JP4284578B2 - 空気量調節装置および燃焼装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気量調節装置および燃焼装置に係り、更に詳しくは、液体燃料を燃焼させる燃焼装置に適し、液体燃料を使用する暖房機器や給湯器、または温水暖房機、ファンヒータ等に特に好適なものに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に燃焼装置においては、燃料と空気とを予め混合した状態で炎孔から噴射させる。そして燃焼部には直接的に二次空気を供給し、燃料は予め混合された空気と二次空気によって燃焼する。従って燃料に予め混合する一次空気量及び、炎孔外に供給する二次空気量は、ターンダウン比(ガス量や空気量を大きく変動させた場合の変動比)の大小に応じて大幅に変動する。
従来の燃焼装置では、大きなターンダウン比に対応するために、空気供給を行う送風機の回転数を調節すると共に、空気量調節装置によって、送風機と燃焼部との間に形成される空気流路を開閉制御して供給空気量を調節していた。
このような従来の空気量調節装置は、開状態と閉状態の2値制御を行うものであり、板状の部材を空気流路に対して直交させて突出、退入させる構造上、装置自体が大型化する嫌いがあった。
【0003】
そこで、本発明者らは、従来の空気量調節装置に代えて、開口を設けた2枚の板状部材を互いに回転可能に取り付けて構成された面スライド方式の空気量調節装置を発明した。
この空気量調節装置は、一方の板状部材に対して他方の板状部材を回転させることにより、2枚の板状部材の開口の重なり具合(開口面積)を変化させ、これによって、開口を通過する空気量を制御するものである。則ち、前記した空気流路を開閉制御する構造に比べて、装置自体を小型化することができるものである。
【0004】
ところで、近年酸性雨による環境破壊が深刻な社会問題となり、NOX(窒素酸化物)の総排出量を減少させることが急務となっている。これは、家庭用等の小型の燃焼装置についても同様であり、NOXの発生を極力低減させる工夫が要求されている。NOXを低減させるためには、火炎の温度を適度に低下させることが必要であるが、そのためには供給する空気量の微調整が必要となる。そのため従来にも増して空気量調節装置に高い能力が要求されている。
このため、前記した面スライド方式の空気量調節装置と送風機の回転数制御とを組み合わせてきめ細かい空気供給を行うことが必要となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記した面スライド方式の空気量調節装置と送風機とを組み合わせた構成では、燃焼量の変動する過渡状態における供給空気量を適性に制御することが困難であった。
則ち、空気量調節装置は燃焼量の変動に対応して直ちに空気流路の開口面積を適性に制御することができる。しかし、例えば、燃焼量の急低下に対応して送風機へ回転数を低下させる制御信号を送出しても、送風機の有する慣性によって回転数が目的値まで低下するのに相当な時間を要し、この間の供給空気量を適性に制御することができなかった。
【0006】
このため、例えば、給湯器などにおいて、炊事用の温水と風呂用温水の落とし込みとが同時に使用されている状態で、風呂用の落とし込みが停止されると、供給空気量が過多となり吹き消えが発生する不具合が生じていた。則ち、燃焼量の低下に伴って燃料ガスの供給が減少されるにも拘わらず、送風機の慣性によって供給空気量が低下しないため、燃料ガスが過渡に希薄になって吹き消えを生じていた。
また、逆に、炊事用の温水を使用している状態で風呂用温水の使用を開始すると、供給空気量が過少となり煤が発生する不具合が生じていた。則ち、燃焼量の増加に伴って燃料ガスの供給が増加されるにも拘わらず、送風機の慣性によって供給空気量が増加しないため、燃料ガスが過渡に濃厚になって煤を生じていた。
このため、燃焼装置によっては、燃焼量の変動過渡状態に一時的に燃焼を停止させるような対策を施したものもあり、安定した燃焼を阻害するために改善が望まれていた。
【0007】
また、このような問題とは別に、一般に給湯器などでは、燃焼量が低いときは燃焼性能の安定化、低NOX化を実現するため、一次空気に対して二次空気の比率を高く設定している。
ところが、着火の際にも、このような空気供給が適用されるため、着火時における二次空気の比率が一次空気に対して過大となり、火移りが悪く、着火性能を低下させる要因となっていた。
【0008】
本発明は、前記した事情に鑑みて提案されるもので、燃焼量の変動時に安定した燃焼を行わせることができ、しかも、着火性能を向上させた空気供給を行うことのできる空気量調節装置を提供することを目的としている。また、同時に提案される本発明は、この空気量調節装置を用いた燃焼性能、着火性能を向上させた燃焼装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために提案される請求項1に記載の本発明は、燃焼装置の火炎を発生させる燃焼部の上流側に配置され、送風機の回転数、および、空気流路の開口面積を制御して燃焼部へ供給する空気量を調節する空気量調節装置であって、燃焼部の要求する燃焼量が変動したときには、当該燃焼量の変動幅が、予め定められた所定値以上の場合と所定値未満の場合とで区別して、送風機の回転数または空気流路の開口面積の少なくともいずれかを、通常燃焼時とは異なるように所定時間だけ過渡制御し、所定形状の開口を有し回転可能に重ね合わせられた板状部材と、一方の板状部材に対して他方の板状部材を回転駆動して開口同士で形成される開口面積を変化させるアクチュエータと、アクチュエータまたは送風機の少なくともいずれか一方へ、燃焼量に応じた制御信号を生成して送出する制御回路とを備え、制御回路は、燃焼量とアクチュエータへ送出する制御信号とを対応させたアクチュエータ制御テーブル、または、燃焼量と送風機へ送出する制御信号とを対応させた送風機制御テーブルの少なくともいずれかのデータテーブルを備え、データテーブルは、燃焼量の変動幅が、予め定められた所定値以上の場合に一時的に参照される過渡データテーブルと、燃焼量の変動幅が所定値未満の場合、および、通常燃焼時に参照される通常データテーブルとに区別して設け、過渡データテーブルは、燃焼量が増加する場合と減少する場合とに区別して設ける構成とされている。
【0010】
燃焼量の変動時には、燃焼量に応じて供給量の変動する燃料ガスに対応して、供給空気量を大幅に変化させる必要が生じる。供給空気量を変化させるために、送風機の回転数や空気流路の開口面積を制御する場合、特に、送風機の回転数は慣性に起因して短時間に制御することが困難である。
このため、燃焼量の変動時には、供給される空気量が目的の空気量からずれてしまう不具合が生じる。特に、燃焼量の変動幅が大きい場合には、供給空気量のずれが大きくなり易い。
【0011】
本発明の構成によれば、燃焼量の変動幅が大きい場合(所定値以上)と小さい場合(所定値未満)とで区別して、空気流路の開口面積あるいは送風機の回転数を通常燃焼時とは異なるように過渡制御することにより、変動時における供給空気量のずれを抑えることができる。
この場合、過渡制御は、送風機の回転数が目的回転数に至るまでの時間、あるいは、目的回転数に対して所定範囲内に至るまでの時間だけ行うのが好ましい。則ち、送風機の慣性に起因する回転数のずれが生じる時間だけ過渡制御を行うことが好ましい。
燃焼量の変動幅を区別するための所定値は適宜の値に設定可能であるが、例えば、送風機の回転数の変動に伴って生じる供給空気量のずれが、所定量以下になるときの、燃焼量の変動幅を所定値として定めることができる。
また、燃焼装置から燃焼量に応じた要求信号が制御回路へ伝送されると、制御回路は、燃焼量の要求信号に応じたアクチュエータの制御信号、または、送風機の制御信号を生成して送出する。これにより、空気流路の開口面積および送風機の回転数を容易に制御することができる。
制御回路は、空気流路の開口面積だけを制御する構成としたり、あるいは、送風機の回転数だけを制御する構成として供給空気量を調節することができる。また、空気流路の開口面積と送風機の回転数との双方を制御して一層きめ細かに供給空気量を調節することも可能である。
また、燃焼量に応じた要求信号が制御回路へ伝送されると、制御回路はアクチュエータ制御テーブルを参照して直ちにアクチュエータの制御信号を生成出力することができる。同様に、制御回路は送風機制御テーブルを参照して直ちに送風機の制御信号を生成出力することが可能である。
また、この構成によれば、データテーブルに格納するデータを調整することによって複雑な制御を行わせることができる。例えば、燃焼量に応じて最適な空気供給を行うための開口面積や送風機の回転数のデータを試験によって収集し、収集したデータに基づいたデータテーブルを作成する。これにより、最適な制御を容易に実現することができる。
データテーブルには、目的の制御信号を得るために種々の形でデータを格納することができる。例えば、要求される燃焼量に応じた制御信号を生成するための演算式(定数や一次関数、二次関数あるいは高次関数など)を格納することができる。
また、予め、燃焼量を複数の領域に区分すると共に、区分された領域毎に制御信号を生成するための演算式を設定して、データテーブルとして格納することもできる。
また、燃焼量を所定値間隔毎に細分化し、細分化した燃焼量毎の制御信号を予め対応させてデータテーブルとして格納しておくことも可能である。
また、アクチュエータ制御テーブルとして、過渡データテーブルと通常データテーブルとを設けることができる。また、送風機制御テーブルとしても、同様に、過渡データテーブルと通常データテーブルとを設けることができる。
この構成によれば、燃焼量に応じた要求信号が制御回路へ伝送されると、制御回路は、燃焼量の変動幅に応じて過渡データテーブル、または、通常データテーブルを参照して直ちに制御信号を生成することができ、最適な空気供給を行うことができる。
また通常、燃焼量が増加する場合は、供給空気量も同時に増加させなければならず、逆に、燃焼量を低減する場合は、供給空気量を低下させなければならない。アクチュエータに制御信号を送出すると、空気流路はほぼ瞬時に目的とする開口面積に制御される。しかし、送風機に制御信号を送出しても、慣性に起因して目的とする回転数に至るまでに時間を要する。
ここで、送風機はモータとファンとで構成され、モータでファンを回転させて送風を行う。モータは、慣性の大きいファンを駆動するため、駆動トルクの大きいものを用いることが多い。これにより、ファンの回転数を上昇させる場合は、制御信号の印加から比較的短時間で目的の回転数に到達し得る。しかし、ファンの回転数を低下させる場合は、ファンが大きな慣性を有するため、制御信号を印加してから相当の時間を経過しないと目的の回転数まで低減しない。
送風機のこのような特性に鑑みて、燃焼量を増加させる場合、則ち、送風機の回転数を増加させる場合と、燃焼量を低下させる場合、則ち、送風機の回転数を低下させる場合とで、例えば、アクチュエータ制御テーブルとして増加過渡データテーブルと減少過渡テーブルとを個別に設ける。これにより、燃焼量の変動過渡期における送風機の慣性に起因する供給空気量のずれを、開口面積を調整することによって補償することができ、変動過渡期における目的の供給空気量からのずれを低減できる。
【0012】
前記本発明において、燃焼部へ着火させるときには、送風機の回転数または空気流路の開口面積の少なくともいずれか一方を、通常燃焼時とは異なる着火モードで所定時間だけ過渡制御する構成とすることができる。
