JP2971374B2 - 管材の製造方法 - Google Patents

管材の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基端側から先端側
にかけて漸次小径となるテーパ状をなすとともに、軸方
向の一部にバランス調整材が配設され、ゴルフクラブ用
シャフト、釣竿用シャフト等として好適に使用されるF
RP製管材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ゴルフクラブ用シャフトとして、
カーボン繊維を主たる繊維強化材としたFRP製のもの
(いわゆるブラックシャフト)が多用されている。この
FRP製シャフトは、通常、平行に引き揃えたロービン
グに熱硬化性樹脂を含浸させて得たシート状のプリプレ
グをマンドレルに巻き付け、このプリプレグを加熱硬化
させた後、マンドレルを取り外すことにより製造されて
いる。
【0003】ゴルフクラブ用シャフトでは、バランスポ
イントの調整等のために、シャフトの一部に比重の大き
い鉛、タングステン等からなるバランス調整材を配する
ことが行われている。前述したFRP製のゴルフクラブ
用シャフトにおいて、シャフトの一部にバランス調整材
を配する手段としては、従来図5に示すように、マンド
レル52に巻き付けるプリプレグ54の層間の所用の部
分にバランス調整材56を巻き込み、この状態でプリプ
レグ54を加熱硬化させることにより、シャフト本体を
構成する繊維強化材の層間にバランス調整材56を埋め
込む手段が一般的である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、図5に示した
バランス調整材の配設手段は、プリプレグの層間にバラ
ンス調整材を埋め込むものであるため、下記のような欠
点を有するものであった。 (イ)バランス調整材の近傍の繊維強化材が蛇行し、シャ
フトの品質低下の原因になることがある。 (ロ)シャフトの外径に規制があり、シャフト本体の肉厚
を薄くする必要がある場合には、プリプレグの層間にバ
ランス調整材を巻き込む肉厚を確保できず、バランス調
整材を配設できないことがある。 (ハ)バランス調整材の体積分の繊維強化材がシャフト表
面に出っ張り、後工程の表面研磨の際に必要な繊維強化
材が切削されてしまい、製品不良となることがある。
【0005】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
で、繊維強化材中にバランス調整材を巻き込むことなく
管本体にバランス調整材を配設することができ、したが
って繊維強化材が蛇行してシャフトの品質が低下するこ
とを防止できるとともに、管本体の肉厚を薄くする必要
がある場合でもバランス調整材を配設することができ、
しかも管本体の表面に出っ張った繊維強化材が表面研磨
の際に切削されることのないFRP製管材の製造方法を
提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するため、基端側から先端側にかけて漸次小径となる
テーパ状をなすとともに、軸方向の一部にバランス調整
材が配設されたFRP製管材の製造方法であって、前記
管材に対応するテーパ状のマンドレルの外周面の所定箇
所に、底面の先端がマンドレルの外周面と連続し、かつ
底面がマンドレルの中心軸線と平行であるか、先端側に
向かうにしたがってマンドレルの中心軸線に近づくよう
に傾斜した切欠部を周方向に沿って形成するとともに、
該切欠部内にバランス調整材を充填して該充填後のマン
ドレルがスムースなテーパ状をなすようにし、さらに該
マンドレルに管本体を形成するプリプレグを巻き付けた
後、プリプレグを加熱硬化させることにより、管本体の
内壁にバランス調整材が固着した管材を得ることを特徴
とする管材の製造方法を提供する。
【0007】本発明では、マンドレルの外周面に形成し
た切欠部にバランス調整材を充填し、さらに管本体を形
成するプリプレグをマンドレルに巻き付けた後、プリプ
レグを加熱硬化させて管本体の内壁にバランス調整材が
固着した管材を得るので、管本体を形成する繊維強化材
中にバランス調整材を巻き込むことなく管本体にバラン
ス調整材を配設することができ、したがって繊維強化材
が蛇行してシャフトの品質が低下することを防止でき
る。また、バランス調整材分の体積はマンドレルに切欠
部を設けることによって作り出しているので、管本体の
肉厚を薄くする必要がある場合でも管本体にバランス調
整材を配設することができる。さらに、切欠部内にバラ
ンス調整材を充填した後のマンドレルがスムースなテー
パ状をなすようにするので、バランス調整材の体積分の
繊維強化材が管本体の表面に出っ張ることがなく、後工
程の表面研磨の際に必要な繊維強化材が切削されるよう
なことがない。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明で用いるマンドレルは、図
1において符号2で示すように、成形すべき管材に対応
するテーパ状をなし、かつ外周面の所定箇所に周方向に
沿って切欠部4が形成されたものである。マンドレル2
は、テーパ状をなした円柱状、楕円柱状、角柱状等の任
意の形状に形成することができるが、管材をゴルフクラ
ブ用シャフトとする場合はややテーパ状をなした円柱状
とする。また、切欠部4の形成位置、形成数及び大きさ
に限定はないが、管材をゴルフクラブ用シャフトとする
場合は、シャフトバランスの調整のためにシャフトの先
端部及びグリップ部の一方又は両方にバランス調整材を
配設することもある。なお、切欠部4はマンドレル2外
周の周方向において1周連続するように設けてもよく、
一部のみに設けてもよい。
【0009】切欠部4は、図2に示すように、底面6の
先端8がマンドレル2の外周面10と連続し、かつ底面
6がマンドレル2の中心軸線12と平行であるか(図2
