JP4354580B2 - ゴルフクラブシャフトおよびその製造方法 - Google Patents

ゴルフクラブシャフトおよびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴルフクラブシャフトおよびその製造方法に関するものであり、特、繊維強化樹脂層の積層体から構成されるゴルフクラブシャフトにおいて、グリップ装着側の後端部に外周面に段差を発生させることなく補強層を設けるものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、繊維強化樹脂層の積層体から構成されるゴルフクラブシャフトが提供されており、この種のゴルフクラブシャフトは、軽量で高強度である炭素繊維強化樹脂等の材料を使用することにより軽量化が可能になり、かつ、種々の重量のシャフトを設計することが可能となっている。よって、金属製のゴルフクラブシャフトに比較して、設計自由度が高いことが大きな特徴である。また、繊維強化樹脂製のゴルフクラブシャフトは、異なる物性の材料を組み合わせたり、繊維の角度を異ならせたり、さらに、部分的に積層数を増加したりすることにより、曲げ剛性、ねじれ剛性、重心位置、曲げ剛性分布、ねじれ剛性分布等のシャフトの諸物性の設計自由度も大きくなっている。さらにまた、シャフト形状の自由度も大きくなり、極端な太径化、細径化等も可能になっている。
【0003】
上記繊維強化樹脂製のゴルフクラブシャフトの製造方法としては、フィラメントワインディング製法(以下、FW法と略称する)とシートワインディング製法(以下、SW法と略称する)の2種類の製造方法が採用されている。FW法は、繊維の束を硬化前の液状樹脂の中を通して樹脂を含浸させてからマンドレル(中芯)に巻き付け、これを加熱硬化後脱芯してシャフトとする製法である。これに対してSW法は、予めシート状に加工された樹脂含浸繊維シート(プリプレグ)をマンドレルに巻き付ける製法である。
【0004】
上記SW法は、FW法に比べて利点が多い。まず、市販されている材料プリプレグの厚み、目付(単位面積当たりの重量)、樹脂比率(プリプレグ全体の重量に対する樹脂の重量の割合)、使用する繊維の性質等を相違させたものが多種類あり、これらの材料を組み合わせることにより、簡便に多種多様なシャフトを作製することができる。特に、樹脂比率については、FW法に比べて低樹脂(樹脂の比率が少ないのもの)が作製できるので、軽量シャフトを作製しやすい。
【0005】
また、FW法はマンドレルに対して繊維を巻き付けるので、シャフト軸線に対して平行に繊維を配置することができない。これに対して、SW法は、シャフト紬線に平行に繊維を配置することが可能であるので、FW法で製作されたシャフトに比べて曲げ剛性を高くしやすい。よって、FW法と比較してSW法はシャフトの軽量化を図り易い。さらに、FW法では巻き付けに、比較的大規模な専用の機械を使用し、SW法に比べて多くの設備が必要となると共に、生産工程がSW法に比べて複雑であるたるため、製品コストも一般に高くなる。SW法では、人間の手作業、または比較的簡便な機械により巻き付けることができるので、設備投資が少なく、生産コストも少ない。これらの利点から、現在ではほとんどの炭素繊維強化樹脂製シャフトがSW法によって作製されているのが現状である。
【0006】
これらに対して、FW法にもSW法に対して利点がある。シャフト形状に対する自由度は通常はFW法の方が大きい。ゴルフクラブシャフトでは、先端から後端にかけて徐々に外径が大きくなるようなテーパーを有するものが一般的である。これは、ヘッドを装着する部分の外径は、ヘッドのホーゼル(シャフトを挿入するための穴)の内径の制約があり、8.5mmから10mm程度にするのが一般的であり、また、グリップを装着する側の後端部の外径は、プレーヤーの握り易さを考慮して、13mmから25mmにするのが一般的だからである。テーパーがゴルフクラブシャフト全長に渡ってほば一定である様な一般的形状のシャフトの場合は、SW法でも特に不都合はない。しかし、ゴルフクラブシャフトの一部に部分的に径や肉厚を変えたい場合、FW法では容易に径を変えることができるが、SW法では簡単に変えることができない。即ち、シート状のプリプレグを部分的に巻き付けると、巻き付け不良(しわ)になりやすく、シャフト折れ等の不良の原因となる。