通常、給湯器などに採用される燃焼装置では、燃焼量が低い場合に、燃焼性能の安定化、低NOX化を実現するために、燃料ガスに直接混合される一次空気に対して炎孔外に供給する二次空気の比率は高く設定される。
ところが、このような空気供給は、燃焼量の少ない着火の際にも同様に適用されるため、着火時における二次空気の比率が一次空気に対して過大となり、火移りが悪く、着火性能を低下させる弊害が生じる。
しかし、本発明の構成によれば、着火の際には、通常燃焼時とは異なる着火モードが採用される。則ち、着火の際には、通常燃焼時に比べて供給空気量を低減したり、あるいは、一次空気に対する二次空気の比率を少なくすることによって火移りを良くし、着火性を向上させている。
着火モードを採用する時間は、予め定められた所定時間としても良いが、例えば、燃焼部に火炎センサを設けた構成とし、この火炎センサで着火が検知されるまでの時間を所定時間として制御するのが好ましい。
【0013】
前記本発明において、制御回路は、燃焼部へ着火させる場合に一時的に参照される着火データテーブルを備えた構成とすることができる。
前記したように、燃焼量が低い場合には、一次空気に対して二次空気の比率が高く設定されるため、特に、着火時における火移りが悪く、着火性能が低下する。
しかし、本発明の構成によれば、着火の際には、制御回路は着火データテーブルを参照して、通常燃焼時に比べて供給空気量を低減させたり、あるいは、一時空気に対する二次空気の比率が低くなるように制御して、着火性を向上させることができる。
【0014】
【0015】
【0016】
同時に提案される本発明は、燃焼装置の火炎を発生させる燃焼部の上流側に配置され、送風機の回転数、および、空気流路の開口面積を制御して燃焼部へ供給する空気量を調節する空気量調節装置であって、所定形状の開口を有し回転可能に重ね合わせられた板状部材と、一方の板状部材に対して他方の板状部材を回転駆動して開口同士で形成される開口面積を変化させるアクチュエータと、アクチュエータまたは送風機の少なくともいずれかへ、燃焼量に応じた制御信号を生成して送出する制御回路とを備えており、制御回路は、燃焼量とアクチュエータへ送出する制御信号とを対応させたアクチュエータ制御テーブル、または、燃焼量と送風機へ送出する制御信号とを対応させた送風機制御テーブルの少なくともいずれかのデータテーブルを備え、データテーブルは、燃焼量の変動幅が、予め定められた所定値以上の場合に一時的に参照される過渡データテーブルと、燃焼量の変動幅が所定値未満の場合、および、通常燃焼時に参照される通常データテーブルとに区別して設け、過渡データテーブルは、燃焼量が増加する場合と減少する場合とに区別して設ける構成とされている。
【0017】
この構成によれば、制御回路によって、燃焼量の要求信号に応じたアクチュエータの制御信号、または、送風機の制御信号を生成して送出する。これにより、空気流路の開口面積および送風機の回転数を容易に制御することができる。制御回路は、空気流路の開口面積だけを制御する構成としたり、あるいは、送風機の回転数だけを制御する構成として供給空気量を調節することができる。また、空気流路の開口面積と送風機の回転数との双方を制御して一層きめ細かに供給空気量を調節することも可能である。
また、この構成によれば、燃焼量に応じた要求信号が制御回路へ伝送されると、制御回路はアクチュエータ制御テーブルまたは送風機制御テーブルを参照して直ちに制御信号を生成出力することが可能である。
また、この構成によれば、データテーブルに格納するデータを調整することによって複雑な制御を行わせることが可能となる。
【0018】
データテーブルには、目的の制御信号を得るために種々の形でデータを格納することができる。
データテーブルには、要求される燃焼量に応じた制御信号を生成するための演算式(定数や一次関数、二次関数あるいは高次関数など)を格納することができる。
また、予め、燃焼量を複数の領域に区分すると共に、区分された領域毎に制御信号を生成するための演算式を設定して、データテーブルとして格納することもできる。
また、燃焼量を所定値間隔毎に細分化し、細分化した燃焼量毎の制御信号を予め対応させてデータテーブルとして格納しておくことも可能である。
【0019】
また、アクチュエータ制御テーブルとして、過渡データテーブルと通常データテーブルとを設けることができる。また、送風機制御テーブルとしても、同様に、過渡データテーブルと通常データテーブルとを設けることができる。
この構成によれば、燃焼量に応じた要求信号が制御回路へ伝送されると、制御回路は、燃焼量の変動幅に応じて過渡データテーブル、または、通常データテーブルを参照して直ちに制御信号を生成することができ、最適な空気供給を行うことができる。
【0020】
また通常、燃焼量が増加する場合は、供給空気量も同時に増加させなければならず、逆に、燃焼量を低減する場合は、供給空気量を低下させなければならない。アクチュエータに制御信号を送出すると、空気流路はほぼ瞬時に目的とする開口面積に制御される。しかし、送風機に制御信号を送出しても、慣性に起因して目的とする回転数に至るまでに時間を要する。
【0021】
ここで、送風機はモータとファンとで構成され、モータでファンを回転させて送風を行う。モータは、慣性の大きいファンを駆動するため、駆動トルクの大きいものを用いることが多い。これにより、ファンの回転数を上昇させる場合は、制御信号の印加から比較的短時間で目的の回転数に到達し得る。しかし、ファンの回転数を低下させる場合は、ファンが大きな慣性を有するため、制御信号を印加してから相当の時間を経過しないと目的の回転数まで低減しない。
【0022】
送風機のこのような特性に鑑みて、燃焼量を増加させる場合、則ち、送風機の回転数を増加させる場合と、燃焼量を低下させる場合、則ち、送風機の回転数を低下させる場合とで、例えば、アクチュエータ制御テーブルとして増加過渡データテーブルと減少過渡テーブルとを個別に設ける。これにより、燃焼量の変動過渡期における送風機の慣性に起因する供給空気量のずれを、開口面積を調整することによって補償することができ、変動過渡期における目的の供給空気量からのずれを低減できる。
【0023】
【0024】
前記請求項1乃至4に記載した空気量調節装置は、燃料を気化させて生成される燃料ガスを燃焼部へ供給して燃焼させる燃焼装置に用いられ、気化された燃料へ混合される一次空気と燃焼部へ供給される二次空気の双方を調節する構成とすることができる。
則ち、例えば、双方の板状部材の開口形状を適宜に調整することにより、1つの空気量調節装置によって一次空気および二次空気を同時に適量に調節することができる。このような空気量調節装置を燃焼装置に用いることにより、構成を簡略化させると共に安定した空気供給を行うことができる。
【0025】
また、同時に提案される本発明の燃焼装置は、火炎を発生させる燃焼部と、当該燃焼部へ空気を送風する送風機と、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の空気量調節装置とを備えて構成される。
則ち、前記した空気量調節装置を用いた燃焼装置により、送風機の慣性に起因する供給空気量のずれを効果的に除去することが可能となり、安定した燃焼を得ることができ、しかも、着火性も向上させることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
尚、本発明の実施形態に係る空気量調節装置の制御動作の詳細を説明するのに先立って、駆動系の詳細な構造を説明する。
図1は本発明の実施形態に係る空気量調節装置の駆動系を示す分解斜視図、図2は空気量調節装置の移動側板状部材(板状部材)および固定側板状部材(板状部材)を示す斜視図、図3は空気量調節装置を組み立てた状態を示す斜視図、図4は空気量調節装置の動作を示す説明図、図5は空気量調節装置を内蔵した燃焼装置の断面図である。
【0027】
図3、図5に示すように、空気量調節装置5aは、固定側板状部材22、移動側板状部材23、移動側板状部材23を回転駆動する駆動片5b、駆動片5bを枢支する支持部材5m、アクチュエータ(ステップモータ)121、および、制御回路9を備えて構成される。
【0028】
駆動片5bは、図1に示すように、金属板を断面が略「弓」字形状になるように6カ所を折曲して形成され、3つの垂直部、3つの水平部及び1つの傾斜部5fを備えた形状である。中央の2つの垂直部には枢支軸5hを貫通させる枢支孔5d,5dが設けられている。また、端部の垂直部には、ステップモータ121の回転軸5tを嵌合させるスリット状の嵌合孔5cが設けられている。これらの枢支孔5d,5dおよび嵌合孔5cは、各々の孔中心が一軸となるように形成されている。
また、傾斜部5fは隣接する水平部に対して略45度の傾斜を持たせており、、傾斜部5fに隣接する水平部側縁(図における右方側縁)は曲面状に切り起こされて、押圧部5eを形成している。尚、傾斜部5fは押圧部5eを補強する機能を有すると共に、後述する枢支軸の取り付けを容易にするために傾斜させている。
【0029】
支持部材5mは、駆動片5bを揺動可能に枢支するもので、長尺帯状の固定部5nと、固定部5nの長手左右側縁中央に垂直に切り起こされた枢支部5p,5pを備えている。枢支部5p,5pの上縁中央部は略半円状に上方へ向けて突出し、この半円状の中心に軸孔5q,5qが設けられている。
この支持部材5mは、固定部5nに設けられた複数の固定孔5rにネジを通して後述する固定側板状部材22に取り付け固定される。
【0030】
前記した、駆動片5bは枢支軸5hを用いて支持部材5mに揺動可能に取り付けられる。則ち、駆動片5bの中央の2カ所の垂直部を支持部材5mの枢支部5p,5pの外側に跨ぐようにして被せ、枢支軸5hを駆動片5bの枢支孔5d,5dおよび枢支部5pの軸孔5q,5qを貫通させるように挿入する。
これにより、駆動片5bは枢支軸5hの回りに所定角度だけ揺動可能な状態で支持部材5mに取り付けられる。
【0031】
移動側板状部材23は、図1,2に示すように円板形であり、周辺部には垂直に切り起こされた係合部33が設けられている。この係合部33は円板の接線方向へ向けて設けられ、係合部33の中央は切り欠かれて溝状部33aを形成している。この溝状部33aの一方(図の右側)の側縁は傾斜させて被押圧部33bを形成している。また、係合部33の左端部には、後述するバネSの一端を固定する開口33cが設けられている。
【0032】
係合部33の被押圧部33bに傾斜を持たせているのは、駆動片5bの回動によって移動側板状部材23を回転駆動する際に、押圧部5eの回動によって被押圧部33bが上方へ持ち上げられることを防止するためである。
この移動側板状部材23の中心には、固定側板状部材22に対して回転可能に取り付けるための軸挿通孔25が設けられている。また、円板面には略3角形の開口26が軸挿通孔25を中心として等間隔で放射状に設けられ、円板の周辺近傍には、略長方形の開口27が軸挿通孔25を中心として等間隔で放射状に設けられている。
【0033】
一方、固定側板状部材22は、図2に示すように長方形状をしており、中央部には移動側板状部材23を回転可能に取り付けるための軸挿通孔25'が設けられている。また、移動側板状部材23の開口26,27と対応させて、軸挿通孔25'を中心として放射状に略三角形の開口26'および略長方形の開口27'が等間隔に設けられている。
【0034】
本実施形態の空気量調節装置5aは、このような構成の移動側板状部材23を固定側板状部材22へ回転可能に取り付けて構成される。則ち、移動側板状部材23の軸挿通孔25を固定側板状部材22の軸挿通孔25'に合わせて固定具(不図示)で回転可能に取り付けることにより、移動側板状部材23は固定側板状部材22の上で自由に回転できる。従って、ある回転位置では開口26,27と開口26',27'とが一致して開口面積が最大となり、別の回転位置では開口面積が最小となる。
