JP4258595B2 - 炎孔構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃焼装置の炎孔構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に液体燃料を用いた燃焼装置においては、燃料と空気(一次空気)とを予め混合した燃料ガスを炎孔から噴射させる。そして燃焼部には直接的に二次空気が供給され、これらの燃料ガスと二次空気によって燃焼する。
図19は従来の燃焼装置の炎孔プレート100を示したものである。炎孔プレート100は、支持プレート101上に燃料ガス流路111を形成する垂直壁で成るベース部材110を列状に設けている。このベース部材110上には炎孔部材102が覆い被さるように装着されてねじ105で支持プレート101にねじ止めされている。炎孔部材102の上面には炎孔となる複数の開孔103が開けられている。
【0003】
この炎孔プレート100では、予混合部(不図示)で燃料と空気とを混合した燃料ガスMを予め生成して燃料ガス流路111に導入する。同時に支持プレート101に設けられた開孔104を通じて二次空気Sを送り込む。そして、多数列設けられた炎孔部材102の一部において燃料ガスMに点火し、この点火をもとに他の炎孔部材102に順次着火させ、炎孔部材102の炎孔103から火炎を発生させて燃焼させるものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記したように炎孔部材102を支持プレート101に固定するためには多数のねじ105を取り付けなければならず、手間が掛かり面倒であった。
また、点火時には炎孔部材102の一部に着火されるが、他の列の炎孔部材102への火移りが悪く不満を残していた。
【0005】
ところで、このような炎孔プレート100では、図20に示すように、予混合部200で生成された燃料ガスMが燃料ガス流路111を通じて炎孔部材102の開孔103から噴出する。
ところが、燃料ガス流路111の下流側端末が閉塞(不図示)されているため、燃料ガス流路111の上流側、則ち予混合部200に近い部分では燃料ガスMの噴出力が弱く、下流に近づくに連れて噴出力が強くなり燃焼むらを生じる要因となっていた。
【0006】
そこで本発明は、従来技術の上記した問題点に注目し、製造が容易でしかも着火性が良く安定した燃焼を得ることのできる炎孔構造を提供することを課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記した課題を解決するために提案される請求項1に記載の本発明は、ベース部材と炎孔部材によって構成される炎孔構造であって、ベース部材は燃料ガスが通過する一面が開放された燃料ガス流路を有し、炎孔部材は炎孔を構成する開口部と脚部を備え、前記炎孔部材は脚部がベース部材と係合してベース部材に取り付けられ、炎孔部材の開口部がベース部材の開放面を覆い、燃料ガス流路は周壁によって構成され、炎孔部材は中央に炎孔を構成する開孔列が設けられた開口部材と、開口部材の側面に設けられた保炎板を備え、この保炎板によって脚部が形成され、脚部が燃料ガス流路の周壁の内面又は外面と係合する構造としている。
【0008】
この構造によれば、ねじなどを用いることなく炎孔部材の脚部をベース部材に係合させて容易に取り付けることができる。この構造では、炎孔部材の全長に渡ってベース部材に係合させることもできるが、適宜の間隔をおいて係合させても良い。また、炎孔部材の脚部に弾性を持たせた構成とすれば、脚部の弾性力によってベース部材に係合させることもできる。更に、炎孔部材側に被係合部を設け、この被係合部をベース部材に設けた係合部に係合させて、脚部の係合を補助したり位置決めするような構造も採れる。
また、保炎板を脚部として兼用するので構造が簡略化されると共に、保炎板によって炎孔部材の開孔から噴出する火炎が安定する。
【0009】
請求項に記載の本発明は、燃料ガス流路は周壁によって構成され、炎孔部材は開口部材と、開口部材の側面に設けられた保炎板を備え、開口部材は弾性を有する板材によって作られ、中央に炎孔を構成する開孔列が設けられていると共に開孔列の両端側が折り曲げられ、折り曲げられた部位の先端部は保炎板から露出していて燃料ガス流路の周壁の内面又は外面と係合する構造とされている。
【0010】
この構造によれば、開口部材によって脚部を形成するので構造が簡略化される。また、保炎板の下部側縁を燃料ガス流路の周壁頂部に当接させることによって炎孔部材を位置決めできるので、安定した係合が得られる。
【0011】
請求項に記載の本発明は、炎孔部材には保炎板が設けられ、保炎板の一部に切り欠きが設けられた構造としている。
【0012】
この構造によれば、保炎板の切り欠き部分によって保炎板を横切る方向への燃料ガスの流出を促進し、これによって隣接して設けられた炎孔部材との間の火移りを良好にして着火性を向上させている。
【0013】
請求項に記載の本発明は、ベース部材と炎孔部材によって構成される炎孔構造であって、ベース部材は一面が開放された周壁とその周壁に内蔵された流路構成部材からなり、流路構成部材は端部が周壁から露出し、炎孔部材は炎孔を構成する開口部と弾性を有する脚部を備え、炎孔部材は脚部が流路構成部材の露出部分と係合してベース部材に取り付けられ、炎孔部材の開口部がベース部材の開放面を覆う構造としている。
【0014】
この構造によれば、炎孔部材の脚部と流路構成部材とを係合させ、流路構成部材は弾性力によってベース部材に内蔵される構成とすることもできる。則ち、流路構成部材を媒体として炎孔部材をベース部材に取り付けることが可能である。
また、燃料ガスは流路構成部材を通じて流れるので、安定した燃料ガスの供給が行える。
【0015】
請求項に記載の本発明は、周壁は所定の長さを有し、燃料ガスは周壁の長手方向に沿って流れ、流路形成部材の断面積は燃料ガスの流れ方向に向かって漸次流路面積が減少している構造としている。
【0016】
この構造によれば、燃料ガス流路の下流側、則ち燃料ガスの供給端から離れるに連れて流路を通る燃料ガス量を漸減させることができる。従って、下流方向の流路端末が閉塞されている場合でも、炎孔部材の各々の炎孔から噴出する燃料ガスの噴出量を均一化することができ、火炎の燃焼むらが生じない。
【0017】
