続いて、本発明の一実施形態である燃焼装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施形態の燃焼装置は、空気量調整手段に特徴を有するものであるが、先に燃焼装置1の全体構成について説明してから空気量調整手段に関する詳細について説明する。なお、以下の説明では、上下左右等の位置関係について特に断りのない限り図示した姿勢を基準とする。
図1において、1は本実施形態の燃焼装置である。燃焼装置1は、灯油等の液体燃料を気化して燃焼する、いわゆる「気化式」の燃焼装置である。また、燃焼装置1は、炎孔から下方に向けて燃料を噴出させて燃焼させる、いわゆる「下方燃焼型」の燃焼装置である。
図1に示すように、燃焼装置1は、上から送風機2、駆動機械部3、空気量調整手段4、混合部5及び燃焼部6が順次積み重ねられて構成される。また、混合部5及び燃焼部6の近傍には気化部(気化器)7が設けられ、空気量調整手段4と気化器7の間には、流路形成部材13が配されて空気流路が形成されている。
順次説明すると、図1に示すように、送風機2は、鋼板を曲げ加工して作られた凹状のハウジング20の内部にファン(回転翼)21が回転可能に配されたものである。ハウジング20の中央部には、吸気開口22が設けられている。
駆動機械部3は、箱体10を有し、その天板12の中央にモータ30が取り付けられている。モータ30は、両端部から回転軸30a,30bが突出しており、回転軸30a,30bは、燃焼装置1の略全長を上下へ向けて貫通している。そして、モータ30の上方側の回転軸30aは、ファン21に接続され、下方側の回転軸30bは、気化器7の回転部材8に接続されている。すなわち、モータ30の回転駆動により、ファン21が回転駆動されて下方へ向けて送風(空気供給)を行うと共に、回転部材8が同時に回転駆動される。
箱体10の内側は、燃焼部6に対して空気を供給する空気供給流路9として機能する部分であり、天板12と空気量調整手段4とによって囲まれた空気室15が形成されている。すなわち、空気供給流路9の中途に、空気量調整手段4が設けられている。空気室15は、天板12に設けられた空気孔(図示せず)を介して空気が導入される部分である。
空気量調整手段4と後述する炎孔ベース60との間には、空気分流部16が形成されている。空気分流部16は、流路形成部材13により、一次空気流入部17と、二次空気流入部18とに仕切られている。
混合部5、燃焼部6及び気化部7は、炎孔ベース60を中心として構成され、ハウジング11内に収納されている。また、炎孔ベース60の中央部には、気化部7が設けられている。
図2に示すように、炎孔ベース60は、アルミダイカストによって作られ、複雑な枠組と開口及び溝が設けられたものである。炎孔ベース60の上面側(図2において上方側)は、主として燃料ガス及び二次空気の流路構成面として機能し、下面側(図2において下方側)は炎孔取付け面として機能する。
すなわち、炎孔ベース60には、多数のループ状の垂直壁62で仕切られた空気溝63が設けられており、隣接する垂直壁62同士の間には、ガス溝64が設けられている。そして、後述する気化部7で生成された燃料ガスは、上面壁61と垂直壁62との間を介してガス溝64に連通した炎孔から噴出され、火炎を発生させる。また、空気溝63は、二次空気流入部18に連通している。そのため、空気量調整手段4を介して空気室15から二次空気流入部18に流入した空気(二次空気)は、空気溝63を介してガス溝64に連通した炎孔の両側に噴出され、炎孔に形成された火炎の側方から二次空気を供給する。
気化部7は、気化室70と、回転部材8によって構成されている。気化室70は、図2に示すように、底面部71と周部72を持つ円筒体である。気化室70は、底面部71が閉塞し、上部が開口している。すなわち、気化室70は、底面部71及び周部72によって構成された有底で略円筒状の形状となっており、気密性および液密性を有する。
気化室70には、電気ヒーター73と温度センサ(図示せず)とが取り付けられている。電気ヒーター73は、気化室70の底面部71側の部位に内蔵されており、通電することによって気化室70を全体的に加熱できる。そのため、気化室70を電気ヒーター73によって十分加熱した状態で、液体燃料を気化室70内に導入し、気化室70の内周壁に向けて飛散させると、液体燃料が気化する。
回転部材8は、前記した回転軸30bに取り付けられて一体的に回転する。回転部材8が回転すると、燃料パイプ14を介して気化室70内に供給(滴下)された液体燃料が回転による遠心力によって飛散する。飛散した燃料は、気化室70の内壁面に触れる等して加熱されて気化し、燃料ガスとなる。気化室70内において発生した燃料ガスは、送風機2の動作に伴って一次空気流入部17を介して導入された空気(一次空気)と共に攪拌され、濃度が略均一な混合ガスとなる。
すなわち、回転部材8は、気化室70の内部で液体燃料を効率良く気化させるために、燃料パイプ14から滴下された液体燃料(本実施形態では石油を使用)を微粒子状にして飛散させると共に、気化した燃料ガスと一次空気とを撹拌させて均一に混合する働きを行うものである。本実施形態において採用されている回転部材8は、図2に示すように、有底の円筒形の周部を切り起こして複数の羽根8aを設けたものであり、滴下された液体燃料を効率良く飛散させると共に、気化された燃料ガスと一次空気とを均一に混合させることができる。
箱体10の外壁には、図1に示すように、送風機2のモータ30や、後述する空気量調整手段材4の制御を含む燃焼制御を統括する制御回路(制御手段P)が設けられている。本実施形態では、制御手段Pが、CPUを用いてデジタル処理を行うデジタル回路で構成されている。すなわち、制御手段Pは、CPU、RAM、ROM、I/Oポート、および、必要に応じて、アナログのセンサ信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路、あるいは、生成されたデジタル制御信号をアナログ制御信号に変換するD/A変換回路などを備えている。制御手段Pは、センサの検知信号を参照しつつ燃焼量に応じた制御信号を生成して各部の動作を統括制御する。
続いて、本実施形態の燃焼装置1に特有の構成である空気量調整手段4の構造について説明する。空気量調整手段4は、図3に示すように動力伝達手段40、回転側板状部材41および固定側板状部材42を備えた構成とされている。