則ち、移動側板状部材23の回転位置を駆動片5bで変化させることにより、開口面積を最小から最大まで自由に変化させることができる。これにより、移動側板状部材23および固定側板状部材22の上下方向への空気流量(空気流路の開度)を調節するものである。
【0035】
組み立てられた空気量調節装置5aは、図3に示すように、固定側板状部材22に移動側板状部材23が回転可能に取り付けられ、移動側板状部材23の近傍には、駆動片5bを枢支した支持部材5mが固定側板状部材22に取付固定されている。そして、駆動片5bの押圧部5eが移動側板状部材23の係合部33に設けられた被押圧部33bに当接している。
固定側板状部材22の周縁は、図3、図5に示すように、箱体(ケース部)13で囲まれており、ステップモータ121の回転軸5tは、箱体13に設けられた開口13aを通して駆動片5bの嵌合孔5cに嵌合している。
また、移動側板状部材23の係合部33に設けられた開口33cと固定側板状部材22の係止部22aとの間にはバネSが取り付けられて、移動側板状部材23を固定側板状部材22に対して左回り方向(開口面積が最小となる方向)へ付勢している。
また、箱体13のステップモータ121の近傍には、当該ステップモータ121や後述する送風機2へ制御信号を生成して送出する制御回路9が取り付けられている。
【0036】
本実施形態の空気量調節装置5aは、図4(a)〜(c)に示すように、駆動片5bが枢支軸5hの回りに左右方向へ所定角度だけ揺動(回動)可能とされている。言い換えれば、駆動片5bが所定角度だけ揺動すると、支持部材5mの枢支部5Pに当接して揺動が停止される構成としている。従って、ステップモータ121の回転角度も駆動片5bの揺動可能な角度の範囲に調整されている。
【0037】
この空気量調節装置5aでは、図4(a)に示すように、ステップモータ121によって駆動片5bが時計方向へ回動しきった状態では、移動側板状部材23の係合部33はバネSによって左方に付勢されるので、被押圧部33bが駆動片5bの押圧部5eに当接した状態で停止している。この状態では、移動側板状部材23と固定側板状部材22との間に形成される開口面積が最小となり、供給空気量が最も低い最閉状態である。
【0038】
制御回路9からステップモータ121に供給空気量を増加させる制御信号が伝送されると、図4(b)に示すように、駆動片5bは図において反時計方向に回転し、駆動片5bも反時計方向へ回動する。この状態では、移動側板状部材23と固定側板状部材22との間に形成される開口面積が中程度の中開状態となる。
制御回路9からステップモータ121に、更に、供給空気量を増加させる制御信号が伝送されると、図4(c)に示すように、駆動片5bは図において反時計方向に向けて回転しきった状態となる。この状態では、移動側板状部材23と固定側板状部材22との間に形成される開口面積が最大となり、供給空気量が最大の最開状態となる。
【0039】
次に、本実施形態の空気量調節装置5aの制御動作を説明するのに先立って、燃焼装置1における空気量調節装置5aの配置を説明する。
図5に示す燃焼装置1は、本発明の実施例で述べる給湯器に内蔵されるもので、上部に設けられた送風機2と下方へ設けられた燃焼部7との間に空気量調節装置5aが配されている。
則ち、送風機2のモータ16によってファン11を回転させ、発生した空気流を空気量調節装置5aで制御しつつ下方の燃焼部7へ送る動作をする(図5の矢印参照)。
【0040】
この空気量調節装置5aの箱体13の外壁に取り付けられたステップモータ121の近傍には、ステップモータ121および送風機2のモータ16などへ送出する制御信号を生成する制御回路9が設けられている。
本実施形態では、制御回路9は、CPUを用いてデジタル処理を行うデジタル回路で構成される。則ち、制御回路9は、CPU、RAM、ROM、I/Oポート、および、必要に応じて、アナログのセンサ信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路、あるいは、生成されたデジタル制御信号をアナログ制御信号に変換するD/A変換回路などを備え、燃焼部から伝送される燃焼量(要求信号)に応じた制御信号を生成するものである。
【0041】
次に、前記した構成の空気量調節装置5aにおける本発明の実施形態に係る制御動作を、図3〜図5、および、図6〜図8を参照して説明する。
図6は、本実施形態の空気量調節装置5aの制御動作を示すフローチャートである。図7(a)は、燃焼量に応じて制御される送風機の回転数を示すグラフ、図7(b)は、ファンモータ(送風機)制御テーブルを示す模式図である。また、図8(a)は、燃焼量に応じて制御される開口面積値を示すグラフ、図8(b)は、ステップモータ制御テーブルを示す模式図、図8(c)は、燃焼量に応じて燃焼部7へ供給される空気量を示すグラフである。
【0042】
送風機2のファンモータ16は制御回路9によって制御されるもので、図7(a)のグラフに示すように、燃焼量に略比例させて回転数を増加させる通常制御と、燃焼部7へ着火させる際に採用される着火制御が行われる。
通常制御では、燃焼量の最小値から最大値に渡って、ファンモータ16の回転数を燃焼量に略比例させて増減させる制御が行われる。
また、着火制御(着火モード)は、燃焼部7において火炎が発生していない状態で採用される制御であり、ファンモータ16を着火燃焼量Tに対応した通常の回転数よりも低い回転数で駆動するものである。本実施形態の燃焼装置1では、燃焼量号数(7.8号)を着火燃焼量Tとし、この燃焼量Tに対する通常制御におけるファンモータ16の回転数2500rpmに対して、着火制御では2000rpmまで回転数を低減させた制御を行うようにしている。
【0043】
従って、制御回路9に格納されるファンモータ制御テーブルは、図7(b)に示すように、通常制御を行うためのファンモータの通常制御テーブルと、着火制御を行うための着火制御テーブルとで構成される。
通常制御テーブルには、燃焼量(号数)に定数aを乗算する演算式が格納されている。また、着火制御テーブルには、所定回転数A(例えば2000rpm)のデータが格納されている。
そして、燃焼量の要求信号が伝送されると、制御回路9は燃焼中であるか着火モードであるかの判別を行う。燃焼中のときは、ファンモータ制御テーブルを参照して、目的とする燃焼量に定数aを乗算した制御信号を生成してファンモータ16を制御する。一方、着火のときは、着火制御テーブルを参照して所定回転数Aに対応する制御信号を生成してファンモータ16を制御する動作を行う。
尚、着火と燃焼中との判別は、例えば、燃焼部7に設けたフレームロッドで成る火炎センサ(不図示)の検知信号を制御回路9で監視することによって行う構成を採ることができる。
また、燃焼量の単位として示した号数とは、1リットルの水を25℃昇温させるのに要する熱量を1号として示す基本単位である。
【0044】
一方、移動側板状部材23を駆動するアクチュエータ121は、制御回路9によって制御されるもので、図8(a)のグラフに示すように、燃焼量に略比例させて開口面積を増減させる通常制御と、燃焼量を増加させる場合に一時的に適用される増加制御と、燃焼量を減少させる場合に一時的に適用される減少制御との3種類の制御を区別して行う構成とされている。
則ち、通常制御を行う場合は、図8(a)の実線で示すように、燃焼量に略比例して開口面積を増減させる制御が行われる。増加制御を行う場合は、図8(a)の一点鎖線で示すように、燃焼量に対して通常制御よりも開口面積を多くした制御が行われる。また、減少制御を行う場合は、図8(a)の破線で示すように、燃焼量に対して通常制御よりも開口面積を少なくした制御が行われる。
この増加制御および減少制御を行うことにより、送風機2の慣性に伴う供給空気量のずれを、アクチュエータ121の制御によって効果的に補償させるようにしている。
【0045】
ここで言う、開口面積は、移動側板状部材23と固定側板状部材22とに設けられた開口26,27,26',27'で形成される開口面積を指しており、一次空気の供給および二次空気の供給に寄与する合計面積を指すものである。
ここで、図8(a)に示すグラフは、燃焼量と開口面積との対応を示すグラフであるが、同時に、燃焼量とステップモータ121の回転位置(ステップ値)とを対応させたグラフでもある。
例えば、開口面積が最小となるように移動側板状部材23を駆動した場合のステップモータ121のステップ値を0ステップとし、開口面積が最大となるように移動側板状部材23を駆動した場合のステップモータ121のステップ値を500ステップとする。このような対応関係を持たせることにより、開口面積を等価的にステップモータ121のステップ値に換算することが可能である。
【0046】
制御回路9に格納されるステップモータの制御テーブルは、図8(b)に示すように、通常制御テーブル、増加制御テーブルおよび減少制御テーブルの3つのデータテーブルで構成される。
通常制御テーブルは、燃焼量(号数)に定数bを乗算する演算式が格納されている。増加制御テーブルには、燃焼量に定数bを乗算した値に定数αを加算する演算式が格納されている。また、減少制御テーブルには、燃焼量に定数bを乗算した値から定数βを減算する演算式が格納されている。
【0047】
このような構成の空気量調節装置5aの制御動作を、図6のフローチャートを参照して説明する。
(1)制御回路9は、常時、燃焼量の変動要求の有無を監視する。燃焼量の変動要求が生じると、当該要求が、通常燃焼中における燃焼量の変動要求であるか、着火のための変動要求であるかを判別する(以上、図6ステップ200,201参照)。
(2)ステップ201で、着火要求の判別が行われたときには、制御回路9は、ファンモータの着火制御テーブルを参照し、着火制御信号を生成してファンモータを駆動制御する。
次いで、制御回路9は、ステップモータの通常制御テーブルを参照し、着火時における燃焼量(本実施形態では7.8号)に対応した通常制御信号を生成してステップモータ121を駆動制御する(以上、図6ステップ201,212〜215参照)。
【0048】
(3)制御回路9は、着火状態を監視する。そして、着火を確認すると、ファンモータの通常制御テーブルを参照し、通常制御信号を生成してファンモータを駆動制御する。これにより、着火モードが完了し、ステップ200に戻って、再び、燃焼量の変動の監視状態に入る(以上、図6ステップ216〜218,200参照)。
(4)一方、ステップ201で、燃焼中の判別が行われたときには、制御回路9は、ファンモータの通常制御テーブルを参照し、通常制御信号を生成してファンモータを駆動する(以上、図6ステップ201〜203参照)。
(5)次いで、制御回路9は、現在の燃焼量に対して目的とする燃焼量の変動幅を求める。そして、燃焼量の変動幅が所定値δ未満であれば、ステップモータの通常制御テーブルを参照し、目的とする燃焼量に対応した通常制御信号を生成してステップモータ121を駆動制御する(以上、図6ステップ204〜206参照)。
【0049】
(6)一方、ステップ204で、燃焼量の変動幅が所定値δ以上であれば、制御回路9は、燃焼量の変動が増加であるか減少であるかの判別を行う。
そして、燃焼量の変動が増加のときは、ステップモータの増加制御テーブルを参照し、燃焼量に対応した増加制御信号を生成して、ステップモータ121へ一時的に送出して補償制御する。
また、燃焼量の変動が減少のときは、ステップモータの減少制御テーブルを参照し、燃焼量に対応した減少制御信号を生成してステップモータ121を一時的に送出して補償制御する(以上、図6ステップ204〜208参照)。