請求項に記載の本発明は、ベース部材と炎孔部材によって構成される炎孔構造であって、ベース部材は一面が開放された周壁と、燃料ガスの流れ方向に沿って漸次流路面積が減少する流路構成部材からなり、炎孔部材は炎孔を構成する開口部と脚部を備え、前記炎孔部材は脚部がベース部材と係合してベース部材に取り付けられ、炎孔部材の開口部がベース部材の開放面を覆う構造としている。
【0018】
この構造によれば、流路構成部材を固定的にベース部材に内蔵させたり、或いは、ベース部材を一旦炎孔部材の内部に係合させ、この炎孔部材をベース部材に取り付けるような構造を採ることができる。この構造においても、流路構成部材によって火炎の燃焼むらが生じない。尚、流路構成部材は流路面積を変化させない管状のものを用いることもできる。
【0019】
請求項に記載の本発明は、ベース部材と炎孔部材によって構成される炎孔構造であって、ベース部材は一面が開放された周壁を有し、周壁の内面又は外面に切り欠き部が設けられ、炎孔部材は炎孔を構成する開口部と弾性を有する脚部を備え、炎孔部材は脚部がベース部材の切り欠き部と係合してベース部材に取り付けられ、炎孔部材の開口部がベース部材の開放面を覆う構造としている。
【0020】
この構造によれば、炎孔部材をベース部材の切り欠き部に当接させて係合すれば炎孔部材の係合位置が定まる。また、炎孔部材の脚部の弾性力によってベース部材の周壁の内面または外面を押圧するので安定した係合が得られ、しかも、構造が簡略化される。
【0021】
請求項に記載の本発明は、ベース部材と炎孔部材によって構成される炎孔構造であって、ベース部材は一面が開放された周壁を有し、炎孔部材は炎孔を構成する開口部と弾性を有する脚部を備え、炎孔部材は脚部がベース部材の周壁の内面と係合してベース部材に取り付けられ、炎孔部材の開口部がベース部材の開放面を覆い、炎孔部材の側方に周壁の頂部が位置し、炎孔部材から発生する火炎が周壁の頂面と接する構造とされている。
【0022】
この構造によれば、周壁の頂部が炎孔部材の開口部から発生する火炎を保炎する作用を呈する。これにより、新たに保炎板を設けなくても安定した火炎が得られ、しかも構造が簡略化される。
【0023】
請求項に記載の本発明は、ベース部材と炎孔部材によって構成される炎孔構造であって、ベース部材は一面が開放された周壁を有し、その周壁の内面には段部が設けられ、炎孔部材は炎孔を構成する開口部と弾性を有する脚部を備え、炎孔部材は脚部がベース部材と係合してベース部材に取り付けられ、炎孔部材の開口部がベース部材の開放面を覆い、炎孔部材の開口部の近傍に段部が位置する構造である。
【0024】
この構造によれば、周壁内面の段部が炎孔部材の開口部の近傍に位置することにより、段部が炎孔部材の開口部から発生する火炎を保炎する。これにより、保炎板を別に設けなくても火炎が安定し、しかも、構造が簡略化される。
【0025】
また、請求項1に記載の本発明は、ベース部材が、開放面と対向する側に底板を設けた構造としている。
【0026】
この構造によれば、燃料ガス流路が底板と炎孔部材とで囲まれるので、燃料ガス流路内に2次空気などが混入することがなく、安定した燃焼が得られる。また、流路構成部材をベース部材内に確実に保持できる。
【0027】
【発明の実施の形態】
(実施の形態)
以下に図面を参照して本発明の要旨である炎孔構造の実施形態を説明する。
図1は、本実施形態の炎孔構造を示したもので、炎孔部材51および関連部材を斜視図で示している。尚、平行に設けられた垂直壁50,50は炎孔部材51を取り付けるためのベース部材の一部であり、このベース部材50は後述する炎孔プレートと一体である。
本構造では、この垂直壁50同士の内側に流路調整板(流路構成部材)50aを内蔵し、その上から炎孔部材51を覆い被せるように取り付けている。この垂直壁50と炎孔部材51とで囲まれる領域で燃料ガス流路50bを形成している。
【0028】
炎孔部材51は金属で成されており、断面がコ字を呈する溝蓋状の開口部材51aの両側面に、全長に渡って保炎板51b,51bを取り付けて形成される。開口部材51aの上面中央部には炎孔54を構成する開孔列が平行して設けられて開口部51eを形成し、開孔列の両端は折り曲げられている。折り曲げられた両側面には、断面が略コ字状の保炎板51bが開口部材54の全長に渡って取り付けられ、開口部材51aの両側面は保炎板51bから下方に露出して脚部51fを形成している。
【0029】
左右の保炎板51bの中央上端には、楔形状の切り欠き51cが設けられている。この切り欠き51cは、一つの炎孔54の中央部分に位置づけて設けられている。則ち、保炎板51bを横切る方向への燃料ガスMの流出を促進し、これによって隣接して設けられた炎孔部材51との間の火移りを良好にして着火性を向上させている。尚、切り欠き51cは炎孔部材51の長さなどに応じて必要な間隔をおいて設けることができる。
【0030】
流路調整板50aは、長尺金属板をU字形状に曲げて成されており、その断面積が長手方向に沿って漸減する形状とされている。この流路調整板50aは後述するように、炎孔54から噴出する燃料ガスMの噴出量を均一化するものである。尚、ベース部材50には後述する二次空気を導入するための複数の開孔40が設けられている。また、ベース部材50の底部には後述する分流部材(不図示)が当接して底板としての機能を行うが、ベース部材50に個別に底板を設けた構成とすることも可能である。
【0031】
図2は、ベース部材50に流路調整板50aを内蔵させ、その上から炎孔部材51を覆い被せた状態を斜視図で示したものである。
本実施形態では、流路調整板50aを炎孔部材51の開口部材51a内部に圧入し、流路調整板50aの弾性力によって炎孔部材51に係合させている。また、図2(b)の断面図に示すように、開口部材51aの脚部51fの外面には長手方向に所定の間隔で係合突起51dを設け、対応した垂直壁50の内面には係合凹部50cを設けている。従って、図に示すように、炎孔部材51の両側面を垂直面50の内部に沿わせて下方に向けて圧入すれば、開口部材51aの弾性力によって、図2(c)に示すように容易にベース部材50に係合させて取り付けできる。
【0032】