A)、底面6が先端側に向かうにしたがってマンドレル
2の中心軸線12に近づくように傾斜したものである
(図2B)。切欠部の底面先端がマンドレル外周面と連
続せず、底面先端とマンドレル外周面との間に段部が介
在する場合や、切欠部の底面が先端側に向かうにしたが
ってマンドレルの中心軸線から離れるように傾斜する場
合は、成形品からマンドレルを引き抜くことができなく
なる。
【0010】本発明では、図3に示すように、マンドレ
ル2の切欠部4内にバランス調整材14を充填して充填
後のマンドレル2がスムースなテーパ状をなすように
し、さらにマンドレル2に管本体を形成するプリプレグ
16を巻き付ける。この場合、バランス調整材の材質に
限定はなく、プリプレグの硬化後に管本体の内壁に固着
し得るものであればどのようなものであってもよいが、
シート状のプリプレグを切欠部内に巻き付けて充填する
ことが特に好適であり、これにより管本体とバランス調
整材とが一体的に固着した管材を得ることができる。
【0011】上述したバランス調整材としてのプリプレ
グ及び管本体を形成するプリプレグとしては、例えば、
平行に引き揃えたロービングやクロス、マットといった
繊維強化材に熱硬化性樹脂を含浸させて作製したシート
状のものを用いることができる。この場合、繊維強化材
としてはカーボン繊維、ガラス繊維、金属繊維、アラミ
ド繊維、炭化けい素繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維等
の1種以上、熱硬化性樹脂としてはエポキシ樹脂、フェ
ノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の1種以上、副
資材としては触媒、促進剤、充填材、離型剤などを用い
ることができる。
【0012】管材をゴルフクラブ用シャフトとする場
合、管本体を形成するプリプレグとしては、繊維強化材
としてカーボン繊維、ボロン繊維、樹脂としてエポキシ
樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂を用い
たものが適当であり、またバランス調整材としてのプリ
プレグとしては、上記管本体を形成するプリプレグにタ
ングステン、鉄等の比重の大きい材料の粉粒物を含有さ
せたものを用いることができる。
【0013】本発明では、前記のようにマンドレルに管
本体を形成するプリプレグを巻き付け、プリプレグを加
熱硬化させた後、成形品からマンドレルを引き抜くこと
により、図4に示すように、管本体18の内壁にバラン
ス調整材14が固着し、最内層にバランス調整材が配設
された管材20を得るものである。
【0014】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は下記の効
果を奏する。 (a)管本体の内壁にバランス調整材を固着させるので、
管本体を構成する繊維強化材中にバランス調整材を巻き
込むことなく管本体にバランス調整材を配設することが
でき、したがって繊維強化材が蛇行して管材の品質が低
下することを防止できる。 (b)マンドレルに切欠部を設けることによってバランス
調整材分の体積を作り出しているので、シャフトの外径
に規制があり、管本体の肉厚を薄くする必要がある場合
でも、管本体にバランス調整材を配設することができ
る。 (c)切欠部内にバランス調整材を充填した後のマンドレ
ルがスムースなテーパ状をなすようにするので、バラン
ス調整材の体積分の繊維強化材が管本体の表面に出っ張
ることがなく、後工程の表面研磨の際に必要な繊維強化
材が切削されることがなく、この面での製品不良が生じ
ない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いるマンドレルの一例を示す正面図
である。
【図2】(A)及び(B)はそれぞれマンドレルの切欠
部を示す拡大説明図である。
【図3】マンドレルの切欠部内にバランス調整材を充填
し、さらにマンドレルにプリプレグを巻き付けた状態を
示す拡大断面図である。
【図4】本発明により製造した管材の一例を示す断面図
である。
【図5】従来のバランス調整材の配設手段を示す概念的
断面図である。
【符号の説明】
2 マンドレル 4 切欠部 6 底面 8 底面の先端 10 マンドレルの外周面 12 マンドレルの中心軸線 14 バランス調整材 16 プリプレグ 18 管本体 20 管材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // B29K 105:08 105:20 B29L 23:00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基端側から先端側にかけて漸次小径とな
    るテーパ状をなすとともに、軸方向の一部にバランス調
    整材が配設されたFRP製管材の製造方法であって、前
    記管材に対応するテーパ状のマンドレルの外周面の所定
    箇所に、底面の先端がマンドレルの外周面と連続し、か
    つ底面がマンドレルの中心軸線と平行であるか、先端側
    に向かうにしたがってマンドレルの中心軸線に近づくよ
    うに傾斜した切欠部を周方向に沿って形成するととも
    に、該切欠部内にバランス調整材を充填して該充填後の
    マンドレルがスムースなテーパ状をなすようにし、さら
    に該マンドレルに管本体を形成するプリプレグを巻き付
    けた後、プリプレグを加熱硬化させることにより、管本
    体の内壁にバランス調整材が固着した管材を得ることを
    特徴とする管材の製造方法。
  2. 【請求項2】 バランス調整材としてシート状のプリプ
    レグを切欠部内に充填するようにした請求項1記載の製
    造方法。
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