例では、炎孔部材５５に網状部材７７が積
層されているので、燃料ガスは、炎孔部材５５から放出
される直前に網状部材７７によって攪拌される。なお、
網状部材７７の炎孔ベース３６の垂直壁５０の端面と当
接する部位にシール剤が塗布されているので垂直壁５０
部位におけるガスの横方向の流通は無く、燃料ガスは横
に逃げることなく全量が炎孔（小孔７２）から放出され
る。

【００９４】一方、他の部位から下流側に流れた空気
は、燃料と混合されることなく、直接燃焼部７側に流れ
込み、二次空気として燃焼に寄与する。即ち二次空気
は、分流部材３５に設けられた多数の開口４０から、炎
孔ベース３６のループを構成する組み合わせの垂直壁５
０同士の間の溝４８ａに流れ、炎孔（小孔７２）の側面
部に供給される。

【００９５】また前記した様に、分流部材３５の外側の
エリアに設けられた開口８９から炎孔ベース３６の外側
燃焼壁４１と遮熱壁８５の間に形成される空気流路１０
３を流れる空気や、分流部材３５の開口９０からハウジ
ング１２２の外壁部１００と遮熱壁８５の間に形成され
る空気流路１０１を流れる空気についても二次空気とし
て機能する。特に前者の分流部材３５の開口８９を経て
外側燃焼壁４１と遮熱壁８５の間に形成される空気流路
１０３を流れる空気は、その一部が外側燃焼壁４１に設
けられた孔（開口）５３からも炎孔ベース３６の内側に
流れ込み、また残部は遮熱壁８５の下端に設けられた折
り返し部分（フランジ１０２）と衝突して燃焼部７側に
流れるので、二次空気として消費される割合が高い。

【００９６】そして図３９（ａ）の様に遮熱壁８５と外
側燃焼壁４１を貫通して取り付けられた点火装置９６に
よって燃料ガスに点火されると、炎孔（小孔７２）から
下向きの火炎が発生する。

【００９７】ここで本実施例の燃焼装置１では、気化部
８が、燃焼部７の中央に直接的に露出しているので、燃
焼が開始されると、気化室６０が火炎によって加熱され
る。そのため気化室６０内の温度が上昇し、燃料の気化
がさらに促進される。また炎孔ベース３６に内壁４３，
５９が設けられており、これらが燃焼部７から熱を受け
て炎孔ベース３６を保温し、燃料の再液化を防ぐ。加え
て本実施例では、流路形成部材７０は、断熱性に優れた
パッキン８０を介して混合部の一部たる分流部材３５に
取り付けられているので、混合部や燃料ガス流路の熱が
流路形成部材７０に逃げない。そのため燃料の再液化は
さらに発生しにくい。また万一、燃料が再液化しても、
パッキン８０には灯油等の液体燃料がしみ込まないもの
が選定されているので、焼損事故の心配は無い。

【００９８】加えて本実施例の燃焼装置１では、一次空
気導入筒８８についても、炎孔ベース３６と一体的であ
るから、燃焼によって炎孔ベース３６の温度が上昇する
と、気化室６０に導入される空気の温度も高まる。その
ため本実施例の燃焼装置１では、燃料の気化状態が安定
している。

【００９９】また本実施例の燃焼装置１では、燃焼出力
の変化に応じて外付けされたモータ１２１が回動され、
空気量調節部５の開口量を変化させる。即ち燃焼量が増
加し、送風機２が発生する送風量が多いときは、モータ
１２１を回動して固定側板状部材２２と移動側板状部材
２３の開口２６，２６’２７，２７’，２８が連通する
方向に移動側板状部材２３を回す。その結果、燃焼に寄
与する空気量が増大するだけでなく、気化部８に供給さ
れる一次空気の比率が上昇する。その結果、炎孔７２か
ら放出される燃料ガスの濃度が低下する。

【０１００】逆に燃焼量が減少し、送風機２が発生する
送風量が減少した場合は、移動側板状部材２３の開口２
６，２７，２８を固定側板状部材２２の閉塞部と合致さ
せる方向に移動側板状部材２３を回す。その結果、燃焼
に寄与する空気量が減少するだけでなく、気化部８に供
給される一次空気の比率が減少する。即ち、放出される
燃料ガスの濃度が濃くなり、その周囲に供給される空気
が相対的に多くなる。このように、高出力燃焼を行なっ
ている場合に、気化部８に供給される一次空気の比率を
上げ、逆に低出力燃焼を行なっている場合に一次空気の
比率を下げることによって、ＮＯ_X （窒素酸化物）の排
出量を減少させることが可能となる。