動力伝達手段40は、ステップモータ(アクチュエータ)40aと伝達機構40bとによって構成されている。ステップモータ40aは、従来公知のものと同様に、燃焼装置1の動作を制御する制御手段Pから発信されたパルス信号を受け、このパルス信号数に比例した角度だけ回転軸40tが回転するものである。ステップモータ40aは、回転軸40tの回転角度(回転量)を所定の誤差範囲内で調整することができるものである。本実施形態において採用されているステップモータ40aは、回転軸40tの回転角度(回転量)をプラス・マイナス5度の範囲内で調整することができる。
伝達機構40bは、ステップモータ40aの回転軸40tに接続され、ステップモータ40aの動力を回転側板状部材41に伝達するものである。伝達機構40bは、図4に示すように駆動片43および支持部材44を組み合わせて構成されるものである。
駆動片43は、図4に示すように、断面が略「Z」字状の金具43aと、断面が略「コ」字状の金具43bとをネジNで接続固定して形成される。
金具43aは、金属板の4カ所を折曲して3つの垂直部、および、2つの水平部を備えた形状である。背面側の垂直部には、ステップモータ40aの回転軸40tを嵌合させるスリット状の嵌合孔43cが設けられている。また、中央および前面側の垂直部には枢支軸43hを貫通させる枢支孔43d,43dが設けられている。また、枢支孔43dが設けられた前面側の垂直部の下方は僅かに前方へ張り出すように折曲され、張り出した部分には金具43bを固定するネジ孔43eが開けられている。
一方、金具43bは、金属板の2カ所を折曲して2つの垂直部と1つの水平部を備えた形状である。そして、対向する垂直部の下方中央部には、ネジNを貫通させる開口43f,43fが設けられ、背面側の垂直部の上部中央には、枢支軸43hを貫通させる枢支孔43gが開けられている。
支持部材44は、駆動片43を揺動可能に枢支するもので、長尺帯状の固定部44aと、固定部44aの長手左右側縁中央に垂直に切り起こされた枢支部44b,44bを備えている。枢支部44b,44bの上縁中央部は略半円状に上方へ向けて突出し、この半円状の中心に軸孔44c,44cが設けられている。この支持部材44は、固定部44aに設けられた複数の固定孔44dにネジを通して後述する固定側板状部材42に取り付け固定される。
前記した、駆動片43は枢支軸43hを用いて支持部材44に揺動可能に取り付けられる。すなわち、金具43aに設けられた2カ所の枢支孔43d,43dを支持部材44の枢支部44b,44bの外側を跨ぐようにして被せ、枢支軸43hを駆動片43の枢支孔43d,43dおよび枢支部44bの軸孔44c,44cを貫通させるように挿入する。次いで、金具43bの枢支孔43gを枢支軸43hに通し、ネジNを開口43f,43fを通して金具43aのネジ孔43eにねじ込んで固定する。これにより、駆動片43は枢支軸43hの回りに所定角度だけ揺動可能に支持部材44に取り付けられる。
空気量調整手段材4の回転側板状部材41は、図5や図6に示すように円板形であり、ステップモータ40aの回転軸40tが正回転すると矢印F方向(以下、必要に応じて正方向Fと称す)に回転し、回転軸40tが逆回転すると矢印B方向(以下、必要に応じて逆方向Bと称す)に回転する。回転側板状部材41は、ステップモータ40aから伝達される動力を用いて回転するものである。ここで、上記したように、ステップモータ40aは、回転軸40tの回転角度(回転量)を所定の誤差範囲(プラス・マイナス5度)内で調整できる。そのため、回転側板状部材41の回転角度は、所定の回転誤差範囲E内で調整できる。本実施形態では、回転側板状部材41の回転量をプラス・マイナス1度の範囲内で調整することができる(−1度≦E≦+1度)。
回転側板状部材41は、図5に示すように略円板状に形成された円板部41xと、円板部41xの外周部分に連続し、円板部41xに対して垂直に立ち上がった係合部41dを有する。係合部41dは、上記した動力伝達手段40に接続される部分である。係合部41dは、中央部分が切り欠かれ、これにより溝状部41eが形成されている。また、係合部41dの左端部には、後述するバネSの一端を固定する係止孔41fが設けられている。
円板部41xの中心には、回転側板状部材41を固定側板状部材42に対して回転可能に取り付けるための軸挿通孔41aが設けられている。また、軸挿通孔41aの外周には、複数(本実施形態では12個)の回転側一次開口41bが軸挿通孔41aを中心として等間隔で放射状に設けられている。
回転側一次開口41bは、図6(b)に示すように軸挿通孔41aを中心とする仮想円K1を想定した場合に、この仮想円K1によって開口エリアα1と開口エリアα2とに大別される。開口エリアα1は、回転側一次開口41bのうち、軸挿通孔41a側に位置する内周側の開口領域であり、略扇形の形状とされている。また、開口エリアα2は、仮想円K1よりも外側に位置する略扇面形の領域である。開口エリアα2は、開口エリアα1に対して逆方向Bにずれており、開口エリアα1と連通している。開口エリアα2は、軸挿通孔41aを中心として角σ1だけ逆方向Bにずれている。すなわち、開口エリアα1,α2の正方向Fの縁端部に相当する位置にそれぞれ仮想線K3,K4を想定した場合、仮想線K3,K4のなす角がσ1となる。本実施形態では、開口エリアα1,α2のずれに相当する仮想線K3,K4のなす角σ1が約4度とされている。
開口エリアα1の逆方向Bの縁端部に相当する位置を通る仮想線K5を想定した場合、仮想線K3,K5のなす角度σ2、すなわち開口エリアα1を構成する部分の中心角は、約10度とされている。また、開口エリアα2の逆方向Bの縁端部に相当する位置を通る仮想線K6を想定した場合、仮想線K4,K6のなす角σ3は、約14度とされている。
回転側一次開口41bよりも円板部41の外周側には、複数(本実施形態では12個)の回転側二次開口41cが設けられている。図5や図6(a)に示すように、回転側二次開口41cのうち、上記した係合部41dに隣接する位置に設けられたもの、これに対して正方向Fおよび逆方向Bにそれぞれ90度ずつずれた位置に設けられたもの、並びに、係合部41dに相当する位置から180度ずれた位置に設けられたものは、円板部41xの内周側に設けられた円弧状の逃げ溝41gと一体化されている。逃げ溝41gは、後述する整流板45を固定するためのネジが回転側板状部材41と干渉するのを防止するために設けられた溝である。そのため、逃げ溝41gと一体化された4つの回転側二次開口41cは、他の回転側二次開口41cと多少形状は異なるものと同一の機能を発揮する。