【0050】
(7)ステップ208において、ステップモータ121を補償駆動すると、制御回路9は所定時間tの経過をカウントする。そして、所定時間tが経過すると、ステップモータの通常制御テーブルを参照し、目的とする燃焼量に対応した通常制御信号を生成してステップモータ121を駆動制御する(以上、図6ステップ208〜211参照)。
(8)制御回路9では、再びステップ200に戻って、燃焼量の変動要求の有無を監視する。
【0051】
このように、本実施形態の空気量調節装置5aによれば、着火時と燃焼中との制御を区別して最適に行うと共に、燃焼中においても、燃焼量の変動幅および燃焼量の増減に応じて最適な制御を行うことが可能となる。
これにより、着火の際には、通常燃焼時に比べて空気供給量を低減させて火移りを向上させている。
また、燃焼中における燃焼量の変動の際には、ファンモータの慣性による供給空気量のずれを、ステップモータ121の補償制御(開口面積の補償制御)によって効果的に除去することが可能となる。
【0052】
図8(c)は、本実施形態の空気量調節装置5aによって供給される空気量を、燃焼量に対応させて示したグラフである。
本実施形態の空気量調節装置5aでは、燃焼量が最小のときは、一次空気量と二次空気量との比率を略1:4となるように設定し、燃焼量が最大のときは、一次空気量と二次空気量との比率が略1:2となるように設定されている。これにより、燃焼量の大小に拘わらず、NOxを低減した最適な燃焼状態が得られる空気供給を可能としている。
また、燃焼量が変動した場合には、増加変動および減少変動に応じて一時的にステップモータ121を補償制御することにより、燃焼量の変動に伴う吹き消えや煤の発生を効果的に抑えて安定した燃焼を実現させることができる。
【0053】
このように、本実施形態の空気量調節装置5aによれば、着火モードと通常燃焼時とを区別して最適な空気供給を行わせると共に、通常燃焼時においても、送風機2の慣性に伴う供給空気量のずれを効果的に補償することによって最適な空気供給を可能としている。
【0054】
前記本実施形態のファンモータの通常制御テーブルは、図7(b)に示した演算式(燃焼量×a)を格納しており、また、着火制御テーブルは所定定数(所定回転数) 格納しているが、本発明はこのような構成に限られるものではない。
例えば、これらの制御テーブルに、定数や一次関数以外に、二次関数や三次関数以上の高次関数の演算式を格納しても良い。
また、予め、燃焼量を複数の領域に区分すると共に区分された領域毎に最適な制御信号を得るための演算式を格納する構成とすることも可能である。
また、演算式を格納するのではなく、燃焼量を所定値間隔毎に細分化し、細分化した燃焼量毎の制御信号を予め対応させて格納した制御テーブルとすることも可能である。
【0055】
同様に、本実施形態のステップモータの制御テーブル(通常、増加および減少の制御テーブル)についても、図8(b)に示した一次関数の演算式を格納したものであるが、本発明はこのような構成に限られるものではない。
則ち、これらの制御テーブルに、一次関数以外に、定数や、二次関数、あるいは、三次関数以上の高次関数の演算式を格納しても良い。
また、予め、燃焼量を複数の領域に区分すると共に区分された領域毎に最適な制御信号(ステップ値)を得るための演算式を格納する構成とすることも可能である。
また、演算式を格納するのではなく、燃焼量を所定値間隔毎に細分化し、細分化した燃焼量毎の制御信号(ステップ値)を予め対応させて格納した制御テーブルとすることも可能である。
【0056】
則ち、制御テーブルのデータを調整することにより、燃焼量に対してファンモータやステップモータを適宜の値に制御することが可能となり、きめ細かい制御によって最適な空気量を供給することが可能となる。
【0057】
また、本実施形態の制御動作では、図6に示したフローチャートのステップ218において、制御回路9によって所定時間tの経過をカウントする構成としている。
しかし、例えば、制御回路9によってファンモータの回転数を検知させる構成とすれば、ファンモータの回転数が目的の回転数に対して所定値範囲内に入った状態を検知するまでの時間を所定時間として制御を行なうことも可能である。
【0058】
また、本実施形態の制御動作では、着火モードにおけるファンモータの回転数を、燃焼中に比べて低下させて火移りを向上させている。しかし、本発明は、このような構成に限らず、例えば、一次空気と二次空気との比率が着火モードに最適となるようにステップモータ121を駆動して開口面積を調節すると共に、送風機2の回転数を開口面積に合わせて駆動することにより、一層着火性を向上させることが可能である。
【0059】
ところで、前記図3に示した空気量調節装置5aは、カム形状の駆動片5bをステップモータ121で駆動して移動側板状部材23を回転させる構成であった。しかし、本発明に適用される空気量調節装置はこのような構成に限られるものではない。
図9は、別の構成の空気量調節装置5a'の駆動系を示す分解斜視図であり、前記図3に示した空気量調節装置5aと同一構成部分には同一の符号を付している。
【0060】
この例では、移動側板状部材23の外周縁の一部に歯23aが設けられており、ステップモータ121の回転軸に取り付けられた歯車121aが歯23aに係合して移動側板状部材23を回転駆動させるものである。
この空気量調節装置5a'においても、前記した本発明の駆動制御を適用することによって、安定した空気供給および気化性能を得ることができ、また、耐久性を向上させることが可能である。
【0061】
【実施例】
次に、本発明の空気量調節装置を燃焼装置に採用した実施例を説明する。
尚、本実施例の燃焼装置は、前記図1〜図3に示した空気量調節装置5aを用い、前記した実施形態の制御動作を採用している。
また、説明に際しては、空気量調節装置5aと後述する空気量調節部5とを同一として扱っている。
また、以下の説明において上下の関係は、燃焼装置を給湯器等に設置した状態を基準とする。
図10は、本発明の燃焼装置を内蔵する給湯器の断面図である。図11は、本発明の実施例の燃焼装置の正面図及び箱体の開口部分の斜視図である。図12は、本発明の実施例の燃焼装置の断面図である。図13は、本発明の実施例の燃焼装置の全体の分解斜視図である。図14は、図11の燃焼装置の流路形成部材周辺の分解斜視図である。図15は、流路形成部材に燃料供給管を取り付ける際の構成を示す斜視図である。 図16は、図11の燃焼装置の燃焼部近傍を上から見た斜視図である。図17は、図11の燃焼装置で採用する空気量調節部の固定側板状部材の正面図である。図18は、図17の固定側板状部材の側面図である。図19は、図11の燃焼装置で採用する空気量調節部の移動側板状部材の正面図である。図20は、図11の燃焼装置で採用する空気量調節部の正面図であり、開口を開いた状態を示す。図21は、図11の燃焼装置で採用する空気量調節部の正面図であり、開口を閉じた状態を示す。図22は、図11の燃焼装置で採用する分流部材の正面図である。
【0062】
また、図23は、図11の燃焼装置で採用する炎孔ベースの上面側(気体流路側)の図面である。図24は、図23の炎孔ベースの下面側(炎孔側)の図面である。図25は、図11の燃焼装置で採用する炎孔ベースと、炎孔部材、網状部材及び補炎部材を組み合わせた状態の正面図である。図26は、炎孔部材の正面図である。図27は、網状部材の正面図である。図28は、補炎部材の正面図である。図29は、図28のA−A断面図である。図30は、図11の燃焼装置で採用するロータリーカップの正面図及び平面図である。図31は、図24のA−A断面図である。図32は、図24のB−B断面図である。図33は、図11の燃焼装置で採用する炎孔ベースの気体流路側の構成を説明する説明図である。図34は、図11の燃焼装置の炎孔近傍を下側から見た斜視図である。図35は、燃料ガスの流れを説明する説明図である。図36は、二次空気の流れを説明する説明図である。図37は、炎孔部材と網状部材及び補炎部材の重ね合わせ構造を示す斜視図である。図38は、図11の燃焼装置を下側から見た概略斜視図である。図39は、本発明の他の実施例の燃焼装置を下側から見た概略斜視図である。図40(a)は、図11の燃焼装置の点火装置取り付け部分の拡大図であり、(b)はその変形例である。
【0063】
図10〜図13において、1は、本発明の実施例の燃焼装置を示す。本実施例の燃焼装置1は、図の様に炎孔を下に向けて給湯器21に内蔵されるものであり、上から送風機2、駆動機械部3、空気量調節部5、混合部6及び燃焼部7が順次積み重ねられて作られたものである。また混合部6及び燃焼部7の近傍に気化部8が設けられている。さらに空気量調節部5と気化部8の間は、流路形成部材70によって接続されている。尚、本実施例では、空気量調節部5は整流手段の機能を兼ねる。
【0064】
上部側から順次説明すると、送風機2は、鋼板を曲げ加工して作られた凹状のハウジング10の中にファン11が回転可能に配されたものである。ハウジング10の中央部には、開口12が設けられている。
【0065】
駆動機械部3は、箱体13を有し、その天板15の中央にモータ16が取り付けられている。モータ16は、両端部から回転軸17,18が突出しており、回転軸17,18は、燃焼装置1の略全長を貫通している。そして後記する様に、モータ16の上方側の回転軸17は、ファン11に接続され、下方側の回転軸18は、気化部8のロータリーカップ(回転部材)63に接続されている。
また駆動機械部3には、温度センサ32が設けられている。
【0066】
空気量調節部5は、図3,図13の様に移動側板状部材23と固定側板状部材22によって構成されている。移動側板状部材23は、図13,図19の様に円板状をしており、中央に軸挿通孔25が設けられている。そしてその周囲に空気孔となる開口26,27が設けられている。空気孔となる開口26,27は、概ね内外二重のエリアに分かれて設けられている。中心側のエリアに設けられた開口26は、略三角形であり、12個、等間隔に設けられている。
一方、外側を取り巻くエリアに設けられた開口27は12個であり、略長方形の溝状である。
上記した様に、移動側板状部材23には、2種類の開口26,27が設けられているが、これらの周方向の辺は、いずれも移動側板状部材23の中心と同一中心の円弧である。
【0067】
また移動側板状部材23の一部には、図2,図13の様な係合部33が設けられている。係合部33は、図2の様に開口が設けられた部位から垂直方向に折り曲げられた垂直壁を持ち、当該垂直壁に切り欠き部33aが設けられたものである。
【0068】
一方、空気量調節部5の固定側板状部材22は、図2,図17に示すように長方形の板体であり、周囲が折り返されてフランジ部24が設けられている。固定側板状部材22の面積は、前記した移動側板状部材23よりも大きく、両者を重ねたとき、移動側板状部材23は固定側板状部材22にすっぽりと覆われる。逆にいえば、固定側板状部材22の端部は移動側板状部材23からはみ出す。
【0069】
板状の部位の中心部分には、前記した移動側板状部材23と略同一形状の開口が設けられている。即ち空気量調節部5の固定側板状部材22には、中央に軸挿通孔25'が設けられている。そしてその周囲に空気孔となる開口が二重のエリアに分かれて設けられている。中心側のエリアに設けられた開口26'は、略三角形であり、12個、等間隔に設けられている。
外側のエリアにも12個の開口27'が設けられているが、外側の開口はいずれも略長方形の溝状のものである。