【0007】
よって、部分的に凸部や段差を有するゴルフクラブシャフトを製作する場合には、FW法が採用されている。但し、その場合は、前述のように軽量化や生産性等の面で不利になる。そのため、通常は、ゴルフクラブシャフトに部分的な膨出部や段差を有するような形状は避け、利点の多いSW法によって生産しているのが一般的である。
【0008】
ところで、本出願人は、特願平11−153823号に記載しているように、シャフトのグリップを装着する側の後端付近を部分的に補強することで、打球時のフィーリングが良好になることを確認している。この現象は全てのプレーヤーにおいて見られるものではないが、特定のプレーヤー、特に上級者に多く確認されている。この理由は、クラブと人間(プレーヤー)の唯一の接点であるグリップの部分にあたる後端付近の剛性を高くすることで、打球時の振動伝達やクラブの変形、シャフト全体の変形挙動、グリップ装着部におけるシャフトの変形等が変化し、ゴルファーのスィングフォームとの間のマッチングが改善されてフィーリングに影響を与えていると考えられる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このように、グリップ装着側の後端部付近を部分的に補強することが、フィーリング向上の点で有利であるが、SW法によりシャフトを作製する場合、部分的な補強層はシート状のプリプレグを部分的に巻き付けて設けるため、上記したように、巻き付け不良で皺が発生しやすく、シャフト折れ等の不良の原因となる。
【0010】
また、部分的補強層を形成する場合、補強層となるプリプレグを最外層に配置することが製作上で最も容易である。しかしながら、最外層に部分的補強層を設けると、補強層と非補強層の間に強化繊維の非連続部分(断絶した部分)が最外層に露出することになり、そこを起点として、層剥離あるいはシャフト折れ等が発生しやすくなる。
【0011】
上記問題を発生させないため、部分的補強層を最外層の内側に配置し、該部分的補強層の外側に最外層のプリプレグシートを巻き付けることがなされる。しかしながら、その場合には、補強層の存在により、補強層のある部分と補強層の無い部分の境界部においてテーパーの変化や段差が生じている。その上に、プリプレグシートを巻き付けることになるので、巻き付け不良(しわ)が生じやすくなる。よって、部分的補強層を最外側とした場合と同様に、巻き付け不良を起点として、シャフト折れ等の不具合が生じやすい。
【0012】
また、部分的補強層の厚みが段差発生の有無に影響し、部分的補強層の厚みが0.2mm以下の場合は巻き付け不良は発生しないか、発生しても実用上ほとんど問題ないレベルである。しかしながら、部分的補強層の厚みが0.3mm以上の場合は段差も大きくなって、巻き付け不良が生じやすくなる。
【0013】
このように、SW法により、厚みが0.3mm以上の部分的補強層を有するゴルフクラブシャフトを作製する場合、部分的補強層を最外層に設けると層剥離あるいはシャフト折れが発生しやすくなる問題があり、また、最外層の内側に配置する場合には巻き付け不良が生じやすくなる問題があった。
【0014】
本発明は上記した問題を解消せんとするもので、FW法と比較して種々の利点を有するSW法を採用してゴルフクラブシャフトを製作しながら、フィーリング向上のために、後端部に厚さ0.3mm以上の部分的補強層を設けた場合において、製作時の巻き付け不良がなく、かつ、外周面に段差を発生させず、シャフト折れ等が発生しにくいゴルフクラブシャフトを提供することを課題としている。
【0015】
【発明を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、シートワインディング製法にて作製されるカーボン繊維強化プリプレグの積層体からなり、ヘッドが装着される先端外径よりグリップが装着される後端外径にかけて拡径するテーパ状のゴルフクラブシャフトであって、
上記グリップ装着側の後端から先端に向かって200mm以上500mm以下の範囲内のXmmの位置がA点と定められ、後端からA点までのシャフトの内径が一定であり、かつ、後端からA点までの少なくとも一部または全部にカーボン繊維強化プリプレグからなる部分的補強層が積層され、該カーボン繊維の配向角度がシャフト軸線に対して平行、直交あるいは40〜50度で傾斜し、かつ、該部分的補強層がシャフトの最内層に位置されると共に、長さが100〜500mmで、厚みが0.3mm以上0.7mm以下とされ、