さらに具体的には、回転側二次開口41cは、図6(b)に示すように、軸挿通孔41aを中心とする仮想円K7,K8を想定した場合に、この仮想円K7,K8と、上記した仮想線K4およびこれに対して正方向Fに軸挿通孔41aを中心として角σ4だけ回転した位置に想定される仮想線K9とで囲まれる領域に形成された略扇面形の開口である。仮想線K4,K9のなす角σ4は、周方向に隣接する2つの回転側一次開口41bのうち、逆方向B側の回転側一次開口41bにおいて想定される仮想線K4と、正方向F側の回転側一次開口41bについて想定される仮想線K6とがなす角σ5よりも小さい。すなわち、回転側二次開口41cは、隣接する2つの回転側一次開口41b,41bのエリアα2,α2同士の間に形成される領域の延長上に形成されている。
図6(a)に示すように、回転側板状部材41の円板部41xのうち、軸挿通孔41a、回転側一次開口41b、および回転側二次開口41c以外の部分は閉塞され、マスク部41hとされている。マスク部41hは、固定側板状部材42に設けられた後述する固定側一次開口群42bや固定側二次開口群42cの開口領域を必要に応じて閉塞する。
一方、固定側板状部材42は、図5や図7に示すように長方形状をしており、中央部には回転側板状部材41を回転可能に取り付けるための軸挿通孔42aが設けられている。また、軸挿通孔42aの周囲には、12群の固定側一次開口群42bが設けられており、さらに固定側一次開口群42bよりも外側には12群の固定側二次開口群42cが設けられている。
さらに具体的には、固定側一次開口群42bは、第一固定側一次開口42d、第二固定側一次開口42eおよび第三固定側一次開口42fの3つの開口によって構成されている。第一固定側一次開口42dは、回転側板状部材41に設けられた回転側一次開口41bに類似した形状の開口であり、軸挿通孔42aの周囲に周方向に等間隔となるように放射状に設けられている。
第一固定側一次開口42dは、図8(a)に示すように、軸挿通孔42aを中心とし、、上記した回転側板状部材41において想定した仮想円K1と径が同一の仮想円L1が存在すると仮定した場合に、この仮想円L1よりも軸挿通孔41a側に位置する略三角形の開口エリアβ1と、これよりも外周側に位置する略長方形の開口エリアβ2とに分かれる。
開口エリアβ1は、上記した回転側板状部材41に設けられた回転側一次開口41bの開口エリアα1と同一形状で、同一の開口面積となるように形成されている。すなわち、開口エリアα1について、正方向Fおよび逆方向Bの縁端部に相当する位置に仮想線L3,L5を想定した場合、この仮想線L3,L5のなす角θ2が、上記した開口エリアα1,α2について想定された仮想線K3,K5のなす角σ2と同一とされている。本実施形態では、仮想線L3,L5のなす角θ2が約10度とされている。
また、開口エリアβ2は、開口エリアβ1に対して仮想円L1の周方向にずれている。さらに具体的には、開口エリアβ2は、上記した仮想円L1よりも大径であって、上記した回転側板状部材41において想定した仮想円K2と径が同一の仮想円L2を想定した場合に、仮想円L1,L2の間に形成された領域内に形成されている。
空気量調整手段4において回転側板状部材41が逆回転する方向を逆方向Bと規定した場合、開口エリアβ2は、開口エリアβ1に対して軸挿通孔42aを中心として逆方向Bに角度θ1だけ逆方向Bにずれており、開口エリアβ1,β2は互いに連通している。開口エリアβ1,β2のずれ具合は、上記した開口エリアα1,α2のずれと略同一とされている。さらに具体的には、開口エリアβ1,β2について、正方向F側の縁端部に相当する位置を通る仮想線L3,L4を想定した場合、この仮想線L3,L4のなす角θ1が、上記した開口エリアα1,α2の仮想線K3,K4のなす角σ1と同一となる。本実施形態では、仮想線L3,L4のなす角θ1が約4度とされている。
開口エリアβ2の開口領域の大きさ(周方向の長さ)は、回転側板状部材41に形成された回転側一次開口41bの開口エリアα2よりも小さい。さらに具体的には、開口エリアβ2の逆方向Bの縁端部に相当する位置に仮想線L6を想定し、仮想線L4,L6のなす角をθ4とした場合、仮想線L4,L6のなす角θ3は、回転側一次開口41bのエリアβ2の縁端部に相当する位置に想定される仮想線K4,K6のなす角σ3よりも小さい。本実施形態では、仮想線L4,L6のなす角θ3が約10度とされている。
第二固定側一次開口42eは、第一固定側一次開口42dの開口エリアβ2に隣接し、開口エリアβ2に対して所定の間隔を開けて逆方向Bに隣接した位置に設けられた開口である。すなわち、第一固定側一次開口42dと第二固定側一次開口42eとの間には、閉塞エリアγ1が設けられている。換言すれば、第一固定側一次開口42dの開口エリアβ2と第二固定側一次開口42eとが閉塞エリアγ1によって分断されている。
第二固定側一次開口42eは、軸挿通孔42aを中心とする仮想円L1,L2と、軸挿通孔42aの中心を通る仮想線L7,L8によって囲まれた領域に形成され、仮想円L1,L2の径方向に向けて細長い開口である。仮想線L7,L8は、それぞれ第二固定側一次開口42eの正方向Fおよび逆方向Bの縁端部を通過する線分であり、これらがなす角θ4は約2度とされている。
ここで、上記した仮想線L4,L8のなす角θ6は、上記した回転側一次開口41bの開口エリアα2の正方向Fおよび逆方向Bの縁端部に相当する位置に想定される仮想線K4,K6のなす角σ3と同一とされている。すなわち、閉塞エリアγ1と第一固定側一次開口42dの開口エリアβ2との境界に想定される仮想線L6と、閉塞エリアγ1と第二固定側一次開口42dとの境界に想定される仮想線L7とのなす角をθ5とした場合、θ4+θ5+θ3=σ3の関係が成立する。すなわち第一固定側一次開口42dの開口エリアβ2、閉塞エリアγ1および第二固定側一次開口42eが設置された領域の大きさおよび形状は、上記した回転側一次開口41bの開口エリアα2と同一である。
さらに、回転側一次開口41bおよび固定側一次開口群42bは、それぞれ軸挿通孔41a,42aに対して同一の位置関係にあり、開口エリアβ1は、開口エリアα1と同一形状であって同一の開口面積とされている。そのため、固定側板状部材42に対して回転側板状部材41を相対回転させ、回転側一次開口41bと固定側一次開口群42bとが重なる状態にすると、図8(b)にハッチングで示すように開口エリアα1,β1とが重なり合うと共に、開口エリアα2と開口エリアβ2および第二固定側一次開口42eの開口部分が重なり合い、これらの重なり部分が連通する。