尚、本実施形態では、図2(b)に示すように、保炎板51bの下端を水平に折り曲げており、この部分を垂直壁50の頂部に当接させて位置決めすると共に、前記した係合突起51dおよび係合凹部50cの係合によって安定した係合を得ている。この係合突起51dや係合凹部50cは、図に示した形状に拘わらず種々の形状を採ることができる。また、本発明では基本的に炎孔部材51の脚部51f或いは流路調整板50aの弾性力を利用して係合させているので、前記した係合突起51dや係合凹部50cは必須のものではない。
【0033】
前記したように、本実施形態の炎孔構造によれば、ねじなどを一切用いることなく炎孔部材51をベース部材50に容易に取り付けでき、しかも保炎板51bによって安定した火炎が得られると共に切り欠き51cによって良好な着火性を実現している。
【0034】
次に、流路調整板50aの動作を説明する。図3(a)は、図2(a)の中央縦断面図であり、図3(b)は図3(a)のA−A矢視断面図である。
本実施形態の炎孔構造では、燃料ガス流路50bの終端が閉塞されている。予混合部(不図示)で生成された燃料ガスMは開放端側から燃料ガス流路50bに導入される。この燃料ガス流路50bは流路調整板50aによって実質的に先細りになっているので、燃料ガス流路50bの上流側を流れる燃料ガス量に比べて下流側の流路50bを流れる燃料ガス量が漸減する。一般に、流路50bの終端が閉塞されている場合、終端側に近づくに連れて燃料ガスMの流路内圧力が増加するため、炎孔54からの燃料ガスMの噴出量が増大する。しかし、本実施形態では前記したように流路調整板50aによって終端側の燃料ガスMの流量を漸減させているので、各々の炎孔54から噴出する燃料ガスMの噴出量が均一化され、燃料ガスの噴出量の差によって生じる燃焼むらを抑えている。
【0035】
ここで、前記した炎孔構造では、図3(b)に示したように、最初に流路調整板50aを炎孔部材51内部に圧入して係合し、その後に、炎孔部材51を垂直面50に係合させて取り付け構造としていた。しかし、流路調整板50を媒体としてベース部材50に炎孔部材51を係合させるような構成もできる。
図3(c)はこのような炎孔構造を示したもので、まず流路調整板50aをそれ自体の弾性力によってベース部材50に係合させる。そして、炎孔部材51は脚部51fの弾性力によって脚部51fの内面が流路調整板50aと係合させる構造としている。この構造によれば、流路調整板50aを媒体として炎孔部材51をベース部材50に係合でき、構造が簡単になる。
また、構造は同一であるが、流路調整板50aをそれ自体の弾性力によって炎孔部材51の内面側に係合させ、その状態で流路調整板50aの下部をベース部材50に挿入して係合させる構成も採ることが可能である。
【0036】
次に、本発明の実施形態に係る炎孔構造の別の例を順を追って説明する。尚、前記炎孔部材51と同一構成部分については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0037】
図4(a)は、前記した炎孔部材51における保炎板51bの構造を変更した炎孔構造71を断面図をもって示したものある。この炎孔部材51は保炎板51b'の下部が折り曲げられていない構造であり、保炎板51b'の下端とベース部材50の頂部とが当接して位置決めされて係合する。
【0038】
図4(b)に示す炎孔構造72は、保炎板72aを下方に長くして脚部を形成し、逆に開口部材51aの側面を短くしている。また、保炎板72aの下部先端を内側方向に折り曲げ、ベース部材50内への挿入を容易にしている。尚、係合突起51dは保炎板72aの外側面に設けられている。
【0039】
図4(c)に示す炎孔構造73は、基本構造は前記した炎孔構造71と同様であるが、ベース部材(垂直壁)50の外面に係合するようにしたものである。
【0040】
次に、図5(a)に示す炎孔構造74は、ベース部材74aの周壁内面に長手方向全長に渡って段部74bを設けると共に、周壁内面に炎孔部材51が係合する切り欠き部74cを全長に渡って設けた構造である。この構造によれば、開口部材51aの炎孔54の近傍に段部74b部分の周壁内面が位置するので、周壁内面が保炎板の機能を呈する。従って、新たに保炎板を設けなくても良く、構造が簡単である。尚、本実施形態では、段部74bにおける周壁の高さHは炎孔54の最下端から概ね1〜2mmとし、開口部材51aの頂部と周壁の頂部とをほぼ揃えている。
【0041】
図5(b)に示す炎孔構造75は、開口部材75aに特徴を有したものである。則ち、前記した開口部材では、炎孔54を開口部材上面に2列に渡って連設したものであった。しかし、本実施形態では開口部材75aの炎孔75bを千鳥状に2列に渡って配し、ベース部材50の周壁の頂部50dが開口部材75aの側方に位置する構造としている。この構造によれば、ベース部材(垂直壁)50の頂部50dが炎孔75bの近傍に位置するので、頂部50dが保炎板の機能を呈して安定な火炎が得られる。
【0042】
図5(c)に示す炎孔構造76では、ベース部材(垂直壁)50の内面に切り欠き部76aを設け、この切り欠き部76aに開口部材51aの脚部を挿入して係合させるもので、少ない部材で安定な取付ができる。図5(d)に示す炎孔構造77はベース部材50の外面に切り欠き部77aを設けた構造を有している。
【0043】
尚、本発明の炎孔構造は前記した実施形態に限らず種々の構造を採りうるものであり、保炎板或いは流路調整板なども必要に応じて設けた構造とすることができる。
【0044】
(実施例)
次に、前記した本発明の炎孔構造を燃焼装置に適用した実施例を図面を参照して説明する。
図6は、本発明の実施形態の燃焼装置の断面図である。図7は、本発明の実施例の燃焼装置の分解斜視図である。図8は、図6の燃焼装置の燃焼部近傍の斜視図である。図9は、図6の燃焼装置で採用する分流部材の正面図である。図10(a)は、図6の燃焼装置で採用する炎孔プレートと、炎孔部材と分流部材を組み合わせた状態の正面図であり、(b)は、その部分拡大図である。図11は、図10(a)のA−A断面図である。図12は、図6の燃焼装置で採用する炎孔プレートの裏面中央部分の拡大図である。図13は、図6の燃焼装置の炎孔近傍の斜視図である。図14は、図8のA−A断面図である。図15は、図8のB−B断面図である。図16は、本発明の実施例の燃焼装置の予混合部周辺の断面斜視図である。図17は、本発明の実施例の燃焼装置の予混合部の気化室内部を示す断面図である。図18は、図17の縦断面図である。
【0045】