上記グリップ装着側の部分的補強層が設けられている範囲のシャフト外周面は、該部分的補強層が設けられていない非補強部分の外周面と段差を発生させることなく拡径しているゴルフクラブシャフトを提供している。
【0016】
ゴルフクラブシャフトの内径は、そのシャフトを作製する際に使用するマンドレルの外径に等しい。シャフトはヘッド装着側の先端よりグリップ装着側の後端にかけて徐々に拡径よりテーパとすることが要求されるので、マンドレルの外径もシャフトに準じたテーパが付与されている。
【0017】
シャフトに部分的補強層を設ける場合、該部分的補強層の配置位置と対応するマンドレル部分に、部分的補強層の厚みの分程度にテーパー形状に対して相対的に細くなる部分を設け、この部分の最内層に部分的補強層を配置すると、その外側に巻き付けるカーボン繊維強化プリプレグがテーパー変化が少ない状態で巻き付けられ、シャフト外周面に段差を発生させないと共に、巻き付け不良の発生を抑制することができると考えられる。
【0018】
その場合、部分的補強層の形状、位置、厚みに合わせて、マンドレルを作製することが好ましいが、その場合には後端補強シャフトの品番に応じて多数のマンドレルが必要となる。よって、1種類のマンドレルで共用できるようにすることが望ましい。また、部分的補強層の厚みが大きい場合でも、マンドレルの一部に逆テーパー部分を設けることとは出来ない。逆テーパーとは、シャフト先端(細径側)に対応したマンドレル先端からシャフト後端(太径側)に対応したマンドレル後端部にかけてのテーパーと逆のテーパーを意味する。シャフトを作製する場合には、マンドレルに材料を巻き付け、それを加熱硬化させたのち、マンドレルを先端側から後端側に引き抜いて脱芯しシャフトとするが、逆テーパー部分があると、当然に、脱芯することができなくなる。
【0019】
以上の点を考慮して、本発明者が後端補強のシャフトの試作実験を行ったところ、逆テーパーにならない範囲でマンドレルの径を部分的に出来るだけ細くするには、後端から500mm以下の範囲でマンドレルの外径を一定とすると、この外径一定範囲に厚さ0.3mm以上0.7mm以下の部分的補強層を配置しても、巻き付け不良が発生しにくく、かつ、該部分的補強層の存在部分の外周面に段差が発生しないことが判明した。なお、部分的補強層の厚みが0.7mmを越えると巻き付け不良によるシワの発生しやすくなるため、0.7mm以下とすることが好ましいが、より好ましくは、0.5mm以下であることも判明した。
【0020】
また、上記のように、部分的補強層のシャフト軸線方向の長さは100mm以上500mm以下としている。100mm未満になると補強効果が不十分となり、500mmを越えると部分的に補強することが出来なくなり、シャフト全体の剛性が大きくなる。
【0021】
上記実験結果に基づいて、本発明のゴルフクラブシフトを提供するものであり、かつ、該後端部補強のゴルフクラブシャフトの製造方法として、マンドレルの外周面にカーボン繊維強化プリプレグを積層して巻き付け、ラッピングした後に加熱硬化するシートワインデイング法を用い、上記マンドレルとして、繊維強化樹脂シートの巻付部分では、その後端から先端に向かって200mm以上500mm以下の範囲内のXmmの位置がA点と定められ、後端からA点までの外径を一定としたマンドレルを用い、この外径一定部分の最内周に部分的補強層となる繊維強化樹脂シート(プリプレグ)を巻き付け、その外周面にマンドレルの全長にわたる繊維強化樹脂シートを順次巻き付けて積層するゴルフクラブシャフトの製造方法を提供している。
【0022】
即ち、本発明のゴルフクラブシャフトの作製に用いるマンドレルは、単純なテーパ形状とせず、先端からA点まではシャフト内径に準じたテーパとしているが、シャフト後端からA点までのシャフト内径を一定にするため、この部分に対応するマンドレルの外径を−定としている。このように、マンドレルの外径を一定としているため、部分的補強層の厚みが0.3mm以上0.7mm以下であっても、巻き付け不良が減少し、重大な不良の発生を防ぐことができる。また、マンドレルから成形したシャフトを脱芯する際、逆テーパ部分はないため、容易に脱芯することができる。なお、上記マンドレルのテーパー無しの部分に部分的補強層となる繊維強化樹脂シート(プリプレグ)を巻き付ける時、テーパー無し部分よりもはみ出してもよいが、はみ出し長さが大きくなりすぎると、シワが発生しやすくなるので、はみ出し長さは300mm以下、好ましくは200mm以下で、100mm以下とすることが最も好ましい。