第三固定側一次開口42fは、図7や図8(a)に示すように、上記した第二固定側一次開口42eに対して逆方向Bに隣接した位置に設けられた開口である。換言すれば、第三固定側一次開口42fは、第二固定側一次開口42eと、第三固定側一次開口42f自身が含まれる固定側一次開口群42bに対して逆方向Bに隣接する固定側一次開口群42bの第一固定側一次開口42dとの中間位置に設けられている。
さらに換言すれば、図9にハッチングで示すように、第一固定側一次開口42d及び第二固定側一次開口42eの外縁を繋げて形成される部分、すなわち回転側板状部材41に設けられた回転側一次開口41bと形状および面積が同一の大きさであって第一固定側一次開口42d及び第二固定側一次開口42eを含む領域をゾーンZ1と仮定し、これに対して逆方向Bに隣接する位置に設けられた領域であって、ゾーンZ1と同一形状、同一面積の領域をゾーンZ2と仮定した場合、このゾーンZ2に第三固定側一次開口42fが設けられている。
上記したゾーンZ2を境界線(仮想円)L1よりも軸挿通孔42a側(内側)のエリアδ1と外側のエリアδ2とに分類した場合、第三固定側一次開口42fは、エリアδ2に設けられている。また、上記したゾーンZ1を境界線(仮想円)L2よりも軸挿通孔42a側(内側)のエリアε1と外側のエリアε2とに分類した場合、ゾーンZ2のエリアδ2の両側には、ゾーンZ1のエリアε2との間には所定の隙間(閉塞エリアγ2)が設けられている。閉塞エリアγ2,γ2を構成する弧に対する中心角θ7,θ7を合算した角度2θ7は、回転側板状部材41の回転誤差範囲となるように設定されている。上記したように、本実施形態では、回転側板状部材41の回転量をプラス・マイナス1度の誤差範囲内で調整可能であるため、中心角θ7は、1度程度の大きさとされている。
上記した固定側一次開口群42bの外周側、すなわち固定側一次開口群42bよりも軸挿通孔42aから離れた位置には、12群の固定側二次開口群42cが周方向に等間隔に設けられている。固定側二次開口群42cは、第一固定側二次開口42gと第二固定側二次開口42hとの組み合わせによって構成されている。
図8に示すように、第一固定側二次開口42gは、軸挿通孔42aの中心から所定距離だけ離れた位置に想定される仮想円L9と、これよりも半径の大きな仮想円L10、並びに、軸挿通孔42aの中心を通る仮想の仮想線L11,L12によって囲まれた領域に設けられた扇面型の開口である。本実施形態において、仮想円L9,L10の径は、上記した回転側板状部材41の説明において想定した仮想円K7,K8の径と同一とされている。仮想線L11,L12のなす角θ8は、約10度とされている。
さらに具体的には、仮想線L11は、第一固定側二次開口42gのうち正方向F側の外縁に相当する位置を通り、上記した第二固定側一次開口42eと第三固定側一次開口42fとの間を通過する線分である。また、仮想線L12は、第一固定側二次開口42gのうち、逆方向B側の外縁に相当する位置を通り、上記した第三固定側一次開口42fと、これよりも逆方向Bに隣接する位置に形成された第一固定側一次開口42dとの間を通過する線分である。
第二固定側二次開口42hは、第一固定側二次開口42gに対して所定の閉塞エリアγ3を介して逆方向B側に隣接した位置に設けられた開口である。第二固定側二次開口42hは、仮想円L9,L10と軸挿通孔42aの中心を通る仮想線L13,L14とによって囲まれた領域に形成され、仮想円L9,L10の径方向に向けて長い細長い開口である。
ここで、仮想線L12,L13がなす角θ9、すなわち閉塞エリアγ3を構成する弧に対する中心角θ9は、上記した仮想線L6,L7のなす角θ5と同一とされている。すなわち、閉塞エリアγ3を構成する弧に対する中心角θ9は、上記した第一固定側一次開口42dと第二固定側一次開口42eとの間に形成された閉塞エリアγ1を構成する弧に対する中心角θ5と同一である。さらに具体的には、本実施形態では、中心角θ9は、中心角θ5と同様に2度程度とされている。
仮想線L14は、軸挿通孔42aの中心と、第二固定側二次開口42hのうち、逆方向B側の外縁に相当する位置を通る線分である。仮想線L13,L14のなす角θ10は、上記した第一固定側二次開口42gを構成する弧に対する中心角θ8に対して十分小さく、約2度程度とされている。
上記したように、固定側二次開口群42cは、第一固定側二次開口42gと第二固定側二次開口42hとの組み合わせによって構成されており、図9にハッチングで示すように、仮想線L11,L14と仮想円L9,L10とによって囲まれたエリアμ内に形成されている。固定側板状部材42において、軸挿通孔42aに対するエリアμの位置関係は、上記した回転側板状部材41に形成された軸挿通孔41aと回転側二次開口41cとの位置関係と同一である。また、エリアμの形状および領域面積は、上記した回転側二次開口41cと同一である。そのため、回転側板状部材41が回転し、回転側二次開口41cがエリアμに重なると、図8(b)にハッチングで示すように、第一固定側二次開口42gおよび第二固定側二次開口42hの双方と、回転側二次開口41cとが連通した状態になる。
図5に示すように、固定側板状部材42の下面には、第一固定側一次開口42dに対応した部分に円形の整流板45が取付固定されている。整流板45は、中央に軸挿通孔45aを有し、軸挿通孔45aの周囲に略三角形に切り起こした整流羽根45cを放射状に配した構造である。すなわち、切り起こされた開口部分によって開口45bを形成し、切り起こし部分は下方へ向けて略45度の傾斜を持たせて整流羽根45cを形成している。
図3に示すように、空気量調整手段材4は、上記したような構成の回転側板状部材41および固定側板状部材42と、回転側板状部材41に対して動力を伝達するための駆動片43および支持部材44と、整流板45とを含んで構成される。すなわち、空気量調整手段4は、図3および図5に示すように、軸挿通孔41a,42aにわたって固定具46a,46bを挿通することによって、固定側板状部材42に対して回転側板状部材41が相対回転可能なように取り付けたものを中心に構成される。固定側板状部材42の裏側には、整流板45が取り付けられる。