固定側板状部材22の他の部位には、多数の小孔31が設けられている。小孔31が設けられた位置は、固定側板状部材22の上に移動側板状部材23を重ねた時に、両者が重複しない部位である。即ち小孔31は、固定側板状部材22のはみ出し部分に設けられている。
【0070】
空気量調節部5は、図3,図13,図17に示すように、固定側板状部材22の上に移動側板状部材23が重ねられている。空気量調節部5は、全体として平面的である。
また駆動片5bを駆動するステップモータ121が燃焼装置1のハウジングに図11,図12に示す様に外付けされており、図3に示すように、当該モータ121の回転軸5tが駆動片5bの嵌合孔5cと係合している。
【0071】
移動側板状部材23は、固定側板状部材22の上にあり、中央の軸挿通孔25を中心として相対的に回転可能である。また図11,図12に示す外付けされたステップモータ121を回転させると、前記したように駆動片5bが枢支軸5hを中心として揺動し、移動側板状部材23の係合部33を動かす。その結果、移動側板状部材23が、固定側板状部材22の上で中央の軸挿通孔25を中心として相対的に回転する。
移動側板状部材23の回転により、移動側板状部材23と固定側板状部材22を連通する開口の面積が変化し、これによって空気量が調節される。
【0072】
流路形成部材70は、薄板を曲げて作られたものであり、図12,図14の様に円錐形をしている。流路形成部材70の内部は空洞であり、上下に連通している。即ち流路形成部材70は、上部と下部に開口54,83を持ち、両者は連通している。流路形成部材70の上部の開口54は、前記した移動側板状部材23の中心側のエリアの直径に等しい。また下部の開口83は、後記する分流部材35の中央の開口37の直径に等しい。
また前記した様に流路形成部材70は円錐形をしており、上部の開口54は、下部の開口83に対して相当に大きい。より具体的には、上部の開口54の直径は、下部のそれの1.5倍以上の大きさを持つ。またより好ましくは、上部の開口54の直径は、下部のそれの2倍以上である。
【0073】
流路形成部材70の上下の開口には、それぞれフランジ55,56が設けられている。
流路形成部材70の内側には、燃料パイプ(燃料供給管)79が固定されている。即ち燃料パイプ79は、図14の様に上部の開口54側から流路形成部材70の内部に入る。ここで流路形成部材70の燃料パイプ79の導入部位においては、図14の様にフランジ55の一部が燃料パイプ79の外周に沿って円形に変形されている。また燃料パイプ79は、図15に示す取り付け金具62によって流路形成部材70の内壁に沿って配管されている。
即ち燃料パイプ79は、流路形成部材70の母線に沿うと共に流路形成部材70の内壁に密着して配管されている。
【0074】
混合部6、燃焼部7及び気化部8は、分流部材35と炎孔ベース36を中心として構成され、これに気化室60と炎孔部材51,網状部材77及び補炎部材78が設けられて作られている。そしてこれらの構成部品がハウジング122内に収納されたものである。
【0075】
即ち分流部材35は、図22に示すように、長方形をした板状の部材であり、中央に大きな開口37が設けられている。また周部には、小さな開口40,89,90が多数設けられている。
但し本実施例では、小さな開口は、内外二箇所のエリアに分かれて分布している。即ち二点鎖線で囲んだ内側のエリアには、小さな開口40が列となって長手方向に連なって設けられている。
一方、二点鎖線の外側のエリアには、二列且つ環状に開口89,90が設けられている。
分流部材35の面積は、後記する炎孔ベース36の面積よりも大きい。
【0076】
炎孔ベース36は、アルミダイカストによって作られたものであり、図23,図24の様に長方形をしている。そして炎孔ベース36には、複雑な枠組と開口及び溝が設けられている。炎孔ベース36の上面側は、主として燃料ガス及び二次空気の流路構成面として機能し、下面側は炎孔取付け面として機能する。
即ち炎孔ベース36は、外周を囲む外側燃焼壁41を持つ。この外側燃焼壁41の内部は、実際に火炎が発生する部分であり、燃焼部7として機能する。
外側燃焼壁41には、図16,図31,図32,図35,図36に示すように孔(開口)53が設けられている。
【0077】
さらに外側燃焼壁41内は、図16,図23,図24,図31,図32の様に、多数の垂直壁50によって仕切られて設けられた溝48が設けられている。
そして溝48を構成する垂直壁50は、図16,図33の様に二組づつがループを構成していて、島状の部位75を形成している。即ち外側燃焼壁41内には、ループ状に閉塞された垂直壁50の組によって構成される閉塞された溝48aと、それ以外の開放された溝48bを持つ。そして島状の部位75は、図16,図33の様に長手方向に部分的に切れており、当該切れ目52の部分で島状以外の部位の溝48b同士が連通している。
【0078】
また図16,図31,図32の様に、炎孔ベース36の上面側(流路構成面側)には、中央部と、島状の部位75の切れ目部分を除いて天井壁57が設けられている。但し、前記した垂直壁50で構成された島状の部位75の溝48aの上部については、天井壁57に開口58が設けられている。
垂直壁50同士の島を構成しない部位の溝48bの上部には開口はない。
また各溝48は、いずれも炎孔ベース36の下面側(炎孔取付け面側)に連通している。
従って島によって囲まれた溝48aは、図36の様に上部の天井壁57に開口58が設けられていると共に下面側(炎孔取付け面側)にも開放されているから、炎孔ベース36を上下方向(厚さ方向)に貫通する。
一方、島を構成しない溝48bは、図35の様に上部側が天井壁57によって閉塞され、下面側(炎孔取付け面側)にのみ連通する。
なお、島状の部位75の切れ目52部分については、垂直壁50の底側(炎孔取付け面側)同士が繋がり、さらに当該部位に炎孔部材51等を取り付けるための突起38が設けられている。
【0079】
炎孔ベース36の中央部には、図33に示すように開口82が設けられている。
そして開口82の内部には、8本のリブ66が設けられ、中央に一次空気導入筒88が支持されている。本実施例の燃焼装置1では、この一次空気導入筒88及びリブ66は、炎孔ベース36と一体的に成形されたものである。
また炎孔ベース36の下面側(炎孔取付け面側)であって、開口82の近傍には、炎孔ベース36の長手方向にのびる内壁43が設けられている。内壁43の高さは、前記した外側燃焼壁41の高さと等しい。
さらに炎孔ベース36の下面側(炎孔取付け面側)であって、気化室60の開口47の近傍には、炎孔ベース36の短手方向に延びる内壁59が設けられている。
これらの内壁43,59は、燃焼部7から熱を受けて炎孔ベース36を保温し、燃料の再液化を防ぐものである。
【0080】
次に炎孔部材51について説明する。炎孔部材51は、図26の様に略長方形の板状であり、気化室用の開口76と、空気孔71と炎孔72及び取付孔150が設けられたものである。
即ち炎孔部材51は、中央に略四角形の気化室用の開口76を持つ。
また炎孔部材51は、板をプレスすることによって多数の長孔(空気孔)71と小孔(炎孔たる開口)72を設け、これらによって炎孔列aと空気孔列bが形成されている。また空気孔列bの長孔(空気孔)71同士の間に、取付孔150が設けられている。
即ち図26に示される多数の長孔71は、空気孔である。長孔(空気孔)71は、長手方向に並べられ、さらにそれが10列に渡って設けられている。そして各列の長孔(空気孔)71に、取付孔150がある。また取付孔150は、周部にも設けられている。
一方、小孔72は炎孔として機能する。小孔(炎孔)72は、図の様に小さな長孔状であり、炎孔列aの中心軸に対して千鳥状に設けられている。
本実施例では、炎孔列aは11列設けられており、前記した空気孔列bと互い違いに隣接して配されている。
【0081】
網状部材77は、細い金属糸で網目状に構成したもので、前記した炎孔部材51と略同一の面積を持つものであり、図27に示すように略長方形をしている。
網状部材77には、前記した炎孔部材51の気化室用の開口76に相当する部位に開口69が設けられている。また網状部材77の前記した炎孔部材51の炎孔列に相当する部分は、浅い溝155が列状に設けられている。さらに網状部材77には、前記した炎孔部材51の長孔(空気孔)71に相当する部位に長孔73が設けられている。また長孔73の周囲(図37の斜線の濃い部分)には、シール剤が塗布されている。シール剤74が塗布されているのは、炎孔ベース36の垂直壁50の端面と当接する部位である。
さらに炎孔部材51の取付孔150に相当する部位に取付孔151が設けられている。
【0082】
補炎部材78は、図28の様な長方形をしており、前記した炎孔部材51及び網状部材77と同様に中央に開口68が設けられている。また補炎部材78には、長孔65と列状に並んだ丸孔67が設けられている。補炎部材78の長孔65は、前記した炎孔部材51の炎孔を構成する小孔72が設けられたエリアに相当する部位にある。一方、丸孔67は、炎孔部材51の、長孔(空気孔)71に相当する部位に設けられている。この丸孔67の多くは、前記した炎孔ベース36の突起38よりも小さく、丸孔67の多くには突起38は入らない。しかしながら炎孔ベース36の突起38に相当する位置(炎孔部材51の取付孔150)に相当する位置の孔152だけは他の孔よりも大きく、炎孔ベース36の突起38が挿通可能である。
また前記した補炎部材78の長孔65の周囲は、図29の様に約45・に曲げられている。当該折り曲げ部68は、火炎の基端部を保持する効果を発揮するものである。
【0083】
炎孔部材51は、図13,図16,図37の様に、網状部材77を及び補炎部材78と共に炎孔ベース36の下面に配され、炎孔ベース36に設けられた突起38によって炎孔ベース36の下面に取り付けられている。即ち図37に示すように炎孔ベースに網状部材77が接し、さらにそれに重ねて炎孔部材51が配され、最後に補炎部材78が設けられる。このとき、炎孔ベース36に設けられた突起38に、網状部材77の取付孔151、炎孔部材51の取付孔150及び補炎部材78の取付孔152が挿通されて位置決めがなされる(図32)。そして所定の治具によって炎孔ベース36に設けられた突起38をかしめて変形させる。
【0084】
こうして位置決め及び取付が成された状態では、炎孔部材51の空気孔列bは、炎孔ベース36の垂直壁50によって構成される島状の部位75によって構成される溝48aの真下に位置する。なお空気孔列bと島状の部位75によって構成される溝48aの間には網状部材77が介在されるが、当該部位は図37の様に網状部材77の長孔73に相当する。また炎孔部材51の空気孔列bの外側(下部側)には補炎部材78が存在するが、当該部位は、補炎部材78の丸孔67が位置する。
そのため島状の部位75は、網状部材77の長孔73、炎孔部材51の空気孔列b及び補炎部材78の丸孔67を経て外部と連通する。
【0085】
一方、島状を構成していない組み合わせの垂直壁50によって挟まれた溝48bの真下には、炎孔部材51の炎孔列aが位置する。
炎孔部材51の炎孔列aと島状を構成していない組み合わせの垂直壁50によって挟まれた溝48bの間には網状部材77が介在される。また炎孔部材51の炎孔列aの外側(下部側)には補炎部材78が存在するが、当該部位は、補炎部材78の長孔65が位置する。
そのため島状を構成していない組み合わせの部位は、網状部材77の溝155部の網目、炎孔部材51の炎孔列a及び補炎部材78の長孔65を経て外部と連通する。
ここで、網状部材77の炎孔ベース36の垂直壁50の端面と当接する部位にはシール剤が塗布されているので、垂直壁50部位におけるガスの横方向の流通は無い。
【0086】