図6において、1は、本発明の実施例の燃焼装置を示す。本実施例の燃焼装置1は、給湯器に内蔵されるものであり、送風機2、駆動機械部3、空気量調節部5、混合部6及び燃焼部7が順次積み重ねられて作られたものである。また混合部6及び燃焼部7の近傍に予混合部8が設けられている。
【0046】
順次説明すると、送風機2は、鋼板を曲げ加工して作られた凹状のハウジング10の中にファン11が回転可能に配されたものである。ハウジング10の中央部には、開孔12が設けられている。
【0047】
駆動機械部3は、箱体13を有し、その底板15の中央にモータ16が取り付けられている。モータ16は、両端部から回転軸17,18が突出しており、回転軸17,18は、燃焼装置1の略全長を貫通している。そして後記する様に、モータ16の後端側の回転軸17は、ファン11に接続され、前方側の回転軸18は、予混合部8のロータリーカップ(回転部材)63に接続されている。
また駆動機械部3の内部には、ステッピングモータ(原動機)20が設けられている。
【0048】
空気量調節部5は、図7に示すように移動側板状部材22と固定側板状部材23によって構成されている。移動側板状部材22は、図7に示すように円板状をしており、中央に軸挿通孔25が設けられている。そしてその周囲に空気孔となる開孔26,27,28が設けられている。中心側のエリアに設けられた開孔26は、略三角形であり、6個、等間隔に設けられている。一方、外側を取り巻くエリアには6個の略長方形の開孔が設けられている
このように、移動側板状部材22には、3種類の開孔26,27,28が設けられているが、これらの周方向の辺は、いずれも移動側板状部材22の中心と同一中心の円弧である。
移動側板状部材22の外周部の一部には、歯車形状30が形成されている。歯車形状30のピッチ円中心は、移動側板状部材22の中心(軸挿通孔25)と一致する。歯車形状30は、移動側板状部材22の中心に対して概ね30ーの範囲で設けられている。
【0049】
一方、空気量調節部5の固定側板状部材23は、長方形の板体であり、周囲には図示しないフランジ部が設けられている。固定側板状部材23の面積は、前記した移動側板状部材22よりも大きく、両者を重ねたとき、移動側板状部材22は固定側板状部材23にすっぽりと覆われる。逆にいえば、固定側板状部材23の端部は移動側板状部材22からはみ出す。
【0050】
板状の部位の中心部分には、前記した移動側板状部材22と略同一形状の開孔が設けられている。即ち空気量調節部5の固定側板状部材23には、中央に軸挿通孔25'が設けられている。そしてその周囲に空気孔となる開孔が二重のエリアに分かれて設けられている。中心側のエリアに設けられた開孔26'は、略三角形で6個等間隔に設けられ、外側のエリアには略長方形の溝状の開孔27'が設けられている。
また固定側板状部材23の他の部位には、多数の小孔31が設けられている。小孔31が設けられた位置は、固定側板状部材23の上に移動側板状部材22を重ねた時に、両者が重複しない部位である。即ち小孔31は、固定側板状部材23のはみ出し部分に設けられている。
【0051】
空気量調節部5は、固定側板状部材23の上に移動側板状部材22が重ねて形成される。移動側板状部材22は、固定側板状部材23の上で中央に軸挿通孔25を中心として相対的に回転可能である。移動側板状部材22の回転により、後記する様に移動側板状部材22と固定側板状部材23を連通する開孔の面積が変化する。
【0052】
混合部6、燃焼部7及び予混合部8は、分流部材35と炎孔プレート36を中心として構成されている。
分流部材35は、図9に示すように、長方形をした板状の部材であり、中央に大きな開孔37が設けられている。また周部には、中程度の開孔38が取り巻いている。そしてその中間部には、小さな開孔40が多数設けられている。小さな開孔40は、図の様に列となって長手方向に連なって設けられている。
【0053】
炎孔プレート36は、アルミダイカストによって作られたものであり、図10の様に長方形をしている。そして炎孔プレート36には、複雑な枠組と開孔及び溝が設けられている。
即ち炎孔プレート36は、図8および図10に示すように、外周を囲む外側燃焼壁41を持ち、この外側燃焼壁41の内側にやや背の高い内側燃焼壁43が設けられている。内側燃焼壁43の内部は、実際に火炎が発生する部分であり、燃焼部7として機能する。
炎孔プレート36の内部には、燃焼壁41,43に対して垂直方向(設置方向は水平)に水平壁44が設けられている。
【0054】
前記した様に、炎孔プレート36は、外側燃焼壁41と内側燃焼壁43が設けられているので、これらの間は、環状の溝が形成されている。そしてこの環状の溝45のそれぞれの辺には、各2本ずつ、長細い開孔46が設けられている。
また内側燃焼壁43で囲まれた中央部には円形の開孔47が設けられている。さらに内側燃焼壁43内には、多数の溝48は、図8,11,12の様に、垂直壁50によって仕切られて設けられている。
そして溝48を構成する垂直壁50は、図8、12の様に二組つがループを構成していて、島状の部位を形成している。そしてループを構成していない組み合わせの垂直壁同士の間に、図8の様に炎孔部材51が装着されている。
炎孔部材51の装着は、図2(b)に示したように、まず流路調整板50aを炎孔部材51の開口部材51a内部に圧入し、流路調整板50aの弾性力によって炎孔部材51に係合させる。そして、炎孔部材51の脚部51fを垂直面50の内部に沿わせて下方に向けて圧入すれば、開口部材51aの弾性力によって、図2(c)に示すように容易に垂直面(ベース部材)50に係合させて取り付けることができる。
本実施例では、炎孔部材51の側縁に設けた保炎板51bの中央に切り欠き51cを設けており、これによって、隣接する炎孔部材51との間の火移りを良くして着火性を向上させている。
【0055】
炎孔プレート36の裏面には、図7,8,11の様に分流部材35が装着されている。
炎孔プレート36の裏面側では、前記したように垂直壁50は、図3、11の様に二組つがループを構成していて、島状の部位を形成し、さらに垂直壁50の突端部分に分流部材35が当接しているので、島状の部位は他の部位から隔離されている。即ち、島状の部位と他の部位との間に通気性はない。そして島状の部位以外の部位は気化ガスと空気との混合を促進しつつ炎孔部材51に混合ガスを送る通路56として機能する。また当該部位は、混合部としても機能する。島状の部位は、前記「混合ガスを送る通路56」を経ずに燃焼部7に空気を供給する二次空気供給路49として機能する。