図1に示すように、空気量調整手段4の下面(図1において下方側)であって、整流板45の外周に相当する位置には、流路形成部材13が取り付けられている。流路形成部材13は、略円錐状の筒体であり、空気量調整手段4の下方側に固定されている。流路形成部材13は、空気量調整手段4を通過し、この下方(空気の流れ方向下流側)に形成された空気分流部16内に流入する空気を、気化器7に供給される一次空気と、燃焼部6に直接供給される二次空気とに分離するためのものである。すなわち、空気量調整手段4のうち、回転側一次開口41bと固定側一次開口群42bを構成する開口との連通部分を通過する空気は、流路形成部材13の内側に流入し、一次空気として気化器7に供給される。一方、回転側二次開口41cと固定側二次開口群42cを構成する開口との連通部分を通過する空気は、流路形成部材13の外側に流入し、二次空気として燃焼部6に供給される。
また、支持部材44は、図3に示すように、駆動片43と一体化された状態で固定側板状部材42上であって、回転側板状部材41の取り付け位置に隣接する位置に固定される。これにより、回転側板状部材41の駆動片43に装着されたネジNが、回転側板状部材41の係合部41dに設けられた溝状部41eに係合する。
空気量調整手段材4は、図3に示すように、固定側板状部材42の周縁が箱体(ケース部)10で囲まれており、ステップモータ40aの回転軸40tが箱体10に設けられた開口10aを通して駆動片43の嵌合孔43cに嵌合している。
また、回転側板状部材41の係合部41dに設けられた係止孔41fと支持部材44の端部に設けられた係止孔44eとの間にはバネSが取り付けられている。これにより、回転側板状部材41は、常時固定側板状部材42に対して図3に示すように上面視した場合に反時計方向に回る方向、すなわち逆方向Bに付勢されている。
回転側板状部材41は、常時は、係合部41dに相当する部分が支持部材44に設けられた当て止め部44fに突き当てられた状態となっており、当該位置から逆方向Bに回転できない構造となっている。空気量調整手段4は、係合部41dが当て止め部44fに突き当たった状態になった際に、後述する最小開度状態となるように各構成部材の取り付け位置が調整されている。
本実施形態の空気量調整手段材4は、ステップモータ40aを作動させることによって、この動力を駆動片43や支持部材44によって構成される伝達機構40bを介して回転側板状部材41に伝達し、回転側板状部材41の回転位置を調整することにより、回転側一次開口41bや回転側二次開口41cと、固定側一次開口群42bや固定側二次開口群42cを構成する各開口とが重なり合って形成される連通流路の面積を最小から最大まで自由に変化させることができる。従って、空気量調整手段4は、回転側板状部材41の回転量を調整することによって、空気量調整手段4の上方(空気流路の上流側)から下方(空気流路の下流側)に向けて流れる空気量を調節することができる。
さらに詳細に説明すると、空気量調整手段4は、ステップモータ40aを作動させると、図10(a)〜(c)に示すように、駆動片43が枢支軸43hの回りに左右方向へ所定角度だけ揺動(回動)可能な構成とされている。空気量調整手段材4は、常時は、図10(a)に示すように、回転側板状部材41の係合部41dがバネSによって左方に付勢され、溝状部41eが駆動片43のネジN(押圧部)によって押圧されている。また、金具43bは、支持部材44の当て止め部44fに当接した状態で停止している。この状態では、図11に破線で示すように回転側板状部材41のマスク部41hによって固定側一次開口群42bの大部分と、固定側二次開口群42cの全部とが閉塞された最小開度状態になる。すなわち、図11にハッチングで示すように、常時は、回転側板状部材41の回転側一次開口41bと固定側板状部材42の第一固定側一次開口42dのみが連通し、固定側板状部材41に設けられた他の開口がマスク部41hによって覆われ、閉塞された状態となっている。
上記した最小開度状態において制御手段Pからステップモータ40aに供給空気量を増加させる制御信号が伝送されると、図10(b)に示すように、駆動片43が反時計方向へ回動する。これにより、回転側板状部材41が正方向F側に回転し、回転側板状部材41と固定側板状部材42との間に形成される開口面積が中程度の中開度状態となる。
さらに具体的に説明すると、図10(b)のように駆動片43が回動すると、これに連動して回転側板状部材41が正方向F側に回転する。これにより、図14に示すように、回転側一次開口41bの開口エリアα2の正方向F側の縁端部に沿って想定される仮想線K4が固定側板状部材42の第二固定側一次開口42eと第三固定側一次開口42fとの間に想定される閉塞エリアγ1の領域内を通る位置まで回転する。すなわち、中開度状態では、回転側板状部材41側に想定される仮想線K4が、固定側板状部材42側に想定される仮想線L6,L7の間に位置する。これにより、図12にハッチングで示すように、回転側一次開口41bの開口エリアα2に第一固定側一次開口42dと第二固定側一次開口42eとが露出した状態になる。
また、図12にハッチングで示すように、空気量調整手段4が中開度状態になった場合は、回転側二次開口41cに第二固定側二次開口42hが露出した状態になる。さらに詳細に説明すると、図14に示すように、空気量調整手段4が中開度状態になると、回転側二次開口41cの正方向F側の縁端部に沿って想定される仮想線K9が、固定側二次開口群42cのうち、逆方向B側に形成された第二固定側二次開口42hの開口領域を超え、第二固定側二次開口42hと第一固定側二次開口42gとの間に形成された閉塞エリアγ3内を通過する位置まで回転側板状部材41が回転する。すなわち、中開度状態では、回転側板状部材41において想定される仮想線K9が、固定側板状部材42側に想定される仮想線L12,L13間を通過する状態になる。これにより、回転側二次開口41cに第二固定側二次開口42hが露出した状態になる。
空気量調整手段4が中開度状態となった状態では、図12に破線で示すように、第一固定側一次開口42dや第一固定側二次開口42gが回転側板状部材41のマスク部41hによって覆われ、閉塞された状態となっている。さらに詳細に説明すると、中開度状態では、回転側一次開口41bの正方向Fの縁端部に沿って想定される仮想線K3や仮想線K4は、第一固定側一次開口42dの逆方向Bの縁端部に沿う仮想線L5,L6よりも逆方向Bに傾いた状態となる。また、回転側二次開口41cの正方向Fの縁端部に沿う仮想線K9についても、第一固定側二次開口42gの逆方向Bの縁端部に沿う仮想線L12よりも逆方向Bに傾いた状態となる。そのため、中開度状態では、回転側一次開口41bや回転側二次開口41cと、第一固定側一次開口42dや第一固定側二次開口42gとが重なり合わず、閉塞された状態になる。