炎孔ベース36の裏面には、図13の様に分流部材35が装着されている。なお、分流部材35の面積は、前記した様に炎孔ベース36よりも大きく、分流部材35は、図25の様に炎孔ベースからはみ出す。
炎孔ベース36の上面側(流路形成側)では、前記したように垂直壁50は、図13,図26の様に二組づつがループを構成していて、島状の部位75を形成し、さらに垂直壁50の突端部分に分流部材35が当接しているので、島状の部位75によって形成される溝48aは他の部位から隔離されている。即ち、島状の部位75の溝48aと他の部位との間に通気性はない。従って、前記した様に島状の部位75以外の部位は気化した燃料ガスと空気との混合を促進しつつ炎孔部材51に混合ガスを送る流路として機能する。また当該部位は、混合部6としても機能する。島状の部位75によって囲まれた溝48aは、二次空気流路として機能する。
【0087】
分流部材35の中央の大きな開口37は、炎孔ベース36の中央に設けられた一次空気導入筒88と連通する。また分流部材35のその他の開口40,89,90の内、列となって設けられている開口40は、炎孔ベース36の島状を構成する組み合わせの垂直壁50同士の間の部位に位置する。即ち分流部材35の小さな開口40は、二次空気流路たる島状の部位75によって囲まれた溝48aに開口する。炎孔部材51に設けられた島状を構成していない組み合わせの垂直壁同士の間には、分流部材35の開口は無い。即ち混合部6には分流部材35の開口は無い。
【0088】
また分流部材35の面積は、前記した様に炎孔ベース36よりも大きく、分流部材35を炎孔ベース36に装着した状態の時、図25の様に分流部材35は、炎孔ベースからはみ出す。そしてこの状態では、分流部材35の外側のエリアに設けられた開口89,90は、いずれも炎孔ベース36の外側に露出する。
【0089】
炎孔ベース36と分流部材35は、上記した状態に組み合わされ、ハウジング122内に配置されている。
ハウジング122は、外形が略四角形の箱であるが、内部が二重構造となっている。即ちハウジング122の内部には、全面に遮熱壁85が設けられいる。遮熱壁85は、4面が組合わさっていて四角形の筒状を呈し、支持部材86によってハウジング122の外壁部100の内面に取りつけられている。遮熱壁85の下端は、内側に向かって90・に折り返され、内側向きのフランジ102が形成されている。
ハウジング122の外壁部100と、遮熱壁85との間には空気流路101となる空隙が形成されている。
【0090】
炎孔ベース36と分流部材35は、上記したハウジング122に配置されるが、炎孔ベース36の外周を囲む外側燃焼壁41は、ハウジング122内部の遮熱壁85よりも更に小さく、炎孔ベース36の外側燃焼壁41と遮熱壁85の間にも空気流路103となる空隙が形成される。
また分流部材35の、炎孔ベース36からはみ出した部位の孔89,90の内、外側の孔90は、ハウジング122と遮熱壁85の間に形成される空気流路101と連通し、内側の孔89は、炎孔ベース36の外側燃焼壁41と遮熱壁85の間に形成される空気流路103と連通する。
【0091】
次に気化部8について説明する。気化部8は、気化室60と、ロータリーカップ(回転部材)63によって構成されている。
また気化室60は、図12,図13,図16,図34の様に底部91と周部92を持つ円筒体であり、底部91は閉塞し、上部は開口している。即ち気化室60は窪んだ形状をしており、底部91及び周部92は閉塞していて気密・水密性を持ち、上部は開放されている。
気化室60は、前記した様に底部91及び周部92を持ち、あたかもコップの様な形状をしていて、図12,図13,図16,図34の様に、炎孔ベース36の中央の開口82部分に取り付けられている。気化室60の位置は、炎孔ベース36の内壁43に囲まれた部位であって炎孔ベース36の中央にあり、炎孔(小孔72)に囲まれていて燃焼部7に近接して位置する。また気化室60の大部分は、燃焼部7側に露出する。より具体的には、気化室60の底部91の全部と、周部92の大部分が燃焼部7側に露出する。従って後記する様に燃焼時には炎孔(小孔72)から発生する火炎により、気化室60が外側から加熱される。
【0092】
また前記した気化室60の底部91内には、電気ヒータ64が内蔵されている。即ち気化室60の底部91は加熱機能を持つ。電気ヒータ64に通電することにより、底部91が発熱し、さらにこの熱が気化室60の壁を伝導し、気化室60の内壁が全体的に加熱される。
また気化室60には、温度センサ61が埋め込まれている。
【0093】
ロータリーカップ63は、底部91と周部92を持つ有底の円筒形をしている。但し、ロータリーカップ63の底部には、9個の孔が設けられている。この内、中央に設けられた孔95は、半円形状をしており、図34の様に回転軸18が取り付けられるものである。
一方、周囲の9個の孔87は、円形であり、灯油等の液体燃料を落下させるための孔である。
またロータリーカップ63の底部と周部との境の角の部分にも、12個の開口97が設けられている。
【0094】
さらにロータリーカップ63の周部には、12個のスリット98が設けられている。スリット98は、いずれもロータリーカップ63の上端側に開口している。またスリット98の形状は、略三角形である。またスリットの一辺には、図12,図13,図30の様に内側に折り返された羽根部99が設けられている。
即ちスリット98は、ロータリーカップ63の側面に斜め方向にスリットを設け、そのスリットの一方の縁を内側に折り返して羽根部99を形成させたものである。
そしてロータリーカップ63の下部中央の開口87には、一次空気導入筒88が挿入されている。一次空気導入筒88の最先端(下側)の開口部の位置は、気化室60の内部に位置する。
【0095】
また一次空気導入筒88の内部には、流路形成部材70から垂下された燃料パイプ79が挿入され、燃料パイプ79は図12,図13の様にロータリーカップ63内に至っている。
より具体的に説明すると、燃料パイプ79はロータリーカップ63の上部の開口から真っ直ぐに垂下され、上からロータリーカップ63内に至る。そして燃料パイプ79からロータリーカップ63の底部に灯油等の液体燃料が滴下される。
【0096】
次に、本実施例の燃焼装置1の各部の組み立て構造について説明する。
本実施例の燃焼装置1は、最初に説明した様に、送風機2、駆動機械部3、空気量調節部5が中心軸を一致させて順次積み重ねられたものであり、駆動機械部3の天板15に送風機2が直接的にネジ止めされている。即ち本実施例では、送風機2の回転中心と空気量調節部5の軸挿通孔25(移動側板状部材23の回転中心)とロータリーカップ63の回転中心が同一軸線上に直線的に並べられている。
【0097】
そして駆動機械部3の上部に空気量調節部5がネジ止めされている。
また空気量調節部5の下部には、混合部6及び燃焼部7が設けられているが、混合部6と空気量調節部5の境界たる分流部材35に、円錐形の流路形成部材70が設けられている。
即ち前記した様に空気量調節部5の中心部に、パッキン80を介して流路形成部材70の大きいほうの開口54が取り付けられている。一方、分流部材35の中心部の開口37にはパッキン81を介して空気量調節部5の小さいほうの開口83が接続されている。なおこれらのパッキン80,81は、断熱性に優れ、且つ灯油等の液体燃料がしみ込まないものが望ましい。具体的に、パッキンの素材には、シリコンが採用されている。
【0098】
流路形成部材70の中心軸は、空気量調節部5の移動側板状部材23のそれと一致し、且つ前記した様に流路形成部材70の開口54の直径は、移動側板状部材23の中心側のエリアの直径に略等しいので、流路形成部材70は移動側板状部材23の中心側のエリアを覆う様に位置することとなる。従って移動側板状部材23の中心側のエリアから排出された空気は、流路形成部材70によって捕捉される。
また流路形成部材70の開口端にはフランジ55が設けられており、さらにフランジ55と空気量調節部5の間にはパッキン80が介在されているので、空気の漏れはなく、移動側板状部材23の中心側のエリアから排出された空気は、漏れなく流路形成部材70の中に入る。
そして流路形成部材70の他方の開口83は、パッキン81を介して分流部材35に取り付けられ、前記した一次空気導入筒88に直接的に連通し、一次空気導入筒88は前述の様に直接的に気化部8の気化室60内に開口している。従って移動側板状部材23の中心側のエリアの開口群から排出された空気は、前記した様に主として流路形成部材70によって捕捉され、一次空気導入筒88を経由して直接的に気化部8の気化室60内に一次空気として導入される。
【0099】
また駆動機械部3のモータ16の回転軸18は、空気量調節部5の中央の軸挿通孔25,25'を連通して流路形成部材70(一次空気導入筒88)を通過し、気化室60のロータリーカップ63に接続されている。
従ってロータリーカップ63は、モータ16の動力によって回転する。またモータ16の後端側の回転軸17は、ファン11にも接続されているから、本実施例では、単一のモータ16によって気化部8のロータリーカップ63とファン11の双方が駆動される。
なお軸挿通孔25は、移動側板状部材23の回転中心でもあるから、移動側板状部材23が回転する際に移動することはない。そのため軸挿通孔25,25'にモータ16の回転軸18があっても、移動側板状部材23の回転の妨げとならない。
【0100】
また電気ヒータ64の配線及び気化室60の温度センサ61の配管は、空気量調節部5と分流部材35の間の空隙105を通り、側面に設けられた開口106(図11)から外部に引き出される。
より詳細に説明すると、箱体13の側面であって空気量調節部5と分流部材35の中間部分には、図11(b)の様な開口106が設けられている。開口106の形状は、大きな長方形部分110と、小さな円形部分111が合体したものである。そして大きな長方形部分110には、図示しないネジによって長方形の蓋112が装着される。一方、円形部分111は、ゴム性の装着具113が嵌め込まれる。装着具113は、円盤状であり、外周部に円形孔の端部が嵌合する溝が114が設けられている他、中央部に貫通孔115が設けられている。
【0101】
当該部分を組み立てる際は、予め装着具113の孔に電気ヒータ64等の配線116を通し、面積の大きい長方形部分110からこれらの配線116を引き出す。そして装着具113を小さな円形部分111に嵌め込み、最終的に長方形の蓋112を閉じる。
【0102】
空気量調節部5と分流部材35の間の空隙105は、送風が通過する領域であるから、比較的温度が低い。そのため電気ヒータ64等の配管の被覆は、耐熱性の低いもので足る。
【0103】
点火装置96は、図12,図40(a)に示すように、ハウジング122を貫通させ、さらに遮熱壁85及び炎孔ベース36の外側燃焼壁41に開口125,126を設け、三者を貫通して炎孔部に近接させている。
また他の方策として、図40(b)の様にハウジング122を貫通させた後、大きく「コ」の字状に曲げ、遮熱壁85と炎孔ベース36の外側燃焼壁41を跨ぎ、先端部を炎孔部に近接させて固定してもよい。
【0104】
本実施例の燃焼装置1は、炎孔を下に向けて使用される。以下、燃焼装置1の取付方向について説明する。
本実施例の燃焼装置1は、図10の様な給湯器21に使用される。そして燃焼装置1は、熱交換器19が内蔵された缶体4の上部に設置され、下部の熱交換器19に向かって火炎を発生させる。
【0105】
次に本実施例の燃焼装置1の機能について説明する。
本実施例の燃焼装置1では、モータ16を起動してファン11とロータリーカップ63を回転させる。