【0056】
分流部材35の中央の大きな開孔37は、炎孔プレート36の中央の開孔47と連通する。また分流部材35の周囲に設けられた中程度の大きさの開孔38の群は、炎孔プレート36の外側燃焼壁41と内側燃焼壁43の間に設けられた長細い開孔46と連通する。さらに分流部材35の小さな開孔40は、炎孔プレート36のループを構成する組み合わせの垂直壁50同士の間の部位に位置する。即ち分流部材35の小さな開孔40は、二次空気供給路49に開孔する。炎孔部材51が設けられたループを構成していない組み合わせの垂直壁同士の間には、分流部材35の開孔は無い。即ち混合部6には分流部材35の開孔は無い。
【0057】
炎孔プレート36と分流部材35は、上記した状態に組み合わされ、外箱53内に配置されている。なお外箱53と炎孔プレート36及び分流部材35の間には、図6,8に示すように空隙55がある。
【0058】
次に予混合部8について説明する。予混合部8は、気化室60と、ロータリーカップ(回転部材)63によって構成されている。
また気化室60は、蓋部81と本体部82によって構成されている。そして気化室60の外周部、より詳細には気化室60の蓋部81の外周には、図16の様に歯車の様な凹凸形状をした表面積増大部83が設けられている。
気化室60は、図6,16の様に、炎孔プレート36の中央の開孔47部分に取り付けられており、炎孔プレート36の内側燃焼壁43に囲まれた部位であって炎孔プレート36の中央にあり、炎孔となる開孔54に囲まれていて燃焼部7に近接して位置する。
【0059】
気化室60の内面は、図16,図18の様に上部に開くテーパー形状をしており、気化室60の形状は、略円錐台形状をしている。即ち気化室60は、下部に開口部84を有し、開口部84の近傍部分が狭く、内部が広い。また開口部84の近傍には突起部85が設けられている。突起部85の断面形状は、略半円形であり、気化室60の内壁に沿って環状に延びている。そのため気化室60の開口部近傍はテーパ形状と突起部85とがあいまって、狭窄部80を構成している。
また前記した突起部85の内部には、電気ヒータ64が内蔵されている。即ち突起部85は加熱機能を持つ。電気ヒータ64に通電することにより、突起部85の部分が発熱し、さらにこの熱が気化室60の壁を伝導し、気化室60の内壁が全体的に加熱される。
また気化室60の壁内には温度センサー90が内蔵されており、電気ヒータ64は、温度センサー90の検知温度に基づいてオンオフ制御される。
【0060】
ロータリーカップ63は、すり鉢状をしていて、上部には、振り切り板状部材68が取り付けられている。またロータリーカップ63の下部の中央には開孔87が設けられている。ロータリーカップ63の下部の開孔87はテーパ状であって、奥に行くほど開孔径が狭くなっている。
そしてロータリーカップ63の下部中央の開孔87には、一次空気供給筒88が挿入されている。一次空気供給筒88は、先端が漸次細くなったテーパ状である。一次空気供給筒88の最先端の開口部の位置は、気化室60の内部であって、突起部85のさらに奥に位置する。即ち一次空気供給筒88の最先端の開孔は、電気ヒータ64の配置位置よりも気化室60の奥側に位置する。
一方、一次空気供給筒88の下端は、一次空気導入口70に繋がっている。一次空気導入口70は、図6,図7の様に、下端がラッパ状に開くものであり、その開孔直径は、移動側板状部材22の中心側のエリアの直径に略等しい。一次空気供給筒88は、一次空気を供給する供給路の始端である。
一次空気供給筒88以外から供給される空気は、全て二次空気として機能するから、本実施例では、一次空気を供給する供給路は、二次空気の供給路に包囲されている。
【0061】
一次空気供給筒88の内部には、燃料パイプ79が配管されており、燃料パイプ79はロータリーカップ63内に至っている。
さらに本実施例で採用するロータリーカップ63は、図17,18の様に外周部に攪拌翼86が設けられている。
【0062】
次に、本実施例の燃焼装置1の各部の組み立て構造について説明する。
本実施例の燃焼装置1は、最初に説明した様に、送風機2、駆動機械部3、空気量調節部5が中心軸を一致させて順次積み重ねられたものであり、駆動機械部3の底板状部材部15に送風機2が直接的にネジ止めされている。即ち本実施例では、送風機2の回転中心と空気量調節部材5の軸挿通孔25(移動側板状部材22の回転中心)とロータリーカップ63の回転中心が同一軸線上に並べられている。
【0063】
そして駆動機械部3の上部に空気量調節部5がネジ止めされている。また駆動機械部3に設けられたステッピングモータ20に図7の様な歯車67が設けられており、当該歯車67は、空気量調節部5の移動側板状部材22の歯車形状30と嵌合している。そのためステッピングモータ20を回転させることにより、移動側板状部材22を固定側板状部材23に対して回転させることができる。即ち移動側板状部材22に設けられた歯車形状30は、そのピッチ円中心が移動側板状部材22の回転中心(軸挿通孔25)と一致するから、移動側板状部材22自体が一つの歯車として機能し、ステッピングモータ20に取り付けられた歯車67と嵌合する。そのため移動側板状部材22の歯車形状30は、ステッピングモータ20に取り付けられた歯車67と円滑に嵌合し、ステッピングモータ20の回転によって移動側板状部材22が回転する。
【0064】
また空気量調節部5の上部には、混合部6及び燃焼部7が設けられているが、混合部6と空気量調節部5の境界たる分流部材35に、ラッパ状の一次空気導入口70が設けられている。一次空気導入口70の中心軸は、空気量調節部5の移動側板状部材22のそれと一致し、且つ前記した様に一次空気導入口70の開孔直径は、移動側板状部材22の中心側のエリアの直径に略等しいので、一次空気導入口70は移動側板状部材22の中心側のエリアを覆う様に位置することとなる。従って移動側板状部材22の中心側のエリアから排出された空気は、主として一次空気導入口70によって捕捉される。
そして一次空気導入口70は、前記した一次空気供給筒88に直接的に連通し、前述の様に直接的に予混合部8の気化室60内に開孔している。従って移動側板状部材22の中心側のエリアから排出された空気は、前記した様に主として一次空気導入口70によって捕捉され、一次空気供給筒88を経由して直接的に予混合部8の気化室60内に導入される。