制御手段Pからステップモータ40aに向けて、供給空気量を増加させる制御信号がさらに伝送されると、駆動片43は、図10(c)に示すように反時計方向に向けて回転しきった状態となる。この状態では、回転側板状部材41と固定側板状部材42との間に形成される連通流路の面積が最大となり、供給空気量が最大の最大開度状態となる。
さらに具体的には、駆動片43が図10(c)に示す姿勢となるまで回動すると、回転側板状部材41がさらに正方向F側に回転する。これにより、図13にハッチングで示すように、回転側一次開口41bと、第一固定側一次開口42dおよび第二固定側一次開口42eとが連通し、回転側一次開口41bの開口領域のほぼ全体に相当する開口領域が形成される最大開度状態になる。
さらに詳細に説明すると、空気量調整手段4が最大開度状態になると、図8(b)に示すように回転側一次開口41bの開口エリアα1,α2の正方向F側の縁端部に沿う仮想線K3,K4が第一固定側一次開口42dの正方向F側の縁端部に沿う仮想線L3,L4とほぼ重なった状態になる。また、回転側一次開口41bの逆方向B側の縁端部に沿う仮想線K5,K6が、第一固定側一次開口42dおよび第二固定側一次開口42gの逆方向B側に沿う仮想線L5,L8とほぼ重なった状態になる。そのため、空気量調整手段4が最大開度状態になると、図8や図13にハッチングで示すように、回転側一次開口41bの開口領域のほぼ全体に相当する開口領域が形成される。
また、駆動片43が図10(c)に示す姿勢となるまで回動し、空気量調整手段4が最大開度状態になると、図13にハッチングで示すように、回転側二次開口41cと、第一固定側二次開口42gおよび第二固定側二次開口42hとが連通し、回転側二次開口41cの開口領域のほぼ全体に相当する開口領域が形成される。
さらに詳細に説明すると、空気量調整手段4が最大開度状態になると、回転側二次開口41cの正方向Fおよび逆方向Bの縁端部に沿って想定される仮想線K9,K4が、それぞれ第一固定側二次開口42gの正方向Fの縁端部に沿う仮想線L11および第二固定側二次開口42hの逆方向Bの縁端部に沿う仮想線L14とほぼ重なった状態になる。そのため、空気量調整手段4が最大開度状態になると、図8や図13にハッチングで示すように、回転側二次開口41cと、回転側二次開口41cの開口領域のほぼ全体に相当する開口領域が形成される。
上記したように、本実施形態の空気量調整手段4では、回転側板状部材41の動力源としてステップモータ40aを採用している。ステップモータ40aは、制御手段Pから発信される制御信号に基づいて回転軸40tの回転量を調整できるものであるが、その回転量はステップモータ40aの個体差等の影響により所定の誤差範囲(本実施形態では、プラス・マイナス5度)内で変動する可能性がある。そのため、回転側板状部材41の回転量は、ステップモータ40aの回転量の誤差の影響を受けて所定の回転誤差範囲E(本実施形態では、プラス・マイナス1度)内で微妙にずれる可能性がある。
かかる知見に基づき、本実施形態の空気量調整手段4では、第一固定側一次開口42dと第二固定側一次開口42eとの間に設けられた閉塞エリアγ1や、上記した閉塞エリアγ2、第一固定側二次開口42gと第二固定側二次開口42hとの間に設けられた閉塞エリアγ3の位置や、これらの閉塞エリアγ1,γ2,γ3を構成する弧に対する中心角θ5,θ7,θ8が調整されている。
さらに具体的には、上記したように、閉塞エリアγ1,γ3は、それぞれ、空気量調整手段4が中開度状態にある時に回転側一次開口41bおよび回転側二次開口41cの正方向Fの縁端部に沿う仮想線K4,K9が通過する領域である。閉塞エリアγ1,γ3は、図14に示すようにそれぞれ回転側板状部材41の回転量が誤差無く調整された場合に、仮想線K4,K9が閉塞エリアγ1,γ3を構成する弧の略中央部を通過する位置に設けられている。さらに、閉塞エリアγ1,γ3を構成する部分の弧に対する中心角θ5,θ8は、それぞれ回転側板状部材41の回転誤差と略同一あるいはこれより僅かに大きい程度とされている。
そのため、空気量調整手段4は、図15に示すように、回転側板状部材41の回転量(回転角度)が正方向Fに回転誤差範囲Eの最大限までずれた場合であっても、回転側一次開口41bの開口エリアα1,α2や回転側二次開口41cの正方向F側の縁端に相当する仮想線K4,K6,K9が、第一固定側一次開口42dや第一固定側二次開口42gの逆方向B側の縁端に相当する仮想線L6,L5,L12と重なるか、仮想線L6,L5,L12よりも僅かに逆方向B側に傾いた程度となる。従って、空気量調整手段4は、中開状態とすべく回転側板状部材41の回転量を調整した場合に、回転側板状部材41が回転誤差範囲Eの中で最大限正方向にずれた場合であっても、回転側一次開口41bと第一固定側一次開口42dとが重なり合うことはない。
逆に、空気量調整手段4は、図16に示すように、回転側板状部材41の回転量(回転角度)が逆方向Bに回転誤差範囲Eの最大限までずれた場合であっても、回転側一次開口41bの開口エリアα2や回転側二次開口41cの正方向F側の縁端に相当する仮想線K4,K9が、第二固定側一次開口42eや第二固定側二次開口42hの正方向F側の縁端に相当する仮想線L7,L13と重なるか、仮想線L7,L13よりも僅かに逆方向B側に傾いた程度となる。また、回転側一次開口41bの開口エリアα1の正方向F側の縁端に相当する仮想線K3が、第二固定側一次開口42eの開口エリアβ2の正方向F側の縁端に相当する仮想線L5よりも逆方向B側に傾いた状態になる。そのため、空気量調整手段4は、中開状態とすべく回転側板状部材41の回転量を調整した場合に、回転側板状部材41が回転誤差範囲Eの中で最大限逆方向Bにずれた場合であっても、回転側一次開口41bと第一固定側一次開口42dとが重なり合ったり、回転側板状部材41のマスク部41hによって第二固定側一次開口42eや第二固定側二次開口42hの開口領域に覆い被さらない。従って、空気量調整手段4は、回転側板状部材41の回転量(回転位置)が回転誤差範囲Eの中で正方向F側あるいは逆方向B側にずれた場合であっても、開口面積が変化しない。