【0023】
ゴルフクラブシャフトにおいて、部分的補強層の配置位置のA点をグリップ装着側後端から500mm以下200mm以上としているのは、200mm未満では部分的補強層がゴルファーの手による把持位置からグリップ端側に片寄りすぎて、フィーリング向上に寄与しないためである。同様に、500mmを越えて先端側になってもゴルファーの把持位置から先端側へと寄り過ぎるためである。
【0024】
上記部分的補強層の繊維の配向角度をシャフト軸方向に対して平行すると、主として補強部分の曲げ剛性を高めることができる。よって、曲げ剛性を高めてフィーリングを向上させる観点からは、部分的補強層の繊維角度をシャフト軸線に対して略平行とすることが好ましい。
【0025】
また、部分的補強層の繊維の配向角度をシャフト軸方向に対して40°以上50°以下で傾斜させると、主としてねじれ剛性を高めることができる。よって、ねじれ剛性を高めてフィーリングを向上させる観点からは、部分的補強層の繊維角度をシャフト軸線に対して40°以上50°以下で傾斜させることが好ましい。
【0026】
さらに、部分的補強層の繊維の配向角度をシャフト軸方向に対して直交させると、主として補強部分のつぶし剛性を高めることができる。よって、つぶし剛性を高めてフィーリングを向上させる観点からは、部分的補強層の繊維角度をシャフト軸線に対して直交させることが好ましい。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、ゴルフクラブシャフト1の先端にはヘッド2が装着され、後端部外周面にはゴムまたは皮革からなるグリップ3が装着される。シャフト1はヘッド装着側の先端からグリップ装着側の後端にかけて外径D1が次第に拡径するテーパ状とされており、グリップ装着側の後端部の外周面にも段差を発生させずに、ヘッド装着側の先端からグリップ装着側の後端にかけて滑らかなテーパ状としている。
【0028】
シャフト1はシートワインディング製法にて作製される繊維強化樹脂層の積層体からなり、カーボン繊維強化プリプレグを積層して構成している。
【0029】
上記シャフト1は、図2に示すように、グリップ装着側の後端P1から先端に向かって200mm以上500mm以下の範囲のXmmの位置をA点と定め、このA点から後端にかけた範囲Zのシャフト1の内径D2を一定としている。この内径D2を一定とした範囲Zは部分的補強層5の配置領域とし、厚み0.3mm以上0.7mm以下の部分的補強層5を最内周面に配置している。この部分的補強層5もカーボン繊維強化プリプレグから構成しており、図2(A)に示すように、上記範囲Zの全体に部分的補強層5を配置してもよいし、図2(B)に示すように範囲Zの一部に部分的補強層5を配置してもよい。
【0030】
シャフト1は図3に示す金属製のマンドレル10にカーボン繊維強化プリプレグを所要数巻き付けた後にラッピングし、ついで、加熱硬化させ、マンドレル10から抜き取ってシャフト母材を形成し、このシャフト母材を所定寸法に切断し、研磨にて仕上げたものである。
【0031】
上記マンドレル10は、長さ方向の両端部を除くプリプレグ巻付部分10aにプリプレグが巻き付けられるもので、該プリプレグ巻付部分10aの外径をシャフト1の内径と一致させている。該マンドレル10は、先端10bからシャフト後端側のZ領域の先端A点に当たる位置10cまでは外径を次第に拡径し、位置10cから後端10dまでは外径D3を一定としている。具体的には、プリプレグ巻付部分10a全長Lを1143mmとした場合、該プリプレグ巻付部分10aの先端外径を3mmとし、A点に当たる位置10cがプリプレグ巻付部分10aの後端10eより200mmの時は位置10bより後端10dまでの外径を12.08mmとし、500mmの時は外径を9.19mmとしている。
【0032】
なお、図4に従来のマンドレル20を比較のために示す。従来のマンドレル20の外径は、先端20bより後端20dに向かって一定の傾斜角度とし、プリプレグ巻付部分20aの外径も一定の傾斜角度とされている。