【0065】
また駆動機械部3のモータ16の回転軸18は、空気量調節部5の中央の軸挿通孔25,25'を連通して一次空気導入口70(一次空気供給筒88)を通過し、気化室60のロータリーカップ63に接続されている。
従ってロータリーカップ63は、モータ16の動力によって回転する。またモータ16の後端側の回転軸17は、ファン11にも接続されているから、本実施例では、単一のモータ16によって予混合部8のロータリーカップ63とファン11の双方が駆動される。
なお軸挿通孔25は、移動側板状部材22の回転中心でもあるから、移動側板状部材22が回転する際に移動することはない。そのため軸挿通孔25,25'にモータ16の回転軸18があっても、移動側板状部材22の回転の妨げとならない。また前記した様に、空気量調節部5の移動側板状部材22と固定側板状部材23は、ウェーブワッシャ33によって互いに押圧されているが、回転軸18は、ウェーブワッシャ33の中心の開孔を通っている。
【0066】
次に本実施例の燃焼装置1の機能について説明する。
本実施例の燃焼装置1では、モータ16を起動してファン11とロータリーカップ63を回転させる。
ファン11の回転により、図6の矢印の様に送風機2のハウジング10の中央部に設けられた開孔12から空気が吸い込まれ、空気は駆動機械部3に入る。そして空気は、駆動機械部3から上部の空気量調節部5を経て混合部6側に流れるが、本実施例の燃焼装置1では、空気量調節部5によって流量調整される。
【0067】
本実施例で採用する空気量調節部5は、板状の部材を重ね合わせたものであるから密着性が高く、空気の漏れが少ない。特に本実施例では、ウェーブワッシャ33によって固定側板状部材23を移動側板状部材22側に押圧しているので、両者の間から空気が洩れる余地は少ない。
本実施例の燃焼装置1では、ステッピングモータ20は、送風機2の送風量に応じて動作される。送風機2の送風量は、送風機2のモータを流れる電流値と相関関係がある。
本実施例の燃焼装置1では、送風機2の送風量が多い場合は、空気量調節部5を開いて中心側のエリアAから高い比率で空気を排出する。その結果、予混合部8により多くの割合で空気が導入される。一方、送風機2の送風量が少ない場合は、図7の様に空気量調節部5を閉じ、中心側以外の部位から排出される空気の比率を高める。そして一次空気の比率が減少し、二次空気の比率が上昇する。
【0068】
空気量調節部5を通過した空気は、大きく4つの方向に別れて下流側に流れる。即ち中心部のエリアAを通過した空気は、直接的にラッパ状の一次空気導入口70に捕捉され、これと連通する一次空気供給筒88から気化室60の中に送風される。
【0069】
また他の一部は、分流部材35に設けられた多数の小口径の開孔40の多くから、炎孔プレート36のループを構成する組み合わせの垂直壁50同士の間の部位に流れる。即ち分流部材35に設けられた多数の小口径の開孔40の多くから、混合部を経ずに燃焼部7に空気を供給する二次空気供給路49に空気が流れる。
また分流部材35に設けられた小口径の開孔40の中の、最も外側に配された開孔は、炎孔プレート36の外側燃焼壁41と内側燃焼壁43の間に設けられた長細い開孔46と連通し、当該開孔40に入った空気は、外側燃焼壁41と内側燃焼壁43によって構成される二次空気供給用の環状溝45を流れる。
さらに分流部材35の周囲に設けられた中程度の大きさの開孔38から入った空気は、外箱53と炎孔プレート36の間の二次空気供給用の空隙55に流れる。
【0070】
そしてファン11の送風により、上記した様に予混合部8内に一次空気が導入され、気化室60を通風雰囲気とする。また突起部85に内蔵された電気ヒータ64に通電して発熱させ、突起部85を中心として気化室60の内壁全体を昇温させる。この状態において、燃料パイプ79から液体燃料をロータリーカップ63内に滴下する。
滴下された液体燃料は、ロータリーカップ63から遠心力を受け、ロータリーカップ63の斜面を登り、振り切り板状部材68から飛散する。そして飛散した液体燃料は、ロータリーカップ63の周囲に配された傾斜面65に接触し、熱を受けて気化する。
そしてロータリーカップ63と一体化された攪拌翼86によって気化室60内の空気が攪拌され、燃料ガスと空気との混合が促進される。
【0071】
こうして発生した混合ガスは、図18の矢印の様に、ロータリーカップ63の外壁と気化室60の内壁によって形成される空隙95を流れて下部に向かう。即ち混合ガスは、気化室60の逆円錐台形状に傾斜した傾斜面65に沿って下方向に流れる。ここで気化室60の形状は、逆円錐台形状であり、開口部84に向かうにつれて断面積が漸次減少してゆき、混合ガスの通過面積も小さくなって行く。そのため混合ガスは、互いに衝突し、相互に攪拌される。そして混合ガスは、突起部85が設けられた狭窄部80に至る。ここで気化室60の開口部近傍に設けられた狭窄部80は、断面積が他の部位に比べて小さいばかりでなく、ロータリーカップ63の下部中央の開孔87に一次空気供給筒88が挿入されているので、混合ガスの流路は極めて狭い。そのため混合ガスの攪拌は、狭窄部80においてさらに進行する。また前記したように、混合ガスは気化室60の逆円錐台形状に傾斜した壁面に沿って下方向に流れるので、突起部85と直接的に衝突する。ここで本実施例の燃焼装置1では、突起部85の内部に電気ヒータ64が内蔵されており、突起部85の部分は特に他の部位に比べて高温である。そのため混合ガスは、当該部位で強く加熱される。
【0072】
こうして気化室60の開口部84から一次空気供給筒88を介して気化室60の内部、より具体的には電気ヒータ64よりも奥の位置に設けられた一次空気供給筒88から供給された空気は、気化室60の奥部の比較的広い部位に開放されて飛散した燃料と混合され、徐々に流路が狭められて燃料ガスと衝突・攪拌される。そして混合ガスは、最も流路が狭い部位を通過する際により高温の部位と接し、高温状態となって気化室60の下部の開口部84から排出される。そして気化室60を出た混合ガスは、一旦炎孔プレート36の裏面側の通路に流れ込む。なお混合ガスが開口部84から排出される際には、混合ガスは、一次空気供給筒88の外形形状たるテーパに沿って広がるので、混合ガスの広がりは一様であり、且つ流路抵抗も小さい。