また、固定側板状部材42において、上記した閉塞エリアγ2に相当する領域の大きさは、空気量調整手段4を最小開度状態にする際に、回転側板状部材41の回転量(回転角度)の調整が所定の回転誤差範囲E(本実施形態では、プラス・マイナス1度)で変動した場合であっても、回転側一次開口41bや回転側二次開口41cの開口領域が任意の第三固定側一次開口42fを中心として正方向F側に隣接する第二固定側一次開口42eや逆方向B側に隣接する第一固定側一次開口42dと重ならないように調整されている。
さらに具体的に説明すると、図9に示すように、第三固定側一次開口42fは、正方向F側に隣接する第二固定側一次開口42eと、逆方向B側に隣接する第一固定側一次開口42dとの中間位置に設けられている。空気量調整手段4が最小開度状態になる場合であって、回転側板状部材41の回転量(回転角度)が誤差なく意図通りに制御できる場合、回転側板状部材41の回転側一次開口41bは、図9にハッチングで示すゾーンZ2に相当する位置に到来する。
しかし、回転側板状部材41の回転量(回転角度)の制御が正方向F側や逆方向B側にずれる場合は、回転側一次開口41bも上記したゾーンZ2から正方向F側や逆方向B側にずれ、回転側一次開口41bの開口エリアα2の一部が正方向F側に隣接する第二固定側一次開口42eや逆方向B側に隣接する第一固定側一次開口42dの開口エリアα2に重なり、連通してしまう可能性がある。
ここで、上記したように、ゾーンZ2に対して正方向F側および逆方向B側に隣接する位置には閉塞ゾーンγ2,γ2が設けられている。また、この閉塞ゾーンγ2に相当する部分の弧に対する中心角θ7,θ7(本実施形態では約1度)は、回転側板状部材41の回転量(回転角度)調整の回転誤差範囲Eと略合致あるいは回転誤差範囲Eよりもやや大きめに取られている。そのため、図17に示すように、回転側板状部材41が回転誤差範囲Eの中で最大限正方向F側にずれた場合であっても、第一回転側一次開口41bは、第二固定側一次開口42eとは連通しない。さらに詳細には、回転側板状部材41が正方向F側に最大限ずれた場合であっても、回転側一次開口41bの開口エリアα2の正方向F側の縁端部分に想定される仮想線K4は、第二固定側一次開口42eの逆方向B側の縁端部分に想定される仮想線L8と重なるか、仮想線L8よりも逆方向に傾いた状態であり、第二固定側一次開口42eの開口領域には侵入しない。
一方、回転側板状部材41の回転量(回転角度)の制御が逆方向B側にずれる場合についても、図18に示すように、第一回転側一次開口41bは、開口エリアα2に露出している第三固定側一次開口42fに対して逆方向B側に隣接する第一固定側一次開口42dと連通しない。さらに詳細には、回転側板状部材41の回転制御が逆方向B側に最大限ずれた場合であっても、回転側一次開口41bの開口エリアα2の逆方向B側の縁端部分に沿う仮想線K6は、第一固定側一次開口42dの正方向F側の縁端部分に沿う仮想線L4と重なるか、仮想線L4よりも正方向F側に傾いた状態となり、第一固定側一次開口42dの開口領域には侵入しない。従って、空気量調整手段4は、最小開度状態に調整する場合、回転側板状部材41の回転量(回転角度)の制御精度が想定される範囲内であれば、第三固定側一次開口42fに相当する部分のみが開口し、他の部分が開口しないように開度調整することができる。
上記したように、本実施形態の燃焼装置1において採用されている空気量調整手段4は、固定側板状部材42に設けられた第一固定側一次開口42dや第一固定側二次開口42gと、第二固定側一次開口42eや第二固定側二次開口42hとの周方向の間隔が回転側板状部材41において想定される回転誤差範囲Eと同等、あるいはこれ以上とされている。すなわち、本実施形態では、回転側板状部材41の回転量をプラス・マイナス1度(2度)の回転誤差範囲E内で調整できるため、第一固定側一次開口42dと第一固定側二次開口42gとの間に形成される閉塞エリアγ1や、第二固定側一次開口42eと第二固定側二次開口42hとの間に形成される閉塞エリアγ2に相当する部分の弧に対する中心角θ5やθ8が、約2度あるいはこれより僅かに大きい程度とされている。
また、本実施形態では、回転側一次開口41bや回転側二次開口41cのうち正方向F側の縁端部分を通過する仮想線K4,K9を想定した場合、空気量調整手段4を中開度状態とすると、回転側板状部材41の回転量が上記した回転誤差範囲E内で変動する限りは、仮想線K4が、閉塞エリアγ1と第一固定側一次開口42dおよび第一固定側二次開口42gとの境界部に想定される仮想線L6,L7の間を通る。また同様に、仮想線K9は、閉塞エリアγ2と第二固定側一次開口42eおよび第二固定側二次開口42hとの境界部に想定されるL12,L13の間を通る。そのため、空気量調整手段4は、回転側板状部材41が上記した回転誤差範囲E内で回転する限りは、中開度状態に調整すべく回転側板状部材41の回転量を調整しても、回転側一次開口41bや回転側二次開口41cが第一固定側一次開口42dや第一固定側二次開口42gと連通しない。
上記したように、本実施形態において採用されている空気量調整手段4は、回転側板状部材41の回転量が所定の回転誤差範囲E内で変動したとしても開口面積を精度良く調整できる。そのため、本実施形態の燃焼装置1は、中開度状態とした場合における空気供給量のバラツキが殆ど発生せず、燃焼状態が安定している。
また、上記した空気量調整手段4は、図9に示すように回転側板状部材41の回転量を誤差なく調整し、最小開度状態とした場合に回転側一次開口41bに露出する領域をゾーンZ2とし、このゾーンZ2に対して隣接する位置に形成された第一固定側一次開口42dおよび第二固定側一次開口42eとの間に閉塞エリアγ2を想定した場合に、この閉塞エリアγ2の周方向の大きさ、すなわち閉塞エリアγ2に相当する部分の弧に対する中心角θ7,θ7が回転側板状部材41の回転誤差に合わせて調整されている。すなわち、本実施形態では、回転側一次開口41bがゾーンZ2に相当する位置に対してプラス・マイナス1度の回転誤差範囲Eでずれる可能性がある。そのため、本実施形態では、ゾーンγ2に対して正方向F側および逆方向B側に隣接する位置に同一の閉塞エリアγ2,γ2を設けた構成とされている。そのため、空気量調整手段4は、回転側板状部材41の回転量(回転角度)の調整が正方向F側あるいは逆方向B側に所定の回転誤差範囲E内でずれたとしても、回転側一次開口41bがゾーンZ2に設けられた第三固定側一次開口42f以外の開口と連通しない。従って、燃焼装置1は、空気量調整手段4の開度を最小開度状態とする際に回転側板状部材41の回転量のバラツキが発生しても、これよりも下流側に供給される空気の供給量が殆どばらつかず、燃焼状態が安定している。