【0033】
上記図3に示すマンドレル10に、カーボン繊維強化プリプレグを巻き付ける際、図5に示すように、シャフトのA点に当たる位置10cからプリプレグ巻付部分10aの後端10eの間、あるいは位置10cから後端10eまでの間の一部に、まず、部分的補強層5を構成するプリプレグ6を巻き付けている。その後、その外側に、繊維の配向角度がシャフト軸線に対して±45度のアングル層を構成するカーボン繊維強化プリプレグ7を各2回巻回し、それらを互いに180度分ずらして積層させている。その外側に、配向角度がシャフト軸線に対して実質的に平行としたストレート層を構成するカーボン繊維強化プリプレグ8を3回巻回している。上記カーボン繊維強化プリプレグ7および8はプリプレグ巻付部分10aの全長にわたる長さとしている。
【0034】
上記部分的補強層5を構成するプリプレグ6は、部分的補強層5の厚みが0.3mm以上0.7mm以下となるように、プリプレグ6の厚みに応じて所要枚数(1枚あるいは複数枚)を巻き付けている。このプリプレグ6の繊維配向角度は、シャフト軸線(マンドレル軸線)に対して、品番に応じて、略平行方向、直交方向あるいは40°以上50°以下で傾斜させている。なお、プリプレグ6を複数枚巻き付ける時は、繊維配向方向をシャフト軸線と平行、直交および傾斜させたものを積層してもよい。
【0035】
下記の表1に示すように、本発明の実施例1〜7のシャフトと、比較例1〜8のシャフトを作製し、部分的補強層を設けた部分における巻き付け不良の有無を調査した。
【0036】
【表1】
Figure 0004354580
【0037】
実施例および比較例のシャフトはいずれも、東レ(株)製のカーボン繊維強化プリプレグ8055S−12(厚み0.1053mm、炭素繊維含有率76wt%、CF引張り弾性率30,000kg、CF引っ張り強度560kg)のみを用いて作製した。プリプレグの積層構造は後端部付近の部分的補強層の仕様以外は全の実施例および比較例において同一とした。部分的補強層は最内層に配置し、その外側に繊維の配向角度がシャフト軸線に対して±45度のアングル層となるプリプレグを各2回巻回し、それらを互いに180度分ずらして積層した。その外側に、配向角度がシャフト軸線に対して実質的に平行としたストレート層となるプリプレグを3回巻回した。
【0038】
比較例1〜7は図4に示す全長にわたりテーパが一定のマンドレル20を用いて作製した。よって、部分的補強層の配置部分の内径は一定ではなく、グリップ装着側の後端に向かって拡径するテーパを有する形状となっている。言い換えると、表1に示すように、テーパ無しの部分を無しとしている。これに対して、実施例1〜3は、後端から500mmのA点から後端までの径が一定で、そのほかの形状は比較例と同一形状である図3に示すマンドレル10を使用した。また、実施例4〜7は、後端から200mmのA点から後端までの径が一定で、そのほかの形状は比較例と同一形状であるマンドレルを使用した。比較例8は実施例4〜7と同様にテーパ無し部分を後端から200mmの範囲に設けているが、部分的補強層の厚さを0.88mmとして、0.7mmを越える厚みとしている。
【0039】
表1中で補強範囲とは、補強層をもうけた位置を示すもので、シャフト後端と後端から100mmの間に補強層をもうけた場合は「0−100」と表記した。
【0040】
作製した実施例および比較例のシャフトについて、シャフトの断面を後端から200mmの位置と400mmの位置との2カ所で測定点で顕微鏡で観察し、その結果を4段階で絶対評価した。表1中において、「しわが殆ど見られず、強度上全く問題がない」は◎、「若干のしわが見られるが、経験則より判断して実使用上とくに強度が問題にはならない程度」は○、「比較的多くのしわが見られるが、経験則より強度上問題となる可能性はほとんどない」は△、「大変多くのしわがみられ経験則より強度上重大な問題がある可能性がある」は×で表示した。
【0041】
表1に示すように、比較例1〜3は、通常のテーパー状のマンドレルであるが、部分的補強層の厚みが0.11mmと比較的薄いため、断面観察評価はおおむね良好であった。これに対して、比較例4〜6では、部分的補強層の厚みを0.32mmとしているため、△や×の評価が多くなっていた。また、比較例7では、部分的補強層の厚みが0.63mmと更に厚くなり、評価は両測定点で×となっていた。