ファン11の回転により、図12の矢印の様に送風機2のハウジング10の中央部に設けられた開口12から空気が吸い込まれ、空気は駆動機械部3に入る。そして空気は、駆動機械部3から上部の空気量調節部5を経て混合部6側に流れるが、本実施例の燃焼装置1では、空気量調節部5(空気量調節装置5a)によって流量調整される。
【0106】
即ち空気量調節装置5aは、前記した様に固定側板状部材22の上に移動側板状部材23が回転可能に重ねられており、両者には略同一形状の開口26,26'27,27'が設けられている。そして移動側板状部材23は、外部に取りつけられたステップモータ121を回転させることにより、固定側板状部材22に対して相対的に回転することができる。
そのため図21の様に、両者の開口26,26'27,27'が重なる様な回転位置にある時は、両者の開口26,26'27,27'が連通し、空気量調節部5全体として大きな開口面積を持つこととなる。従って移動側板状部材23が固定側板状部材22に対して図20の様な位置関係にある時は、混合部6及び気化部8に大量の空気が送風される。
なお図20の様な空気量調節部5が全開状態の時、空気量調節部5の中心側のエリアの開口面積は、他の部位の開口面積の約2倍となる。
【0107】
逆に、図21に示した位置からステップモータ121を回転して移動側板状部材23を回転させると、一方の開口と他方の閉塞部が重なり、空気量調節部5全体としての開口面積が小さくなる。従って移動側板状部材23が固定側板状部材22に対して図21の様な位置関係にある時は、混合部6及び気化部8に送風される風量は減少する。但し、固定側板状部材22の両脇側に設けられた開口31は、固定的なものであって閉塞されることはないので、相対的に中心側の開口比率が減少し、気化部8に送風される空気の比率が減少する。
また、このような開閉動作の際に、燃焼量の増加に伴い、空気量を増加させるように開口すると共に、二次空気に対して一次空気の比率が大きくなるように全体の開口が設定されている。
図21の様に、閉状態におけるエリアの開口面積は、他の部位の開口面積の約4分の1である。
【0108】
則ち、本実施形態の燃焼装置1では、高出力燃焼を行なっている場合に、予混合部8に供給される一次空気の比率が上昇するので、予混合されて炎孔72から噴射される燃料の濃度が下がる。その結果、混合気が希薄となり火炎の温度が低下してNOXの排出量が減少する。なお高出力燃焼を行なっている場合は、火勢が強いので、炎孔72から噴射される燃料の濃度が低くても、火飛び等の悪影響は少ない。高出力燃焼を行なっている際の一次空気の比率は、二次空気よりも高いことが望ましく、理想的には、本実施形態の燃焼装置1で採用する空気量調節部5を全開にした時のように、
(一次空気:二次空気=2:1)
となることが推奨される。
一方、低出力燃焼を行なう場合は、火勢が弱いので燃料濃度を上昇させざるを得ないが、本実施形態の燃焼装置1では、燃焼部7に供給される二次空気の比率が増大するので、火炎の周囲に多量に二次空気が供給され、二次空気によって火炎が冷却される。そのため、結果的にNOXの排出量が抑制される。
低出力燃焼を行なっている際の一次空気の比率は、二次空気よりも低いことが望ましく、理想的には、本実施形態の燃焼装置1で採用する空気量調節部5を閉じた時のように、
(一次空気:二次空気=1:4)
となることが推奨される。
【0109】
本発明者らの実験によると、高出力燃焼時に供給空気の比率を
(一次空気:二次空気=2:1)
とし、低出力燃焼時に供給空気の比率を
(一次空気:二次空気=1:4)
とすることにより、全出力領域におけるNOX排出量の平均を100ppm未満とすることができた。
特に、本実施例の燃焼装置1では、送風機2の慣性に伴う供給空気量のずれを空気量調節部5の移動側板状部材23を補償制御することによって効果的に除去している。これにより、必要な空気量をきめ細かく正確に供給することができ、NOXの排出を低減した安定した燃焼を可能にしている。
また、着火の際にも、燃焼中に比べて供給空気量を低減させることにより、火移りを良好にして着火性を向上させている。
【0110】
本実施例の燃焼装置1では、送風機2の送風量が多い場合は、空気量調節部5を開いて中心側のエリアから高い比率で空気を排出する。その結果、気化部8により多くの割合で空気が導入される。一方、送風機2の送風量が少ない場合は、図21の様に空気量調節部5を閉じ、中心側以外の部位から排出される空気の比率を高める。そして一次空気の比率が減少し、二次空気の比率が上昇する。
【0111】
空気量調節部5を通過した空気は、二つの方向に別れて下流側に流れる。即ち中心部のエリアを通過した空気は、直接的に円錐状の流路形成部材70に捕捉され、これと連通する一次空気導入筒88から気化室60の中に送風される。
ここで本実施例の燃焼装置1では、流路形成部材70は、空気量調節部5側の開口54が気化部側の開口83に比べて大きいから、大量の空気が流路形成部材70に取り込まれ、気化部8側に送られることとなる。機能的に説明すると、空気量調節部5の中心側のエリアの開口群によって送風機2から発生する全送風の一部が一次空気として分離され、面積の大きい流路形成部材70の上部の開口54に入る。そして流路形成部材70を流れる内に風速が増加し、分流部材35の開口37から一次空気導入筒88に入り、気化室60に供給される。なお本実施例では、流路形成部材70は円錐形であり、内部がテーパー状であるから、空気が通過する際の渦損失等が少なく、空気の流れはスムーズである。
さらに本実施例の燃焼装置1では、燃料パイプ79が流路形成部材70の内側に母線に沿って固定されているので、燃料パイプ79が送風の妨げとならない。そのため気化室60に入る空気のパターンは均等的である。また本実施例の燃焼装置1では、燃料パイプ79がしっかりと固定されているので、ぐらつかず、気化室60に入る空気のパターンが変化することもない。
【0112】
また送風の他の一部は、分流部材35に列状に設けられた多数の小口径の開口40の多くから、炎孔ベース36の島状のループを構成する組み合わせの垂直壁50同士の間の溝48aに流れる。即ち分流部材35に設けられた開口40及び溝48aを経て、燃焼部7に二次空気が供給される。より具体的には、分流部材35の列状の開口40、網状部材77の長孔73、炎孔部材51の空気孔列b及び補炎部材78の丸孔67を経て燃焼部7に二次空気が供給される。
【0113】
さらに分流部材35の外側のエリアに設けられた開口89,90を通過した送風は、炎孔ベース36の外周部を流れる。
具体的には、内側の開口89を通過した送風は、炎孔ベース36の外側燃焼壁41と遮熱壁85の間に形成される空気流路103を流れ、遮熱壁85の下端に設けられたフランジ102と衝突して炎孔ベース36の内側に向きを変え、燃焼部7側に向かって流れる。また空気流路103を流れる空気の一部は、外側燃焼壁41に設けられた孔(開口)53からも炎孔ベース36の内側に流れ込む。
上記した炎孔ベース36の外側燃焼壁41と遮熱壁85の間に形成される空気流路103を流れる空気は、遮熱壁85を冷却する作用を持つ。またこの空気は、フランジ102と衝突して炎孔ベース36の内側に向きを変え、その多くが二次空気として消費される。外側燃焼壁41に設けられた孔(開口)53からも炎孔ベース36の内側に流れ込む空気も、その多くが二次空気として燃焼に寄与する。
【0114】
さらに分流部材35の外側の開口90を通過した送風は、ハウジング122の外壁部100と遮熱壁85の間に形成される空気流路101を流れる。
当該空気流路101を流れる空気は、主としてハウジング122の外壁部100や下部の熱交換器の外壁を冷やす機能を果たす。
【0115】
そして送風機2の送風により、上記した様に気化部8内に大量に一次空気が導入され、気化室60を通風雰囲気とする。また周部92に内蔵された電気ヒータ64に通電して発熱させ、気化室60の内壁全体を昇温させる。この状態において、燃料パイプ79から灯油をロータリーカップ63内に滴下する。
滴下された灯油は、ロータリーカップ63から遠心力を受け、ロータリーカップのスリット98及び角の部分の開口97から飛散する。そして飛散した灯油は、ロータリーカップ63の周囲に配された気化室60の内面に接触し、熱を受けて気化する。
また灯油の一部は、遠心力によってスリット98及び角の部分の開口97に至る前にロータリーカップの底の孔87から気化室60の底部91に落下し、気化室60の底部91に接触し、熱を受けて気化する。
そしてロータリーカップ63の内面に設けられた羽根部99によって気化室60内の空気が攪拌され、燃料ガスと空気との混合が促進される。
【0116】
こうして発生した混合ガスは、図16の矢印の様に、ロータリーカップ63の外壁と気化室60の周壁92によって形成される空隙94を流れて下流に向かう。即ち混合ガスは、気化室60の円筒状の周壁92に沿って一旦上方に流れる。ここで気化室60の開口部近傍には一次空気導入筒88が挿入されているので、混合ガスの流路は極めて狭い。そのため混合ガスの攪拌は、当該部位においてさらに進行する。
【0117】
こうして流路形成部材70から一次空気導入筒88を介して気化室60の内部に供給された空気は、飛散した燃料と混合され、高温状態となって気化室60の上部の開口部84から排出される。そして気化室60を出た混合ガスは、一旦炎孔ベース36の上部側の通路に流れ込む。
【0118】
そして混合ガスは、図16,図33の様に島状のループを構成していない組み合わせの垂直壁50同士の間の溝48bに流れ込む。
そして前記した様に燃料ガスは、下部に設けられた炎孔(小孔72)から放出される。本実施例では、炎孔部材55に網状部材77が積層されているので、燃料ガスは、炎孔部材55から放出される直前に網状部材77によって攪拌される。
なお、網状部材77の炎孔ベース36の垂直壁50の端面と当接する部位にシール剤が塗布されているので垂直壁50部位におけるガスの横方向の流通は無く、燃料ガスは横に逃げることなく全量が炎孔(小孔72)から放出される。
【0119】
一方、他の部位から下流側に流れた空気は、燃料と混合されることなく、直接燃焼部7側に流れ込み、二次空気として燃焼に寄与する。即ち二次空気は、分流部材35に設けられた多数の開口40から、炎孔ベース36のループを構成する組み合わせの垂直壁50同士の間の溝48aに流れ、炎孔(小孔72)の側面部に供給される。
【0120】
また前記した様に、分流部材35の外側のエリアに設けられた開口89から炎孔ベース36の外側燃焼壁41と遮熱壁85の間に形成される空気流路103を流れる空気や、分流部材35の開口90からハウジング122の外壁部100と遮熱壁85の間に形成される空気流路101を流れる空気についても二次空気として機能する。特に前者の分流部材35の開口89を経て外側燃焼壁41と遮熱壁85の間に形成される空気流路103を流れる空気は、その一部が外側燃焼壁41に設けられた孔(開口)53からも炎孔ベース36の内側に流れ込み、また残部は遮熱壁85の下端に設けられた折り返し部分(フランジ102)と衝突して燃焼部7側に流れるので、二次空気として消費される割合が高い。
【0121】
そして図40(a)の様に遮熱壁85と外側燃焼壁41を貫通して取り付けられた点火装置96によって燃料ガスに点火されると、炎孔(小孔72)から下向きの火炎が発生する。
【0122】
ここで本実施例の燃焼装置1では、気化部8が、燃焼部7の中央に直接的に露出しているので、燃焼が開始されると、気化室60が火炎によって加熱される。そのため気化室60内の温度が上昇し、燃料の気化がさらに促進される。
また炎孔ベース36に内壁43,59が設けられており、これらが燃焼部7から熱を受けて炎孔ベース36を保温し、燃料の再液化を防ぐ。