上記実施形態の空気量調整手段4は、最大開度状態において第一固定側一次開口42dおよび第二固定側一次開口42eが回転側板状部材41の回転側一次開口41bと連通し、第一固定側二次開口42gおよび第二固定側二次開口42hが回転側二次開口41cと連通する構成となっている。また、空気量調整手段4は、中開度状態において第二固定側一次開口42eおよび第三固定側一次開口42fが回転側一次開口41bと連通する構成となっている。すなわち、本実施形態では、第一固定側一次開口42dと第二固定側一次開口42eとの組み合わせや、第二固定側一次開口42eおよび第三固定側一次開口42fの組み合わせ、第一固定側二次開口42gおよび第二固定側二次開口42hの組み合わせにより最大開度状態や中開度状態における固定側板状部材42側の開口領域を確保する構成とされている。そのため、空気量調整手段4は、固定側一次開口群42bや固定側二次開口群42cの配置密度が高く、最大開度状態や中開度状態とするために必要な回転側板状部材41の回転量を最小限に抑制できる。
なお、上記したように、本実施形態では、第一固定側一次開口42dと第二固定側一次開口42eとの組み合わせ等により、固定側板状部材42側の開口領域を確保する構成とされていたが、本発明はこれに限定されるものではない。さらに具体的には、燃焼装置1は、例えば図19(a),(b)に示す固定側板状部材50や回転側板状部材51を組み合わせて図20に示すような空気量調整手段52を構成した場合のように、最大開度状態(図20(a)参照)、中開度状態(図20(b)参照)、最小開度状態(図20(c)参照)の各開度状態において、固定側板状部材50に設けられた第一固定側一次開口50a、第二固定側一次開口50bおよび第三固定側一次開口50cと回転側一次開口51aとが独立的に連通する構成としてもよい。
上記実施形態に示す空気量調整手段4は、回転側板状部材41および固定側板状部材42に一次空気を通過させるための開口と、二次空気を通過させるための開口の双方を設けた構成とされている。そのため、空気量調整手段4は、回転側板状部材41の回転量を調整するだけで一次空気および二次空気の供給量を同時に調整することができる。
なお、上記した空気量調整手段4は、本発明の一例を例示したものに過ぎず、必ずしも一次空気および二次空気の供給量を同時に調整可能な構成とする必要はない。さらに具体的には、空気量調整手段4は、例えば上記実施形態において回転側板状部材41に設けられていた回転側二次開口41cや固定側板状部材42に設けられていた固定側二次開口群42cを設けない構成としてもよい。
本発明の燃焼装置では、第一固定側一次開口42dよりも逆方向B側に形成された第二固定側一次開口42eや第三固定側一次開口42fが、第一固定側一次開口42dの開口領域を開口エリアβ1,β2に分断する仮想円L1よりも外側、すなわち開口エリアβ2側の領域に配されている。そのため、空気量調整手段4は、第二固定側一次開口42eや第三固定側一次開口42fを仮想円L1よりも内側に配する場合に比べて固定側板状部材42に形成された空気流通用の各開口同士の間隔を十分大きく取ることができる。従って、上記した構成によれば、固定側一次開口群42bを構成する開口を高密度に配することができ、これに対応する位置に回転側一次開口41bを配することにより空気量調整手段4の開口面積を十分確保することができる。
上記した空気量調整手段4は、回転側板状部材41が回転することにより開口エリアβ2が移動する領域、すなわち仮想円L1,L2に囲まれた領域内に第二固定側一次開口42eや第三固定側一次開口42fを設けた構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、第二固定側一次開口42eや第三固定側一次開口42fのいずれか一方あるいは双方を仮想円L1よりも内側に設けた構成としてもよい。
上記したように、本実施形態において説明した空気量調整手段4は、回転側一次開口41bや第一固定側一次開口42dが、仮想円K1や仮想円L1を境として内周側の開口エリアα1,β1と、外周側の開口エリアα2,β2とに大別され、開口エリアα2,β2がそれぞれ開口エリアα1,β1に対して逆方向B側にずれた歪な形状とされている。そのため、空気量調整手段4は、開口状態を切り替えるために要する回転側板状部材41の回転量(回転角度)が最小限で済む。
本発明において、回転側一次開口41bや第一固定側一次開口42dは、必ずしも上記したような歪な形状とする必要はなく、例えば図19(a),(b)に示す固定側板状部材50の第一固定側一次開口50a、第二固定側一次開口50b、第三固定側一次開口50cや、回転側板状部材51の回転側一次開口51aのように扇形や長方形等、任意の形状とすることができる。かかる構成とした場合は、上記実施形態において説明したものほど各開口を高密度に配することはできないが、上記実施形態において説明した回転側板状部材41や固定側板状部材42を採用した場合と同様に、回転側板状部材41の回転量制御に誤差が生じても開口面積が変動しない構成とすることができる。
上記実施形態の空気量調整手段4は、固定側一次開口群42bを第一固定側一次開口42d、第二固定側一次開口42e、第三固定側一次開口42fの3つの開口で構成し、固定側二次開口群42cを第一固定側二次開口42g、第二固定側二次開口42hの2つの開口で構成したものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、さらに多数の開口を設けた構成としてもよい。また、空気量調整手段4は、開度状態を最小開度状態、中開度状態、最大開度状態の3段階に切替可能なものであったが、前記したようにさらに多数の開口を設けるなどして複数段階に切替可能な構成としてもよい。
また、上記した空気量調整手段4は、各開度状態において回転側板状部材41の回転側一次開口41bや回転側二次開口41cと固定側一次開口群42bや固定側二次開口群42cを構成する各開口との位置関係が定まったものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、各開口状態における開口面積を増減可能な構成としてもよい。
上記実施形態では、液体燃料を気化させたものを燃焼させる、いわゆる気化式の燃焼装置1に空気量調整手段4を採用した例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の燃焼形態を取る燃焼装置に空気量調整手段4を採用した構成としてもよい。