【0073】
そして混合ガスは、図13,14の様にループを構成していない組み合わせの垂直壁50同士の間に流れ込み、上昇して炎孔54から噴射される。本実施例では、燃料ガス流路50bに流路調整板50aを設けることにより、各々の炎孔54から噴出する燃料ガスMの量を均一化して燃焼むらが発生しない構成としている。尚、図15は分流部材35の開孔40を通じて供給される二次空気の流れを示している。
【0074】
一方、他の部位から下流側に流れた空気は、燃料と混合されることなく、直接燃焼部7側に流れ込み、二次空気として燃焼に寄与する。即ち二次空気は、分流部材35に設けられた多数の小口径の開孔40の多くから、炎孔プレート36のループを構成する組み合わせの垂直壁50同士の間の部位(二次空気供給路49)に流れ、炎孔54の側面部に供給される。さらに炎孔プレート36の外側燃焼壁41と内側燃焼壁43の間に設けられた長細い開孔46から、炎孔54の上部側(下流側)に二次空気が供給される。さらに分流部材35の周囲に設けられた中程度の大きさの開孔38から入った空気は、外箱53と炎孔プレート36の間の空隙55に流れて、炎孔54から遠い位置に供給される。
【0075】
そして図示しない点火装置によって燃料ガスに点火されると、内側燃焼壁43の内側を火炎の基端部として燃焼が行われる。
【0076】
また本実施例の燃焼装置では、燃焼出力の変化に応じてステッピングモータ20が回動され、空気量調節部5の開孔量を変化させる。即ち燃焼量が増加し、送風機2が発生する送風量が多いときは、ステッピングモータ20を回動して固定側板状部材23と移動側板状部材22の開孔26,26'27,27',28が連通する方向に移動側板状部材22を回す。その結果、燃焼に寄与する空気量が増大するだけでなく、予混合部8に供給される一次空気の比率が上昇する。その結果、炎孔54から噴射される燃料ガスの濃度が低下する。
【0077】
逆に燃焼量が減少し、送風機2が発生する送風量が減少した場合は、移動側板状部材22の開孔26,27,28を固定側板状部材23の閉塞部と合致させる方向に移動側板状部材22を回す。その結果、燃焼に寄与する空気量が減少するだけでなく、予混合部8に供給される一次空気の比率が減少する。即ち、噴射する燃料ガスの濃度が濃くなり、その周囲に供給される空気が相対的に多くなる。
このように、高出力燃焼を行なっている場合に、予混合部8に供給される一次空気の比率を上げ、逆に低出力燃焼を行なっている場合に一次空気の比率を下げることによって、NOX (窒素酸化物)の排出量を減少させることが可能となる。
【0078】
本実施例の燃焼装置1では、予混合部8を構成する気化室60の内側形状が円錐形状であり、さらに開孔近傍に電気ヒータ64が内蔵された突起部85が設けられ、且つ一次空気供給筒88がテーパ状であって電気ヒータ64よりもさらに奥部に空気を供給するので、気化性能が高く、また混合ガスは均質である。そのため、炎孔54から噴射される混合ガスは、液滴を含まず、完全にガス化している。したがって本実施例の燃焼装置1は、火炎が安定している。
【0079】
また本実施例の燃焼装置1では、予混合部8は、燃焼部7の近傍に配置されているので、燃焼が開始されると、気化室60が火炎によって加熱される。特に本実施例の燃焼装置1では、気化室60の外周部に凹凸形状の表面積増大部83が設けられているので、気化室60は、より強く加熱される。そのため気化室60内の温度が上昇し、燃料の気化がさらに促進される。
【0080】
なお、本実施例の燃焼装置1を製作する場合には、予混合部8及び燃料ガスの経路が断熱塗料によって保温することが望ましい。即ち予混合部8の頂部8a及び外周面8bに断熱塗料を塗布することが推奨される。ここで断熱塗料は、例えば無機質系中空ビーズ(セラミック系無機バルーン)を素材としたものである。より具体的には、組成がアルミナシリケートであり、中空球体又は真球微粒子形状をしており、粒子径は、概ね5〜300μmである。また熱分解温度は、330℃程度であり、アクリル・スチレン系のバインダーが採用されている。
【0081】
予混合部8の頂部8a及び外周面8bに断熱塗料を塗布することにより、予混合部60からの熱放散が減少する。また特に予混合部8の頂部8aは、燃焼時においても火炎によって加熱されにくい部位であり、予混合部8の頂部8a及び外周面8bに断熱塗料が塗布することにより、当該部位からの熱放散が抑制され、燃料の気化が促進される。
【0082】
また分流部材35の外側、言い換えると分流部材35の下流側或いは送風が当接する側の面や、炎孔プレート36のループを構成する垂直壁50の内外面、炎孔プレート36の外側燃焼壁41の外側及び内側燃焼壁43の外側、分流部材35の内側や炎孔プレート36の水平壁44の内外面、炎孔プレート36の外側燃焼壁41の内側、内側燃焼壁43の内側等についても、断熱塗料を塗布しておくことが望ましい。
【0083】
【発明の効果】
請求項1に記載の本発明によれば、ねじなどを用いることなく炎孔部材をベース部材に係合させて容易に取り付けることができる。これにより、部材を削減し製造工程を簡略化できる。
また、保炎板によって脚部を形成するので構造が簡略化されると共に、保炎板によって火炎が安定する。
請求項に記載の本発明によれば、開口部材によって脚部を形成するので構造が簡略化される。また、保炎板の側縁を燃料ガス流路周壁の頂部に当接させることにより、炎孔部材の位置決めを行うこともできる。
請求項に記載の本発明によれば、保炎板の切り欠きによって隣接する炎孔部材側への火移りが良くなり、着火性が向上する。
請求項に記載の本発明によれば、流路構成部材を媒体として炎孔部材をベース部材に取り付けることができ、構造が簡単になる。また燃料ガスは流路構成部材を流れるので、安定した燃料ガスの供給ができる。
請求項に記載の本発明によれば、炎孔部材の各々の炎孔から噴出する燃料ガスの噴出量を均一化することができ、火炎むらが低減する。
請求項に記載の本発明によれば、ベース部材を一旦炎孔部材の内部に係合させた後に、この炎孔部材をベース部材に取り付けるような構造を採ることができ、構造が簡単になる。また、流路構成部材によって安定した燃料ガスの供給が行える。
請求項に記載の本発明によれば、炎孔部材の位置決めが容易で安定した係合が得られ、構造が簡略化される。
請求項に記載の本発明によれば、周壁の頂部によって火炎が保炎されて安定する上、保炎板を別に設けなくても良く構造が簡略化される。