加えて本実施例では、流路形成部材70は、断熱性に優れたパッキン80を介して混合部の一部たる分流部材35に取り付けられているので、混合部や燃料ガス流路の熱が流路形成部材70に逃げない。そのため燃料の再液化はさらに発生しにくい。また万一、燃料が再液化しても、パッキン80には灯油等の液体燃料がしみ込まないものが選定されているので、焼損事故の心配は無い。
【0123】
加えて本実施例の燃焼装置1では、一次空気導入筒88についても、炎孔ベース36と一体的であるから、燃焼によって炎孔ベース36の温度が上昇すると、気化室60に導入される空気の温度も高まる。そのため本実施例の燃焼装置1では、燃料の気化状態が安定している。
【0124】
また本実施例の燃焼装置1では、燃焼出力の変化に応じて外付けされたステップモータ121が回動され、空気量調節部5の開口量を変化させる。即ち燃焼量が増加し、送風機2が発生する送風量が多いときは、ステップモータ121を回動して固定側板状部材22と移動側板状部材23の開口26,26',27,27'が連通する方向に移動側板状部材23を回す。その結果、燃焼に寄与する空気量が増大するだけでなく、気化部8に供給される一次空気の比率が上昇する。
その結果、炎孔72から放出される燃料ガスの濃度が低下する。
【0125】
逆に燃焼量が減少し、送風機2が発生する送風量が減少した場合は、移動側板状部材23の開口26,27を固定側板状部材22の閉塞部と合致させる方向に移動側板状部材23を回す。その結果、燃焼に寄与する空気量が減少するだけでなく、気化部8に供給される一次空気の比率が減少する。即ち、放出する燃料ガスの濃度が濃くなり、その周囲に供給される空気が相対的に多くなる。
このように、高出力燃焼を行なっている場合に、気化部8に供給される一次空気の比率を上げ、逆に低出力燃焼を行なっている場合に一次空気の比率を下げることによって、NOX(窒素酸化物)の排出量を減少させることが可能となる。
【0126】
尚、前記実施例では、空気量調節部5を送風機2と燃焼部7の間に配置する構成として述べたが、本発明はこのような構成に限られるものではない。
例えば、送風機2の上流側に空気量調節部5を配置し、送風機2への空気流路の開口面積を制御することにより、結果的に燃焼部7へ供給する空気量を調節するような構成を採ることも可能である。
【0127】
【発明の効果】
請求項1に記載の本発明の空気量調節装置によれば、燃焼量の変動時における供給空気量のずれを効果的に抑えることができ、安定した空気供給を行うことが可能となる。
また、簡単な構成によって空気流路の開口面積と送風機の回転数とを容易に制御することができ、安定した空気供給を行うことのできる空気量調節装置を提供できる。
また、データテーブルを参照して燃焼量に応じた制御信号を直ちに生成することが可能となり、きめ細かく供給空気量を調節することが可能となる。
また、燃焼量の変動時や定常燃焼時においても最適な空気供給を行うことが可能となる。
また、送風機の慣性に起因する供給空気量のずれを効果的に補償することができ、最適な空気供給を行うことが可能となる。
請求項2に記載の本発明によれば、火移りを良好にし、着火性を向上させる空気供給を行うことが可能となる。
請求項3に記載の本発明によれば、着火データテーブルを参照して着火に最適な空気量制御を直ちに行うことが可能となる。
請求項4に記載の本発明によれば、簡単な構成によって、安定した空気供給を行うことのできる空気量調節装置を提供できる。
また、燃焼量の変動時や定常燃焼時においても最適な空気供給を行うことが可能となる。
また、送風機の慣性に起因する供給空気量のずれを効果的に補償することができ、最適な空気供給を行うことが可能となる。
請求項5に記載の本発明によれば、1つの空気量調節装置によって一次空気および二次空気を同時に調節することができ、構成が簡略化されると共に安定した燃焼が得られる空気量調節装置を提供できる。
また、請求項6に記載の本発明の燃焼装置によれば、前記した空気量調節装置を用いることにより、燃焼量に拘わらず安定した燃焼が得られると共に、着火性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係る空気量調節装置の駆動系を示す分解斜視図である。
【図2】 図1の空気量調節装置の移動側板状部材および固定側板状部材を示す斜視図である。
【図3】 本発明の実施形態に係る空気量調節装置の斜視図である。
【図4】 (a)〜(c)は、図3に示す空気量調節装置の動作を示す説明図である。
【図5】 本発明の実施形態に係る空気量調節装置を用いた燃焼装置の断面図である。
【図6】 本発明の実施形態に係る空気量調節装置の制御動作を示すフローチャートである。
【図7】 (a)は、本発明の実施形態に係る空気量調節装置の制御動作において、燃焼量に対する送風機の回転数の制御状態を示すグラフ、(b)は、ファンモータ制御テーブルを示す模式図である。
【図8】 (a)は、本発明の実施形態に係る空気量調節装置の制御動作において、燃焼量に対する開口面積の制御状態を示すグラフ、(b)は、ステップモータ制御テーブルを示す模式図、(c)は、燃焼量に対して供給される空気量を示すグラフである。
【図9】 本発明の別の実施形態に係る空気量調節装置の駆動系を示す分解斜視図である。
【図10】 本発明の燃焼装置を内蔵する給湯器の断面図である。
【図11】 本発明の実施例の燃焼装置の正面図及び箱体の開口部分の斜視図である。
【図12】 本発明の実施例の燃焼装置の断面図である。
【図13】 本発明の実施例の燃焼装置の全体の分解斜視図である。
【図14】 図11の燃焼装置の流路形成部材周辺の分解斜視図である。
【図15】 流路形成部材に燃料供給管を取り付ける際の構成を示す斜視図である。
【図16】 図11の燃焼装置の燃焼部近傍を上から見た斜視図である。
【図17】 図11の燃焼装置で採用する空気量調節部の固定側板状部材の正面図である。
【図18】 図17の固定側板状部材の側面図である。
【図19】 図11の燃焼装置で採用する空気量調節部の移動側板状部材の正面図である。
【図20】 図11の燃焼装置で採用する空気量調節部の正面図であり、開口を開いた状態を示す。
【図21】 図11の燃焼装置で採用する空気量調節部の正面図であり、開口を閉じた状態を示す。
【図22】 図11の燃焼装置で採用する分流部材の正面図である。
【図23】 図11の燃焼装置で採用する炎孔ベースの上面側(気体流路側)の図面である。
【図24】 図23の炎孔ベースの下面側(炎孔側)の図面である。
【図25】 図11の燃焼装置で採用する炎孔ベースと、炎孔部材、網状部材及び補炎部材を組み合わせた状態の正面図である。
【図26】 炎孔部材の正面図である。
【図27】 網状部材の正面図である。
【図28】 補炎部材の正面図である。
【図29】 図28のA−A断面図である。
【図30】 図11の燃焼装置で採用するロータリーカップの正面図及び平面図である。
【図31】 図24のA−A断面図である。
【図32】 図24のB−B断面図である。
【図33】 図11の燃焼装置で採用する炎孔ベースの気体流路側の構成を説明する説明図である。
【図34】 図11の燃焼装置の炎孔近傍を下側から見た斜視図である。
【図35】 燃料ガスの流れを説明する説明図である。
【図36】 二次空気の流れを説明する説明図である。
【図37】 炎孔部材と網状部材及び補炎部材の重ね合わせ構造を示す斜視図である。
【図38】 図11の燃焼装置を下側から見た概略斜視図である。
【図39】 本発明の他の実施例の燃焼装置を下側から見た概略斜視図である。
【図40】(a)は、図11の燃焼装置の点火装置取り付け部分の拡大図であり、(b)はその変形例である。
【符号の説明】
1 燃焼装置
2 送風機
5a,5a' 空気量調節装置
7 燃焼部
9 制御回路
22 板状部材(固定側板状部材)
23 板状部材(移動側板状部材)
26,27,26',27' 開口
121 アクチュエータ(ステップモータ)
Claims (6)
- 燃焼装置の火炎を発生させる燃焼部の上流側に配置され、送風機の回転数、および、空気流路の開口面積を制御して燃焼部へ供給する空気量を調節する空気量調節装置であって、
燃焼部の要求する燃焼量が変動したときには、当該燃焼量の変動幅が、予め定められた所定値以上の場合と所定値未満の場合とで区別して、前記送風機の回転数または前記空気流路の開口面積の少なくともいずれかを、通常燃焼時とは異なるように所定時間だけ過渡制御し、
所定形状の開口を有し回転可能に重ね合わせられた板状部材と、一方の板状部材に対して他方の板状部材を回転駆動して開口同士で形成される開口面積を変化させるアクチュエータと、前記アクチュエータまたは前記送風機の少なくともいずれかへ、燃焼量に応じた制御信号を生成して送出する制御回路とを備えて構成され、
前記制御回路は、燃焼量と前記アクチュエータへ送出する制御信号とを対応させたアクチュエータ制御テーブル、または、燃焼量と前記送風機へ送出する制御信号とを対応させた送風機制御テーブルの少なくともいずれかのデータテーブルを備え、
前記データテーブルは、燃焼量の変動幅が、予め定められた所定値以上の場合に一時的に参照される過渡データテーブルと、燃焼量の変動幅が所定値未満の場合、および、通常燃焼時に参照される通常データテーブルとに区別して設けられ、
前記過渡データテーブルは、燃焼量が増加する場合と減少する場合とに区別して設けられることを特徴とする空気量調節装置。 - 前記燃焼部へ着火させるときには、前記送風機の回転数または前記空気流路の開口面積の少なくともいずれかを、通常燃焼時とは異なる着火モードで所定時間だけ過渡制御することを特徴とする請求項1に記載の空気量調節装置。
- 前記制御回路は、燃焼部へ着火させる場合に一時的に参照される着火データテーブルを備えたことを特徴とする請求項1に記載の空気量調節装置。
- 燃焼装置の火炎を発生させる燃焼部の上流側に配置され、送風機の回転数、および、空気流路の開口面積を制御して燃焼部へ供給する空気量を調節する空気量調節装置であって、
所定形状の開口を有し回転可能に重ね合わせられた板状部材と、一方の板状部材に対して他方の板状部材を回転駆動して開口同士で形成される開口面積を変化させるアクチュエータと、前記アクチュエータまたは前記送風機の少なくともいずれかへ、燃焼量に応じた制御信号を生成して送出する制御回路とを備えており、前記制御回路は、燃焼量と前記アクチュエータへ送出する制御信号とを対応させたアクチュエータ制御テーブル、または、燃焼量と前記送風機へ送出する制御信号とを対応させた送風機制御テーブルの少なくともいずれかのデータテーブルを備え、
前記データテーブルは、燃焼量の変動幅が、予め定められた所定値以上の場合に一時的に参照される過渡データテーブルと、燃焼量の変動幅が所定値未満の場合、および、通常燃焼時に参照される通常データテーブルとに区別して設けられ、
前記過渡データテーブルは、燃焼量が増加する場合と減少する場合とに区別して設けられることを特徴とする空気量調節装置。 - 燃料を気化させて生成される燃料ガスを燃焼部へ供給して燃焼させる燃焼装置に用いられ、気化された燃料へ混合される一次空気と燃焼部へ供給される二次空気の双方を調節することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の空気量調節装置。
- 火炎を発生させる燃焼部と、当該燃焼部へ空気を送風する送風機と、前記請求項1乃至5のいずれか1項に記載の空気量調節装置とを備えて構成されることを特徴とする燃焼装置。
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