【0042】
これに対して、後端と後端か500mmの間の外径を一定したマンドレルを用いて作製した実施例1〜3では、部分的補強層の厚みが0.32mmと比較的厚くしているが、実施例1の補強範囲が100mmの狭い場合は△がみられるものの、×のような重大な不良がなかった。
【0043】
また、後端と後端から200mmの間の外径を一定したマンドレルを用いて作製した実施例4〜7では、部分的補強層の厚みを0.32mmと比較的厚くした実施例4〜6および、部分的補強層の厚みを0.63mmと厚くした場合の実施例7のいずれの場合も重大は不良はなかった。また、補強範囲を異ならせた4種の設計に対して、同一形状のマンドレルを使用しているにもかかわらず重大不良がみられなかった。さらに、実施例5ではテーパー無しの部分より補強範囲が100mmはみ出しており、実施例6では300mmはみ出していたが、この程度のはみだししても、重大不良は発生しないことも確認できた。
これに対して、実施例4〜7に使用したマンドレルと同一のマンドレルを用いて作製し、シャフト後端と該後端から200mmの間の内周面にはテーパーなしとした比較例8は、部分的補強層の厚さを0.88mmとしているため、×の評価となっていた。
【0044】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、本発明によれば、SW法でカーボン繊維強化プリプレグを積層して形成するゴルフクラブシャフトにおいて、グリップ装着側後端付近に厚さ0.3mm以上の部分的補強層を設けても、この部分的補強層に段差を発生させず、しかも、シャフト作製時にカーボン繊維強化プリプレグにしわの発生等の巻き付け不良発生を抑制することができる。よって、巻き付け不良によるシャフト折れ等の不具合を解消でき、かつ、グリップ装着側の後端付近に部分的補強層を設けることにより、フィーリング性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (A)は本発明のゴルフクラブシャフトの斜視図、(B)は断面図である。
【図2】 (A)(B)は図1の要部断面図である。
【図3】 本発明のシャフトの製作に用いるマンドレルの正面図である。
【図4】 従来のマンドレルの正面図である。
【図5】 マンドレルに巻き付けて、積層体を形成するプリプレグの模式図である。
【符号の説明】
1 シャフト
2 ヘッド
3 グリップ
5 部分的補強層
6、7、8 プリプレグ
10 本発明のシャフト製作時に用いるマンドレル
20 従来のマンドレル

Claims (2)

  1. シートワインディング製法にて作製されるカーボン繊維強化プリプレグの積層体からなり、ヘッドが装着される先端外径よりグリップが装着される後端外径にかけて拡径するテーパ状のゴルフクラブシャフトであって、
    上記グリップ装着側の後端から先端に向かって200mm以上500mm以下の範囲内のXmmの位置がA点と定められ、後端からA点までのシャフトの内径が一定であり、かつ、後端からA点までの少なくとも一部または全部にカーボン繊維強化プリプレグからなる部分的補強層が積層され、該カーボン繊維の配向角度がシャフト軸線に対して平行、直交あるいは40〜50度で傾斜し、かつ、該部分的補強層がシャフトの最内層に位置されると共に、長さが100〜500mmで、厚みが0.3mm以上0.7mm以下とされ、
    上記グリップ装着側の部分的補強層が設けられている範囲のシャフト外周面は、該部分的補強層が設けられていない非補強部分の外周面と段差を発生させることなく拡径しているゴルフクラブシャフト。
  2. 請求項1に記載のゴルフクラブシャフトの製造方法であって、
    マンドレルの外周面にカーボン繊維強化プリプレグを積層して巻き付け、ラッピングした後に加熱硬化するシートワインディング法を用い、
    上記マンドレルとして、上記カーボン繊維強化プリプレグの巻付部分では、その後端から先端に向かって200mm以上500mm以下の範囲内のXmmの位置がA点と定められ、後端からA点までの外径を一定としたマンドレルを用い、この外径一定部分の最内周に部分的補強層となる繊維強化樹脂シートを巻き付けているゴルフクラブシャフトの製造方法
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