請求項に記載の本発明によれば、周壁内面の段部によって火炎が保炎されて安定する上、保炎板を別に設けなくても良く構造が簡略化される。
また、請求項1に記載の本発明によれば、燃料ガス流路内に2次空気などが混入することがなく、安定した燃焼が得られる。また、流路構成部材をベース部材内に確実に保持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る実施形態の炎孔構造を示す分解斜視図である。
【図2】 (a)は本発明に係る実施形態の炎孔構造の斜視図、(b),(c)は炎孔部材の取り付け状態を示す断面図である。
【図3】 (a)は流路構成部材の動作説明図、(b)は(a)のA−A矢視断面図、(c)は別の実施形態の炎孔構造を示す断面図である。
【図4】 (a)〜(c)は各々本発明に係る別の実施形態の炎孔構造を示す断面図である。
【図5】 (a)〜(d)は各々本発明に係る別の実施形態の炎孔構造を示す断面図である。
【図6】 本発明の実施例の燃焼装置の断面図である。
【図7】 本発明の実施例の燃焼装置の分解斜視図である。
【図8】 図6の燃焼装置の燃焼部近傍の斜視図である。
【図9】 図6の燃焼装置で採用する空気量調節部の移動側板状部材の正面図である。
【図10】 (a)は、図6の燃焼装置で採用する炎孔プレートと、炎孔部材と分流部材を
組み合わせた状態の正面図であり、(b)は、その部分拡大図である。
【図11】 図10(a)のA−A断面図である。
【図12】 図6の燃焼装置で採用する炎孔プレートの裏面中央部分の拡大図である。
【図13】 図6の燃焼装置の炎孔近傍の斜視図である。
【図14】 図8のA−A断面図である。
【図15】 図8のB−B断面図である。
【図16】 本発明の実施例の燃焼装置の予混合部周辺の断面斜視図である。
【図17】 本発明の実施例の燃焼装置の予混合部の気化室内部を示す断面図である。
【図18】 図17の縦断面図である。
【図19】 従来の炎孔プレートを説明する分解斜視図である。
【図20】 従来の燃料ガスの流れを説明する断面図である。
【符号の説明】
50 ベース部材
50a 流路構成部材(流路調整板)
50b 燃料ガス流路
50d 周壁の頂部
51 炎孔部材
51a 開口部材
51b 保炎板
51c 保炎板の切り欠き
51e 開口部
51f 脚部
54 炎孔
74b 段部
M 燃料ガス

Claims (10)

  1. ベース部材と炎孔部材によって構成される炎孔構造であって、ベース部材は燃料ガスが通過する一面が開放された燃料ガス流路を有し、炎孔部材は炎孔を構成する開口部と脚部を備え、前記炎孔部材は脚部がベース部材と係合してベース部材に取り付けられ、炎孔部材の開口部がベース部材の開放面を覆い、燃料ガス流路は周壁によって構成され、炎孔部材は中央に炎孔を構成する開孔列が設けられた開口部材と、開口部材の側面に設けられた保炎板を備え、前記保炎板によって脚部が形成され、脚部が燃料ガス流路の周壁の内面又は外面と係合することを特徴とする炎孔構造。
  2. 燃料ガス流路は周壁によって構成され、炎孔部材は開口部材と、開口部材の側面に設けられた保炎板を備え、前記開口部材は弾性を有する板材によって作られ、中央に炎孔を構成する開孔列が設けられていると共に開孔列の両端側折り曲げられ、折り曲げられた部位の先端部は保炎板から露出していて燃料ガス流路の周壁の内面又は外面と係合することを特徴とする請求項1に記載の炎孔構造。
  3. 炎孔部材には保炎板が設けられ、当該保炎板の一部に切り欠きが設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の炎孔構造。
  4. ベース部材と炎孔部材によって構成される炎孔構造であって、ベース部材は一面が開放された周壁と当該周壁に内蔵された流路構成部材からなり、流路構成部材は端部が周壁から露出し、炎孔部材は炎孔を構成する開口部と脚部を備え、前記炎孔部材は脚部が流路構成部材の露出部分と係合してベース部材に取り付けられ、炎孔部材の開口部がベース部材の開放面を覆うことを特徴とする炎孔構造。
  5. 周壁は所定の長さを有し、燃料ガスは周壁の長手方向に沿って流れ、流路形成部材の断面積は燃料ガスの流れ方向に向かって漸次流路面積が減少していることを特徴とする請求項4に記載の炎孔構造。
  6. ベース部材と炎孔部材によって構成される炎孔構造であって、ベース部材は一面が開放された周壁と、燃料ガスの流れ方向に沿って漸次流路面積が減少する流路構成部材からなり炎孔部材は炎孔を構成する開口部と脚部を備え、前記炎孔部材は脚部がベース部材と係合してベース部材に取り付けられ、炎孔部材の開口部がベース部材の開放面を覆うことを特徴とする炎孔構造。
  7. ベース部材と炎孔部材によって構成される炎孔構造であって、ベース部材は一面が開放された周壁を有し、当該周壁の内面又は外面に切り欠き部が設けられ、炎孔部材は炎孔を構成する開口部と弾性を有する脚部を備え、前記炎孔部材は脚部がベース部材の切り欠き部と係合してベース部材に取り付けられ、炎孔部材の開口部がベース部材の開放面を覆うことを特徴とする炎孔構造。
  8. ベース部材と炎孔部材によって構成される炎孔構造であって、ベース部材は一面が開放された周壁を有し、炎孔部材は炎孔を構成する開口部と弾性を有する脚部を備え、前記炎孔部材は脚部がベース部材の周壁の内面と係合してベース部材に取り付けられ、炎孔部材の開口部がベース部材の開放面を覆い、炎孔部材の側方に周壁の頂部が位置し、炎孔部材から発生する火炎が周壁の頂面と接することを特徴とする炎孔構造。
  9. ベース部材と炎孔部材によって構成される炎孔構造であって、ベース部材は一面が開放された周壁を有し、当該周壁の内面段部が設けられ、炎孔部材は炎孔を構成する開口部と弾性を有する脚部を備え、前記炎孔部材は脚部がベース部材と係合してベース部材に取り付けられ、炎孔部材の開口部がベース部材の開放面を覆い、炎孔部材の開口部の近傍に前記段部が位置することを特徴とする炎孔構造。
  10. 前記ベース部材は、前記開放面と対向する側に底板を設けていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の炎孔構造。
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