【０１０１】以上説明した実施例では、外側燃焼壁４１
に孔を設けて、空気流路を流れる空気を燃焼部側に導く
構成を開示し、孔は、一列に設けた例を示した。しかし
ながら、外側燃焼壁４１に設ける孔は、一列である必要
はなく、複数列の孔を設ける構成も推奨される。外側燃
焼壁４１に複数列の孔を設ける場合は、図３８に示すよ
うに、炎孔に近いエリアにより多くの孔を設けることが
望ましい。あるいは炎孔に近いエリアの孔をより大きな
ものとすることも推奨される。要するに炎孔に近接した
部位の総開口面積が炎孔から遠い位置に設けられた総開
口面積よりも大きいことが望ましい。

【０１０２】また前記した実施例では、分流部材３５の
面積を炎孔ベース３６よりも大きく設計し、炎孔ベース
からはみ出した部分に開口８９，９０を設け、当該開口
８９，９０から炎孔ベース３６の外周に空気を送風し
た。この様に、分流部材３５の面積を大きくする構成
は、製作が簡単であり、推奨される構成であるが、他の
構成として、図４０（ａ）の様なものが考えられる。図
４０（ａ）に示す例では、炎孔ベース３５に斜め方向の
孔１２０を設け、上流側と炎孔ベース３６の外側燃焼壁
４１の外部を連通させる。本実施例では、空気は、斜め
方向に設けられた孔１２０を通過して炎孔ベース３６の
外側燃焼壁４１と、内筒の間に流れ込む。また他の方策
として、図４０（ｂ）の様に炎孔ベース３５の板状部分
を外側燃焼壁４１のさらに外側まで延長し、当該部位に
開口１３０，１３１を設けて空気流路１０１，１０３に
送風することも可能である。

【０１０３】以上説明した実施例は、炎孔部材５１等の
取付方法として、炎孔部材５１等の取付孔１５０，１５
１，１５２に炎孔ベース３６の突起３８を係合させる方
式を採用したが、もちろん図６，７で説明した様な炎孔
ベースに内向きのフランジ等の係合部を設け、炎孔部材
５１等に設けたバーリング部等を嵌合させる方式を採用
することもできる。

【０１０４】

【発明の効果】以上説明した様に、本発明の燃焼装置
は、いずれもネジを使用せずに炎孔部材を固定すること
ができるので、炎孔の取付け作業が簡単であるという効
果がある。即ち請求項１に記載の燃焼装置では、炎孔部
材の孔に炎孔ベースの突起を挿入し、突起を変形させる
ことによって炎孔部材を炎孔ベースに取り付けることが
でき、炎孔部材の取付けに組み立てにネジを要しない。
また請求項２に記載の発明では、炎孔部材の一部又は炎
孔部材に積層された部材の一部を開口等に設けられた係
合部と係合させて炎孔部材を炎孔ベースに取り付けるこ
とができ、炎孔部材の取付けに組み立てにネジを要しな
い。さらに請求項３に記載の燃焼装置では、炎孔部材等
の折り曲げ部を炎孔ベース側の起部と係合させて炎孔部
材を炎孔ベースに取り付けることができ、炎孔部材の取
付けに組み立てにネジを要しない。また請求項４に記載
の燃焼装置では、燃料ガスが放出される開口と炎孔部材
の間に網状部材が介在されているので、燃焼ガスは炎孔
から放出される直前に適度に攪拌され、且つ適度に分散
される。そのため炎孔から放出される燃料ガスの濃度や
量が均一化され、火炎分布のバランスが良いという効果
がある。さらに請求項５に記載の燃焼装置は、炎孔ベー
スを保温する作用を持ち、燃料の再液化を防止する効果
がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施形態の燃焼装置の炎孔部分を示す
平面図である。

【図２】図１の燃焼装置の炎孔部分の分解斜視図であ
る。

【図３】図１のＡ−Ａ断面図である。

【図４】図１のＢ−Ｂ断面図である。

【図５】本発明の他の実施形態の燃焼装置のＡ−Ａに相
当する部位での断面図である。

【図６】本発明のさらに他の実施形態の燃焼装置の炎孔
部分の分解斜視図である。

【図７】図６に示す実施形態の燃焼装置の炎孔部分の断
面図である。

【図８】本発明の燃焼装置を内蔵する給湯器の断面図で
ある。

【図９】本発明の実施例の燃焼装置の正面図及び箱体の
開口部分の斜視図である。

【図１０】本発明の実施例の燃焼装置の断面図である。

【図１１】本発明の実施例の燃焼装置の全体の分解斜視
図である。

【図１２】図９の燃焼装置の流路形成部材周辺の分解斜
視図である。

【図１３】流路形成部材に燃料供給管を取り付ける際の
構成を示す斜視図である。

【図１４】図９の燃焼装置で採用する空気量調節部の斜
視図である。

【図１５】図９の燃焼装置の燃焼部近傍を上から見た斜
視図である。

【図１６】図９の燃焼装置で採用する空気量調節部の固
定側板状部材の正面図である。

【図１７】図１６の固定側板状部材の側面図である。

【図１８】図９の燃焼装置で採用する空気量調節部の移
動側板状部材の正面図である。

【図１９】図９の燃焼装置で採用する空気量調節部の正
面図であり、開口を開いた状態を示す。

【図２０】図９の燃焼装置で採用する空気量調節部の正
面図であり、開口を閉じた状態を示す。

【図２１】図９の燃焼装置で採用する分流部材の正面図
である。

【図２２】図９の燃焼装置で採用する炎孔ベースの上面
側（気体流路側）の図面である。

【図２３】図２２の炎孔ベースの下面側（炎孔側）の図
面である。

【図２４】図９の燃焼装置で採用する炎孔ベースと、炎
孔部材、網状部材及び補炎部材を組み合わせた状態の正
面図である。

【図２５】炎孔部材の正面図である。

【図２６】網状部材の正面図である。

【図２７】補炎部材の正面図である。

【図２８】図２７のＡ−Ａ断面図である。

【図２９】図９の燃焼装置で採用するロータリーカップ
の正面図及び平面図である。

【図３０】図２３のＡ−Ａ断面図である。

【図３１】図２３のＢ−Ｂ断面図である。

【図３２】図９の燃焼装置で採用する炎孔ベースの気体
流路側の構成を説明する説明図である。

【図３３】図９の燃焼装置の炎孔近傍を下側から見た斜
視図である。

【図３４】燃料ガスの流れを説明する説明図である。

【図３５】二次空気の流れを説明する説明図である。

【図３６】炎孔部材と網状部材及び補炎部材の重ね合わ
せ構造を示す斜視図である。

【図３７】図９の燃焼装置を下側から見た概略斜視図で
ある。

【図３８】本発明の他の実施例の燃焼装置を下側から見
た概略斜視図である。

【図３９】（ａ）は、図１０の燃焼装置の点火装置取り
付け部分の拡大図であり、（ｂ）はその変形例である。

【図４０】本発明の他の実施例で採用する炎孔ベースの
端部の断面図及びその変形例を示す断面図である。

【図４１】従来技術の炎孔部分の分解斜視図である。

【符号の説明】

１ 燃焼装置 ２ 送風機 ３ 駆動機械部 ５ 空気量調節部 ７ 燃焼部 ８ 気化部 ３６，２００ 炎孔ベース ３８，２１３ 突起 ５１，２０２ 炎孔部材 ７７，２０１ 網状部材 ７８，２０３ 補炎部材 １５０，２２２ 取付孔（炎孔部材） １５１，２１４ 取付孔（網状部材） １５２，２２８ 取付孔（補炎部材） ２１０ ガス放出用溝状開口 ２１１ 二次空気放出用溝状開口 ２１６ 長孔（網状部材） ２２１ 長孔（炎孔部材） ２３０ フランジ ２３１ 折り曲げ部 ２３３ かしめ部分

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 燃料ガスが放出される開口を有する炎孔
   ベースを有し、炎孔ベースの前記開口に開口が設けられ
   た炎孔部材を装着してなる燃焼装置において、炎孔ベー
   スには突起が設けられ、炎孔部材には前記突起に相当す
   る部位に孔が設けられ、炎孔部材の孔に炎孔ベースの突
   起が挿入され、さらに当該突起が変形されて炎孔部材の
   孔と係合し、炎孔部材が炎孔ベースに取り付けられてい
   ることを特徴とする燃焼装置。
2. 【請求項２】 燃料ガスが放出される開口を有する炎孔
   ベースを有し、炎孔ベースの前記開口に開口が設けられ
   た炎孔部材を装着してなる燃焼装置において、炎孔ベー
   スには内部に係合部を有する開口又は穴が設けられ、炎
   孔部材の一部又は炎孔部材に積層された部材の一部が前
   記係合部と係合して炎孔部材が炎孔ベースに取り付けら
   れていることを特徴とする燃焼装置。
3. 【請求項３】 燃料ガスが放出される開口を有する炎孔
   ベースを有し、炎孔ベースの前記開口に開口が設けられ
   た炎孔部材を装着してなる燃焼装置において、炎孔ベー
   スには内側に向かって突起部が設けられた開口又は穴が
   設けられ、炎孔部材の一部又は炎孔部材に積層された部
   材の一部には、前記開口又は穴に相当する部位に当該開
   口又は穴側に折れ曲がった折り曲げ部が設けられ、前記
   折り曲げ部が炎孔ベースの開口又は穴に挿入されて突起
   部と係合し、炎孔部材が炎孔ベースに取り付けられてい
   ることを特徴とする燃焼装置。
4. 【請求項４】 燃料ガスが放出される炎孔ベースの開口
   と炎孔部材の間に網状部材が介在されていることを特徴
   とする請求項１乃至３に記載の燃焼装置。
5. 【請求項５】 炎孔ベースには、火炎発生側に突出する
   突起が設けられていることを特徴とする請求項１乃至４
   に記載の燃焼装置。